金融資産と資産表2

富士山やギリシャ神殿のような極端な話ではなくとも、普通の都市内にある官舎用地その他国有地の評価さえありません。
ニッポン列島全体評価がいくらになるのか誰も分ってません。
道路が未舗装だった明治の頃に比べて、殆ど舗装されていて、しかもあちこちに山をくりぬいてトンネルが出来て便利になっている今の道路の価値はいくらになるのかの評価基準も何もありません。
明治の港湾設備に比べてみれば明らかですが、今の港湾設備がいくらの評価になるのか誰も知りません。
千葉市のような新興地で言えば、人口急増に備えて学校用地や公園用地なども次々と手に入れて開発してきましたが、これが仮に公債で手当てしていると借金だけが増えて、対応する資産の増加は目に見えない関係です。
個人や企業・法人の場合は、お金が出て行く代わりに固定資産が増加して行く関係が明瞭ですが、公共団体にはこのような関係・経理処理がないので、逆に赤字傾向になったときにも公有地等の資産の切り売りをしたりやるべき補修工事を怠って支出を抑えていれば黒字になるなど全く不明・・不明瞭会計の温床にもなっています。
このように見て行くと、同じ額の金融資産しかない国同士でも、過去30〜40年間(公共資産は50年前後の耐用年数のあるものが多いので)にどれだけの固定資産投資をしているかを比較しないと本当の豊かさは分りません。
中国が単年度で日本のGDPを抜いたと言っても、インフラの蓄積がまるで違うことは誰の目にも明らかです。
富士山のように元々あるものは別としても、投資部分だけでも企業会計同様のバランスシート形式(減価償却計算も入れて)をとれば、現状よりは実態を反映し易くなります。
道路が穴ぼこになっていても橋が落ちそうになっていてもその補修支出を2年ほど先送りしておけば、今の会計方式では選挙向けに市長が昨年と今年は黒字に転換させたと実績をアッピール出来ます。
実際には、2年間も全く補修しない訳には行きませんので、年間補修費50億円計上するべきところを今年は30億円しか計上しないで、補修頻度を減少させて行くことになるのでしょう。
(5年に一回のところを6年に一回にするなどの先送りです・・一般の家庭で言えば、家のペンキ送りを1年伸ばしに先送りしているようなものです))
減価償却方式ですと、現職市長が補修をしないで放置していても一定の減価が発生していくので、誤摩化せません。
仮に50年消却の固定資産が50個あれば、毎年一個新設するのと同じ額だけマイナス評価になって行く計算ですから、毎年一個ずつ新規入れ替えして行くに足りる予算を組まねば、資産勘定がマイナスになって行きます。
前記の補修先送りの例同様に、校舎の建て替えなどを先送りしても、同じだけの評価が減る関係ですから先送りで誤摩化せなくなります。

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