慰安婦騒動と戦後秩序2

江沢民がイキナリ反日姿勢を強め、反日教育を始めた背景がよく分りません。
一般的には国民不満をそらすためだと言う解説ですが、当時なお経済は急上昇中でしたし、イキナリそう言う方向へ舵を切らねばならないほど政治経済状態が切迫していた訳ではありません。
アジア通貨危機の心配としても無理があります。
このときに通貨危機救済予防のために日本が主導して通貨同盟のようなものを作ろうとしてアメリカの怒りを買って頓挫し・・チェンマイイニシアチブなったことがあります。
日本叩きをして日本をドンドン追いつめているつもりが、追いつめられた日本が東南アジアに工場を建てて迂回輸出→現地の成長に寄与し信用を築いていた・いつの間にか東南アジアの主導権を日本に握られそうになったことでアメリカは焦ったのでしょう。
ちなみに戦前はアメリカによる排日法による日本封じ込めだけではなく西欧諸国も、アジアの植民地ごとに囲い込み・経済ブロック制によって、日本とアジア諸国との貿易閉め出し・・日本が中国へ向かわざるを得なくして行き、中国では反日感情を煽李、泥沼化に追い込む戦略を図っていました。
数日前にソ連外相のユダヤ人が上海事変勃発に喝采している状況を紹介しましたが、欧米一丸で日本が中国で足を取られるように仕組んでいたことが分かります。
戦後は日本をアメリカ市場から締め出したところ戦前と違いみんな独立していたので、却って日本の進出先になってしまったのです。
中国はこのときに通貨危機の圏外・・まだ自由化率が低かったので規制強化によって、通貨危機切り抜けに成功していました。
https://ja.wikipedia.org/wiki
「アジア通貨危機(アジアつうかきき、英語: Asian Financial Crisis)とは、1997年7月よりタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落(減価)現象である。
日本は、2年間にわたり国際機関やG7各国と協調し当初の危機対応において、二国間支援の主導的な役割を果たした。また、一時的な資金不足を補填する流動性支援のみならずODAを含む日本独自の政策的金融手段を総動員し長期の安定的な資金を供与してアジア各国の実体経済の回復と安定化に対して全力で取り組んだ。
中でも、IMF・世銀年次総会において発表された新宮澤構想は、アジア諸国の実体経済回復のための円借款・輸銀融資などによる中長期の資金支援を含む合計300億ドル規模の資金支援スキームを用意するものであり、一連の支援策の中でも最大級の物で、チェンマイ・イニシアティブに引き継がれた。
中華人民共和国では外国企業の進出が多く、金融システムにも問題があったにもかかわらず、国内全体の預金がほとんど国内口座にあったうえ厳しい規制があったため、あまり影響を受けなかったと推測される。
特に海外移入資本は無論のこと、国内資本の自由な移動も規制されている段階であったほか、外国為替(元相場)が事実上のドルペッグであったにも拘らず、為替取引に関する「事前申請制」を採用していた事が大きい[10]。

TTPも日本に主導権を握られるのを嫌っていたアメリカが、日本抜きで始めたものの最後に日本を入れざるを得なくなって入れた途端に・・日本に主導権を握られそうなのでやる気をなくしたとみるのが私の感想です。
多分通貨危機最中での江沢民訪米時に「日本叩きに協力してくれたら将来太平洋を二分しよう」と言うささやきが中国になされたと言うのが私の以前からの推測です。
何のささやきもなく根回しもなしに、中国が勝手にこう言う重大なことをアメリカ大統領との公式会談で面と向かってイキナリ言い出すとは常識的にあり得ないし、会談時にオバマがこれを否定出来ないまま約1週間前のオバマと習近平の会談でも(約束を守れよ!と言わんかのように)これを繰り返し持ち出していてオバマは応じない・・否定出来ない繰り返しになっていることが私の憶測になっています。
慰安婦騒動では、中韓が煽動することに対するお墨付きを与える一方で支配下にある日本マスコミ連携で国連報告として仕上げて、慎重に進めて来た印象でした。
アメリカや世界世論誘導能力のあるユダヤ系の後押しがあるからこそ、韓国が日本政府が否定すると(アメリカの意向に楯突けるのか?とばかりに)「戦後秩序違反を許すな」と大自信を持って世界中で大々的に騒ぎ立てていた印象を日本人の多くが受けました。
ところが天佑と言うか、アメリカ自体が、イラク戦争や9・11テロに対する報復と称して始めたアフガン侵攻もうまく行かず、力の空白によって生じた中東の大混乱(シリア内戦とISの台頭)を収拾する能力がなく信用をなくしてしまいました。
これを見透かしたか?ロシアによるクリミヤ武力併合ではアメリカの警告はロシアに無視されたまま、アジアでも中国が台頭・・南沙諸島・・公海での埋め立て→軍事基地化もやりたい放題でアメリカの権威は失墜する一方です。
アメリカは将来の敵日本叩きよりは、目前でアメリカの権威をコケにする勢力への対応が優先課題になって来ました。
覇権国とはパックスアメリカーナ・・覇者の設定した秩序に従わない者に、懲罰を加える力を持っていることが必須要件です。
秀吉が天下人になっても言うことを聞かない九州攻めや小田原攻めをしたのは当然のことでしたし、幕末期に徳川家が第二次長州征伐に失敗したときに覇者の地位を実質的に失ってしまい、その後は最高意思決定機関が江戸の幕閣から、京都での有力諸侯会議等に事実上移るなど収拾のつかない政治状況に陥いりました。
このときから、主君と臣下の擬制関係に立っていた将軍家と大名の関係が壊れて関ヶ原直前の大阪城での政治交渉類似の事実上対等者間の政治交渉に移ってしまいました。
今のアメリカのヘゲモニ−は、幕末の徳川家に似たような状態が始まっています。

内需拡大とバブル発生

日本は海外展開に伴う国内生産の急減速(前年比増がなくなっただけでしたが・・・)を埋めるために急いで内需拡大に舵を切ったのですが、(内需拡大するための資金はたっぷりあるので・・・)内需の準備・受け皿のないところに紙幣供給ばかり増やして金利を下げたので、(家電製品その他は行き渡っていたので買うものがないという国民の意識もあって)さしあたり実需の伴わない宝飾品や絵画・不動産に需要が集中してしまいました。
ちなみに日本のバブルの約20年後、リーマンショック後の成長率の急減速に耐えられない中国が、国際貢献名目に内需拡大政策に切り替えて、何十兆円か巨額支出しました。
中国では都市部を除けばまだインフラも充分ではなく、家電製品すら行き渡っていない状態でしたから、(事故を起こした高速鉄道網の急拡大もその一環でした)それなりの効果がありましたが、既に家電製品等が行き渡っている都市部では、豚肉等の生活必需品の高騰や不動産・マンションや貴金属美術品バブルに転化しました。
このために今年春頃から引き締めに転じていたものの、欧州危機に関連して経済が低迷(日経新聞12月14日朝刊7面によれば膨大な裾野のある造船業界では、今年10月の受注は昨年同月比2割しかない・・3割の造船所では今年に入って受注がゼロほど落ち込んでいます)して来たので、まだバブルが終わっていないのに金融緩和するなど迷走しつつあります。
東南アジア諸国では欧州危機による景気急減速に備えて内需拡大政策が一斉に発動されていますが、既にリーマンショック後の内需振興によってバブル状態になっている中国が同じことをやると、バブルの二乗倍になって大変なことになりかねません。 
貧しい中国人民がいきなり贅沢しろ、豊かな生活をしろと言われても、家電製品等が一定量充足すれば、豊かな生活に慣れていない国民は量をこなすくらいしか出来ません。
上海等都市部では2戸目3戸目の投資用マンションを買うようになっているのはその結果です。
(田舎の料理は量で勝負すると言われているのと同じです)
我が家では、10年ほど前に比べてずっとおいしくなったほうれん草、小松菜その他の国産農産物の味を楽しんでいますが、いきなり内需拡大と言っても品質が向上するものではなく、10〜20年して効果が現れて来るものです。
徐々に生活水準を引き上げるしかないのが、生活文化と言うものです。
いきなり湯水のようにお金を使えと言われても、使ったことのない国民は、従来型の消費を拡大するのが関の山で、品質改善・生活水準向上には時間がかかります。
手っ取り早い消費は量で勝負するしかない・・インフレになるのは当然です。
せいぜいこれまで買ったことのないもので贅沢品と言えば、貴金属や美術品・土地ですから、これに資金が集中したのは当然です。
(どうってことのない中国の絵が馬鹿高い値段になっていたようです)
本来の需要を越えて政治の力で無理に消費を煽っても空回りしてバブルになるしかなく、金融引き締めが遅かったからバブルになったというのは後講釈に過ぎません。
金利政策も内需拡大政策の一環ですから、勿論重要ですが、我が国の場合国を挙げて実際の需要以上に内需拡大するしかないと思い込んでいたことに原因があるのです。
海外展開と内需減少の関係に話題を転じますと、国内生産を維持したままの海外進出は前年比増の誤摩化し・・迂回輸出目的であれば続きますが、海外でもそこそこのものが造れるようになって来ると同等品については国内生産が割高・・国際競争力がなくなってきます。
現地生産能力の漸増に連れて、低級品から順次国内生産比率を下げて行くことになるのは必至です。
今まで国内生産はそのまま維持し、増産分だけ海外生産するというポリーシー通り国内生産を維持して来たのは、有名どころではトヨタ自動車くらいしか残っていないでしょう。
その分、トヨタは現地生産の進んでいる日産等に比べて新興国での競争に遅れを取っている感じです。
トヨタでさえも今年急激に進んだ超円高には耐え切れずに、国内生産を縮小せざるを得なくなりそうな雰囲気です。

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