社会変化反対運動と功罪3

当時でも高速道路利用実態は、自家用車よりはトラック中心・・物流合理化・市民生活利便性のために利用されている状態でしたから、話が合わずに結局高速道路千葉延伸反対の弁護団には加わりませんでした。
飛行機はブルジョワジーだけが使うと言う主張に関して言えば、子供の小さい頃に、家族であちこち旅行しているときに、夏休みの終わりころに千歳に向かったときには、飛行機内は出稼ぎ労働者のムレで私たちのような旅行者は私の家族を除いて誰もいませんでした。
考えてみれば、労務者にとっては夜汽車で乗り継いで帰るよりは、飛行機で早く往復した方が数日余計働けるし、その間の食費そのたを考えると安上がりだからでした。
実際私たちの旅行経験でも、時間のかかる船旅や各駅を乗り継いであちこちで宿泊しながら移動して行く旅行や寝台列車に乗って行く旅の方がお金がかかりました。
このように左翼運動家の考えている利用構造は、実態に合っていなかったのです。
今で言えばアベノミクスは、「株価上昇で潤うのは金持ちばかり」と言う決まり文句でマスコミや文化人が批判していますが、株主=資本家・搾取階層と言う19世紀型分類を後生大事にしていることによります。
今では数万円から株取引にネットで参加している・非正規労働者も参加している時代になっている現実を見ないことにしているようです。
株価上昇率は、大株主も小株主も平等・同率に効果のある公平な制度です。
株価上昇=格差拡大と言う図式で、マスコミや文化人は折に触れて批判をしていますが、多分国民は実感でこの批判は意味がないことが分っていますので、内心馬鹿にしているでしょう・・。
共謀罪反対論者の言う「近代刑法原理に反する」と言うテーマに対する疑問から出発しているこのシリーズのテーマに戻りますと、彼らは現在の実態を見ないで、あるいは現在社会の進展に反対して2世紀前の「近代社会」の原理を守ることが大好きです。
このコラムは今回の総選挙前に書いていたものですが、多分(明日朝起きてみると)選挙でその結果が出ている筈です。
なりた空港反対運動の激化によって空港開港が遅れに遅れ、開港後もああだこうだの反対ばかりでしたから、うるさ過ぎて利用が伸びず、空港へ向かう予定だった新幹線計画もなくなり(今はその予定地が北総開発鉄道と言う一般路線になって3〜4年前に漸く開通しましたが、予定より3〜40年遅れのことで、沿線に計画した千葉ニュータウン計画も遅れ過ぎて駄目になっています。
いつも書くことですが、各種新技術に欠点があればそれはそれで別に克服して行くべきで、たとえば防犯カメラのマイナス点があれば、それを克服してく、・・車には事故がつきものですが、それは信号機や歩車道区別その他安全装置で克服すべきであるし、工場や空港騒音があってもそれに対する対策を講じればいいことであって、設置そのものに反対する必要がありません。
騒音臭気対策は、対策として別にやれば良いことで、工業立地自体に反対したり禁止する必要がありません。
近代工業化の成果である大規模工業地帯の立地が、近代工業化当初には想定されていなかった公害を生み出したので、その修正運動としての公害反対運動はそれなりの成果・・公害防止技術の発展を生みました。
その点で(怪我の功名?)弁護士会は社会発展に貢献したことになり、社会的認知を受けた遺産があります。
しかし、工業化自体をやめるのではなく修正努力の結果公害技術が発達して世界先端技術国になったに過ぎません。
公害以外のあらゆる面での社会変化反対運動で、日本社会発展に資した成果が何か外にあったでしょうか?
テレビは目に悪い・子供の運動不足になる、車の普及期には運転は大変疲れるので、運転手は一定時間ごとに、休憩させるべきだと言う議論が普通でした。
私が司法試験受験時代(昭和40年代)にアルバイトしていた会社では、労組が強かったこともあって、キッチリ休憩を取っていて、運転手が運転席でスポーツ紙など見たりして休憩していましたが、本当は荷物積み降ろしを手伝った方が違った筋肉を使って疲労回復にいいのじゃないかと疑問に思って見ていました。
・・タイピストは一定時間ごとに休憩させるべき・・この遺産の結果、今でも証人尋問途中4〜50分?経過で速記官の交代があって尋問が中断します・・いま時、自分で車運転している人やパソコン操作している人が4〜50分から1時間ごとに休憩だからと言って芝生に寝転んだり漫画を読んでいる人がいるでしょうか?

社会変化反対運動と功罪2

以前紹介したことがありますが、成田空港反対・公害反対や高速道路が千葉に来るのに反対と言ういろんな運動が盛んなときに私は修習生〜弁護士になりましたが、この頃革新系政党に公然と所属している弁護士から参加を誘われたことがあります。
アメリカの原水爆実験に反対しているのに、中国やソ連の原水爆実験には反対しない・・日本より酷い中ソのモクモクたる黒煙の煙突群・・公害の状態には何も言わないで中ソの発展が素晴らしいと賞讃していたりするのに、何故日本の空港や高速道路普及だけに反対するのか、国際競争に遅れるじゃないかと言う心配をしたので疑問をぶっつけたことがあります。
今でもマスコミの報道を見ると、日本の津波による原発事故・放射能汚染が発生すると鬼のクビでもとったように大騒ぎで世界発信しますが、中国で繰り返されている核実験によるもっと酷い恒常的放射能汚染には全く触れません。
日本に比べて技術力の全く違う韓国や中国の原子力発電自体の大小の事故がしょっ中あってかなり悲惨な状態らしいですが、(新幹線事故は公衆に触れることから隠せませんが、それでもすぐに埋めようとしていたことがバレて世界の笑い物にされましたが、中国とはこういう国です。・・原発事故は極秘情報隔離された敷地内の不具合ですので、一般に出て来ません)秘匿されたままで全く報道されていません。
ただし、日本の原発津波被害後、マスコミが騒いだ結果全国の放射能データがネットで公表されるようになっていますが、この結果、マスコミが中韓の不都合を報道しなくとも、福島原発に関係のない中韓に近い日本海側の九州や山陰地方の方が放射能濃度が濃いことが一般に知られるようになっています。
以下、12月13日現在の東京都のデータと山陰地方のデータ比較を紹介しておきましょう。
(ご覧になりたい方は毎日10分ごとにネット公開していますので見て下さい)

新・全国の放射能情報一覧
各都道府県の4179地点の放射線量グラフを公開しています。
2014/12/13 12:50 時点の最新放射線量データです。(10分毎更新)

東京都の計5地点の放射線量グラフを公開しています。
2014/12/13 12:50 時点の最新放射線量データです。(10分毎更新)
現時点の圏内最大地点は <0.05 0.043μSv/h 東京都足立区 舎人公園 です。

鳥取県の計7地点の放射線量グラフを公開しています。
2014/12/13 12:40 時点の最新放射線量データです。(10分毎更新)
現時点の圏内最大地点は <0.1 0.077μSv/h 鳥取県琴浦町 赤碕ふれあい交流会館 です。
2014/12/13 12:40 時点の最新放射線量データです。(10分毎更新)
現時点の圏内最大地点は <0.1 0.06μSv/h 福岡県北九州市八幡西区 八幡総合庁舎 です。

こによると東京の0、5台に比べて山陰地方は軒並み1、0台ですから、山陰地方の方が、約2倍の濃度です。
この因果関係をマスコミは全く報じないで、柏市など東京に比べて濃度の濃いスポットがあることばかり大々的に報道しています。
北京での米国大使館敷地内での大気測定が有名ですが、国民の健康を守るためならば、日本の方が米国の核実験場よりも近くてしかも偏西風の影響を直に受けるのですから、日本も大使館内でこの程度のことをやるべきですが、こういうことを一切やっていません。
アメリカやフランスの原水爆実験には、昔から猛烈に反対して教科書にまで福竜丸の写真を乗せる熱心ぶりですが、中国の核実験の場合、日本に近くてしかも日本が風下にあって影響が大きいのに報道すらありません。
昔から、ビキニ環礁の核実験を大騒ぎしているし、教科書に写真などで強調されるので誰もが知っていると思いますが、場所的に見ると日本の数千km彼方の東南方海上・・太平洋のど真ん中)の実験ですから、・・日本に放射能が被害があると言う点で強調するならば、日本にもっと近くしかも西風(地球の自転によるジェット気流は西風です)に乗ってすぐに飛来する中国やソ連・シベリアの核実験の方が日本にとって被害が直接的ですから、こちらの方こそその都度外出注意などの警戒を呼びかけて騒ぐべきです。
(核実験そのものに意味があるのではなく、日本漁船が被害を受けたと言う意味で騒ぐならば意味が分かりますが・・・。)
中国では大変な健康被害が生じていて、ガン村と言われる地域が発生しているとのネット報道もありますが、これらは全てマイナー系や独立系のジャーナリストが自分で取材して来たものばかりであって、大手マスコミとマスコミに出たい文化人は一切触れません。
以下はネット情報の一例です。

中国ガン村の惨状 あるボランティア女性の報告 – (大紀元)
www.epochtimes.jp/jp/2011/08/html/d63430.html
【大紀元日本8月6日】マレーシア在住の中国系女性・唐米豌さんは2002年からの7 年間、中国のガン村で患者を支援するボランティア活動を続けてきた。2009年、彼女がガン村の惨状をまとめた文章を発表して以来、中国政府のブラックリストに載せられて、 …

ただし、ガン村は水質汚濁によるものと言う発表です・・核実験関連は当然のことながら軍事機密ですから、フリーのジャーナリストも放射能測定したり報道出来ません。
もしも強行すればすぐに拘束されてヤミに葬られる仕組みでしょう。
チベット民族やウイグル族の苦しみは、弱小民族居住地域に核実験場が集中にいる被害の面が大きいのですが、こうした具体的被害の点には一切触れないのがマスコミです。
40年以上前の話題に戻しますと、当時なぜ空港や高速道路に反対するかについても「飛行機や高速道路を使うのは金持ちだけで、貧乏人は騒音被害を受けるだけだ」と言う説明を聞いたことがあります。
勿論大工場反対も(中ソの場合には、資本家の搾取がないが)日本では資本家が儲けるだけ・・と言う説明でした。

社会変化反対運動と功罪1

私の場合、このコラムは全て素人的・・思いつき的意見ですので、専門的に研究している人にとっては、共謀罪が成立するとどのように証拠法を改正しても危険が残る・・これがテロ不安・社会不安防止と引き換えに出来ないほど大きなマイナス点だと言う指摘もあり得るでしょう。
専門家として反対運動している組織が、そこを具体的に主張してくれれば私のような物わかりの悪い弁護士も納得し易いですが、反対を既定方針としたスローガンばかり聞かされていると、特定政治利益実現のために運動しているのかな?と変な疑問を世間から抱かれてしまわないか心配です。
私のような「意識の低い?』低レベル会員のために、共謀罪や秘密保護法に反対運動しているグループは、反対内容に自信があるならば、具体的に噛み砕いた説明をする手間を惜しむべきではありません。
弁護士に対する説明さえ億劫がっていて、全く法律を知らない一般国民にどのように説明するつもりなのでしょうか?
素人には分らないから近代法の精神に違反すると訴えれば、「近代法」と言うブランドで目がくらんでしまうだろうと考えているのでしょうか?
防犯カメラの設置に対して、監視社会になると批判する人が多いのですが、防犯カメラの御陰でかなりの事件ですぐにも犯罪者の足取りがつかめて重宝していることも確かです。
逆に防犯カメラの分析の結果えん罪も解消されていますし、数日前に書いたように個人のビデオらしいですが、ニューヨーク市警の黒人殺害事件でも威力を発揮しています。
オレオレ(振り込め)詐欺等では、預金払い戻しの時間場所が払い戻し機のデータで特定されるようになっていて、しかも、その時間帯の監視カメラの映像があって犯人割り出しに威力を発揮しています。
モノゴトは社会の安全装置としての役割とプライバシー侵害との兼ね合いでしょうし、公道や大規模商店内での写真撮影から守られねばならないプライバシー性は、そんなに高いとは思えません。
立ち小便しているのを写されるのが恥ずかしいと言うような人・・あるいは何か後ろめたいことをしている人の秘密・プライバシー権?を保護するために防犯・社会の安全・あるいは自白偏重軽減のメリットと引き換えにするべき議論でしょうか?
防犯カメラ反対論者は、「自白に頼るな、客観証拠によれ」と主張するグループでもありますが、客観証拠になりそうな技術革新が進むと、それに反対するような政治運動に精出すのが不思議です。
大分前に在日韓国人擁護のためにか指紋押捺が犯罪者扱いだと言う反対運動がありましたが、今では銀行へ行っても指紋認証の出来る機械が普通ですし、自ら進んで指紋認証を求める時代です。
私の持っているアイパドは、指紋登録で起動しています。
政治運動には相応の利害集団が必ず背後にいるとすれば、客観証拠になりそうな新技術と言うよりもいろんな分野で技術革新があると片っ端から反対する運動家は、誰のどう言うグループの利益を求めて反対運動しているのでしょうか?
防犯カメラで言えば、人に知られたくないことばかりしている集団の利益擁護が、そんなに必要かの疑問です。
「近代刑法の精神」はまさに19世紀=「近代の精神」であって、21世紀に生きる現在の精神ではありません。
現在には近代とは違う現在の精神が生まれていることを、繰り返し書いてきましたが、この現世に生きている限り知らない筈がありません。
何か新技術が出るとすぐに反対するには、近代刑法の原理に反すると言うお題目でなく、何故反対するのか説明が必要でしょう。
近代工業の発達に労働現場が失われると言って、反対したラッダイト運動が知られていますが、何で反対集団は特定犯罪集団の応援をしているのではなく、自分たちが近代刑法しか知らないから、現在技術を取り入れて新しい法理論が出来るのは困るのでしょうか?
(私などはもう歳ですから、その仲間かも知れませんが・・・私は自分がついて行けないからと反対するつもりはありません。)
現在のことなら国民皆が、平等に経験して知っていますが、水戸黄門の印籠をかざすように「近代法の原理・精神に反する・・これがブランドだ」と強調すれば、(お前ら知らないだろう!と)優位に立てるからでしょうか?

韓国民の行動様式6(紛争解決発展段階6)

前回まで引用してきた「韓国における医療紛争の動向と問題状況(二・完)」 李庸吉氏の論文の続きを紹介します。
http://repo.lib.ryukoku.ac.jp/jspui/bitstream/10519/438/1/r-ho_041_04_006.pdf

「・・・医療訴訟第1審新受件数は、増加の一途を辿っており、しかも近年においては爆発的な増加率となっており、事態は日本以上に深刻といえよう。
医療訴訟に関しては、世界的に増加趨勢にあるのは確かであるが、しかしそれを勘案しでも、近年においては、その増加率が50%近くに至る状況で、これは日本におけるそれ(約15%) をはるかに凌いでおり、他に類を見ない非尋常的な現象としかいいようがない。
・・・・中略・・」
「訴えの取下げも2001年以降は減少が見られるものの、日本のそれが4〜5%97)であることからすると、韓国における特徴的な現象とも見て取れる。
これは、既に述べたように、韓国においては、民事訴訟よりも先行してまず刑事告発に向かう傾向があることからすると、訴訟の目的が賠償よりも医療者に対する怒りや恨みといった感情面が先行するがゆえの「制裁Jという問題が第一儀的な場合、仮に刑事責任が問われる結果なり、あるいはそれにはいたらなくとも刑事裁判に付されることそのものがいわば社会的制裁であるとの認識を有しているとすると、その後の時間をかけた民事での争いに関しては放棄するといった行動を示すのか、或いは診療債務が治癒という絶対的な結果を保証するといった性格のものではなく、「手段債務であるということが理解できず、医師に必ず自分たちが期待した『完全な効果』すなわち完治のみを期待し、医師が医療行為の過程で最善の努力を果たしたか否かといったことには全く関心が向かないJ98) といった患者側の日常抱いている考え方ないしは感情面が先行した行動との議論があり、請求の根拠が充分にないがゆえのことなのか、はたまた立証責任の壁等によるものなのか定かではないが、日本とは違う韓国における特徴的な社会的背景が影響しているようにも感じられる。
・・・・・・・中略・・・
小括
上述の如く、韓国の医療現場においては、「医療紛争の日常化J135) とそれに伴う被害者側の集団的物理力の行使が絶え間なく起こっており136)、このため医療側は防御診療、過剰診療、診療忌避等に逃避しようとする傾向を示すことになる。
これは医療紛争を解決する既存の法制度が被害者救済に関しては無力であったり、非効率的であったためである・・・・・中略・・
注135)大韓医師協会医療政策研究所が行った実態調査0998年1月-2002年12月までの5年間)によれば、患者又は患者家族との医療紛争を経験の有無に対し、経験を有する者が44.4%(回答者1117名中496名)にもおよび、これはまさに、医療紛争が身近で日常化された現象であることを物語っている(医療政策研究所・前掲注128・43頁)。
注・・136) 医師が患者や家族から暴行や暴言を浴びることはすでに日常茶飯事で、医師自身も医療事故の後遺症や経営悪化に苦しみ、自殺にまで及ぶケースも稀ではないようである(2007年9月15日付朝鮮日報〔インターネット版J
・・・・・・・・中略
冒頭に示した医療訴訟が急増している現象も、国民の意識水準向上により、かつての「物理力による私的な解決よりも法的枠組み内において合法的な手段を通じて医療紛争を解決しようとする傾向が漸次埼加しているという現象」とも見ることができることから、これを「否定的側面としてではなく、肯定的に解析J140)することも可能であろう。・・・・・・



韓国民の行動様式5(紛争解決発展段階4)

8月20日に紹介した日韓の統計では、訴訟提起後の和解成立率の日韓格差は厳然としています。
ただし1992年から韓国では訴訟事件に対する調停回付が始まっていてその結果が出始めていることが上記統計でも分りますが、その成立分をプラスすると訴訟提起後話し合い解決に至った分は2倍ほどに増えている印象です。
上記論文の注を引用ししておきます。

「87)韓国民事調停法(1990年制定)第6条は、「第l審受訴裁判所は、必要があると認める
場合は、訴訟の係属している事件を決定でもって調停に回付することができる。」と規
定する。元来、当事者双方の合意のある場合にのみ調停悶付を認めていたが、1992年
の同法改正により、職権調停を認めたものである(金祥沫・前掲注85・255頁)。
(龍法’09)41 .4, 1 79」

客観資料が出そろっても簡単に和解しない国民体質に合わせて強制的?に調停に回付して裁判手続きから一旦外して、じっくり話し合いしてもらうことにした成果が出たと見るべきでしょう。
それでも統計最終の2006年でも、併せて漸く合計約30%です。(日本は和解成立だけで「60%)
日本の場合、訴訟前の調停解決あるいは訴訟前示談解決が多いので、(当事務所でも訴訟前の弁護士間交渉による和解解決が殆どです)訴訟提起率が人口比で韓国の半分以下になっていて,しかも訴訟になってからでも和解率が(韓国の調停成立分を合わせても)2倍以上ありますから、実際には統計以上に円満解決が多い社会です。
日本では、理論やケース上の当てはめで訴訟前の交渉が成立する場合の外に、訴訟になるのは以下のような場合です。
① 双方代理人のスタンス・・(先端医療技術等で判例がまだ未成熟な場合や)法的見解が違い過ぎる場合、裁判所の判断を貰わないと前に進まないとき
② ルールに関して意見が一致しているが、第三者を証人尋問してみないと実態が分らないケースでは、一応証人尋問までやってから和解交渉しましょうというケース
上記①の場合、裁判所の主張整理段階でケリがついて、裁判所の整理を前提に和解交渉になる場合が殆どですが、この整理に納得しない弁護士が飽くまで上級審の法的見解を求めたい場合、判決になります。
イ・・裁判所の法的整理には双方納得したものの、その当てはめの事実関係が微妙で、証人尋問してみないと結果が見えないとき。
ロ・・証人尋問の結果どちらかがはっきりするとそれを前提とした和解交渉となり和解成立率が高くなります。
ハ・・証人尋問したが結果が見えない微妙な言い回しで終わった場合、双方判決待ちになり、証言の微妙な言い回しの評価次第で勝敗が決まるので負けた方が高裁の判断を仰ぎたくなります。
この場合でも当事者は事実を1番良く知っているので、「先生モウ良いです」と言って控訴しないこともあります。
日本の弁護士は当事者がいくら興奮していても、筋の通らない主張に応じてそのまま提訴することは滅多にありません。
「お金がいくらかかっても良い、相手に払うくらいならば先生に払った方が良い」と言う人は要注意です。
こう言う人は無茶苦茶で合理的な意見を聞く耳がないので、このような人の事件をうっかり受任すると裁判が進んでもまるで話にならずに進退に窮している弁護士を見かけます。
韓国では弁護士自身が、依頼者の非合理な主張を法的チェックもせずに提訴してしまい和解も出来ず、収拾がつかなくなっている事件が多いのかも知れません。
国民の民度だけではなく、弁護士・・法律家のレベルも訴訟前解決や和解成立率に関係します。
ところで、何かの被害を受けたと思い込むと、韓国では訴訟以前にまず、医療施設等の破壊や集団暴力・抗議事件による施設ぶちこわしなど・・刑事告訴等が先行するのが一般的らしいです。
7月6日にサンフランシスコ空港で起きたアシアナ航空の着陸失敗事故では、無事であった?乗客が機長を取り囲んでボコボコに暴力を振るっていたとネットで報道されていましたが、他所の国でしかも報道陣注視の中でもこういうことを恥ずかしげもなくやらずにいられない民族性を白日の下に曝しました。

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