自治体の意思決定(居住期間)1

原発に限らず軍事基地,ロケット発射基地,水源地・ダムその他重要施設は概ね過疎地立地が多い(成田空港予定地も人口が少ない御料牧場を中心とする計画地に選ばれたものです)→人口が少ない自治体が最終決定権を握る我が国の制度設計では、意図的に外国人や日本人でも特定政治集団の運動員を予め移住させておくと、その数がホンの少しでも投票結果に大きな影響が出ます。
成田空港建設反対運動の例で言えば、例えば500〜1000坪の土地・・反対農家または反対運動激化に嫌気さして出て行った農家も一杯います・・を取得して傘下の活動家に一坪ずつ(いわゆる一坪地主運動と言うもので、実際に一坪か10〜20坪だったかは分りません)分配したような事例で、そこに住む必要すらありません。
これがまた曲者で、名義だけ登記してその後住所を転々している活動家の場合、行方を探すのに買収側はもの凄いネルギーを要します。
折角探し当てても同意しないのが普通ですし、最後まで探せない場合、任意買収作業が頓挫することもあります。
一坪地主運動はこれを狙っている・・成田空港の場合、名義人を捜し切れずに困っている場合が多いとも言われています。
(地元県知事が反対していて土地収用法による裁決が出来ない場合)10万人のうち一人でも2人でも買収できず、または同意しない限り勝手にダムの底に水没させることが出来ません。
何をするにも地元自治体や地権者の協力(同意)が必要とすれば、このやり方で基地周辺やダム予定地や原発周辺地の広大な原野などを2足3文で買って、執拗な反対運動出来る仕組みです。
選挙直前に住所移動して目的地の投票権を得るのはこの応用篇・亜流です。
住民票移動だけではなく、実際に引っ越させてそこで生活するには就職先が必要で大変ですから、特定政党が生活保障するのは無理がありますが、一坪地主・名義借り程度なら大した負担がありません・・名義変更手続費用程度です。
今は非正規雇用者が増えているので、昔ほど移住偽装は難しくありません。
労働条件を選ばなければ、非正規で数ヶ月くらいどこかに潜り込むのは訳がない時代です。
尖閣領海や日本の排他的経済水域に来ている大量の中国漁船団は、(今朝の日経朝刊1面には中国漁船団は何と200隻に及ぶと書いています)遠くから来るのでは本来採算が取れない筈ですが・・中国政府からの日当で出漁していると言われています。
中国政府にとっては日本の島1つ乗っ取るために日本在住中国人を予め増やしておいて彼らに対する出動命令・・一定の生活費保障をしてやる程度はお安い出費でしょう。
マトモに生活保障するのではなく、鉄鋼や石化製品造船など出血輸出作戦で相手を潰してしまう戦略と同じやり方をすれば良いので、100%の持ち出しになる訳ではありません。
・・地元の有力産業や唯少数の商店などで漸く成り立っている過疎の村に赤字承知の競合店を出店して安値販売競争をしかけるなどでして古くからの店を潰してしまって、地域独占した後は暴利をむさぼるなど地元経済破壊目的とミックスする程度の複雑工作をするのは簡単でしょう。
与那国島のような離島では、不採算または後継者難に苦しんでいる廃業目前の人が一杯いますから、漁業権買収から入って行くのは簡単でしょう。
過疎地の水源付近で維持し切れない山林所有者から中国資本による二束三文での山林買収が増えているのが問題になっていますがこれと同類です。
地元飲食店やよろず屋その他、何でも中国から採算度外視の資金投入して、古代から続いて来た競業者を潰してしまう戦略→みんな食えなくなって島を脱出して行く→中国系に入れ替えてしまうのでしょうか?
北京5輪の聖火リレーのときに長野市の善光寺付近でチベット族の抗議集会を阻止するために圧倒する5000人規模の中国人デモ隊・・政府の資金によるバスチャーター便で集められた在日中国人がチベット族を包囲した記憶が重要です。
公職選挙法によれば、以下のとおり僅か3ヶ月前に移住すれば良いのですから、沖縄基地移転反対運動を兼ねてその程度の期間本当に居着いて(2〜3週間に一度、元々の東京などのアパートや親元に着替えをとりに帰れば良いことですから)その間基地反対や原発反対などのデモをやってれば良いので訳がないでしょう。
公職選挙法(昭和二十五年四月十五日法律第百号)
第二章 選挙権及び被選挙権
(選挙権)
第九条  日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
2  日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。」
文化人やマスコミの宣伝のとおり元々日常的政治決定のための参政権であれば、そんなことのために意図的に住民票を動かす人はいないでしょう。
公職選挙法で3ヶ月前の住民登録が決まったのは、立法当時の手作業を前提にして、選挙事務作業の時間のために3ヶ月間最低必要と言う基準は・・作業日程から逆算して最直近の日として決めたものと思われます。
この法律が出来た昭和25年頃には、地元の些末な問題中心に決議する町村議会議員を選ぶために他所から意図的に住所移転する人など想定外であったし、閉鎖的ムラ社会では見たこともない人が選挙に来るとすぐにおかしいと分ります。
ところが自治体でも顔の見えない社会になり、国策上の重要決定に反対するグループが自治体権限を悪用?して重箱の隅を突つくような瑕疵を主張して裁判したり反対運動するようになって来るのに比例して、自治体選挙が野党にとって重要な拠点づくりになって来ました。
文化人やマスコミは、外国人参政権拡大論を維持する矛盾を隠蔽するために?自治体首長が客観的違法がないかの適正手続き・土木工事や建設工事の基準に合致しているか、開発行為の許認可・要件充足しているかどうかの事務的チェックしているだけと言うのでしょう。
武蔵野市でマンション建設妨害目的?で水道供給拒否したことで市長の刑事処罰が最高裁で確定した事件があるように、市長裁量で刑事処罰になることさえ辞さない非常識な不許可がまかり通っているのが現実です。
http://kraft.cside3.jp/verwaltungsrecht15-5.htm
最二小決平成元年11月8日判時1328号16頁(Ⅰ―97。武蔵野市の指導要綱と給水拒否)判旨:最高裁判所第二小法廷は、市長の上告を棄却した(罰金刑確定)。
Aは建設を強行した。Aは何度も給水契約の申し込みをしたが市は書類を受理しなかった。こうした市の対応が水道法第15条第1項に違反するとして、市長が起訴された。

賃貸借契約の真意

貸金に関する本音の約束と文書に書いた約束文言との違いに似た話は賃貸借にもあります。
契約期間2年と文書に書いてあってもそば屋に貸した場合、正当事由がない限り満期が来ただけで出て行ってくれというのは許されないと説明します。

借地借家法
(平成三年十月四日法律第九十号)
借地権の存続期間)
第三条  借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
(強行規定)
第九条  この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。
(建物賃貸借の期間)
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条  建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
第二十九条  期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。

相談者は
「きちんと2年と期間を書いてあっても約束を守らない方が正しいのですか?』「これでは何を信用して良いのか分らなくなる・・道徳は地に堕ちた・・そんなことを法で強制しているのは納得出来ない」
と言わんばかりの質問をして来る人がいます。
そもそも、そば屋でも喫茶店でも魚屋でも「そこで商売を始める以上は、2年で店を畳むつもりで借りる人はいないでしょう」と説明します。
2年でやめるのは商売に失敗したときだけで、誰だって失敗するつもりで始める人はいないので、順調にいけば行くほどそこから動きたくないのが普通です。
(実際2年ごとに動いていたのでは客を失うし、設備投資も無駄になりますから、本気で2年で出て行くつもりで借りる人は皆無でしょう)
2年の契約は契約書に印刷していてこれが普通だと言うから仕方なしに署名しているだけでしかなく、本音は商売に失敗しない限り半永久的に借りていたいというものですし、合理的に解釈すれば、せいぜい家賃の見直し期間くらいの意味でしかなくて「あなたも本当に2年で出て行ってもらう予定で貸した訳ではないでしょう。」と説明します。
何か気に入らないことがあったときだけ大家が2年契約の文字をたてに主張するのは、大家の方こそ本当の約束を守っていないことになります。
本当の気持ちを裁判で認定して行くのは大変なので法律で「正当な事由がない限り自動更新して行く」と決めたのであって、決して契約を守らなくとも良い・・道徳はどうなるのかということにはなりません。
と、地主や家主さんには説明してきました。
金貸しも同様で、
「困っている人に仏様のように手を合わせて頼まれたならば、最後まで仏様のままでいれば一貫したね」というのが私の意見です。
そう言われると
「先生の言うことも分りますが、それでは我々は食って行けませんよ〜!」
という金貸しが普通です。
金儲けのための投資資金の融通と違い、お金でも何でも、ものがなくて困っている人に貸すのは金儲けのためではなく、慈善事業と思うしかないでしょうと説明しています。
個人の金持ちが貸した場合・・こう言う会話の結果、「仕方がないか!」と諦めることが多かった経験です。
こんな風にお笑い話でやりながら交渉して行くのですから弁護士って結構面白い商売?でした。
ここ20年ばかりの間に個人的サラ金は淘汰されて行き、今では大手企業ばかりになってマニュアル式交渉になって来たので、こうした面白み・・個人の個性で交渉する仕事がなくなってきました。
個人関係で言えば、誰かに道具類を預けるとその間に使って傷んだりするのが普通・・お金の場合で言えば、誰かに預けておけば預けたお金を少ししか使い込まれなければ良い・・8〜9割も戻れば「あぁよかった」と思うのが普通ではないでしょうか?
今後先進国では投資機会が少ない・・あっても投資すれば、投資金の何倍になって戻って来るような高成長機会は滅多にありません。
(何時の時代にもアップルやユニクロのように部分的に急成長する企業はありますが、私の書いているのは国全体レベルで成長企業より沈滞企業の方が多くなる状態です)

遺言制度改正2(期間限定)

遺言の自由度が高まるとこれを悪用する人が出てきますので、従来(現行法)のように形式だけの規制では無理が出てきます。
そもそも今の遺言形式の法定主義は、現在のように学歴の上昇した時代にはあまり意味のない規定の羅列です。
形式さえ整っていたら有効と言うのでは、(遺言者に意思能力があることが前提ですが、以下に書いて行くようにこれでは十分ではないので)これを悪用する人が増えるリスクがあります。
死亡前一定期間以内の遺言や老人ホーム及び介護関係者など寄付したり遺贈したりするのを禁止・無効にしたりすることも必要でしょう。
そうでないとこれからは殆どの人にとっては人生の最後が老人ホームあるいは被介護者ですから、密室で好きなような遺言書を作成させられてしまう可能性があります。
法定相続人がいる場合、老人ホームが全部貰うような遺言があると驚いて社会問題に発展する・・悪い噂になるので老人ホーム側も現在は自制していますが、法定相続人制度がない場合、あるいは法定相続制度が残っていても身寄りのない高齢者が増えてくると痴呆状態で書いた遺言は無効ではないかと争う人や、あそこのホームはひどいとマスコミで騒ぐ人がいないので、どんな遺言でも誰も知らないうちに処理されてしまいます。
前回まで書いたように遺言書は形式さえ整っていれば先ずは有効なものとして取扱う仕組みです。
後で書くような遺言書作成を強要しなくとも、職員が適当に偽造文書を作ってそれを法務局に出せば、先ずは登記をして貰えます。
名義変更登記して不動産を売りに出して換金しても子供でもいない限り誰も争わないので、そのままになってしまいます。
子供がいれば、故郷の親の家が売りに出されていれば誰かの通報で気がつくこともありますが、相続人がいない場合仮に近所の人がおかしいと思ってもどこへ通報して良いか不明ですし、事情を知っている友人がいて、弁護士相談にきても、弁護士はその人から受任して証拠集めなどすることが出来ません。
近所の人とか友人と言うだけではその遺言に何の利害関係もなく、何の法的手続きも出来ないからです。
当事者資格(適格)として、11/03/02「裁判を申し立てる資格3」以下で紹介したことがありますが、裁判するにはその結果に法律上の利害がないと裁判する・・訴える資格がないのです。
ですから、近所の人や友人は銀行などに行って亡くなった人の預金の流れの調べる権利もありませんし、払い戻しに使った書類や遺言書を見せてくれとも言えません。
犯罪抑止には道徳心だけではなく直ぐにバレルリスクがあることが一番の抑止力ですが、身寄りのない人の場合老人ホームや介護者は何をしても後でバレることがないとなれば偽造でも何でも何の抑止力もない・・フリーパスと言うことです。
法務局は届け出があれば偽造かどうか調べないのか?と疑問を持つ人がいるでしょうが、調べろと言っても何の資料もない(本人の筆跡など事前登録していませんし)ので調べようがないのが現実です。
法務局ではこのため生前の移転登記には印鑑証明書添付を要求しているのですが、遺言の場合、死亡者には印鑑証明を添付する余地がないので、三文判でも良いことになっています。
自筆証書遺言は自筆であることだけが要件で印は三文判か否かを問わないし、これを仮に改正して実印を要求したとしてもあまり意味がありません。
身動き出来なくなって老人ホームに長期滞在している人や自宅で身動き出来ず介護を受けている人は、実印や預金通帳等も(身寄りのない人は預ける人もいないので、)みんな老人ホームが預かることになっていますのでホームの職員が自由に取りに行けます。
自宅介護の場合も同じで、自分で銀行に行けないので預貯金の出し入れは介護に来ている人に頼んでいるのが実情です。
本人が元気なうちは預金通帳のチェックも出来ますがそんな元気がなくなったらどうなるかの話です。
あるいはチェック能力があっても下の世話を受け食べさせてもらっていると気が弱くなってしまい、不正を見つけても口に出して詰問することが出来なくなります。
それでもひどくなれば身内が来た時にそれとなく言うことがありますが、身内がいないと誰にも言えません。
自宅介護の場合、実印や権利証を貸金庫に預けていても、何か必要があるときには、介護に着ている人に代わって貸金庫から取って来てもらうしかありません。
そのついでに中にある金の延べ棒や宝石など持ち出されても自分でチェックしに行けないのです。
勿論印鑑証明はカード利用で発行されますので、介護の人が自由に取って来られます。
今でも子供ではない遠い親戚しかいない場合、本人の意向?によって年金などはいると職員がおろしに行ってホームへの経費支払いに充てているのが普通ですが、これが悪用されるようになった場合の心配を書いています。
今は年金と収支がトントンの場合、身内がいても毎回預金をおろして支払う手間が大変なのでホームに委ねている関係ですから、ホーム側でも死亡後預金の流れが怪しいと問題になるので不正がしにくいのですが、年金以上のまとまった預金等があったり身寄りが全くない場合の話です。
今(5年ほど前に改正された登記法)では、本人確認を司法書士が義務づけられていますが、そこで言う本人とは登記申請している受遺者(遺言で財産を貰うことになった人)が本人かどうかだけであって、遺言が真正なものか否かに関しては何のチェックもなくスルリと登記してしまえるシステムになっています。
銀行の場合、一応預金作成時の本人筆跡と照合が可能ですが、何十年前に預金を始めた時の筆跡との死ぬ間際のグニャグニャの筆跡との照合では分りにくいのが現実です。
老人ホームに入った時にその近くの銀行で新たに預金を始めたときに、もう字が書けないからと職員が代筆することがあります。
さらに書けば、身寄りがいなくて自分で預貯金を管理出来なくなれば職員が好きなようにカードで払い戻していても誰もチェックが出来ないのが現状ですから、遺言を無理に偽造する必要がありません。
文書偽造や無理な遺言書作成強要が起きるのは、不動産を持っている高齢者だけかもしれません。
一定の資産がある高齢者が身を守るには、予め弁護士などに管理を委託しておいて、ホームにどのような資産があるのか知られないようにすることでしょう。
そうでもしないと高額の入居金を払って入居したらその後にみんな使い込まれてしまい、(それでも死ぬまでいられればどうせあの世にお金を持って行けないのでホームに食い物にされても結果はどうでもいいことでしょうが・・)あげくにホームが倒産でもしたら悲劇です。
こう考えて行くと老人ホーム入居時には、年金とホームの毎月の支払が収支トントン程度の資産しかないように、元気なうちにうまく使い切ってから入居するのが合理的です。
結局、「人は必要以上のお金(・・一生かかっても使い切れない資産)を稼いでも仕方がないし、これに執着して仕方ない」と達観するのが良いようです。
財産のある人は泥棒に取られないかと無駄な心配するのと同じで、自分で使える限度を超えた資産を保有するのは不幸の元です。

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