国際政治力学の流動化4

日本では、日本に対する煮え湯を飲まされるようなアメリカの悪行しか知られていませんが、西欧諸国に対しても資源獲得競争など日本に関係のなかった競合分野では、かなり悪どいことをして来たことが何となく分ってきました。
スエズ運河の国有化に象徴されるように英仏が徐々に中東の利権を失い、変わってアメリカが浸透して行きました。
アジアでも仏領インドシナと言われた地域そっくりアメリカと入れ替わってアメリカがベトナム戦争などを戦うようになって行きました。
地位が入れ替わって行くには、それぞれに固有の理由・名分があるでしょうが、結果的に追い払われたことに変わりがありません。
合理的な理由・相手の品質が良くて負けたならば仕方がないですが、資源力による非合理な値引きその他の強引な手法によって敗退したような場合には面白くないでしょう。
中国による爆買いをちらつかせて公共工事などを横から奪い取るやり方や無茶なダンピングによる市場席巻なども同じです。
日本から見れば欧米と一括りに見ているので分り難いですが、外部から見れば、親族の紐帯は堅いようでも「骨肉の争い」は熾烈なものです。
戦前戦後を通じて西欧が植民地支配を通じて確保して来た利権をアメリカが(今の中国の爆買いのように・・札ビラ・軍事力で強引に相手を押しのけるやり方でしょう)腕力に任せて強引に蚕食し続けて来たモノと思われます。
20世紀に入ってから約1世紀わたってアメリカに押しまくられて来た西欧にとっては、悲願としてのEU設立にこぎ着けて他方で中国と言う対抗馬が出て来たので出来れば中国支持に舵を切りたい気持ちになっていてもおかしくありません。
現在社会の力は生産力よりは市場購買力であると書いてきましたが、西欧にとっては有望で大きな市場は中国であり、アメリカはもはや棄てた市場と思っている可能性があります。
ワーゲンのアメリカ市場での売り上げ比率を6月8日に紹介しましたが、今や僅か1、8%ですから驚きです。
14日の日経新聞8pにはドイツのメルケル首相の中国訪問記事として「中国との蜜月関係に【変化」と言う中見出しで出ています。
従来と違い、鉄鋼などのダンピング輸出に苦言を呈し,南シナ海問題に言及するなど、さすがに甘い顔ばかり出来なくなったと言う報道ですが、そこには中国訪問が就任後九回目と言う事実が出ています。
この訪問回数の多さ(アメリカでのワーゲンの市場占有率が1.8%しかない現実・・)から見ても、ドイツの中国傾斜ぶりが分ると言うものです。
日米枢軸?と言っても安倍総理のアメリカ訪問は何回もないでしょう。
中国訪問に至っては、第二次安倍政権になって1回もないように思いますが・・。
中独の蜜月ぶりを下敷きにすると、中韓が頻りに「独逸を見習え」(アウシュビッツの記念館のようなもの・・【慰安婦記念館」【南京」虐殺記念館」を日本に作って反省の意志を示せと言うことでしょうが・・)と言う理由も分ります。
アメリカの出身母体で本来絶対的与国であるべき西欧諸国や豪州が、米中対立に関して何かにつけて中国寄りに軸足を変えて来たので、アメリカにとって今や安心出来る有力与国は世界で日本しかいなくなってしまったのが現実です。
これまでのように日本に対して裏で最大のイヤガラセをしながら、白人ではないが【名誉白人」として欧米クラブの「仲間に入れてやるから・・」「これ以上苛めないから・・」と言うだけでは間に合わなくなって来ました。
バレバレの陰での嫌がらせを少しは反省するフリを示すしかなくなって来たのが現状で、「今まで酷いことをして来たね!と反省の姿勢を、戦時中の各種書類公開解禁等によって、(政府関与の証拠がないと言う慰安婦報告もその一環ですが・・)徐々に示すようになってきました。
日本人は韓国のように相手が非を認めると居丈高に謝罪や賠償をトコトン要求する国民性でないことを良く知っていることも関係します。
日本人は、アメリカに散々煮え湯を飲まされてもそれはそれとして簡単に主従関係を変えない犬みたいな習性があります。
昨年の安倍総理のアメリカ議会演説を皮切りに戦時中の日本兵が如何に勇敢であったか、武士道的だったかなどの報道がじわじわと流れ出るようになり、他方でルーズベルトが如何に日本に対して酷いことをしていたかのアメリカ報道が増えた・・「戦争責任を謝るべきはアメリカの方じゃないか?」の報道が増えて来たのは、政府が公式に謝らない代わりの懐柔策と見るべきでしょう。
その中間締めくくりが、今回の広島訪問になったと見ることが出来ます。
日本人は「謝って欲しいと言いません」が、自然にそう言う流れになって来た・・高騰戦略の勝利です。
この辺の変化は「覇道の限界と日本の補完性7」 February 28, 2016 まで書きました。

国際政治力学の流動化3

元々慰安婦や南京虐殺騒動の大もとはアメリカのでっち上げ資料に基づく・・東京裁判の正当化のために中韓に対する唆しで始まったことは世界の常識になっているでしょうが、その手足として動いたのは中韓両国でした。
これのタイミングを見計らって決定打を与える目的で如何にも中立っぽくアメリカによる慰安婦の実証調査(アメリカは日本敗戦時に軍関係資料を収集していて手元に持っています・・)が反日に凝り固まっていたクリントン政権時代から開始してていました。
タイミングを見計らって、日本不利の決定打となる調査報告を出して日本に全面謝罪させるスケジュールで動いていた筈でしたが、途中でアメリカの反日方針が変わったからか?あるいはいくら探しても慰安婦関連証拠が出て来なかったからか?
調査報告は逆に日本政府関与証拠が全くないと言う結果になってしまいました。
調査担当の高官だったかが資料が見つからないことに「失望した」と言う表現をしたことが日本で評判になりましたが・・。
慰安婦問題を大きくしたいからか、日本マスコミは殆どこれを報道していませんが、報道の公平性・中立性に疑問があります。
そもそもマスコミの中立性とは国内の論争に対する中立であって、日本と外国との対立に日本マスコミ・・とくに国営?のNHKが対外的に中立などと言うことが、想定されているのでしょうか?
日中,日韓紛争に関して政府官僚は中立ですと宣言しているようなものです。
官僚やマスコミは国内論争に中立を守ってより良き国論の発展阻害しないことが大切ですが、相手国との中立を主張する官僚など許されません。
慰安婦の強制性の有無は日本国民共通の利害であって、強制性があったと言う主張する事自体国益に反することが明らかです。
以下は産經新聞ニュースからです。
http://www.sankei.com/world/news/141127/wor1411270003-n1.html
「米政府がクリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的 な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。戦時の米軍は慰安婦制度を日本国内の売春制度の単なる延長とみていたという。調査結果は、日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される。」
アフガンゲリラを育てると、今度はアメリカに向かって来るなどアメリカの戦略?は目先の見え透いた行動が基本ですから、10〜20年周期で今まで協力して来た国々を敵に着回してしまうようなことばかりでは、その咎めがあちこちで出て来るのは当然で、アメリカの国際戦略・信用がぐらついてきました。
スパーンの短さは最近だけのことではなく対日戦争目的も同じです。
当時の世界史的争点は資本主義対共産主義体制の争いだったのですが、(民主主義か否かの争いはありませんでした)アメリカはこれを対日人種戦争目的で理解して日本を戦争に追い込んで行ったのです。
アメリカは対日戦争開始は民主主義を守る戦いであったと虚偽宣伝していますが、ピカソのゲルニカで知られるように超右翼であり残虐な弾圧を返したスペインのフランコ政権が戦争対象になっていない上に、ソ連や中共が民主主義政権でないのにこれらの応援をしたことからみれば、アメリカの戦争目的はこじつけに過ぎないことは誰の目にも明らかです。
戦争が終わってみればソ連が中東欧を支配下に収めアジアではモンゴルや中国北朝鮮やベトナムなど共産主義化して実質勝者をソ連にしてしまいました。
戦後直ぐの朝鮮戦争を経て漸く共産主義の浸透が問題であると気が付いて米ソ対決に変化しますが、中東で言えばアメリカはイランのパーレビ体制を支持してきましたが、あるとき(カーターのときに)イキナリ人権を言い出してイラン革命を引き起こしたかと思うと(革命政権それまでアメリカがパーレビ体制を支持的たことの怨恨もあって、反アメリカ的である上に暴徒が大使館に乱入したことなどを理由に)革命政権を敵視してここと30年ほど何やかやと理由を付けては封じ込めをしてきましたが、ここに来てIS対策でイランの協力が必要になるとイキナリ制裁解除に動き、アメリカの手先になって来たサウジやイスラエルを怒らせています。
先の読みが悪過ぎると言うか、目先の利害に追われ過ぎる傾向があります。
世界中が日本並みに数百年・千年単位とまでは行かないまでも、長寿社会になってある程度のスパーンでものごとを考える人が増えて来ると20年周期で失敗がはっきりしてその都度敵・標的を取っ替え=それまで利用して来た味方が敵に入れ替わるオセロゲーム的アメリカ戦略の底の浅さが浮かび上がってきました。
過去の忠実な部下が役に立たなくなってもそれまでの功績を大事にする日本社会・・将棋の駒的利用法とオセロゲームしか知らない社会との大きな違いです。
こんな馬鹿げたことばかりを繰り返していても破綻せずに来られた(イキナリ方向を変えては、それまで協力して来た国を切り捨てて「今度はお前を味方にしてやるぞ!」とこれまで敵視していた国味方に入れ替える・・御都合主義でもみんながついて来た)のは、豊富な資源(量)があったに過ぎません。
今後大量消費的資源(鉄鉱石や石炭石油など)の比重が下がると、アメリカ1強時代が終わる可能性があります。
食料品でさえも量で勝負する時代からおいしいトマトや豚肉など品質で勝負する時代に変わりつつあります。

国際政治力学の流動化2

中国の横暴・秩序無視態度に周辺国が弱過ぎてやられっぱなしで不満がたまっていた筈ですが、中国の方は逆に何しても良いような慢心が生じた結果太平洋2分論を繰り返し主張したり、日本に対してもこれをやってしまったことになります。
日本の場合マトモに受けて立って世界外交を展開する力があった・反日行動に対しては東南アジアに新規投資するなど対抗手段がありますので、中国の孤立が始まりました。
中国が尖閣諸島侵犯だけはなく、南シナ海でイキナリアメリカの構築していた海洋秩序に挑戦し始めたのが日本にとって幸いでしたが、これは無抵抗主義の民主党政権を甘く見ていたものの素早く安倍政権に変わってしまい、日本の強力な対抗を受けて中国は格好がつかなくなって方向転換せざるを得なかったことによります。
素人目に考えても尖閣諸島だけで中国領だと言い張って対日紛争に持ち込んだ方が有利なのに、あえて周辺国みんなを敵に回す南シナ海に進出する暴挙に出たのは何故か・その結果公式に米軍が出てくる事態・世界世論(サミット宣言)を敵に回すことになったのですが、戦線を広げて敵を多くするバカな戦略の背景は何でしょうか?
世上言われているように民主党政権から中国へ日本の軍事機密が漏れ出た結果、日本海軍が中国よりも格段に強いことが分ってしまったことにより、武力一辺倒で尖閣諸島占領が無理となったものの、国内的に格好がつかなくなって南シナ海進出を始めるしかなかった・・子供染みた行為(国際政治は単純ではないと思うのが普通ですが・・)に見えます。
中国では裸官で知られるように国益など二の次の体質・・国内政治の延長・・権力闘争に勝ち残るためには、国益など構っていられない体質ではないかと言う見方です。
中国が世界秩序破壊の膨張主義に出て来たので、アメリカも漸く親中・応援路線を修正初めて、(中国にやられっぱなしではなく)逆にイランやベトナム・ミャンマ−、キューバ等への制裁解除(緩和)→中国陣営からの引き剥がしに動き出して、制裁緩和の結果ミャンマーなどの中国離れも加速しているなど世界の合従連衡の再構成が進んできました。
ところで独裁・軍事政権・人権侵害の理由で制裁していたアメリカが、イキナリ制裁緩和を始めたのでは、民主主義・人権擁護の主張を放棄したように見える点では、独裁国家中国になびいてる西欧と似ていますが、これは専制や独裁による人権侵害を応援するのではなく、アメリカの動きは制裁緩和に応じた民主化を漸次進めるように促す方向・・方法論の変更に過ぎません。
独裁強化・・自国内の言論弾圧だけではなく専制支配を更に周辺に広げることを目指す中国をそのままモンク言わずに(AIIB参加)応援する西欧とは方向性が違うように見えます。
民主主義国家であるべき西欧諸国が、中国専制支配を擁護し・香港での非民主化強行などに抗議するどころかAIIBIを通じた専制支配の拡大の後押しをするようになって来たので、この点を捉えて安倍総理がいわゆる【価値観」外交を展開したのは本質をついた良い着眼でした。
アジアで言えば中国の横暴な振る舞いに比例して従来の親中国諸国(韓国も含めて)の中国離れが進んでいます。
北朝鮮は中国支配から逃れたい・・本質は親米で「仲良くして!」と言う愛情表現が核実験やミサイル実験であると見るのが正確でしょう。
中国が、孤立しているロシアの足下を見て横柄な態度(実際には中国には資金がないのに「ない」と言えずに偉そうに格好つけているだけ?)に変化したのでロシアも、どうやって中国に頼らないようにするかの思案中になっています。
元々ロシアにとっては長大な国境を脇腹に抱え人口的に絶えざる浸透圧力のかかっている中国は、ロシアの弱み・本質的脅威国です。
プーチンが必死?に対日親和性を強調するのは理にかなっていますし、日本にとっても本拠地の遠いロシアは今の経済力等を綜合すればもはや(明治維新当時とは違い)軍事的脅威にはなりませんので張り合う必要性のない関係です。
現在の中国による反日政策と中国語の自信満々の横暴な振る舞いの原因はアメリカの反日戦後政策・・対抗軸としての中国応援によってのさばり過ぎたと見るべきでしょう。
日米戦争はソモソモアジア人である日本の台頭を叩き潰す目的で日本を戦争に引きずり込んだものですが、折角叩き潰して永久に台頭出来ないように一切の軍備も禁止したし、工業生産も禁止して来たのに、ソ連の挑戦に対応するために仕方なしに日本の再工業国化をアメリカは(臨時に?)許していたに過ぎません。
米ソ対決が終わって、アメリカは当面の敵がなくなったのでもう一度反日政策の再構築に戻ったのですが、理由もないのにもう一度軍事的に焼け野が原にする訳に行かないので、当面日本に対する道義非難を中韓にさせて様子見をしていた・・中韓と日本の反目を画策しているうちにアメリカが直截手を出さずに中国と日本を戦争させる寸前まで進んで来ていたのです。
(反日親中政策に徹したクリントン政権批判論調が我が国では多いですが、個人資質の問題ではありません)
アメリカは世界中を動員した日本叩きに精出した結果、この20年間「失われた20年」と言う対外的低迷期(私の意見では一直線に伸びるばかりでは危ういのでちょうど良い雌伏・内部充実期)に日本がはいっていたのですが、中国や韓国を優遇しているうちに今度は中国が自信を持ってのさばり過ぎたので、アメリカが中国の味方を公式に出来なくなってしまいました。
とは言えアメリカは世界の警察官をやめると公式発言しているのは、アメリカに攻めてさえ来なければ強くなった中国が西太平洋で何をやっても放置する体制・・(手始めに対日戦争準備.尖閣諸島侵略)言い訳準備が出来ていることになります・・。
中国が頻りに太平洋2分論=アメリカには手を出さない約束と自国の「核心的利益」を言うようになったのは・アメリカの核心利益に触れない限り黙認して下さいと言う意味です。
中韓の主張は、実は自分と相手とをすり替えていることが多い一例です。
とは言え、表向き太平洋2分論を認めていないことにしているアメリカにとっては南シナ海で中国が基地を堂々と作っていてこれを放置するとメンツが立たないことから、時々アメリカ艦船が航行しますが何もしない・・放置していることをオバマの弱腰と言いますが、実はアメリカの(核心的利益に反しない限り)世界の警察官をやらない宣言と平仄があっています。
ましてトランプ氏は自国に関係のないことは放っておくべきだと言う態度が露骨ですが、これがアメリカの本音でしょう。

国際政治力学の流動化1

AIIB参加国は中国の専制運営を承認したことになりますから、今後AIIBが中国の希望どおり国際機関の中枢を占めるようになると世界経済は中国の専制支配下に入ることになります。
国連諸機関が中国マネーによる汚染?で事実上どうにもならない運営になっていることが知られていますが(・・最近問題になっているオリンピック委員会もそうですが・・中国マネーやハニトラがはびこるようになって以来世界中の人が「汚染された方が得」みたいな世界になっています)一応多数決ですから中国マネーの威力が減退すれば正常化する望みがあります。
AIIBの場合制度として中国専決制ですから「それで結構です」として、そこに参加する以上どうにもなりません。
西欧諸国が中国の明からさまな専制支配体制を決めているAIIBの正統性を認めてその傘下に馳せ参じた(ある陣営があるスローガンを掲げて兵を挙げたときにこれに呼応して兵を引き連れて参加したのと同じです)事自体が驚きです。
西欧諸国のAIIB参加行為は米中対立に関して、西欧による中国専制支配でも良いから中国陣営傘下にはいる意思表示であり、民主国家陣営離脱の公式意思表示だったことなります。
ここまでは中国の世界支配に一歩近づいたように見えたので、太平洋2分論を言い出したり、南シナ海や尖閣諸島の領域拡張の実力行使を始めた基礎ですが、モノゴトは「金」次第である点はここでも本質です。
昨年秋に強行し対日戦勝利記念と称する対日宣戦布告に近いような軍事パレードを計画した時には株価暴落前だったので,式典の頃には既に株価暴落して信用がた落ちになっていても今更やめられなかったのでしょうが、この旗揚げ式に参加したのはプーチンとパク大統領とアフリカの独裁者として国際指名手配を受けている大統領の3人・・韓国出身国連事務総長だけだったと言われていました。
ここまではパク大統領はまだ中国べったりでしたが,さすがにまずいと分って来たらしくその直後から中国離れを始めたのは周知のとおりです。
中国が国際金融機関を専制運営する以上は資金もこれに見合った出し手にならないとうまく行きませんが、(金もないの威張るには軍事力・・強盗しかありませんが中国が西欧を脅すには遠過ぎます)昨年夏の上海株価暴落以降・・そもそも中国にAIIB運営資金があるの?と言う疑問・・中国の経済危機リスクが表面化してきました。
今年始めには、2回目の株価暴落があって中国経済力の信頼は地に墜ちました。
世界経済リスクの元凶になりかけている中国自身が資金を出すのを期待するのは無理があり,金がないから国際機関と称して資金を集めるのか?と言う疑念が起きてきました・・これでは中国の資金力を期待して集まった方は溜まりません。
勿論爆買いの威力をちらつかせて無茶をしても周辺国を黙らせていた神通力も利かなくなってきました。
昨年秋も直近のアメリカに於けるイエレン議長の発言でも、利上げ可否判断は、中国が持たない・・中国リスクが最大リスクとして考慮されています・・アメリカのちょっとしたサジ加減次第で中国がでつぶれるかどうかの瀬戸際にさしかかっている弱い国です。
中国は元々世界の除け者になった国々・・北朝鮮、ミャンマー、ラオス、ベトナムやアフリカの独裁虐殺国などへの唯一の援助国としての地歩を固めてきました。
共通するのは現在の国際的的価値観である民主主義的国家運営を採用しない国々・・非民主国家です。
中国自身独裁制+言論弾圧の苛烈な国ですが、アメリカは相手が大き過ぎるからと、黙認どころか対日カードに使うために巨大化するの応援して来たのですから、巨大な独裁・苛烈な人権弾圧国を応援して資金を供給しながら、弱小国を締め付けても(北朝鮮のように)中国の援助でいくらでも生き延びられる・・矛盾した政策を続けて来たことになります。
その結果6カ国協議と言う訳の分らない制度を作って中国の影響力期待・・要は中国の地位を高める政策で一貫してきました。
アメリカの巨大ブラックホール放置の弱い国相手の制裁濫発は、言わば中国の支援をうける国を増やすための政策と同じですから、非制裁国は当然中国に義理が生じ中国派の国々になります。
タイのように歴史的親日国でも軍事政権になったことによる締め付けで中国の支援が必要になったことから、日本対中国の関係では中国に遠慮が生じています。
それだけでなく、この4〜5年は豊富な外貨準備に利用(見せ金)によって西欧衰退企業への資本参加やアフリカ諸国への援助や・資源爆買いを利用して西欧を初め本来欧米派であるべきオーストラリアまで与党に組み入れる(アメリカの軍艦寄港すべき港湾運営権まで中国に与えている)など反中国的動きに豪政府が同意しない動きになっています。
今回の日本の潜水艦の受注がフランスに突如変更になったのも中国の陰が取りざたされています。
中共政権と相いれない筈の台湾でさえも、中国詣で(中国市場参入)に必死で親中の馬英九政権が誕生していました。
元々戦前からアメリカは親中ですかし、日本も田中角栄以来伝統的に親中政権ですから、世界中が親中になっていたことになります。
ただ世界の親中政策はアメリカのバックがあって成り立っているに過ぎない点に中国政府は気が付かなかったのかも知れません。
中韓ともに反日運動や国内教育はアメリカのお墨付きがあって安心してやりたい放題していた筈ですが、自信を持ち過ぎたのか中国が・・アメリカに刃向かう方向へはみ出したのが、そもそもの間違いです。
あまりにも自信を持ち過ぎたのか・内部抗争が激しくて、世界中相手に騒がずにいられなくなったのか?

夫婦の力学3

12/13/03「会津の悲惨3(刑務所の歴史2)」で書いたように、江戸時代には出奔してよその土地へ逃げれば新たな仕事を探せないので野たれ死にが普通でした・・・。
大多数の人間にとって家庭を持てるようになれるのは、長男その他恵まれた少数の男でしかなかったのですから、一旦家庭を持てればここ一カ所にしがみついて家庭の気分を支配する女性のご機嫌を取り結び居心地を良くするしかありませんでした。
江戸時代の離婚制度は形式的には男の一存・三行(みくだり)半とは言うものの実際には簡単に別れられなかったことを、12/17/02「権利能力と行為能力 2(民法23)」のコラムで紹介した事があります。
簡単に離婚出来ないとなれば男の方は家庭内を牛耳る女性の御機嫌取りに終始するしかないので、家庭内の地位は事実上女性優位になっていたのです。
男の武器は家庭内サービスが悪ければ離婚すると言う最後通告しかないのですが、都市労働者になると家の財産としては大したものがなく給与所得が主なものですから、男は家庭内で孤立して居心地があまり悪ければ妻子を残して家に帰らなくとも仕事を辞めない限り勤務先から以前通り給与をもらえるし、仮に知らぬ土地へ逃げても再就職が簡単な時代になったので駆け落ちしても殆ど困りませんが、給与所得を持ち帰らなくなると残された妻子は悲惨です。
農業収入の時代から夫だけどこかへ働きに出て貨幣収入を得られる時代になると、貨幣収入のない妻の地位が極端に弱くなったことを書いて来ました。
ただし、最近は共働きが多いのでそれほどのことはありませんが、専業主婦中心時代には夫が帰らなくなると収入がゼロですから、大変なことでした。
最近担当した離婚事件では夫の方は学校教師でしたが、同僚教師との浮気をして二人で学校を辞めて逃げていたのですが、関西に逃げてそこでまた教師として再就職していた事件でした。
農業や大名家に勤めるだけしかまともな仕事のなかった江戸時代には、駆け落ちして浪人したり農業を捨てて他国へ流れても生きて行くのは大変でしたから、事実上安易な離婚が出来ませんでしたが、都市労働者となれば旧来の職場環境を放り出して逃げたからと言ってどこでも再就職するのにそんなに困りませんから、すぐに食えなくなる時代ではありません。
江戸時代には名目的には三行半(みくだりはん)で一方的に離婚権が行使出来て、何の理由もいらないと言いながら、実際には簡単に権利行使が認められなかったのに対して、明治以降の家族制度では男の権威が強調されると同時に逆に離婚請求が法的にも制限されるようになった点では、女性の地位が守られるようになったとも言えます。
一見矛盾した制度設計ですが、法制度と言うのは「アメとムチ」・・矛盾した設計にして行き過ぎを防ぐことが多いことについては「抱き合わせ」として、06/10/03 「政府のしたたかさに付いて、(抱き合わせの怖さ)(憲法7)」前後で治安維持法と普通選挙法の抱き合わせ施行について紹介したことがあります。

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