法人税減税2と補助金削減

ちゃんと儲かっている企業の株を何故税優遇までして外資に買って貰って経営を委ね支配してもらう必要があるのでしょうか?
ちゃんと経営しているトヨタの株主の外資比率を引き上げる必要があるのでしょうか?
外資比率が上がれば、トヨタが日本国内生産にこだわる方針を変えることになっていくでしょうが、こういう結果になることを日本の政治家が何故望んでいるのでしょうか?
愛国心のある企業は幕藩体制時代の意識を基に株主配当よりは、出来るだけ多くの雇用を維持し利益を実質的に国内に還元する(いろんな分野での社会貢献活動をして)使命を持って頑張っています。
配当率が低くてゼロ近辺ですと、外資は投資対象から外すでしょうが、外資の買収対象にはならなくとも、地域にとっては企業組織(従業員千人の工場があるとした場合)が維持さえ出来てればそれで有り難いのです。
法人税を払う分と同額を従業員の給与アップ(所得税や住民税が多くなるし地元消費が増えるメリットがあります)や福利厚生費に掛けてくれれば、その地域にとっては同じです。
税制中立と称して法人税を下げる分と同額の企業補助金を下げることが必要と言う意見が一般的です。
法人税を1兆円下げてその代わり1兆円の企業補助金を下げると効果が同じではありません。
1兆円の補助金は100%国内企業に還元され新製品開発に利用されていますが、法人税を下げた分の何割かは外資に持って行かれてしまいます。
もっと重要なことは法人税引き下げによって産業政策にあわせてメリハリを付けられる補助金比率が下がると、政策の自由度がなくなります。
しょっ中マスコミを賑わしているように、先端技術研究費や普及のための(エコカーなど)補助金など枚挙にイトマがありませんが、法人税を一律に引き下げるためにこれをなくして行く政策採用などは愚の骨頂です。
税を払うのはイヤだと言ってドンドン減税して行って、道路や公共施設等の投資を減らして行くのと同じです。
補助金や公共工事の箇所付けには汚職や政治家の暗躍の臭いがつきまとうからイヤだと言う人もいるでしょうが、それは制度の透明性を高める方向へ努力すべきであって、無税にして公共工事をしなくて良い訳ではありません。
法人税を払ってくれればなおいいですが、かりに法人税を払わなくとも、企業が存在すること自体でいろんな税負担をしてくれます。
(企業・工場本体の各種設備や従業員の居住用の家や車保有などに関連する業者・飲食業が存在できますし、固定資産税や従業員の所得税、住民税等も入ります)
地元での雇用確保・・技術伝承の基礎ができ、地域社会も維持できるし「その志や良し」というべきではないでしょうか?
ROE・・資本に対する配当率が日本企業が低く外資に魅力がないことをマスコミが批判します。
日本企業は幕藩体制時代以降の構成員第一・従業員第一主義の国ですので、株主利益実現ばかり目的としている国の基準を持ち込む必要がありません。
あるとき高配当して次は倒産と言うのでは従業員が路頭に迷って困るので、多くの企業は長期的視点で内部留保を厚くしている結果、(使わないで持っている資金が多い分)資金効率が下がります。
原油で言えばイザというときのために大量に備蓄していますが、・・使ってないで死蔵しているのですから、運用効率は下がります・・日本企業は原油備蓄のような経営をしているので、短期利益目的のプロ投資家の希望とは合わない面があるのは仕方がないように見えます。
日本企業のやり方は、リーダーや株主が大金をとって国民を搾取対象とする社会とは違い、民族的責任感による1つの生き方ですから、これはこれで価値のある流儀です。
株主配当を重視する国籍無視の欧米(ユダヤ資本の好む流儀)の真似をする必要がないでしょう。

法人税減税と補助金削減2

日本は縄文の昔から同胞相助け合う社会を築いて来たのですから、利益率が低くとも多くの人を養う企業が良い企業で、その上に相応の共益費負担・税負担をするのが国民の総意と言うべきでしょう。
金儲けさえすれば良い企業という欧米流尺度は我が国の価値観に合いません。
マンションで共益費や管理費を値下げして行けば、その分マンション保有コストが下がりますが、長期的にはそのマンションは薄汚くなります。
法人税減税論は4割税金を払う企業が100社よりは、3割の税率しか払わない企業でも200社ある方が日本全体の税収が上がるという論法ですが、税率さえ下げれば、企業の海外脱出が減り逆に海外企業の日本進出が増えるのでしょうか?
法人税は儲けに対する課税ですから赤字企業に関係のない制度であって、企業の海外進出・撤退動機は儲けた後の税率の高低ではなく、進出先での商売が成り立つかどうか、採算が取れるかどうかがほぼ100%の進退決定動機です。
欧米系金融機関やブランド企業などが日本に進出するか日本から撤退するかの判断基準は、儲けた後の税率によるのではなく、儲けを維持できるかどうかによります。
折角儲けているのに、税率が高いことを理由に日本から撤退する企業は皆無でしょう。
日本企業の海外進出動機もその国の税率が低いかどうかではなく、進出しても採算がとれるかどうかが先決事項です。
むしろ国家政策目標実現に有効な企業補助金を交付した方が誘致効率が高い筈です。
例えば工場団地造成等インフラ整備や補助金(固定親善減免等)で企業誘致する方が進出企業が増えます。
税率を下げる代わりに、この種の誘致事業(補助金)を縮小するのでは逆効果でしょう。
誘致補助金インフラの公費による整備は進出企業の(赤字にならないように)採算性の向上を目指すものですから、これを削減して採算性が悪化した赤字企業に対して、儲けた場合に税率を下げることにしたと言われても・・?となりませんか?
「儲けた後の税を下げると言うアナウンスよりも先に儲けられるようにしてくれよ!」と言う企業が多いのではないでしょうか?
税率に関心がある主なグループは、機関投資家・・有価証券売買や利子配当で儲けを狙う金融資本家だけではないでしょうか?
金融取引業者は、短期リターンを求めるために税引後の株式配当に関心があるのでしょうが、法人税減税は企業立地促進・撤退の決定には何の関係もないと言えます。
金融取引のプロは、地域に対する愛着も何もなく金利の良いところ・配当の良いところを目指して漂流し続けています。
まさに国を失ったユダヤ民族の本質そのものですが、縄文時代の昔から定住をバックボーンとする日本がそんな人たちのご機嫌を取り、そんな人たちに投資してもらう必要がありません。
後進国は先進国からの投資がなければやって行けないので、海外からの投資取り込みのために強欲な金融資本の言うとおりにしている・・せざるを得ないのは分りますが、日本は世界一の金持ち国で世界に投資をする国であって投資をして貰う必要がありません。
日本に対する海外からの投資が少ないのは、日本経済に魅力がないからだとマスコミが言いますが、日本は世界最大の純債権国・・即ち世界への資金の供与国です。
金が有り余っている国では世界一低金利にしても良いのは他所からの投資を期待していないから出来ることですし、個人で見てもお金持ちが借金する必要がないのと同じで、海外から投資して貰う必要がないのは当然です。
むしろ海外資本比率が上がり株価や国債相場が海外投資家の意向に支配されルンは最悪です。
雇用や生活水準維持よりは、利益率を基準に簡単に人員削減や国内工場閉鎖を選択するような海外資本家の意向に企業活動方針まで支配されているのは、民族の独立性維持のために不健全だと思います。
通貨危機以降韓国は外資に乗っ取られた状態になっていますが、その結果、企業業績が良くとも弱者切り捨て・国民は非正規雇用中心で塗炭の苦しみに陥っているのを見れば分ります。
外資に買収された日産の動き・・日産マーチの国内生産をタイへの全量移管などの安易な動きを見れば、企業精神の変化は明らかです。

法人税減税と補助金削減

生粋の日本企業は利潤だけを基準にしているのではなく、それどころか利益がなくなっても組織を維持出来れば良いというほど組織維持意識の強い社会です。
組織の永続と同胞の職場維持を目的にしています。
ある企業が100の利益を上げていて従業員10人しか雇用していない企業に比べて100分の1しか利益が出ていなくとも1万人を雇用している企業の方が、日本社会に貢献しているというのが日本人の価値観です。
国内産業の保護や発展を何故求めるかと言えば、主たる目的は国内雇用・国内波及効果目的です。
勿論税収が上がるに越したことがないですが、税収が少なくとも多くの人員を雇い、国内産業波及効果の大きい企業の方が価値があります。
税収10万円の企業で1万人雇い関連産業が10万人の企業と、従業員4〜5人が金融取引で大儲けして1億円納税する企業とどちらが国のためになるかと設問すれば明らかでしょう。
資本効率から言えば、年商1兆円で僅かに10万円の利益しかない企業は投資価値がないでしょうが、国家社会にとっては利益率よりは雇用確保が重要です。
法人税率に関心があるのはリターンを求める金融資本家に重要な指標であって、国家社会にとって意味のない指標です。
日本の企業は大赤字になっても再起を期して踏ん張り安易に企業解散をしないし、(赤字転落していたシャープもパナソニックも踏ん張って黒字転換しました)若干の赤字程度ならば海外工場での儲けで国内赤字を補填してでも簡単に外国へ移転しようとしない企業が大多数です。
儲け拡大のために国内工場を閉鎖して海外に移転してしまう(・・日産のような)あるいは税を払いたくないから海外に逃げるような企業精神は、日本人の支持を受けられないでしょう。
法人税減税の主張の合理的意味を理解し難いのは私だけでしょうか?
法人税は儲けた利益に課税されるものであって、赤字であれば関係がありません。
例えばある企業が10億円儲けたのに日本に本社をおくと4割税金にとられるので3割しかとられない税の安い国に本社を移転したくなるから、これを防ぐために外国並み課税率にしようというのが法人税減税論です。
日本のインフラ負担や弱者救済費用等に一定率の納税をするのが同胞としての義務であり、金儲けできる人が負担しなければ国は汚くなり人心がギスギスする一方になります。
利益が出れば国民の御陰だと感謝して一部を国内に還流して、日の当たらない人々や良いことをしていても資金の行き渡り難い分野へ回して下さいというのが愛国心です。
赤字でも何とか国内に踏みとどまり海外進出先からの利益還流で何とか持ちこたえようとするのが本来の日本の心ではないでしょうか?
儲けているのに税をあまり納めたくないと言う人はいますが、どうせならば安い方がいい・・税の無駄遣いをしないでくれと言うのは人情だとしても、税を納めること自体が嫌だからと言って海外に逃げて行きたいような企業は、日本にそもそも必要がない企業です。
このような強欲な企業の存在を許す必要がないと言うのが私の意見ですが愛国心が強過ぎますか?
補助金を減らす代わり同額の法人税減税という意見は、国民経済にとって真逆の主張をしていることになります。
各種補助金と法人税は表裏の関係がありますが、補助金は特定目的・・特定国内産業育成のために必要とするものであって、補助金を減らして税率を下げるのは政治政策の放棄です。
例えば人工衛星・ロケット等・・学術研究や教育設備への政府支出・・補助金は、新たな産業育成や人材育成のために必要な制度であって、こうした支出を減らして、その分税金を安くする政策は、国家の将来を危うくします。
言わば税を納めない観光客に頼る経済と同じで、公共インフラ負担や助け合いのお金を出したがらないで受益ばかり要求する社会を目指すことになります。
日本は縄文の昔から同胞相助け合う社会を築いて来たのですから、相応の共益費負担・税負担をするのが合理的です。

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