貿易依存率と内需7

経済成長に連れて国民を大事な顧客として考えるようになってこそ、目の前の国民を大事にする意識も育ち民主化も根付くでしょう。
国民も大事にされれば進んで働き、ルールを守るようになります。
内需よりも輸出ばかりに目が向いている経済では、国民を大切にする気持ちが育たず、国民は強制されるルールを仕方なしに守っても自発的にルールを守る気持ちにはなりません。
毒餃子、毒入ミルクに始まり今回のアメリカ子会社の食肉衛生問題も輸出用工場で問題になっているのであって国民相手には汚いままで平気で販売されています。
国民に向けて販売する商品の衛生が重視されるようになってこそ、工場での衛生観念も身につくようになります。
大切にされない国民はそれなりに智恵がつき、中国では、「上に政策あれば下に対策あり」と言われるように、正直にやってられない国民性が形成されたままです。
しかし、これは中国の事情であって、世界経済活動に参入後の立ち上がりに成功した後の行動としては図体が大きい分世界にとって迷惑です。
世界の確立したルールを守る前提でWTO加入が承認された筈ですので、加入後大分経つので、きちんとルールを守る国になるべきです。
現在の中国は、都合によっては後進国だからと開き直って、・・飽くなき利益追求の行動・・仁義なき戦い(正義の基準がないまま各種ルール違反・・知財剽窃、製品表示のルール違反や環境破壊、少数民族迫害や人権侵害をやめない等々)を続ける行動に世界中が迷惑しています。
国際社会では威張って脅してみたりする一方で、大国なりの負担(国際ルールの遵守・礼儀作法)を求められると新興国だから・・と都合によって使い分けている状態です。
ただ、ルール違反は長期的には(約束違反や万引きしたらその場は得するでしょうが長い間には信用を失い)共同体内の自分の首を絞めることになるので、日本では誰もが誰も見ていなくともルールを守る社会になっています。
中国も世界貿易に参加している以上は、世界のルールを守るしかなくなる・・信用が大切なことを知るのは時間の問題です・・ルールを守る必要性がまだ理解できない国民レベルです。
・・レアアース禁輸などルール貿易違反が自分の首を絞める結果になっているし、周辺国への領海侵犯の繰り返しが世界での立場を弱くしていますが、やってみないとその利害得失を事前に分らない状態です。
ヤクザが威張ってお金を脅し取ると得したつもりでしょうし、威張り散らして気持ちがいいでしょうが、長い目で見れば毛嫌いされて損します。
韓国はアメリカ支配の経験があるので、理念として国民主権を知っているし建前では民主国家になっていますが、国民を支配対象として見て来た歴史しかありません。
専制支配から近代化に入った社会では、その延長上の意識ですから、支配・被支配(政府と国民)は対立項であり、労使は対立するべき関係です。
我が国では、古代から支配者と被支配者の一体感の歴史経験・・為政者はいつも質素で貧しいものでした・・中韓ではこうした経験がないことから、経済成長してもその果実を共産党幹部や財閥が独り占めすることに誰も違和感を感じません。
財閥制は、専制支配の民間版ですから・・専制王朝では高官だけが良い思いが出来るように、財閥系社員は高給を得られますが財閥に関係のない消費者・国民に還元する方向へ進みません。
これが内需比率の低さ・・貿易依存率100%超になった原因です。
韓国では中国ほどアンモラルではないにしても、時間の経過でアメリカによる民主化要求の磁力が薄まり(メッキが剥げて来て)先祖帰りを始めたのが、現朴政権の対中接近行動でしょう。
北朝鮮の方が国民に民主政治と格好付けないで済んでいる分、国内統治は気楽です。
価値観共有国連帯の必要性を安倍政権が掲げる所以です。
如何に長く虐げられることに慣れて来たとは言え、目の前で共産党幹部の家族が贅沢し、上海等の一部市民が高給を得ているのを目の前にしていると、その果実を得られない・疎外された国民は不満を持つようになります。
韓国では、サムスンその他財閥の巨大資本家とそこで働くエリートと食うや食わずで売春しなければならない庶民に分化しています。
オリンピックやサッカーワールドカップあるいはF1等の強行誘致してみても、その他音楽や芸術関連の韓国市場を見ても、客が入らなくて・・チケットが売れず困る事例が知られていますが、背伸びしてOECDの仲間入りしたものの何年経っても内実が伴うように発展できなかった結果です。

貿易依存率と内需6

先進国は、韓国をOECD加盟国に格上げしてやったり、中国をWTO加盟を承認したりして一定時期以降西側諸国の確立しているモラル・社会ルールに従ってくれることを期待していたのです。
オリンピック開催を認めると中国では、町を綺麗にしようとする運動がおき、犬や猫を食べるのをやめようとする運動も起きました・それなりに効果があります。
先進国としては仲間に入れてやることによって、民主主義国で普通の紳士的成長・・マナーを守るようになることを期待していた面があります・・。
マナーを守るには基礎的インフラとして民主的な社会・・人権(相手)を尊重する社会になっていないと、食品衛生意識その他(スポーツルールを含めて)法を守る基礎意識が育ちません。
法を守る意識は共同体の決めごとを守る意識・・自分のためでもある意識ですから、専制支配されている国民にとっては自分を専制支配するための道具でしかない法・・共同体意識のない国民に専制支配者の公布した法=ルールを守ることを期待するのは無理です。
中国古代の韓非子の法家思想は、専制支配・処罰道具としての有用性を説くものであって、西洋の言う法の支配(国民のための共同体ルール)とは真逆の目的です。
現在中国の存在する地域では、約2000年間以上にわたって、居住民は専制支配で良いようにやられっぱなしで来た地域です。
専制支配下では、・・道義も正義も何もあった物ではなく、権力者が「鹿を馬」と言えばそれに従うしかないような社会です。
専制支配下の「法」とは正義に叶っているかとは関係がなく、君主の命じたことを有無を言わさず従わせるための強制道具・・一種のムチと同じでした。
君主の感情や気持ち次第で合理的理由がなくても処刑できる・・その分恨みが怖いので、九族まで皆殺しにする社会で来た以上は、国民は自衛のために金を稼げるときには違法(詐欺・毒ミルクや毒餃子、賄賂)でも何でも稼げるときに稼いで、いつでも逃げられるようにどこかに隠しておくしかない・・これが生きる智恵でした。
仕事をするにしても日本人のように、コツコツやっていればいつか認めてくれると言う期待はなく、目先噓でも違法でも何をしてでも短期に稼ぐ習慣です。
でっち上げでも讒訴して相手を失脚させれば、仕返しされないように九族まで皆殺しする社会ですから、どんな汚い方法で相手を陥れても勝ちさせすれば安心な社会です。
強い方は自分の都合に合わせて歴史を書き換えてしまえば良い社会で2000年以上も来たのですから、でっち上げで処刑された方はいつかは先祖の汚名を晴らせると言う期待もありません。
例えばアメリカ軍は日本人を空から遊び感覚で逃げ回るニッポン人を機銃掃射で追い回していた・・逃げ回って九死に一生を得た人はいくらもいますし、焼夷弾攻撃も周辺から囲んで行くやり方を見れば、住民皆殺しが目的あったことは争いようのない事実です。原爆投下居着いての良い訳を百万言を費やしてもその前に日本全土で残虐な殺戮行為をやっていたことを抹消することは出来ません。
無辜の民を大量に殺戮した罪を日本に着せるために数十人殺したかどうかの南京事件を日本の残虐性の象徴として戦犯処刑して中国の現在日本批判の種をまいています。
朝鮮戦争時のアメリカ軍従軍慰安婦を日本の責任にすり替えて、アメリカ連邦議会はこれの非難決議をしたり地方では慰安婦の銅像を建てています。
日本で考える歴史=真実と、アメリカを含めて世界中で考えている歴史=勝者の都合で作る偽物語とは意味が違うことを日本人も理解しておく必要があります。
上ではどんな汚い手を使っても権力抗争に勝つか負けるしかないので、何が正義かを考えること自体無意味な社会ですから、下々も何が正義かを考えたり守る気持ちが国民に育ちません。
韓国も専制支配されて来た歴史しかない点は中国と同じです。
現在中国も韓国も日本がアメリカに戦争に負けた以上は、アメリカの作り上げたでっち上げ歴史を中韓政府も拡大便乗して強制できると言う精神で反日でっち上げ国民教育しています。
政府が率先して自己正当化のために虚偽教育していて羞じない状態のままでは、国民が食品偽装などあらゆる場面で噓を言わず、あらゆる物に正当な対価を支払う意識・・正義を守る国民になるのを期待するのは無理があります。

貿易黒字(依存率)と内需5

15日引用したグラフ解説者の意見を敷衍すると、まだ貿易社会に参入できない最貧国等は別として、近代化離陸中の国は貿易依存度が高くなるの逆から言えば依存傾向がある・・依存度の高い順に国内経済はまだ未成熟な離陸開始直後に近いと言えます。
(ドイツの貿易依存率の高さは異常ですが、この点については別に書きます)
近代社会に参入したばかりの国では、先ず外貨を稼ぐことが最重要ですし、国内購買力が低いので、自国民相手に物を作ったりサービスするよりは、輸出基地として投資を呼び込み先進国で受入れられるものやサービスに特化して売り込みに励むしかありません。
結果的に自国民相手の経済ではなく、目の前の国民を顧客として大事にしないで、遠くの国への輸出品製造基地として投資を呼び込み、輸出に精出しているのが発展段階の初歩と言うべきでしょう。
中国が輸出基地として深圳特区など作って外資を呼び込み、貿易黒字に精出して黒字を溜め込んでいたのは、この意味で参入当初の行動としては当然の行為であり、立ち上がりに成功したと言う程度のどこにでもある結果です。
商人・産業界が国民を客として重視しない社会では、政治制度だけ国民主権と言っても建前に過ぎず、実際には無理・・国民不在政治になりガチですので、開発独裁と言われるように新興国では独裁政治の方が似合っています。
キャッチアップ型社会では先進国の真似をしていれば良いので、国内で試行錯誤的議論する必要もなく独裁の方が効率的ですから独裁が向いていると言われてきましたが、政治だけではなく、民間経営者にとっても輸出先である外国の顧客志向ですから足下の顧客をあまり意識しない経営体質になっていて、・・社会全般に国民の意向軽視社会で済む点も独裁の下支えになっているのです。
まだ中国が解放直後の立ち上がり段階では、(自由経済参入する以上は共産主義とは矛盾していますが・・)1党独裁のままであったことについては、社会的妥当性がありました。
新興国を卒業してOECDに仲間入りした筈の韓国が、新興国顔負けの貿易依存率100%と言う突出ぶりを示しているのは、外形的高成長にかかわらず、輸出基地として発展開始したばかりの後進国同様に国内経済がなお未成熟であることを証明しています。
韓国は国内経済が未熟なまま無理して軍事独裁政権から民主政権に移行しましたが、経済内実が伴っていないで王朝時代の搾取構造(専制支配の民間版である財閥支配)のままなので、民主政体と噛み合ない結果、政権維持に苦労していることになります。
中国の場合政体と内実が一致しているので、この面では国民の意見を聞くと言う格好を付ける必要がなく情け容赦のない少数民族弾圧を繰り返していますが、韓国の場合表面上民主政体になってしまっているので、内外共に二重に虚偽性を発揮しなくてはならないのが苦しいところです。
北朝鮮や中国と一体化して民主主義国家社会から訣別して開き直った方が楽でしょう。
韓国の大統領制については、実質期間限定の独裁体制であると言う説明を「民意に基づく政治2(大統領制と議院内閣制1)」July 14, 前後のシリーズで書いたことがあります。
民度が熟していない後進国の場合、本当の民主主義政体・・完全な言論自由化にすると、言いたい放題・利害調整能力の欠如からまとめる力がない・・混乱になってしまう点をアラブの春に関して連載したことがあります。
期間限定の独裁体制にすれば、その間政権から引き摺り落とす政治行動が出来ないので、政争から逃れられるのでその間だけでも政権が安定するから後進国向けメニューです。
朝日新聞の30年近い慰安婦報道が虚偽報道だったことが朝日の記事訂正・自白によって明らかになって大騒ぎですが、この意趣返しのためか?朝日の報道を長年批判して来た産經新聞ソウル支局長が大統領の動静を朝鮮日報の記事を引用する形でネットで報じたことが虚偽報道だとして検察への出頭要請されたことがニュースになっています。
民主化したとは言っても、内実は言論の自由・政治家の行動批判すら許されない程度の民主国家だと言うことです。
ルーマニアその他独裁政権が倒れると直後に必ずその復讐があるように、韓国では任期中政権打倒の運動を出来ない代わりにその間の不満の蓄積があるので、(これも上記引用コラムで書きました)これまで政権交代の度に前大統領とその周辺が粛清?されて来ました。

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