希望の党の体質・代表選候補者の主張3(羊頭狗肉)

昨日紹介した両候補の主張を見れば、両候補者共ある程度オブラートに包んだ主張ですが、ああだこうだと言いながら憲法9条改正や安保法制に反対という立場で大串氏の主張が若干はっきりしている程度の違いです。
多くのメデイアが総選挙中に排除論理を大々的宣伝していたにも拘らず、選挙後の代表選の候補者の主張は合流条件に実質違反していないか?選挙後わずか2週間前後でこんなに変わってもいいのか?という批判や疑問を一切出さないのが不思議です。
ところが、https://thepage.jp/detail/20171108-00000012-wordleaf?page=2によると「安保法制を容認する案を削除した経緯がある」というのですから驚きです。

「大串氏が、政策協定書をめぐって安保法制を容認する案を削除した経緯があることから、「安保法制は容認していないという立場は明らかにしながら、現下の安全保障環境に鑑み、現実的な外交安全保障政策を取っていく」と・・玉木氏は「安保法制は当時われわれ(民進党)は反対した。違憲の疑いがある部分が残っているというのは大串さんと同じ考え」・・

代表選に出た大串氏の主張によれば、メデイア大宣伝とは大違いで「安保法制賛成」条件はいつのまにか削除されていたようです。
希望の党に合流しても民進党在籍時の主張を変えることなく従来主張を前提にしてその先のバリエーションが違うだけでその延長上で主張して行ける仕組みになっていたことが上記でわかります。
もしそうならば、党の骨格に関する重要な協定変更がある→結果的に選挙後民進党計議員が圧倒的多数を占めるであろうとことがほぼ既定路線である場合に、「希望の党」の体質に重要な影響のある協定変更についてメデイアがこれを何故報道しなかったのでしょうか?
「排除論理を大宣伝している方が浮動票獲得に有利」という読みがあったからではないかの疑いを持つ人が増えるでしょう。
当選者50名中45名が元民進党員で、元民進党内での主張をそのまま維持できる公認条件ならば元民進党員排除論理に安心した浮動票の下駄を履いて得票数を伸ばせるメリットが大きかったことが推定されます。
総選挙の比例得票数の結果を見ると元民進党系(無所属で出た野田氏などを含めた)当選者が120名前後に達しているのですから、衆議院定数465名中約25%を占めていますが、解散直前の同党支持率が6%あまりしかなかったことから見れば、約4倍に膨張しています。
総選挙中に民進党系の伸長要因としては、党内意見対立でまとも意思決定できない状態から、左右(規模いう合流組みと立憲民主党)両派と無所属の3派に分かれた結果、それぞれの支持者が安心して応援できた面がある程度寄与したとは思えますが、その程度であれば、何割増が限界で4倍にもなったと考えるのは無理があります。
中道右派と決別したことを好感して元々の民進党支持層の多くは立憲民主と無所属選択組みに流れ共産党系からも票を取り込みことによって55名(立憲民主だけで11%以上)の当選・・元の民進党全体の支持率(6〜7%)以上の票を取り込んだ(共産党当選者の急減を伴う)ことになります。
希望党当選者50名中元民進党員が45名(衆議院定数の1割以上)ですから、これがどこからきた票か?です。
選挙期間中にこれといった政治面でのヒットがなかったことを見れば、立憲民主が左翼系浮動票取り込みに成功したように、希望の党の看板獲得によって保守系浮動層獲得(左翼切り捨てによる保守系2大政党体制ができることへの期待感)が大きく貢献したことが明らかです。
ところが、選挙後に行われた希望の党の代表選立候補者の主張を見れば、直ちに先祖返りを始めた・・・・民進党の中道がそのまま移ってきただけ・羊頭狗肉・看板架け替えに終わったことになります。
合流自体に政治信条も誇りも節操も何もないのか!と批判されていましたが、「あちら立てればこちら立たず」の諺通り、民進党時代の主張・節操を守ろうとすれば、看板に偽りがあったとならざるを得ないジレンマに逢着しています。
悪く言えば、選挙で当選さえすればこの先数年の生活保証があるということでしょうが、(この種の批判も相次いでいました)民主党の政権奪取時にいろんな公約のほとんどが根拠がなかったのと同様に国民の失望を受けることなど気にしない・・その後どうなろうとも当選第一という姿勢だったようにも見えます。
自己の節操を守るのか公約を守るべきかの順序で言えば、代議士は国民の支持によってこそ存在意義があるのですから、裏切って飛び出した旧組織に忠誠を誓うのでは二重の裏切り行為になります。
ロシア革命のように一旦政権さえ握れば、その後は権力にもの言わせて恐怖政治を断行する前提であればだまし討ちも有効ですが、民主社会で国民の芯を失えばあとが続きません。
ロシア革命の本質は甘言を弄して一旦客を店内に呼び込めば勝ちという暴力バー的商売に似ていますが、日本でも戦後の社会党片山政権の大失敗・やっと傷が癒えたと思ったら民主党政権の約束違反・二度あることは三度あるとも言いますが、こんなことの繰り返しでは左翼系の信用が下がる一方でしょう。
我が国では、古来から信用第一できたのは、50年や百年後どころか、子々孫々にまで汚名が引き継がれるのは困るという意味です。
希望の党代表選挙直前ころの世論調査結果が出てきました。http://www.sankei.com/politics/news/171113/plt1711130038-n1.html

【産経・FNN合同世論調査】2017.11.13 21:26更新
希望の党凋落、支持率3.9% 立憲民主党との差は拡大… 7割超が「小池百合子氏は都知事に専念すべき」

上記の通り「看板に偽りあり」とバレたのちの支持率は3、9%に急落です。
総選挙の得票率そのものではないですが、希望の党は衆院定数465名中50名当選ですから11%との差が、大方「排除」論理に騙された人たち・・メデイア合作戦略による上乗せ分でしょう。
元の民進党の支持率6〜7%から立憲民主支持層を引くと現在の3、9%でもまだ多すぎですが、多分左翼切り捨てに対する期待層がまだ残っているということでしょう。
立憲民主同様にお互い主張をすっ切りした方が支持が増える選挙の時だけの共闘は合計支持率を下げる可能性が大ということです。
ちなみに総選挙では東京での得票率は以下の通りでした。
https://mainichi.jp/articles/20171024/ddl/k13/010/270000c

衆院選2017 比例得票率 自民トップ30.47% 立憲23.58%、希望17.44% /東京

立憲と希望が共闘合体すれば合計40%になるどころか、何をする党なのか不明のために解散前には野田氏らの無所属系合わせても合計で6〜7%の支持率にも行かなかったのです。
総選挙の得票率と現在の支持率3、9%との差が、大方「排除」論理に騙された人たち・・メデイア合作戦略による上乗せ分でしょう。
実質4%足らずしか支持されていない政党が羊頭狗肉の策によって国会で11%の発言力を握ったことになります。
13日に紹介した渡辺喜美氏の意見のとおり、(何割かは寛容な保守党という決まり文句に騙されたままでしょうが)大方の国民は「排除」発言に騙されず潮が引くように希望の党から逃げた結果が明日紹介する都内10区小選挙区の投票結果でしょうし、昨日紹介した葛飾区議選の結果でしょう。

希望の党の体質・代表選候補者の主張

小池氏は共同代表制の奇策によって完全失脚を防ぎ、今後都政での実績次第による国政復帰への足がかり・・首の皮一枚だけ残せたことになります。
ただし、都民の目は厳しくなっています・・前担当者の吊し上げ目的の築地移転騒動・・・これによって遅れていた移転の日を数日前に決める予定だと報道されていましたが、以下の通り決定が先送りになりました。
・・オリンピック会場騒動などリセットと称して何も決められない政治を都民が期待しているのでしょうか?
希望の党内部では傷口を舐め合うような馴れ合い的留任ができるでしょうが、実害のある都民の目は厳しいものがあります。
http://www.sankei.com/politics/news/171109/plt1711090031-n1.html

2017.11.9 21:03更新【豊洲移転】豊洲開場日の決定先送り 地元懸念で協議会中止
築地市場(東京都中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、都は9日、豊洲の開場日を決めるために市場業界側と予定していた10日の協議会の開催を中止すると発表した。これに先立って江東区が小池百合子知事の豊洲移転・築地再開発の方針をめぐって現状での豊洲市場受け入れに懸念を示すコメントを出し、業界側が開場日を決めるような状況ではなくなったと都に申し出た。
業界団体で作る築地市場協会の泉未紀夫副会長は、開場日決定には都と江東区の関係修復が不可欠と指摘。「知事ご自身が動かなければ、しようがない。都政専念とはそういうことだ」と注文。

風が吹く間黙っていた利害関係者の注文も、風が止むとその反動で厳しくなります。
国政で大負けしたあとを受けて風向きを変えようとして「都政専念」と宣伝するだけでなく、政治家は政治家らしく関係者間の利害調整に汗をかいて欲しいという厳しい現場の注文です。
つい先日も埋立地の帰属を巡る江東区と大田区の利害調整に都が失敗して大田区が訴訟提起する前代未聞の事態になったばかりで、メデイア界でのパフォーマンス戦術で生きて来た小池氏が本当に具体的利害調整の必要な都政をできるのか正念場が始まります。
利害調整政治をするには(数日前に勇将の下に弱卒無しと紹介したように)都知事一人ではできませんので、トップの意を体して手足となって根回ししてくれる人材が必須ですが、内田前自民党都連幹事長の根回し政治をブラックボックスと批判して来た咎めが(都民ファーストの離党騒ぎの原因も要は根回し不足です)今後自分に降りかかって来ます。
都民の小池氏に対する現在の評価が11月13日に葛飾区議会議員選挙結果で出ましたが、これによると定員40名中都民ファーストの当選者がたったの1名というニュースです。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/

時事通信
都民ファ、当選1人のみ=小池人気衰退続く-東京都葛飾区議選
任期満了に伴う東京都葛飾区議選が13日開票された。定数40に対し59人が立候補、16人を擁立した自民党は12人が当選、公明党は9人全員が当選した。小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」にとって初めて挑む区議選となったが、候補者5人のうち当選は1人にとどまった。
小池氏は、自ら率いた希望の党が10月の衆院選で敗北。衆院選に続き苦戦を強いられた今回の区議選は、小池人気の衰退を改めて印象付ける結果となった。

区議選とはいえ、都知事与党が40分の1しか当選しないで(もしも都民全体がこの比率でしか支持していないとすれば)都知事が何を言っても「お手並み拝見」と冷ややかな姿勢に徹するでしょうから)利害調整の必要な難しい問題の処理できるか?という印象です。
小池氏は以下に紹介する希望の党代表選挙の結果を受けて、新代表と会談し数日前に順調な2人代表制を演出したばかりでしたが、上記都民の厳しい審判を受けて、希望の党代表に止まる(2束のわらじを履くの)は得策でないと判断したらしく、14日に突如辞任発表したようです。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/

【小池代表辞任】希望の党分裂の引き金か-所属議員は淡々/ar-BBEXbYW

今朝の日経朝刊では概ね当然の論調でサプライズ性がない・・いわば遅きに失した・・・もっといえば、都政で実績を上げた上で、その実績をもとに知事を辞任して国政に出るべき手順・・体制が整わないならば整うまで4〜5年でも待つべきであるとこのシリーズで4〜5日前に書きましたが、元々国政進出が無理筋であった・/当然の結果という受け止め方が大方のようです。
民進党系議員にとっては、小池氏がいなくなれば気を使う必要がなくなり、元々の持論(民進党員であったときの主張)に基づく自由な政治主張が出来るという淡々とした受け止め方のようで、そうなると民進党系議員は保守系という希望の党の看板だけ丸々手に入れたことになります。
看板ではわからない希望の党の本来的体質を見るために4〜5日前に行われた希望の党代表選の立候補者2名の主張を紹介します。
総選挙後の希望の党の当選者50中45名が民進党系との報道でした・代表選では議員53名と出ているので、参院の議員が3名いるのか?その後に誰か3名加入したのか(今のところ私には)不明です。
民進党出身者2名が立候補して代表選がおこなわれましたが、その主張は以下の通りです。

TOKYO MX
2017/11/08 に公開
民進党出身議員による一騎打ちとなった「希望の党」の共同代表選挙は、その結果が今後の党の在り方や、代表を務める東京都の小池知事との関係にも影響してきそうです。共同代表に立候補したのは共に民進党出身の、玉木雄一郎衆院議員と大串博志衆院議員の2人です。
2人の候補者は共同で記者会見を行い、争点となっている憲法改正などの考え方を示しました。
憲法改正について大串氏は「地方分権含めたことに関しては大いに議論はあってもいい。ただし、一方で9条の改正に関しては、いまは不要」、玉木氏は「9条を含めて議論すればいいと思うが、優先的に議論するのは地方自治や解散権の制約」だと述べました。  安保法制に関して大串氏は「集団的自衛権を含む安全保障法制は、容認していないという立場。その上で、現下の安全保障環境に鑑み、現実的な外交安全保障政策を取っていく」、玉木氏は「既存の法律に溶け込む形で改正が行われている。根っこから自衛隊法を全部廃止するというのは現実的ではない。従来の憲法解釈に合致するような形に具体的な条文改正を提案していく」としました。  小池代表との関係について玉木氏は「国会のこと、国政のことは、一義的には私たちがしっかりと責任を持つ。代表は小池代表だから、よくコミュニケーションを取って、しっかりと連携して進めていきたい」、大串氏は「相談や連携連絡を取るのに、非常にフットワーク軽く動くたちなので、しっかり連携を取れていけるのではないかと思う」と述べました。 」

上記によれば、公約や公認条件の曖昧表現を利用した民進党系議員のなだれ込みの実態が如実に現れています。

民主党政権の体質と諫早矛盾裁判の両立2

諫早水門開閉に関する司法判断の矛盾は、以下の通り菅総理が周囲の反対を押しきって(ウイキペデイアの解説によると)「私が決めたことだ」と最高裁への上告をさせなかったことによります。
矛盾関係をそのまま放置するのは市民運動家出身総理の面目躍如と言うべきです。
親子劇場専用ホール設置署名運動の例を書きましたが、ガラガラのホールを作っていつでも安く借りられれば便利かも知れませんが、「赤字を誰が負担するか」と言う他方の視点を無視するのが市民運動家です。
以下法務省(訟務部)の主張?解説です。
http://www.moj.go.jp/shoumu/shoumukouhou/shoumu01_00050.html
訴訟の現状及び国側の主張
開門派漁業者らが,潮受堤防の締切りによる漁業被害を訴えた佐賀開門訴訟において,福岡高裁は,平成22年12月6日,国に対し,潮受堤防に設置された排水門の開門を命じました(「判決確定日から3年以内に,防災上やむを得ない場合を除き,5年間にわたって開門せよ」という旨の主文)。この判決に対し,国 が上告をしなかったため,この判決が確定することとなりました。
そして,開門派漁業者らは,この福岡高裁確定判決に基づき,平成25年12月,強制執行(間接強制)の申立てをしました。これに対し,国は,対策工事がで きていない状況では,開門すれば営農者らや住民らに被害が生じるため,開門を強制することはできないなどと主張して争いましたが,平成27年1月22日, 最高裁は,国による抗告を棄却し,「開門しない場合,1日45万円(1人につき1日当たり1万円)を支払え」という間接強制決定が確定しました(その 後,1日90万円(1人につき1日当たり2万円)に増額変更がされ,この判断も最高裁で確定しています。)
他方,開門反対派営農者らは,国に対し,開門した場合には被害が生じるなどとして,開門の差止めを求める訴えを提起し,長崎地裁は,平成25年11月12日,国に対し,開門の差止めを命じる仮処分決定をしました。
これにより,国は,福岡高裁確定判決に基づく開門義務と,長崎地裁仮処分決定に基づく開門禁止義務の相反する義務を負うことになりました。
さらに,開門反対派営農者らは,長崎地裁仮処分決定に基づき,保全執行の申立てをし,平成27年1月22日,「開門した場合,1日49万円を支払え」という間接強制決定が最高裁で確定しました(これについても,現在,長崎地裁に対し,間接強制金の増額変更の申立てがされています。)。
このように,現在,国としては,開門してもしなくても間接強制金の支払を強制されるという状況に置かれています。」

以下はウイキペデイアの記事です
https://ja.wikipedia.org

菅直人の上告見送り
菅直人はかねてより自民党が推進していた本事業を「無駄な公共事業」として強く批判しており[1]、政権を取る前にも市民運動家やTVカメラを伴って水門を訪れて水門をただちに開けるように要求するなどの行動を行っていた[1]。2009年9月民主党政権が誕生すると、民主党の検討委員会が「開門調査を行うことが適当」という見解を2010年4月にまとめた。2010年12月15日、内閣総理大臣に就任していた菅は、福岡高等裁判所の判決について上告を断念すると表明した[1][8]。これに対して長崎県中村法道知事は「国営事業として進められたのに一切相談・報告がなく、報道で初めて聞いた。大変遺憾だ」[1]として不快感を示した[9]。政府内でも福岡高裁判決はあまりにも一方的であるとして上告する意見が大勢であった[1]。諫早市市長の宮本明雄(当時)や仙谷由人官房長官(当時)や鹿野道彦農水相(当時)が菅を説得しようとしたが[1]、菅は「私が決断したことだ」と意見を変えず高裁判決を確定させた[1]。長崎県知事・諫早市市長・雲仙市長・地元商工団体、農業関係者は連名で菅に23項目の抗議の質問状を提出した[10]。

高浜原発で言えば、福井地裁と大津地裁で矛盾する仮処分が出た場合、(諫早訴訟と違って直ちに矛盾する訳ではありませんが・・論点次第です)最高裁までやっておけば結論が統一されます。
衆議院選挙無効訴訟の場合で言えば、ある高裁で無効判決が出た場合国が控訴しないで確定させて、その他の高裁で有効となった場合選挙の有効性が矛盾し、収拾がつかなくなります・・そこでそれぞれの高裁事件について上告して最高裁の統一見解を求めるのが責任ある立場です。
菅総理は敢えてこれを拒否してしまった結果、収拾のつかない状態に追いやってしまいました。
この後で政治と司法の関係を書いて行きますが、政治は無限に存在する時間軸・平面軸の利害(矛盾対立)を調整して統合して行く仕事であり、現在社会では民意・市場こそが神の手であると言う思想が支配的・・民主政体優位の時代です。
そして多様な利害調整は民意吸収の専門家である政治家→国家意思で行なうことになっています。
司法権はそう言う場ではない憲法の作り付けであるのに、政治の場で民意吸収・支持に負けた勢力が、政治の場外乱闘目的・・司法の場に戦いを移したことが矛盾判断の確定をさせてしまったと原因です。
司法は主体性がなく訴えのある限度しか裁判出来ない仕組みですから、仕掛ける方の支持者・内通者?がタマタマ政権交代で国側のトップになっていたときに、ある裁判所で国に不利な判決が出たときに客観資料の明白な読み間違いがあって上訴すれば明白に国が勝ちそうなときに、国の敗訴を確定させるために政権トップの判断で直ちにやめてしまえば、別の裁判所で逆の判決が出ても(・・その間に政権を失っても・)矛盾状態を維持出来ます。
ある会社が次期社長の息子相手に横領事件の裁判をしたときに裁判所の資料読み間違いで、間違って息子が勝ったときに、(福井地裁の仮処分は新聞報道によれば決定書き引用自体が専門家の意見を誤解しているミスがあったと言う報道がありました)控訴すればほぼ100%逆転出来る資料があるときに、次期社長になった親が控訴をやめさせたようなもので、一種の背任行為です。
このように政治は時間軸での一貫性やA県とB県あるいは、国際政治と矛盾しない(「少なくとも県外」の一貫性)等の統一性が要請されますが、政治が司法に頼ると矛盾状態が起きる「制度的保障がある)原因になります。
民主党政権は(諫早事件では開門派が最高裁では負けると分って?)敢えてこう言う選択をしたことになります。
総理が(党利党略の観点のみで)こう言うことをしたとすれば、国家運営責任者の自覚があったのでしょうか?
この後で書きますが大津地裁原発停止の仮処分決定も、高裁では負けると思ってすぐに控訴出来ない仮処分決定手続に敢えて?した(・・その間停止状態になることを狙った)疑いがないかをこの後で書いて行きます。
ここでは過大被害想定運動が原発反対運動や原発操業停止仮処分を発令する伏線として利用されている点を書くのが目的で、失政をどうするかのテーマではないので、この点は仮処分制度のテーマが終わった後に回します。

民主党政権の体質と諫早矛盾裁判の両立1

ここでは、民主党政治批判が目的ではありませんが、被害や対立を煽るだけ煽る政治やマスコミは何のためにやって来たかの視点で書いています。
沖縄の普天間基地移転問題は、騒音等の周辺住民被害解決のために,先ず大騒ぎがあって騒音や事故被害縮小のために一部海上移転の解決策が決まったものですが、そうすると今度は海の生物がどうのと言う反対運動が起き、それが解決すると「少なくとも県外へ」と言う実現不能な提案になりました。
この矛盾が露呈してやはり辺野古への移転が次善の策となると、今度は沖縄だけが本土の犠牲になっている・・沖縄知事が国連で民族自決権が無視されていることを訴えるなど沖縄県民は日本人ではないことを前提にした主張が始まり、中国が画策する沖縄の日本からの分離独立に繋げる公式発言をするようになってきました。
この過程の時間稼ぎとして司法闘争が始まったことになります。
(司法が政治の上位になるような司法権運用の合憲性・・政治と司法の憲法上の関係は後に書きます)
こうなって来ると基地被害を大きく訴えるのは(本質は反日でその防壁になっている)反米運動のための言いがかりでしかなく、民族分裂・・対立を煽り、「揉めさせることが目的」だったかのような印象を受けます。
被害は出来るだけ大きく主張した方が良いと言うスタンスは、被害者救済目的ではなく産業妨害・民族内対立を煽るには被害を誇張して主張すればその内に加害者も怒り出す・・対立激化させる意図によっていたことが分ります。
(放射能被害過大宣伝に応じて大仰に逃げた人との間で、地元民同士でも軋轢・不信感が生じています)
一般政治批判さえ許されない中国の支配下ないし従属化すれば、基地問題がなくなるのか?・・基地反対運動など全く出来ないから基地問題はなくなると言えますが、・・住民無視・蹂躙されるのが目に見えているのに基地被害を理由にする反政府運動で、中国の支援を当てにする運動を始めたのですから噴飯ものです。
民主党やマスコミの被害者救済運動は、昭和時代に中ソの公害や核実験を問題にしないでアメリカの核実験や日本企業の公害ばかり反対していた文化人の系譜を引いているようです。
沖縄を日本民族から切り離す運動を見ると「そこまで来たか!」と恐れる向きがありますが、逆に本音を出さざる得ないほど反日運動家に対する支持がなくなって来た・追いつめられて来たので外部勢力に頼る・・国連活動を始めたとも見られます。
(NGOを使って外部勢力を引き込む問題点は昨年末以来中断していますが、この後で書く予定です)
沖縄基地問題を騒いでいる勢力の本音が出て来たところで、沖縄県民がどちらをとるか・・彼らの煽動にのるか、沖縄県人の本音を本土の人がじっと見守っている状況になってきました。
一旦中国寄り意識・・どっち付かずの態度あるいは独立志向を明らかにした後で日本の方が有利となってすり寄って来ても、韓国に対する日本人の冷めてしまった気持ち同様に、(イザとなれば、信用出来ない民族として)千年の溝を作ってしまう分かれ道です。
沖縄県民が韓国レベルの智恵か本当に日本民族として残るに足る智恵があるかの見せ所です。
壱岐・対馬は元寇のときに現地住民は圧倒的勢力で攻め寄せた元軍に屈しなかった点で日本人は同一民族としての意識を更に高めています。
従来「何でも反対の社会党」と言われていましたが、民主党政権も何でも実現不能に持って行く・・国の政策停滞・・何も出来ない状態・・政府の弱体化を目的にして来たことが明らかになりました。
参院衆院のねじれ現象で何も決められない状態の「継続」こそは民主党の理想的政体だったでしょう。
あちこちで実現不可能なことを言っていた民主党が衆院で多数になってしまい、(同時性と継続性の両面で)一貫したことをするしかなくなるとどうして良いか分らなくなったのではないでしょうか。
政治の停滞・・何も決めない,しない・・させないことを目的にした政党が、政権獲得を目指すこと自体矛盾でした。
諫早干拓訴訟の結果、現出した矛盾状態の根源は民主党政権の目指していた開門方針・開門請求訴訟・・高裁勝訴判決(政府敗訴)が最高裁で負けそうな予想(政府勝訴予想)によって、敢えて従来政府方針との継続性を無視して上告せずに確定させてしまい・最高裁判断を回避したことが原因です。
政権交代したら何をしても良いのではなく、政権交代は政府の内部組織の問題に過ぎず、トップの方針が変わったとしても、政府自体は同一組織ですから継続性が必要です。
企業で言えば分り易いですが、社長が替わったからと言って前社長の決めた契約や約束を反古にすることは出来ません。
方針変更については、これまでの支援者と利害調整した上で和解すべきでしたが、姑息な手段・・一見裁判結果を尊重するかのような形式でありながら、実質は最高裁の判断を仰ぐのを拒否した・・菅総理が奇策を弄したことが矛盾した裁判所判断が確定してしまった原因です。
明日、法務省説明とウイキペデイア説明を紹介します。

官僚機構と秘密体質2

政府(官僚)が自分のしていることが国民に明らかとなった場合、批判に耐える自信がないなら(民主国家では国民の信任で成り立つべきですから)民主国家の政権とは言えませんので、政権を下りる(官僚を辞める)べきです。
オープンな議論を避けようとしていると国民はよけい疑心暗鬼になり、政府発表を信用しないことになります。
風評被害が起きるのは、政府発表に信用がない・・この対で民間のデマの方が信用され易くなっているからでしょう。
風評と言う言葉には無知蒙昧な階層がデマに惑わされ易いと言う意味が含まれているのでしょうが、要は無責任デマと政府発表のどちらが庶民に信用されるかの競争に過ぎませんから、政府発表が負けないためには正確な事実発表が命です。
後から出たデータで政府が過去に発表したことがおかしいと言う事例が積み重なれば、誰も政府発表を信用しなくなるでしょう。
嘘の上塗りと言う言葉がありますが、後で正確な事実が出ると困るので政府はどんなことがあっても非を認めて事実修正をしない傾向があります。
01/28/03「止められない公共工事(無修正主義の問題点 3)」07/12/06「政府の無修正主義・無謬性」と言うテーマで書いたことがあります。
正確な事実があってそのデータに基づく論評の優劣は説得力の問題ですが、これは政治決着・・多数の意見によるしかありません。
古くは新興宗教の多くは愚民を惑わすものとして取り締まり対象になって来たことは歴史上明らかですが、宗教弾圧は許されないことになって久しい・・・すなわち説得力の優劣は民主的・・市場原理的に決めて行くしかないのです。
データ自体を開示しないで、国民は愚昧だから教えない方が良いと言う発想は、むしろデータ公開による論争に政府が自信がない事によると言うべきです。
ただし、原発問題のデータ不信の蔓延は菅政権の秘密主義に由来するのか、歴代政権の習慣に基づいて官僚が小出しにする習性があったので結果的に菅政権がそれに振り回されていたかは別問題です。
危機管理システムの事前準備不足は歴代政権の問題であって菅政権の責任ではないことを5月31日まで書いたのと同様で、菅政権になったからと言っていきなり官僚や東電の秘密主義・体質が改まることはありません。
風向きによる放射能の飛散状況を動画化するシステムが日本にもあったことが後で分ってきましたが、こんなことを政府が秘密にする必要がないので、「知っていれば避難区域の設定の参考に出来た」と言う官房長官の言い訳は信用が出来ると思います。
要は歴代政権の秘密体質が、東電や官僚の行動形態に引き継がれていて現政権の事実開示・処理能力を規定していたことが分ります。
この体質改善には時間がかかるのは当然ですから、政権を取ってまだ年数のない民主党政権の責任問題ではないことになります。
膨大な官僚機構の秘密体質が引き継がれていた場合、透明化を掲げる民主党政権になったからと言って、1年や2年で末端まで改まる筈がありません。
こうした不毛な秘密体質を形成して来たのは歴代自民党政権の思考方式によるのですから、長期間掛けて形成して来た官僚の秘密体質を改めるには10〜20年単位の時間がかるでしょう。
ところで、菅内閣に対する不信任決議案提出騒動(自公両党は6月1日午後6時前に不信任案提出、明日2日に採決の予定が決まりました・・民主党内では鳩山前総理と小沢氏は不信任案に賛成の立場を明らかにしています)
タマタマここ数日のコラム内容が、原発問題の不手際の根本は自民党歴代内閣の責任であって菅内閣の責任ではない言う趣旨の意見ですから、菅内閣打倒の政局の動きに棹さす内容となりました。
不信任決議案の提案理由書を見ていないのでどこに不満・・菅内閣に非があるとするのかよく分りませんが、もしかして秘密体質や危機管理能力の問題ではなく、イラ菅と言われる個人資質を指摘してこれでは(有能な・あるいは秘密体質に染まった)官僚を使いこなせいないと言う矮小な理由かも知れません。
何事も急激な改革では官僚はついて行けないのも事実ですから、微温的改革前進・・これには従来の秘密体質を知っている自民党の方は官僚を使い慣れていると言う主張かも知れません。
私は今のところ菅内閣を擁護したいとも倒閣したいとも思っている訳でなく、単に自分の好み・・思う通りを書いて来ただけです。
どちらにも、知り合いがいないので自分の思った通りのことを書ける・・のは気楽なものです。
私の関心は連載中のテーマの尻取りゲーム的コラムの連続にあるので、今のところ政局に関する意見は書きません。

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