中国の資金枯渇24とAII4

輸出基地として投資していた外資にとっては、輸出出来なくなったら資金を寝かせておけませんので、資金流出が激しくなるので資本収支的には二重苦が始まっています。
中国はアジア危機を勉強した結果、いわゆるホットマネー流入を制限しているので資金流出の心配がないと言う立場で反日暴動を仕掛けたのですが、直接投資マネーであっても暴動を仕掛けられるようなところに継続的投資は出来ません。
釣った魚に餌をやる必要がないと言う静的経済を基準に考えていたのが中国ですが、現在は絶えざる投資継続・最新技術による設備更新がないと企業経営が成り立たない時代です。
反日暴動後は後に続くべき(計画中の投資は続けるしかなかったのですが・・)日本の対中投資新規計画はぱたっと止まってしまいました。
反日暴動で酷い目にあったパナソニックは、あれだけ巨額投資した中国から損をしてでも引き上げる決意をしてしまったことが大分前に報道されていました。
日本から中国への投資額が反日暴動以降激減していることをMay 22, 2014「対外紛争の得失2」に、紹介したとおりです。
今朝の日経新聞朝刊7pには、昨年まで激減していた昨年に比べても今年1〜8月の日本の対中投資は前年同月比28、8%減と出ています。
米国からの投資は19、6%減ですが、欧州からは14、4%増となっていて、なお中国への投資を増やして日米の穴埋めに働いている構図ですが、昨日書いたようにドイツ車の売れ行きが急激に落ちて来たので、この先も投資が続くかは危うくなってきました。
ただ、投資額増減の%比較では絶対額が不明ですが、絶対額の大きい日米の穴埋めには、力不足でしょう。
まして、今後中国は、中間層の増加・・消費者向け身近な製品・サービス社会に移行して行くしかないことは否定出来ません。
・・これが訪日客の爆買いの基礎ですが、日常サービスのきめ細かさでは、ドイツ製品はゴツいばかりで、日本の足元にも及ばない状態です。
日本は江戸時代・・その以前から消費者主導社会の蓄積がありますし、今でもドイツでは、消費社会としてみればひどく低調です。
自国のサービス水準の低い国が、消費・・サービスの提供国になれる訳がありません。
今年でも昨年よりも減ったとは言え一定の対中投資が続いている理由・・この点に着目した日本のサービス関連の中国進出が今も続いている理由ですし、消費系に強い伊藤忠の中国進出判断基準であることをどこかに書いたことがあります。
中国は資金不足の実態を知られたくないために、数十年にわたって赫赫たる成長ばかり強調してきましたが、(企業で言えば株価維持のために粉飾決算しているような状態)アメリカ国債保有額減少をアメリカに発表されて馬脚を表した状態です。
日本マスコミは優しいので「最近中国は外貨準備を分散している」と中国に代わって?言い訳していますが・・。
続けてドイツ財務相によって、(6月1〜2日に紹介したように)借入金が27兆ドルも増えていると報道されてしまうなど、目も当てられない状態になってきました。
中国の外貨準備発表は当てにならないので、結局はアメリカ国債の増減率がほぼ正確と思うと以前から書いています。
国威にこだわり且つアメリカ国債を多く持つことがアメリカに対する発言力と考えている中国が外貨準備を取り崩す場合、アメリカ国債を手放すと目立つので出来るだけ最後にする傾向があるからです。
即ちアメリカ国債が2割減っていれば、その他の外貨はもっと減っていると見るべきでしょう。
日本のマスコミは何千万と餓死者が出ていても毛沢東の大躍進政策を大成功していると報道し、文化大革命や毛沢東語録を賞讃し続けて真に受けた若者が毛沢東語録を持ち歩くことが流行になっていましたが、中国を賞讃しないといられない性質・・裏でどう言うつながりがあるのか不明・・があるようです。
今朝の日経新聞29pには、8月11日以降の中国による為替切り下げはIMFの要求に応じた合理的なものである・・株式暴落に狼狽したものではないとする従来チラチラ出ていた中国擁護論を紙面1p殆ど全部使った専門家の論文として掲載しています。
専門家の論文形式をとろうともそんな噓っぽい主張を誰も信じないでしょう・・日本の場合昔から一般国民レベルが高いことを、まだ中国政府関係者は(自国民がそうですから当然ですが・・)もちろんのこと、日本人でも、日本マスコミ・文化人は「庶民はバカだから誘導すれば良い」と言う外国の意見そのまま受入れているので、いつまでたっても、気が付かないのです。

資金不足21とAIIB1

一斉に地下鉄路線を大量に敷設すれば、従業員の訓練が追いつかないばかりか、旅客需要が追いつかない・・赤字営業を何年続けられるかの問題が起きますし、仮にうまく大量の需要転換が起きればその分クルマ需要が減るでしょう・・今でもクルマの生産能力の半分しか需要がないと言うのに大変な事態です。
一斉に完成すれば、新設用の製造設備の稼働やこれに従事していた工事業者・従業員の次の受注・仕事はどうするのか?
倒産・失業を防ぐために・・際限のない鉄道建設を続ける訳にも行きません。
鉄やセメントの過剰生産能力だけではなく、鉄道や自動車産業あるいはマンション建設業界等々社会全般的に過剰な工事能力業界を新たに作り出してしまったことになります。
新興国型発展の中国経済構造では、もともと国内需要を無視して輸出用大量生産設備を作ってきた以上は、海外進出しか生産品のはけ口がないのですが、ローエンド製品では東南アジアとの国際競争力を保つのは無理があります。
世界企業は儲けがあるから進出しているのであって、出血輸出までして生産を続けることはありません。
中級品では、・・まだ台湾や韓国からの輸出品を真似している状態ですから、中級品以上になると台湾韓国等との輸出競争するにはまだ無理があります。
5月24日に中国メデイアの引用記事を引用しましたが、12年以降急激に輸送実績などが落ちんでいると報道されていますが、・・これでも昨年まで7〜8%成長して来たと言う無茶な報道がまかり通っているのですが、輸入資源や輸入部品等が急激に落ち込んでいて輸出だけ伸びていると言うのは無理があります。
そこで、需要の有無に関わらない無茶苦茶国内投資して来たのですが、資金的に続かなくなって来たので、国内公共工事の発想延長で、シルクロード構想に行き着いたようです。
資金枯渇推定の理由に付いては、アメリカ国債の保有額減少で明らかになっていることをMay 2, 2015に書き、最近では2015-5-31「中国過大投資の調整7(資金枯渇1)」で29兆ドルもの借入金増加に関するドイツ財務相の発言記事を紹介しました。
どこまで信用性があるか分りませんが、http://thutmose.blog.jp/archives/29344365.htmlによると以下のとおりです。
2015年05月06日00:16
「中国の外貨準備2兆ドルが使途不明 架空帳簿の疑い
中国の外貨準備高は15年3月末に3兆7300億ドルだった。
中国の米国債保有残高は15年2月末に1兆2237億ドルだった。
約2兆5063億ドル不足しているのである。
金の保有額は5億ドル程度で、ユーロでも保有しているし日本国債も保有しているらしい。
中国政府は外貨準備高の内訳を、明らかにしていません。
中国は一時期アジアやアフリカ、豪州、中東などで資源投資を行っていました。
それぞれが数兆円は掛かると思われる投資を世界中でやりました。
その後資源価格の暴落で全て失敗に終わり、膨大な損失を出したと思われています。
行方不明の2.5兆ドルは最悪の場合、こうした資源開発に失敗して消えた可能性すらあります。」

アメリカ国債以外に分散していると言う中国擁護論がありますが、アメリカ国債の何倍も新興国の国債を買っているとは到底思えません。
ソモソモ本当に持っているなら公開すれば良いのに何故隠すのでしょうか?
資金が枯渇して来た結果、国内公共工事を続け切れなくなってきた以上は、シルクロードといえども、無駄な資金を出す余裕がない筈です。
シルクロード構想の資金を出す国がないので、(中央アジアの国は自分で出せないから基金に加入して少しばかりの分担金を出して工事をして欲しくて基金に加入しているのです)世界から資金を出させるために思いついたのが、AIIB設立構想ではないかと反中国系でネットでは言われています。
英独など先進国もその工事参加権を得たくて付き合い程度の捨て金として仕方ないか・・と言う計算でAIIBに参加表明していると思われますが、どこもかしこもみんな中国の資金目当てですが、肝腎の中国が逆に金に困っていて、当面流用させてもらおうと思って計画しているとしたらどうなるかと言う関心で4〜5月ころから中国経済の内実にを明らかにする必要性を感じて、これに焦点を当てて書いてきました。

中国過大投資の調整16(資金不足18)

話題がそれましたので、過大投資調整のテーマに戻ります。
・・中国がバブル退治を早めにやれなかったのは、資本流出が怖くて出来なかった気の毒な面もあるでしょう何事もメンツにこだわって経済原理を無視して強権で押さえつけて来た程度に応じて、その咎め・・反作用が大きくなるのは仕方のないことです。
日本でも、大手企業の粉飾決算の先送り・拡大も株価下落が怖くて先送りすることが多いのですし、東芝の粉飾決算露見も先送りが長かった分に比例して傷が深くなっています。
中国の場合、過大投資が特定産業のバブルとは言えない程全ての分野に蔓延してしまったので、身体で言えば毒素が全体に回っているようなもので、引き締めて見たり緩めたり、どうして良いか分らないで右往左往していると見るのが正解のような気がします。
日本マスコミは中国は何かやると「したたかだ」と高評価するのが常ですが、何でも中国は偉大だと有り難がる報道には飽き飽きしている人から客観的に見れば(もしかして悪意で見ればかな?)ただ、訳が分らずに右往左往しているように見えます。
リーマンショック後4兆元だったかの大判振る舞いで何とかショックを持ちこたえたものの、その先が続かずここ3〜4年はさしあたり目先の消失した輸出需要の穴埋めに国内需要を作り出すしかないということで、・・オリンピックや万博を誘致しては無駄なインフラを作ってみたり、物流用の国内インフラ(港湾造成など一段落して)需要が落ち込んで来たので、需要無視の鉄道線施設に邁進したりしてきました。
アジア大会/オリンピック・万博施設など次々と誘致してきましたが、これら施設はその後無用になっても、元々そのようなものと言う暗黙の合意があるので大した問題になりませんし、売れないマンションは放置していれば良いのですが、鉄道など過剰投資を始めると、作った後が問題で客のいない列車を運行していると大赤字が累積してその内参ってしまいます。
鉄鋼や石化製品生産工場の場合には、やたらと作っては出血輸出をして世界に迷惑をかけていますが、(9月1日日経新聞朝刊9pに「中国発鉄冷え加速」の大見出しです)鉄道等の内需インフラ投資の場合、出血競争するにも客がいません。
AIIB投資の目玉である中央アジア貫徹の大動脈構想(一帯一路)がありますが、作る資金は何とかなるとしても完成後砂漠の真ん中を採算が取れる物流があり得るかの議論が前からあります。
IMFやAIDの資金援助は要件が厳し過ぎると言う中国から批判があって、新興国にとってもっと使い勝手の良い国際機関を作ると言うのがAIIBの宣伝です。
しかし、中国のように成金による資金バラマキのようにコネ・・親疎だけが基準で事業採算審査なしでお金を湯水のように使うやり方では、焦げ付き頻発で早晩行き詰まるのが必然です。
日本では資金がないのではなく、国立競技場建設計画の見直しでも分るように採算性・合理性のない投資をしないと言うだけですが、中国の場合、始めて大金を持ったので嬉しくて仕方なかった・・必要性を無視した無駄遣いしている貧乏人のニワカ贅沢みたいな印象です。
ニワカにお金を持つと、店のこの棚の端から端まで全部クレと注文したり、食べ切れない料理を注文して見せびらかすことがありますが、これを中国は国を挙げてやって来た・・田舎者と言うことです。
クルマであれ、鉄道延長であれ、日本を追い越すかどうかばかりが気になり、最近ではクルマの販売台数がアメリカを追い越すかどうかが基準であって、需要と関係なく投資してきました。
これが個人で言えばいわゆる「爆買い」ですし、企業も採算度外視で資源類も無茶に仕入れるし、と国内インフラ投資も出店競争もビル建設も見通し無視で無茶苦茶やるのが中国流でした。
無茶苦茶やっていても、中国ブームを煽った結果ひっきりなしに投資がはいって来たので、無茶な投資が成功に繋がっていたのですが、ねずみ講みたいでいつかは投資が減って来ると終わりが来ます。
中国の場合、一旦計画が出来れば、コストに見合う需要がない・・採算が取れないことが分っても国策である以上・・国有企業その他もメンツがあるので、修正したり中止することが出来ないしくみです。
・・何でも計画どおりに作ってしまうしかない硬直性・・強引さが土木・建設業者にとっては魅力ですが、その分無駄な投資が増えて長期的に見れば、経済が立ち行かなくなる宿命を持っています。
(資材納入・建設業者はその場で儲ければ良いのですから・・どんなバカな計画でも注文があれば仕事をすれば良いので、その先の責任はありません。

  中国強権政治と政権の脆弱性

習近平政権による激しい粛清劇や、日本とマトモに戦ったこともないのに抗日戦勝利の大々的な式典開催を(するしかないのを)見ると、権力基盤がかなり弱い・・その反作用と見るのが普通です。
世界の支持率のバロメータートしてみれば、出席者はロシアのプーチンと韓国大統領くらいで、欧米首脳その他マトモな国の参加がなく、世界大多数の国が日本に遠慮して?参加していません。
これでは普通の先進国的報道基準で言えば、却って習近平氏やって来た中国の国際的地位低下を満天下に曝したことになり、却って権威が大失墜・・大恥をかいた結果になります。
(報道規制があるので、中国人は何も言えませんが・・)
習近平の自信喪失状態丸見えの写真がニュースに出ていますが、報道規制下ですから政府公表写真でさえそんなものしか発表出来ないのですから大変な事態です。
世界で孤立している自信喪失を補うために軍事力を誇示する大々的パレードをするなんて、ナチス時代の再来のような印象・・時代錯誤もはなはだだしい発想です。
マスコミでは、こう言う評価が出て来ませんが普通に見ればナチスの閲兵式のような印象です。
このために3日前ころか北京中心街3km前後が交通禁止、道路に面した窓を開けることも禁止、商店も営業禁止、株式市場も閉鎖(経済活動停止)などですから、事実上戒厳令を布いているようです。
強大な軍事力や公安警察の威力を国民や諸外国に誇示すればするほど、それほどまでに国民が怖い・国民の支持を受けていないことの自認行為であり、諸外国に対しては、今後紳士的交渉・正義の基準に基づくよりは、武力で威嚇して行く方針を明示したことになります。
これでは株式下落の催促に対して市場開放・・透明な社会にして信任を得る努力よりは、市場経済化促進よりは規制強化・・対外不信に対しては武断政治の強化と言う意思表示になります。
自由な経済活動を認めない・・正義に基づく話し合い解決よりは武力による世界から孤立する覚悟・・開き直りを誇示したことになります。
ヤクザ組織じゃあるまいに、力を正面に出して行く意思表示が国益上マイナスになる・・いよいよ国際資本が逃げるでしょうから、冷静な判断が出来なくなっているか生まれが出たと言うべきでしょう。
国内経済も軍事パレードにかこつけて周辺工場や商店を操業停止させたり株式市場閉鎖していれば、当面株式相場の下落を防げるでしょうが・・式典が終わって再開したときどうなるのやら・・却って怖いでしょう。
経済活動の隅々まで剥き出しの規制強化せざるを得なくなったのは、経済面でも限界が来ていることを表しています。
これが尻抜け状態になると・・この面でも権威失墜です。
政府高官自体がいつ失脚するか知れないので、安全のために裏社会を利用して国外に資産を隠し、家族を逃がしている「裸官」と言われている社会です。
隅から隅までお互いを信頼せずにルールも国法よりも入り乱れたヤミの掟で動いている社会では、人間も相互に信頼する習慣が途絶えています。
中国では、愛国心などかけらもない・・一族のみが頼りと言われています。
猜疑心が渦巻く・・荒廃した人心関係で秦漢以来約2000年も経過しているので、これをマトモな心に戻すのは至難です。
表向きは誰でも簡単に改心出来ますが、心の底から癒し真人間に復元するには、心を傷つけられ続けた時間に比例した長期間を要するでしょう。
始皇帝以来の2000年以上にわたる専制支配下で生きて来た人民が、生き残るために法網をくぐることに精出して来た民族性のままで、世界進出するようになると世界秩序の撹乱要因になっていることを、2015/08/06「秩序破壊と社会の停滞・退化1」以下で書いてきました。

 資金不足16と人民元流出の攻防5

今朝の日経新聞朝刊1面にはトップ記事で中国政府が、人民元売りの為替予約規制を始めたと出ています。
銀行は為替予約残高の20%の準備金(無利子)積み立てが要求される仕組みですから、これを銀行が予約企業に転嫁すると、結果的に輸入企業にとってはコストアップですから、輸入関税をかけるような輸入規制・・外貨不足を補完する効果もあります。
中国政府はいつも書くように1石2鳥効果が大好きです。
8月11日の為替の切り下げも表向きIMFの要望に添って相場に合わせたと言う言い訳でした。
規制効果に戻しますと、例えば1億元の輸入代金決済が半年先にある場合、為替予約しようとすると半年前に輸入代金の2割を無利子で銀行が準備金として中央銀行に預けろ」というのが今回の規制骨子ですが、銀行は顧客企業に当然転嫁しますので、企業にとっては(2000万元の借入を増やすしかない・・)資金繰り上大変な負担です。
毎月同額輸入が平均してあるとすれば、6×0、2=12割資金を寝かせておくことになります。
20×市中金利負担がコストですから企業にとっては、それ以上に下がる見込みがないと為替予約出来なくなります。
イギリスのポンド防衛失敗の経験によれば、売りの為替予約を制限すれば、値下がりを(少しでも値下がりの勢いを緩和出来る?)止められると言うもくろみでしょう。
しかしこれは予約する輸入業者向けと投機家向け規制であって、庶民が元を今日の相場で良いからドルに替えたいと言う欲望には直接関係しません。
ただ中国では自由な為替取引自体が禁止されているので、輸入に名を借りた人民元の両替・外貨取得が多いので、予約さえ規制すれば人民元売りの加速を防げると言うことでしょうが、庶民の方は予約が駄目ならば、(本当の輸入ではないのですから契約書だけなら好きに書けるでしょう、)契約上の決済時期を半年先ではなく数週間先あるいは前金払い契約に早めれば良いことです。
そうすると契約内容まで政府が規制する・・現物到着前の代金の一部支払を認めないとなって来るのかな・・どちらにしてもイタチごっこです。
代金支払い方法まで規制するようになって行くと規制が広がる一方で、ドンドン市場経済から遠くなって行きます。
※ 追記です。9月日日経朝刊7pには、中国政府は1日に続き2日に為替スワップやオプションなど全てのデリバティヴ・金融派生商品にも上記措置を適用すると通知したそうです。
一旦規制を始めると際限がなくなる運命が待っています・・経済が窒息するまでやるのでしょうか?
東南アジア諸国等である程度人民元取引が広がっていましたが、こんな状態が続くとどこの国の企業でも元での代金決済をいやがるどころかドル取引であっても一々政府の許可がないと契約が発効しないのでは(一種の輸入規制ですから)いつ許可になるか分らない・・迅速性に反するので中国企業との取引自体を敬遠するようになって行きます。
同じ輸出条件ならばよその国に売った方が合理的です→中国側業者は競争相手国より不利な条件(保証金を積んでくれないと契約自体に応じないとか割高で買うとか)をのむしかなくなって行きます。
世界中で中国の存在が小さくなって行くばかりです・・私は中国の評価が実力相応になれば良いと前から思ってマスコミの過大評価を批判してきましたが、(中国を実力以下に見たいとは思っていません・・それはそれで危険です・・)マスコミが過大評価し過ぎていたメッキがはがれて来たに過ぎません。
実力と合致しない過大評価があると、中国政府が実力差に比例して却ってカラ威張り・・力み返りたくなるので、これが危険な軍事膨張や冒険主義を促しているのです。
今回の規制発表は、6月の暴落時に大株主・機関投資家?半年間の株売却禁止令を出し・大手企業の大半について株売買取引停止を命じたのと似ていますし、遡れば、歴代王朝末期の流民化阻止のために農民の移動禁止していたのと同じ発想です。
大手企業の株式売買禁止令は、自分で一部企業のデフォルト宣言している・・国際機関から不適格企業との烙印を押されて取引停止処分を受けたような結果にならないか?と書いたことがあります。
今回は為替取引について、事実上蛇口を狭めることになるので、国際取引縮小を目指す結果になってしまいますので、国際機関から制裁を受けたような効果を自分で率先して行なっているようなものです。
中国政府としては8月11日の為替切り下げ時には表向き実勢相場に合わせたと言い訳があり、早速IMF専務が歓迎表明し、日本の学者・マスコミはそう言う意見を紹介して立派なものだと言わんばかりの論説が目立ちました(曰く・統計的に見ると貿易黒字が増えているので輸出拡大を目指したものではない・・市場の反応が間違っていると言う意見が主流でした)が、今回は言い訳すらありません。
今更格好付けていられないほど切羽詰まっていることの公式表明ですし、(同紙面に中国の外貨準備・公表値?では、14年6月に比して7月までには約1割も減少していると書いています)・・今回の規制発表は、この1カ月では投機売りが拡大していて資金流出に我慢し切れなくなったと見るべきですから、この間にもっと大幅にドル資金が減っているのだな!と世界中が見られてしまうリスクを考える余裕がなくなったと見られます。
この点は兎も角として、驚いた外国人投資家が反応するので(外国人投資家はヤミルートがないので、政府発表に反応する傾向があります)一時持ち直すでしょうが、裏をかくのが得意な人民ですからこんな小手先のことでは株式相場のテコ入れ策同様に1週間もすればまた人民元相場が下がり始めるのではないでしょうか?
株式相場は26日ころのテコ入れで一時持ち直していましたが、先週末ころからまた下がり始めました。

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