日米製造業の違い5

https://heikinnenshu.jp/tokushu/factoryman.htmlによれば工場労働者でも以下の通りに区分があるようです。

工場勤務の業種の種類を調べてみました。
製造業系だと
・自動車組み立て工場:正社員、契約社員が大半で、年収は最も高い傾向があります。
・家電製品組み立て工場:契約社員、派遣社員中心で非正規雇用が大半です。・鉄道工場:正社員が大半で、有資格所有が非常に有利です。
・家電製品組み立て工場:高専、高卒が多く、作業は流れ作業、給与水準は最も低いです。
・紡績工場:日本では零細企業ほか中小が残るだけで、新卒採用は限りなく少ないです。
・製鉄工場:現在は殆どIT化による完全自動化で、正社員技術職しかいません。
・金属部品加工工場:高卒、高専、有資格か専門技術者のみで、中小企業が9割以上です。
・食品加工工場:ほぼ正社員は少なく、非正規雇用中心、派遣社員も大多数を占めます。
・非鉄金属加工業:専門職であり、大卒、高卒ともに平均的に求人があります。非製造系・清掃工場:自治体管轄の准公務員で、年収は東京で平均年収500万円前後です。
・印刷工場:原料加工という意味で、非製造業とし、ほぼ自動化されています。

業界別の平均賃金らしき表もどこかで見かけましたが、今は男女平等主義のせいか?男女別平均賃金では表が見つかりません。
しかし、上記業種別で見れば女性工員の多そうな製造業・例えば食品加工工場は非正規中心で、家電では他業種に比べて賃金が低く、女性の多そうな職場では、非正規雇用が中心であることが読み取れます。
ジョーク的に「給食のおばさん」と昨日書きましたが、そのものズバリの表が見つかりましたので紹介します。
https://kyuryobank.com/food/kyushoku.htmlからの引用です。

給食センター(給食のおばちゃん)の平均給料
・給与  29万円

   20代の給料:21万円

   3 0代の給料:29万円

   40代の給料:34万円

   初任給:16~万円
※補足を参照ください
※給料給与統計の算出は口コミや厚生労働省の労働白書を参考にしております

学校給食センターの人件費は、いわゆる準公務員的相場観で決まっているのでしょうから、女性の多い職場の相場を体現しているように思われます。
分野別のデータ不明(個別データがわかっても加工をしないとそのママここで使えないでしょうから)のままですが、3月11に生産年齢人口の変化との関係だけ見てもその割に日本はそれほど製造業従事者が減っているようには見えません。
製造業定年後就労率(車組み立てなどある程度経験の必要な契約社員の多くは定年退職でガードマン等への再就職?)が上がっても製造業従事者は増えるはずがないので、製造業従事者比率を見る場合、高齢者や女性就労者数の増加を割り引いて考えるべきという考えで生産年令人口を喜寿に考えました。
ちなみに製造業従事者でも・・私の知っている技術のある人は、70台半ばまで京葉コンビナートでは重宝にされて働いていました。
今日の冒頭引用したように、日本で生き残っている製鉄非鉄金属加工等、一定レベル以上の「技術者」しか採用しない段階の製造業と車製造ライン従事者のように一定の経験が必要なので正社員と契約社員中心職場)としても「技術者」と言えるかの境目の人たちとの違いがあります。
トヨタ(従業員約31万です)等日本企業の多くが国民の仕事を確保するために極力国内生産を残してきたこと(そのためにも契約社員のレベルアップに努めて来たこと)が米国との差になっていると思います。
日本の場合軍需産業らしいものが育っていないので、そのぼろ儲けに頼るわけにいかず、その分いまだに20世紀型製造業のレベルアップに努めた結果、部品産業・・BTOBとして元気に活躍しています。
汎用品生産が新興国に移っても、そこの生産設備等の部品は多くは日本からの輸出産業になっている・・製造業高度化成功です。
1時世界を席巻した日本の半導体産業は昔日の面影がないと言われますが、半導体製造装置の多くは日本からの輸出によっているので、韓国や中国は日本から輸出した製造装置を運転しているだけ・・生産している事になります。
その結果、韓国は製品輸出で稼いだ分を対日赤字で食われてしまう貿易構造からの脱却縮小目的や日本からの部品供給による事実上の産業支配からの脱却のために部品の自国生産増に必死です。
この焦りが先進国知財の強奪を明記した中国製造2025計画発表→先進国一丸の怒り→その旗手としての衆望を担った?米国の制裁発動を誘うようになったと思われます。

日米製造業の違い4

例えば日本の車製造は世界屈指の国内生産を維持しているのは周知の通りですが、重電部門も健闘しています。
以下は電機大手の従業員数の推移です。
世界ランキング2位の日立の場合、過去10年でほとんど人員が減っていません。
しかも平均給与が800万円台です。
https://heikinnenshu.jp/kininaru/hitachi_p.html

日立製作所の年収の平均は、834万円でした。(有価証券報告書調べ)
年度別の年収は
平成28年:850万円
平成27年:868万円
平成26年:861万円
平成25年:827万円
平成24年:802万円
平成23年:800万円

ここ数年での年収推移は800万円(最低)~868万円(最高)となっています。
給料:基本給27万円 各種手当12万円 合計39万円 賞与140万円(年2回)
正社員で働く20代の男性

ソニーはストリンガー氏の時には散々でしたが、ここのところ復活して業績が良いですが、アメリカ式経営で人員減で本社ばかり肥大している印象を書いたばかりですが、以下のグラフで見ても人員減少が続いていることがわかります。
しかもソニーのデータに入ると、生保・金融やエンターテイメント等のサービス系で従業員が増えていて、アメリカ式精神?従業員の入れ替えが激しい様子です。
このように株価のグラフだけ見ていても国民にとって優しい経営かどうかはわかりません。
社会・国民にとっては生産や従業員を半分に減らして売上高利益率が5%から10%になる→法人税が少し多くなり高額所得者が気休め的に寄付金で財団を作り、スープを配給したり失業者等への生活保護に回すよりは、売上高利益率が3%に下がっても生産量を増やし、従業員を50〜100人増やしてくれた方がいいのではないでしょうか?
https://www.google.com/search?q=日立製作所の従業員数推移
更新日 : 2018年10月31日

「日立製作所の従業員数推移」の画像検索結果

https://shukatsu-mirai.com/archives/33800
日立製作所の平均年収と生涯賃金|年齢別・役職別の年収・月給・ボーナス推移と業界比較

「日立製作所の従業員数推移」の画像検索結果

生産年齢人口比・約8000万→7200万=約1割減で、製造業従事者数の減少率が約27%ですから製造業比率が17%しか減っていないと言えるでしょうが、上記の通りソニー1社を見てもどの分野が縮小したかが重要です。
アメリカで製造業従事者比率が20%から8%になったと言うのと比較するには産業構造の変化その他の基礎数字の比較がないとはっきりしません。
例えばこの2〜30年では弁当等の製造工場が増えていますが、彼らも製造業従事者になるとしても多くは非正規の可能性があるし、(学校給食のおばさんと変わらない?)日立等でイメージする平均800万の年収とは縁遠い低収入でしょ

日米製造業の違い3

生産年齢人口のグラフを見ていきます。

https://bizhint.jp/keyword/27639からの引用です。
2018年10月26日(金)更新

生産年齢人口の推移

1880年頃の生産年齢人口は、上記グラフによると約8千万人で、17年ころはグラフ上で見ると約12分の11、5くらい・・7500万前後です。
17年の実数はグラフでは不明ですので日経の記事を引用します。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32867410R10C18A7MM8000/
2018/7/11 17:15 (2018/7/11 20:03更新)

総務省が11日発表した住民基本台帳に基づく2018年1月1日時点の人口動態調査によると、・・・
主な働き手となる15~64歳の生産年齢人口は7484万3915人。全体の59.77%にとどまった。
・・外国人人口は過去最多の249万7656人で前年比7.5%増えた。

昨日見たように80年から17年までの40年近くでトータル製造業従事者約550万人減ですが、その間の生産年齢人口が500万減ですから、製造業従事者減と人口減の数字がほぼあっている・・生産年齢人口で見れば、人口減分だけ製造業従事者が減ったことになります。
しかも上記生産年令人口には外国人250万人も含まれていますが、80年には外国人労働者がほぼゼロ・その頃から風俗系女子がいたように思いますが、製造業従事者数推移に関係ない数字です。
男性労働力として外国人労働力は純増です。
外国人労働力は、研修生やアルバイト中心で製造業で正規社員になる人は稀ですから、製造業従事者がどれだけ押し出されたかの推移を見る場合にカウントする必要がないでしょう。
80年から17年までの日本人の生産年齢人口の推移としては外国人の生産年齢人口を差し引いて考える方が合理的と思われます。
外国人全員が生産年齢人口でないとしても、多くは働き盛りの留学生や研修生等であって、幼児高齢者は少ないので生産年齢人口比が高い筈です。
仮に生産人口比率が8割とすれば、200万人が含まれていることになるので、80年以来の日本人労働力推移としてはこれを現在日本の生産年齢人口から差し引く必要があります。
7484万から200万引くと80年からの日本人だけの推移としては8000万から7284万に(約716万)減ったと見るのが正確でしょう。
日本人生産年齢人口が40年間弱で716万減った間に製造業従事者が550万減ったとすれば、リストラ等による不本意退出が少なく、定年等による不補充が大方の傾向だったように見えます。
ただ、これも男女別の統計をみないとはっきりしないとおもいます。
一家の大黒柱とされていた男性中心の製造業工員削減→転職後非正規に変わることによる技術伝承の断絶や家計収入大幅減が社会問題になっているのを勘案すると、男性工員減少の実数を知ることが重要です。
製造業といっても家電系の工場では大量の女子行員が働いているのが普通でしたが、(私は昭和40年代はじめに川崎市の南武線沿線に住んでいたことがありますが、当時は富士通、NEC、東芝など一駅ごとに大規模工場があって、大量の女子行員の独身寮が存在する時代でした。
千葉でも20年ほど前までは事件相談などで東金だったかソニーの下請け工場に働いているという女性がいましたし、2年ほど前の事件でも茂原あたりのやはり工場勤務の女性がいましたが、半導体電子部品関連では手先の器用さが必要なので女子工員が意外に多く働いていますが、多くは家計補助程度で主役ではありません。
このシリーズのテーマ・・格差拡大視点で考えると、女性工員が介護に転職しても家計収入はそれほど変わらないし技術伝承途絶の心配もありません。
重要なのは、一家の柱として4〜500万の年間給与を得ていた男性工員がリストラで配送やサービス業などへの転職の比率でしょう。
このように考えると製造業従事者の推移としても男女別推移が重要で、製造業という大雑把な括り方統計自体に無理があることがわかります。
男女別統計がすぐには見当たらないので日本で男性が主に従事する製鉄(関連産業)や化学系工場〜発電(重電系)車製造ライン等々での製造業がどの程度のスピードで衰退縮小しているかで見た方が良さそうです。
(男性が家計を支えるという意識自体徐々に薄れていますが「今までのところ」まだ重要ですので、これがどうだったか?という意味です)
一般的にいって、新興国へ移りやすい職種は女性工員の多い分野(イメージしやすいのは何千人と働く深圳(今はバングラデイシュ)の縫製工場やおもちゃ製造あるいは家電組み立て・半導体工場など労働集約系)から始まるように思われます。

日米製造業の違い2

GMの国内5工場閉鎖発表は、閉鎖による国内イメージダウン・トランプ氏による報復のマイナスや消費地としての国内市場規模よりも国外で戦えるかどうかの判断の方が重要とみたのでしょう。
本田の英国工場閉鎖発表が大騒ぎになっていますが、本田の場合、英国にとって外資そのものですから、英国内に工場を持つメリット(英国内にある方が英国内では売りやすいでしょうが、EU全体への売り上げを見込んだ工場維持ができるかです)デメリットの帳尻の問題であることが分かり良い例です。
これが英国最近のヒット企業である(せっかく世界企業に育ったのに?)掃除機で知られるルンバがシンガポールに本社を移すという決定になると英国民も複雑な気持ちのようです。
消費の将来性としてアジアが有望・本社(商品開発や意思決定の迅速さのために)もアジアにおいた方が合理的という発表のようです。
アメリカに戻しますと、「レベルの低い国民はお荷物なので早く出て行ってくれ」とまではっきり言えないので、国内製造業を守れとキャンペインしていると思われますが、アメリカの政策方向から見れば、大量雇用する必要のある製造業・3月5日に紹介したようにGMはアメリカ本籍の企業でありながら、(実質用済み扱いされているから?)トランプ氏に脅されても米国工場閉鎖を決めたのです。
自国内にとどまって自国企業としての保護を受けて優遇されるよりは、世界(よその国・市場)で堂々と戦う方が合理的という企業があっても不思議ではありません。
3月3日には中国企業自体が大量生産部門をアフリカへ移転している実態を紹介しました。
アメリカで残っている製造業でもハイテク製品は別として車生産等旧来型製造業は時代の寵児ではない・・肩身の狭い思いをしているのでしょう。
日本人の価値観は一人で巨万の富を稼ぎ、大金を寄付してばらまく・/貧乏人をフードスタンプの行列に並ばせるようなあり方には拒否感の強い社会です。
アクまで皆ですり合わせて良いものを作り、(自己の手柄にせず「皆様の協力のおかげです」という)世界に貢献したい人が多い社会ではないでしょうか?
米国製造業従事者比率を80年台と足元?の比較(20%から8%へ)を3月1日に日経新聞記事を紹介しましたが、日本製造業従事者数の変化がどうなっているかを見ておきましょう。

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0204.html

 

上記引用グラフでは、日本では全労働者に対する比率は80年の約35%から17年の約18、6%へ下がっていますので、アメリカの20分の8より減少率が少ないのですが、、この間女性と高齢就労者が増えたことが重要です。

アメリカも同様の理屈がなりたつでしょうが、日本の場合、増加分の多くが女性高齢者の労働参加の進展・保育や介護その他サービス業の需要があってその方面の就労者が増えたのです。

(現役の工場労働者が吐き出されて慣れないサービス業に押しかけたのとは違います。

全産業に占める製造業従事者比率の変化ではなく、製造業従事者がどれだけ減ったかの減少比率が重要です。

グラフのコピー拡大率によって違いますが、80年では3、5センチ(約1、8センチ1000万人)で約2000万人あまり、17年では2、8センチですから約27%(約550万人あまり?)しか減っていません。

アメリカの実数減少率が不明ですが、日本の場合工場労働者数自体(実数)があまり減っていないようです。

日本では、生産年齢人口の減少過程に入ってから逆に就労者数が増えているので、生産年齢人口比・特に男性で製造業従事者比率がどうなっているかが重要でしょう。

(この間に増えたのは製造業向きではない女性と高齢者ですからサービス系需要が増えたのは、受け皿として好都合でした)


日米製造業の違い1

アメリカだって今後はレベルの低い人を減らして民度アップする重要性に気づいていたでしょうが、それが形になって現れたのがオバマ政権の不法移民に対する・・処遇変更政策であり、大分前から取り組んでいた(技能/留学ビザその他細分化した)移民の絞り込み政策の強化でしょう。
移民のレベルアップ再教育には帰属意識が重要ですから、(いつまでも不法扱いではヒスパニック系では英語すら学ぶ気持ちになれない・警官に対する反感の強い人が多いことを2月末頃にレポート引用で紹介しました)帰属意識が生まれないからです。
これに対してトランプ氏の反移民政策は、新規流入阻止程度の生ぬるい施策だけではなく(人手不足の時には目をつぶって不法滞在を利用してきたが・・)既存単純労働移民の面倒を見きれない・・簡単に切り捨てたい意識が表面化してきたように見えます。
国民として負の遺産の再構成・再教育に取り込む気持ちの程度は企業のありかたに現れます。
日本企業は従業員の社会不適合を防ぐために、しょっちゅう社内研修していますし、仮に環境激変で企業全体の操業率が下がってもすぐに解雇しないで社内失業として抱え込んで切磋琢磨して時節到来亜を待つのが普通です。
アメリカの場合、社内失業で抱え込まないでドンドンレイオフするのが普通であるのと同様に、国全体でも彼らの面倒を見るための再教育などしてもジェット機やロケット製造に関与させることは不可能・・手間暇かかっても大した効果がないので「ボランテイア資金程度は出すが、国策として再教育などやってられない」とばかりに、「不法移民」として「追い出し政策」に転じたと見るべきでしょう。
アメリカの場合、AGFA(Apple, Google, Facebook, Amazon)アップルやグーグルフェイスブック等を見ると、中間人材など歯牙にも掛けない・・世界トップレベルの頭脳を持つ人だけが人間らしく創造に参加し働ける社会を理想としているように見えます。
February 19, 2019にアマゾンの第二本社設置に関してニューヨークの反対を紹介したように、今やAGFAその他最先端系世界企業は本社部門が巨大化しています・日本でもソニー本社ビル群の威容には驚きますよ!これに対し従来型製造企業ではトヨタ東京本社(本拠地にはもっと立派なビルがあるのでしょうが)も簡素なビルが1棟ある程度の簡素なものですし、ブリジストンが数年前から本社ビル建て替え中ですが世界企業といっても本社ビルが1棟あれば良い程度です。
アメリカではその他の労働者はロボットのように(工場ロボットが代替するまでのつなぎとして?)働かせればいいという社会を構想しているように見えます。
軍事でいえば無人機が開発されていますがゆくゆくはパイロット不要・・無人ロボットを開発し操作する国防省本部の機能は巨大化しますが、ネット上の指示・ゲーム機を操作するような戦争になっていくと末端兵士はいりません。
大規模戦が終わった後の現実の現地支配にはアナログ対応・・人間が必要ですが、(今のアフガンで苦労しているように)リスクが大きいので現地支配を志向しないで、空爆ロケット攻撃を際限なく繰り返しほぼ無人地域にしてしまう・ジェノサイド目的であれば消耗率の高い現場兵士も不要ですから、今後その方向に行くおそるべき時代が到来する可能性があります。
1億日本人生存数が10〜20万前後になってからの占領開始ならばゲリラの心配がありません。
中露米は本質的に「やっていいことといけないこと」の価値観が低い民族歴史ですから・(ストッパーが低いので)圧倒的戦力を持てば・・あるいは先制攻撃次第で圧倒的立場を握れるとすればそこまで行く可能性が高いでしょう。
話題がそれましたが、国を挙げて一刻も早く(競合企業に先駆けて)ロボットに代替して人件費を減らす方向こそ正しいと考えている以上は、わずかな底上げ努力をすること自体が「無駄」という発想でしょう。
産業構造を40点の仕事から45点のちょっと難しい仕事に引き上げるならば国民も努力のしがいがあるし、周りも応援しやすいのですが、(職業訓練校の仕事です)いきなり航空機やロケット製造あるいは、(パソコン作業できるように教育するのでなく)AIプログラム作成の中核作業要員にレベルアップしろというのではみんなが尻込みしてしまいます。
本音は切り捨てて追い出す目標の不法移民相手に膨大な教育資金を投じる予定が企業にない以上(企業精神=国民の生き方ですから)政府もその気がないのは当然の帰結です。
母国に追い戻すまでの収容=シェルターとすれば、安定的住居供給に踏み出さない・公営住宅建設を一定率でやってるでしょうが大規模供給に踏み切らないのは、論理一環です。
以上アメリカのホームレス対策と原因を見てきましたが、日本も国際競争についていけない人が徐々に出ている点は同じで、これを生活保護で吸収したので路上生活者が減少しただけで、貧困問題の深刻さは変わらないという意見があります。
脱工業化社会への変化についていけない底辺層をどうするか?については深刻さには温度差があるとしても、日本も「アメリカの後を追うはず」という意見が普通・各種レポートも「いつか日本の辿る道」というイメージを基にした紹介が普通です。
そうなるでしょうか?
一つには排除論理のアメリカと違い日本は包摂論理の国であり、これがホームレスを生活保護等で受け入れる政策対応の違いになっているし、労働分野では時代不適合を起こさないように社内教育に力を入れています。
製造業の占める比率が下がる傾向にあるとしても、日本はアメリカのように格差が大きくなく縮小率が激しくありません。
アメリカが、例えば戦闘機やロケットミサイル製造のような超高度精密品さえ国内で作れれば良いと決めている(訳ではないとしても)場合、製造業で養える国民はほんのちょっとになります。
金融も同様で、日本の銀行のようにマメに足を運んでの要望を聞いて歩くのではなく、国際金融取引、トレーダーや、金融工学的新商品創出できる人材だけが必要となれば、ほんの少数の人数で何兆円と動かすことが可能です。
金融取引では一人で5兆円を動かしても百万円を動かしても手間暇は同じです。
金融取引等エリート中心に据える米国経済界にとっては、役立たずの巨大人口はお荷物になっていると思われます。
(巨大企業も消費される必要があるので国内市場も重要ですが、世界を市場とした場合、よその国の消費者生活の面倒をみる必要がない・いいとこ取りできるのですが、自由貿易が進み内外平等が進めば国内企業のメリットがそれほどないので、経営上不合理な協力を求められるなら他国に本社を移すという選択が起きてきます。)

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