新興国市場(韓国ケミカル業界の現状)

韓国を含めた新興国市場(別名エマージング市場と言われる所以です)は成長が急激な代わりに政変を含めて危機も急激(ナセルによるスエズ運河接収など権力者の決断に左右されやすい傾向があり、他方大国に対して威勢の良いことを言うものの逆に大国の金融政策その他(米中対決など)の影響が増幅されて波及しやすい)ので、外資にとっては如何に速やかに進出撤退できるかが重要です。
結果的に韓国資本市場が「足の速い資金」流入が中心となっているとしても、新興国市場の特性であり止むを得ないところです。
韓国への資金流入が直接投資の場合定着性が高いのですが、足の早い資金中心の場合外貨準備が増えたと言ってもその分外資流入比率・リスク資金率が上がっただけの場合があります。
結局直接投資が増えているのか減ってるのかが韓国将来性を投資家どう見ているかの指標となります。
新興国市場とは新興→リスクも大きいが成長も激しいのが特徴です。
https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E8%88%88%E5%9B%BD%E5%B8%82%E5%A0%B4-183672の用語解説は以下の通りです。

経済発展の初期にあって成長率が高いアジア、東欧、ラテン・アメリカなどの国々の証券市場を指す。代表的なものは、BRICsと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国の市場。いずれも高い経済成長率を誇り、世界中から投資資金を集めた。しかし、規模や制度面などから見るとまだ全体的に未熟な段階の市場が多い。
また国内に十分な投資家層が育っておらず、規模が比較的小さい市場も多い。このため、海外からの資金の流入や流出で大きく株価が変動するリスクがあり、先進国の経済動向や金融情勢に影響を受けやすいという脆弱(ぜいじゃく)さが指摘されている。
(熊井泰明 証券アナリスト / 2007年)

韓国市場に関する約10年前の記事ですが
https://www.iima.or.jp/docs/gaibukikou/gk2009_07.pdfによれば以下の通りです。

資本市場月刊

アジア株式市場のいま
財団法人 国際通貨研究所開発経済調査部主任研究員糠谷 英輝
・・・月刊資本市場 2010.3(No. 295)66

存在感の大きな外国人投資家
投資家別の株式保有シェアを見ると、個人、事業会社、外国人がそれぞれおよそ30%を占めている(図表10)。また投資家別の株式売買シェアを見ると、ここでも個人が49%と圧倒的なシェアを持ち(注6)、これに外国人がシェア27%で続いている(図表11)。いずれにしても機関投資家の存在感は極めて薄く、株式市場は個人と外国人に大きく依存していると言えよう(注7)。■3.韓国株式市場の特徴韓国株式市場の特徴としては、外国人投資家の存在感が極めて大きく、国内機関投資家の育成が遅れていること、店頭市場であるKOSDAQが国際的にも大きな市場となっていること、ELW(Equity Linked Warrants)・ETF市場が急速に拡大していることなどが指摘できよう。
〈コラム〉「韓国は先進国か?」
・・・モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の指数では、韓国は新興国(Emerging)とされている。MSCI指数における韓国の先進国への格上げは期待されているが、未だに実現には至っていない。MSCIは、韓国市場の障害として、通貨ウォンの交換性がないこと、外国人投資家がOTC取引を行えないことの2点を指摘している。

どこか別の説明では韓国はこの定義中、メキシコやインド等のネクスト11に入っているようです。
ここで個別銘柄・ハンファケミカルの企業情報を見ておきます。
https://korea-keizai.com/hanwha-chemical/

韓国経済・COM
ハンファケミカル【企業基本情報】
2019/01/07

図表省略しますが18年を15年に比べれば良いですが16、17年に比べると18年はかなりの売り上げと利益減です。
19年に入るとハンファに限らず化学業界全部が約半減状態らしいです。
https://korea-keizai.com/20190408petro-chemtech/

【業績速報】ハンファケミカル営業利益半分
2019/08/07
第2四半期の営業利益976億ウォン、 前年比47.1%減少
基礎素材の不振、太陽光の実績も期待に及ばず

1Qの当期純利益 LG化学53%↓、ロッテケミカル43%↓、ハンファケミカル56%↓
国内の石油化学業界が、市況がなかなか回復せず、第1四半期の業績が低迷する見通しだ。証券会社各社はLG化学、ロッテケミカル、ハンファケミカルなど石油化学企業の第1四半期の営業利益を前年比最大50%まで減少するだろうと見込んだ。

上記業界全体の業績推移を見るとハンファが日本での起債に失敗したのは、日韓関係悪化にのみ帰する訳にはいかないでしょう。
そうとすると米国での起債計画やり直しは、よほど金利を高くしないとまた失敗してしまうリスクが高まります。
国外資金調達に失敗して国内緊急融資に頼るとしても、業界全体が利益半減状態では、特定企業救済では済まない・業界全体で外債の借り換え債発行がスムースにいかない・救済問題になりかねないので韓国全体の金融能力にかかってくるリスク→為替相場への波及も視野に入れる必要が出てきます。
米中対決がどのようになるかによっても新興国市場に波乱が起きますが、韓国の場合最早新興国を卒業しつつあるのではないか?
停滞国へ逆進が始まっているかの疑問で書いています。

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