欧米と日本の対応6(欧米の移民受入れ3)

移民の推移については以下の記事から引用します。
グラフをそのまま引用し難いので解説文字だけの引用です。
グラフなどご覧になりたい方は如何に直截あたって下さい。
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/1171.html
「人口動態の推移から、近年、ヨーロッパ先進国で移民流入が増加していると見られる点について図録1172でふれた。先進国全体では図録1171bで見た通り1990年頃を境に増加テンポが早まっている。ここでは、直接各国の移民人口の比率がどのように推移しているかの図録を作成した。」
「図を見れば、いずれの国でも移民人口の比率は上昇傾向にあることがよく分かる。欧米の多くの国で10%以上の高い水準に達していることが分かる(図以外の国を含めて最新年の移民人口比率については図録1170a参照)。」
上記図によれば、イギリスなどでは、移民比率が12〜3%に達していますが、移民して来るのが、男女共に働き盛り若年層が多いので、(元々の国民の場合、人口の過半が小さな子供や老人,家庭内の主婦層ですから)実際に町中で見かける人口比では、2〜3倍以上ですし、その上異民族の場合生活態度や発音から目立ち易い印象になっているでしょうから大変なインパクトです。
日本でも(住宅街で)中国人数人が自転車等で大きな声で話しながら通ると言語からして違うので、実人口比以上に非常に目立ちます。
京都など観光地に行くと(実際には日本人の方が圧倒的に多くとも)中国人ばかりかと間違うほど賑やかです。
欧米の移民受入れ急増時期を年代的に見れば、欧米で進行した少子高齢化進行の緩和目的もあったでしょうが、90年代以降ですから、まさに中国による低賃金競争の影響が出て来た頃と同時期に移民受け入れが急テンポになったことが読み取れます。
若年層を増やして若年労働力が人口比の見かけだけ一時的に増えても、問題解決を先送りしているだけであって、低技能労働者が高齢化し始めると(底辺層は高齢化してからの生活費・・最低の年金掛け金・・貯蓄が不足するのが普通です)増えると社会保障負担が増えてその次の世代が経済的に困窮して行きます。
20世紀に入って以降の欧米の歴史をみると、外部環境の変化に対し日本人のように適応努力しないで、外部環境を整備し直せばいいと言う対応であったように見えます。
テストのカンニングがバレたら、今度バレないように工夫する対応です。
日本では万年以上前の縄文遺跡・文化の延長上に現在日本があり、有史以来古い文物をそのまま大事に修復して継承してきましたが、日本以外の世界文明発祥の地がいずれも荒れ果てた砂漠になっていてその継承者達は今でも環境を破壊し尽くせばゴーストタウンにして移住する習慣で来たのとの違いです。
現在中国も飲料水がのめなくなるとこれを解決するよりは首都移転や長江から水を引っ張って来るなど外部環境整備が計画されています。
日本が台頭すれば日本を叩き潰せば良いし、資源が枯渇すれば資源国を支配すれば良い(イラク戦争など)・・普通の英国人が植民地に行けば多数の現地人を奴隷のように使える状態・・植民地を失えばその代わりに自分が働くようにならず、旧植民地の人民を超低賃金でベビーシッター等として本国に取り込んで使う・植民地支配の内部化です。オリンピックなどで「どうだこんなスポーツ出来ないだろう」と威張っていたら日本が参加して来て負け始めるとルールを変える・・それでも間に合わなくなって来るとアフリカ人などを自国選手に登録して自国の金メダル獲得数を誇る・・移民に働かせる製造業のハシリです。
自分が強いときには「自由競争が良いぞ!と主張しておきながら、戦前日本に負け始めるとイキナリ植民地を利用した経済グロック化したり、ブロック化がイケナイとなるとEUと言う疑似国家的組織を作り、内外格差障壁を人工的に作り人件費競争に負けると低賃金の移民を入れるなどやってきました。
米欧のやり方の共通項として言えることは、自分自身が改善努力をする気持ちがあまりない・・もしかしたら改善する能力がないのを知っているから外部環境を変える方向へ努力して来た歴史と見えます。

欧米と日本の対応5(欧米の移民受入れ2)

間にいろいろ書いてしまいましたが、7月2日に書いた北海油田による西欧復権との関係のデータを紹介します。
北海油田に関する7月2日現在のウイキペデイアの記事によれば以下のとおりです。
「原油推定埋蔵量は130億バレル。日産約600万バレル。1960年にイギリスが開発開始。次いでノルウェーが開発に乗り出す。ノルウェー南西沿岸のスタヴァンゲルとイギリスのアバディーンは石油産業で発展し、イギリスは1980年代から石油輸出国となった。イギリスは2014年現在でもEU加盟国最大の原油生産国ならびに原油輸出国であり[1]、ノルウェーはロシアを除く欧州最大の原油生産国・輸出国で、原油生産量は2013年現在で世界第16位[2]、石油輸出量は2010年現在で世界9位である[3]。」
「イギリスの鉱区では、石油生産量が1990年代後半にピークを迎え、その後は既存油田の成熟化に新油田の発見が追いつかず徐々に減少している。 1981年~2005年の間、原油の純輸出国であったが、2005年以降は純輸入国となっている」
上記のとおり、イギリスは約25年間資源輸出国として潤ったことが復権に繋がったのですが、北海油田の枯渇(2005年以降イギリスが原油輸入国に転落・・輸入代金を払う立場に変化)が始まりこのボーナス効果が徐々に減ってきました。
資源特需による場合製造業等の一般産業の実力以上に国際収支が良くなるためにポンドが割高になり却ってその他産業が蝕まれて行き・・若者の職場が奪われて行きます。
まして同時期に中国の改革開放・市場参加が進み始めた頃です。
上記原油輸出最盛期にあたる1992〜3年頃に1週間ほど家族でロンドンへ行ったときの光景では、日本とはまるで違う活気のない都会・日本で言えば地方都市レベルのイメ−ジでした。
他方で中国の改革開放以来始まった超低賃金競争(原油輸出でポンド相場が上がるとイギリスの賃銀が国際的に割高になります)対応(その他高齢化対策その他)のために移民導入策が続きました。
移民導入+ポーランド等の低賃金国のEU取り込み政策(EU東方拡大)は、アメリカの移民導入による絶え間ない労働者供給策とも一致しています。
アメリカが物量作戦で2度の大戦で存在感を発揮したことから、戦後ずうっと農地に始まって・資源力+大量生産大量消費(人口大国化)・・「大きいことは良いことだ」と言う間違った思想が世界中ではびこっていたことが分ります。
この辺の意見は、この後で日本の対応として書いて行く予定の
「アメリカ式資源+大量生産の挑戦に同じ土俵で競争するのではなく逆に量が少なくともおいしいトマトや果物、牛肉・その他を作るのが良い」
と言う基礎的意見を前提に書いています。
安物の絵を1000枚積み上げておくよりは、心に響く一枚の絵を飾った方が良いと言えば分りよいでしょうか?
以前書きましたが、中学生の頃のアメリカの人口は2億以下の人口でしたが今では三億3500万人(以下のデータとちょっとあいませんがどかでこう書いていましたが・・)にも増えているのは、アメリカ自身も中国に負けない大規模市場を維持するために移民導入で対応して来たことが分ります。
世界ネタ帳http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=LP&c1=US&c2=JP
によると1980年には227.62(日本116.77)→2016年には324.33(日本126.54)となっていますので、対日本比の増加率の差は半端ではありません・・この差は移民流入によるものです。
日本のように60歳前後でなくなっていた人が90代まで生きるようになって・死ぬ人が減って人口が増えているだけですと、せいぜい1割くらいしか増えませんので、同期間に約1、5倍になっているアメリカの場合には社会増によることが明らかです。
日本の高齢化進行が世界一早いと一般に言われていますが、高齢化は社会の豊かさの進行に比例するのがふつうですから、欧米の方が日本よりも早くから少子高齢化が進行して来た筈です。
グリンスパーン元議長やキッシンジャーあるいはジョージソロス氏などみんな超高齢者であって高齢化は日本の専売特許ではありません。
実際私の中学生の頃には、フランスが人口減に悩まされていると言う報道が頻りにされていました。
アメリカでも早くからフロリダあたりに高齢者が移住する現象が知られていました。
西欧の少子高齢化がマスコミで言われなくなったのは,主に旧植民地であるアフリカや中東からの移民を受入れるようになってからです。
欧米に比べて日本の長寿が目立つのは、日本の食生活・公衆衛生環境が良いだけではなく、健康管理能力が低く先進国に住むようになっても1世代目には長寿社会の恩恵を受けられない若年移民の比率が少ない面も大きいでしょう。
アメリカの場合以前から移民受入れ大国だったので移民が増えていることが目立たなかっただけで、実際にはベトナム戦争以来アジアから移民を大量に受入れてきたので、急速にアジア系移民が増えています。
以下https://ja.wikipedia.org/国勢調査の結果からアジア系移民比率部分だけコピーします
 人種   2010年      2000年          増減 
     人口   割合    人口   割合     人口  率

アジアン  14.7  4.8%   10.2   3.6%      4.4  43.3%

僅か10年間でアジア系比率が4、5%も上がっていることが分ります。
欧米では、賃銀の国際平準化に対抗するために移民を入れて低賃金競争をしたのと同様に、少子高齢化問題にも日本のように正面から向き合うことなく、移民=若年層中心ですし、しかも出生率の高い移民流入で人口減を補う政策で誤摩化して来たことが分ります。

欧米と日本の対応4(欧米の移民受入れ1)

EUの理念が仮に貿易自由化促進だけならば自由貿易連合で足りるのであって、EUを結成努力する必要がないし・・イギリスが出て行っても大騒ぎする必要がない筈です。
今回のイギリス離脱決定に対して「その恩恵がなくなるぞ!」と(EUの意向を受けている?)マスコミがしきりに脅していることからも、グローバル化よりも市場規模強調=域内外の差別化造りを優先して来たことが明らかです。
こうした発想によって、中国巨大人口→将来一人当たりGDP上昇→巨大市場参入の誘惑に目がくらんだEUがAIIBに尻尾を振って参入し、中国の解放以来中国寄り(中国の意を迎えるために反日に陰で協力する)政策を推進して来た原因です。
イギリスのEU離脱論は、金融市場運営で生きて行くのを棄てる訳ではないようですから、EUの外に出ても日本やアメリカがEUと貿易しているように自由貿易協定でEUを含めた世界と交流して行けば良いのじゃないかと言う意見とすれば、グローバリズムに対する反発ではありません。
むしろ、グローバル化進行意見とは関係なく・・貿易自由化・グローバル化推進することと、(出張で人が来るのは構わないが)多民族混在まで強制される必要がないじゃないか・・移民制限論に本質があると言うべきです。
EUを出て行くならば、元々外にいる米日、中韓などより不利に扱うかのような脅かし・・世界混乱を強調するマスコミ報道は、世界正義を標榜するEUにとってマイナスイメージ・・逆効果であることは確かです。
イギリス人にとっては、日米中韓など諸外国と同じ扱いで良いから、日常生活まで大陸諸国の多数決で強制されるよりもマシと考えるのは1つの合理的選択です。
大きな屋敷で肩身の狭い窮屈な生活するよりはアパートの小さな1k〜2DKでも自由な生活をしたい人の方が多いでしょう。
EUやマスコミの興奮を見ると家を出てアパート生活をしたいとオヤに言ったら、二度と実家の敷居をまたがせないとオヤが怒っているような印象です。
氏族共同体〜大家族でないと生きられない社会から、核家族+親戚の緩やかな連帯→少数で生きて行ける社会→単身(もっと弱い身障者も老人)でも不自由なく生きて行ける社会への変化こそが、人としての自由度の尺度ではないでしょうか?
企業も従業員数や売上高、生産力など大きければ良いのではなく、利益率・社会貢献度など内容が問われる時代です。
西欧諸国は2度の世界大戦で疲弊し尽した状況でしたが、このときに急速に力をつけて来た新興の大国・中国アメリカ,ソ連はいずれも従来基準の想定・・西欧近代に相争って来た国家基準を越えた巨大領土・人口の大きさを伴うものでした。
これからは規模の時代・・マンモス・大量生産大量なんとか・・・「大きいとは良いこと」だと言う思想が普遍化したことが分ります。
大きさで対抗しようとする発想に取り憑かれて始めた西欧同盟創設運動時の理念・・70年前の時代遅れの思想のママ、これを(「戦争の災禍をふせぐため」と事実に反した思想にすり替えて美化して)未だにやっているので、ガタが来たのでないでしょうか?
マスコミはきれいごとの理念・戦争の災禍を免れるためにと言うきれいごとを並べますが、第二次世界大戦後西欧内の国と国の戦い(例えばもう一度独仏間で戦ったとしても地域限定紛争でしかなく世界大戦を起こす力など最早ありません・・。
世界平和のために「米ソにやめろ!と脅されると相互の兵を引くしかない弱小国です・・英仏連合軍のスエズ侵攻時にソ連による核攻撃の脅しで英仏両軍は1も2もなく引き下がった例を想起すべきです。
EUの前身・・欧州同盟必要性の思想は、コミンテルン・・ソ連の世界革命戦略・・侵攻される恐怖に対抗するために欧州の団結が必要になったに過ぎません。
アメリカも対ソ戦略上西欧を応援するにしてもバラバラでは小さ過ぎるのでまとまって欲しいでしょうから西欧の希望と相俟ってNATOを結成していたのですkから、ソ連崩壊によって防衛の必要性がなくなった時点で本来お役御免になっても良かった筈です。
ところがソ連崩壊後もNATO軍は拡大の一途です。
これがウクライナ危機を増大させた元凶です。
今なお19世紀型軍事力による世界への影響力行使誘惑(リビア空爆や。シリア内紛激化の後押しなど)を棄て切れない西欧の意識の古さが分ります。
強い国が隣国を侵略したのを防止するために兵を出すならば分りますが、リビアの場合内政問題で一方勢力を支持するためにNATOが空爆するのにどう言う大義があったのか不思議です。
「大きさこそ力」という時代遅れの西欧の発想が今でも中国に対する畏敬の念・・基礎信条に繋がっています。
今では組織の大きい方が組織維持が難しく自己瓦解リスクが高いと思うのが普通です。
同じ素材で同じ太さの鉄骨等を使った2階建てと7階建ての建物があれば、2階建ての方が地震にも強いように、素材や組織管理能力が同じならば、能力比大きな組織や図体の方が脆弱です・・目一杯・最大限大きくした組織の方が変化に弱いのです。
マスコミによる、イギリスEU離脱国民投票結果に対する一致した脅し方を見ると、余程衝撃が大きいのかな?の印象で国民投票直後から書いてきましたが、7月1日あたりからイギリスの株価が急反発始めたことは、マスコミが一致して宣伝すれば何でも出来る訳ではないことが証明されたことになります。
経済分野の場合、市場原理に反した意見をマスコミを通じて垂れ流しても長続きしません。 
この辺は、1昨年に安倍政権が消費税増税延期を決めたときに財務省やマスコミの意を受けた格付け会社が、すかさず日本国債を格下げしてもその逆に国債価格が上がって格付け会社の方が信用を落としたことがありましたが、同じ繰り返しです。

少子高齢化と移民増の功罪

マスコミは日本への外資進出や外国人利用が少ないとしきりに宣伝していますが、優秀な人材活用してこそ意味があるのであって、下層労働者導入では平均値が下がるしゾンビ企業救済のために資本を入れても意味がありません。
今朝の日経新聞3pには選手強化に失敗し低迷しているイタリア名門サッカ−チーム「インテル」が中国資本を受入れることになったと報道されています。
買収側は、自分の抱えている中国チームとの交流を通じて中国チームのレベルアップやブランド(知名度)アップしたいと言うので合理的です。
被買収側は新たにはいる資金で選手強化が出来ると新聞が書いていますが、・・その資金は売り主=元の株主の懐に入るのであって(チームにははいりません)その株主はうまく売り逃げただけのことではないでしょうか?
シャープ買収で言えば株式相場の下落が止まって株主が助かり、元々貸していた銀行が回収出来た→ホンハイの保証で新規事業をするための融資に応じてくれる可能性が出たのと同じです。
シャープに資本がはいる安心感で人材確保出来るどころか人材流出が始まっているように新たなスポンサーの信用で選手強化出来るかは未知数ですが、後進国からの買収側は買収先企業のトップ技術層がいなくなっても中堅層の半分でも自陣営に囲い込めれば良い・・チ−ム運営のソフト吸収などのメリット・・技術格差があるのが普通ですからそれでも充分に元が取れます。
買収される方は中国チームから学ぶものはないので、優秀な選手から順に他所に引き抜かれて却って没落が早まるでしょう。
これを経験的に証明しているのが西欧の全般的惆落です。
アメリカの場合、国内資源が豊富で資源収入があるほか資源メジャーの利権収入で補充しているので資源関係では超巨額収入がありますので、平均化されると一人当たりGDPが上がり平均所得が上がっていて、(資源保有に関係ない多数労働者との内部格差が酷くなっています・・この矛盾・・誤摩化しの不満が吹き出しているのです)国別統計では分り難いだけではないでしょうか?
アメリカもアフリカから大量の奴隷輸入し・・その後もヒスパニックなどを主とした底辺労働力大量流入によって国力維持に努めて来た、移民流入の咎め・・結果的に国民平均レベルの低下を来たしています。
私が物心ついたときに学校で習ったときアメリカの人口は1億半ば程度の記憶ですが、今では約2倍になっています。
自然増で2倍になる訳がないので、この差は移民とその多産によると推測されます。
日本の少子高齢化進行が世界最速かのようなマスコミ報道ですが、元からいる人だけ見れば欧米の方が日本より早く進んでいると見るのが普通でしょう。
正確な統計が出れば、保育所さえ増やせば良いと言う意見の間違いが分って来ます。
保育所があっても豊かになれば子供を多く持ちたがらない生物本能がある・・これが正しいのですから、保育所を増やすことによって出産増加するのは底辺所帯への誘導策・・底辺労働者増加政策と言うべきです。
所得階層別の出産数や保育所利用者の所得分布を調査公表すべきです。
多産社会にするには国民に貧しい生活をさせる・生存の危機・苦難を味あわせるのが一番ですが、それを目的にするのはおかしいでしょう。
少子化を受入れて、一人当たり生産性を上げる努力こそが王道です。
移民を増やせあるいは国内の底辺層の多産誘導政策は、貧しく社会不適合の人を絶え間なく増やば、多産者が増えるだろうと言う期待政策です。
欧米は労働力不足を移民流入で誤摩化して来ただけのことですから、正確な報道をするためには3代以上、2代目1代目かの区別による人口構成の正確な統計による報道をする必要があります。
日本人は比較的高齢者でも健康な人が多いのは元々の日本人が多いからであって、アメリカ人もエリ−ト層は70歳になってもかくしゃくとしている点は同じです。
アメリカのエリートの家と日本の中間層の家と比較してアメリカはすごいと言う誤った報道が多かったのと同じで、比較対象を敢えて取り違えて虚偽報道しているに過ぎません。
大雑把な統計になると欧米ではしょっ中底辺層の流入があるので、少子高齢化の進行が緩和されて見えるだけです。
3代前から住んでいる人だけで、あるいは年収800万円以上の階層だけでの少子高齢化進行を見れば、日本と大差ないのではないでしょうか?
もしもそうとすれば、多産社会化を主張する意見は「年収を下げろ」と言う主張と結果が同じになると思います。

資金枯渇4(流民・資金逃避と移民願望)

中国からの長短期の資金流出が始まる・・デフォルトリスクに関しては、見かけの外貨準備高よりは、債権債務の中身の分析こそが重要になってきます。
対外純債権債務の資産表は(長期資本もあまりにも内容が悪いとパナソニックやシチズンのように損切りしてでも逃げ出すので)長期的指標としての意味を無視出来ませんが、目先重要なのはいわゆるホットマネーや借入金等の短期資金の比率です。
日韓スワップ協定破棄に関連して韓国の外貨準備がアジア危機のときよりも大きいと言っても、外貨準備の内容を・・対応する負債との兼ね合いで見ないと意味がないと書いてきましたが、中国の場合も同じです。
資本自由化・外資導入が進む時代は、借金でも何でも外資さえ入れれば、いくらでも名目上の外貨準備が増えますので、プラス面の指標だけ見ても意味がありません。
緊急時に重要なのはいわゆるホットマネーですが、ホットマネーのように即時性がないとしても対外借入金の大きさは、期限に必ず返済しなければならない点では、デフォルト危険性指標としては大きな(死活的)意味があります。
韓国民も自国に見切りを付けている点は同じですが、資金逃避よりは、国外移住願望が高まっていることが知られています。
韓国の場合貿易黒字なのに(と言うよりは、国民犠牲による黒字演出の場合はこれに比例して)、国民の消費系債務や自殺増加、売春婦海外進出が増える一方ですから、言い換えれば、海外に資金を持ち出せる資金を持っている人が少な過ぎる違いでしょうか。
中国は経済危機状態になってからの期間が短いので、バブル期に儲けた人がまだ資金を持っている比率が高いことと、目先の利く人・・異民族支配に慣れていて時代動向を読むのにしたたかな人が多い違いでしょうか。
韓国の場合、アジア危機以降既に20年近くも国民犠牲・収奪オンリー経済構造で来たので、この間に国民の多くがすっからかんになってしまっている様子です。
20年近くも収奪されっぱなしで来た国民の弱さは、李氏朝鮮時代の庶民の弱さそのものを彷彿させます。
中国も韓国も歴史は繰り返されるものですから、それぞれに対する歴史認識が重要です。
中国王朝末期の流民化は同じ国内移動で簡単でしたが、今は国外逃亡するには言葉の壁もあって簡単ではないし、昔は農民でしたし歩く範囲ですから気候風土も大して変わらなかったでしょうから、避難した先で同じ仕事が出来ましたが、今では外国へ逃げても仕事は見つかりません。
韓国の場合、自分は年齢で勉強不能でも子供にはいつでも逃げられるように・・移民準備のために英語学習熱が盛んなのはこのせいです。
中国の場合、さしあたり裸官同様に資金から逃がし始めるのが(大した勉強・準備もいらないし)簡便ですから、資金逃避が国民意識を早く反映する・・中国政府発表を忠実に報道する日本のマスメデイア報道よりももっと深刻な国内意識を表していると見るべきでしょう。
外資のホットマネー(大口資金・・ゲンキン移動ではなく金融機関経由なので規制が簡単ですが・・)の移動を規制しても、国民の小口現金持ち出し・・国外資金逃避を防げません。
日本からの対中新規投資が激減していることを大分前から書いてきましたが、パナソニックのように進出済み企業でも大損してでも中国撤退を決める企業まで出て来ました。
これも古代からの命がけ流民化の現在企業版です。
6月2日の日経新聞朝刊2pには、「逃げるしかない」と言う大見出しでシチズンその他の企業が中国南方の工場地帯から、大損して撤退している状況が大きく出ています。
良く言われているように中国では撤退しょうとすると日本人が拘束されるので撤退が容易でないと言われていましたが、今では何十億投資した工場設備1式を僅か1万円前後で撤退屋と言うヤクザまがいの組織に売り払って、一切を任せて逃げて来る実態が書かれています。
「命が欲しければ裸で出て行け」(「命が惜しければ身ぐる脱いで・・」江戸時代のもの語りに出て来る追い剝ぎ同様の中国商法です・・)と言えば、資金の海外流出を防げるでしょうが、これでは次の投資をする企業が減るのは当然です。
続けて6月3日の朝刊2pに今度は大連の状況が出ています。
「逃げたいなら逃げろその代わり逃げたら、2度と中国に進出させないから」と言う中国人の脅し文句(新聞社の創作かも知れませんが・・そう言う雰囲気を伝えたいのでしょう)が掲載されています。
脅しが次の投資意欲引っ込ませている関連を理解出来ないようです。
古代の流民も一旦逃げた以上は、元の農地に戻れない・・命がけ・・破れかぶれになって命知らずの王朝打倒勢力に成長していったのは当然です。
日経新聞も最近中国賛美報道ばかりではなく、マイナス情報も書くようになったことを5月中旬以降このコラムで紹介していますが、今のところAIIBのような政治テーマは中国政府の意に沿うような形で、その他経済実態は政府発表と矛盾していてもある程度そのまま報道するなど、マダラ模様になってきました。
ただし、中国からの企業撤退は大変なことになっていると言う連続報道の意図するところは、撤退を考える企業が増えて来たので、「撤退しようと考えているならば、大変なことになるぞ!」と見せしめ的に脅し・宣伝をかけてくれと言う要望に従っているだけかも知れません。
・・元々報道は一定方向へ選別して一貫した誘導報道をする方が不正であって、多様な矛盾した状況をそのまま報道し、読者や視聴者がその中から自分のまとまった考えを導けば良いことです。
私も今のところ、「中国は今大変なことになっているのではないか!」と言う関心で連載していますので、このシリーズ中はその情報ばかり書いていますが、だから将来にわたって中国は全面的に駄目になるとまで思って書いているのではありません・・中国人にも立派な人もいるし、生活習慣や意識にも良い面が一杯あるだろうとは思っています。
それはそれでまた別のシリーズのときに書けば良いと思っていますので、誤解ないようにお願いします。
人にはいろんな考えが混在していて良いのではないでしょうか?
勿論優れた意見を聞いて考えが変わることもあり、(そうでなければ、進歩がありませんので)何ら恥ずかしいことではありません。

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