奥田氏意見2=議論ステージ無視

先週金曜日に「労働事件でこういう証拠が重要か否か」の電話相談があったのですが、議論のステージによって意味が変わるので労働事件の内容によるので一概に言えないことを以下のように例示して説明したばかりです。

「100万円貸したので100万円返せという貸し金訴訟でいうと、被告が借りたことを認めない場合には貸し金の証書が重要であるが、被告が借りたことを認めるが返したとか時効だといういう争いになれば、時効になっているか、返したかどうかが争点になるので、貸金証書の意味がほとんどなくなる。
時効の場合には途中で時効を中断する事実があったか?返したという場合には被告が100万円送金の証拠を出せば、原告はそれは別の貸し金や売掛金の支払いだったという場合には、別の売掛金や貸し金の証拠が必要になるなど、ステージによって必要な主張や証拠が違うので一般論の質問には答えられない」

議論にステージがあって「この方向へ!と決まって次のテーマに移ってから前の議論を蒸し返すのはルール違反ですし誰も相手にしません。
奥田氏の国会意見陳述に戻ります。
国民多くが安保法案に反対しているとか、軍備=戦争になるという自衛権否定論・・70年間の平和を守れという議論は自衛隊/再軍備否定論は村山内閣時代に終わった議論です。
もっとさかのぼれば、朝鮮戦争勃発〜中華人民共和国成立によって、東西両陣営対立の国際環境になってしまった結果、戦争こりごりの日本国民が全世界と仲良くしたかっ点は誰も争わないでしょうが、どっちつかずを許さない国際環境に二択を迫られた以上は、西側陣営・・米国庇護下で進むしかないと決意を決めたものです。
そう決めざるを得ず決めた以上は、西側陣営を裏切り中ソとの軍事同盟などあり得ない・・米ソ軍事対立が激しくなれば日米安保に進む前提になっていたものです。
第一次安保条約〜条約期限到来時ごとの安保条約改定は、予定された軌道内の行為ですので、軍事同盟反対論→戦争に巻き込まれる論=戦争法案論は、新たに蒸し返し議論すべきテーマでなかったはずです。
非武装平和論に基づく60年安保に始まる無茶なデモ騒動は、国民支持を受けなかったのは当然であり、その後昭和40年代〜50年代と主張不明の全共闘時代を経てデモやストライキ騒動をやればやる都度旧社会党支持を減らす方向に働いた結果を見れば、選挙で勝てない憂さ晴らしをメデイア界と組んで社会経験のない未熟な若者を煽って景気づけしていたにすぎません。
自衛隊憲論→憲法違反論や非武装平和論は、上記国際環境下では非現実的すぎて旧社会党が村山内閣時に撤回に追い込まれ、その後社会党の中堅以下の議員が流出参加した人材多数を占める民主党政権においても、普天間〜辺野古基地移転の閣議決定で、日米同盟重視路線の是非は解決済みになっています。
ところで同盟条約が必須となれば、相互協力を含むのが原則=議論ずみと見るべきです。
雇用すると言えば給与支払いが当然の前提ですし、正札のついた商品を注文すればその代金を払う意思表示と見做されます。
工事等でも値切った場合、実は手抜きとか腕の悪い職人が担当することになるのと同じで、物事は等価交換が原則で相応の対価関係で成り立っています。
建築工事等で注文主が文句ばかり言ってると余計ミスが起きやすくなるのは、待遇が悪いと能力が発揮できなくなるということでしょうか?
こういう機微を多くの人が理解しているので、植木屋さんなどがくるとお茶の時間を設けて丁寧にもてなすし、バーその他どこへ行っても客の方が愛想を使い気持ちよく接する習慣になっているのでしょう。
日米安保の場合、敗戦国と戦勝国の関係から始まっているので、初期には日本に相互的義務を果たす力もなかったし米国も必要としなかったので、片務的同盟で始まっていますが、こういう関係は一時緊急避難的関係を前提にしています。
天災等で一時避難してきた当座は炊き出ししたり無償で宿泊させても、永久にただで良いというルールではありませんし、戦争経験者でいえば、空襲を逃れるために疎開していて戦争が終わって、東京に帰った時には、相応のお礼をするのが普通です。
米国が世界的に並ぶものなき圧倒的兵力の時代には、(お金持ちと貧乏人あるいは雇い主と従者が食事すれば雇い主や金持ちが奢るに決まってます)相互関係といって黙約わずの日本に応援してもらう必要がなかったでしょうが、米国の圧倒的覇権に陰りが見え始め、一方で日本の国力が向上した以上は、五分五分負担とは言わないまでも能力相応の下支えに協力して欲しくなるのは当然です。
災害避難者がいつまでも無償で住み続けると「そろそろ出て行ってくれませんか!となるのが普通ですが、日本がいつまでも知らんプりしていて、しかも迷惑論でなにかと邪魔扱いされているとなれば米国が、いざとなるとどこまでやってくれるか心配になるのが普通の神経です。

周辺無視の都市国家5(香港の場合4)

昨日紹介した香港騒動に対する中国本土人の反応の冷ややかさ?に戻ります。
香港の一人当たりGDPは中国本土平均を何倍も上回っているのは香港人には自慢でしょうが、香港人が本土の巨大市場バックに良い思いをしてきたという本土人のやっかみ気分が大きな影響を与えているのでしょうか?
上海や深圳の場合、改革開放の成果・儲けの一部を(日本大都市のように)国内地方経済底上げのためにに供出させられているはずです。
例えば長大な辺境地の防衛費や巨大な軍事力の維持費、利用者の少ない地方への長大な高速鉄道敷設コストも、国威発揚のための無駄な国外投資資金等は沿海部の収益が当てられているはずです。
香港の場合、冷戦構造下でショーウインドウ的機能・繁栄を見せびらかせることがあってもベルリンの壁ほどではないまでも周辺中国人にその分配をしないで済んできた点で、本土大衆が香港人に対する妬み・反感を持つ様になっていても不思議がない歴史です。
これを煽れば、国民の香港市民に対する連帯意識が盛り上がらないので、中国政府を強気にした面があるようです。
そういう視点で見れば、中国個々人のウイグル人に対する不満というか、「どうしょうもな奴らだ」という侮蔑・悪意の表現・・これこそがヘイトスピーチがネット上で飛び交う社会のようですが、政府の周到な情報操作があるのでしょう。
英米得意の離間の策を国内で実践している・・国内融和より国内対立を煽った方が、政府にとって内政が安定する変な国です。
日本の小学校や企業内等閉鎖社会で自然発生的に起きるいじめっ子事件を、中国の場合いじめる対象民族に焦点を当てて、国策としてヘイトをおこなって国民不満をそらしてきたようです。
反日暴動もこの一種だったようにも見えます。
当時暴動参加者の本音は、政府に対する不満が強いがその表現行動は怖くてできないのでその代償作用として政府公認の反日なら遠慮なく暴れられるので安心してやっているという解説が一般的でした。
いわゆる反日無罪という運動でした。
ただし、暴動の勢いが強まり政府の計画動員を超えて自発的反日運動になって、本来の反政府不満・反政府運動に点火すると収拾がつかなくなるリスクがあるので、政府は国民が興奮しすぎない程度に収めるしかないので心配がいらないと解説されていましたが、本当に政府の計画した松下の工場等の標的攻撃が一段落するとピタリと治まりました。
政府ややめ!と号令しても聞かなくなると本当の暴動になるリスクが高いから政府の弾圧が厳しくなります。
日頃の鬱憤を吐き出せてよかったと喜んで暴れていたこれを知っている民衆はすぐにやめるしかないのでしょう。
政府とすれば「どうだ!俺さまの威力はこんなものだぞ!中国政府に楯突くと怖いぞ!とヤクザのセリフみたいな威勢を日本に示したつもりでしょう。
中国は政権を取ってから、紅衛兵の運動でも知られるように、一種のいじめっこ対象を作り上げてはしょっちゅう集中攻撃してきた歴史です。
チベット併合?あるいは占領後ダライ・ラマのインド亡命を経て、数十年単位で抵抗するチベット民族がいじめ対象でしたし、この10年くらい(ダライ・ラマの高齢化があってその先はしれていると安心したのか?)チベット族統治が軌道に乗ってくると今度はウイグル叩き、それが軌道にのると香港叩きと矢継ぎ早です。
このシリーズのテーマである収益率重視経済で見れば、都市国家ほど効率の良い政体はないでしょうが、公害・・ゴミ捨て場であれ何であれ負の影響を周辺国に負担させる関係であれば、持続可能な関係ではありません。
香港が東京ほどではないにしても少しでも周辺への利益還元をして連帯意識を育成していれば、(本土の人たち自身監視社会化の進行には困っているが声を上げられない状態とすれば)この機会に香港の自由を守れ!という無言の連帯意識が盛り上がり、政府も無視できなかったでしょう。
実際には政府の方が先に反香港感情を植えつけてから「準備やよし!と起こした行動なので先手を取ってしまった印象です。
香港は周辺への還元が少なかったので政府の情報操作が成功して、逆に香港人への反感になっている(金持ちに対するやっかみはいつでもどこでもあるものですが・中国政府の情報操作の可能性があるので真偽不明)とすれば、これまでの香港人の対応が悪かった・自分が儲けるばかりだったからではないでしょうか?
日本では一定の成功を収めると自分の懐に入れるばかりではなく、個人に限らず企業も何らかの社会還元を心がけるものですが・・・。
戦後日本企業の海外進出が増えてくると進出先の現地に根付くように地元貢献に精出すのが普通になっています。
中国の反日暴動の時にも日系企業従業員が誠心誠意企業防衛に協力してくれている情報がありました。
4〜5年前の米国でのトヨタたたきの仕掛けの時に、途中で収まったのは企業側の対応が良かっただけでなく、トヨタが地元貢献に努力してきたので工場所在地の州政界がバックアップしてくれたという噂でした。
出世成功すると古くは神社仏閣に寄付したりお祭りには分相応の寄付をするなど・・。
香港人は占領された敵国?の支配地に職を求めて流れ込んだ人たちの子孫ですから、当初から周辺との一体感がないのでそんな気持ちになれなかったでしょう。
こういう関係にこそ気を使うべきなのですが・・。
食うや食わずの流民として英国に奪われた香港に入った彼らは、本土の人たちから見れば、もしかしたら民族の裏切り者的な評価を受けていて、侮蔑の目で見られていたでしょうから、「一生懸命に儲けて周囲の人らを見返してやる」という気持ちになった人も多いでしょう。
鉄のカーテンで厳しく東西対立してきた冷戦時代には、香港は西側経済のショーウインドウとしての役割もあって、自由貿易都市としての利点を満喫し、繁栄を謳歌してきました。

反日からニーハオへ(強硬策の裏)2

中韓の技術移転渇望については、Oct 20, 2019 11:00 am「技術移転を求める韓国1(被害者ビジネス・慰安婦)」の頃連載しました。
中国が成長の限界にぶち当たり、そこまでしないと政権が持たない危機感・・弱みの裏返しと見れば韓国と同じ発想です。
ハリネズミのように過剰警戒心の権化になった中国は対外的には国威発揚のためにやらなくてもいいような強引な政策を次々と繰り出すようになりました。
南シナ海の不法占埋め立てや、尖閣諸島海域での公船連日出没は経済面で見れば・ものすごい経費・浪費でしょう。
・・日本の海上保安庁の巡視艇1〜2隻に対して中国公船はその10数倍群がる印象ですから、コスト的に日本の何倍もかかる計算です。
この辺はフィリッピンやベトナムに対する大量公船出動による威嚇も同じでしょう。
国際政治的意味ではこのような海賊的威嚇行動はマイナス効果しかない・嫌われる国・外敵を増やすばかりでしょう。
大金を使って嫌われることに精出す動機を合理的に推論すれば、内部の政治基盤が弱いところにあると見るしかありません。
ロシアのクリミヤ併合〜ウクライナ侵攻も金を使うばかりで何も得るところがない・・国際孤立を冒してでもやるしかないほど(原油相場低迷によるロシア経済の低迷)プーチンの内部的支持基盤が空洞化してきたから・・と見るのが普通です。
習近平氏の主席就任と同時に内部固めのため独裁政治強化・・汚職摘発名目での粛清を開始し、政敵一掃が一段落すると主席任期制廃止など終身化の道を開き、共産党内の体制整備が終わったように見えますが、その分内部不満が相当蓄積している可能性が高いでしょう。
現政権は内部権力闘争強化と少し遅れて党外の人民大衆に対する統制強化に乗り出していました。
大量の蟻族利用のネットチェックに始まり、膨大な監視カメラ設置等、AI駆使による国内監視網が完成に近づいたところで、外延・・外地ともいうべきウイグル族の強制収用・思想改造に精出し、同じく外延である香港の民主主義諸制度形骸化=実質支配に乗り出した螺旋状の拡大戦略のようです。
香港〜ウイグルの完全支配が終われば次は台湾への直接武力圧力行使→占領という段取りでしょうか?
思想統制に対する批判者を次々と本土へ拉致する事件が相次いだのは、ウイグル族相手のように香港内では強制収用所まで設置できない苦肉の策であったでしょうが、これを香港人が批判を世界に流布するのが困るので、合法的につれ去ろうとしたのが今回の犯罪人引渡条例です。
独裁制の重圧下にあるはずの本土中国人にとってガス抜き的存在だった香港の自由がなくなるのは、対岸の火事ではなく重要な関心事・香港の自由を守ってほしい心情があったはずと思いたいのが人情ですが?
その割にそうではない・逆に香港人は思い上がっているという批判的受け止めかたの方が多いという報道です。
(政権側のフェイク・・情報操作の可能性がありますが・・)
報道が事実とすれば一般の人にとっては食えればいいのであって、メデイアが言うほど監視・不自由社会に対する不満がないのかな?
中共政権はそれをよく知っているから、経済力さえしっかりしていれば何をしようと心配ないと言う改革開放路線以来の高成長による自信につながっていました。
金の力こそ全てという世界戦略・札ビラ外交で・・例えば、南シナ海で対立するフィリピンを黙らせるためには特産品バナナの輸入手続きを遅らせてバナナが税関通過時点でほとんど腐ってしまう事態となり、せっかく国際司法裁判所での勝訴判決を得たにも関わらずフィリッピンの大統領が領海問題棚上げで北京に走りました。
棚上げとは、中国の不法埋め立てやフィリッピン漁船追い払いを黙認することにしたことになりました。
札ビラ外交で貧困国を味方につけ、高利貸し的手法で相手を債務不履行に追い込んでは港湾等の管理運営権を取得し世界に事実上の軍事基地を広げる戦略を実行してきました。
反日暴動による二系企業撤収の動きの穴埋めを兼ねて欧州諸国の企業進出を優遇し中国の横暴には見て見ぬ振りを求めて成功してきました。
この間メルケル首相の中国訪問が約10回に対して訪日はわずか1回・それも半日〜1日程度という頻度差に現れています。
この辺はメルケル氏訪日時のコラムで書きましたが正確な記憶がないので回数等はうろ覚えの意見です。
リーマンショック後内部蓄積のバラマキにより過去の蓄積を使い果たして?今や中国は過重債務にあえぐ状態になってきました。
経済力下降に直面してくれば、これまでの札ビラ外交の逆回転(貸し剝がし)が始まり(半月ほど前のアセアン首脳会議では、中国の札ビラ外交の前に沈黙していたフィリッピンが、対中南シナ海問題で最強硬意見を主張していると報道されていたのが、この象徴です。
米国の大統領も副大統領国務長官も出席せず軽量級出席の結果、(いわゆるアジア軽視の態度表明)中国の発言力が強まり、結果的にゆるい声明に終わったようですが・・。
https://jp.reuters.com/article/asean-summit-china-idJPKBN17Y11N

フィリピン外務省高官は首脳会議について、南シナ海の問題を強く訴えたり、人工島の建設や軍事拠点化について言及したりする動きはなかったと説明し「首脳はむしろASEANと中国の関係改善を強調した」と明らかにした。

フィリッピンは質問に対し主張が通らなかったという露骨な表現を避けていますが・・。
不満が外側から広がるのと違い内部不満は目に見え難いですが、国内不満も同率で蓄積しているでしょう。
統制強化だけ見ると一見強い政権のように見えますが、内実は逆で内部統制のタガの緩み対策・統制強化に必死になっている姿と見るべきです。
中韓の技術移転渇望については、Oct 20, 2019 11:00 am「技術移転を求める韓国1(被害者ビジネス・慰安婦)」の頃連載しました。
中国が成長の限界にぶち当たり、そこまでしないと政権が持たない危機感・・弱みの裏返しと見れば韓国と同じ発想です。
ハリネズミのように過剰警戒心の権化になった中国は対外的には国威発揚のためにやらなくてもいいような強引な政策を次々と繰り出すようになりました。
南シナ海の不法占埋め立てや、尖閣諸島海域での公船連日出没は経済面で見れば・ものすごい経費・浪費でしょう。
・・日本の海上保安庁の巡視艇1〜2隻に対して中国公船はその10数倍群がる印象ですから、コスト的に日本の何倍もかかる計算です。
この辺はフィリッピンやベトナムに対する大量公船出動による威嚇も同じでしょう。
国際政治的意味ではこのような海賊的威嚇行動はマイナス効果しかない・嫌われる国・外敵を増やすばかりでしょう。
大金を使って嫌われることに精出す動機を合理的に推論すれば、内部の政治基盤が弱いところにあると見るしかありません。
ロシアのクリミヤ併合〜ウクライナ侵攻も金を使うばかりで何も得るところがない・・国際孤立を冒してでもやるしかないほど(原油相場低迷によるロシア経済の低迷)プーチンの内部的支持基盤が空洞化してきたから・・と見るのが普通です。
習近平氏が主席就任と同時に内部固めのため独裁政治強化・・汚職摘発名目での粛清を開始し、政敵一掃が一段落すると主席任期制廃止など終身化の道を開き、共産党内の体制整備が終わったように見えますが、そのbん内部不満が相当蓄積してイルカの牛が高いのでしょう。
内部権力闘争に少し遅れて党外の人民大衆に対する統制強化に乗り出していました。
大量の蟻族利用のネットチェックに始まり、膨大な監視カメラ設置等、AI駆使による国内監視網が完成に近づいたところで、外延・・外地ともいうべきウイグル族の思想改造に精出し、同じく外延である香港の民主主義諸制度形骸化=実質支配に乗り出した螺旋状の拡大戦略のようです。
香港〜ウイグルの完全支配が終われば次は台湾への直接武力圧力行使→占領という段取りでしょうか?
思想統制に対する批判者を次々と本土へ拉致する事件が相次いだのは、ウイグル族相手のように香港内では強制収用所まで設置できない苦肉の策であったでしょうが、これを香港人が批判s世界に流布されるのが困るので、合法的につれ去ろうとしたのが今回の犯罪人引渡条例です。
独裁制の重圧下にあるはずの本土中国人にとってガス抜き的存在だった香港の自由がなくなるのは、対岸の火事ではなく重要な関心事・香港の自由を守ってほしい心情があったはずと思いたいのが人情ですが?
その割にそうではない・逆に香港人は思い上がっているという批判的受け止めかたの方が多いという報道です。
政権側のフェイク・・情報操作の可能性がありますが、本土で言論自由が全くないので、本当の気持ちは応援暴動でも起きない限り外部からはわかりません。
報道が事実とすれば一般の人にとっては食えればいいのであって、メデイアが言うほど監視・不自由社会に対する不満がないのかな?
中共政権はそれをよく知っているから、経済力さえしっかりしていれば何をしようと心配ないと言う改革開放路線以来の高成長による自信につながっていました。
金の力こそ全てという世界戦略で札ビラ外交で・・例えば、南シナ海で対立するフィリピンを黙らせるためには特産品バナナの輸入手続きを遅らせてバナナが税関通過時点でほとんど腐ってしまう事態となり、せっかく国際司法裁判所での勝訴判決を得たにも関わらずフィリッピンの大統領が領海問題棚上げで北京に走りました。
棚上げとは、中国の不法埋め立てやフィリッピン漁船追い払いを黙認することにしたことになりました。
札ビラ外交で貧困国を味方につけ、高利貸し的手法で相手を債務不履行に追い込んでは港湾等の管理運営権を取得し世界に事実上の軍事基地を広げる戦略を実行してきました。
反日暴動による日系企業撤収の動きの穴埋めを兼ねて欧州諸国の企業進出を優遇し中国の横暴には見て見ぬ振りを求めて成功してきました。
この間メルケル首相の中国訪問が約10回に対して訪日はわずか1回・それも半日〜1日程度という頻度差に現れています。
リーマンショック後内部蓄積のバラマキにより過去の蓄積を使い果たして?今や中国は過重債務にあえぐ状態になってきました。
経済力下降に直面してくれば、これまでの札ビラ外交の逆回転(貸し剝がし)が始まり(半月ほど前のアセアン首脳会議では、中国の札ビラ外交の前に沈黙していたフィリッピンが、対中南シナ海問題で最強硬意見を主張していると報道されていたのが、この象徴です。
米国の大統領も副大統領国務長官も出席せず軽量級出席の結果、(いわゆるアジア軽視)中国の発言力が強まり、結果的にゆるい声明に終わったようですが・・。
https://jp.reuters.com/article/asean-summit-china-idJPKBN17Y11N

フィリピン外務省高官は首脳会議について、南シナ海の問題を強く訴えたり、人工島の建設や軍事拠点化について言及したりする動きはなかったと説明し「首脳はむしろASEANと中国の関係改善を強調した」と明らかにした。

フィリッピンは質問に対し主張が通らなかったという露骨な表現を避けていますが・・。
不満が外側から広がるのと違い内部不満は目に見え難いですが、中国国内不満も同率で蓄積しているでしょう。
統制強化だけ見ると一見強い政権のように見えますが、内実は逆で内部統制のタガの緩み対策・統制強化に必死になっていると見るべきです。

反日からニーハオへ(掌返しの中国の信用)1

これに加えて米中対決が始まったこともあって、いよいよ日本大事になってきたようです。
現在の日系自動車販売環境は、反日騒動時に日本車に乗っているだけで被害を受けていた状態から言えば、反日暴動が何だったのか?嘘・夢幻だったかのような現状になっています。
中国は今ニコニコしているとはいえ、手のひら返しが常套手段の国はいつ何時また反日の風が吹き荒れるかしれない危険な国で信用がなりません。
この数年では日本車の伸びがドイツ車の伸びを上回っていて、日系が追いついて来たのはのはこのせいです。
反日暴動によってその穴を埋めて急激に対中貿易で躍進した韓国車のシェアーはサード配備決定以降嫌がらせされるようになり、トックに日系に逆転され(シェアー日本の半分以下で)今や昔日の勢いは見る影もなくなっています。
このように中国はしょっちゅう自分の威力誇示のために相手を突いたり引いたり気に入らない国に対して露骨に観光客を急減させたり(底が浅すぎます・・)するのは自国の力を誇示しているつもりかもしれません。
韓国は中国尊崇の精神風土ですから、早速この真似をして日本への観光客を絞りまこみ、さらに軍事情報協定(GSOMIA)破棄(更新拒否)を通告してきましたが、日本は、情報を与えるばかりの持ち出しですから、なくなっても何ら困りません。
日本にとってはせいぜい友好国の証程度でしたが、北朝鮮の脅威を抱える韓国にとっては北朝鮮のミサイル発射等の人工衛星による情報は本気で防衛するならば必須情報です。
(韓国はまだ人工衛星打ちげに必要なロケット技術がありません。)
文政権の本音は従北・北の支配下に入るのを望んでいることを、日本との軋轢を口実に実行しようとしているかのようにも解釈できます。
こういう底の浅い戦略?行動は、国際信用をガタ落ちにするマイナス効果の方が大きいことに気がつかない点は、ヤクザが凄んで相手が怖がると「どんなモンダイ!」と悦に入っているレベルです。
韓国は中国に大事にされて舞い上がってしまい一時の夢に酔ってしまってこれだけコケにされても今だに夢が冷めないのが不思議と言えば不思議ですが、中国風コワモテ政治への憧れがあるからでしょう。
韓国は戦後事実上の米国の保護下に入っていたのでいわゆる「事大主義精神」発露として民主主義やキリスト教を喜んで取り入れましたが、借り物思想で落ち着きが悪いのが本音で、最近この本音が表面化してきたようです。
待ちかねた中国の台頭で喜び勇んで中国に擦り寄り過ぎた朴政権が、米国の踊りに負けて米側陣営に引き戻されて結果、日韓慰安婦合意や長年渋っていた日本との軍事情報協定を結ばされ、北朝鮮対策のサード配備も受け入れざるを得なくなって国民が俄然、朴政権引き摺り下ろし運動が白熱しました。
この騒動で任期途中で弾劾→刑務所入りとなりそれを受けて成立した文政権が、反日反米一辺倒になっているのは民族感情として理解可能です。
日韓情報協定延長を求めて米国高官の韓国入りが報道されていましたが、同時並行して在韓米軍費用負担に関する米韓交渉が決裂したという劇的な事件が起きました。
この種の交渉が決裂とは前代未聞のことですから、もはや米軍駐留不要という開き直りに入ったと見るべきでしょう。
米国に対してさえ、ここまで強気の態度となれば、こういう状態を見れば、日韓情報協定不必要という韓国の決意は明らかです。
その決意の背後には、自分らは中国陣営に入りたいし、中国に認めて欲しい民族の悲願?でしょう。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_china_2018

国別ブランド乗用車販売シェア (工場出荷台数)

2018年12月 2018年1-12月累計
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同月比(%)
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同期比(%)
民族系 97.96 43.87 -24.27 997.99 42.09 -7.99
日系 41.50 18.58 10.20 444.63 18.75 5.74
独系 44.15 19.77 10.04 508.05 21.43 4.76
米国系 20.01 8.96 -39.64 247.79 10.45 -18.48
韓国系 16.01 7.17 -8.62 118.05 4.98 3.14
仏系 1.59 0.71 -71.61 30.70 1.29 -32.65

資料:中国汽車工業協会発表、各種報道より

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/57449cdc408b6808.html

2018年の中国の新車販売台数は28年ぶりのマイナスとなり、2019年に入ってからも厳しい状況が続いている。
全体市場が大きく落ち込んでいるにもかかわらず、ホンダとトヨタは2桁の伸びを続けており、6月には日産や三菱自動車が前年同月を上回るなど、日系各社は総じてプラスを維持している。

このように中国の成長が下り坂に入ったのが鮮明になって来たにも拘わらず、開き直り精神か?却って、国内では独裁性を強化し、国民の日々の行動を監視して対外的にも強硬策一点張りの硬直政治に転じたのが習近平政権でした。
外資には知財の提供を強制するようになるなど、最近の政治はもはや強盗国家的になりました。
韓国が技術移転を求めて次からへと対日要求するようになった(韓国の場合強盗的強制するほど強くないので、言いがかり国家程度です)ことを書いてきましたが、その大型版というべきでしょうか。

周辺無視の都市国家3 (香港の場合2)

中国にとっての香港問題・一国二制度の約束を守るかどうかは領土問題のように一旦妥協すれば永久的効力のある問題ではなく、1国2制度の終了期間が国際条約で決まっているので、ここで無理押ししないで1国2制度の約束を守っても約束期間が満了すれば中国政府の自由になるので何らかの既得権が生じる訳でもなく次世代に負の遺産を残すリスクもありません。
一国二制度の国際合意を守り香港の民主制度形骸化を止めれば良いだけのことですが、米中問題の厳しい最中に何故こういうバカなことを始めたのか?
ここで引き下がると政治責任問題が起きるのを習近平氏が気にしているのでしょう。
習近平は米中経済対決・・のギリギリの攻防をしているこの微妙な時期に一国二制度期間満了前になぜ中国本土へ犯罪者引き渡しを強制する条例制定を迫ったのか?
これまで議会?立候補資格制限など一国二制度の条約無視・・条約当事国の英国が傍観するばかりで条約違反に対する国際世論も大したことがなかったので自信を持ったことが第一の原因でしょう。
南沙諸島に関する国際司法裁判所判決を「紙切れに過ぎない」と公言した上で埋め立て強行を続けても、米国は埋め立て工事現場近くの公海を航行する程度しかできない現実を見れば、強盗が来てパトカーを呼んでも強盗を追い出してくれず周辺を巡回する程度しかしてくれないのと同じです。
米国のぬるい出方を見て国際政治は正義よりも実力次第という態度を明らかにしたのがここ7〜8年の中国の対外姿勢です。
以後尖閣諸島周辺同様に公船と称する事実上の軍船を大量投入してはベトナムやフィリッピン漁船に体当たりなど繰り返しては横暴の限りを尽くしています。
海軍らしい海軍もないフィリピンやベトナムは切歯扼腕してもなすスベもないのが現状です。
このような状況下で味を占めた中国は尖閣諸島や南沙諸島侵攻を続けえても実効支配の準備を着々と進め国内ではウイグル族を百万人単位で強制収容して思想教育?強制するなどが始まりました。
これらと並行して香港でもなし崩し的に民主主義諸制度を形骸化させてきましたが、南沙諸島のフィリッピンやベトナムの抵抗同様に香港市民の抵抗はゴマ目の歯ぎしり程度で、中国にとってはなんともなかったので自信を深めた結果、安易にその延長上の政策実現になったのでしょう。
リーマンショック後の世界経済落ち込みに対して中国が巨額のインフラ投資によって、世界経済の底割れを防いだ貢献度を背景にした自信によって、その後4〜5年は日の出の勢いの様相でした。
10〜11年の反日暴動や尖閣諸島への実力行使、続いて南沙諸島海域全体の領有宣言とその実力行使としての公海での埋め立てと軍事基地構築の実力行動、一帯一路計画に対する日米の難色を尻目に強行したところEU諸国が相次いでこれに参画するなど当時の中国は日の出の勢いにあったことで香港住民にとって不利な国際環境下にあった影響もあります。
世界の中国依存度が急激に高まった時期でした。
メルケル首相の中国訪問10回ほどに対してニッポン訪問がその間たったの1回で短時間という批判があったのがこの時期でした。
そのニッポン訪問も中国の成長限界がなんとなく見え始めた後のことで、それまでは中国一辺倒の姿勢でした。
ドイツの誇るフォルクスワーゲンの国外販路の中心が、中国での優遇・中独蜜月によるものだったからです。
https://response.jp/article/2018/04/17/308627.html

フォルクスワーゲングループの2017年の中国(香港を含む)における新車販売台数は、過去最高の418万4200台。前年比は5.1%増と、2年連続で前年実績を上回った。2018年第1四半期は、合弁2社を合わせて、中国乗用車市場のシェア1位を維持している。
年間販売台数約1000万台あまりの内、中国市場が約半分近くを占める突出ぶりでした。
中国としては、反日行動で今後産業のレベルアップは日本からの技術導入に頼れない穴埋めはドイツに頼れば良いという計算でニーハオ外交でしたので、ドイツはこれに気を良くしていた時代でした。
環境も人権も過剰聖戦いよる世界の迷惑も顧みない横暴な生産(鉄鋼などの赤字輸出)で、生産量の増加ばかり自慢して有頂天になって天狗の鼻になっていた中国に冷水を浴びせたのが、人がまともに呼吸できないほどの空気の汚れでした。
人民無視の中国も空気の汚れは支配者・特権階層にも平等に影響がありますので、流石にこの状況を放置できなりました。
環境問題分野では、ドイツに対して日本に一日の長があるのとドイツ人は日本のように親切に教えないので技術移転が進まなかったらしく徐々に対日ニーハオ外交に転じたようです。
同時期16年夏ころの株価急落以降・要は中国の無駄なインフラ投資の限界がきた・・中国の新車販売数がこの1〜2年頭打ち〜前年比減が続くようになり、落日が迫ってきたので中国べったりだった西欧が再び中国と距離を置き始めました。
南シナ海での埋め立てに異を唱えるなどこの数年中国に遠慮しなくなってきました。

https://jp.reuters.com/article/china-autos-idJPKBN1WT15H

2019年10月14日 / 18:38 / 1ヶ月前
[北京/上海 14日 ロイター] – 中国汽車工業協会(CAAM)が集計した9月の自動車販売台数は前年比5.2%減の227万台だった。9月は販売が盛り上がる月のはずだが、15カ月連続の減少となり、年後半の回復は期待薄となった。
8月は6.9%減。7月は4.3%減。2018年は1990年代以来のマイナスだった。景気減速と米中貿易戦争が自動車市場に影を落としている。

国内需要無視の闇雲なインフラ投資の限界がきたのと同様に環境無視の無茶な増産の結果
北京の空気は汚れに汚れ、市民はまともに呼吸すらできないようになったので流石がの市民無視の中国も環境対策に乗り出さざるを得なくなったのも同時発生でした。
色んな咎めが集中的に吹き出してきたのがこの数年です。
環境問題では世界最先端技術を誇る日本とよりを戻さざるを得なくなった中国は徐々に対日ニーハオ外交に転じました。

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