沖縄米軍基地移転の本質3(国内政治波及2)

以下は当時の宜野湾市の広報記事?です。
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/091126_mayor_4.pdf

日時:2009年11月26日(木)場所:衆議院第2議員会館・第2会議室
普天間基地のグァム移転の可能性について
宜野湾市基地渉外課
1.「海兵隊のグァム移転が司令部中心というのは間違い。
「再編実施のための日米のロードマップ」(2006年5月1日)
沖縄海兵隊の主要な部隊が一体的にグァムへ移転する。普天間飛行場の海兵隊ヘリ部隊も含まれる。」
~米国海兵隊司令官ジェイムズ・コンウェイ大将委員会証言
~●重要な決定事項の一つは、約8000人の海兵隊員の沖縄からグアムへの移転であ
る。これは、沖縄で海兵隊が直面している、民間地域の基地への侵害(encroachment)
を解決するためのものである。
2.「なぜ、司令部だけがグァムに行くとされてきたのか。
●第3海兵機動展開部隊(IIIMEF)司令部はグアム及び他の場所に移転
●残りの在沖縄海兵隊部隊は再編されて海兵機動展開旅団(MEB)に縮小
●約7000名の海兵隊将校及び兵員、並びにその家族の沖縄外への移転
●約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転。
●沖縄に残る米海兵隊の兵力は、司令部、陸上、航空、戦闘支援及び基地支援能力といった海兵空地任務部隊の要素から構成される。
「事実」については報道されず、検証もない。

その他詳細なデータ付きですが、引用しきれませんので、関心のある方は直接お読み下さい。
別の人の意見です。
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col57755.htm

沖縄海兵隊のグアム移転計画 青山貞一
掲載日:2015年4月29日
独立系メディア E-wave Tokyo
青山貞一
2009年当時、NHKの日曜討論番組で普天間基地の辺野古移転問題について議論があったとき、司会者が「仮に辺野古基地ができたとしても、数年で海兵隊がグアムに移動したらその後どうするんですか?」と聞いたら、長島政務官(民主党衆議院議員)は「そのときは、辺野古海兵隊飛行場を民間空港として使えばよい」などとうそぶいていました。

グアムへ海兵隊の実戦部隊移転完了しても普天間にあったそれ以外の機能が残るので、海兵隊以外の業務がなかったという事実を述べた上でないと「カラ」になってしまう前提の質問・疑問自体、飛躍のある質問であり、これを鬼の首でもとったように紹介する青山氏もいかがか?と思われます。
「カラになる」というためには普天間基地で何が行われどういう部隊運用していたかを決めてからでないと、(海兵隊以外にどういう部隊がいるかなど)海兵隊が出て行く=カラになると決めつける論理展開は無理があります。
このように決めつけ質問された民主党政務官は、勉強不足のためか、「他の機能があるので・・」と、切り返せずに、質問者の間違った質問に「売り言葉に買い言葉?」そのまま開き直り的発言をしてしまったことがわかります。
民主党政権時代には勉強不足というか実務経験のない結果か、その場でまともに反応する・・一歩下がって考えない政治家が多く、これも政権担当能力を問われるようになった原因でしょう。
最近では民進党代表だった当時の蓮舫氏にこういう傾向が目立った印象です。
いずれにせよ、新設の辺野古基地の利用価値が海兵隊主力?が抜けた分普天間基地より減ることは確か・・だからこそ機能縮小=基地面積が大幅に減る予定になっているのではないでしょうか?
辺野古基地がカラになるかどうかは別として、最強の海兵隊・・実戦部隊がいなくなって沖縄・・離島防衛はどうなるのか?は一応気になるところです。
ただ沖縄から全兵力が移転するのではなく、海兵隊の移転のようですから、実はそれほど深刻な事態ではなさそうです。
海兵隊は、上陸作戦等を主目的とする部隊ですから、いわば接近戦用勢力であり、最後に「ものを言う」のは接近戦であるとしても、それは最後の「詰め」に必要な兵力でしかありません。
第二次世界大戦の時から、そこに至る前のミサイルや航空・海軍戦力であらかた勝負がつく時代ですから、専守防衛の日本にとって、敵前上陸・敵地占領目的の海兵隊が沖縄にいなくなっても日本防衛にどういうマイナスがあるかの疑問です。
ただし、以前書いたことがありますが、専守防衛の日本は尖閣その他無人の離島にくまなく守備隊を分散配置しておくのは無理があります。
巡視艇や自衛隊機がパトロールしていても、敵が接近しただけでは攻撃できないので、ある日いきなり敵が上陸を始めると実力阻止は間に合わない結果、事実上先行占領されてからの短期奪回作戦を行うのが原則です。
日本の場合敵地占領目的ではなく、奇襲攻撃で占拠された離島奪回作戦・攻撃戦が最初の防衛戦争になる変則的な体制です。
この奪回・上陸戦自体は海兵隊が常駐していても応援部隊でしかなく、まずは自力で先頭切って行なう必要があり、米軍は制空権確保のため情報提供など間接的協力できる程度でしょう。
応援の米軍海兵隊自身が先頭きって上陸してくれて、肝心の日本兵が怖いからと後ろで見ている関係ではありません。
これが一般的な同盟軍の役割であって同盟イコール米軍が先頭に立って戦ってくれるわけではないのです。
たまたま戦後占領されて武装解除時時には米軍が臨時に全面責任を負っていたに過ぎないのに、これを恒久的なものと日本人は思い込んでいたに過ぎません。
独立(占領解除)後既に六十年以上経過しており、自国の防衛は自国がまず先頭に立って守り、足らざる部分の補充をお願いする普通の同盟関係になっているのです。
そうとすれば、海兵隊機能の大部分は日本独自に行なうべき分野になっていたと見るべきでしょう。
日米共同訓練等を通じて日本自衛隊の上陸作戦能力が上がり、後方援護さえあれば小規模な奪還作戦可能なレベルに達していると言う判断・合意があったのかもしれません。
それでも心配ならば、いざというときに米軍が日帰りでパトロールするだけでなく臨時移駐用地として用意しておく程度の利用目的だったのでしょうか?
日本としてはいつか独り立ちして行くしかないのですから「その程度でも仕方ない」完全にいなくなるよりまし!という状態と理解可能です。
宜野湾市の主張を見ると政府は司令部だけグアムに行くとか対外的には逆の説明をし、うやむやにしてきたように読めます。
しかし、上記青山貞一氏の意見でも政府が司令部だけ出て行く前提の応答をしていないし、次に紹介する防衛省文書でもロードマップの存在を前提にして、八千人と九千人の移動を明記していて、宜野湾市の主張するような虚偽?あるいは欺瞞的主張してきたとは思えません。

沖縄米軍基地移転の本質2(国内政治波及1)

辛淑玉氏による名誉毀損訴訟では日当を払ったのか交通費だけ応援したかの瑣末な違いが争点になったかもしれませんが、政治的意味があるのは、お金が動いているという事実が明るみになった点にあるでしょう。
日当目的のデモ参加か実費補填かは細かく見れば大きな違いと言えますが、地元民の運動かどうかの視点では交通費を払っている事実は大きなニュースです。
この広がりを黙らせる意図で噛みついたのでしょうが、訴訟になったと言う宣伝の結果私のように全く知らない一般人まで日当か交通費かは別として「お金が動いていたのか!」と言う印象を広める効果が大きかったことになります。
公職選挙法みたいにお金の動きをきっちり報告するシステムがないとすれば、本当に交通費に使ったかどうかの証拠保全がなされているのか、どこで誰がチェック出来るのかも不明です。
政治資金規正法のようにデータ公開していない限り極端な言い方をすれば、一般人には本当に交通費に使ったかどうかすら不明な印象です。
こう言う不透明なイメージを前提にすると交通費だろうと何だろうとお金が動くこと自体に拒否感を持つ人が多いでしょう。
少なくとも交通費を負担すると言うことは、地元民でない運動家が活動している印象を受けた人が多いでしょう。
成田空港反対運動のときと同様に県民をダシにした政治運動になっていないかの疑問を多くの人が持ったでしょう。
素人の私からすれば、移設が遅れれば基地被害が減らないので普天間基地周辺の人が余計困るのではないかと思っていたのですが、移設が予定より長引いても米軍の方は御構い無しにグアムでの工事を進めてどんどん兵員や航空機が出て行っているとすれば、基地内の実働数がガタ減りでしょうから、空洞化が進み地元基地関連需要が減少する・・騒音等被害も人員・実働数減少に比例しているはずです。
軍事側面で見れば、いつまでも移転先辺野古基地が完成できなければ、その間にグアム移転が進み米軍の一部すら日本に残らなくなる可能性を狙っているとすれば、周辺国反対派の狙いは合理的・戦略的です。
米軍は日本に頼まれて「一部出先基地を残しましょう」(生産基地移転で言えば主力生産工場でなくなるが周辺機器製造部門を残すような提案です)と言うだけなので、新基地が完成しないなら、ほとんど全部グアムに移転してしまっても良いのが、米軍の本音でしょうか。
米国の対中戦略としては、沖縄基地に中核部隊を置いていたのでは現在のハイテク時代においては前線に近すぎてリスクが大きいほか、日本(北方)に偏りすぎている・グアムに下がった方が、中国の正面中央に位置して、インドシナ方面等を含めた全方位展開に合理的に見えますが。
ただし軍事基地はハイテク化していますので、単に辺鄙な田舎に作ればよいのではなく、絶え間ない整備や補給が必須ですから、一定の工業技術水準の蓄積場所でないと高度な基地機能を維持できません。
これが第7艦隊の本拠地を横須賀においているゆえんです。
日常的整備をグアムである程度こなすとしても、一定期間本格整備を沖縄に残すのが現実的でしょう。
私のような凡俗にはメデイア報道がない限り知る由もなかった中国の膨張戦略準備の進み具合について、国防の最先端・プロの世界では、当時から十分に注視し予想していたでしょう。
近い将来の中国の台頭を睨んで、いざとなった時に米軍が沖縄に駐留しているとまともに巻き込まれるリスクがある・・それにどう対応するべきかが米国の長期関心だったと思われます。
その時に備えて日本に駐留していなければ、その時の中国軍事力との兼ね合いで、いろんな関与の仕方が考えられる。
米軍が直接参加して簡単に撃退できる時代には、「巻き込まれる」どころか頼まれもしないのに、積極的に介入したいから基地をおいていたのですが、戦力互角近くになると、他者の紛争から文字通り距離を置きたい・・自国の利害との兼ね合いで直接戦闘に巻き込まれるリスクが大きな関心になります。
一定の距離を置く・・基地の後方移転をしておけば、その時の実力関係次第では、直接戦闘主力として戦わないでちょっと応援部隊を出す程度から、全く「巻き込まれない」で、背後の応援・・武器供給や情報提供する程度〜武力行使反対などのリップサービスで済ますなど多様な選択肢を残せます。
その検討の結果、グアム線(第二列島線)に後退する作戦を採用したものと思われます。
ただし、いきなりの移動は無理なので一部の分野だけ手始め程度から始めた?と見るのが正しいかも知れません。
日本とすれば、米軍駐留中の沖縄本島の侵攻まで意図するには、中国は余程の自信がないと実行できない安心感がありますが、米軍がいなくなって「いざとなればいつでも来るから・・」と言われても、安心感では大違いです。
一部でも移転を始めれば「いざとなれば見捨てる選択肢を示した」と思うのが普通の感想ですし、中韓露にとってもそのように見たでしょう。
米国としては、政治的配慮から一部残すと言わざるを得ない・これが普天間ほど大きくないが辺野古への移転という合意の背景でしょう。
表向きの発表とは別に実際には日本の都合などおかまいなしに、米民主党政権はグアム移転を進めていましたので、米国は日本防衛だけでなくどこの場面でも中国が実力行使に出ると「中国とことを構える気構えがない」と読んだ中国が、米国の出方試す意味もあって、「コロや良し」として、尖閣攻勢〜南シナ海埋め立てなどに手を出し始めたと思われます。
中国の読みの通りに、南シナ海の公然たる実力行使に米国は年に1〜2回程度の航行の自由作戦として艦艇を航行させただけ・事実上の放置姿勢を実証しました。
強盗の通報を受けた警察が近くをパトロールするだけのようなパターンです。
沖縄基地移転政治問題化は、軍主力基地を沖縄からグアムへ後退させる米の長期戦略と日本防衛を米軍にたよる日本の対中危機感とのせめぎ合いが背景にあり、中国の膨張主義戦略顕在化によって表面化したように見えます。
キリシタンの踏み絵のように、国家の危機に面して中国隠れ支持勢力が表面化してきたように見る人が多いでしょう。
沖縄本島からの尖閣諸島への巡視艇派遣や自衛隊のスクランブル発進の往復だけでも、距離が遠くて大きな負担なのに、少なくとも県外=最短の九州に移転してさらに遠くなるのでは、有事の際に南西諸島を防御しきれなくなるのは目に見えています。
例えば現在那覇からの片道が400キロとして九州発だと700キロになるとすれば、発信した飛行機が単純往復だけで航続距離の限界になる・・・あるいは現地滞在時間が10数分しかないとすれば、とても尖閣諸島防衛はできません。
上記距離がもっと少なくとも同じで、距離に反比例して戦闘能力が減少していくので(距離が2倍になれば、航空機・戦艦等兵力を2倍にしても現地滞在時間・・戦力は同じです)、中国としては、沖縄基地消滅画策は、のどから手が出るほどの期待でしょう。
国防力弱体化・日米安保反対を狙う勢力にとっては、肝心の米軍自体が駐留意欲をなくし始めたことは、長年の悲願達成の千載一遇のチャンスに見えるのでしょう。
この機会に米軍基地の一部でも沖縄に残さない・・「少なくとも県外へ」→他の県が引き受けない=国内に残さない・・国外・グアム完全移転を目指すことになったのでしょうか。
念のため当時のデータを検索すると宜野湾市の作成した文書が出てきましたので、明日以降紹介します。
以下によると、米軍側では沖縄基地への民間による侵食侵害?・基地周辺への移住が進んだ?が激しいので移転するという名目になっています。
反対運動が激しいからというのでしょうが、そんなことは昔から同じですから、本音は国際情勢上沖縄駐留のメリット・米国の国益に合わなくなったということでしょう。

沖縄米軍基地移転の本質1(中国の台頭と米国のためらい)

そのころの報道では、沖縄の負担軽減のための移転だからそのための日本が経費負担をするという報道が出ていた程度の記憶です。
米軍人と家族のグアムでの宿舎設営経費負担の話だったか?
日本が出て行ってくれと言うのはなく、米軍の世界戦略の都合でグアムに機能を移転するのであればその移転費用を日本が負担するのか不思議でしたが?
その表向き理由は沖縄県民が出て行ってくれと運動している・・そのための移転だからというものでした。
その頃は、まだ中国は例の晦光養晦中で、軍拡〜膨張主義が表面化していなかったこともあって、日本の負担金額の報道ばかりに目が行っていましたが、グアム移転ニュースがその後パッタリなくなったのですっかり忘れていました。
しかし現実は着々と進んでいるはずです。
辺野古移転とグアム移転とどういう関係があるのか、あったのか?が今になると気になってきました。
沖縄の反基地運動は昔からありましたが、何分の1以下に利用縮小が始まってから、反基地闘争がかえって激しくなったのは不思議だからです。
基地機能で考えれば、大規模な沖縄米軍をいきなりゼロにできないとすれば、(グアムへ順次移転による基地機能縮小・空洞化・・普天間基地の機能縮小に伴い一定期間残す機能だけ辺野古に新設する縮小移転の二分割案だったように想像できます。
沖縄県民が基地騒音や犯罪で苦しんでいるとすれば、少しずつ(どころか大規模返還)返還されていくのに反対し、イキナリの全面撤退でないとなぜ何故いけないかの疑問です。
被害を受けているというのが本当であれば?移転→縮小計画が出ると喜ぶべきなのに、逆になぜ移転拒否運動が激しくなったのか素人には意味不明です。
軍事基地・・特に空軍基地は概ね僻地に立地するものですから、普天間基地が元々民家がびっしり集まった場所を押しのけてできた・民家ギリギリに鉄条網を張るような基地新設があるのか?かの素朴な疑問ですが、(一般論による疑問・推測であって、事実不明です)基地に生活手段を求める人が増えて通勤や納品あるいは基地勤務者相手との商売には基地に近い方が便利なので基地境界ギリギリに民家が増えて行ったのではないでしょうか?
基地関連業者やその周辺需要に頼っている人たちにとっては、反基地運動の結果出て行かれると困る実態が背景にある・・企業城下町で公害反対運動しながら大規模工場縮小反対に心理と似ているイメージです。
おおざっぱな数字でいえば、日本政府が基地維持経費の何割かを負担していますが、(維持経費以外のコストを米軍は支出しているので)その何倍ものお金がいろんな形で地元雇用や物品納入その他の需要に回っているはずです。
本日現在のウイキペデイアの記事からです。

各国の駐留米軍経費負担率(2002年)は以下の通りである。
国家          経費負担率   金額
日本          74.5% 44億1134万ドル
サウジアラビア     64.8% 5,338万ドル
カタール 61.2% 8,126万ドル
ルクセンブルク   60.3% 1,925万ドル
クウェート 58.0% 2億5,298万ドル
イタリア        41.0% 3億6,655万ドル
韓国          40.0% 8億4,311万ドル
ドイツ 32.6% 15億6,392万ドル

最新版では以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H64_W7A120C1PP8000/在日米軍駐留経費、日本負担は86%

防衛省試算
防衛省は2015年度の在日米軍駐留経費について日本側の負担割合は86.4%と試算した。民進党の後藤祐一衆院議員の請求に応じたもので、後藤氏が26日の衆院予算委員会で提示した。総額は約2210億円で、そのうち日本が約1910億円を支出している。
ただ稲田朋美防衛相は「必ずしも(米側の負担項目が)全て入っているわけではない」と説明した。米国防総省が04年に発表した米軍駐留費の各国別の負担割合では日本は約75%となっていた。
在日米軍駐留経費は米軍基地で働く日本人従業員の労務費や光熱費など日米地位協定上は米側が負担すべき項目が大半。これに周辺対策や施設の賃料なども含めた「在日米軍駐留関連経費」は防衛省資料によると日本側負担は約3736億円。割合は92.6%に上る。

ただし、上記は日本全体の負担であって、沖縄・普天間基地に限定した経費ではありません。
経済問題を離れた現在の基地反対騒動を支える思想的立場で分類すれば、米軍基地縮小ではなく完全撤退を求める「沖縄に軍機能が一切必要がない」という勢力と、国防のために一定の米軍抑止力が必要とする勢力との争いになったように見えます。
交渉態度で言えば、一歩譲ると2歩譲れと言い、2歩譲ると3歩譲れ〜10歩ゆずれというので、誠意を示して20歩譲ると全部ゆずれと言う・・全部譲ると過去の償いをせよという交渉態度でしょうか?
なんとなく韓国相手の交渉のような印象です。
そもそも日米安保に反対して周辺戦争に巻きこまれるといい、「平和憲法を守れ!」という非武装平和論者にとっては、自衛隊さえいらない(集団自衛権反対論は「自国は自国だけで守れ」→自衛強化論ですから実は矛盾しています)のですから、米軍の必要を一切認める余地がないから、首尾一貫していることになるのでしょうか。
沖縄の基地縮小移設反対運動がそういう運動の決戦場との位置付けであれば、基地騒音などの迷惑を受けている県民と関係ない・・県外運動家中心になっていくのは自然の流れです。
成田空港反対運動のときに、土地を取り上げられる地元民応援より、本音は成田空港による日本の近代化〜高度社会への離陸反対運動だったので、社会党の一坪地主運動に代表されるように、運動家が反対のために地主になって、地元民の資格で本来の農家そっちのけで運動するようになっていました。
一坪地主運動は、地元との連帯という名目だったでしょうが、運動の結果から見れば人権救済運動や各種訴訟は政策実施妨害名目だったと国民の多くが理解したでしょう。
成田空港反対の場合、東京近郊で働きながらデモ参加できたので表に出るような資金援助はいらなかったでしょうが、沖縄の場合遠くて仕事がないので住み着くには無理があるし、土地買収反対事件ではないので一坪地主になるわけにいかない・・交通費支払い名目の資金援助方向を公表するしかなくなったように見えます。
評論家等が講演料程度の収入でスポンサーになるっているというのは経済力からして、無理があるという一般論を書いた後で、「のりこえネット」という組織を知り、ウイキペデイアで見たら、生協がスポンサーになっているという記事が見つかり意見の訂正したばかりですが、NGOやいろんな組織が政治活動する以上は資金源を明らかにする必要があるでしょう。
本日現在のウイキキペデイアの記事からの引用です。

のりこえねっとは、2013年に設立された日本の任意団体である[1]。正式名称は「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」[2]。「在日外国人・留学生、国際交流、行政への改策提言」を活動分野として公表する[1]。のりこえネットと表記されることもあるが、「ねっと」は正式にはひらがなである。パルシステム生協連合会専務理事の若森資朗を代表者として登録しており[3]、パルシステム生協連合会の助成団体として資金提供を受けている。[4]

中国バブルの本質3(新興国経済2)

フリーのジャーナリストが、数週間の旅行観察程度でも、社会のムードを読むには有効ですが、その先、企業内実のデータに基づく微妙な変化を読み、紹介するには無理があります。
深圳特区などの大規模工場群のあたりをタクシーで走り回ったら、少しは印象がつかめるかも知れませんが、広大な敷地の塀の外からの観察では隔靴掻痒の感がします。
倒産して閉鎖されている工場については、通りがかりに見れば分るでしょうが、(これもタマタマうまくその工場正門前を通りかかった場合だけです)2〜3割減産しているかどうかなどの変化は分らないでしょう。
市街の雰囲気を逸早く報道するウオッチャーの役割は貴重ですが、この方向性をある程度理解したら、(ムード報道は何回聞いても仕方がないので、)その次にはこれを裏付けるデータから迫る報道が欲しいものです。
素人は慾が深いと言われればそれまでですが・・。
国内景況感把握に関しても、年または数ヶ月遅れの統計が出るのを待つよりは最先端感覚・直感に頼る街角景気把握が重視されていますが、直感把握の後ではその直感を裏付けるデータ報道が欲しいのと同じです。
この辺はフリージャーナリストの手には負えない・・商事会社など海外展開している企業実務家の方が詳しいでしょうから、彼らのネット(企業名を知られたくないならば匿名で且つ業界情報で)参加が望まれます。
中国、韓国、インドネシア等々国別で(政府統計ではない)業界別にその国での月別売上高推移など具体的データを知りたい人が多いでしょう。
先進国のバブルとは、均衡の取れた種々雑多な産業群がある中でオランダのチューリップ・・日本の不動産バブルのように特定分野で急激な需要(仮儒)拡大した現象を言うものです。
中国の場合17日から書いて来たとおり、経済全般の不振=過大供給能力化の結果、(不動産需要は経済全体の動きを反映し易いので)不動産や株式バブルが目立っているだけですから、先進国のバブルとは違います。
中国は図体が大きいだけであって、外資導入に始まる一斉開花式の新興国型経済で成長して来た点では同じですから、不動産業や株式相場等に限定せずに同時並行的に各種投資が一斉に(輸出目的=内需無視の過大投資)行なわれて来ました。
新興国型経済は外資流入によって新規成長した分野では、成立目的から言って、国内需要目的ではないので、内需から見れば、過大になっている本質があります。
この辺は新興国としては老舗ですが、韓国産業界が内需無視の外需依存体質になっている・・国民が貧困に喘いでいて、売春輸出に励まざるを得なくなっているのに、貿易だけ黒字になっているのと同じです。
新興国では外資導入に際して、ひ弱な内国産業が壊滅するのが怖いので、輸出製品製造目的を条件に進出許可することが多いので、経済特区では元々国内需要に整合していません。
バングラデッシュの巨大な縫製工場が時おり報道されていましたが、これらは当初から輸出目的であって、内需のために巨大工場が生まれているのではありません。
バングラデッシュ等に移転した生産分、中国の大規模縫製工場では仕事がなくなっている筈と言う印象付けで終わらずに、バングラデッシュやベトナムの報道にあわせて中国縫製工場業界の生産量推移のデータが欲しくなるのが普通です。
新興国型経済では、外資導入目的が輸出産業育成にシフトしているので、ひとたび輸出競争力が損なわれるとあらゆる分野で過大投資問題=いわゆるバブル崩壊(本来のバブルではない・・大規模景気変動の一種であると言うのが私の意見です)が始ります。
植民地経済時代のプランテーション農業経済の脆弱性が問題であった歴史の繰り返しです。
これを防ぐために内需型経済への変換が必要であると言う意見が一般的ですし、抽象的にはそのとおりです。
家内工業から始まって内需・・地域需要を満たしてから近隣県に進出し、更に自社の属する関東や九州等の地域全般に販路を伸ばして全国メーカーになって、その余力で輸出力もつけて行った・・段階的に発展して行くのが日本や世界の先進国の発展形態です。
20日に書いたとおり、この段階を飛ばしている新興国では、いきなり内需転換と言われてもこれに見合った産業構造になっていません。
日本の高度な消費者向けに日本人が指導して日本向けホーレンソーなどの洗浄や包装をして出荷して行くやり方(衣類その他も皆同じです)で、元々中国国内需要向けに生産した経験がありません。
中小企業から大きくなった企業が倒産したら経営者は元の中小企業・・自分で「昔取った杵柄」で物造りを再開出来ます。
(大工さんやペンキ屋が大きな会社にしてから、倒産しても、元の職人に戻ったり年齢が高くなって現場が無理ならば、監督などやれます・・原点に返れば良いのです)
中国等新興国では経営者が、何の技術経験もなく資本さえあれば、日本から大規模機械化した工場設備を導入して日本技術者から機械操作をおしえられて生産を始めただけで従業員も流れ作業しか経験していません。
日本のように段階的発展の経験がなく、国内需要向けでなく、画一的低レベル品を作るために立地した大規模工場が、内需型・・きめ細かな多品種少量生産にイキナリ切り替われる訳がありません。

中国バブルの本質2(新興国経済2)

中国では不動産バブル=マンションバブル・建設バブルになるしかない・・土地に特化した我が国と法制度の違いを18〜19日に紹介しました。
中国の不動産バブル崩壊は・・庶民大量参加の結果、バブル・好景気破裂の損害が庶民に影響が直接及ぶ外に、マンション=建設業や納入する鉄材・・セメントや製鉄業界・内装関連・鉄道製造やひいては地方政府の破綻まで大影響を受けるのが土地に特化した我が国バブル破裂との大きな違いです。
これ加えて17日から書いているように新興国型発展をして来た中国では、鉄道、港湾その他流通インフラ需要と工場立地と一体・同時発展・一斉開花でした。
工業的に言えば軽工業も、重工業も発展段階を無視した(家内手工業から中小零細企業時代の技術蓄積・経験を経由しない・・この辺は韓国も同様です)一斉投資でした。
中国の経済不振は東南アジアとの輸出競争に負け始めていることに真の原因・・輸出企業の不振にあるとすれば、大量設置した輸出目的工場系の方から先に資金繰りに窮する事例が多く出て来る・・来ている可能性があります。
マスコミやネットで論者が書いているように、不動産・マンションバブル崩壊が原因で経済不振になるのではなく、輸出系大規模工場の操業率低化によると言うべきです。
輸出系工場急拡大による農民→工業労働者への転換による収入増が続いたので、これを当て込んでマンションその他の需要とこれの継続を当て込んだ仮需が急拡大していたのですが、輸出系大工場の操業率低下・・経営不振による需要減退を誤摩化すために湯水の如き?際限ないインフラ整備等をやってきましたが、資金的に無駄な投資を続けられなくなって来たのが、中国の経済不振の真因です。
輸出競争力低下→操業率低下→供給過剰をの穴埋めのために、過剰生産される(例えば)鉄を使うマンション建設や鉄道新設工事、オリンピック会場等等の投資を続けてきましたが、無駄な工事はいつかは出来なくなるのは当然です。
一時的過剰品はどこかで無理に使えばなくなりますが、過剰生産力による過剰供給問題は、作り過ぎた分を折角建設資材等に使って山積みの製品在庫をなくしたと思ったら、工場から新たに過剰製品が出て来るので、無限に公共工事をし続けなければ製品在庫解消出来ません。
肝腎の供給元の生産を削減しない限り永久的に供給過剰品を無駄に消費し続けるしかない・・こんな無理なことは財政的にいつか破綻してしまいます。
水道の蛇口を閉めないで出て来る水をバケツで受けて、近所中の風呂桶などに配って歩いてもいつかは近所の風呂桶は満杯になるでしょう。
福島原発の汚染水が日々でて来るのをそのままで、受け皿のタンクばかり増設し続けている姿と似ています。
政府は供給過剰を認めて生産規制するか市場淘汰させて大本の過剰生産をやめさせるしかないのですが、共産党政権は赫赫たる未来・何年後にアはアメリカを追い越すような宣伝をしているためにこれが出来ません。
過剰製品処理のために下流の産業に無駄な投資を強いるのは、市場経済無視・・独裁政権だからこそ出来ることですが、・・無理は結局無理です。
需要無視の鉄道建設すれば、出来上がると乗客がいないと言うことで、転嫁先の鉄道業界の(過剰な大卒に始まって地方高速道路や自動車産業、空港や競技場やマンションその他需要無視して作った全ての業種)の過剰問題が起きてきます。
大本の粗鋼や石化製品等基礎資材の生産能力を削減しないままでの単なる在庫処分・消費拡大ですから、粗鋼生産能力等基礎資材の過剰が解消されていない・・従来どおり過剰生産が続いている上に、転嫁先の鉄道や自動車やマンションやオフイスビル等の過剰供給問題が再拡大してダブル・トリプル発生してきます。
政権延命のために過剰分野を国内で先送り・再拡大して来ただけの可能性があります。
再転嫁再拡大の繰り返しが限度に来たらしく、最後は人間を増やすしかないと言うところまで追いつめられて一人っ子政策を緩和するところまで発表されています。
鬼城と言われるマンション投資業界は、先送りされ転嫁されたいろんな末端業界の1つに過ぎない・・バブルの原因ではなく結果の1つに過ぎないと言うのが私の意見です。
不動産不況は、空き家を見れば分るので、・・これがネットジャーナリストである旅行者・ウオッチャーの目につき易いのが真実かも知れません。

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