ロシアの台頭と資源(民族文化の有無)1

話題がズレますが、もう少しロシアの(独自文化のない)民族意識・・とは何か?という疑問について書いて行きます。
エルミタージュ美術館はドイツ諸候の娘であったエカテリーナ2世が(1700年代後半から、ナポレン戦争終わりまでの治世)ころにドイツ〜フランス、イギリスその他の収集家の持っていた「所蔵品をまとめ買い」する方法で蒐集を始めたことに始まります。
映画を見ていると成金になって文化も身につけようとしても自分で選別する能力がないので?、自慢の作品の多くは西欧の有名所蔵家の所蔵品を金にアカしてまとめ買いした印象です。自国文化の紹介でないのはもしかしたらイギリスまたはアメリカ系映画だったからかも知れません。
何を見に行くかを知らないまま、妻に連れて行かれる習慣なのでどこの映画会社だったかを見損なってしまいましたが・・字幕に頼ってみていますが、聞こえてくる発音は英語だったようでした。
エカテリーナ2世はトルコと戦いクリミヤを奪いウクライナの大半を領有し、スウエーデンと戦いバルト三国を吸収したり・ポーランド分割を主導するなど大活躍です。
シベリアでいつから金が産出されるようになったかネット検索には出て来ませんので根拠がありませんが、その資金背景を想像すると、約100年前のピョートル大帝がシベリアに版図を拡大した効果が現れている・資源獲得・・金産出によるバブルがあったからではないでしょうか。
金回りの良さが相次ぐ対外戦争を可能にし地位相応の立派な宮殿やこれを飾る絵画・彫刻などの文化導入の欲求となり、国内改革も進めていわゆる啓蒙的専制君主・トキのリーダーの一人に数えられるようなりましたが、アレクサンダー大王や漢の武帝など外征を積極化した王朝はその後兵役に徴用される庶民の発言力の高まりや不満が蓄積し財政的にも負の遺産を受けつぐのが普通です。
エカテリーナ2世は、「どうせ先のこと」だという気安さから、啓蒙的人気取り・・人民に期待をいd化せるなどキレイごとを言い過ぎたので、農奴たちも期待してしまい後継者が苦しんだと原因を作ったのではないでしょうか?
贅沢するとその後が大変なように、お金だけはなく人民を兵士等として贅沢に使い過ぎた・負の遺産を残したことになります。
イギリスが対日戦に協力させる為インドのグルカ兵に独立させるような甘言を弄して期待させたことが大戦終了後の独立運動の元になり、ユダヤ人に建国を約束したことが戦後アラブ対イスラエルの紛争の原因になったのと同じです。
上皇や藤原氏が武士をいいように使っている内に武士の発言力が高まって行ったのと同じで、人をタダでは使えないと言う当たり前の結果です。
ロシアもその後長期的に農奴らの地位向上慾をかき立てて・・欲求不満が高まるし・他方戦争ばかりで財政危機に見舞われるようになった・・エカテリーナ2世死亡後の19世紀後半以降は国内不満が渦巻きその矛盾解決(農奴解放しようとすると大貴族が反対するなど)に苦しんだ挙げ句に解決能力がないまま、ロシア革命に突入してしまいます。
政治と言うモノは矛盾した主張をどうするかの調整能力次第ですが、これがない民度だと暴発になります。
ロシア革命が一朝にして起きたのではなく、長期間の矛盾蓄積によるもの・・その十数年前の日露戦争当時にもその前兆の反乱があって(第一次ロシア革命とも言います)、止むなくロシアが対日講和に応じざるを得なかった経緯を見れば明らかです。
http://www.y-history.net/appendix/wh1401-114.htmlによれば、戦艦ポチョムキンの乱は以下のとおりです。
「1905年、血の日曜日事件で民衆を弾圧し、日露戦争を継続するツァーリ政府に対する不満は兵士の間にも広まった。5月には日本海海戦でバルチック艦隊が全滅し、大きなショックとなった。そのような中で6月、ロシア海軍の黒海艦隊の戦艦ポチョムキンの乗組員が反乱を起こして艦を乗っ取るという事件が起こった。」
日露戦争では初戦では連勝していましたが、既に継戦能力のなかった日本はこれで救われたのです。
日米戦争は途中で終わるために・・仲介してくれる国が想定出来なかったので、無理を言われても隠忍自重して来たのですが、最後に自重し切れずに開戦に踏み切った結果、最後まで戦うしかなくなったので完敗してしまいました。
戦を始めるときは双方ににらみの利く大国・上位機関がタオルを投げてくれる準備が必要です。
信長も都合が悪くなると、足利義昭や朝廷を動かして和議を成立させて時間を稼ぐのが普通でした。
話題がズレましたが、ロシアを見ると独自文化のない国が資源収入による成金→軍事力を持ったと同時に世界中から美術品を買い集めただけのような民族では先がありません。
現在もロシアは原油が安くなると途端に苦しくなる資源頼みの国です。
以下15年と16年で見ておきましょう。
(1)・・15年分では前年比35/7%減の速報ですhttps://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_russia_2015
販売台数速報 2015年
ロシア新車販売、12月は45.7%減、通年は35.7%減の160万台
・欧州ビジネス協会(AEB)が14日に発表した2015年12月のロシア国内新車販売台数(小型商用車を含む)は、前年同月比45.7%減の14万6,963台となった。通年では前年比35.7%減の160万1,216台となり、3年連続でマイナスとなった。
(2)16年分では11%減の速報です。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_russia_2016
ロシア新車販売、12月は1.0%減の14.6万台、2016年通年は11.0%減の142.6万台
・欧州ビジネス協会(AEB)が12日に発表した12月のロシア国内新車販売台数(小型商用車を含む)は、前年同月比1.0%減の14万5,668台となった。2016年通年の累計販売台数は前年比11.0%減の142万5,791台                       
中国が苦しいと言っても昨日紹介したように昨年は14%増以上ですし、アメリカも3%増(日本は飽和状態ですから更新需要しかありません)です。
ロシアは農業国家ですから、資源が下がってもベネズエラのように食うに困ることはないにしてもクルマの更新需要ほど庶民生活を正確に表す指標がないと思われます。
ロシアは日本の2倍以上の人口を抱えて年間需要が140万台規模で日本の年間販売台数の3分の1でしかなく、これから新規需要が増える途上国であるにも関わらず、15年は前年比35%も減り、原油相場が持ち直した16年でもなお11%も減少するとは異常です。
食品は10日も食わずに先送り出来ませんが、クルマの買い替え需要は、生活が苦しくなれば、6年に1回買い替えていた人が1〜2年先送りすることは平気ですし、この先自分も欲しいな・・と思っていた人が新規購入をためらう・・・・この結果売れ行きが落ちる・・新規需要による前年比増どころか、更新需要の多くが先送りされることほど景況感を良く表す指標はありません。
ベネズエラほどではないにしても、原油価格の上下に連動してロシアのクルマ販売の落ち込みが激しい・・ロシアは資源国家経済の比重が高い点に注意すべきでしょう。
独自文化のない国の将来は限られます。

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