キリスト教国の国際条約6(ハーグ陸戦条約)

日米戦争でのアメリカの戦時条約違反を主張する声が多く聞かれるものの、条約自体をみた方が少ないかも知れませんので、以下現代版ウエストファーリア条約であるハーグ条約を紹介しておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki

ハーグ陸戦条約
1899年にオランダ・ハーグで開かれた第1回万国平和会議において採択された「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約(英: Convention respecting the Laws and Customs of War on Land, 仏: Convention concernant les lois et coutumes de la guerre sur terre)」並びに同附属書「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」のこと。

我が国は1907年の改訂条約から参加していますので以下この条文の一部を紹介します。
アメリカの2度にわたる原爆投下実験その市街を取り囲むように火をつけてからに順に中心部に焼夷弾を投下して住民が逃げられないようにした攻撃など元々住民大量殺戮を目的にした戦争犯罪に関心のある方が多いでしょうから、参考までに陸戦条約の条文を部分的に紹介しておきます。
前文は如何に抜粋するように条文化していなくとも人倫に反する行為をしないことを約束したものです。

「一層完備シタル戦争法規ニ関スル法典ノ制定セラルルニ至ル迄ハ、締約国ハ、其ノ採用シタル条規ニ含マレサル場合ニ於テモ、人民及交戦者カ依然文明国ノ間ニ 存立スル慣習、人道ノ法則及公共良心ノ要求ヨリ生スル国際法ノ原則ノ保護及支配ノ下ニ立ツコトヲ確認スルヲ以テ適当ト認ム。」

以下はhttp://1st.geocities.jp/nmwgip/Treaties/Laws_and_Customs_of_War_on_Land.htmlの部分引用です

陸戰ノ法規慣例ニ關スル條約
Hague Convention IV – Laws and Customs of War on Land
一九〇七年(明治四〇年)一〇月一八日海牙ニテ調印
独逸皇帝普魯西国皇帝陛下〔以下締約国元首名省略〕ハ、平和ヲ維持シ且諸国問ノ戦争ヲ防止スルノ方法ヲ講スルト同時ニ、其ノ所期ニ反シ避クルコト能ハサル 事件ノ為兵力ニ訴フルコトアルヘキ場合ニ付攻究ヲ為スノ必要ナルコトヲ考慮シ、斯ノ如キ非常ノ場合ニ於テモ尚能ク人類ノ福利ト文明ノ駸駸トシテ止ムコトナ キ要求トニ副ハムコトヲ希望シ、之カ為戦争ニ関スル一般ノ法規慣例ハ一層之ヲ精確ナラシムルヲ目的トシ、又ハ成ルヘク戦争ノ惨害ヲ減殺スヘキ制限ヲ設クル ヲ目的トシテ、之ヲ修正スルノ必要ヲ認メ、千八百七十四年ノ比律悉会議ノ後ニ於テ、聰明仁慈ナル先見ヨリ出テタル前記ノ思想ヲ体シテ、陸戦ノ慣習ヲ制定ス ルヲ以テ目的トスル諸条規ヲ採用シタル第一回平和会議ノ事業ヲ或点ニ於テ補充シ、且精確ニスルヲ必要ト判定セリ。

一層完備シタル戦争法規ニ関スル法典ノ制定セラルルニ至ル迄ハ、締約国ハ、其ノ採用シタル条規ニ含マレサル場合ニ於テモ、人民及交戦者カ依然文明国ノ間ニ 存立スル慣習、人道ノ法則及公共良心ノ要求ヨリ生スル国際法ノ原則ノ保護及支配ノ下ニ立ツコトヲ確認スルヲ以テ適当ト認ム。
締約国ハ、採用セラレタル規則ノ第一条及第二条ハ、特ニ右ノ趣旨ヲ以テ之ヲ解スヘキモノナルコトヲ宣言ス。
〔全権委員名省略〕
因テ各全権委員ハ、其ノ良好妥当ナリト認メラレタル委任状ヲ寄託シタル後、左ノ条項ヲ協定セリ。
第一款 交戰者
SECTION I ON BELLIGERENTS
第二章 俘虜
CHAPTER II Prisoners of war
第二款 戰闘
SECTION II HOSTILITIES
第二二條 交戰者ハ害敵手段ノ選擇ニ付無制限ノ權利ヲ有スルモノニ非ス
Art. 22. The right of belligerents to adopt means of injuring the enemy is not unlimited.
ホ 不必要ノ苦痛ヲ與フヘキ兵器、投射物其ノ他ノ物質ヲ使用スルコト
(e) To employ arms, projectiles, or material calculated to cause unnecessary suffering;
第二五條 防守セサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何ナル手段ニ依ルモ之ヲ攻撃又ハ砲撃スルコトヲ得ス
Art. 25. The attack or bombardment, by whatever means, of towns, villages, dwellings, or buildings which are undefended is prohibited.
第二七條 攻撃及砲撃ヲ爲スニ當リテハ宗教、技藝、學術及慈善ノ用ニ供セラルル建物、歴史上ノ記念建造物、病院竝病者及傷者ノ収容所ハ同時ニ軍事上ノ目的ニ使用セラレサル限之ヲシテ成ルヘク損害ヲ免レシムル爲必要ナル一切ノ手段ヲ執ルヘキモノトス
被圍者ハ看易キ特別ノ徽章ヲ以テ右建物又ハ収容所ヲ表示スルノ義務ヲ負フ右徽章ハ予メ之ヲ攻圍者ニ通告スヘシ

 

キリスト教国の国際条約5(異教徒は守る気になれるか?2)

日本では一帯一路構想は中国の孤立した野心で失敗するだろうとの位置付けですが、上海協力機構外形だけ見ると中露を軸に着々と地歩を固めつつある様子です。
中国は国内不採算投資拡大の限界→外貨準備枯渇の心配から、自由に支配できる自前の国際機構を作り(本部中国で他国の理事は名目だけにして、常駐しないので国際資金を事実上中国の思うように使える仕組み)そこに外資を入れてその資金を自国のために流用したいという狡猾な思惑から、一帯一路構想をぶち上げました。
中央アジア諸国は概ね人口まばらな経済力のない国々ですから、(その分、採算性が低いので民間投資が望みにくい地域です)中国による巨額投資の計画は夢のように映ったでしょう。
上記のように国際的資金を導入して対外的には資金バラマキを餌に一帯一路沿線国に夢を与え賛同者を募った面があるので、資金出し手予定の日米が入らない(知らんプリ)と軍資金が続かない弱点が致命的です・・。
もともと中国の自己資金は見せ金でしかなく日米の資金をかすめ取ろうというものでしたから、日米がそっぽを向いたまま設立後時間がたてば経つほど資金が続かなくなってきた(背に腹を変えられずにアコギな取り立てに回るしかなくなり、国際信用がガタ落ちになってきた)ところへ、米中経済戦争勃発で、(将来的にはトルコ並みの通貨暴落対象になりかねない状態で)泣きっ面に蜂の状態です。
https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20181013.html
2018-10-13 05:00:00
中国、「貿易戦争」立ち向かう原動力は債務依存で「手詰まり感」

中国は、よく資金が豊富だという。「一帯一路」で各国へ資金を貸し付けていることを見てそう言われているのだ。それは、間違いである。本来の対外直接投資資金は、経常収支の黒字で賄うべきもの。それを計る尺度が、対GDPの経常収支黒字比率である。中国は今、これが急速に低下している。今年は、1%を割る懸念が強い。その背景にあるのが、先の限界資本係数の上昇だ。非効率経済ゆえに、対GDPの経常収支黒字比率を引下げている。対外直接投資を自前の経常収支黒字で賄えない状態である。だから、中国は「一帯一路」で日本へ資金的な協力を求めてきたのである。中国は、決して資金豊富な国ではない。

『サーチナ』(10月1日付)は、「リーマン・ショックから10年、高まる中国の金融リスクー大和総研調査」を掲載した。
(3)「BIS(国際決済銀行)統計によると、中国は、債務残高のGDP比が2008年末の141.3%から2017年末に255.7%へ急上昇した。この水準や上昇ペースの速さは、かつて金融危機に陥ったり、バランスシート調整による景気急減速を余儀なくされた国々に匹敵している」

昨日見たように、中露が派手な軍事演習をしたり、公海を埋め立てて軍事基地を作って威勢を示しても、軍資金が続かないのでは文字通りコケ脅しでしかなく、どうにもならないでしょう。
中国は覇を唱えるための対外援助どころか、通貨マフィアの標的にされかねない危機的状態になっているのです。
このために中国は膝を屈して日本にすり寄っている状態です。
ところできれいごとと言うか西欧で理性に基づいて一歩一歩組み立てて来た国際政治上の約束事(ウエストファーリア条約以降の漸進的向上/国際通商条約)にロシアを含めた周辺ないし新興国指導者はごもっともと言うことで反対出来ないから条約参加してきました。
しかし、身近な生活では暴力的解決が普通の社会で、国連の掲げる高邁な人権思想にそのままついて行けない現実が先進国アメリカでさえ)吹き出した印象です。
アメリカの場合、国(国家理性)としては自由民主制で、人権重視ですが、死刑制度がない代わりに犯罪処理現場では黒人に対する射殺が日常化している実態・・これが実質の二重基準です。
日米戦では異教徒の日本に対しては国際法を守らなくとも良いという戦争方法であっただけではなく、国内でもアメリカ国籍を持つ日系人を迫害し、黒人と白人では国内でも扱いが今でも違うのです。
格差拡大・・トランプ氏の1国主義の主張・・それらは全て「国民レベルでは、優等生を演じ切れない」と言う悲鳴にも聞こえます。
米軍が、欧州戦線で解放軍というメデイアの宣伝にも関わらず、強姦魔になっていたことを12日に紹介しましたが、綺麗事に国民がついていけない実態があります。
アメリカ自身も西欧から見ればロシア同様の西欧文化の周縁国ですから、いざとなれば野蛮な本性を出してしまうのでしょう。
平安末期の公卿社会からすれば、勃興してきた地方の粗野な武士団とは気が合わないが、利用できる限度で無視できないので、粗野な武士同士で争っていればいいという源平時代の摂関家のような気持ちが、20世紀以来の西欧の姿勢でしょう。
もしかしたらトランプ氏の無茶な要求は、アメリカの草の根の本音・・上海協力機構に参加すれば価値観や気持ちが一致するかもしれません。
実はアメリカは、本音に従って?上海協力機構にオブザーバー参加申請したところ、拒否されているらしいのです。
上海協力機構に関するウイキペデイア引用の続きです。

SCOはアメリカのオブザーバー加盟申請を拒否した他[2]、アフガニスタンのカルザイ政権が半ば「アメリカの傀儡」である事を理由に加盟申請を拒否したり、加盟国ウズベキスタンからの駐留米軍撤退を要求するなど、米国との対立路線を形成しつつある。過去のサミット(2007年のビシュケク・サミットを含む)では、たびたび間接的に「ワシントンへの反感」が示されている。

キリスト教徒は嫌・お断りということでしょうか?
ところできれいごとと言うか西欧で理性に基づいて一歩一歩組み立てて来た国際政治上の約束事(ウエストファーリア条約以降の漸進的向上や各種国際通商条約)にロシアを含めた周辺ないし新興国指導者はごもっともと言うことで反対出来ないから条約参加してきました。
しかし、身近な生活では暴力的解決が普通の社会で、強盗も泥棒も蔓延している社会で国連の掲げる高邁な人権思想にそのままついて行けない現実が先進国?アメリカでさえ吹き出した印象です。
アメリカの場合、国(国家理性)としては自由民主制で、人権重視ですが、死刑制度がない代わりに犯罪処理現場では黒人に対する射殺が日常化している実態・・これが実質の二重基準です。
格差社会は経済用語ですが、実はその基礎には文化度の二重構造があるとみるべきです。
日米戦では異教徒の日本に対しては国際法を守らなくとも良いという戦争方法であっただけではなく、国内でもアメリカ国籍を持つ日系人を迫害し、黒人と白人では国内でも扱いが今でも違っている、二重基準の社会です。

キリスト教国の国際条約4(異教徒は守る気になれるか?1)

「人としてやって良いこと悪いこと」の内発的価値観がない・・仕返しを恐れるだけの場合、勝てばそのチャンスに相手が仕返し出来ないほどとどめを刺すしかない・・徹底的に痛めつける・・インデアンに対するように民族として生き残れないほど弱体化させてしまう・ジェノサイドが普通のやり方になって行きます。
こう言う価値観で欧米人が世界支配した近代〜20世紀は弱肉強食の世界になってしまったのは、仕方ないところです。
ここで16年8月以来中断している(17年1月16日にも若干触れています)ウエストファーリア条約の本質・キリスト教徒間だけで人道主義が語られて来たテーマに戻ります。
ギリシャ・ロ−マの民主制と言っても「市民」だけだったように、欧米の人道主義は「ブルジョア」の市民から始りキリスト教徒一般に枠を広げただけのことでした。
フランス革命もブルジョアジーだけの自由人権でした。
このきれいごとと言うか実質のない欧米の民主主義や人権思想に異議を唱え始めたのが最近のイスラム教徒の難民を含めた「乱」の本質と言えそうです。
異教徒除外の人権思想に最初に公式の会議で異を唱えたのが日本で、第一次世界大戦後国連でこれを主張したことが英米の怒りを買い・・「報復のための戦争」植民地支配にモンクを言った現地人を見せしめに「縛りクビ」にするのと同じ懲罰戦争に引きずり込まれたことを書いてきました。
条約の発展に戻りますと、その後名誉白人?日本も対等者としての戦時条約に参加をするようになり、今では世界中でいろんな国が参加する条約社会になっていますので、本来的にキリスト教徒オンリーの原則が見え難くなっているので、ここでその本質・・由来を書いておく必要があると思って書いています。
ただ戦争等の極限状態になると、欧米人はキリスト教徒オンリーの本音が表面化し易いから物事の理解には由来が重要です。
アメリカは戦時陸戦条約・・ハーグ条約に加盟していたのに対日戦争での残虐行為・・相手の武装解除を良いことに降伏条件を超えた無法な支配した・・臆面もなく実行して来たのは、この歴史・・異教徒にはどんな残虐なことでも背信行為をしても良いと言う意識が根深くのこっていたからではないかと言うのが私の憶測です。
キリスト教徒か否かで差を付ける考え方は、ドイツのユダヤに対する差別、アメリカで日系人が全財産没収されて荒野の収容所に収容されたのは、ドイツでのユダヤの処遇と共通です。
ただアメリカは食糧が豊富だったので飢え死にさせなかった違いだけを理由に、ナチスドイツ批判しているのですが、根本の発想は同じでしょう。
日米戦争が始まった時のヒットラーのルーズベルトに対する祝電(日独同盟よりも人種差別優先・露骨に表現した非白人をたたきのめせ!と言うような祝電でした)を紹介しましたが、英米独ソの戦いの次元は異教徒との戦いより低いものだったので、もしかしたらルーズベルトがナチスのユダヤ系収容開始に祝電を送っていた資料がその内出て来るかも知れません。共産主義対自由主義の戦いも異教徒日本との戦いよりは次元の低い争いです。
ルーズベルトにとっては、共産主義対自由主義の戦いも、異教徒日本との戦いの方が優先だったし、日独同盟よりはアジア人撃滅の方位が優先していたのです。
ヒットラーの祝電が今になると探せませんが、10月6日に紹介した以下の記事はかなり詳しい分析です。
http://bewithgods.com/hope/japan/14.html

「日米戦争を起こしたのは誰か ルーズベルトの罪状・フーバー大統領回顧録を論ず』から

という題名ですが、内容はフーバー回顧録の要約にとどまらず、ミアーズ論文の要約がかなりを占めていますが、そこには私の年来の主張とほぼ同旨の主張が網羅的に引用され主張されているのに驚きます。
私の意見といっても、多くはあちこちに発表されれている意見・主張を無意識のうちに飲み込んだ上で、自分の意見であるかのように思い込んでいることが多い(と時折書いていますが・・)ことの例証かもしれません。
戦時に関する条約に留まらず今や商取引・知財、犯罪人引き渡し条約その他いろんな種類の国際条約が締結されるようになっていることは周知のとおりですが、これら条約が発達するとこれをも守らせるための判定機関として国際司法裁判所,海事・商事裁判所などが設置されるようになっています。
こうした先例や条約・ルールを守れというというルールも先進国による後進国支配道具に使われている実態も上記に紹介されています。
徐々に国際的に「法の支配」が行き渡り始めたように見えましたが、14年にロシアによるクリミヤの武力編入+ウクライナ侵攻が行なわれ、西側世界が反発してもロシアは一歩も引かないでそのままですし、フィリッピンが南シナ海で領海問題で中国を訴えていた結果、フィリッピン完勝の裁定が出ましたが、中国はこんなの「認めない」と宣言しています。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071200762&g=int

「南シナ海をめぐる仲裁裁判の判決は、中国が習近平政権下で積極的に進めてきた同海への進出の法的な正当性を明確に否定した。中国外務省は、声明で「判決は無効で拘束力はなく、受け入れず、認めない」と判決を拒否。

他方で、(16年7月ころ原稿記載ですから今になるといつか不明です)フィリッピン大統領が「覚せい剤等の犯罪者をドンドン射殺しろ」と命じたか、選挙公約だったかの結果、短期間に射殺された公式発表だけで6000人以上に達している事態らしいですが、これに対する、国連の人権侵害批判に対して同大統領は、(モンクあるなら)「国連脱退して中国と新たな国際組織を作る」とまで公式発言して大騒ぎになっています・・直ぐに外務大臣が火消しに努めているようですが・・。
本来フィリッピンと中国の領海争いでフィリッピン完勝・・有利に出た裁決ですが、これを守らないと言い放つ中国の宣言はフィリッピンに不利な発言ですから対決すべき状況ですが、ドーテルテ大統領はせっかくの判決の成果を無視して就任後中国寄り姿勢を明確化しています。
国益と関係なく現行国際秩序無視の中国と連帯・あるいは利用した方が自己保身に有利と言う読みでしょうか。
トルコも歴史的な大宿敵ロシアに対抗するためにNATOに加入しその軍事力の大きな部分をになっているし、EU加盟を熱心に運動して来た経緯があります。
ところがいつまでもEU加盟を認められない・・(本質はキリスト教国ではないからです)のに業を煮やしたのか、シリア難民問題でドスをEUに突きつけた関係になり、更にはクーデター未遂事件以降、大規模国内弾圧を繰り返していわゆる西欧的価値観・・民主国家の仲間から離れて行く勢いです。
以上は16年夏〜秋ころの原稿意見でしたが、その後もトルコは欧米離れの方向性が激しくなる一方です。

対支21か条2(中国の反日運動激化)「コラム再開」

※8月29日から昨日までは約1ヶ月間コラムアップできなかったので、今日からアップできるようになりましたが、書く気力がなかなか復活しない・・8月30日以降昨日までの分は、時節の話題に関係なく半年〜数年前からの原稿先送り分そのままの掲載になっていますが、今日からのコラム同じく過去原稿のアップですが、掲載時現在で少し見直して手入れした内容復活です。
こうしてみると「高齢者が入院すると退院後歩いて良い」と言われても歩けなくなる状態がよくわかります。
時事問題をすぐに書く気力が復活しないのでまだ過去の先送り原稿の手直し程度ですが、今後おいおい、書く気力が復活していくと思います。

昨日引用の続きです。

日本の要求書を受けとった袁世凱は、即答を避け、ポール・ラインシュ米公使やヒンツェ独公使らと緊密な連絡をとり、相計って国内世論を沸騰させ、外国に対しては、日本の要求を誇大に吹聴して列国の対日反感を挑発した。
在中ドイツ系機関紙である北京ガゼットや独華日報は山東問題に関する袁世凱との直接交渉を攻撃しはじめ、20余紙はドイツの新任公使ヒンツェに買収されたなどと言われた[13]。排日派や宣教師らは日本軍の暴行を喧伝し日本軍の撤兵を要求した[14]とされる。
アメリカは第1号第2号第3号については抗議する意図なく、あるいは敢て反対しない態度を日本政府に提示したが[15]、第4号第5号に関しては明確に反対であり、とりわけウィルソンの関心は第5号に集中していた[16]。
大隈内閣は3月15日に日本側に提示されたこの対日覚書の意図を正しく理解することができず、第5号に関して米国は「左シテ重キを措カサルモノ」と判断し安易に対華強硬策に転じたことは、4月中旬以降のアメリカの極東政策に影響をあたえることになった

列強支持のもと21ケ条要求貫徹・成功・・これを不服とする中国人民の抵抗・条約の無効化による不服従抗争→宣戦布告なき戦争の泥沼に入って行った原因です。
野党系政治家の弱点・民意把握より観念論で押し通す習癖→唯我独尊傾向を繰り返し書いてきましたが、大隈内閣に対する戦後メデイアの偏った高評価が多いのですが、日本の命運を間違った方向へ導いた元凶であったことが上記引用でわかります。
(明治憲法制定前からの大隈重信の行動は今の革新系野党同様の現実無視の主張が多かったように・記憶だけですが・・)
大隈重信のアメリカ訪問時に大統領との会談記録に「こんな激しい主張をする人は見たことがない」(要は「話しにならない人物」という評価)と記録されている記事を引用紹介したことがありますが、なんのコラムで引用したか忘れましたので、以下の通り再引用します。もともと自由民権運動政治家で、今で言えば鳩山〜菅内閣で知られる民主党政権の先祖のような性格です。
要は政治能力がないのです。
第一次大隈内閣に関する本日現在のウイキペデイアの記事からです。

またアメリカのハワイ併合に対して、「これほど激烈で宣戦布告か最後通牒に等しいような外交文書は見たことがない」とマッキンリー大統領に言わしめるような強硬姿勢を示して外交危機を招いた。そして組閣後4ヶ月余りで総辞職を余儀なくされた。

対し21か条要求は、日本の協力を必要として指定た連合国の承諾で国際政治力学上で日本の主張が通ったとはいえ、要は日本が中国で火事場泥棒的に「やりすぎた」点について、政治家としての反省が足りなかったのです。
強い国や強いものからの不当な要求を跳ね返すために、訴訟や国際政治力学を利用するのは良いことですが、不当な要求を通すために国内であろうと国際であろうと政治力学.権力を利用して弱者をいじめると、時間の経過でその無理が跳ね返ってくるのは政治の常識です。
さらに話題が変わりますが、先の大戦ではたまたまドイツと同盟しましたが、日本を世界孤立に追い込んだ元凶は実はドイツの反日宣伝に始まるものでした。
日本が世界の思想変化(植民地支配に対する批判精神浸透)について行けなかったのが原因ですから、今更ドイツを恨むのは大人気ないですが・・事実は事実です。
7年ほど前の中国の反日暴動後日本に代わって着々と進出しているのがワーゲンを代表とするドイツ企業であったことからわかるように(慰安婦騒動でドイツを見習え論が韓国等で強いですが、)、もしかして?今も中国や韓国の反日運動にはその背後にドイツの陰・・「日本排撃しても高度部品の供給は引き受けるから」と言う後ろ盾示唆がある可能性があります。
21か条要求と現実支配が始まると中国人民を巻きこんだ不服従運動が高まるに連れて、現実に合わせて英米は日本離れを加速していきます。
日本はあくまで戦後講和会議を乗り切った以上譲る必要がないという立場で、強制→不服従行動の激化→弾圧強化→治安維持のための満州の切り離し(要は野党系の好きな観念論強行です)→欧米人権思想家の反発・運動→国内世論に影響を受ける米英政府の上申の徐々に変更・反日方向への転換へとなって行きます。
日清戦争後の三国干渉を範にとると法理上横車であれ、それを受け入れるしかないのが国際政治の現実でしたし、第一次世界大戦時の対支21か条要求は、国際的に日本は多くの支持を受けて決まったこととしても、敗戦国ドイツは中国在住メデイアを通じて(日本に奪われた権益回復のため?)反日感情を煽っていて、現地反日運動が激化してきた以上は妥協をするしかないのも政治の現実です。
日本はこの辺で世界情勢を読んだ上での謙抑的行動が必要だったのですが、これができなかったのは右翼メデイアや学者が世界情勢を読むことが(素人・半可通のメデイアが政治を左右する悪弊)できなかったことが第一の原因でしょう。
日露戦争時に半可通の知識人が、妥協を拒み国民を煽って日比谷焼き討ち騒動になったように、今朝の日経新聞を見ると安倍総理がプーチンの無条件平和条約締結先行提案にその場で明白に拒否すべきだった」という立憲民主の主張を引用し、数日前の日米首脳会談の日米円満合意を批判して日本が多国間協調主義に反して2国間協議に応じたのは許せないという観念論を宣伝?しています。
旧社会党の国会戦術・通りそうもない強硬意見を言い張りで妥協しない結果、最後は何の主張も通らない強行採決誘引しては、国民大多数の批判無視と声高に主張する・・「執行部は筋を通した」と虚勢を張ることの繰り返しでした。
彼らは国民や労組のためではなく、(自分はやるだけやったという)保身のためにのみ行動している勢力ではないでしょうか?
大隈内閣は、隈板内閣と言われたようにいまの立憲民主党のようないわゆる野党系の観念論の集団でしたがこれに似ています。
今回の日米会談で多国間協議以外受け入れないと頑張って決裂して帰る選択肢はあったでしょうか?
何かを受け入れない限り交渉は成立しないのですから、自動車の輸出数量制限を受け入れない代わりに何かの輸入を受け入れるしかないのが現実です。
何しろアメリカが、一方的に関税をかけた場合、日本は打つ手がないのが現実です。
国際ルール違反だと騒いでも、どうなる訳ではありません。
日本が報復関税をかけて相互貿易が滞れば日本にとってもっと大きな被害になります。
だから中国だって焦っているのです。
カナダもメキシコも「約束違反」といっても仕方ないので、結局なNAFTAの再協定に合意しているのです。
日本のメデイアや野党は、なんらの対案もなしに批判だけする・・安倍総理が円満解決したのが減点かのように騒ぐのは、日露講和条約時以来の無責任な煽り体質に終始している印象です。
元に戻しますと、日本の大陸進出政策への邁進に対する米国の警戒は日比谷焼き打ち事件の頃から、すなわち満州事変の約25年も前から始まっていたのであり、これが21カ条要求事件後、日本がアメリカの修正要求に応じないところから顕在化し、日本は逆に強硬論の拡大一方・・満州事変〜北支事変〜上海事変へと広がっていき、その都度欧米の反日姿勢が強まっていきます。
日米開戦はその延長上の結果でした。
野党系観念論者が政権を取るとこういう結果になる歴史です。

国際孤立化とメデイアの責任2(日米緊密化)

明治以降の漸進的民主化の動きを潰してしまった対ロ講和条約以来の歴史の勉強に戻ります。
現在も何かに目をつけてはメデイアが大騒ぎして「国民感情が許さない」と言っては、担当大臣辞職を煽る・ひいては内閣総辞職を狙うのは、戦前の日本を国際孤立化方向へ引きずり込んだ責任を全く反省していない・・失敗の経験を学ばないことになります。
戦後教育では軍部責任論ばかりですが、軍部さらにはその中の極論派を育ててきたのはメデイアの煽りであったことを自己批判していないのが日本国民の不幸です。
その都度、これを許せないという偏狭な右翼感情を煽るメデイアに政治家が屈してしまい、この繰り返しの結果、背後の応援団であった軍部トップが対外主張を通すために妥協を知らない内部極論を利用した結果、一知半解の極論派青年将校の発言力が強化されて行き、穏健=幅広い見識を持つ従来の軍部トップが発言力を失い・・・3・15や2・26事件などで軍部内粛清対象になって行きました。
今の国際環境激変時の対米関係を如何にするかは、ロシアやイランであれ北朝鮮であれ、どこの国でも最重要事項ですが、安倍トランプ関係の構築がどれだけ日本の国際的地位強化に役立っているか知れません。
革新系は民主主義の本家みたいな顔をしていますが、実は皆の意見を聞いてやるのが苦手・・唯我独尊的になりがちな体質です。
選挙結果無視の政党です。
原発事故時の菅総理のやり過ぎを見ても分かるように、革新系政治家は批判ばかりで、多くの人の納得を得て円滑に動かす能力に欠けています。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1850

野田佳彦総理大臣は、米国東部夏時間4月29日(日)にワシントンDCに到着した。30日朝にアーリントン国立墓地で献花した後、午前から昼食にかけてバラク・オバマ大統領と首脳会談を行った。翌5月1日には帰国の途につく、という慌しい日程となった。
オバマ大統領その他の主要閣僚と会談するだけでなく、例えば、米日商工会議所や日米協会などで日本の震災後の復興について演説する、日本人選手が在籍する野球チームの試合を観戦に行く、大学で米国人学生とアジア太平洋地域における日米同盟の将来のビジョンについて議論する、など日本の総理自らが日本という国のPRマンとなるチャンスはいくらでもあった。訪米の際に、自らが持つ日本の将来に向けたビジョンについてのメッセージをしっかりと発信することで「外交に強い総理」というイメージを作る、あるいは総理自身の人となりを米国で知ってもらうという選択肢もあった。しかし、2泊4日というゆとりのない日程を組んだことで、せっかくの訪米という機会を棒に振ってしまった。
訪米時に1週間滞在した習近平
野田総理がオバマ大統領と過ごす時間が、会談の時間だけなのも気になった。習氏訪米時はカウンターパートのバイデン副大統領がアイオワ州やカリフォルニア州訪問を含めた全日程に同行した。
英国のキャメロン首相夫妻が3月に米国を訪れた際には、オバマ大統領はキャメロン首相とは首脳会談のほか、大統領専用機で共にオハイオに赴き、バスケットボールを観戦、加えてホワイトハウスで晩餐会も主催している。この晩餐会にはジョージ・クルーニーをはじめとする有名人が出席し、事後のワシントン・ポストの社交欄である「Style」欄の1面は「イギリス人が来た!イギリス人のためならジョージ・クルーニーだって連れてくるさ!」という書き出しの記事が占めていたのが印象に残っている。ところが、今回、野田総理がオバマ大統領と会うのは会談時のみで、総理の夕食会はクリントン国務長官が主催するという。

民主党政権になってから初めて野田総理が訪米しても、けんもほろろ・大統領との会談時間すら昼食を挟んだ2時間程度でしかなく、大統領主催の歓迎晩餐会もなくほとんどなく軽視されたので、中国や韓国は軽くみて、尖閣諸島侵犯や反日騒動慰安婦騒動その他が澎湃として起こりました。
安倍総理のトランプ政権との緊密化の成功はどれだけ日本の国益に貢献しているか知れません。
これを革新系支持のメデイアは属国根性と揶揄しますが、属国根性かどうかは別として、日本は野球で言えばイチロー人気、今の大谷翔平人気など、多様な分野でアメリカ大衆の心を掴むスベを大事する必要があります。
その中でも政治家の影響力が大きいのです。
ともかく米国世論を侮ってはイケません。
これに対する安倍総理の訪米日程は以下の通りです。
https://mainichi.jp/articles/20180410/k00/00m/030/063000c

毎日新聞2018年4月9日 19時51分(最終更新 4月9日 21時22分)

安倍晋三首相は17~20日に訪米する際、米南部フロリダ州でトランプ大統領と「ゴルフ外交」をする調整に入った。米側が要請していた。日本政府内には森友学園問題などを抱えていることからゴルフには慎重論もあったが、首相は日米の蜜月関係をアピールできる好機と判断した。
首相は昨年2月に同様にフロリダで、同11月は訪日したトランプ氏と埼玉県内でゴルフをした。2人だけで長時間言葉を交わせるメリットがあり、首相も「突っ込んだ話ができた」と「ゴルフ外交」の意義を語る。

安倍総理は毎回かな?トランプ氏の個人別荘に宿泊して懇談していますが、隔世の感があります。
こちらがもっと時間が欲しいと言ってこと割られているのと、相手大統領から個人別荘に移動してゴルフしないかと誘われているのとではおお違いです。
ナポレン戦争を終結させたのはロシアの軍事力であって、いわゆるウイーン体制は背後に当時興隆してきた新興国ロシアの軍事力に西欧諸国が潜在的に依存している・・恐怖を抱いていた体制でした。
・・そのロシアが軍事力に任せて問答無用式にシベリアや中央アジア〜東欧〜中東等へ版図をどしどし広げていく恐怖感が19世紀西欧の基礎意識でした。
14年のクリミヤ併合作戦で示した覆面武装集団が問答無用式に制圧して行く光景・これが西欧諸国にとって不気味に感じている本質です。
弱体化したオスマントルコ領を蚕食していく凄まじい過程を素描しましたが、植民地争奪戦では長年のライバル・・宿敵同士の英仏が共同してようやくロシアの南下作戦を食い止めたのがクリミヤ戦争でした。
「ロシアの南下主義」と言うのは西欧のすぐ近く・バルカン半島や中東で起きている脅威を表したものであって、実態はロシアの全世界的拡張主義に対して西欧は脅威に感じるようになっていました。
同じ新興国の勃興でもアメリカの勃興は西欧の分身というか価値観共同の安心感があったのです。
西欧中世以来の戦争は神聖ローマ帝国内の争いでしたので一応暗黙のルールがあった・・これを条約化したのがウエストファーリア条約でしょう・・そこに異質・辺境のロシアが参入してきたことになります。

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