国内生産過剰7(金融政策の効能)

従来から繰り返し書いていますが、金融収益は時間稼ぎや一時のショック療法にはなりますが、億単位の国民を長期に養えません・・いくら株価を上げても恩恵を受けるのは株主だけですし、しかも3割の外国人投資家が収益を3割外国へ持って行ってしまいます。
歴代政権は成長戦略と言う名で公共工事や商品券その他バラマキを続けてきましたが、今度は株主限定の一時金バラマキと評価できます。
一握りの株主優遇策と言う批判を避けるために5万円10万でもほぼ誰でも参加できるように個人株主の裾野を広げるための政策/NISAが展開され、これがしきりに宣伝されています。
一握りの株主ではなく5万円10万円の株主が100〜200万人増えれば、その人たちも株価上昇政策を支持してくれると言う政治的読みでしょう。
しかし、この政策は5万10万の小金しか持っていない非正規雇用の人も参加できると言うだけであって、経済効果で見れば、株式市場は参加数を増やしても恩恵は頭数に比例しないで金額に比例する仕組みですから、金額比率で言えば彼らは一握りにさえ行かないホンの僅かです。
10万円で買った株式が5%上がっても金額的には大したことがありませんが、何億単位で持っている人や機関投資家にとっては大きな意味があります・・・・結果的に外国人株式保有比率が急激に上がっていることからも、超金融緩和の目指す真の政策意図が分ります。
金融超緩和策が、株価上昇策以外に実体経済にどのような効果があるのか見えません。
日本の大手企業の内部留保・・使い道のないまま眠っている資金の巨額さがいつも批判されていますが、このような資金あまりの日本で金融緩和しても、銀行が企業の投資資金を貸しようがない・・国債購入や株式バブルに向かうしかない状態です。
今朝の日経新聞を見ると金融庁は検査基準をリスク先へどれだけ貸しているかをプラス評価に改めると書いています。
リスク先以外の優良企業では資金あまりで借りたがらないから、いくら緩和してもどうにもならない実態・・リスク先へもどれだけ貸しているか・・もっと果敢に貸せと言う行政指導を強化する意味を表しています。
こうした行政圧力の結果、その先に発生する大量の貸し倒れの損害を誰が責任持つのでしょうか?
金融緩和政策や法人税減税政策は外国人投資家にメリットのある政策・・株価上昇政策になるので外国人には人気があるでしょうが、本当に国内産業振興策になるのか・・むしろ貴重な資金(人口減が実現するまで赤字補填に徐々に使って行く必要のある資金を)を外国人にバラまいて(早く国力消耗して)終わらないか心配です。
成長戦略の意味は、事業主に取っては国内事業拡大よりは海外進出を成功裏に行なうことが多くの企業の目標ですから、株が上がって資金力に余裕ができても国内投資より海外進出に使うでしょう。
上記結果地方での成長戦略とは、地銀や地方中小企業でも如何にして海外に出て行くか(輸出比率を下げる話題・・)世界は広いぞ!の話題ばかりで県内で新規立地して生産し海外輸出しようとする企業は皆無です。
弁護士の世界でも海外雄飛しませんかの話題が成長戦略のような印象になっていますが、皆様の世界・業界ではどうでしょうか?
人口を増やせばその分内需が増えると言う変な論理で人口減抑制//人口拡大政策がマスコミで盛んです。
しかし、その分養うべき人口も増えるでしょうから、現在の国内生産業のうち、輸出用国内生産比率が3割だとした場合今後この比率を維持できるか減って行くのかの議論が重要です。
現在存在する輸出用国内生産比率が今後2割→1割と減って行き、最後は内需分だけしか生産できなくなると資源輸入が出来なくなります。
貿易赤字の結果は別に考えるとしても、輸出用生産が減る分を内需で補うために人口を増やすのでは無理があります。
「車やテレビの輸出が減った分を補うために人口を増やして国民が買いましょう」と言う政策っておかしいことは誰でも分るでしょう。
ラーメン屋や百貨店の客が減ったら、従業員を100倍に増やしてラーメンを食べてもらい、百貨店で買い物してもらおうと言う政策と同じです。
いま金融緩和でこれの後押しをやろうとしていることになります。

国内生産過剰6(人口縮小策1)

工業国が製品輸出する能力が落ちると、食糧その他資源を自給できない国は資源輸入代金の支払能力が下がりますので、食糧その他資源等を自給できる限度プラスアルファまで人口を減らして行くか、生活水準を落として行くしかありません。
原油代金支払いに困れば電気ガスの料金値上げ→利用を減らす・・あるいは食糧輸入(高級食材輸入減から始まるでしょう)を減らす・すべての分野で質素倹約しかなくなるでしょう。
適正人口まで縮小する前に単純に輸出を減らして行くと、赤字が膨らんでギリシャ等南欧諸国同様の結果になってしまいます。
輸出不振で生産量が減少し、輸入品に押される国では、国内生産業生産減にあわせて雇用を減らす→失業増大=購買力低下しかありません。
貿易収支の赤字転換が始まると赤字幅拡大は急激ですが、人口は急には減らせないので当面は財政赤字で政府(失業保険や公共工事で)あるいは企業が(社内失業の抱え込みや円安による輸入代金アップを直ぐに価格に反映しないで)負担して、国民にはすぐには直接負担させないでしょうが、いつまでも続きません。
貿易赤字が恒常化すると継続的通貨安になり輸入物価が上がり続けますが、これもすぐに価格転嫁しないで補助金で何とかするのが普通です。
しかし、いつかは財政赤字の穴埋めのために日本のように増税するか、電気代等輸入関連品の値上げ・・収入が増えないで値上げが続けば節電・節約と言う名の窮乏化が始まるしかありません。
7月6日の日経新聞5pダイジェスト欄には、エジプトが財政赤字に耐えられなくなって、ガソリンを78%も値上げする(→消費減退=窮乏化の始まりです)と出ていました。
経済縮小中の国では当初政府や企業が輸入価格アップ分を抱え込んでいても、いつかは増税か価格転嫁しかありません。
収入減少中のときに増税するのは無理があるので、(政府による差額負担金の減少・・ガソリン価格値上げ))物価上昇と言う形で国民に転嫁して行くしかないからでしょう。
企業の場合、社内失業を抱えている帳尻あわせに政府のように強制的に値上げすることも出来ない・・経済縮小中=不景気下で市場原理によれば値上げできないとなれば、最後は解雇するしかなくなってきます。
日本の場合企業に体力があった(海外展開して収益の送金があった)ので約20年間時間稼ぎをしていて、毎年定年で退場して行くのを待っていられた(・・補充を非正規雇用に)し、値上げしなくても何とかなったので幸せでした。
さすがに日本も、政府は増税し民間は徐々に値上げしないと成り立たなくなって来たので、安倍政権は消費税アップと値上げムード醸成に必死になっています。
いわゆる不景気下の物価上昇・・スタグフレーションの始まりですが、安倍政権はこれを誤摩化すために当面は株価上昇から入って行きます。
金融操作によって株が上がろうと上がるまいと、これは飽くまで金融レベルの問題であって、海外進出トレンドによって国内生産が経済縮小過程に入っている点は変わりませんから、今後雇用は減少するし貿易収支は悪化の一途をたどることは間違いがありません。
貿易収支の悪化が続けばトレンドとしては円安になる方向性ですし、輸入物価が上がるトレンドになります。
人件費も上がると言うアナウンスで国民を安心させた上で、輸入物価の上昇・・電気代等を引き上げるもくろみがあるように思いますが、実際には国内生産が減って行き雇用数が減少するしかない以上は、国民の数が同数であれば一人当たり収入が減って行きますので局部的な賃上げは別として日本全体の賃金底上げは難しいでしょう。
マスコミが現場系労務者不足→単価上昇を大宣伝して如何にも賃上げが始まる印象を広めていますが、現場系労働者は日本の局部であって全部ではない・・大多数を占める常用雇用者の賃上げには結びつきません。
常用雇用者の賃上げには国内生産力増強が必須要件であって、株価上昇は関係がありません。

海外進出と国内生産過剰5(人口過剰4)

グローバル化=消費地またはその近辺での生産→供給が究極の姿・・完成型でしょうから、これが完成するまで=海外進出能力がなくなるときまでの過渡期には、輸出用生産能力の過剰化→縮小圧力が止まりません。
この辺の意見は、05/27/07「現地生産化の進行と加工貿易の運命2(人口減少策3)」前後でグローバル化→所得平準化→現地生産になって行くしかないと書いたことがありますので参照して下さい。
グローバル化による海外進出が完成する=調整が終わるまでは、企業にとっては負担(無理して輸出するので利益率減少)が残りますが、なお少しは輸出代金が稼げます。
日本の場合高級部品(炭素繊維など)を現地生産しないで当面輸出して行けますので、この辺である程度稼いで原油や資源・食糧等の輸入代金の一部を稼ぐことが可能です。
これでも不足する分は、海外進出による利益送金で(所得収支黒字)穴埋めして行く必要があります。
グローバル化=現地生産化の進行自体を否定できない流れですから、貿易収支悪化を危惧して海外進出を怠っていると、(配当収益の送金が期待出来ないので)将来輸出自体がドンドン細って行き最終的には輸出が殆ど出来なくなったときに食糧等の各種資源輸入が出来なくなって大変なことになります。
高齢化に備えて誰もが貯蓄に励む・・利子配当(年金)収入で老後生活費を維持しようとするように、国家も輸出で外貨を稼げなくなる日に備えておく必要があります。
後進国では今のところ制限すると工場進出してくれないので寛容ですが・充分行き渡れば、利子配当の本国送金に規制がかかるようになるのは目に見えていますので、この日に備えるには結局自国資源の範囲内で生きて行けるように長期計画で適正人口にして行く努力が必要です。
人口縮小は数十年単位で時間がかるので、その間の食い扶持として利子配当収入が重要だと言うだけで永久に有効と考えているのではありません。
この辺も大分前から何回か書いています。
マスコミを見ているとFTA等の流れで貿易は自由化→活性化する一方のように見えますが、この動きが完成すると逆に輸出入数量縮小を促進・・国際貿易停滞するための動きにもなって行きます。
貿易とはある地域にないものをある地域から持って行くことが原型ですが、産業革命以降は、工業製品を品質の割に安く作れる国から安く作れない国・あるいは新製品開発した国から新製品のない国への輸出行為が主流になってきました。
グローバル化が進むとどこにでも需要あるところに先進国の先端工場が立地されて行き、どこでも似たようなものが生産される社会になります。
世界中で同じような製品が存在(現地生産)する社会になれば、産業革命以降主流になっていた工業製品の輸出入貿易が主流の地位から転落して、再び資源移動が交易品の中心になる時代が来ます。
(完全になくなる訳ではありませんが・・新製品をどこかの国で先に作ると伝播が早くなると言うだけです・・iPhoneをアメリカで作って50年も独占していれば50年間貿易品ですが、開発発表と同時くらいに中国で生産が始まる時代です)
この辺は先行者利益の期間が短くなっていると言うテーマで、05/26/07「現地生産化の進行と加工貿易の運命1(先行者利益の寿命)」で古代には文明の伝播に数千年かかっていたのが、次第に短期化されて来た経過を紹介しました。
こうなるとそこに存在し(作れ)ない希少品だから売れるのではなく、新製品開発後短期間で世界中どこでも作れる時代が来ますので、国際競争が加速すればするほど僅かのコスト差や現地顧客ニーズキャッチ差が現地販売競争の差になります。
インスタントラーメンで言えば、当初日本の味にちょっと工夫しただけでで輸出できていたでしょうが、時間が経つと現地人の好みに併せて行かないと似たようなものを作り始める現地資本に負けていきます。
工業品も消費地から遠く離れた本国で売れ筋の研究や指令をしていると・・あるいは遠くから部品調達していると時間差で現地進出した競争相手の企業に負けてしまいます。
厳しい競争を勝ち抜くには、現地生産だけではなく、現地密着したデザインや研究開発をするしかありません。

海外進出と国内生産過剰4(人口過剰3)

仮に20年間で600万人減らしたとすれば、1年で一斉に解雇した場合に比べて毎年膨大な社内失業者・・国内潜在失業者を抱えて来たことになります。
これが日本企業の業績低迷の原因でした。
日本の場合、赤字輸出まではしていなかったとしても、利益率が極限まで下がった形でも雇用維持のために社内失業を抱え込んでいるしかなかったとなれば、その他分野を含めた企業全体の利益率を下げてしまうことになります。
日本全体では、毎年膨大な海外投資・・海外進出をしているので、この海外投資分だけこれに遅れて同一製品の輸出用(最近では海外子会社からの逆輸入さえありますので内需分まで食われつつあります)国内生産能力が過剰化し、遅れて雇用需要が縮小し続けています。
海外生産移管の動きがいつ止まるか・・移管してすぐに解雇しないで少しずつ減らして行くので生産移管が止まってから5〜6年間は労働力過剰が続くことになります。
海外生産移管のマイナス影響が止まったところで、労働需給が均衡状態になるのでしょう。
毎年どの程度海外進出しているか・・・その分に比例して輸出が減り国内生産が減っていくので気になるところです。
以下は、http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20140627.html「勝又壽良氏の経済時評」からの引用です。

「中国捨て米国へ向かう
日本の対外直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー、100万ドル)
   
    2010年  2011年  2012年  2013年

米国  9016  14730  31974  43703
中国  7252  12649  13479   9104
韓国  1085   2439   3996   3296
アセアン8930  19643  10675  23610
資料出所:ジェトロ

上記データによると海外進出が止まるどころか拡大傾向→国内生産縮小→雇用減少が続く状態にあることが分ります。
欧州とアフリカや中南米を除いた分だけでも、日本は2013年には、約800億ドル弱の海外投資をしています。
13年の投資は円安になる前からの計画実行でしょうから、円安効果でどうなるかはまだ分りません。
2010年から見ると毎年ドンドン増えていて、まだまだ終息するどころではありません。
昔はこれがみんな国内再投資に向かっていたので、高度成長が続いたし、国内設備もピカピカで国際競争力があったのですが、こんなに巨額の再投資資金が毎年海外に出て行ってしまうようになると大変です。
個人で言えば稼いだお金をみんな妾宅につぎ込んでいるようなものですから、本宅の母屋が雨漏りがするなど古びてしまうばかりです。
生産工場で言えば、新規工場資金にばかりに売上金をつぎ込んでいたので、本社工場設備が古くなって来たと言うところでしょうか?
後記紹介するホンダメキシコ新工場で言えば、最先端最新鋭工場を造ったとの会社説明が載っています。
日本企業は従来世界最先端設備で世界競争に勝って世界に輸出していたのに、人件費その他が高コストのために最先端機器による歩留まり差くらいでは海外競争に勝てなくなってしまい、最先端機器の工場自体を海外に造るようになって久しいのです。
このような動きが10年ほど前から続いていますので、車に限らず日本国内生産の方が設備が古くなって海外工場製品より効率が悪くなりつつありますから、(人件費が仮に同じでも)輸出競争に負ける・・車の輸入国に転落してしまうのは時間の問題です。
実際に大分前から日産その他いろんな企業がタイ等で作った車やその他製品を日本に逆輸出するようになっています。
海外工場建ち上げによって輸出減→それまで輸出していた国内生産能力過剰の繰り返し→逆輸入の始まりになっていたのですから、国内投資が冷え込むのは当然です。
短期資金=海外株式市場等での株式や債券売買と違って長期投資の海外投資は、工場進出等が中心ですから、3〜5年以上前からの用地買収その他海外進出計画とこれにあわせた国内生産縮小計画が必要です。
2010年ころに投資を始めた資金で(土地買収から始めると)今年当たり竣工完成→稼働と言うところが一杯あるでしょう。
昨年来の円安程度では、イキナリ計画変更できませんので、数年前から動いている現地進出計画がなお進みますので、円安にかかわらず海外進出の動きが止まらない→輸出減少傾向が続くのは仕方のない結果です。
今年になってからでも、ホンダが、アメリカ輸出分を全量海外立地が完成→北米向け国内生産全廃(部品の現地調達率も90何%)が進んでいると報道されています。
ホンダ自体の発表では主要基幹車種と言う表現で分り難いですが、新聞では「北米向けがほぼ全量移管」と報道されていた記憶です。
http://www.honda.co.jp/news/2014/c140224a.html
2014年02月24日
メキシコ新四輪車工場が稼働開始
新工場での新型フィット生産開始により、Hondaはサブコンパクトカーからライトトラックまで、北米で販売する主要クラスの基幹車種を北米地域内で生産することになります。これによって、北米における事業基盤のさらなる強化を図っていきます

海外進出と国内生産過剰3(人口過剰2)

物を作る能力はなくとも、ニーズをつかんだ方(アップルやサムスンなど)が注文すれば優秀な部品会社はどこでも納品してくれます。
日本がアップルやサムスンに負けているのは、品質差ではなく、ガラパゴス化と言われているようにニーズ把握力・・商品化力十その早さです。
東京本社で研究開発して指令していたのでは、現地ニーズをつかみ損なうほか反映力の早さにも負けます。
「アップルやサムスンと言っても日本部品がないと作れないんだ」と言う強がりは、グローバル化時代=製品競争からニーズ把握競争時代への変化を理解しない強がりの域を出ません。
近代戦争時代に入っても刀を振り回して「剣術なら負けないのだが・・」と言って・「そうよそうよ!あんなへなちょこには内のお父さん負けないよ!」とはやし立てているようなものです。
車の場合はまだコモデテイー化が難しいので何とかなっていますが、これが電気自動車になると家電製品のようにちょっとした経験があれば、どこでも普及品を作れる時代が来ると言われています。
品質差が大きいときには現地ごとの細かいニーズを(左ハンドルのまま)無視しても、品質差が決め手になりますが、どこでも、そこそこのものが作れる場合、顧客ニーズにあったものを作った方が有利になります。
現地企業の方が現地人のニーズに合わせ易いのは当然です。
東南アジア市場では西洋企業よりは、アジア人である日本の方が有利ですし日本人よりは、マレーやタイ人そのものの方がなお有利です。
最初は接客ソフトの未発達な中国人は日本のサービス業の教えを受けるしかないでしょうが、コンビニ等で接客技術を身につければ、独立した中国人の店舗の方が日本人経営店舗より有利になってきます。
中国人の味や色柄好みその他全て、現地ニーズを取り込んだ方が勝ちとなれば、現地に5年や10年駐在している日本人より、何世代も住んでいる中国人の方が有利に決まっています。
ニーズ把握・商品化能力を重視するならば、現地人の感性・・現地人採用が必須になります。
このために工場進出・海外生産移管を進めても研究開発は国内に・・と主張していたのを改めて、海外・・各現地ごとに開発研究拠点を設けるしかなくなって行きます。
こうして進出企業は一定期間経過で(数十年〜50年かかるのもあるでしょうが・・いつかは)部品も現地トップもデザイナーもみんな現地化され現地企業に飲み込まれて行くのが歴史の流れです。
部品も現地化が進む一方ですし、研究開発要員やデザイナー等もみんな現地化して行くと国内に何が残るか・・国内需要用の生産研究要員・自給自足に必要な労働力しかいらない時代が近いうちにやってきます。
コモデテイー化の罠から逃れるためには、レーヨンから炭素繊維に切り替えたように、大変身するしかないのですが、ある業界で同業者が数十社あるときに、大変身に成功するのは各業界5〜6社(膨大に存在した繊維業界で世界的企業として生き残っているのはトーレ、クラレなど僅かです)あれば良い方でしょうから、残りの90%以上の同業者が輸出減による廃業や規模縮小して来たのですから大変でした。
海外進出が継続的に行なわれて来たこの20年間製造業では、過剰雇用・過剰生産能力に苦しんで来たのは当然です。
この間・・企業は社会責任として社内失業を大量に抱え込んで来たし、これが失われた20年と言われる企業苦境・・株価低迷の原因でした。
この間に製造業従事者がかなり減りましたが、一斉に減らさないで年数をかけて少しずつ減らして行く日本的経営が、日本企業や社会全体にお腹に痛みを抱えたような状態を続けさせたことになります。
参考までにバブル崩壊後の製造業従事者数の減少を見ておきましょう。

以下は日経新聞の電子版?データです。
7月2日に紹介した新聞記事より1年半前のデータですから、車の生産台数などが少し違っています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0100L_R00C13A2MM0000
2013/2/1 11:19
「製造業の就業者はピークだった1992年10月の1603万人からほぼ一貫して減少してきた。1000万人を割るのは61年6月以来。就業者全体に占める製造業の割合が最も高かったのは70年代前半の27%超で、これが昨年12月には16%まで落ち込んだ。特に2008年の米リーマン危機以降は世界景気の減速を受けた輸出の冷え込みで就業者の減少が加速した。」
「アジアは市場拡大が見込めるほか、人件費が安いため、各社は経営資源を現地生産の拡大に投じるほうが効率的と判断している。自動車の国内生産台数はピークだった90年(1348万台)から近年は3割程度減少して推移している。」

上記記事では「人件費が安いから」と書いていますが、世界企業がこぞって中国等で現地生産を始めると人件費の安さは同じですし、品質差がちょっとしかない場合、現地ニーズを如何に早くつかむかが・・結局現地トップから中堅〜デザイナー等の開発要員まで現地化の進んだ企業が製品販売に迅速対応できるので・・販売競争の勝敗を決める点にまだ気が付いていない記事です。

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