原発の賛否(右翼)

ところで、つい最近事務所に土地関係で相談に来た40歳前の人が、(特に右でも左でもない普通の若者です)この間渋谷の原発反対のデモに行って来たら、右翼の街宣車が出ていてもの凄い形相で大声でがなり立てているのに驚いたと話していました。
伝統的支配勢力や右翼は何故原発の維持にこだわるのでしょうか?
コスト検証が終わって、きちんと損害賠償しても原発の方が安いと分ったときに、それでも感情的に原発は嫌だという議論に対して、財界や右翼がそれでは日本はやって行けないと言って感情的な反応するなら分ります。
今はもしかしたら原発の方が高いかもしれないという(直感的)状態下で、これをはっきりさせるコスト計算を避けたまま、(財界が研究費を出さないと研究出来ないことをAugust 16, 2011「学問の自由と社会の利益」のコラムで書きました)右翼を動員して国民を威圧する原発運動対策をしているのは理解出来ません。
今日・9月27日の日経朝刊では事故前には、電力債の利回り相場が、1%前後であったのに、原発事故後は4%の上乗せ(スプレッド)になったままで推移していて、東電以外の電力会社もまだ新規起債出来ないままになっていると報道されています。
同記事では沖縄電力だけ事故後も起債出来たようですが、原発がないからではないでしょうか?
財界がコスト検証をさせなくとも市場では、火力だけの沖縄電力よりも原発がある他の電力会社の方が、(充分な安全対策をすれば)コストが割高になると見ていることになります。
(政府保証の支援制度が出来た後の今でも市場では原発は高コストと見ていることになります)
コストを明らかにすると原発維持が出来ないと見て(あるいは既に結果が出ているのに隠しているだけかも知れません)合理的議論を避けて国民を沈黙させるために右翼を動員しているのでしょうか?
独裁国家が不都合な世論に対して、警察や軍による鎮圧をしますが、民主国家の我が国では、公的権力装置を使えないので、裏で資金を供給して形を変えて行うつもりなのでしょうか?
権力者に都合がいいので、闇の暴力装置がなくならないのです。
原発か火力かの技術的問題に右翼左翼の思想は関係ない筈ですが、ここで何故右翼が出て来るのでしょうか?
もしも、原発の方が高くつくならこれを維持すると損するのが財界ですから、財界が率先してコスト計算して損得を明らかにしたい筈ですが、コスト計算をさせないまま財界が何故これの維持に精出しているのでしょうか?
(右翼が軍資金なしに動ける筈がないので裏で巨額資金が動いているのでしょう、・・マスコミの場合、闇の金を使わなくとも広告費でいくらでも誘導出来ます・・)
ところで、最底辺の労務者は将来の年金や保険よりは今日の現金をほしがっていますし、(何十年後に効果の出る放射能の危険よりは今日の高賃金が良いのです)町工場や零細企業・人入れ稼業なども安全対策など法律通りやっていると、経営をやって行けないと言って劣悪な条件で働かせる傾向があります。
企業としては、労働条件が劣悪であろうとなかろうと賃金コストの安い国に工場移転して行くのが普通です。
同じ発想で言えば、原子力発電も次の事故は何時あるか分らないのに、安全対策のために何重もの無駄な設備など用意しておけない、あるいは高額保険など掛けていられないという意見が下地にあるのでしょうか?
安全対策なしに企業活動していて事故が起きると却って高いものにつくので、新幹線その他各種企業が安全対策に精出しているし、これが現在の常識です。
中国でさえも高速鉄道事故では、安全対策を表明せざるを得なくなりました。
各地の原発に安全の備えがないのが分ったので、これではイザとなると高いものにつくと評価する市場が電力業界の社債発行に対して4%の上乗せ利回りで応じているのです。
これに対して、原発業界では、事故が仮にまた起きたら政府保証債で賠償金を捻出すれば良いのだから、(東電は、借り換え債を繰り返していれば良いので、自腹では一切負担しない・・予定であることをAugust 26, 2011「原発賠償支援スキーム2」前後のコラムで紹介しました)また従来通り安いコストでやれると考えているのかも知れません。
「賠償する必要がない」からと正面切って今は主張出来ないので、右翼に資金を与えて原発反対運動を威圧させているのでしょうか?
データ開示をしないままだと原発反対運動が広がる一方になるので、当面の抑えとして右翼を使ってこれの広がりを押さえ込み、(頓服的効果です)マスコミには原油等の輸入が増えて大変だと一方的に騒がせてじわじわと洗脳しておいて、「確かに原油輸入増加で大変だな」と国民が思うようになった頃に御用学者の研究発表という手順かも知れません。
ちなみに、総コストが同じ場合、以下は仮定の話ですが、100のコストの内火力の場合原油コストがその8割を占め、原発の場合は、ウランのコストが2割で残りは建設費や保守・安全対策費用だとすれば、国内雇用や技術水準の維持という意味では、原発の方が価値が高いことになります。
いろんな立場の議論があり得るでしょうが、いずれの議論にせよ、財界が原発を維持したいならば、(右翼やマスコミの煽動に頼らず、)もっと国民に分るような各種データの開示に基づく公開論争をして原発の賛否は合理的に決めて行くべきです。

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