USA=領土拡張の歴史3(独立戦争の本音)

州兵だけ残してもルールオブローの思想のもと、司法権の優越の結果?連邦最高裁の判断が州の決定も覆せるので、徐々に中央政府の権限が強くなり、今や統一国家の体裁を取っていますが、中央政府の基礎たるべき州内の住民同士の一体感すらないので、州連合の一体感はなおさら希薄です。
これまで見てきたように一体感の希薄な国民で成り立っているにもかかわらず、これが分裂せずになんとかなってきたのは、独立戦争自体が領土拡張エネルギーの一環であり、その後絶え間ない領土・支配地拡張が続いていたことによります。
独立戦争というと抑圧からの独立のように見えますが、アジア・アフリカのように異民族が西洋人に支配され搾取され家畜扱いされていたのとは本質が違います。
日本で言えば幕末北辺を守るために北海道に植民して資本をつぎ込んできましたが、北海道の強化のためにどんどん資本をつぎ込んでいるうちに北海道が自立できるようになると今度は本国の干渉・・国際戦略の都合でここは我慢してくれと言われるのが邪魔になってきた・北海道や沖縄が本国から独立して自分たちで自由にやっていこうや!となったようなものでした。
(現在も北海道は本土からの公共事業投資中心でなりたっていてこれといった自立木産業が育っていませんし、仮に産業が育っても北海道民はそういうことを言わないでしょうが・・)
開墾の場合、すぐに食糧生産ができないので自分らが自活できるまでは本国政府や出身地の親族の経済援助が必要ですし、耕作地や生存を守ってもらうために本国の軍事援助・当初は現地人との戦いその後は西欧人同士の戦いに用心棒が必要でしたが、フランスやオランダとのせり合いで英国が完全勝利をおさめると本国に守ってもらう必要がなくなったのが第一の要因です。
その結果昨日まで英本国軍にフランス系移民とのテリトリー争いから守ってもらっていた植民地の人たちが、正面の競争相手がいなくなり、一方で自立できるようにな経済力がつくと本国の干渉が邪魔になって今までの敵だったフランスの応援で独立戦争はじめたことになります。
子供が成長すると親の干渉がうるさく感じるようになる身勝手さですし、英仏7年戦争で完敗したフランスにとってはこれに干渉するることは雪辱・影響力回復のチャンスでした。
米国独立戦争は、沖縄が日本から援助で自立できるようになった場合、中国の対日攻撃の最前線陣地に寝返ったようなものです。
この寝返りの直接の端緒は移民同士のテリトリー拡張争いでフランス系移民との競争に勝ち、邪魔がなくなったイギリス系移民がこの勢いでさらなる生活圏膨張を求めてインデアン領域にまで進出しようとしたところ、英本国が道義上?先住民配慮からOKしないことに不満を持った現地人集団がこれまで敵であったフランス応援で独立運動に進んだものでした。
フランスの応援で本国に対する独立戦を勝ち抜き、いわば自分らの生活領域をイギリス本国支配から奪取したこと自体が一種の主権簒奪行為ですし、海外子会社の社員が根こそぎ本国本社に背き海外子会社を乗っ取ったようなものでしょうか?
どこで読んだか記憶ありませんが、イギリス本国では異民族植民地支配の在り方に関する人道的立場による批判意見が国内で発達していて、異民族に対する過酷支配が正当化され難くなっていたようです。
同族または対等な西欧諸国民中心の北米大陸の植民地においてはアジア〜アフリカ等での植民地支配のような人種差別意識を基礎とする隷属はなかったとしても、内地と外地の経済格差や政治格差に不満があった人たちにとっては、有力なよりどころでもあったでしょう。
アメリカ植民地内の独立意見は本国内の良識は意見に触発されていた面もあったでしょう。
ただ、不平分子が反抗道具に使った場合、自分の人権意識が高いわけではありません。
人権人権と主張する日本の革新系知識人が、日常的行動様式では驚くほど女性軽視なのに驚くことが多いとだいぶ前に書いたことがありますし・・社内不平分子が課長部長の職に就けば、もっと能力がない・気配りに欠けるのが一般的なのと同じです。
北米大陸乗り植民地は、英本国の犯罪者等の流刑地でもあったことから、ならず者の天国でした。
(この点は後に大陸横断鉄道敷設工事や西部開拓時の事例紹介します)
米国独立後この流刑地がオーストラリアに変更されているので、一般的には、米国の都合で隠蔽されオーストラリアが流刑地であったことが知られているだけですが、本当はそういう成り立ちで、これを美化するためにメイフラワー号伝説・一種の建国神話が語り継がれるのではないでしょうか。
当時もその後も世界無比の過酷な黒人奴隷制度を内包していたし、その後先住民インデイアンに対する過酷なジェノサイド行為や黒人奴隷に対する仕打ちなどは周知のとおりであって、ならず者中心の移民らが、本国の人権思想家の意見を本国反抗道具に使ったと見るべきです。
この後に合衆国の歴史で引用する予定ですが、米国人はメデイアを通じて正義のイメージを巧妙に宣伝して国民を戦争に煽り立てることが常套手段になっていきますが、この第一歩・・独立戦争の「代表なくして課税なし」のスローガンが見事に成功して(インでデイアンを殲滅したい国民の)本音を隠すのに成功してきました。
南北戦争でのリンカーンのゲテイスバーグ演説、米西戦争〜真珠湾攻撃〜大量破壊兵器言いがかりでのイラク侵攻・・皆そうです。
後世歴史の真実が暴かれる時が来るのを見越して、批判されれば「国民は当時の指導者の巧妙な宣伝工作に騙された」という逃げ道を作ってきたように見えます。
独立戦争の契機になったのは、植民地側のインデアン居留地への植民拡大に英本国が応じなかったこと・先住民を追い出す支配拡張行動を遠慮なくやりたい衝動が紛争の端緒でしたのでその後の先住民・インデアンに対する侵略→ジェノサイド傾向が露骨になっていきました。
戦後日本学校教育では、米国は理想の国として教育されるので増税反対が独立運動の始まりのように習いますが、それは教育宣伝がそうなっていただけ?・日米開戦は真珠湾奇襲攻撃を受けたから日本が悪いと米国に都合よく説明されているのと同じようです。
親が暴走族で暴れまわっている息子を世間体を気にして説教したら、家を飛び出してヤクザの応援でやりたい放題を始めたのを親の抑圧から独立したと説明しているようなものです。

USA=領土拡張の歴史2

米国の州には自治権があり軍隊まで持っていると聞くとすごい様に思いますが、日本だって各大名家・藩が軍隊を擁していたのですが、明治維新後無駄だからヤメたのに対して米国の場合は、独立後連合政府ができた以上は、無駄なのにまだ持っているのは民族統一政府ではなく軍事同盟関係の本質を脱却できないからでしょう。
トランプ政権が同盟国に対等な負担を求めて来るようになりましたが、United States=軍事同盟である以上は、軍事協力義務が必須という理屈によるものです・・だから今だに州兵を廃止できないのではないでしょうか?
米国政府首脳、大統領や議会を州の代表でなく直接選挙で選出するようになっているので、連合政府ではなく連邦政府(the Federal Government (of the U.S.)と翻訳しますが、似たような制度設計したEUとの違いは地域的な帰属意識の違いです。
だからEU(European Union)欧州連合と言い連邦とは言わないのでしょう。
しかし国家権力構造だけ地域を飛び越して一体化しても、地域ごとの帰属意識を飛び越した一体化は、危ういのでいつも外敵の存在による団結・戦後は領土拡張を卒業した代わりに冷戦構造による対立〜テロ国家撲滅等々〜米中対決など常に標的が必要な社会です。
組織が大きくなると誰もが首脳と直接意思疎通ができなくなる代わりに、各人が小分けしたピラミド型組織に帰属して各部署毎の一体感・歓送迎会・飲み会や運動会などの足元一体感の積み上げで万単位組織一体感が維持できるものです。
政党では派閥やグループ帰属が必須になるように、弁護士会では東京のよう単位会で数千人規模になると早くから派閥が結成され、そこの小グループ味帰属することによる安心感が維持されてきたようです。
千葉県弁護士会等の中規模会では派閥までいかないものの各種委員会活動で日々顔を合わし、切瑳琢磨していく過程で専門的スキルが磨かれるし委員会後の飲み会などで気心のしれた関係が出来上がっていくようです。
そう意味で「あの人は何々系(委員会の名称)」という表現が会員数がほぼ倍増したこの10年ほどで目立つようになりました。
ウエブの発達で中間組織不要と言いますが、個々人が首脳に直接メールできても中間組織がなくなっていくと砂粒のようになった個々人の帰属場所がありません。
戦前の反省?隣組制度は厳しく批判されますが、人は何かのグループに帰属しないと頼りない気持ちがするものです。
砂つぶ化を国家規模で作り出した人工国家が米国でしょう。
これを観察して明治人は、米国の内在的本質を見て合衆国と命名したのは慧眼というべきです。
こういう寄る辺ない組織・社会になると個々の国民大衆は日常生活の現実から遊離した大スターやヒーローを求めるようになり、政治家は地道な政治よりは砂粒の個々人にテレビやネット等で派手に訴えるパフォーマンスが必須になり、国民は扇動に簡単に乗りやすくなります。
ゴーン氏や現トヨタ社長のように露出能力がトップの重要資質になります。
米国は建国以来いつもターゲットの必要な社会になっていたので、世界中に勢威を振るっていたのですが、中国の台頭によってその限界が来たので「世界の警察官ではない」と言い出したのですが、世界のために警察官・正義の押し売りをやっていたのではなく、自国内国民一体感維持の道具としてやっていた以上はその効果が国内に及びます。
外に標的がなくなると砂つぶの統合はどうなるか?United Statesは瓦解するかの関心で書いています。
戦後は、民族独立機運に便乗して領土拡張欲を表に出さず、その代わり英仏等の植民地独立を応援し正義の味方のポーズをとりながら巧みにその見返りに英仏旧植民地の利権を英仏から奪う政策で成功してきました。
いわば北米地域内領土拡張(現在の米本土)が終わると、モンロー主義宣言で中南米を囲い込んで棍棒外交で半植民地化して裏庭とし、これが完成するといちゃもんをつけて米西戦争に引きずり込みフィリッピンを奪い取り、その間日欧に遅れをとった中国参入のために「門戸開放要求」し、先行する日本を攻撃標的にしました。
戦後は、第二次世界大戦を契機に日本が火をつけた植民地支配批判によって、アジアで英仏蘭等の旧植民地独立運動が起きると正義の味方のふりをして応援して、英仏蘭等の旧宗主国退場後の穴埋め浸透する政策で東南アジア、中東等を中南米諸国のように米国市場に取り込んできました。
英仏退場後の空隙補充をソ連も狙ったので例えばナセルのスエズ運河国有化事件では英仏軍進駐に対してソ連が核の脅しを英仏にかけた時に米国が英仏を応援せずエジプトを支持して、ソ連の影響下に入るのを防ぎ逆に米国影響下に編入して現在に至っています。
中東ではアラブ諸国にとって目に入ったゴミのような存在であるイスラエルの存続をめぐり米ソ代理戦争が次々と起きたし、インドは国内安定していたので米ソの介入・内戦にならなかったので中立的立場を維持できました。
米国の戦後国際政治は、ソ連・共産主義浸透を阻止する名目で戦後の独立国への影響力競争にしのぎを削る→経済メリット追求との合体政策=グローバル化推進政策により、目に見えるメリットを掲げて国内人心一体化を煽る政治が必須になっている点は独立以来現在も変わっていません。
・・・例えば中東諸国の英仏植民地の独立を背後で応援して結果的に石油利権をほぼ独占してきた・・中南米諸国支配の構図の中東版でした。
現在中東の混乱が収束しないのは、米国内油田開発(技術革新によりサウジ等の中東系原油産出後、不採算化していた国内油田の採算が取れるようになった)により、中東原油支配の必須性が低下し・・中東の争いに首をつっこむメリットが低下したことによることは明白です。
独立戦争に結集した州の本質と連合体制に戻ります。
これといった帰属意識のない州・・英本国の統治の都合でアフリカ植民地のように地図上に線を引いただけの区域である「州」が対英国独立戦争のために連合を組んだだけのことだったのを独立後も西欧諸国からの干渉を跳ねつけ貿易交渉を有利に進めるために「そのまま連合を続けましょう」となり現在に至っているように理解できます。
明治維新政府軍は薩長土肥の連合軍政府だったのですが、新政府ができて廃藩置県を経て政府軍が編成されると各大名家の軍は解体しましたが、米国の場合南北戦争を経て連邦軍が強化されて州の連合軍ではなくなったにも関わらず、いまだに州兵を維持しているのは、連合国・UNTEDのまま現在に至った・対外軍事同盟(をバックにした経済交渉)維持の利点に重点を置く狙いが濃厚です。
トランプ政権が同盟国に対等な負担を求めて来るようになりましたが、United States=軍事同盟が本質である以上は、軍事協力義務が必須だから今だに州兵を廃止できないのではないでしょうか?
その結果、州兵が形式的に残っていると思われます。

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