米中の親和性と日本文化の隔絶2

これに対して中韓は、慰安婦攻勢や南京虐殺に日本が反対するのは、アメリカの戦後レジームに対する挑戦・・「アメリカに対する反抗と同じ」と言う旧来型論法で慰安婦攻勢や南京虐殺宣伝で反撃を強めました。
日本としてはアメリカに対してある程度不満があっても、(日本が世界のナンバーワンを目指すことが出来ない以上は)中国支配よりはアメリカの方が良いので、パックスアメリカーナ自体に挑戦しているものではありません。
むしろパックスアメリカーナに対して正面からの挑戦姿勢を示し始めたのは、中国の方であり、これにすり寄った韓国の方でした。
中国が尖閣諸島一点突破を図ればまだ道があった・・日本も苦しかったのですが、中国の対日暴動その他は国内矛盾激化をそらす方策の1つでしかなかったから、日本の思わぬ反撃にたじろいでいると国内政治が持たないので、今度は抵抗力の弱い西沙南沙諸島に目を向けざるを得なかったと見られます。
この作戦変更は相手が弱くて無抵抗なので、簡単に既得権の確保をしつつありますが、中国の周辺国の警戒感を生み、膨張主義と言うレッテルが国際的常識になって来たことと、アメリカもまだ世界の警察官役を完全にやめたとは言えない以上、この膨張主義を放置出来なくなりました。
このねじれ現象が日本に幸いして、このまま尖閣諸島や南沙諸島を中国にとられてしまうのでは大変だと言うアメリカが(目先の)価値判断に傾きました。
尖閣諸島に中国の基地が出来ると太平洋に中国潜水艦が自由に出入り出来る・・アメリカの安全保障上も座視出来ませんので、「戦後秩序を見直したい」と言う基本姿勢の安倍政権を潰してしまう訳に行かず、占領政治の批判さえしないならば・・と言う範囲で、アメリカが「当面」日本の応援をするしかなくなったところです。
イラク侵攻以降、世界中でアメリカのやることなすこと評判が悪くて信用ガタ落ちで、反米感情が広がる一方になって来たこともあって、唯一アメリカ支持を続ける日本をむげに扱うことが出来なくなって来たこともあります。
世界的に見れば西洋や中東諸国での反米感情が凄まじいものがあって自信を失って世界の警察官ではないと言い出したのですが、東南アジア諸国では、まだ反米感情がそれほどではないので、東南アジアではまだ権益を守りたいし守れるだろうと言うのがアメリカの本音で、アジア回帰と言い、アメリカ中心経済圏TPP構築に乗り出したのです。
TPPを意味あるものにするには日本参加が必須でしたし、この辺は、補完勢力としての日本の重要性を、2014/02/22アメリカの指導力16(引き蘢りのリスク5)ころまでと〜May 4 2015「覇道と日本の補完性1」まで書きましたが、話がそれていますので「補完2」以降は来年始めころのコラムに先送りになっています。

米中の親和性と日本文化の隔絶1

23日の続きです。
日本民族は西欧近代で民族主義が始まるずっと前の古代から・・白村江の海戦敗北以降日本列島を上げての列島防衛意識の高まり・・列島人一丸として戦う前提で、国家体制の再構築(大化の改新)に邁進し、防人制度も創設しました。
卑弥呼の頃には、それぞれがバラバラに交易していて今のような民族意識はなかった筈ように習いますが、(交易用に代表団を結成しているうちに一体感が出来たのか?)長い交易期間を通じて列島人と半島人と気質の違いを実感して来て「自分たちとあいつら」の区別がしみ込んでいたからでしょうか?
文字を残した中国の史書だけを基準に考えて来た従来の歴史学から見れば、日本列島は卑弥呼のこの頃にはまだ未開の地域ですが、考古学が発達して来ていろんなことが分って来ると・・1万年前後遡ると、列島の縄文文化の方が進んでいた可能性すら分ってきました。
何もかも大陸から伝来したのではなく、逆に日本の工芸品?が大陸にわたっていた様子・・遠慮して言えば可能性が出て来たのです。
このように歴史は魅力一杯ですから興味が尽きませんが、縄文時代から植林するなど循環型社会が根付いていたことが既に知られているように・・これが佛教の輪廻思想が根付いた所以です・・循環型になると環境重視→同じ環境を利用する共同体意識が強力になります。
日本の場合、外敵と戦うための民族意識強調と言う政治目的による根の浅い概念ではなく、環境重視=共同体意識が縄文時代から自然発生していた・・その後水田・・灌漑社会になって、より共同体意識が強固になって行ったことが今の西洋流の民族意識の母体になっているものですから、西欧で言い出した民族意識よりも歴史が古く基礎がしっかりしています。
ゴーストタウンにして街を棄てて行く・・居住地域を結果的に砂漠化させて移動して来た世界中の有名文明の跡地とは心構えが違っています。
・・アメリカや中国(公害を除去しないで、北京を棄てようとしています・・)の生活意識では、先祖代々繋がるような共同体意識が育ちません・・そこで、権力維持のためにアメリカでは国旗を振りかざして国歌を歌う程度の皮相な愛国心の強調の場合、いつも外敵が必要です。
平和のためと称して、アメリカは戦争ばかりして来たことを見れば分ります。
西欧の民族意識強調は、ナポレオン戦争遂行の必要のために生まれたもので、日本のように共同体・・環境や動物愛護意識から、自然発生的に生まれたものではありません。
運命共同体意識の強さに比例して、よそ者の参加にはハードルが高くなるの当然です・・インフラ整備に参加していない人がイキナリやって来て無償利用出来るのでは、代々の積み重ねで築き上げた環境を他所から来た人にただで利用されることになります。
何かの行事をみんなで苦労して盛り上げて来たときに、全く手伝わなかった人がハイライトのときだけ参加して大きな顔をされたらしらけるのと同じです。
環境に関心の低い・・格差社会の国が、「よそ者を低賃金労働に使えれば良い」と言う計算で受入れるのとは訳が違います・・日本人は一緒に住む限り平等前提で、格差や奴隷制度を前提に低賃金労働者を受入れることが出来ません。
防人は・・東国人中心に編成されていた・遠くの九州の防衛に協力させていて破綻しないで、機能していたことが驚きです。
一般に東北地方の服属は、征夷大将軍坂上田村麻呂の遠征によると言われていますが、大化の改新のころには既に東国(と言っても岐阜県以東?)からの防人派遣がさしたる抵抗なく?(万葉集等に出て来るだけで歴史書に出て来ないだけかも?)行なわれていたことになります。
危機が治まれば民族意識は鎮静して平和主義に徹して柔弱そうに見えますが、中世での蒙古襲来時の団結力・・幕末ペリー来航時の庶民に至るまでの国防意識の高まりなどなど、民族防衛意識は世界一高い民族性です。
民族を守るために命を投げ出す覚悟のある日本民族の強固な意識は、民族の一体感より一族の利益を守る意識中心の中韓等民族意識がまだ1つハッキリしない国では、理解を超えた状態ですから、マスコミ中心に流布している非武装論を日本人の脆弱性と誤解してしまったように見えます。
日本人は腰抜けばかりになってしまったから、一撃を加えればすぐに折れてしまうと甘く見て攻撃強化を始めたのが中韓両国の失敗です。
(ロシアは日本が怒り出すとすぐに引いてしまい対日友好外交に切り替えたのは日露戦争の教訓があったからでしょうか?)
変わり身が早いと言うべきですが、・・日本人からみれば、日本の弱みに付け込んだ先の不可侵条約違反→シベリヤ抑留と二重写し・・ロシアは日本が弱ったと見れば何をして来るか分らない国と言う記憶を呼び起こしてしまうマイナスに気が付かないから、露骨なことをするのでしょう・・。
(ロシアは国の歴史が浅くて目先の損得しかない・・最近のプーチン氏のやることは一見うまく行っているようですが、(ウクライナ侵攻・クリミヤ併合、やシリア介入・トルコ威嚇等々・・)相手の弱みに付け込むだけで、あまりにも見え透いていて子供みたいです)

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