外資流入によって支えられる中国経済5(薄煕来事件2)

昨年世界の注目を集めた薄煕来事件は、妻の関与したイギリス人に対する殺人事件のもみ消し工作に関連して事件化したと報道されています。
その前提として被害者と妻も元は同じ穴の狢・・錬金術の仲間・・コンサル的人物だったことが、このコラムのテーマ(外資流入によって支えられている経済)では重要です。
この英人コンサルトと薄煕来の妻が仲間割れした結果、口封じのためにか?殺人事件に発展し、それまでいろんな悪事を薄煕来と一緒にやって来た彼の片腕であった腹心の部下・王立軍がここで薄煕来に背いて悪事の資料1式をアメリカ大使館に持ち込んでアメリカ亡命を計っています。
一連の事件はいずれも仲間割れに端を発しているのですが、金儲けや悪事で結びついているグループで仲間割れが起きるのは、悪事によって得た儲けの分配や報酬が少なくなった場合が殆どです。
これまで書いているように彼らには信義や正義の基準がなく、金にさえなれば悪事も拒まない・・金なるかどうかだけが唯一の基準だからです。
彼らには元々正義の観念がないのですから、王立軍も正義感から訴え出たものとは、到底思えません。
平成元年に発足した宇野宗佑総理が失脚するようになった切っ掛けは、愛人に対する手切れ金があまりにも少な過ぎたことが原因で、愛人関係をばらされたことによるものでした。
薄煕来事件が明るみに出た切っ掛けは、悪事に加担し続けるにふさわしい相応の巨額報酬を払えなくなって来たことが、裏切りの背景にあるのではないでしょうか?
金の切れ目が縁の切れ目・・アラブの春も含めて世界中騒乱の始まる根源は、信義よりよりは金に群がっている世界ではみな同じです。
ただし、我が国に限っては信義の国ですから、苦しくなったら一致団結するのみであって、苦しいからと言って略奪や騒動を起こす人は例外中の例外です。
(世界標準・・金次第の人間が原則・大多数で信義を守る人は例外ですが、日本ではこの関係が真逆です)
東北大地震でも避難中の留守の家に入って泥棒する不心得者はいましたが、彼らは自分で悪いことをしている自覚があるので、外国で多い騒乱・略奪のようなことをせずにこっそり行なっています。
戦時中及び戦後の最も苦しい時期にみんなで(上記のように例外がありますのでこの時期統計的に犯罪が一番多くなっています)歯を食いしばって頑張ってきました。
ちなみに薄煕来事件を思い出すためにウイキペデイアで検索したところ、薄煕来が重慶市トップとして成功したのは巨額外資誘致の成功によるものであり、合わせて彼が数十億ドルもの巨額裏金を海外に有していたことも書かれています。
以下ウイキペデアからの引用です。

「薄が赴任した重慶市は、1997年に「西部開発の拠点」とするため4番目の直轄市に格上げされた都市であった。しかしながら、薄が赴任するまでの10年間は外資投資が進展しなかった。2003年までの投資総額は5億ドルに届かず、2003年から2007年の合計もわずか10億ドルだった。ところが、薄が赴任し外資導入に着手すると、2008年の外資の投資額は対前年比170%増の27億ドルとなり、翌年には39億ドルを達成した[5]。薄は年16%を超える超高度経済成長をつくり上げ、重慶の庶民に発展の恩恵を実感させた」

・・以下中略

「重慶市公安局は捜査によって、薄の妻の谷開来(中国語版)と薄の生活秘書が英国人実業家を毒殺したこと、英国人実業家が関与した薄一家が数十億ドルにものぼる不正蓄財した財産を海外送金していた疑惑があること、薄一家が不正蓄財した財産について谷開来とヘイウッドとの間に諍いがあったことが事件のきっかけであることを把握した。重慶市公安局は捜査によって、薄の妻の谷開来(中国語版)と薄の生活秘書が英国人実業家を毒殺したこと、英国人実業家が関与した薄一家が数十億ドルにものぼる不正蓄財した財産を海外送金していた疑惑があること、薄一家が不正蓄財した財産について谷開来とヘイウッドとの間に諍いがあったことが事件のきっかけであることを把握した。」

2013/05/15「外資流入減1と中国経済」以来、中国の発展資金・豊かさと賄賂資金・・錬金術は、全て外資を資金源とする・・アラブ産油国の石油マネー同様に石油掘削料みたいな収入であると書いてきました。
薄煕来事件に関するウイキペデイアの記述には、直接には書いていないものの、彼が私腹を肥やし、彼の赴任地の重慶市政府が派手に金をばらまいて高成長して来られたのは、こうした関連・・外資導入の成功が豊かさを演出して来たことが推定されます。
巨額外資導入がなければ彼が数十億ドルもの隠し資産を保有することは不可能であったでしょう。
昨年7月にヒラリークリントン(当時国務長官)がハーバード大学で行なった演説では、中国の富裕層から順に国を逃げ出しているので、20年後には世界最貧国になっていると言ったらしいのですが、その紹介記事を見ると今では中国の富裕層が国外に持ち出した資金は1000億ドルを越えているとも書かれています。
(その根拠は不明ですが・・この種の公式データはあり得ないので誰かの推測記事を転載しているのでしょうが・・)

外資流入によって支えられる中国経済4(薄煕来事件1)

仮に外貨準備が本当に豊富にあるとしても、外貨準備自体が日本等外国からの流入資金の積み立てが中心であるとすれば、外資が一斉に引き揚げ始めると資金ショートを防ぐために海外資産を投げ売りをしなくてはならなくなります。
外資引き揚げの加速が怖いので、中国はいつも多めの貿易黒字を発表して来たり、本当の資金収支を発表出来ない・・いつも景気の良い統計しか発表出来ないで来たのではないでしょうか?
大手企業が株価維持のために損失を隠して儲かっているかのような粉飾決算発表をしたくなる心理と同じです。
日本のバブル崩壊は債権者が国内中心(長年の貿易黒字で稼いでためたお金で自作自演していただけ)でしたので、海外からの売り浴びせが起きる余地がなかった点が大きな違いです。
日本は東北大地震が起きても、大変なことになると海外資金を引き上げるのではないか?という思惑から円が急騰しました。
バブル崩壊その他大損失があるとその国の通貨が売り逃げになるのが普通ですが、日本の場合は自己資金中心ですから逆に円が上がる国です。
この辺は日本の国債残高がいくら増えようと大多数を国内で持っている限り何ら問題がないことをギリシャ危機や財政赤字に関連して繰り返し書いて来たとおりですが、中国の場合、流入外資が長期投資中心とは言え、外資に頼る点では本質的にはギリシャ危機同様のリスクがあります。
中国では1000億ドル以上・・約10兆円以上も(事実上ただで)毎年入って来る・・巨額のぬれ手に粟の継続収入を前提に社会組織・・無駄な消費社会が出来上がってしまっているのが現状です。
砂漠の国でイキナリ原油が湧き出て毎年採掘量だけで1000億ドル入って来るようになった経済を想像すれば分るでしょうが、この収入で何十年も生活していた国でこの原油採掘料収入が減少したり、なくなれば大変な事態となります。
アラブの春のテーマ(チュニジアやリビア、エジプトの騒乱)に関して、January 20, 2013「中間層の重要性4(テロ・暴動の基盤1)」前後で書きましたが、民主化の問題ではなく、産油利権収入の分配が思うように出来なくなると騒乱が起きます。
マスコミは「民主化運動」と解釈して「春」と名付けて中国に及ぶかの関心を示していましたが、そうではなく利権収入の減少によるものであることも上記コラムで書きました。
中国の場合、アラブ産油国とは違って鉱物資源の利権収入よりは、中国の大発展を宣伝して外資を呼び込む・・1種の利権収入が毎年1000億ドル以上も流入していたことに注目する必要があります。
外資という利権流入が減少に転じると、巨額収入を前提にした社会システム自体の大幅改変が必要になります。
「中国の春」・・民主化が進むというよりは、大混乱が待っていると見るべきでしょう。
北朝鮮の民主化→北朝鮮政府崩壊=混乱しか想定出来なくなっているので、今ではどこの国も(韓国でさえも)被害が及ぶのを恐れて敢えて国内民主化を望まないようになっているのと同じです。
中共政府は思考形態・統治形態も北朝鮮にそっくりで北朝鮮の大型判であることを以前から書いて来ましたが、崩壊前になりふり構わずに・・正義・不正などの問題にせずに、まずは対外冒険主義に精出すようになるのは必然です。
北朝鮮は空威張りだけですから放っておけば良いのですが、中国の場合核兵器を持っているので、元々正義不正義の観念が低い国ですし、誰も止められない・・本当に実行する可能性が高いでしょう。
この点では極めて危険・第二次世界大戦時のナチスよりも、核兵器を持っている分大幅に危険な状態になります。
昨今共産党幹部多数による千億元単位(日本円で兆円単位)にのぼる巨額資金の海外逃避が頻りに問題になり始めたのは、利権(外資導入→バックペイ)収入の減少によって収賄システムに無理が出て来たことによるのではないでしょうか。
巨額賄賂収入にはそこに至る多数の関係者がいて、その関係者にも当然相応のおこぼれが行き渡っていないと秘密が漏れたり、仲間割れが生じてしまいます。
最近の共産党幹部の不正蓄財報道が出始めたのは、外資流入・・継続的収賄システムにほころびが出てうまく配れなくなったことによって内部できしみが出始めて、錬金システムの内情が表に出始めたと見るべきではないでしょうか?

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