用地交換利用

自治体間調整の役割とは、各自治体が50k圏100k圏200k圏でそれぞれ、何カ所か一定規模の用地取得してリスク分散をしていた場合、風向きや規模によってはどこも駄目で、もっと離れた別の原発・・例えば隣県原発周辺自治体が用意していた別の用地を借りる必要が生じる場合があります。
福島第一原発の周辺自治体だけはなく、全国原発周辺自治体がそれぞれ遠く離れた場所の用地取得すると、場合によってはお互いに隣県の用地を相互に取得していることになります。
各自治体は出来るだけ近くに移転したいでしょうから、30〜40k周辺の様子の分る用地を各自取得して用意しておいて、仮に50〜100k以上でなければならない時には、他所の原発周辺自治体がその県内で用意していた用地を借り上げれば良いこととなります。
福島と敦賀や柏崎で同時に地域全体んが長期避難しなければならないような大事故が起きることは100年×100年に一回の時間経過しかないでしよう。
今回、例えば会津方面に用意していた土地が放射能の流れる通路にあたっていて使えなかった場合、同じ県内の福島第2原発周辺自治体が、用意した用地を借りたり(近すぎるので飛散地域が重複して役に立たないでしょう)、隣県の茨城県(東海村原子炉があります)宮城県の女川に原子力発電があるようですから、そこが用意していた用地を借り上げるなどです。
(実際には風の経路はいつも一定・・・冬は原則西北の風、春から夏は原則南東の風ですから、ある程度予測はつくものですが・・・)
この際、前提となる放射能漏れと飛散予測に関する速やかな情報の開示こそは政府の役割でしょう。
事前準備が周到であれば、普段からの自治体間の情報交換によって冬季の事故の場合北側の県、春から夏に掛けての事故の場合南側の県の用地を借りるなどの話し合いを前もってしておけるし、この交渉は政府が介在しなくとも自治体間で直接始められるし事前に費用負担の条件も決めておける筈ですので、政府の役割は速やかな情報開示くらいでしょう。
(どこの原発で事故が発生するか予め分らないので、同一規模の用地をそれぞれの自治体が草むらで放置している場合、使ったからと言って土地が痛む訳ではない・・むしろ整備が行き届くので、お互いさまと言うことで、ほぼ無償利用で話が決まるでしょう)
早期立ち上げのためには、自己保有地だけではなく隣接県の用地情報も予め入手して、借りて避難した場合のシュミレーーション(そこを借りた場合の住民の希望を聞いておくなど)をしておく必要があります。
太平洋岸の津波時と同時に北陸方面の津波が発生する同時多発的な原発事故は、それこそ100年に一回もありませんので、それぞれが取得済みの用地の交換あるいは融通しあえば済むことです。

事前準備6(用地取得)

ムラ全体の移転用地取得となれば土地取得資金は大きそうですが、過疎地の山林などはバブル期でも一町歩百万円単位で普通は買えましたし、(過疎地ではない千葉近郊の普通の農村地帯の農地でも最近一反歩数十万円以上も言えば買い手がつかない状態ですから、過疎地の山奥あるいは過疎になってしまった山里の荒れた農地などを何十町歩買ってもそれほどの額にならない筈です。
倒産したゴルフ場やリゾート開発地も一杯ありますので、長期的スパーンで用地取得して行けばそうした土地を購入出来るなどいくらでも安く手に入れるチャンスがあります。
原野商法で破綻している那須高原などの別荘用地(図上の区画に過ぎないものもあれば、実際に道路まで造ってる用地もあります)など、何十年単位でゆっくり入手計画すれば、ただみたいに大規模に安く土地は手に入れられます。
各地の大規模リゾート・・たとえば簡保で設立したグリーンピアは、広大な敷地と立派な建物付きですが、ただみたいな値段で処分していましたが、これなども先行取得しておけば巨大な建物付きですから、イザとなれば避難施設としてそのまま・・何十年単位で放置しておけば維持コストもかからず、イザとなれば少し手入れが必要としても短期間で住めるように出来ます。
こうした大暴落している巨大開発用地の取得費に使って行くと、市場価格の乱高下に対してのアンカー役にもなって大暴落を防ぐ軟着陸手段としての意義も併せ持つメリットがあります。
現在のパニック的避難に比べて移動もバラバラでなくバスなどで計画的に一緒に行動出来るし、予定した資材を秩序だって用いるので、今回の応急対応に比べてかなり安く出来る上に個々人の希望に合わせて別荘建築して行けば、内容的にも満足度が高い筈です。。
別荘用建物建築まで進んでいない場合でも予め各戸の希望を聞いたオプション付き仮設住宅の場合、事前擦り合わせがあれば各人も避難生活によるマイナスが少ないし、今の緊急的資材調達に比べてかなり安く出来る筈です。
平和時に事前説明会があって、各家庭の希望を聞いてオプション付きで計画し・・例えば居住用住宅では一戸当たり一定額までは公的資金を出して、それ以上は自己資金をプラスして好きな家を建てる・・役場・医療その他事業所関係を仮設施設をまとめて中心部に造り、そこに入居させて内装費の何%または一定額まで補助するなどすれば、民の需要に応じたものが出来ます。
こうしたやり方は長期的擦り合わせが必要でもあり、また時間が充分にあって可能ですので、(一旦決めても時代の進展に応じた変化があるので・・介護事業所やコンビニなどは昔はなかったでしょう)数年ごとに見直し作業が必要ですが、貰った資金の一部はこうした事務経費に充てるべきです。
事前擦り合わせなしに混乱下でしゃにむに安物の規格品を造るよりは、結局は無駄がなくて安く済むし、これまで書いて来た運用益を考えてもせいぜい貰っていた交付金の何十分〜何百分の一で足りる筈です。
政府発表では、避難世帯は約7万人らしいのでもしも事前に別荘を建てる人が一人もいない場合でも避難用住宅はその6〜7割の人向けで足りるでしょう。
(この機会に東京や大阪の娘や息子の家に移る・・高齢者が細々とやっていた自営の食堂や理髪店をこの際やめるなどの変化があります)
仮設住戸と言っても現在のような画一的な形式ではなく、予めの擦り合わせをしておけば、単身用、2人用、3人用、4人用・・あるいは男女の違いや高齢者足腰の弱っている人その他の違いに応じて、多様な家を準備出来きめ細かに対応出来ます。
高齢者については、単身者でも若者のルームシェアーを参考に浴室、台所、洗面所などの共同形式の方が、見守りがし易くなります。
大規模避難が20年に一回もあれば大変なことですから、(その頻度で今回のような事故が起きる前提ならば、初めっからやらない方が言いでしょう)3〜40年計画・・この間に貰ったお金をほぼこのために使いきっても良いのです。
このように予め設計や仕様が決まっていれば、業者もある程度の準備をしておけますし、いきなりゼロから注文するのと違って大分安く・且つ早く出来る筈です。
いきなりですといろんな計画の前提になる行政資料が散逸してしまうなどのリスクがありますが、予め移転用役場も決まっていれば数ヶ月〜半年遅れ程度で、バックアップしておけますので、水没その他の消失リスクが減少します。
遠く離れた避難予定地の管理事務所を役場の支所みたいに普段から利用していれば、住民登録・保険・介護・その他のデータもリアルタイムで、その支所のパソコンに入力される仕組みに出来ていたでしょう。
(千葉市で言えばどこの区役所窓口でも住民票が交付されますが、そのバックアップシステム(紙記録の場合ダブる保管場所としても)を遠く離れた避難予定地の事務所に設けておけば良いのです)

用地取得とリゾート開発の心

避難用地取得のテーマで書いているうちに大分横にそれていましたが、仮に用地取得した場合を書いてきましょう。
予め土地取得して分譲予定の段階では、現実に住むようになるまで道路の形状の造成程度でとどめておくのが合理的です。
緊急時仮設住宅を建設する時に備えて道路造成と水(地下水のくみ上げ・濾過装置・水質検査など)や電気だけは予め引いておく必要がありますが・・・舗装までして何十年も放置していると駄目になるので、できるだけ陳腐化する投資はしない方が良いでしょう・・。
仮設住宅建設予定地あるいは生活利便設備建設予定地への進入道路予定地には、砂利を敷いて道路の形状だけ造っておけば、超期間経過で草ぼうぼうになっていてもイザとなった時にブルで地ならしをすれば、直ぐ仮設住宅・仮設店舗等の着工が出来ます。
自治体としては用地だけ確保しておいて、早めに別荘生活をしたい人は自分で好きな建物を建てて、順次移転を開始して行けば良いのです。
勿論一般商業的な分譲も拒まず、むしろその方面の客が来れば、その客向けの利便設備もそろい易いし、何かと便利です
政府から貰った巨額資金のうち約半分で用地取得や運営センターその他インフラ整備や管理費を賄うこととし、残り半分を個別分配資金として別荘建設・移転等補助金を出せば、(個人にとっては土地代がただですから、)のある程度(一般リゾート分譲地にあるグレード以上)の別荘向け木造家屋が建てられるでしょう。
こうして事故が起きる前から徐々に移転を促進しておけば、危険地域内住民自体が減少しているか、残っていた人でもイザとなっても自分の別荘に一時避難するだけで済みます。
事故発生時までに別荘用建物建築まで進まなかった人たちには、別荘村のセンター建物に(現在の体育館に寝泊まりする代わり)その他の施設に(林間学校用宿舎など)一時避難してもらい、その間に各戸あてに予定していた別荘用地に急いで仮設住宅を建設することになります。
(その費用は各戸あて分配すべき予定資金から控除となります)
徐々に別荘建築が進んでいる途中での放射能漏れ事故の場合、別荘村がある程度機能し始めて顧客向けのインフラ(コンビニ等各種設備)もある程度そろっているので、緊急避難者向けのちょっとした追加設備を造るだけで足りることになります。
私は20年以上前から八ヶ岳山麓の別荘村を開発しているリゾート会員になっていますが、(子供が大きくなってからは20年ほど別荘タイプのそこには行ってないので、今はどうなっているか不明ですが、そこでは長期滞在用に当初からミニスーパーも併設されていましたが、この姿をイメージして書いています。
放射能漏れ事故の場合、1〜2泊ではなく長期移転が前提ですから、避難先には食料品その他生活必需品の供給施設、教育施設(保育所から小中まで)や介護や医療、美容院、ドラグストアー、コンビにやスーパー等生活利便施設の併設が必須です。
現在のようにでたらめに空いている体育館へや廃校舍に避難し、仮設住宅を建てるにしても住宅だけ建てるのでは、そこに入居した人たちの生活が成り立ちません。
現在社会では何もかも(食料が自給出来ないだけではなく身の回りの世話さえ介護業者に頼る時代ですし、医師さえいれば良いのではなく薬局も必要です)外部供給に頼っているので、総合的な一括移転がないと生活が出来ないために、せっかく出来上がった仮設住宅の抽選にあたっても結果的に2割の入居辞退したとも言われています。
村全体でまとまって移転する計画があって、その用地を確保しておけば、原発周辺の人たちもかなり安心出来ますし、こうした予定地に関しては開発行為の特例として法的手続きも整備しておくことは可能です。
(今回はこうした手続き整備もなかったので、空き地があっても農地転用や開発行為の手続きが難しいなどの問題がありました。)
June 19, 2011事前準備6(移転奨励3)まで書いて来た巨額資金を活用すれば、村の機能・人のつながりを維持してそのまままとまって移転するような一定の準備をしておくことは可能です。
仮に事前に別荘建築する人がいなくとも、用地さえ取得しておいて各戸あての分譲予定地まで決まっていれば、残っている住民にとってもイザとなればそこへ行けば良いのだと言う安心感が違います。
まとまって行けば・・役場は言うまでもなくコンビニ(町の規模によっては小さなスーパー)や魚屋、八百屋、居酒屋、美容院、医療機関、介護事業所、学校や保育所その他の町や村の機能(ムラ社会で点在していたのを一カ所にまとめるだけです)もそのまま移転すれば、(ついて行けない農業・牧畜などの例外を除けば、)避難地での生活にも困りませんし、それぞれ元のお店や保育所などがそのまま移転すれば失業も少ないでしょう。
それぞれの仕入れ先・供給ルートに関しては「イザと言う時にはこうして下さい」などの事前協議である程度解決しておくことが可能です。
もしかしたら町内の零細工業所も取得用地内に一定の工業団地的な事業所用地が準備されていれば、人の避難・移転について、一緒に移転するかも知れません。
農業や牧畜自体の移転は難しいようですが、これも山間僻地の大規模用地取得のときには、過疎地で既に休耕・荒れ地になっている農地や採草地が多いので、予め借り上げる契約・・あるいは購入しておけば、イザとなれば牛や鶏なども連れて引っ越し出来ます。
各種事業所なども立地条件次第で、自治体の用意した土地あるいは近くの土地を手当てしたり、あるいは都会に出る個人同様に、まるで関係ないところに事業予定地を自分で手当する企業も出てくるでしょう。

事前準備4(移転1)

今回の避難住民総数が約14万人と言うことですから、第一第二原発立地の4町住民だけではなく今回の避難者数全員でこの元金9000億円+モデル計算終了後の交付金・前回紹介した2860億円の元金だけを(4町以外の周辺にも一定額を配ったとしても、正しく風向きなど予測して配られていたとすればその範囲はまさに今回の避難住民と重なるべきですから全額での計算となります)分配しても、一人当たりが約840万円になります。
(赤ちゃんまで含めてと言う意味ですから一所帯単位(懐がある程度1つのぷらす60代のおじいちゃん夫婦まで入れれば、)一家では3〜4000万円です)
別の報道を見ると避難地域に該当する8町村の合計人口が7万人とも出ていますが、どうもそちらの方が正しそうな印象です。
そうとすれば一人当たり分配金は2倍・1680万円になります。
きちんと運用していれば(貸付信託でも)わずか10年で2倍になる計算ですから、立地後10年経過時点で配布すれば国から貰った資金と同額がまだ自治体に残る計算です。
まして立地4町・人口4万人だけならば、とてつもない巨額・・一人あたりでなく所帯単位ですと億を越える家もあり得ます。
上記のような巨額資金の前払いを受けて来た地元自治体・4町とその周辺でいくらかおこぼれを貰っていた市町村を含めた自治体がどのような準備をしておくべきだったか、どうすれば不安感を解消出来て実際に左程の損害を受けないで済んだかを考えて行きましょう。
放射能汚染による避難の場合は、集中豪雨のように崖下の危険な家だけが避難すると言う個別事情がなく、全村全町一斉避難ですし、集中豪雨のように一過性でもありません。
集落全体・・生活利便施設を含めて長期間の移転生活が予定されるのですから、ばらばらに避難するよりはまとまった用地を用意しておいて、生活必需品(医療・介護や美容・教育その他関係者も一緒に避難)の供給も視野に入れたある程度長期生活できるような設計・・まとまって移住する設計であるべきです。
そのためには、ある程度の施設が整うような大規模な用地取得が必要ですので、具体的には、各市町村ごとに放射飛散の心配がないほど遠く離れた山間僻地にゴルフ場程度の規模の丘陵地帯+サッカー場みたいなものを(人口1万人足らずの村でも一カ所に集めて仮設住宅を造るのは難しいかも知れませんので)何カ所か確保しておいて一定の基礎的整備だけしておくことが必要です。
取得した用地の整備については、リゾート地として町民に対して別荘地分譲をしておくならば別ですが、そうでない場合、用地だけ手当しておいて・・別荘地の管理センター的な建物と体育館みたいなものと自治体経営の林間荘・山の家・海の家みたいものを建設して小中学校の林間学校や臨海学校などに普段から利用しておくのが合理的です。
何しろ原発立地後5年や10年、それどころか20年や30年でも放射能漏れ事故・・長距離避難が必要な事故が発生すると誰も考えていない筈です。
・・もしも短期想定なら誰も原発立地に賛成しないでしょうから、用地取得も住民の希望を聞く擦り合わせも超長期で準備していれば良いのです。
長期間の住民個々人の希望擦り合わせで、住民の要望する土地・区画形状の好みに合わせて宅地や事業用地(コンビニその他)を分譲予約して行き、(基本区画の大きさまでは無償で、それ以上の大きさは自己資金追加形式)その内町民が希望すれば自分の貰う予定の分配金で、予定分譲地に自前で別荘を建てるのを拒む理由はないでしょう。
こうして長期的には徐々に別荘建築・半定住が進んで行きます。
場合によってはこの際住民への分配資金で都会に出てしまい別の職業に就く選択も可能です。
言わば立退料みたいなもので、その資金で自分たち一家全員で東京等に出てその地で就職したり(完全離村)、子供だけを遠くの大学や企業に就職させるなど(次世代以降完全離村)もあり得るでしょう。
政府から貰った資金は住民の不安感解消のための資金と解すれば、(今は住民のためではなく村や町と言う抽象的な団体のために貰ってる感じです・・しかし放射能被害を受けるのは組織よりは生身の住民そのものです)自治体一丸で移転する必要がないのであって、住民一人一人の不安解消策で良いことです。
集団避難は個人的に解決出来ない人(弱者)のために自治体が後見的に関与すべきことであって、自分で解決出来る人を妨害する・・・自治体一丸で避難しなければならないと考えるのは本末転倒です。
要は放射能の来ない場所へ避難するための先行用地取得であって、自分で避難・移転出来る人の分まで用地取得は必要がないしお任せでいいのです。

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