放射能の危険性2(管理区域)

前回書いたように放射能の危険性については科学的には何も分っていないので、どこまでが危険かさっぱり分らないで,国民が右往左往していることになります。
放射能関連業務を行う危険な区域に関しては、以下の法律とこれを受けた規則で「管理区域」が設定され,この区域内の作業が厳格に制限されています。
これが国民の避難基準として使えるのでしょうか?
人によっては,この管理区域の基準値以上の放射能が毎日出ている地域住民には当然避難させるべきだとう意見があります。
一見もっともらしい・・プロでも危険な水準とされる区域以上の放射能があれば危険に決まってるじゃないか・・・と言う論法です。
私もその意見を読んだ瞬間には尤もだと共感したのですが,本当にそうでしょうか?
上記規則は,この後に原子炉やレントゲン等の放射能作業関連の規則(部屋の遮蔽や労働時間など)を書いているのですが,人工放射能値が自然界よりも高い区域であるので、注意をするために特に放射能の管理区域を設けてその区域内だけで人工放射能を放出するようにし、作業員にも特別な注意を要求した上で,一般人が立ち入らないようにしたものです。
3月27日に書いたように、人工的且つ急激な被爆や摂取は,(砂糖でも塩でも水でも)人体の防御力・回復力を上回る量の摂取は一度でも駄目ですし、回復力の範囲内であれば、時々大量の被爆・・激しい運動やお酒を飲んだり徹夜しても回復出来る程度の間隔を空ければ良いことになります。
健康状態に応じて、健常人ならば許容範囲の運動でも心臓病の人には限度を超えるなどの違いがあります。
回復力範囲内の負荷ならばその直後は休ませるなどすれば回復出来るのですが、間隔を空けないで持続的に放射能を浴び続けることは危険を伴うので作業環境として労働者の安全を守るために規制するべきは当然です。
(深夜徹夜労働などを続ければ疲労の蓄積がありますが、年に一回程度なら殆ど問題がないのと同じです)
そのために許容範囲・最高レベルの被爆限度を定め,且つ短期間に連続被爆し続け・回復出来なくならないように3ヶ月間の累積被爆量の最大を定めたものです。
しかし,食事で言えば暴飲暴食を連続せずにその翌日は絶食するようなもので、管理区域内と言えどもX線などの放射線は、これを人工的に出さない限り日常的には自然界と同じです。
要するにレントゲン室内でもゼロの時もあれば極端に高い時もあると言う仕組みです。
これを平均値で見ることに何か意味があるのかの考え方です。
たとえば、徹夜残業1週間おきに繰り返す過酷な労働環境でも一ヶ月平均睡眠量が、7〜8時間あれば健康に問題がないとする基準があった場合を考えてみましょう。

健康を維持するのに最低の条件である過酷な労働でさえ平均7〜8時間の睡眠が必要だから、毎日7〜8時間の睡眠環境で生活するのは危険だと言うことなるのでしょうか?

法及び政令を受けたこの規則では,3ヶ月間の放射線量が1、3ミリシーベルト以上の区域を管理区域として設定し,標識を立て,出入りを厳しく監視し、作業員には一定期間ごとの健康診断も義務づけています。
3ヶ月間の被爆線量合計が1.3ミリシーベルトを超える区域は、これが人工的に生成したものかどうかに拘らず避難命令区域にすべきか否かの議論です。
管理区域の平均値を超える状態で放置しているのはけしからんと言う論者は,自然界の平均値と一時的・強力な人工照射の違いを意図的にすり替えている可能性があります。
以下規則から見て行きましょう。

電離放射線障害防止規則
(昭和四十七年九月三十日労働省令第四十一号)
最終改正:平成二三年一月一四日厚生労働省令第五号

労働安全衛生法 (昭和四十七年法律第五十七号)及び労働安全衛生法施行令 (昭和四十七年政令第三百十八号)の規定に基づき、並びに同法 を実施するため、電離放射線障害防止規則を次のように定める。

第二章 管理区域並びに線量の限度及び測定

(管理区域の明示等)
第三条  放射線業務を行う事業の事業者(第六十二条を除き、以下「事業者」という。)は、次の各号のいずれかに該当する区域(以下「管理区域」という。)を標識によつて明示しなければならない。
一  外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が三月間につき一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域
二  放射性物質の表面密度が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えるおそれのある区域
2〜3省略
4  事業者は、必要のある者以外の者を管理区域に立ち入らせてはならない
5  事業者は、管理区域内の労働者の見やすい場所に、第八条第三項の放射線測定器の装着に関する注意事項、放射性物質の取扱い上の注意事項、事故が発生した場合の応急の措置等放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。
(原子炉施設における作業規程)
第四十一条の四  事業者は、原子炉施設(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第二十三条第二項第五号 に規定する原子炉施設をいう。第五十二条の七第一項において同じ。)の管理区域内において、核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによつて汚染された物を取り扱う作業を行うときは、これらの作業に関し、次の事項について、労働者の放射線による障害を防止するため必要な規程を定め、これにより作業を行わなければならない

ところで、あちこちに単位が輻輳していてややこしいので,(我々文系の人間には混乱の基です)福島県を除く各県の放射能測定結果の公表が毎時マイクロシーベルトの単位で行っているので,これに換算しておきます。
1、3ミリシーベルト=1300マイクロシーベルトです。
そこまでは良いのですが,これを1時間当たりの平均に直して自然界と比較するのが妥当かの問題です。
論者は,これを1時間当たりに直すと1300÷90日÷24=約0.6マイクロシーベルト毎時を超える区域では、管理区域を設定すべき状態の言わば危険区域に該当するから、0.6マイクロを越えている地域は避難命令を出すべきだ、しない政府は怠慢だと言う印象を与える意見です。
しかし危険作業と言うのは短時間に一定基準以上の放射能を浴びるから、(一時に大量に浴びる・・あるいは短時間に連続して一定量以上浴びると人間の回復量を越える危険があるから規制しているのであって,これを平均時間に割っても意味がありません。
人には復元力があって,一定の放射能を浴びても一定期間で体内で復元して行きますが,短時間に繰り返し高濃度汚染を繰り返すと,その能力に余ってしまう危険があります。
これは普通の疲れでも同じで渾身の力出して後一定時間はもう一度同じ力が出ませんが時間の経過で元に能力が戻ります。
寝不足でも同じでしょう。
ですから一回の被爆量と,間隔を置いた繰り返しが重要なのであって3ヶ月の平均値を出しても意味がありません。
徹夜を短期間に何回も繰り返すのは危険ですから、一定期間に何回と決めたとして,その平均睡眠時間以下が危険とは言えません。
一度にⅠ0キロgの水を飲んでは行けないとして,これを365日で割って,一日当たり摂取量を計算してそれ以上は危険と言うことはないでしょう。
短時間に高濃度汚染をした場合,繰り返しても最高3ヶ月で1.3ミリシーベルトまでと決めたことから、だらだらと日々0,6マイクロでも危険区域になる訳ではりません。
逆に年間累積数値に戻すと、0.6マイクロ×24×365=5256マイクロシーベルト・・即ち年間5.256ミリシーベルトに過ぎません。
世界平均自然放射能数値が、2.4(日本の場合1.5)ミリシーベルトですし、一回の胃X線写真が6.4ミリシーベルト(急に引き上げたかも知れず信用性がないですがウイキペデイアの3月27日の表示です)等々の数値から見ても,平均して年間にしてみるといろんな数値に比べて管理区域の数値基準が却って低くなってしまう矛盾があります。
短時間被爆・・一回あたりの許容範囲を前提にした数値を、平均値に割り直して・・一般生活基準に当てはめて危険かどうかを議論するのは間違いだと分ります。
結局は年間平均ほぼ毎日平均値前後の放射能を浴び続けた場合、どのくらいの数値で何年以上住むと危険かの議論に戻るしかないのです。
昨日書いたように,この基準が分らないからと言って、労働者の安全のために念のために設定した管理区域の基準をここに持って来ても意味がありません。
管理区域の基準を一般生活者にも当てはめるのが妥当かどうかは別として,データ自体は欲しいものです。
全国の放射能測定データがネットに出ているのに肝心の福島県のデータは何故か白紙のまま・・公開されていなかったので・・これなども不信感を抱く根拠です・・素人の私にはネット以外に福島県の放射能値入手方法がなく不明でした。
漸く官邸のホームページに23日にスピードネットワークシステムの試算結果が発表されました。
また27日10時には,20km圏と30km圏付近の26日7時10分から19時30分までの直近の?数値が発表されています。
約12時間の合計かと思ったら、直近数値と言うのですから合計ではなく直近1時間の(と言うことは最後に計った?)数値のようです。
(12時間計ったなら合計して平均値を出すなどした方が良いでしょうが、直近とは最後に計った数値だけと言う意味でしょうから,不明朗・・分りにくい開示です。)
28日には漸く平均値として出るようになりました。
ここは27日に書いておいた原稿ですので,27日発表分に基づく意見です。
20kmでは,ほぼ北側で8.8、ほぼ南西で0.6、ほぼ南側で3.2、30km付近のほぼ北側で1.3、21,20、波江町の原発寄り付近では45.0、49.0の地点が重なっていていて、もう少し西によるとⅠ,8,1.6、0.7などが集中しています。
60km前後離れた伊達市が5.0になっています。
南側では,2.3、2.1になっていて,45km前後のいわき市まで下がると漸く1.0となっています。
福島県全域までは出ていませんが,1時間でこんなにあると、北または北西部分ではかなり遠くまで管理区域設定に必要な0.6マイクロ毎時を大幅に超過する放射線量であることは間違いがないでしょう。
ただし,宮城県の詳細を見ると1マイクロ以上の場所がないようですから,1マイクロ以上は福島県内に限られるようです。
管理区域の規制は短時間に集中して放射線を浴びる作業の特性・弊害から定めたものですから,長期間の居住者とはその作用効果が違うことはこれまで書いてる通りですが、この数値が3ヶ月以上続くとした場合、短時間大量被曝の作業目的の管理区域同様,または類推して観察・注意をする場所・・一応「注意基準」とするのは現時点では外に基準がないので一応合理的な感じです。
繰り返しますが、放射能を長期間に浴びた場合どの量までなら危険と言う科学基準がそもそもないのです。
まして短時間大量被曝の危険基準を平均化しても意味がありません。
砂糖を1年に一回でも一度に2〜3kも飲み込むのは危険ですが、これを1年で割って平均値の量摂取でも危険と言えるかは別問題です。
これでも危険だと言う意見によるとした場合、一日平均0.6マイクロ以上の地域に対して危険区域の指定をしない県知事は違法なのでしょうか?
上記の通り管理区域の設定は1日平均に直すと0.6マイクロシーベルト以上ですが,福島県知事や当該市町村長は事業者ではないし、人工的な設備でもないので、この管理区域設定または注意喚起程度もしなくとも違法ではないと言えるでしょう。
(武田教授の意見では違法であると言うニュアンスですが、この点は私と見解が違います。)
違法ではないとしても事業者が届けなければならないような危険区域として、特別な作業員の働く特別な空間である管理区域・・しょっ中放射能測定しながら作業するような管理区域以上の放射能数値の区域に一般の生活空間があって良い筈がないと言うのは(上記の通り一時被曝と長期被曝とは基準が違うのですり替え論理であって1種のデマゴーグですが)説得力があります。
放射能汚染の実害がさっぱり分らない状態では、基準を決定する基準は(前回書いたように)国民の不安心理の強度によりますから、この種のすり替え論理の威力は強力です。
今になるとアメリカ大使館の80kmまでの退避勧告そのものは、北西区域に限っては危険を煽ったどころか控えめだった・・不安感の強い国民心理に照らして正しかったことになります。
仮に平均値を基準にするのが正しいとしても、管理区域は危険なので要注意の区域と言うだけであって,直ちに(言い古された誤摩化しっぽい概念ですが・・・)被害が出る数値ではない・・そこにいるだけで被害が出るならば作業員も同じ人間ですので作業出来ませんので,そこは概念が違うので注意が必要です。
数日で緊急避難を命じるほど急ぐ必要があったかどうかは別問題ですが、例えば伊達市の5.0マイクロシーベルト毎時の場合,年間で43.8ミリシーベルトになりますから,危険な作業従事者の年間被爆最高限度の50ミリに近い数字です。
(一日中外にいないので,実際にはもっと少なくなくなります)
一日中外にいても3ヶ月で約1ミリシーベルトですからⅠ〜2ヶ月住んでいてもどうってことはないのですが、このままの数値が続く場合半永久的に住むのは危険でしょう。
(「しょう」と書くのはどこまでが危険かの基準がないからです)
防護服もなしに一般人が長く住み続けるには危険だとすれば、何の注意報も出さずに放置しておくのは国民・県民市民の安全確保の責務のある国や自治体の長の(違法ではないとしても)責任です。
事業者は前記規則第3条5号にあるように見えやすい場所に表示する義務があるのですから、これに類するアナウンスぐらいはするべきです。
それが逆に福島県に限って放射能数値さえネットで発表しなくなっていたのが不思議でした。
24日に書きましたが,情報不足に多くの批判があったからか,最近原発周辺の数値が県別とは別に細かく載るようになりましたが、原発周辺以外の県内の表示がありませんでした。
原発事故の解析には,敷地内や周辺情報開示が必要ですが、一般生活者の行動指針としては,正門付近の高濃度情報を見ても逃げる必要があるかどうかの判断基準にはなりませんから、一般生活指針向けの数値と両方必要です。
まじめに国民のために測定するならば,20km圏、30km圏、40km圏、50km圏等200k付近まで10km単位での複数地点以上の測定をしてその情報を誰でも手軽に見られるようにネットで出すべきでした。
30kmまでは上記のとおり27日に漸く官邸のホームページで発表になりました。
風向き等によって,僅か数キロ先でも大きく数値が変わることがあるので,(上記官邸発表の数値でも,すぐ近くでも大きく数値が違っています)きめ細かな測定点が必要です。
雲の動きを見れば分りますが,空気中の粒子の移動は平均して薄く移動するのではなく,ある程度固まって移動する・・・青空が雲の間に見えるのと同様に,放射能数値もムラがあるのは当然です。
官邸が公表を始めたのは一歩前進ですが、風に乗って流れてくる数値にムラがあることを前提にすればもっと多数地点が欲しいものです。
たとえば、千葉県で一箇所しかありませんが,これでは少なすぎます。

原発事故5と放射能1

昨日土曜日で少し時間がありましたので,原発問題を少し書いておきます。
昨日のニュースでは、同日2号機の電気がついてこれで1、2、3号機全部の制御室に電気・照明がつき、3、4号機を除いて真水注入に切り替わったとのことです。
今後は計器類の確認が出来るようになって行き暗闇の作業ではなくなるので大分作業がスムースになります。
明るいニュースの一方で、地下にたまった水の放射性物質で作業員が1昨日被曝した事故がありました。
この中に8日で半減する筈のヨウ素131があったことから、使用すみ燃料貯蔵プールの水ではなく原子炉自体から、放射性物質が流れ出ている・・格納容器自体かその付け根あるいは配管の破損等が心配されるようになりました。
配管破損よりは,格納容器自体・・付け根の破損の場合,高濃度汚染のために容易に近づく方法がなくて,この改修作業が可能かどうかの問題になりそうです。
(機器が作動し中が見えてくると,次々と壊れた部位が明らかになって行くでしょうが・・・)
この先一つ乗り超えれば次の難問出現繰り返しでしょうが、我が国危急存亡の危機ですので,関係者各位の死力を尽くしての努力が最後まで貫徹出来ることを祈っているしかありません。
自主退去の勧告がついに30キロ圏内の居住者にも出ました。
福島県の数値が何故か公表されなかったので事実としての確認は出来ませんが,(ぱらぱらと出る報道によれば)この圏内に居住を続けるのは危険な数値のようですから,退避するのは当然のことですがまだ自主的と言う曖昧な表現です。
ただし,福島県内の各地の放射能数値が官邸のホームページで27日10時に公表されましたのでこの点についてはこの続き・・明日に書きます。
ところで、どのくらいの放射能まで浴びても危険がないかの基準が曖昧な感じで,その都度恣意的に変更される印象ですので,国民は混乱し、不安感を抱いているのではないでしょうか。
分らないから,僅か1日だけ放射性ヨウ素が出たり,野菜に付着しているだけで出荷資制限したりミネラルウオーターを買いに走ったりして慌てふためくのです。
そもそも原爆投下まで知らなかった・・核分裂による自然界にない質量(放射性同位元素)の原子登場で恐怖心ばかりが強くて、具体的な効果が分っていないことが基準を曖昧にし,恐怖心を煽っている根源でしょう。
広島原爆投下直後には,広島には草も生えないとか今後何十年も人も動物も住めないと言われていましたが、実際にはその後何十万の人が住み,爆心地の平和公園には普通に樹木が生長しています。
他の土地に比べて特に平均寿命が低いとも聞きません。
そこでネットで平均寿命を調べてみると広島市は女性が全国1位の長寿市であることが分りました。
(平成23年3月27日広島市ホームページ・平成17年都道府県別生命表による)
原爆による放射能の影響を研究する放影研が広島にあって,ここで色々研究しているようですが,その基本は(科学的因果関係不明なために)疫学調査中心の印象です。
江戸末期に写真機が持ち込まれた時には写真を撮られると魂が抜かれると言うデマが流行していたようですし、電子レンジが出た時にはレンジの前に行くと危険と言われ、パソコンが出た時にも,妊婦には危険と言われていましたが,実際にこれでどうなったと言う具体的な被害事実を聞いたことがありません。
人類はいつも新しい製品や科学に・あるいは思想に対して盲目的反発心を抱いていて、先ずは危険(思想)と言うレッテルを貼りたがるものです。
作業員等の一時的大量被曝を例外として,長期的放射能被曝による効果としてははっきりしているのはヨウ素131の害・・甲状腺がんだけです。
それ以外のセシューム等は「分らないから大変だ」と言う変な論法が中心で、放射能が原因かどうかは具体的に分らないと言いながら、科学的基準を作っているのですから背理です。
妊婦が被曝すると奇形児が生まれる宣伝すると如何にも恐ろしい感じで迫力がありますが,具体的にどうなってるのかの研究発表を聞きません。
有名なチェルノブイリでも小児・甲状腺がんが喧伝されているばかりですが,奇形児に関してもしも疫学調査上顕著な差があればもっとマスコミが報道している筈です。
奇形児だけ調査しないことはあり得ませんから・・・。
結局脅し文句に使っているだけで、そんなことは全くないと言うことでしょう。
むしろ、各種公害病となる多種多様な原因物質の方がずっと因果関係がはっきりしていますが,硫黄酸化物その他がほんの少し空気中にあるくらい誰も問題にしません。
奇形児が生まれると言う宣伝は、相手を悪く言うために子供まで食っているとか極端な表現と同じ種類のデマの一種でしょう。
奇形児が生まれると言えば誰もが恐ろしがる・・しかも証明不能なのを逆手に取った脅迫方法に過ぎないことになります。
多くの新しい機器類に関しては,女性に危機感(感性に訴えるだけであって根拠不要です)を植え付ければ、反対派が勝つので、殆どの場合奇形児に言及するパターンです。
多くの女性はそういわれれば,根拠があろうとなかろうと触らぬ神に祟りなしの行動様式になりますので,それだけで抑制効果としては甚大な社会的威力を発揮します。
短期一時的な高濃度放射能汚染の場合はやけどしますが、これは普通の焚き火でも同じで緩く長くあたれば暖かいだけですが、近づきすぎればやけどするのとそんなに違いはありません。
塩砂糖、チョコレート)でも一度に1〜2kgも胃袋に入れば大変ですが、微量あるいは適度な量ずつ摂取すれば栄養補給等のメリットがあります。
勿論水だって一度に一定量以上摂取すれば危険です。
長期的緩やかな被曝によって,具体的にどのような病気になるのか長期微量摂取の害は,理論としてはまるで分っていないし、疫学的にすら分っているのはヨウ素が幼児の甲状腺がんを誘発確率が高いと言うくらいでしありません。
暴飲暴食しても,数日節制したり徹夜しても翌日よく寝れば回復するように人間には回復力もありますが,これを越えて連日深夜まで働くとか連日の暴飲暴食を続けると回復力を越えて病気になるのが普通です。
自然治癒力を超える高濃度汚染の害は明らかですから、一時的高濃度汚染の害がないとは思ってないのですが、ヨウ素以外の放射性物質を少量ずつ摂取し続けた場合、どういう病気を誘発するのかが実際にはまるで分っていません。
分っていないのにどこまであびると危険かの規準を作る事自体が非論理的ですから、基準があってないようなものになって、風評被害の元になるのです。
怖いものだから大事を取って厳しく制限しておこうと言うだけのことですから、科学ではなく政治的判断で決めるしかなくなって,結果的に不信感を助長します。
絶壁の近くは危険だからと10メートルまで禁止したり,大事を取って100m先まで駄目だと言うような違いです。
これを今後は50メートル付近まで、さらには30mまで許可したら危険かの議論に似ていますが,元々崖崩れの危険がどのくらいかの基準がないとすれば、意味のない議論です。
科学的効果不明にも拘らず,恐怖心を煽った結果非合理な恐怖心に基づいて「触らぬ神に祟りなし」と言うだけですから,その基準は当該国民の非合理な恐怖感の強さにに比例して政治的に決めるべき基準です。
これを科学者と言うものが出て来て,審議会などで如何にも科学的であるかのように装って議論して決めて来たので、今になって政治的にいくらでも好きなように基準を緩める方向へ変更するとおかしな感じがするのです。

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