汚職摘発と中国の混乱化?

離婚事件でいつも感心することですが、後で5万、10万の細かい数字で夫と争う女性が、正規に家を出るまではどんな細かいことでも夫のために留守番としての仕事をこなし、(仕事上の連絡があれば、メモを残して夫が困らないようにして)綺麗に掃除して後ろ指されないようにして出て行くことです。
これも「主婦としての職務は最後の最後まで果たす」と言う神聖な職業意識のなせる技ではないでしょうか?
日本を除く世界では職業を神聖視する意識がありません。
中国の場合、仕事で賄賂を取り、一部懐にくすねるのは給与の安い分を補う西洋のチップ同様の感覚で古代からずっとやって来た・・必然的に職務も賄賂次第でいくらでもネジ曲がることを当然とする意識ですから、今更収賄処罰するのはご都合主義的で国民から真の支持を得られませんし、高官の方は国外資金隠匿していて・・裸官・・没収されないように備えていますから、失脚しても没収されないし、総額は不明でしょう。
和珅の「業績」?からみれば、共産党幹部による兆円単位の国外資産隠しなど可愛いものかも知れません。
中国の場合、日本人のように権力欲や金銭欲が「ほどほどでいいや!と言う平衡感覚がないことと、制度上の問題があります。
制度上の問題としてどんな功臣も、後ろ盾の皇帝がなくなると一気に失脚して九族まで処罰される設計や、一生をうまく全うした官僚でも、世襲制でない官僚制・・これは律令制の良い面でもありますが、その子孫がタチマチ窮迫してしまうので親の情として栄進すればその僅かの間に少しでも子孫のために蓄財しておきたい気持ちになるのは仕方のないところだったと言えます。
この辺の事情については、October 17, 2012「民度4 (孔孟の教え2)」等で律令制の問題点として詩人杜甫の例を引いて書いたことがあります。
日本の場合実力主義の徹底していた戦国時代でも、希代の軍師竹中半兵衛、その他功臣の子孫は、一定の捨て扶持で処遇されてきました。
中国の汚職摘発活発化に戻しますと、習近平氏就任後の異民族対策は強権弾圧一本槍ですし、対外的にも常規を逸した独善的領土拡張行為ぎらぎらですし、漢民族に対しても言論統制による弁護士などの検挙を始める外、政権内部では汚職にかこつけた政敵に対する強権弾圧がエスカレートして行くなど、全ての分野で強権手法が目立っています。
外資についても順次テレビで一斉に槍玉に挙げる方法で、本国政府が中国政府に楯突かないように仕向けています。
(昨日あたりからアメリカ資本の鶏肉加工会社が槍玉に挙がりました)
歴史を見るとソ連時代の粛清に継ぐ粛清や、少数民族をまとめてシベリヤに移動させた事例に近づく・・スターリンの再来になる危険さえ感じられます。
彼は政治基盤が弱いからあせっているんだと言う意見が多いですが、結果的にスターリンみたいにモンスターに成長してしまわない保障はありません。
勿論今は閉鎖社会ではないので、スターリン時代のような収容所列島にはならない・違った形で現れるでしょうが・・・。
習近平の政治基盤が弱いと言う意見は彼の早期失脚を期待していると思われますが、恐怖政治をやる政治家は支持基盤が弱い・・気の弱い政治家ほど保身のために、恐怖政治に走る傾向がありますから、逆に強固になることがあります。
今回習近平氏による腐敗摘発は、国民の不満に対するガス抜きを利用した内部権力闘争色彩の方が強くなっているので、却ってこの方面から思わぬ政権不安定要因にもなることを多くの意見は期待していると思われます。
ところで中国や韓国の場合、古代から続く官僚社会→役得社会ですから、政権を握ると当然の権利のようにその一族や周辺人物が役得を求めます。
これに応じないと立場を失う社会構造になっているようです。
韓国の場合一応アメリカ基準の賄賂処罰規定があるものの、上記のような周辺にたかりの社会構造があって応じざるを得ないところがあるので、政権が変わる都度前政権関係者が政敵抹殺手段としてこれを利用されて、処罰されることが繰り返されてきました。
前政権担当者がその都度処罰される繰り返しになるのは、(サムスン会長が大統領特赦で社会復帰しましたが・・)職務の神聖性の意識が元々ない社会に、欧米の(ピューリタンの)賄賂罪を持って来て政敵処罰に利用するところに無理があります。
習近平氏がイキナリ賄賂処罰を強化しても、日本のように職務の神聖性のモラルがないままですから・・摘発基準が明らかではありません。
現在中国の汚職摘発基準は習近平の政敵かどうかしか分らない・・政敵抹殺手段に使われていると社会が認識しているだけですから、これでは道義が改まるよりは恨みを買うばかりです。
この結果、政敵を萎縮させて思いのママに恐怖政治を出来るのか、逆に政敵による逆襲が成功して・・・揺り戻しが来て大混乱・・習近平の失脚に繋がるのかの分かれ道です。
習近平の策略がうまく行けば行ったで、恐怖政治が成功した社会では発展性がなくなりますから、中国はこの後衰退の一途をたどるしかなくなるでしょう。

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