中国の脅威6(影響力の膨張)

中国の国内外に対する脅迫・威嚇政治の広がりに戻ります。
中国国内でいくら恐怖政治をしようとも外国に関係なければいいのですが、そうはいかないのが不気味です。
日本や西欧にまで巨大市場の吸引力を背景にして諸外国に中国に都合の悪いことを自由に発言させないことによって、いかに中国が偉大であるかと中国人民の自尊心をくすぐり国内言論弾圧の補償作用に使っています。
一方で統計数字をごまかして実態の数倍以上の赫赫タル成長=国力を宣伝する・・国威発揚で自己満足している姿は、実際に自慢するほどの経済力がないのにあるかのように振る舞う結果、国内経済に無理が来る・・・・裸の王様のようでいつか風邪を引き肺炎になる事態も想定されます。
風邪を引かないための風邪薬?・・軍事や国内監視要員・治安警察費に入れ込んで近隣威嚇や日米等での細胞浸透や工作資金を使う・国内では治安警察で国民監視ばかりしていると長期的には、人材.資源の無駄使いの結果国力が低下する一方でソ連崩壊の二の舞になる事態が想定されます。
国民不満を空母や戦闘機で抑えることはできません。
ただし、中国は人民を無理に抱え込まない・・「政府に不満なら過酷な弾圧をする・・国外に逃げて行くのは構わない」(国内にいなくなれば、刑務所に入れる手間が省けるし反対勢力がいなくなる効果はシベリア流刑ど同じということでしょうか)というのがこれまでの政策であったと書いてきましたが、それでは優秀な順に国外移住していき全般的民度が下がる一方になるでしょう。
ただし、国外移住者のうち経済活動や学問その他で成功した(かつ反政府活動しない)人材だけを破格の金額で呼び戻す方が経済的という政策です。
ちょうど数百回数千回の実験失敗の結果ようやく開発成功した新薬その他を成功後にサイバーテロで剽窃したり合法的に買収するのと同じ発想です。
一流大学でも生徒みんなを大科学者に育てられるのではなく、そのうち一粒の人材だけが大きく育つのですが、中国は育てる苦労をしない・無駄玉を打たないでうまく育った人材だけ引き抜けば良いという発想です。
クズの人材は中国で責任を取らずにそのまま移住先のアメリカ等先進国で刑務所に入れられたり、生活保護などを引き受けてもらえば良いのです。
この点がソ連・スターリンの収容所列島政策と違います。
習近平氏が、今は権力確立期の非常時なので自分に「楯突くとどんな目にあう分からないぞ!」という勢力誇示のためにやっているだけであれば、権力が確立すれば国家長期発展のために粛清を緩めて行くことを期待できますが・・。
歴史を見ればどこの国でも政権樹立当初は武力が必須ですが、落ち着けば文治政治に移っていくのが普通です。
中国の場合そのような変化ができるかです。
猜疑心の強い個人資質による粛清の場合には、スターリンのように絶対支配を確立したのちも、権力の基礎が粛清にある以上余計猜疑心の塊になって行く・・この種のことをやりだすと報復が怖くてやめられないのが普通です。
そうなるとソ連型の国家社会の崩壊まで突っ走るしかないでしょうが、フルシチョフやゴルバチョフのような勇気のある人材がでないと簡単に百年単位で専制・恐怖支配が続くだけではなく、北朝鮮と違って国が大きい分周辺諸国まで巻き添えを食う可能性があります。
現在すでに中国市場に参加したいならば、「知財や技術移転しろ」と中国市場参加者限定ですが強要が始まっています。
北朝鮮のような小国でさえ核兵器を持っているとどうにもならないのですから、中国がもっと強くなって、中国市場に参加したくない企業や国に対しても「お前のものは俺のもの式」の強要を始めるようになると世界は大変です。
中国に行った人がスパイ容疑で検挙され始めましたが、この程度の脅しでは収まらず、日本国内にいる日本人にまで中国国内法違反の犯罪容疑をでっち上げて、日本に来た中国軍人や治安要員が我が物顔に闊歩し、白昼公然拉致していく社会の出現になると大変です。
実際に今の香港では、これが公然と行われています。
香港の中国支配のあり方を批判する本を出版していた書店主が次々と失踪した事件です。
http://www.huffingtonpost.jp/foresight/hongkong_b_10607462.html
2016年06月23日 00時58分 JST | 更新 2017年06月22日 18時12分 JST 新潮社フォーサイト
香港でまた「1国2制度」に対する香港人の「信頼」を揺るがす問題が起きている。香港の書店「銅鑼灣書店」の関係者5人が失踪し、中国国内で長期拘束されていることが明らかになった問題で、釈放されて香港に戻った同店店主の林栄基さん(61)が6月14日、公の場に姿を現して記者会見に応じ、赤裸々に拘束をめぐる実態を語った。
拘束された5人のうち、出版社オーナーの桂敏海さんを除く3人は林さんより先に香港に戻っているが、彼らは口を閉ざして実情を明らかにすることを拒んできたので、当事者の証言は初めてとなる。拘束中に中国のテレビで流された「告白」のビデオの内容は、「脚本があり、監督もいた」として、事実ではなく、強制された演技だったとも語った。」
中国は属国と見なせば、遠慮会釈なく実力行使に入る歴史があります
李氏朝鮮末期には、政治の黒幕であった大院君が清朝の軍閥に拉致されたことを紹介したことがあります。
壬午事変(じんごじへん)1882年7月23日明治15年に関する以下の記事からの引用です。
http://hinode.8718.jp/korea_chronology.html
「興宣大院君らの煽動を受けて、朝鮮の漢城(ソウル)で大規模な兵士の反乱が起こり、政権を担当していた閔妃一族の政府高官や、日本人軍事顧問、日本公使館員らが殺害され、日本公使館が襲撃を受けている。
反乱軍の標的は閔妃に向けられていたが、閔妃は官女に変装し官女に紛れて逃げきり山奥に隠れた。
閔妃は高宗に、国王の名を以て宗主国である清国に軍乱の鎮圧を目的として清国軍の派兵を要請させた。閔妃は権力奪還・大院君にたいする復讐の為に他国の軍隊を国内に招き入れてしまうという、大きな間違いを犯してします。亡国へと導く悪女と言われても仕方がない行為である。
清国の李鴻章により袁世凱が援軍として派遣され、反乱軍は鎮圧された。大院君は清に連行され李鴻章による査問会の後、天津に幽閉され、反乱が失敗に終わる。」
李氏朝鮮の場合にはみづから清朝の介入を求めたからですが、元々属国として身長の事実上にの支配下にあったからこういうことになるのです。
事実上支配下に入ると国内に中国の息のかかった細胞がいっぱい入り組んでいるのが普通ですから、李氏朝鮮の閔妃のように中国軍を導入しようとする勢力が育っているのが普通です。
以下対中関係を背景にした・・工作浸透原発稼働停止運動と地域エゴに戻ります。
9月5日「地域エゴと民族一体感の相反性1」〜9月10日「先住民権運動の背景3(ロシアの領土欲1)」等の続きです。
原発誘致に際しての反対運動もこの種の地域エゴが含まれていましたが(原発事故の頃に連載しました)一応被害を負担してもらう意味で一定の国民理解がありました。
各種交付金はそのための前金でもあったわけですが、福島と違い新潟ではまだ事故も起きていないのに、相手が巨額投資してしまっている段階で「不安だから」と稼働停止を求めるならば、不安を理由に前もってもらっている前金を返すべきではないかという意見も出てきます。
不安料とすれば今も不安がある・福島事故によって安全神話が崩れた・・不安がより一層強まったという論理とすれば、返す必要がないとも言えます。
それならば、・「不安解消策を講じろ・不安料金をもっと上げろ」それまで稼働に反対するのはルール違反ではないという論理でしょう。
そうはいっても、ある程度の危険承知で一旦巨額資金をもらっている以上はある程度の不安はもともと予定していたことじゃないのか?ある程度我慢すべきでないかと思いたい人も多いでしょう。
政府や東電完全安全」と言っていたしそれを信じていたのに・・と言うならば、そもそも不安料の支払い不要だったことになります。

マスコミの影響力2と低下

権力誇示が露骨すぎると反発が起きるので剥き出しの権力行使をしないのがどんな分野でも(課長でも社長でも)普通の智恵ですが、マスコミがここまで露骨になったのは何故でしょうか?
マスコミ背後権力者が、なりふり構わずにマスコミの影響力を行使をするしかなくなるほど焦っているとしか見えません。
中立性の仮面をかなぐり捨てた露骨なマスコミ報道が続いた結果、これに反発するネット発信・マスコミ批判報道が却って発達してしまい、世論形成力としてはマスコミの方が負け始めていることを、2012年12月20日「米英系マスコミ支配2とマスコミの限界」あたりから書いてきました。
奔流のような韓流報道の始まりとマスコミによる政権攻撃の露骨化とが時期的に合致しているのですが、どう言う関連があったのか・・偶然時期が一致しただけだったのか不明ですが、外見上中立を装うべきマスコミが自制心を欠くようになった点が共通でしょう。
民主党政権獲得時の小沢氏は民主党内の最大実力者且つ実務能力があるので自民党も彼を最も恐れていましたので、アメリカの陰謀であろうとなかろうとどんなことでも小沢氏批判であれば飛びつく状態でした。
そもそも小沢氏批判の実体は何なのか?次第に分って来たことは汚職でもなければ何でもないせいぜい記帳義務違反というだけの疑惑で、しかもそれですら蓋を開ければ無罪・・事実無根と言うのですから、こんな微々たる疑いを大々的報道して一国の総理になる資格を問うこと自体マスコミ(ネトウヨはまだ許されるとしても・・)の暴走です。
今になると右翼ネットでは、負け惜しみからか、小沢氏は在日2世だというデマまで流布し始めました。
アメリカは有力政治家が出れば直ぐにスキャンダル報道で追い落として行く・・日本政治家はアメリカの言うとおりになる・・小粒政治家ばかりになるのをずっと狙ってきました。
今後も与野党間や各党内での権力闘争にアメリカのマスコミ支配力を利用する人が出て来るでしょうが、こうした動きは明治維新時に外国勢力の介入を避けるために徳川慶喜が示した無抵抗方針を想起すれば分るように国賊ものです。
(マスコミを利用した勢力はマスコミに対するアメリカ支配維持の支持者になります・・この結果戦後60年以上もアメリカによるマスコミ支配が続いてきたのです)
アメリカにすれば小沢氏の刑事事件化はいつでも出来るし、その他民主党幹部は実務能力がないことが誰でも知っていることですから、民主党がアメリカの怖さを知らないで反抗すれば、この基準で直ぐに追い落とせると踏んで1回民主党にやらせたと思われます。
本来アメリカ寄りであるべき自民党が中国にすり寄り始めたので「アメリカの言うとおりしないと下野することになるぞ」という見せしめのために一回だけ民主党を勝たせる選択をしたと思われます。
中韓寄りの民主党政権に対しては、政権担当能力がないというマスコミ批判を起こさせると共に外からは中国や韓国を唆かせていくらでも領海侵犯をエスカレートさせる・・ゆすりの手法です。
民主党政権は最初はアメリカに対して強気でしたが、小沢氏へのマスコミ・検察による追及・鳩山・菅政権に対する実務能力不足の宣伝攻勢・・アメリカの示唆に応じた中国による尖閣諸島波状攻勢、ロシアの現役大臣の北方領土視察、韓国による竹島問題で揺すられてどうにもならなくなって、菅〜野田政権では露骨にアメリカにすり寄り始めました。
(菅・野田政権がイキナリTPP参加を言い出したのは・・普天間の失敗でアメリカを怒らせている償いも含めて・・この圧力によると言われています)
安倍自民党総裁はこれを受けて「日米同盟重視」(日本はアメリカの言うとおりします)というメッセージで選挙に臨みました。
安倍氏は前回はアメリカのご機嫌を損じて・・アメリカの意を受けたマスコミの集中攻撃を受けて失敗したので、(アメリカの思惑どおり)日米同盟の堅守を主張して一番最初の訪問先としてアメリカを発表しています。
しかし、アメリカは軍事同盟維持・列島線の維持自体には日本で喧伝されているほどにはあまり関心がないと私は思います。
何事もビジネス基準のアメリカは中国の拝金主義とルール重視(と言ってもアメリカに都合良く出来たルールだけですが・・・)有無の点で違いがあると December 5, 2012「民主主義と正義12(政治資金3)」で書いたことがありますが、逆から言えば経済メリット次第という点では価値判断基準が中国と同じです。
日本と同盟するメリットをビジネスライクに秤にかけているのがアメリカです。
資本主義国・民主主義国というだけで無償で日本を守る必要は全くないので、ミカジメ料を払わないとヤクザが守ってくれないのと、軍事同盟の本質は変わりません。
(中国も既に経済的には悪しき資本主義国であって、共産主義の看板は独裁を維持するための方便に過ぎないことを以前書きました・・またアメリカはこれまで民主主義国家かどうかはまるで問題視せず都合さえ良ければ独裁国家を支援して来たことも何回も書いてきました)
アメリカが同盟して犠牲を払ってまで防衛するメリットがある国かどうかは、アメリカ経済にメリットを与える国かどうかと米英中ソの策定した戦後体制(パックスアメリカーナ)に刃向かう方向化かどうかだけが基準です。
(安倍氏の標榜するアメリカが作った戦後価値観の見直しは日米関係重視と矛盾するのでとても無理でしょう)
中東でもどこでもアメリカに経済利害があってこそアメリカは関与して行きますが、シェールガス・オイル等が復活して中東原油の重要性が薄まれば、露骨に関心を失って行くのがアメリカです。
リビアやシリアの騒乱(どんな人道違反があっても)を見れば分るように、自国でオイルが採れるようになるとそれまでの米軍の過剰介入が嘘のように無関心になっています。
日本は口先だけ「守る」と言ってもらうために、大きな代償を払わされるでしょう。

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