国民への説明責任2(嘘つきとは?)

民主国家においては国民に重大な利害のあることについて国民がその決定理由に疑問を表明している時には、政治のトップ同士の談合や専門分野で決着がついているというだけで問答無用式に、国民に強制することは政治のあり方として許されません。
これが許されるのでは、選任するときだけ民意にあれば良いとなってしまい、本来の民意(・・我が国のような議院内閣制を本来とすれば)による政治とは言えなくなります。
この極端系・韓国やロシアの大統領制はまさにこれで一旦選任されると専制国家の皇帝のように権力集中するので、このような強力な権力の魅力にとりつかれてせっかく民主国家になりかけていたトルコのエルドアン氏のように「強力」大統領制に切り替える動きが流行になっている・習近平氏も大統領制を狙っているとささやかれています。
後進国では話し合いではまとまるほど社会が成熟していないので一定の権力集中が必須、そうはいっても古代的世襲制では民主主義社会を知ってしまった国民の承認を得られないのでその中間形態として大統領制になっているとだいぶ前に書きました。
大統領制は原則として選任される時だけ民意が必要ですが、選任後は専制的権力が保障される仕組みです。
これを牽制するために任期制を設けたり、議会で決めた個別決議・この発展系が永続性のある「法」「憲法」に拘束されるなどがありますが、法や憲法の規制を例外としてこれがない限り万能権力を前提・・議会や司法(これすらも恩赦で覆せますが、一方で任期中での乱用防止のために弾劾決議が用意されるようになっています)が牽制するものです。
ただし弾劾されるのは、権力が強過ぎて乱用があった場合のセーフガードというよりは、大統領の支持基盤が弱いときに政敵がトドメを刺すために実行されている・いわば病理現象というべきです。
プーチンや習近平やエルドアンの最盛期に野党政治家が仲間を募って弾劾運動すること自体(危険すぎて)想定できません。
むしろ強力独裁者が憲法の定める任期を超えて権力維持のために憲法改正(再任回数制限を外す)を画策すると誰も防げないのが一般的で、結局終身化していくのです。
アメリカの大統領制の場合、もうちょっと進んだ形態ですが、これは民度が高いからこうなったというよりは、独立戦争によって建国した経緯・利害対立する各州の連合形態→大統領は一時的な連合軍総司令官の権限から始まる関係で大統領は軍事権に関して強大な権限がありますが内政に関しては(各州の内政が原則・連邦政府に関心がないのは当たり前ですが)ほとんど権限がないのが原則です。
大統領制・・大統領府は対外交渉や軍事のための制度が始まりですから、日本のように古来から政治家と軍事は別物.政治(文官)が軍事に口出しない基本原則とは逆バージョンです。
こういう国にシビリアンコントロールを説教されて作った日本国憲法って漫画的です。
アメリカで司法権が絶大な権限を有し、訴訟社会になっている原因は、アメリカ各州の関係を連邦憲法で決めたことから、憲法が重要・連邦議会の作れる法の範囲を画することになった偶然の歴史によっています。
その後人権思想発達に応じて修正第何条という形で個別的条項が追加されていきますが、これが増えれば増えるほど司法権が最終的に決める範囲が広がっていきます。
この結果、移民受け入れ対象の決定権を事実上持つようになっていることは、トランプ政権による移民制限が執行停止処分を受けた騒ぎでも明らかです。
元はと言えば、戦争目的で団結し統一司令官として必要な限度で大統領の各州への指揮命令権限をみとめるが、どこまで連邦・大統領が各州の内政に踏み込めるかを条約的に決めたものであったとになります。
民主・人権尊重国家といっても、全面降伏したアメリカインディアンに対するゾッとするような酷い仕打ち、先の日米戦争では日系人だけ全財産没収の上荒野に収容した事実(この前に黄禍論による日系人排斥法があります)・戦後もなお長い間黒人には公民権がなかった事実(・・実は日本の朝鮮統治より内容が酷かった・戦争犯罪も日本より何倍も酷かったことが知られている通りです。)を見れば、アメリカのいう民主主義・人道主義とは古代ローマ同様に特定民族だけの人権にすぎなかったのです。
トランプ氏が北朝鮮に武力圧力かけたり、無茶な関税をかけたり・大統領の個性次第でアメリカの政治姿勢が大きく変わるのはこの仕組みによるものです。
この欺瞞性が暴かれて徐々に国内での人種平等化が進み・国際的にもわがまま勝手が通りにくくなってくるとこの進んだ政治運営(PC・・ポリテイカルコレクトネス)に国民がついて行けなくなって「卓袱台かえし」をしたのが、トランプ現象といえるでしょう。
中国の自分勝手な貿易戦略(国費を投じてのダンピング輸出で競争相手を蹴落とす戦略や中国進出企業に地元企業への知財提供しないと進出を認めないなど・.自分は世界の自由貿易の恩恵をフルに利用しながら自国では自由に商売させ_ない一方的やり方)を許容できないとして対中関税率アップを標榜している限りでは説得力がありましたが、最近では世界相手の鉄鋼製品への高関税課税実施をし、次には自動車にも高関税をかけるといい出しています。
ここまで無茶・.アメリカ自身が主導してきた貿易秩序を根こそぎひっくり返すようなことを始めると、ただのバカか?という見方が広がり、EUもカナダ、メキシコも即時報復関税準備に入りました。
昨日だったか灘で開かれたG7中央銀行蔵相会議では、西側色一致団結の場なのに、米国対6カ国の非難応酬の場になったと報道されています。
大統領権力の強大化の弊害防止・・牽制するために任期制を設けたり(任期中無茶をやると退任後訴追が怖いので自己抑制に働く)、議会で決めた個別決議・この発展系が永続性のある「法」「憲法」に拘束されるなどがありますが、法や憲法の規制を例外としてこれがない限り万能権力を前提・・議会や司法(これすらも恩赦で覆せますが、一方で任期中での弾劾決議が用意されるようになっています)が牽制するものです。
説明責任にもどりますと、国際運動では冷静な事実の裏付けのないキャンペインで決まることが多いので、事実と違うという信念を持つ人は、異議申立てするのを恥じることはありません。
多数派は(例えば「慰安婦=性奴隷」と国際社会で決まった経緯を昨日紹介しましたが、事実を丹念に検証した上で、「誘拐された先の監視下で性行為が強制されていた」ような事実関係が認定されたならば別ですが、何の新たな事実認定もなく、単なる煽り行為に同調したに過ぎないとすれば、ひどい話です。
従来、左翼系の論法は「軍の強制がなくとも、経済困窮による女性人権侵害である点では同じだ」と慰安婦騒動を擁護する意見が一般的でしたが、2日に見た戸塚弁護士に対するインタビュー記事では、ほぼそういう主張による質問にに対する応答になっています。
以下の通り再引用します。

岩上「自由もなく、意に反して、強要されて、だまされて連れてこられた人達がいる。それらをトータルで見ると、望まぬことを強要される奴隷状態に置かれた人という定義になるのでしょう」
戸塚氏「奴隷は『所有物』。だから、『所有者』が『所有物』に対して人権を認めていないということ。そういう関係について、他の言い回しがちょっと考えられないので『性奴隷』という言葉を使いました」

上記では「自由もなく、意に反して、強要されて、だまされて連れてこられた人達がいる」というだけで具体的事実調査の有無について質問がまったくない・思い込み中心の質問です。
こ調査に基づかない空想的質問を既成事実としてどんどん答えていき、この繰り返しで既成事実化していく今のメデイア体質同様です。
本当にこのような「意味不明」な主張で世界中が納得したのか、形勢不利になったのでこんな無茶を言ってケムに巻いているのか以前の主張をコピーしていないので不明です
性奴隷は人権問題に違いないとしても、その政治主張は、文字通り拉致被害などによる・人身売買等による性奴隷を禁圧しましょうというに過ぎず、(一般の売春婦を予定しないで「人身売買等を予定する」点で何ら問題のない運動ですが、慰安婦に限りいきなり、人身売買の有無を問わずに強制拉致されて売春を強制されているかのように、「性奴隷」と呼ぶことにしようと定義を変えてしまうのは、言葉のすり変え行為であり、ひいては虚偽主張に近いものです。

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