町金融関係のテーマになったところで、再び韓国の原状に戻ります。
韓国では現在個人債務の急膨張が危険ラインに達していると言われているので、国内景気維持のための内需拡大はこれ以上は無理そうなイメージです。
内需=消費拡大は消費者の経済力が限界を画します。
貿易黒字には「良い黒字と悪い黒字がある」と言われますが、この後で紹介するように韓国中国の場合、輸出額が減っているのに輸入がそれ上に減っために黒字になっている関係で、いわゆる悪い黒字です。
中国の出血輸出のカラクリを説明したことがありますが、原価割れ販売の出血輸出では、先ずその企業がその内仕入れ出来なくなる・・輸入が減って行きますが、蛸足配当のようなもので従業員に節約を求めているうちに、国民一般にも及ぶ・・国民の消費を節約して輸出に励んでいれば、国民窮乏化が進みます。
食堂で言えば従業員の食事分を削ってお客に出しているようなものです。
しかも韓国の場合、貿易収支の黒字分・・儲けが、外国資本の収益になって国外に出て行き国民福利とあまり関係がないと言われている国情ですからなおさらです。
サムスンで言えば、54%が外資と言われています。
ただしサムスンは税引き前利益に対する株主配当率が低いから、利益率が低いのに高率配当している日本企業よりも絶対額としての国外流出分は少ないと言う反論もあるようです。
その場面だけでは理屈があっていますが、内部留保されている結果将来吐き出すときには株主に行くしかない点・・いつ払うかの違いでしかないのですから、国民に行かない点は同じですから、国民に行くか外資に行くかの議論を誤摩化すための的外れな反論です。
外資率が高い・多額の負債があると言うことは、内弁慶でなく国際市場で評価されていると言う逆の意味もあるようですが・・。
サムスンに限定すればこの辺は当たっている面があるでしょうが、この種のメデイアの議論のおかしさは借金が多いのは信用されているからで、借金のないお金持ちは信用されてないなどと批判しているのに似てどこか倒錯しています。
日本国債の自国内保有が多い・・だから借金としても国内でのやり取りに過ぎず、次世代に借金だけが残る訳ではない・・国債保有者の債権も相続すると言う主張封じのためにか?外国人投資家に人気がないのはおかしいと言うイキナリ変な方向から矢が飛んで来ます。
借金したい・・資金繰りの苦しい者同士の比較で言えば、借金したいときに貸してもらえる企業や人の方が信用が上ですが、自己資金豊富で借りなくとも旅行したり家屋敷を買える・・あるいは店舗の模様替えを出来る人や企業を相手に・・「俺は50万まで直ぐに借りられる」と自慢してもそれは貧乏人同士の自慢でしかない・・恥ずかしいだけの関係であることに気が付かないおかしさです。
韓国では労働分配率が低い所為か?個人負債が急膨張して国際的指摘を受けるまでになっています。
韓国の家計負債の現状に関する以下の記事は約1年前のものですから、その後1年で家計債務が更に拡大しているのですが、原因の分析もあって分りよいので少し長いですが、紹介しておきます。
http://www.data-max.co.jp/280712_ry_02/
2016年07月11日 15:19国際
韓国経済ウォッチ~膨らみ続ける家計負債(前)韓国経済ウォッチ
日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
「・・・韓国経済にも低成長が定着し、わずか2%くらいの成長しか期待できなくなっている。また、造船などで一時期活況を呈していた蔚山(ウルサン)などは、深刻な不景気に悩まされている。
・・・韓国の家計負債は膨らみ続け、世界各国の主要機関も韓国の家計負債に警鐘を鳴らしている。」
「・・・負債を返済できる能力を評価するときに、よく使われている可処分所得に占める家計負債の比率というのがある。韓国の可処分所得に対する家計負債の比率は、去年すでに163%を超えている。負債の多いアメリカの113%と比較しても、もっと高いのが韓国の家計負債である。」
韓国政府が政府が如何にして不動産バブルを中国同様に誘導して来たかが、以下の記事で分ります。
「・・・韓国家計負債の74%を占めているのは、実は住宅ローンである。韓国の住宅ローンの特徴は、元金を払わず、利子だけを払うという点である。利子だけを払うことになっているので、まだ問題が顕在化していないが、満期が集中している2019年には元金をも払わないといけないので、大きな問題になるという指摘がある。
住宅ローンのもう1つの特徴は、集団ローンと言う制度である。この集団ローンは、建設会社が金融機関と交渉をして入居者に用意するローンであり、個人への個別審査はない。」
「・・・もう1つの要因は、韓国の住宅制度そのものにある。
・・「全貰(ジョンセ)」という制度があるが、今、その全貰と言う制度が崩れつつある。大家は家を貸すときにテナントから保証金を預かり、その保証金を運用する。ところが、低金利時代が到来することにより、大家は資金を運用するところがなくなっている。運用先を失った大家は、これまでの全貰から、毎月家賃をもらうことができる「月貰(ウォルセ)」に切り替えている。
・・毎月家賃を払うことに負担を感じるようになった若い層は、これを機に少し無理をしてでも住宅を購入しようということになる。金融機関も住宅ローンは、担保があって一番安全だし、住宅ローンは良いビジネスになるので、積極的に住宅ローンを販売する。
・・・住宅を買う側も金利が安いので、この時期に住宅を購入しようという心理が働いて銀行の融資が増えていき、それによって家計負債は膨らみ続けている。」
もう1つの原因は、韓国の不景気である。韓国の40代、50代の平均資産額は3億4,000万ウォンくらいだという統計がある。資産と言っても、キャッシュは3万ウォン前後で、後は不動産などで所有している。だが、景気が低迷しているので、足りない収入を金融機関から借りたお金で賄っているのが現状であろう。」
「アメリカの金利上げ、不動産バブルの崩壊、さらなる景気悪化など、不安材料はいくらでもある。ある専門家のシミュレーションによると、不動産価格の下落より、金利上げのほうが家計負債への影響が大きいようだ。」
2%台の低成長に入った韓国が不景気対策としての金利下げ→マンション景気へ誘導→建設関連の裾野の広い内需拡大を目指したことが、マンションブームを引き起こしたことが、上記記事で分ります。
資産と言っても不動産に特化していて4〜50台の中堅世代が「キャッシュは3万ウオン前後」・日本円で僅か約3000円しか持っていないと言うのですから驚きです。
もしかしたら一けたか二けた(マルが二つくらい抜けてしまった)誤記かも知れませんが、それにしても不動産に資産構成が特化している様子が見えます。
中国のように転売目的比率が高くないとすれば、相場下落はそれほどの痛手にはならないとしても過大な借金による分・・金利動向が死命を制します。
借金だらけの実情を明日紹介しますが、本当に手持ち金ゼロ・・ギリギリその日の買い物に必要な限度でサラ金から借りて買い物をしているのかも知れません。
金利が少し上がれば、支払に窮するようになる・・住宅ローン支払に困って高利に手を出す段階です。
Tag: 債務
中国やりくりの限界(税収弾性値1)3
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12242018733.html
2017-01-29 05:00:00
中国、「民間債務」対GDP比で170%「突出する危険性」
「日本、EU、中国の民間債務は2008年まで、対GDP比で100%ラインにきれいに並んでいた。米国は、手厚い内部留保があるゆえに民間債務の対GDP比は、60~70%の中に収まっている。問題は、2009年以降の中国だけが、対GDP比の民間債務額が急ピッチで増え続け、2016年には170%にも達した。この現実を頭に入れて置いて欲しいのだ。」
上記意見は、中国以外は今もキレイに100%で並んでいる前提でしょうが、諸外国では今も債務率が100%近辺で安定しているのかを書いていません。
ただし、29日に紹介したグラフによると中国の債務伸び率が半端でないことが確かです。
リーマンショック以降先進諸外国では異次元金融緩和が一般的であって、日本でもどこでも大量のマネーサプライが続いている以上は、その分債務も膨張していないかの疑問です。
例えば、住宅ローン金利が1%下がれば、借入額をその分増やしても毎月支払が同じになるので借入限度額・債務額が増えます。
この結果韓国では急激に個人債務が膨張してしまっていることが話題になっています。
リーマンショック以降「異次元緩和」が行なわれているのが普通ですから、中国だけ08年以前と比較するのでは、読んでいる方が混乱します。
ただし、日本では個人金融資産が巨大ですので、金利を下げた程度で借りたい人が増えません。
先進国で金融緩和をしても自国内企業や国民が殆ど利用していないで、(円キャリー取引で)低金利を利用して資金不足の新興国が利用しているだけ・せっかく大量供給した資金が海外・新興国に流出しているのかも知れません。
日米欧の低金利政策が新興国の資金需要を満たしていただけ・だからこそ米国金利上げが新興国・・特に中国への打撃となるテーマで持ちきりになっているのでしょう。
この後税収弾性値でも書きますが、GDPその他の指標は一定方向の議論や疑いを抱くとっかかりになるだけであって、そこから結論を導くとなれば、いろんな指標を組わせた意見でないとまともな議論になりません。
国力競争ではGDPが重要でしょうが、(中国は19世紀型・・粗鋼生産量や造船量にこだわって来た時代錯誤制を以前書きました)生活水準指標としてはGDPよりは別の指標の総合化が必要です。
無理な内需振興・・無駄な建設工事等の結果GDPだけ上がっても、税収がこれに比例して上がって行きませんから、経済効率無視の投資か否かの指標としては税収弾性値も目印の1つになるでしょう。
上記ブログの紹介では、中国の場合、税収弾性値が極端に下がり続けているらしいのです。
中国がリーマンショック後税収弾性値が下がっているのはGDPアップと言ってもゴーストタウンを作るような無駄な投資をしている証拠だと言う意見の補強に使われています。
「16年の中国財政の歳入増が、前年比わずか4.5%増であったのだ。税収の伸びが名目経済成長率の8.0%を下回る状態になっている。ついに、「税収増加率は、年々続く縮小傾向から脱却できなかった」(『人民網』1月24日付)と実態を吐露するに至っている。税収の弾性値という尺度がある。名目GDPが1増えれば、税収がどれだけ増えるかである。長期的な税収弾性値は1.1とされるが、中国はすでに、0.56にまで低下している。ゾンビ企業の多発で経済が空洞化している証拠だ。「腐ったリンゴ」そのものである。」
税収弾性値が平均して1、1であると言う図表か何かで見た記憶がありますが、ちょっと見たときの印象ではこう言う平均化が可能と言う程度の説明であったように見えます。
中国の肩を持つ訳ではないですが、公平に見ると過去一定期間の平均から外れると異常とする断定論は一面的です。
中国の場合にも前提となる社会状況変化があるのですから、(非衛生・生活習慣が汚いことで有名な中国でさえ公害垂れ流しのマイナスや衛生意識向上・生活水準向上があるに違いない・・量より質に入って来た変化をどう見るかです)社会状況が変わった指標としてみることが可能ですが、この種の衛生基準アップなどの)投資は次年度以降の生産性向上に結びつかないのが普通・・非効率投資ですが、これを無駄な投資(誰も使わない鉄道建設やビルを建てるような投資)とごっちゃにした議論は無理があると言うことです。
民需不足の場合に財政出動でインフラ投資すると、(不景気対策の公共投資は・需要がないのに無理して投資するのですから)投資効率が下がるのはどこのクニでも同じです・・。
日本の場合もバブル崩壊後の需要穴埋めのための財政出動・・公共投資の投資乗数が1割っていることを長年言われて来ました・。
社会でも個人でも豊かになれば目先のお金儲けに繋がることばかりではなく、その他の(効率の悪い文化・各地の美術・音楽ホール)出費をする余地が出るのは当たり前・・この段階になるとGDPアップ率が下がるのは当然です。
我が家でも数十年前から、収入に繋がらないことに支出する・・いろんなことをするようになっているのですが、日本のGDP成長率が下がっているのも、このような社会の豊かさに関係にあるのであって、目先金儲け(人よりより一杯多くのビールを飲みたいレベル)に燃えている新興国と「アップ率を競う」前提のエコノミストの議論の建て方・日本のGDPアップ率が見劣りすると頻りに言うこと自体が無意味です。
生活水準が上がると建物建築意欲を卒業して自宅の庭で花を植えたり美術品など購入し音楽を楽しむなど消費動向が変わりますので、その前の生活スタイルを基準に消費が減ったから生活が貧しいか?と議論しても意味がありません。
クルマで峠を越えるのに3〜4時間かかっていた場所で、トンネル開通で20分で山の向こうに行ける・・この種投資の場合翌年にはGDPが上がり投資高率が高いのですが、既存道路のアスファルトのレベルアップ、縁石をより見栄えの良い良質のタイルにしたり道路脇にツツジなどの植え込みをするレベルアップ投資では、翌年以降のGDPが上がりません。
中国がGDP6、何%成長の割に税収があがっていないと言うだけでは、その公表がインチキか、仮に数値が正しいとすれば、投資効率の悪い投資(空きビルを建てたか、または公害防止投資が嵩んだのか、縁石を綺麗にするなどのレベルアップ投資か不明)が多かったことが分るだけです。
批判するならば投資効率が下がった内訳の分析(公害防止や衛生基準アップ投資や市街地の美観アップなどの投資と投機による不要な原材料在庫アップまたはゴーストタウン投資の)こそが重要です。
GDPは、19世紀以降の建艦競争時代に継戦能力の指標としてGDP・生産力が重視されていたに過ぎず、未だにこれを金科玉条のように重視することが間違っている・・国民の豊かさアップとはイコールではありません。
日米安保で見れば分るように日本の継戦能力は、粗鋼生産力や造船量だけではどうにもならない・・米国による高度兵器供給網維持にあるのであって、自力継戦能力は大したものではありません。
大災害が起きるといつも問題になるように、民間企業もサプライチェーンが世界中に広がっているのであって、トヨタでもどこでも自企業内で完結出来ていません。
中国やりくりの限界2(債務膨張)
中国は成長停滞に直面しても赤字企業倒産・失業増大を避けるために3月23日に書いたとおり労賃と生産を下げらないので、原材料費+管理費+労賃+利潤=販売価格の内、資本還元の抑制(外資新規投資抑制作用・資本流出)・金融費用と利潤を犠牲にしたダンピング輸出・国内製造継続を選択して来ました。
体力任せのダンピング輸出継続は、世界経済破壊の大きなマイナス作用を及ぼすので世界不満の限界が迫るし、国内企業も疲弊し、その穴埋めの輸血・金融追加(追い貸し)による赤字製造輸出は原資となる外貨準備流用の限界が迫って来ます。
輸出が困難になると外需から内需に転換するしかないのは経済の原則ですが、賃金上げの結果による輸出不振である以上・・購買力も相応についている筈ですので内需拡大に方向転換するしかないのは言わば順当な政策変更です。
人件費上昇分相応の国内消費力がついていたので、これを内需に向けて税収を上げようと言うのも説明としては一理あります。
地力がついて来たので、連動して商店・新商品等が発達するならば順当ですが、政治主導で内需景気を盛り上げようとすると着実な需要が追いつかない無理が出てバブル化するのが普通です。
庶民が巨額宝くじに当たると量を食べたり量を買うしかないのと同じで、シックな高級品を愛でる能力に達するには数世代以上かかる・・精々海外に出掛けて爆買いから始めるしかないのが普通です。
中国ではリーマンショック以降無理な内需投資・・客もないのに高速列車をドンドン作るなどの無益な公共工事が知られていますが、民間ではマンション投機など実需と関係のない投機の過熱・バブルが起こっています。
この結果ここ数年では中国では、負債のGDP比が跳ね上がる一方になっています。
http://www.thutmosev.com/archives/62816023.html
2016年07月04日17:00
中国が金持ちなのは、借金で浪費しているから
引用:http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/01/23dcdfc0b0626d898c05b15014589251.jpg
以下はhttp://www.thutmosev.com/archives/59975279.htmlの引用です。
2016年05月14日11:31
「イギリスの経済誌エコノミストによると、2008年以降中国の債務はGDPの2倍のペースで増え続けています。
それも中国国家統計局が発表しているGDPが正しい場合で、残念だが正しい可能性はゼロです。
最大限好意的に考えて本当の成長率は3分の2で、悪ければゼロ以下なので、債務伸び率はGDP伸び率の3倍か10倍に達している。」
以下は銀行系報道です。
http://www.smtb.jp/others/report/economy/52_2.pdf
三井住友信託銀行 調査月報 2016年 8月号
経済の動き ~ 中国を中心に高まる新興国民間債務リスク
要旨
新興国では近年、企業債務を中心に民間債務のGDP比が顕著に上昇している。
特に懸念すべきは中国である。同国の民間債務対GDP比は2015年末時点で210%に達
し、かつ上昇の勢いも増している。その他、アジアの高・中所得国も増勢が著しい。
新興国の企業部門は、2020年末までに2.4兆ドル規模の債務償還に直面する。
その一方で、不良債権拡大懸念などを背景に、銀行部門の貸出態度は厳しさを強めつつあることから、新興国では中期的に企業部門の債務借り換えリスクの上昇が警戒される。」
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/cndb/economics/express_economy/pdf/R422-0055-XF-0105.pdf
– 1 -2016年4月19日みずほ銀行(中国)有限公司中国業務部
2 トピックス~民間債務のGDP比急上昇も、政府債務の低さで対応可能
・民間債務のGDP比は205%に拡大・欧米日に比べて低い政府部門の債務比率」
昨年までのデータしか出て来ませんが、今では280%くらいになっているとどこかで読んだようなウロ覚えの記憶があります。
政府部門比率が低かったのは(経済対策も公害対策も福祉何もしなかった・人件費に使っていただけ?)過去のことで、この比率が急上昇しています。
これが一定限度まで上がるとどうなるかです。
以下はhttp://ecodb.net/country/CN/imf_ggxwd.htmlからのデータです。
000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
22.81 24.38 25.71 26.57 26.17 26.10 25.38 29.04 27.00 34.35
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
33.74 33.64 34.27 37.00 39.92 42.61 46.23 49.31
単位: %
※数値はIMFによる2017年4月時点の推計
上記によると2000年には22%台だったのが、リーマンショック以降急激に上昇し続けて17年予測は49%超になっています。
この勢いはこれからドンドンと加速度がつくしかないでしょう。
4月25日の報道では(朝日新聞報道を引用シテ)今年の1〜3月の3ヶ月間だけで、22年ぶりに中国財政赤字2兆5000億円突破の発表がネットで議論されています。
ところで、財政赤字論はコップの中の嵐・その社会全体で対外債務がどれだけあるかが重要であって、特定部門だけ取り出して赤字か否かの議論は意味がないと書いて来ましたが、対外純債権債務の程度や外貨準備を無視して政府部門だけ黒字維持してもどうにもなりません。
政府対国民2項対立社会しか知らない前提の中国では、IMF・日本財務官僚同様に、政府赤字は怖いが政府さえ黒字なら何でも出来ると思って来たようですが、対外純資産が問題と気が付いたのでしょう。
中国やりくりの限界1
中国の改革解放直後は、新規先端立地工場による大量雇用吸収で毎年のように何十万(〜もしかして何百万?)人と言う人々が、近代都市住民の仲間入りすることで所得が何十倍に上がる好景気で沸き立っていましたので、思想統制や共産党幹部の役得にも大した不満が起きませんでした。
1980年代後半だったと記憶しますが、香港から広州市に向かってバスで通過していたときに貧しい農村・・どろんこ道を草履みたいなもので歩いている人が多かった中)に出現している万元戸を通訳の人が紹介してくれたものです。
こう言う時代には高成長に参加できなかった人も2〜3年先は自分も・・と言う期待があって格差不満が起きません。
アメリカンドリームの中国版です。
ちなみにアメリカンドリームは格差社会を前提として(誰でもが・・と言うわけではなく運が良ければ)後で追いつく可能性を強調することで成り立っています。
こう言う期待・前提があって、長年中国では成長率が10%を割ると政権不安が起きるとか、つい数年前には7%以下はデッドラインとか言われて来ました。
リーマンショック以降高度成長が終わって新常態経済に変わって来ると、新規立地・・投資が減る・・新規に都市労働への参入が減って来ると工場労働者に参入する頭数を増やせない・既参入者の賃金アップしか餌!がなくなって来ます。
アメリカでアメリカンドリームが色あせて来て格差反発・・100万に1つくらいしかないドリームを売ったり国威発揚よりは、(宝くじの場合能力差がなく公平ですが・・アメリカンドリームはベーブルースやプレスリーなどの特殊才能保持者だけのことです)目の前の生活水準引き上げ要求が増えて来たのは当然です。
中国の既参入者も僻地農村から来たばかりのときは近代工場で働くだけでも夢のようであったでしょうが、都市生活に慣れて来ると最低賃金では不満が出て来ます。
この辺は先進国で移民2世にホームグロウン・テロリストが育つのと同じ原理です。
中国はリーマンショック以降成長鈍化の穴埋めに?経済原理を無視して最低賃金(需給に関係ない強制です)を毎年大幅に引き上げていたのでそのトガメが遂に出て来ました。
https://www.attax.co.jp/cbc/news/post-2545/によると以下のとおりです。
2016/03/09 2017/01/19
中国 広東省 今年と来年の最低賃金引き上げを見送り
「最低賃金標準は労務費に影響があり、2010年21.1%、2011年18.6%、2013年19.1%、2014年19.1%、2015年19%と推移してきた。
・これに対して広東省のGDP成長率は、2010年12.4%、2011年8%、2012年10.2%、2013年8.5%、2014年7.8%、2015年8%と推移している。」
GDPアップ率と直截比較するのはおかしいと言えば言えますが、何となく分りよいメージ数字です。
要は生産性アップと関係なく賃上げして行くのは非合理ですから、さすがに賃金が上がり過ぎて国際競争力が下がり過ぎたので、業界が保たなくなって来て最低賃金引き揚げストップの動きになってきたのがこの記事の表題です。
専制権力であっても経済原理に反したことは続かない一例でしょう。
いくらバブルを膨らませてもそれに合わせて紙幣増発すれば矛盾しないと言うことでしょうが、国内だけならばマンション価格が百倍になれば、人件費も全部百倍・紙幣百倍供給すれば一貫しますが、国際取引では為替相場で調整しないと中国製品が高過ぎて成り立ちません。
その帳尻合わせを市場・変動相場制に委ねれば・無理な賃上げ分に比例する(資本・幹部の取り分を減らすなどの修正がありますが原則として)人民元相場下落でしょうが、それをすると多くの新興国では対外債務支払不能リスクが起きる点では中国も同じ・・相場に任せられないので、買い支えたり出血輸出をシテ(黒字を稼ぐ)誤摩化して来ましたが、トランプ政権誕生で対米大幅黒字維持が直撃を食らいそうになって、出血輸出も限界が来たジレンマです。
日本と違って財政赤字が少ない・・余裕があると豪語していましたが、これまで公害対策や福祉政策をしていなかったばかりか不景気景気対策の経験がなかっただけのことです。
韓国の年金赤字が日本より少ないと自慢していたことがありましたが、食えない高齢者を放置シテ自殺するに任せていれば(韓国の高齢者自殺率の高さは世界一でしょうが・・高齢者地獄になっている様子が時々報道されています)年金財政は健全でしょう。
中国は今のところ企業倒産防止に必死になっているだけですが、それでも早くも外貨準備の底が見えて来て財政支出の限界が近づいて来た印象です・・・。
その内諸外国並みとは行かないまでも少しは障碍者や高齢者の医療費や福祉・公害対策などに使わざるを得なくなると・・韓国以上のいわゆる先老未富が到来して地獄絵図になりそうです。
ちなみに中国の高齢社会突入も待ったなしの状態です。
2億人を超える高齢者をどうするか・・もしかしたら、地獄絵図が現実社会に迫って来るのが目前・・大変なことです。
http://www.epochtimes.jp/2017/03/26925.html
「中国国務院が3月6日発表した「老齢事業発展計画」によると、2020年に60歳以上の高齢者は2億5500万人に達し、総人口の約2割を占めると予測した。労働人口が減少し、急速に進む中国の高齢化問題は再び注目されている。
同計画によると、20年60歳以上の高齢者の数は総人口の17.8%(14年末は15.5%)に達し、その内80歳以上の高齢者の数は約2900万人まで増える。また、高齢者の扶養比率(高齢人口に対する労働人口の割合)は28%で、5人で1.4人の高齢者を扶養しなければならないことを意味する。」
中国では低学歴・健康管理能力が低いことから50代で働けない人が多いと言われていますので、国際基準の60〜65歳以上を取り上げるのは実態に合っていない・・現実は既に大変な事態になっています。
70前後まで働きたい人が多い日本場合、バカの一つ覚えのように65歳以上の高齢化率を報道するのは意味がないとこのコラムで書いて来ましたが、中国の場合この逆の実態があります。
苦し紛れの無茶をする限界が迫って来てその内ゾンビ企業への追い貸しが出来なくなって、倒産続出→失業増大→マンションや商品投機資金が続かなくなる時期が来る可能性が取りざたされています。
昨年末から今年に掛けて債権委員会なるものが出来て、国有企業の不良債権処理システムが動き出したようですが、何が出来ようとも焦げ付き債権を棚上げされて払ってくれない事実は同じ・・結局最終貸し手・・金融機関の資産が縮小するしかありません。
どこかで経済原理に反した帳尻合わせが必要・・国民に迎合→結果的に傷を大きくするしかないと言うことでしょう。
今朝の日経新聞朝刊21p「大機小機」にはこの辺のジレンマを「中国経済4つの誤算」として要約した意見が出ています。
政権正統性がない穴埋めとして・・と反中系ネットでは良く言いますが、正当性があっても不景気が続くと政権が持たない点は同じです・・。
人件費上昇政策で御機嫌取りをして来た結果輸出向け製造業衰退が始まったのですが、だからと言って今更賃金を引き下げるわけには行きません
だからと言って今更賃金を引き下げるわけには行きません。
・・上記記事はこれ以上賃金を上げない宣言をするのがやっとと言うことです。
中国購買力持続性5(債務膨張2)
アメリカ大統領候補選挙に関する報道のあり方に話題にズレましたが、格差社会論・・中国債務に戻ります。
5月14日に記載のとおり、社会全体の装置によって統計の意味が違いますからアメリカのフロー収入の統計や社会問題をアメリカの問題として論じるのは意味がありますが、あたかも日本社会の重大問題であるかのような議論をしても国民がしらけるのは当然です。
外国で問題化していることを日本の問題であるかのように安易に置き換えるのではなく、日本特有の問題を自分の目で見て国民に報道すべきです。
今朝の日経新聞17pの大機小機「課題先進国」と言うテーマを見ると、格差拡大やテロで困るようになった欧米基準が正しい前提にして日本が取り組むべき価値観未到達のオンパレードです。
日本は昔から子供や身の回りの小動物・植物・自然環境を大事に育てて来たことその他、あらゆる面で共同体全体の信頼構築型社会・・欧米と違った価値観で成功して来たことが今や世界中で尊敬されるようになって来た原因です。
中韓の場合「人民」はつい最近まで専制支配の対象でしかなかったし、今も同じ価値観で支配していることは誰でも知っているとおりです。
西欧でもフランス革命まで被支配者を人扱いしていなかった点で同じでしたが、日本は古代からそんな社会ではありません。
欧米では、アタマで人権や平等感・動物愛護精神を理解した程度でしかないので、法に触れさえしなければ、移民でも何でも少しでも安く奴隷的労働させて搾取出来る限度まで搾取する前提のやり方(奴隷解放前の黒人奴隷に対するのと同じ基準)が壁にぶつかっている現実・・・格差拡大やテロ頻発が大問題になっているのは、低賃金労働力を取り込みさえすれば良いと言う社会のあり方に基礎があり矛盾激化の原因です・・。
上記大機小機の主張は、この現実を見ないで、子育てなんかどうでも良いから労働力になる人間を生みさえすれば良い、あとは保育所に預けてもっと働かせろ、少子化対策に外国人を入れろなどなど未だに欧米基準に到達するのを目標としていて,日本はこの課題が克服されていないとする主張でしかありません。
中国の豊かさ・・真の購買力に戻りますと、新興国のフロー収入=GDPだけを見ても真の豊かさとは関係がない・・バリバリと稼いでいる若いときの名目収入高を見て豊かさを計れません。
まして借金・第三者からの投資で水ぶくれしている場合にはなおさらです。
若いときには周囲への配慮や将来への思慮が足りない傾向がありますが中国の場合、新興・青年期の行動様式として他国に比べると、環境無視の顕著な姿勢からみて(一事が万事)共同体維持や将来への備え意識の低さが極端な社会であることが明らかです。
何千年単位で圧政を受けて他者を顧みるゆとりや経験がないから仕方がない面もあります。
将来無視の青年期の派手な消費が・・いわゆる爆買いに繋がっていたのですから、高齢化する前でもちょっとでも調子が狂うと直ぐに消費力が激減します。
14日にアメリカでホワイトカラーが失業すると直ぐに路上生活者になる不思議を紹介しましたが、マスコミに誇大報道の傾向があるので割り引いて考える必要があるとしても、アメリカ社会のあり方の一端を表していると思われます。
これまでアメリカと中国の国民気質が良く似ている(環境無関心の程度も似ています)・・だからいつでも直ぐに手を握る傾向があるので、安心出来ないと書いてきましたが、日本とは「人としての生き方」の基本が違っています。
中国の勢いは、たまたま、新興国としてどこにでもある勢いでしかなかったのに、爆買いの基礎となる中国の高収入が一生涯・・永続すると誤解し煽って来た方がおかしいのです。
