西欧の長期的衰退3と中国接近5

ちなみにホンハイの買収資金は日本の銀行が出すと言う報道でした。
シャープに貸していた日本の銀行業界が若干の債権放棄して損を出す代わりに残り何割かをホンハイに借り換えてもらった結果です。
シャープ経営危機騒動をもしも放置すれば、大幅赤字→倒産・・その結果は、金融資本家の大損+解雇・・雇用不安が一般的ですが、実際には能力のある技術者を同業他社が虎視眈々と狙っているので給料分働ける人の雇用不安は起きません。
この段階で給料分働いていなかった労働者が再選別されるだけのことで、社会のスクラップ&ビルド・・活性化に資するから整理淘汰は速やかにした方が良いと言うのが私の持論です。
この辺の理は10/19/02(2002年)「会社更生法と日本経済 1(大手ゼネコン倒産の場合)」10/21/02「会社更生法と日本経済3(金融機関の倒産 2)」01/28/09「公的資金投入と自国産業保護1」に書いたことがあります。
シャープを放っておけば、金融界や資本を出した人は損をしたでしょうが、有能な技術者は遠慮なく他社に移籍出来るので、まとまった技術流出がほとんどなかったことになりますので国益としてどちらが良かったかの吟味が必要です。
(相手が友好「国」?である台湾なので国民は問題視していませんが、これが韓国・中国企業が買収に名乗りを上げていたらどう言う反応になっていたかを考えれば・金融資本救済と技術流出のどちらを選択すべきだったかの本質が分ります・・ホンハイはダミーで裏に中国企業がいるのでないかの憶測もあります)
ただし、シャープ買収が決まると日立などで早速7000人とかの大量募集を始めたので、シャープから優秀な技術者の流出が予定されますので、ホンハイは他所に逃げられないクズだけを確保する結果(ただし設備.研究のやり方などシステムをセットで入手出来るメリットは大きいでしょう)になり兼ねません。
ロンドン金融界も原発受注に対して中国企業には融資出来るが、自国企業には融資出来ないと言うことでしょうから同じ構図です。
中国は外貨準備枯渇進行(手元不如意)にも拘らず、世界中での企業買収やイギリスでの原発工事など猛烈な攻勢をかけていますが、買収資金は市場原理に合う限り国際金融市場等で調達出来るので(ユダヤ系を中心とする金融界は国益よりも取引拡大は大歓迎ですし)外貨準備が流出する訳ではない・・懐具合に影響がありません。
政治力発揮のための不採算工事受注=工事代金全額を中国政府が貸し付けたり長期採算保証する場合、国内で不採算鉄道などを無茶に施工してきたのと同じ発想です。
受注金額が相場よりバカ安くても・・新幹線の損失が出ても全部中国が負担する契約、中国が貸す金・・回収不能を見越した援助の場合・貸す額面が減るだけで実質お金の動きが変わりません・・赤字受注企業には別の補助金で補填すれば同じですから鉄鋼製品ダンピング輸出と同じ原理でやっているのですから日本がインフラ輸出競争では勝てません。
ただし赤字受注・・インドネシア,中米・アフリカ等での政治目的の無理な赤字受注は、元々市場で資金調達を予定していない→中国の自己資金を予定しますので国外の場合紙幣をすればいいのではなく、外貨準備の制約があり、外貨準備枯渇進行で自己資金をこれ以上出せなくなっていろんなところで中断しています。
自己資金で政治目的の無茶な受注が出来なくなったので、他人の金利用なのに自己資金による政治思惑投資と同じ影響力維持を狙って・・都合が良過ぎます・・始めたのがAIIB設立です。
自己資金でない以上は、誰が出すの?市場の信認がないと誰も出資しませんので、結局ポシャったままですが・・。
成長途上の先端企業買収の場合、世界市場で資金調達できるので世界先端企業を買収して先端技術がただ(他人の金で)で手に入ります。
どんなに巨額買収資金を掛けてもどうせ他国の金ですから、・・自国外貨準備が損なわれる心配がないし、技術さえ入手してしまえばその後その企業をデフォルトさせても入手した技術を返したり差押さえられる心配がないので中国に取っては技術の取り得です。
ここまではどこが最後に損しようとも金融業者にとっては仕事が増えてうれしいばかりですが、こう言うのって国益・民族益に合っているかの疑問が起きて来たのが最近世界のうねりです。
西欧で民族主義的主張が増えて来たのは、あまりにも最近のグローバル化の動き・・裏で動いている金融資本家の動きによって民族利益が損なわれ過ぎていないかの疑問が基礎ですし、アメリカ大統領選のトランプ旋風や・反ウオール街気分の盛り上がり→パナマ文書公開などグローバル資本の動きに対する反発の原因です。
いずれにせよ中期的に見れば、バブル崩壊を先送りするためにゾンビ企業の債務を無制約に拡大し、債権者を世界に広げて移し替えて行く(AIIBはその嚆矢です)中国の動きはその内行き詰まるでしょうから、誰が中国負債を引き受けて最後のババを引くかの関心になります。

西欧の長期的衰退2と中国接近4

EUを作り域内への日米企業の浸透を防いでも競争力が低下するばかり・・この後でアメリカ国内のクルマ販売シェアーを紹介しますが、西欧系はまとめて10%あるかないかまで縮小しています。
マスコミはプラザ合意直前の経済比を前提に未だに「日米欧」と表現していますが、EU全体で経済比率(19〜20世紀は粗鉱生産量や造船力でしたが今はクルマが指標指数でしょう)は1割しかなくなっています。
プラザ合意前には日本と欧州全体の生産力が拮抗していたので、日米欧の呼称が妥当でしたが、今や日米欧経済の1割に下がってしまった経済体が・・IMFその他主要国際システム・・伊勢志摩サミットで言えば首脳9人中6人を占めているのが象徴的ですが、実態とあまりにも乖離し過ぎています。
中国はこの乖離を利用して欧州諸国を各個懐柔して国際舞台で有利な地位を占めるべく努力しある程度(AIMFで日米の反対を押しきって昨秋SDR採用決定を勝ち取りました)成功していることになります。
西側諸国の主要決定会議はホンライ日米欧3者会談で良い筈ですが、何故6人も出て来るか?
欧州が実態以上に力があるかのようにみえますが、実際には、一人で出席してEU全体を代表する能力がない・首脳一人にまとめる能力がないから議長やら何やらぞろぞろ出て来る必要があるに過ぎない・・まとめる力さえないことの現れです。
日本では言えば沖縄知事が(勝手に?)アメリカに行って訴えたりしていますが、2人も代表を送れるほど国力があると言うよりは日本世論が統一出来ていない弱体化の表現になるのと同じです。
この後で書きますが日本の台頭・追い越しに焦った米欧結託による日本潰し・・プラザ合意による超円高誘導と日本の足を引っ張るための中韓優遇政策+輸入障壁構築→EU成立になったものですが、実力低下が進んでいる以上は、これを補修しないとこのような「画策」だけで防げるのでありません。
冒頭にクルマのシェアー低下で書いたように西欧全体の競争力低下が進むと・・旧植民地やアメリカへの輸出前提の19〜20世紀型企業規模・組織に無理が出る→規模縮小・施設廃棄・人員削減しないと赤字操業→資金不足の結果が現れます。
この解決のために先端技術を受け入れるのが(明治維新の日本のように)合理的ですが、沽券に関わる?とばかりに飽くまで拒み続けた挙げ句に、中国やインド、タイなど後進国からの資本受入れで凌いで来た様子が昨日紹介したネット記事からカイマ見えます。
資本不足は衰退・赤字継続の結果であって原因ではありません。
雇用や設備を守るために後進国から資本を受入れて日本との競争で負けている劣った技術・設備を維持していても、競争力が回復出来ず赤字が累積する一方になります。
後進国(比喩的に言えば技術5流)から見れば日本に負けていても(技術2〜3流の)西欧の技術はなお格段に優れているから、その技術入手のために資金投入するメリットがあり、当然虎の子の技術者に逃げられたら困るので解雇や設備廃棄どころではない・・大事にされる・・雇用が維持され遅れた機械を廃棄しないで済むのでお互いにウインウインの関係で一見合理的です。
しかし、後進国に買収してもらうのでは、競争に負けている赤字の原因を解決(最新技術導入)出来ず結果的に技術が流出し劣化して行きます。
ただ中国、インド資本等新興国企業の強みは低賃金ですから、買収資本の事業モデルを取り入れれた西欧ではこの数十年低賃金移民導入策が唯一の競争力維持政策になっていたように見えます。
シャープ買収もホンハイはシャープの技術入手目的で資本を出すのですから、買収後シャープの技術は劣化することはあってもアップすることはない・・4〜5〜8年もすれば、もっと状況が悪くなってタタ製鐵によって7〜8年前に買収されたイギリス製鉄所再売却同様の結果になるでしょう・・。
雇用を守ると言う意味は、技術者を一人一人引き抜かないでまとめて抱え込む意味・・まとめて技術流出と資金投入の引き換え取引を前提にしています。
今回中国によるイギリスの原発受注も同じで、中国はイギリスの原発製作技術が欲しくて資金を出すのであって中国が進んだ技術を提供する目的ではあり得ませんから、イギリス人技術者が中国企業の原発製造に関わっても何か学べることはありません。
資金援助を餌に受注した中国の方が一緒に仕事をすることによって技術修得するチャンスを得る目的ですから、研修生引き受け料を出してもらうような関係です。
イギリス原発製造技術に国際競争力がないならば、競争力のある上位企業・・日立や東芝・ウエスチングハウスなどに発注すれば下請けに入る現地従業員のレベルが上がり国際競争について行けますが、きちんと代金を払えないので、安値受注する中国になびくしかなかったのです。
資金援助を餌に受注した中国の方が一緒に仕事をすることによって技術修得するチャンスを得る目的ですから、研修生引き受け料を出すつもりでその分安く受注してもペイする関係ですから当然先進国よりも安く受注出来ます。
安く発注すれば、その代わり技術流出するばかりで学ぶものがなくレベルが下がる一方の関係ですから、トータルでイギリスが安く発注出来たか(安物買いの銭失いになるか)分りません。
EUの経営不振企業が後進国から資本注入してきたやり方は、「安物買いの銭失い」の傾向があるように見えます。
明治維新で日本は安く仕入れて競争せずに逆に西洋から高級技術を高く購入して競争力強化に努めたことと比較しても良いでしょう。

西欧の長期的衰退1と中国接近3

EU離脱に関するマスコミ論評を見るとイギリスが西欧の金融センターとしての機能を失うマイナス中心報道が多いのですが、イギリスが金融に生き残りをかけても、金融では多くの国民を養えませんので、(マスコミ支配しているユダヤ系には関心があるでしょうが・・)EU離脱で雇用に直結する製造業がどうなるかの方が、国民の関心事でしょう。
南欧の競争力のなさ・・貿易赤字ばかりにマスコミの焦点が当たっていますが、EUの大国である英国もフランスも各種の製造業の衰退化現象は大変な状態です。
日本で言えば新日鉄のようなイギリスの象徴的製鉄会社コーラスをインドのタタ製鉄が2007年買収していたのですが、赤字が拡大するばかりで維持出来なくなって売却に入っているが買い手がつかずに困っている状態が大分前に日経新聞に報道されていました。
・・企業城下町にとっては大変な事態です。
大分前なのでいつ読んだかはっきりしませんし引用出来ませんが、ネット検索すると以下の記事が見つかりました。
象徴的産業であるクルマ製造や製鉄の場合大きな新聞記事になりますが、細かな産業の動きは出ません。
以下を見ると西欧諸国では大手基幹産業だけではなく関連産業が徐々に衰退している・・しょっ中後進国から資本を入れて生きながらえて来たことが分ります。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/eu-17.php
インドの鉄鋼大手タタ・スティールがイギリスからの全面撤退を検討していることが明らかになり、衝撃が広がっている。何千人もの従業員の解雇が予想され、イギリスの鉄鋼業界全体が大打撃を受けかねない。
ポート・タルボットの再建断念は、ロザラム、コービー、ショットンなどイギリス各地にあるタタのプラントにも影響を及ぼすだろう。タタが全面撤退すれば、 ざっと1万5000人分の雇用が失われ、工場のあった町の景気も冷え込みかねない。昨秋にはタイの鉄鋼大手サハウィリアがイギリス北東部ティーズサイドの プラントを閉鎖、2200人分の雇用が失われたばかりだ。
フランス製造業の動向はあまり報道されませんが、昨年ルノーの危機?雇用を守るための政府出資に絡んで日産の投資計画にも政府が介入出来るのか?と日本でも大騒ぎになったので記憶している方が多いでしょう・・私もその一人でしたので、「いつだったかな?」と検索してみました。
(元々ルノー危機・・工場閉鎖の動き・雇用を守るために政府資金投入になったと記憶していますが・・今になるとおぼろげな記憶でしかありません)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9581
2015.05.04
フランス政府の持つ、仏自動車大手ルノーの議決権が2倍になった。これにより、ルノーへの仏政府の関与が強化される可能性が高まった。2日付各紙が報じた。
フランスは昨年、「2年以上保有する株主の議決権を2倍にする」法案を通し、株主が拒否しない限り、原則適用されることに決まった。今回、ルノーCEOのカルロス・ゴーン氏は同法に反対する動きを取ったが、仏政府が株を買い増しし、その動きを阻止した。
仏政府はこの議決権を利用して、ルノーがフランスでリストラを行いにくくなるよう、圧力をかけると見られている。
きっかけは、インド企業が買収したフランスの鉄鋼所を2012年に操業停止した際、失業者が仏政府に対策を講じるよう訴えたことだった。
フランスでは2009年から2013年に、1000人以上の従業員を擁する事業所が700カ所以上閉鎖され、新しく作られる事業所の数を越えた。プジョー と中国企業の提携や、ボルドーの葡萄園の購入など、フランスへの中国資本の流入も急激に増える中で、仏政府の警戒心は当然のものとも言える。」

上記のように、西欧は南欧諸国に限らず(ドイツを除けば)どこもいろんな製造業の長期衰退に直面していて雇用を守るのに四苦八苦の状態です。
タマタマ世界企業ルノー関連・・(ルノーが大株主なので)日産の経営にフランス政府の口出しあるのか?と言う点で影響があるから日本に知られるようになっただけです。
ルノー騒ぎがなければこんな細かいニュースは日本に来なかったでしょう。
上記を見るとインドやタイ中国などの西欧への資本進出が盛んなのに驚きます。
元々Euは市場共通化目的=域外との差別=競争から守るために発展したもので、主目的が当時勃興して来た日本からの防衛・ブロック化政策でした。
これが影響していると思われます。

西欧の中国接近(貧すれば鈍する)2

西欧はリーマンショックによるダメージが半端でなかったのは、製造大国の地位を先ずアメリカに追われ、続いて日本に追われていて久しい・・この阻止目的・欧米一致のルール変更がプラザ合意による為替相場の大幅変更・・その後絶えざる円高基調を演出し続けましたが、日本企業の米国を含む海外進出加速によって米欧企業の競争力が空洞化するばかりだったことによります。
製造業を維持出来なくなってから欧米は金融に頼る終末的経済に堕していた結果・・借り手の需要より貸し手の都合で行き着くところ・・返済能力無視のサブプライムローンを作り出す・・咎めが出たのがリーマンショックです。
純債権額で世界一の日本がリーマンショックで最も傷が浅かったのは、サブプライムのようなリスキーな債権に手を出さない堅実運用(金融で儲けようとする姿勢が希薄・円で持っていられないから仕方なしにアメリカ財務省証券を買っていた程度・・製造・働いて稼ぐ精神)に徹していたからです。
リーマンショックに先行する公社債危機のときから中国が最大債権保持者と騒いでいましたが、裸官に象徴されるようにリスキーな債権に投資する傾向があるからです。
中国の場合,自国企業への補助のつもりで(補助金による鉄鋼製品輸出がサミッと首脳宣言で批判されていますが・同じです)採算性無視で(全額中国負担のインドネシア新幹線受注もこの一種です)各種工事受注してきましたが、これら大多数が元々経済合理性無視の受注=対外債権なので不良債権化している筈です。
韓国も無理なインフラ受注して行き詰まっている例・・債権としてみれば不良債権・・が知られています。
これらを外貨準備に加えている(何を加えるか国によって違います・・国債に準ずる債権中心)と真水はどうなの?と言う疑問が起きるのは当然です。
仮に真水の債権でも、金利の高い新興国国債などで運用しているとリスクが高まりますが、中韓ではこの比率が高いと言われています。
これ以上回収不能の資金を出せない・・ない袖は振れないから最近の海外受注工事(インドネシアの新幹線未着工や中米のパナマ運河に代わる各種工事の中断、ベネゼエラ鉄道工事等々)の着手見送り・中断が相次いでいる・・札ビラ(政府補助金)で維持して来た世界の中国離れがじわりと増えて来た原因になっています。
国や企業のライフステージとして金融に頼るようになるのは、人生に喩えると老年期の(年金や貯蓄に頼る)生き方であり将来性がないと書いてきました。
アメリカの反ウオール街世論の蔓延に後押しされたか?アングラマネー批判が高まった結果、パナマ文書暴露に見られるように裏金融に頼っている(中国の裸官やユダヤ系を中心にした)グループに対する世界的締め付けが始まっています。
中国としては資金不足の結果、資金提供による影響力を維持出来なくなって来たので、今後は借金王・・債権発行場所としてロンドンを利用する・・ユダヤ系の大口利用者・顧客としての影響力を行使しようとしている?かのように見えます。
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N0WR4GU20150325によれば、
[ロンドン 25日 ロイター] – 中国第2位の銀行、中国建設銀行(CCB) の上場投資信託(ETF)が25日、英ロンドン証券取引所に上場した。欧州初の人民元建てマネー・マーケット・ファンド(MMF)で、投資家にとっては、中国の銀行間市場への直接投資が可能になる。
英国は昨年、西側諸国としては初めて人民元建ての国債を発行。今月には中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を主要7カ国(G7)内で率先して表明するなど、金融における中国との関係強化を着実に進めている。」
28日頃には、ロンドン市場で中国が初めて国外向けに中国国債発行したと報じられていました。
以下は今回の伊勢志摩サミットに参加出来ない中国が英国の中国非難同調を牽制するためにマトモニぶっつけたと思われる報道です。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016052700080&g=int
【ロンドン時事】英財務省は26日、人民元建ての中国国債、総額30億元(約500億円)がロンドンで起債されたと発表した。中国国外で元建ての同国国債 が発行されるのは初めてという。元の国際化を進める中国と、世界の金融センターを自負し、中国との経済関係強化に力を入れる英国の利害が一致した。 (2016/05/27-05:53)
中国のデフォルトが近いとした場合、どこがババを引くかの関心で5月19日「中国購買力低下1(対中依存度1)」以下このシリーズを書いていますが、いよいよ中国は国内債務を海外に付け替える動きに出て来ました。
ただ今日のコラムでは、誰が買うかの関心ではなくイギリスに唯一残った国際競争力ある分野・・金融市場商売として人民元取引の取り込み(取扱業者の地位獲得)に必死になっている1事例として書いています。

IMF・西欧の中国接近(貧すれば鈍する)1

5月20日に紹介したようにフォルクスワーゲンが、この半年あまりの販売増に気を良くして?増産投資に走るのはどう言う理解でしょうか?
経済失速する前にシエアー拡大しておきたいのかも知れませんが、失速が見えているならば規模拡大をセーブして体力を温存しておく方が合理的です。
例えば出店拡大→有能セールスマンや料理人を散らばせて各店舗の能力を手薄にしてからの業界規模縮小になるよりは店舗数を減らして精鋭で固めておけば不況耐性が高まります。
中国の不況対策・国内投資政策への協力を求められて(当然相応の見返りが約束されているでしょうが・・)断れないだけも知れません。
無駄な投資をしてしまうと市場原理では維持出来ないので政府のご機嫌次第になる・・言うことを聞くしかなくなるようにするのが中国の狙いでしょう。
中国のこけ脅しに眩惑されて内部では早くも衰退が始まっていたのに気付くのが遅かったのは、西欧諸国は地理的に遠いせいと言う印象をマスコミが報道してきたのでそのまま自分の意見のように思っている人が多いでしょうが、実際は違うでしょう。
利害関係が少ない結果、フリージャーナリストなどの個別調査報道が少なくなるの必然ですが、日本人の私でも中国へ最近行っていないし身近に行った人もいません・・、中国の衰退予測は統計情報とこの信頼性に関する情報の総合判断によるのが普通です。
情報量では西洋も日本も大差ない筈・・IMF理事も英国の財務相も皆同じ・・情報分析によるとすれば、素人の私よりプロには早く正確な実態情報がはいっている筈です。
まして、中国発の資源購入激減による資源価格暴落が始まって長期間経過しているにも拘らず、中国の無礼を許し大歓迎する意図・・僅か数ヶ月後に外貨準備急減が常識化するまで情報のプロが知らなかったとは言えません・・敢えて知らないフリをして歓迎したい西欧諸国の裏事情があったと言うべきでしょう。
中国得意の裏からの個人攻勢・・ハニートラップ等が幅広く汚染していたと言う勘ぐりも現実味がありますが、リーマンショック以降ジリ貧傾向が顕著な西欧にとっては中国を当て馬にして対日米交渉力アップに賭けているし、中国もアジアでの横暴批判されて孤立している点で同じ思惑・・相互利用関係になっていると見るべきでしょう。
そのうえ西欧にとっては、中国によるアジアでの領海侵犯や横暴行為には何の利害もない気楽さがあって中国の嫌がることの仲間入りしたくない姿勢になっているように見えます。
香港での民主制を中国本土並みに抑圧しようとする中国政府の介入に対する市民の抗議行動・・雨傘運動だったか?の高まり・・従来ならば西欧諸国が重大な関心を抱くテーマでしたが、だんまりのままでした。
その後香港の書店主や中国批判して来た人が香港や出先のタイなどで行方不明になり、大騒ぎになってからいきなり中国国内で現れて自分の意志で行っていたと発表する奇怪な事件が相次ぎましたが、日本の人権団体は元々中国の人権侵害には関心がありませんが、西欧の人権団体も何の反応もありません。
結果的に香港の人権運動は収束?本土の支配強化の浸透で終わった状態です。
中国本土の直接的支配になって来ると本来は英国との1国2制度を保障した返還協定違反ですが、この騒ぎのときに当事国である英国は何らの意思表示も出来ませんでした。
西欧諸国の中国への接近・遠慮は露骨ですが、この辺はウクライナ問題で孤立しているロシアが中国を頼りにするしかなく、接近しているのと同様の事情でしょう。
ロシアは中国の軍事パレードに参加しましたが、西欧諸国はそこまでは接近出来ない・一線を越えられない違いが出た・・まだ日米勢力に留まるが交渉力を補強するための中国カード利用程度と言う意思表示です。
この意味では軍事パレードに出席までしたパク大統領の突出ぶりは異様・・国際政治の機微が分っていないか、余程中国に(反日暴動で日本を閉め出したようにパレード参加しないと韓国企業を中国から閉め出すことなど簡単だと)脅かされていたかのどちらかでしょう。
従来人権侵害等のカドで、世界で孤立した北朝鮮やベトナム、ミャンマー、キューバ、アフリカの独裁・大量虐殺国家等孤立化した国のみが中国とよしみを通じていたのですが、韓国は孤立していないのに自分から日米の制止を振り切って中国陣営に積極的に参加して行ったのは、反日の後を埋めて進出した結果対中貿易比率25%・貿易黒字が628億ドルにも達していた・中国の優遇によって搦め捕れてしまった・・市場追い出しの強迫に負けたからとしか言いようがありません。
強迫に負けて日米への義理に反してでも、恥も外聞もなしに中国べったりになっていたものの結果的に対中貿易黒字が12%もの激減になってしまった韓国が急拠アメリカのマースの配備を認めるなど米国陣営回帰を決め,日韓合意を成立させました。
中国は自国企業と競合するようになった韓国企業優遇を続ける余裕がなくなったからです。
この辺はアジア・アフリカ諸国その他に対する援助約束の実行資金枯渇に比例して中国離れが起きているのと根が共通です。

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