資金枯渇4(流民・資金逃避と移民願望)

中国からの長短期の資金流出が始まる・・デフォルトリスクに関しては、見かけの外貨準備高よりは、債権債務の中身の分析こそが重要になってきます。
対外純債権債務の資産表は(長期資本もあまりにも内容が悪いとパナソニックやシチズンのように損切りしてでも逃げ出すので)長期的指標としての意味を無視出来ませんが、目先重要なのはいわゆるホットマネーや借入金等の短期資金の比率です。
日韓スワップ協定破棄に関連して韓国の外貨準備がアジア危機のときよりも大きいと言っても、外貨準備の内容を・・対応する負債との兼ね合いで見ないと意味がないと書いてきましたが、中国の場合も同じです。
資本自由化・外資導入が進む時代は、借金でも何でも外資さえ入れれば、いくらでも名目上の外貨準備が増えますので、プラス面の指標だけ見ても意味がありません。
緊急時に重要なのはいわゆるホットマネーですが、ホットマネーのように即時性がないとしても対外借入金の大きさは、期限に必ず返済しなければならない点では、デフォルト危険性指標としては大きな(死活的)意味があります。
韓国民も自国に見切りを付けている点は同じですが、資金逃避よりは、国外移住願望が高まっていることが知られています。
韓国の場合貿易黒字なのに(と言うよりは、国民犠牲による黒字演出の場合はこれに比例して)、国民の消費系債務や自殺増加、売春婦海外進出が増える一方ですから、言い換えれば、海外に資金を持ち出せる資金を持っている人が少な過ぎる違いでしょうか。
中国は経済危機状態になってからの期間が短いので、バブル期に儲けた人がまだ資金を持っている比率が高いことと、目先の利く人・・異民族支配に慣れていて時代動向を読むのにしたたかな人が多い違いでしょうか。
韓国の場合、アジア危機以降既に20年近くも国民犠牲・収奪オンリー経済構造で来たので、この間に国民の多くがすっからかんになってしまっている様子です。
20年近くも収奪されっぱなしで来た国民の弱さは、李氏朝鮮時代の庶民の弱さそのものを彷彿させます。
中国も韓国も歴史は繰り返されるものですから、それぞれに対する歴史認識が重要です。
中国王朝末期の流民化は同じ国内移動で簡単でしたが、今は国外逃亡するには言葉の壁もあって簡単ではないし、昔は農民でしたし歩く範囲ですから気候風土も大して変わらなかったでしょうから、避難した先で同じ仕事が出来ましたが、今では外国へ逃げても仕事は見つかりません。
韓国の場合、自分は年齢で勉強不能でも子供にはいつでも逃げられるように・・移民準備のために英語学習熱が盛んなのはこのせいです。
中国の場合、さしあたり裸官同様に資金から逃がし始めるのが(大した勉強・準備もいらないし)簡便ですから、資金逃避が国民意識を早く反映する・・中国政府発表を忠実に報道する日本のマスメデイア報道よりももっと深刻な国内意識を表していると見るべきでしょう。
外資のホットマネー(大口資金・・ゲンキン移動ではなく金融機関経由なので規制が簡単ですが・・)の移動を規制しても、国民の小口現金持ち出し・・国外資金逃避を防げません。
日本からの対中新規投資が激減していることを大分前から書いてきましたが、パナソニックのように進出済み企業でも大損してでも中国撤退を決める企業まで出て来ました。
これも古代からの命がけ流民化の現在企業版です。
6月2日の日経新聞朝刊2pには、「逃げるしかない」と言う大見出しでシチズンその他の企業が中国南方の工場地帯から、大損して撤退している状況が大きく出ています。
良く言われているように中国では撤退しょうとすると日本人が拘束されるので撤退が容易でないと言われていましたが、今では何十億投資した工場設備1式を僅か1万円前後で撤退屋と言うヤクザまがいの組織に売り払って、一切を任せて逃げて来る実態が書かれています。
「命が欲しければ裸で出て行け」(「命が惜しければ身ぐる脱いで・・」江戸時代のもの語りに出て来る追い剝ぎ同様の中国商法です・・)と言えば、資金の海外流出を防げるでしょうが、これでは次の投資をする企業が減るのは当然です。
続けて6月3日の朝刊2pに今度は大連の状況が出ています。
「逃げたいなら逃げろその代わり逃げたら、2度と中国に進出させないから」と言う中国人の脅し文句(新聞社の創作かも知れませんが・・そう言う雰囲気を伝えたいのでしょう)が掲載されています。
脅しが次の投資意欲引っ込ませている関連を理解出来ないようです。
古代の流民も一旦逃げた以上は、元の農地に戻れない・・命がけ・・破れかぶれになって命知らずの王朝打倒勢力に成長していったのは当然です。
日経新聞も最近中国賛美報道ばかりではなく、マイナス情報も書くようになったことを5月中旬以降このコラムで紹介していますが、今のところAIIBのような政治テーマは中国政府の意に沿うような形で、その他経済実態は政府発表と矛盾していてもある程度そのまま報道するなど、マダラ模様になってきました。
ただし、中国からの企業撤退は大変なことになっていると言う連続報道の意図するところは、撤退を考える企業が増えて来たので、「撤退しようと考えているならば、大変なことになるぞ!」と見せしめ的に脅し・宣伝をかけてくれと言う要望に従っているだけかも知れません。
・・元々報道は一定方向へ選別して一貫した誘導報道をする方が不正であって、多様な矛盾した状況をそのまま報道し、読者や視聴者がその中から自分のまとまった考えを導けば良いことです。
私も今のところ、「中国は今大変なことになっているのではないか!」と言う関心で連載していますので、このシリーズ中はその情報ばかり書いていますが、だから将来にわたって中国は全面的に駄目になるとまで思って書いているのではありません・・中国人にも立派な人もいるし、生活習慣や意識にも良い面が一杯あるだろうとは思っています。
それはそれでまた別のシリーズのときに書けば良いと思っていますので、誤解ないようにお願いします。
人にはいろんな考えが混在していて良いのではないでしょうか?
勿論優れた意見を聞いて考えが変わることもあり、(そうでなければ、進歩がありませんので)何ら恥ずかしいことではありません。

中国過大投資の調整9(資金枯渇3)

借入金だけで総額29兆ドルもあると、仮に5年もの国債ばかりでも、年平均6兆ドルの満期・返済期限が回ってきます。
しかもこれが過去の負債全部ではなく、07年以降増えた分だけと言うのですから、それ以前の負債全部になるとどうなっているの?払える訳がない巨額じゃないの?と疑問を持つのが普通でしょう。
07年以降増えた分だけでも支払期限が来るのが年平均6兆ドル=720兆円となり、天文学的数字ですから、(中国の・水増し?公称GDPでも2014年で約10兆ドルしかありませんし、我が国の14年GDPは、約4兆ドルあまり)GDP以上の数字を毎年払えない・・購入者がいないので借換債を発行出来る訳がない・・と推測出来ます。
統計数字は円(ドル)単位と千単位の2種類が多いのですが・・勝又氏の引用記事は単位「千」(ドル)かどうかの読み間違い・・3桁間違っている可能性があります。
数桁間違っているにしても、兎も角中国は対外借入債務を大幅に増やしていること・・これを関係のないドイツ財務相がよその国(アメリカ)で公式懸念発言していることが重要です。
数字の単位正確性を別として、国際金融界では中国のデフォルトリスク(借り換え困難懸念)が極秘で懸念・共有され始めているのをうっかり発言してしまったのではないでしょうか?
中国がデフォルトまたはデフォルト寸前になれば、国際経済に与える悪影響の大きさはギリシャやブラジルの経済危機の比ではありません。
中国のアメリカ財務省証券保有額減少が、アメリカ政府によって発表されて・・中国政府が外貨準備の取り崩しに走っていることをMay 4, 2015「覇道と日本の補完性1」で紹介してきましたが、独財務相発言とあわせて見ると中国の資金繰りが厳しくなっていることが明らかに見て取れます。
日米の国債は、ほぼゼロ金利ですから、市場調達の高利資金でゼロ金利のアメリカ国債を見栄で持ち続ける余力がなくなって来た・・逆ざや債券の保有を続ける体力がなくなったので減少に転じたのではないでしょうか?
元々高金利でしか経済が持たない中国が、日米等先進国の低金利国債を外貨で持つのは逆ざやで大変な損失が生じていることをApril 12, 2012「基軸通貨とは3(逆ざや)」に書きました。
このために中韓等高金利国(経済内容が弱くて金利を下げられない国)では、自国以上の高金利国の外貨を持つ誘惑が高まり・・ひいてはハイリスク・ハイリターンのジャンク債中心保有になる傾向が高いので、リーマンショック以降あるいは今回のロシア・ブラジル・インドネシア等新興・資源国の通貨下落が始まると外貨準備の劣化・・大損が生じている可能性が大です。
最近のギリシャ危機では、国民が自国金融機関を信用出来なくなって、預金払い戻しに走る結果、国内金融機関の資金が枯渇して更に金融危機が強まっている矛盾が報道されています。
ウクライナ危機後のロシアのルーブル急落も、国内からの(国民のルーブル信認喪失による)資金流出が大方の原因と言われているのと同じ現象です。
中国では、裸官と言う高官の国外資金逃避が従来から大々的に報道されていましたが、これは実は目くらまし報道であって、本当はちょっとした資金保有者による国外逃避のうねり・・これが深刻な状態になっている様子です。
経済実態・デフォルト危険感を身近に感じている庶民を虚偽統計発表では誤摩化せませんし、国際機関が極秘検討しているだけでは済まなくなってきます。
限られた大金持ちの資金逃避は規制が容易ですが、庶民大衆による資金の国外逃避が始まると庶民の場合は額は小さくとも大量なので総額では巨額になりますし、ザルから漏れる水のようでそれを防ぐ方法がありません。
国外向け景気の良い虚偽発表をし、海外マスコミを買収して世界を誤摩化していても、足下から資金が漏れ出るようになると、政府はどうにもなりません。
中国では古代から歴代王朝末期にいつも生じていた農民流民化の始まり・王朝崩壊が、最近では資金の国外逃避(特に容易な香港市場への参入)と言う形式で始まっている様子が報じられています。
王朝末期の流民化は同じ国内移動だったので難民化→流民化で自動的な関係でしたが、今は国外逃亡するには言葉の壁もあって簡単ではないので、さしあたり資金から逃げ始める時代・・国民意識を早く反映する・・中国政府発表を忠実に報道する日本のマスメデイア報道よりももっと深刻な自国不信を表していると見るべきでしょう。

中国過大投資の調整8(資金枯渇2)

長期資本収支・・例えば、トヨタ等の進出資金・・工場用地購入資金等がドルで入って来てこれが現地通貨・人民元に両替して購入することによって中国の外貨準備が増えている場合には、トヨタが現地工場を叩き売りして日本に資金を持ち帰るときにドルに両替するだけなので、滅多にドル資金を払い戻す事態が起きません。
余程の喧嘩でもしない限り永久に貰ったような気持ちで良いので、対外純資産がプラスかマイナスかは短期的には大した意味がありません。
中国としては、進出企業がある程度儲けている限り、損切りして撤退しないので、一旦捕まえた魚みたいなもので、無理難題が可能と言う意識のようです。
しかし毎年のようにあらたな進出が必要な社会構造となれば、一旦進出した企業に無理難題を要求しているとこれを見ている次の進出予定企業が進出に二の足を踏むようになります。
借金も借りてしまえば、借りた方が強いのですが、次々と借り換えなければならないとなれば、期限に払わなかったりごねて引き延ばしたりすると次に貸して貰えなくなります。
パナソニックの技術移転があらかた終わったので、今後用がないとばかりに暴動を仕掛けたのでしょうが、他の日本企業がそのやり方を注視していることに気が付かなかったのでしょうか?
長期関係も大事にしないと信用がなくなりますが、反日暴動後の日本からの投資急減によって、信用の重要さを中国は漸く学んだところでしょうか。
「韜光養晦」戦術も同じで、あまりにも目先利益重視・・ちょっと自分が強くなればすぐに威張り散らしても良いと言う思想であまりにも幼稚でゲンキン過ぎます。
孫氏の兵法を直ぐに持ち出して有り難がる傾向がありますが、孫氏の兵法の極意は、数時間後とか数日間後などの短期の時間軸を利用して相手を騙して有利な戦法に持ち込む戦略に過ぎません。
韓国では戦った後に和解したフリをして相手を安心させてイキナリ背後から切り掛かるようなことが賞讃されている社会・・これが日韓条約を結んでお金を受け取った後に慰安婦や徴用工問題を蒸し返して羞じない基礎・道徳心理の根拠)ですが、中国の「韜光養晦」戦術とは、時間軸を数日後の開き直りから、その期間を数年とか十数年にちょっと長くしただけで、韓国の卑怯なやり方と本質が変わりません。
レアアース問題も極端な安値販売で中国のレアアース製品が世界市場を席巻した後にイキナリ禁輸して・何十倍に値上げしたものすから、「韜光養晦」の応用編・・だまし仕打ちです。
人類何千年の英知の結晶として積み重ねて来た国際ルール(結局は信義を守りましょうと言う精神)を、中国が無視し破壊する行為に付いては、(親中派文化人は、欧米秩序に対する新興勢力の挑戦であるとして賞讃頻りですが)数日後に書いて行きます。
対外債権債務の話題に戻ります。
対外純債権債務のバランスが仮に同じであっても、あるいは純債権国であっても流入資金の多くが借りた資金の場合は期限があるので、マトモニ返さねばならない点が大違いである点をここでは、書いています。
比喩的に言えば、対外債務が10兆円で対外債権が15兆円あっても、対外債権がいつ返してくれるか分らない・・貧困国援助資金(言わば不良債権中心)や資源開発等の長期資金投資で対外債務がアメリカ等から借りた資金の場合で考えれば、借入金返済資金手当が出来ませんので、黒字倒産の危機に見舞われます。
貿易決済のように同時にアフリカ等への援助資金の大多数が返済されれば良いですが、後進国援助や不景気対策の国内投融資資金等・・本来倒産予定企業救済資金ですからこの種の返済約束は長期でしかも焦げ付き易い・・市場調達による借入金返済期限や金利とかみ合いません。
ですから対外純資産のバランスが合うかの問題ではなく、中国の資金枯渇リスクの可能性に付いて必要なことは対外債権債務の中身です。
中国が2007年以降29兆ドルもの巨額対外債務・・借入金(期限付き)を増やしたと言う勝又氏の5月18日付き記事によれば、総合黒字を続けているとする統計発表が仮に正しかったとしても、資金繰りが間に合っていなかったことを表しています。
一般的な2〜3年もの社債・国債等での資金調達を考えれば、年間10数兆ドル以上の返済が回って来る大変な自転車操業状態です。

中国過大投資の調整7(資金枯渇1)

中国が韓国よりも先に参った・・安倍総理に二回も会わざるを得なくなったのは、(韓国は中国に共闘のはしごを外されて、仕方なしに方針転換に踏み切るような雰囲気です)これまで書いて来たように既に資金が底をついていることによります。
韓国はリーマンショックでも中国のように大規模財政出動しなかったので資金枯渇の心配が起きていませんが、中国の場合以下のとおりです。
外国報道に直接アクセスする能力がないのでいつもながら、他人(勝又氏)の記事で引用されている記事の孫引きです。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20150518.html
「ドイツ財務相も見放す
『ロイター』(4月16日付け)は、次のように伝えた。
① 「ショイブレ独財務相は、ワシントンのブルッキングス研究所で行った講演で、緩和的な金融政策と、借り入れによる資金調達に支えられた財政政策が、これまで金融危機の発生につながってきた。現在も世界的な経済成長の重しとなっていると指摘。『世界的な債務水準は引き続き懸念材料となっている』と述べた。同財務相によると、世界的な債務は2007年から57兆ドル増加。この約半分が国の債務という。そのうえで、『中国の債務は2007年以降約4倍に膨れ上がっている。中国の経済成長は不動産市場とシャドーバンキング(影の銀行)の活況に支えられ、債務の上に立脚しているようにも見える』と述べた」。
以下は勝又氏の意見です。
「ドイツ財務相は、中国が「世界的な債務が2007年から57兆ドル増加したうち、約半分を占める」と指摘している。つまり、29兆ドルもの債務を負っているのだ。」
「マッキンゼー国際研究所が発表した中国の負っている総債務残高は、対GDP比で282%(2014年4~6月期現在)に達している。2000年時点では121%。2007年は158%であった。繰り返せば、121%(2000年)→158%(2007年)→282%(2014年4~6月期)へと、債務は雪だるま式に膨れあがっている。」

私は中国のアメリカ国債保有減のアメリカ政府発表(これは中国が誤摩化せません)から見て、かなり深刻な状態になっている筈と言う推測意見を5月4日「覇道と日本の補完性1」以下で書いてきました。
上記独財務相発言によると、リーマンショック以降の7年間で何と29兆ドルも債務が増えていると言う意見です。
借金が増えて来ているとすれば、金利の安いアメリカ国債を持ちきれなくなって来たらしいことがアメリカ国債保有減に現れていると推測出来ます。
この発言はIMFその他公的組織による中国を除いた各国が有する対中国債権(中国の自己申告に頼らない)集計の結果でしょうから、正確な数字と思われます。
ところで外貨準備とは、本来短期決済用資金・・流動性資金で良いので・・毎月の貿易決済額の一定割合あれば足りるので・・ソモソモ中国が(公式発表が正しいとすれば・)3兆ドルも保有する必要がないのに過大保有であると言うのが一般的理解でした。
貿易黒字国でも日々の決済では支払の方が多いときもあり得るので、その誤差程度の外貨準備・・企業で言えば手元流動性準備が必要と言う意味ですから、(企業の内部留保・現預金が多過ぎる批判と同じです)ホンのちょっとの準備で良い筈です。
銀行が預金全部・同額の払い戻し用として準備しておく必要がなく、その大方を貸付金に流用出来る仕組みと同じです。
(ただし、アジア危機でイザと言うときに多めの外貨準備をしておかないと間に合わないリスクが共有されたので、スワップ協定の発達や実際の保有額は世界的に増える傾向です)
貿易決済資金としてみれば対外債務が29兆も増えても、中国の公称(本当は水増しと思われています)外貨準備が3兆ドルあまりしかない(差額26兆ドルのマイナスである)ことは問題になりません。
対外債務の中身が問題ですが、一般的に資本収支の赤字・・外資流入超は成長原資であって目出たいことですし、イキナリ返済リスクに曝されるリスクも少ないので、これを(危険な)対外債務拡大とは言いません。
上記ドイツ財務相の発言記事では「借り入れによる資金調達に支えられた財政政策が」と書いているのですから、翻訳が正しければ工場進出等の資本流入ではなく文字どおりの借金が29兆円増えたと言う意味でしょう。
外貨準備のかなりの部分が上記29兆ドルの借金支払資金用の準備資金となると、意味が違ってきます。
貿易決済資金の場合支払と受取の双方があって、実際に必要な外貨は差し引きマイナス分だけですが、(仮に年間貿易赤字1割の国でも総輸入額の1割あまりしか、決済準備金が入りません)借金支払い資金となると差額だけではなく支払い期限直前には100%の準備が必要になります。
ちなみに、ここでは対外純債務が29兆ドル増えたことを言っているものではありません・・たとえば、借りた資金29兆ドルの100%でアフリカ等に援助している場合や、オーストラリラ等の資源企業買収資金に使っている場合は、対外債権債務のバランスは同額で変動しません。
従って資金枯渇問題が政治的に意味があるのは、対外純債務増減とは関係のなく決済リスク・資金ショートのリスク(債務の内容次第)にあります。

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