中国過大投資調整10(資金枯渇9)

中国の影響力拡大に関連した心配・杞憂と新しい社会の始まりの可能性を書いてきましたが、本当に中国の影響力が拡大する一方なのか、この辺で打ち止めになるかの関心・・ここから、中国「過大投資調整のテーマに戻ります。
2015/06/02「中国過大投資の調整9(資金枯渇3)」の続きであり、2015/06/12「資金枯渇8(出血輸出とその原資2)」の続きにもなります。
出血輸出による国際秩序撹乱の大迷惑のテーマから話題がそれていました。
今になると中国は資金不足の穴埋めと技術移転による競争力回復を求めるために反日暴動やその後の日本外しの行為を忘れたフリして?日本企業誘致に必死です。
日本人は我慢強い分、一旦抱いた警戒心は容易に緩みませんので、政治家やマスコミをいくら籠絡しても日本人個々人は簡単に許せません・・。
(5月27日まで書いて来たようにマスコミの中国傾斜・応援ぶりは半端ではありませんでしたが・・一方的中国寄り記事は反感を買う始末でストレートな中国進出誘導はなくなってきました。)
日経新聞による連日の中国進出誘導運動が限界に来たらしく、5月31日朝刊には中国傾斜の著しい伊藤忠商事社長の弁明?記事が掲載されるようになりました。
中国は反日暴動を仕掛けたことによって、日本の主たる投資先から外されてしまって内心焦っているようです。
反日暴動は経済原理から言って無理がありました。
先進国は賃金コストが安いので新興国に進出しているだけですから、世界中いくらでも中国以下の低賃金国・・代替進出先があります。
後進国が先進国をボイコットした場合、代わりに先端技術を提供出来る国はホンの僅かしかありません。
個人で言えば、工場労働者が一人や二人やめても企業はいくらでも代替工員確保出来ます。
日本に逃げられた代わりにドイツがやってくれるとばかりに、今や中国はドイツや西欧諸国抱き込みに必死です。
仮に日本と同等程度の技術提供を受けたとしても、日本から先端技術の導入をした東南アジアで競争相手が増えた分、中国にとっては大損害です。
しかも、西洋諸国は儲かるかも?と思って進出しているだけであって、日本のようにアジア同胞を離陸させたいとする善意がある訳ではありません。
言わば最終消費地として需要がある限度で現地進出しているだけで生産輸出基地としては見ていません。
上記伊藤忠商事社長の弁明?も同社は財閥系と違い重厚長大産業に縁がないので、今後の消費需要を(末端商品仲介ビジネスなど)取り込みたいと言うだけで先進技術移転の予定はあまりありません。
中国のクルマ生産能力が現地需要の二倍にもなって来たことを紹介しましたが、4月だったかのスマホの売りげが減少に転じたと報じられています。
クルマも6月ころに二ヶ月連続売上減と報じられていますが、(6、7月も急減中です・・8月9日に日経朝刊では、日産が7月販売台数が前年同月比13、7%減で1台240万円も値引き販売すると出ています。)需要の2倍の生産能力と言うのですから、この先自動車業界はどうするつもりでしょうか。
この辺まで6月初めころに書いてあった基礎原稿ですが、8月8日日経夕刊1pによれば、中国貿易量(輸出入の合計数値)がここ半年で大幅に落ち込んでいる状態が報じられています。
すなわち7月は前年同月比8、2%マイナスで、1〜7月の合計平均は輸出が前年同期比0、7%減に対して輸入が何と14、6%減となっています。
1見黒字で目出たいようですが、簡単に言うと輸入・企業で言えば、新たな仕入れ・生産が出来ず在庫処理に追われいる・・出血輸出が続いていると言うことでしょう。
こんなに輸入が減って逆に出血輸出で回りに迷惑をかけることが続けば、周辺資源国等に対する経済影響力・・恫喝が効き難くなります。
南沙諸島での軍事威嚇に対してフィリッピンがバナナの輸入禁止が怖くてこれと言った国際批判出来なかったことを想起しても良いでしょう。
貿易黒字を自慢する人が多いでしょうが、政治の現実は逆で、ある国に対する貿易赤字でこそ大きな顔が出来るのです。
日中貿易は日本が大幅赤字ですから、貿易が止まれば困るのは中国の方です・・しかも日本は普及品を中国から買っているだけですから、いつでも(東南アジア諸国など)他の国に切り替え可能です。
中国は日本から、高度部品輸入しないと普及品も作れません。
この辺は個人も同様で、借金であろうとなかろうとしょっ中食事に来て買い物してくれる客は良い客です。
ただ近いうちに借金での買い物が続かないと分れば良い顔をしてくれなくなります。

資金枯渇8(出血輸出とその原資2)

出血輸出・原価割れ販売は、倒産・廃業直前に「店じまいセール」として手元資金獲得に利用するのが原則であって、これを国家が利用する場合は、短期間の過剰産業の整理集約するまで臨時対策に過ぎず、その産業をその間に適正規模に縮小しない限り終わりがありません。
中国の場合、国威発揚企業の過剰生産ですから、生産規模の縮小が容易ではない・・期間限定ではなく無限に輸血を続けるしかない貧困の輸出で、ボートピープルが押し寄せて周辺国が迷惑を受けているような状況になっています。
中国は、出血輸出の資金として国内的にはリスクを対外借入増と国民負担に分散した分、国民不満と借入金の蓄積・・限界期間到来が2倍に延び(先送りでき)ましたが、その代わり不満等の限界が来たときには、苦しみがダブルで襲いかかってきます。
このリスクの内、国民負担を財政支出から庶民に対する株式投機参加推奨策など3〜4分散すればさらに先送り出来ますが、その代わり直接国民の懐を直撃するので、限界が来ると3〜4倍の不満暴発となります。
現在では借入金の重圧と経済不振による国民不満双方で限界近くなっているのではないでしょうか?
上記のとおり基本的解決には、過大な製鉄業(あるいは各種産業構造)を適正規模に縮小するしかないのですが、軍事費同様に国家のメンツでやっているので、思うように縮小も出来ずにあり地獄にはまったような状況です。
中国の軍事費の増額ばかり注意が払われていますが、実は軍事費とほぼ同額以上の公安予算が組まれていることも大分前から指摘されています。
不満抑圧のために公安予算を更に増やす・・言わば権力に対峙する国民敵視政策ですから、不満が飽和点に達したときには、国民が一丸となって国難に対処しようとする意欲もわかず、納得出来ないでしょう。
借入金の重圧に付いては、5月31日からドイツ財務相の発言を書いてきましたが、勝又氏による引用数字(単位の取り方)が仮に誤りであるとしても、財務相が公式の場でよその国のことをこのように発言する以上は、中国の債務返済リスクは国際的関心の的になっていることは間違いないでしょう。
他方国民不満の充満については、この後で韓国や中国の労働分配率の低下・・国民の両極化の進展・庶民へのしわ寄せの弊害を紹介して行きますが、両国民(の負け組?)は悲惨な状況に追いやられています。
無理な黒字稼ぎのために共産圏で行なわれて来た出血輸出とは、形を変えた政府援助によるダンピング・・国際ルール破りであると2015-5-28「中国のバブル処理5(過大投資の調整4)」で書いて来ましたが、タマタマ日経新聞5月31日朝刊には、「社説」(公式意見)として中国の(政府補助による)鉄鋼製品ダンピング輸出の弊害について大きく出ました。(この原稿はこの頃に書いてあったものです)
中国の国際ルール破りは、サイバーテロ・知財剽窃、統計の改ざん、環境・領土問題・・金利規制・・レアアースの禁輸措置もその一種です・・その他多方面で噴出中です。
民主国家か否かとは関係なく、国家に限らず(ヤクザでも)組織はルールがないと維持出来ません。(法家の思想として紹介してきました)
中国の国際ルール違反・・国内的にはルールより派閥・・コネ次第でいくらでも歪められる違反行為が政府自身によって日常的に率先しているのですから、国民の道徳意識は推して知るべきです。
政府がルール違反を推奨していて国民にルールを守れと言うのは背理ですから無理があり・・法理を抜きにして(コネによって?)上が決めたから四の五の言わずに結果を認めろと言う・・強権的支配しか出来ません。
法理よりは実力次第・・国内的には公安警察・武装警察が睨みを利かし、国際的にも武力・漁船などの実力行使を前面に押し出して来る基礎でしょう。
一言で言えば、自由主義経済に参入してその恩恵を受けながら、自分の義務に関しては弱い国には武力を正面に出して抑圧し、強い国にはサイバーテロや、漁船を装って領海侵犯を繰り返す・・国内的には国家が背後で組織して反日暴動を展開する・・すべて国家組織として行ない、最先端技術・データの不正取得をしたり、自国データ改ざんや世界標準に反した規制をしてあらゆる分野でルール破りをしている状態です。
スポーツで言えば自分だけルール違反していても審判にコネがあるので、退場を命じられない前提で違反ばかりしているようなものです。

資金枯渇7(出血輸出と借入1)

リーマンショックに始まる中国の不況は、低賃金労働による輸出基地としての機能を果たせなくなった構造不況(6月3日に書いたように日本企業撤退の様子が生々しく報道されている状況です)ですから、1年や2年の財政投入で需要不足が収束する訳がありません。
現在もまだ不要な公共工事が続いている状態を5月中〜下旬のコラムで書いてきましたが、1年前後で4兆元使い果たして?財政赤字の壁にぶつかってしまったとすれば、2年目以降の資金繰りをどうして来たのでしょうか?
資金穴埋めには、貿易黒字拡大か外資導入or借金しかない筈ですが・・・ローエンド製品製造にかかる輸出産業不振が不景気の原因ですから、貿易黒字は減少する一方です。
出血出が続いていることについては、アメリカへの鉄鋼ダンピング輸出でアメリカが困っている例など上げて,May 28, 2015「中国のバブル処理5(過大投資の調整4)」前後で紹介しました。
出血輸出によっても黒字計上出来ますが、出血輸出の資金繰り・帳尻合わせには赤字分を国外・企業外から調達する場合・借入金増大と、国民(財政補助)・従業員犠牲による場合があります。
原材料価格プラス国内付加価値に要したコスト以上で売るのが本来の商売ですが、出血輸出の場合、コスト以下でも仕入れ原材料(輸入)価格以上で輸出すれば、国際収支では黒字になることを、May 12, 2015中国のバブル崩壊15(他産業への転嫁1)」で書きました。
この場合、付加価値に関与した国民に適正な労働コスト・賃銀や下請け代金を払っていないことになります。
あるいは補助金によって適正な下請け代金・賃金等を払っている場合、財政出動分を国民が広く負担していることになるので結局は国民負担となり、外貨準備の取り崩しや財政赤字が蓄積するとこれに耐えられなくなります。
財政負担は昨日まで書いて来たとおりリーマンショック後僅か1年目に3%の壁に打ち当たっているようですから、二年目以降の追加支出は苦しくなっています。
そこで財政出動で100%補填するのは無理が出て来たので、所得分配率や下請け支払を引き下げと組み合わせて来たと思われますが、ダンピング輸出によって得た黒字を軍事費・公安警察費等の捻出に注力して、国民・労働者犠牲・労働分配率引き下げを続けると国民は疲弊する一方・・国民不満が溜まる一方になり政権は安定しません。
そこで已むなく海外借入金に頼るようになると、(5月31日ころに紹介した独財務相発言によると借入金が増えているようですが・・)出血輸出を続けるには、自ずから国民負担の比重を上げるしかなくなります。
出血輸出/原価割れ販売は市場原理に任せれば時間の経過で不可能になる(一般的には倒産直前の苦し紛れの叩き売りでしかありません)のですが、中国のように政府補助金で続けると終わらないことをMay 28, 2015「中国のバブル処理5(過大投資の調整4)」に書きました。
出血輸出をやめれば国民負担がなくなって済むことですが、出血輸出の大半が国策企業の鉄鋼製品などですから、メンツ維持のためにこれを潰す訳に行かないので(軍事費と同じ聖域扱いでしょう)出血輸出を続けるしかない(・・体力の続くまでと言うことでしょうが・・)らしいのです。
製鉄はむやみやたらと増産投資して、世界生産の何割と豪語しているのですが、景気が悪くて需要が足りないのではなく元々世界需要を無視した増産投資して来た結果ですから一定期間だけ出血輸出したら需要が戻る訳ではない・・永久的に出血輸出を続けるしかないシステムになっています。
クルマも2500万台の需要に対して5000万台の生産能力になっていると日経新聞で報道されていることを5月末ころに紹介しましたが、今朝の日経新聞11pによると4月に続けて5月も(2ヶ月連続)販売減少に局面に入っているそうです。
・・首位フォルクスワーゲンが二割減と言うのですから、大変な事態でGMが1台100万円の値引きを始めたことが5月末ころ報道されていたのを紹介しましたが、中国全土で1〜5月に赤字だった販売店が47%になったと書いています。
この後で中国による世界ルール破りの弊害を書いて行きますが、石化製品・造船であれ、全ての分野で世界需要を無視した大増産投資を仕掛けては出血輸出して、世界経済システムを無茶苦茶にするやり方です。
レアアースでは低価格で世界市場席巻(世界シェアー90何%と言うことでした)後、待ってましたとばかりに禁輸してイキナリ何十倍かに値上げしたところ、短期間で他国生産開始によって失敗しましたが、どんな分野でも出血輸出継続で市場支配後に値上げすれば、直ぐに他国が生産再開するのでそんなうまい話にはなりません。
原油市場では、相場が上がり過ぎると不採算で止まっていたアメリカの中小油田が息を吹き返したり、シェールオイル生産開始されたことから分るように、腕力にませて市場原理を無視してもうまく行きません。

資金枯渇6(一斉開花)

昨日紹介した5月31日の記事によれば、財政赤字も3%以内と言う不文律があるようです。
これを守って行くために、政府債務の過小発表をするか、GDPの水マシ発表に頼って来たのでしょうか。
しかし、5月31日に紹介したドイツ財務相の発言のように、対外債務は相手国の集計で分るので隠しきれませんから結局GDPの水増しかありません。
最近では、いろんな(合弁企業が多くなって)(スマホや自動車など)業界別データ販売が出るようになって来ると、GDPの誤摩化しも限界になってきました。
イオンやパナソニックのように一社だけの情報だと1社だけ負けているのか、あるいは特定地域だけの現象なのかも分りません・・いろいろな憶測が可能ですが、全国業界統計になって来るとある程度の景況感が分ります。
日本で言えば、昔はデパート売上が基準でしたが、スーパーや量販店等の比重が上がるとデパート売上増減だけでは、全体の景況感がはっきりしなくなるし、今ではコンビニやアウトレットもあります・・更にはネット通販があるし、単品統計で言えば、携帯やパソコンが売れなくともスマホが売れていることもあるので小売業界統計増減も一概に言えません。
とは言え、自動車や住宅販売などの売上増減は裾野が広いので、今でも社会全体の景況感そのものを表す比重が高いでしょう。
中国では、増加著しかった頼みのスマホも5月末ころには(4月分だったかな?)売上減が発表されてしまっていますが、まだこれに代わる通信機器が出ていないので単なる景気悪化と見るべきか、ある程度行き渡った結果の分岐点と見るべきかの評価次第です。
日本の過去のピアノ市場で言えば、みんなが買い始めたときはいくらでも売れましたが一定程度行き渡ると買い替え需要だけになるので、売上減少は、景気悪化の結果とは言えません。
しかし、景気悪化したから売れなくなったのではなくとも、今後買い替え需要だけになると・・(ピアノはプロ志望以外の家では一生に1回しか買いませんし、家も行き渡れば滅多に建て替えしません)生産減少が始まって景気が悪くなる将来性を表しているとも読めます。
スマホの買い替え期間が短いとは言え、買い替え中心になると需要が大幅減になります。
中国の消費市場が伸びているし、これからも伸びるだろうと言う予測は、ゼロから買う段階の分野が大きいので、短期に大幅に伸びていることを、永久に伸びる前提で予測しているキライがあります。
先進国の場合新製品開発されてから、普及期に達するまでの期間が長いのですが、新興国では一斉開花・普及するので、成長率はもの凄く高い代わりにあっという間に普及期が来ます。
新興国の経済成長は、北国の春・一斉開花方式であることを、May 20, 2015「中国バブルの本質2(新興国経済2)」で書きました。
安物から中級〜高級機種へと・・業態別に見てもデパート〜スーパー〜量販店・ドラッグストアー〜コンビニ・・郊外大型店→都市型小型店回帰など日本の場合数十年単位で移行して来たのが同時的進行します。
新興国モデルでは、短期回収が基本で10年かけて回収する企業モデルは成立しません。
(イオンやパナソニックの縮小撤退はこうした業態変化の早さの結果でしょう)
これが、社会の集約的結果となっているのが、超短期で到来した高齢化社会・環境破壊と言えるでしょう。
貿易輸出入合計や各種業界の前年比売上減が相次いでいるのに、(次の段階の高成長が始まっているとしてもトータルでマイナスっぽいのに)その集計結果である筈の成長率低下に戻しますと、政府のGDP発表だけが7%弱のプラス成長と言えば、多くのエコノミストはこれを前提に今年は6、5%も難しいのではないかなどとまじめな議論していますが漫画みたいです。
エコノミストの予測は政府発表どおりとすれば、・・政府はこの辺まで実態に合わせるのじゃないかと言う予測・・大まじめにやっている意味があるのでしょう。
中国は、資本流入・収入増を計るつもりが、・・その後反日暴動や国内不満吸収のための経済原理を無視した大幅賃上げの繰り返し→国際競争力衰退によって予想外に外資流入が減少し、当てにしていた外資を利用するもくろみが崩れてしまいました。
他方でリーマンショックの穴埋め資金投入政策は、上記のとおり僅か1年で3%弱にのぼる財政赤字転落ですが、1年ではとても景気回復するようなものではありません。

資金枯渇5(撤退加速と流入減)

中国は「アジア危機の教訓」と言う名目で、ホットマネー(短期資金)の流入(実は流入はいくらでも良いのですが、流出を恐れているのです)を厳しく規制していましたが、自由に任せる・・流出を恐れると言うことは、公表とは違う自国経済の脆弱性・信用力の低さを誤摩化そうとする意識があることを自白しているようなものです。
ポンド危機(防衛)の事例を紹介したことがありましたが、統計や為替・金利水準が実態経済と違っている場合に、ジョージ・ソロス氏のようなファンドから、大掛かりな売り浴びせを受けると大恥をかきます。
国民の海外移住を規制しているのは、自国政治に関する自信のなさの現れです。
報道規制している国は、国民に知られると、まずいことをしている国です。
「自由に撤退して良いですよ」と言って、初めて安心して資本も観光客も入れますが、「一旦入ったら最後無事に出られないぞ!」と言われたら誰でもおそろしくなるでしょう。
デフォルト危機の本質は危機を察知したホットマネーの動きがキッカケになるだけであって、ホットマネーさえ規制すればデフォルトを防げるのではありません。
ホットマネー規制は「体温計さえなければ熱が出ているか分らないだろう」と言う論理みたいですが、本来は借換債発行がどうなるかにかかっています。
中国では厳しい規制にも関わらず、貿易黒字を装った資金流入が大きかったことが(相手国の赤字額と中国の黒字額があわないことから)この数年以上前から明らかになっています。
この結果、中国の外貨準備には(統計誤摩化しの外に)貿易黒字によるものの中にホットマネー流入分が多く入っていたことが一因になり、(最近問題になっている個人資金国外流出にはホットマネーが紛れているでしょう)流入分だけ危機を察知すると流出が増えることになります。
中国は表向き禁止で輸入代金名目等で入っているので、ホットマネーの流入量については実態不明ですが、(反日暴動後資本流入が減少しても増加率が下がっただけで結果的に流入超過であったとの発表にも拘らず)2007年以降29兆ドル(この数字の翻訳に誤りのある可能性があるとして)も中国の借入金が増えたと言うことは、資本流入による補填では間に合わないほどの巨額の資金流出に直面していたことが推定されます。
本来ホットマネーが逃げるときは相場値下がり傾向のときですから、10万ドルで買った債券(やビル・マンション)が5万ドルに下がって逃げてくれれば中国人が半値で買い戻せるので、放っておいた方が得します。
(日本企業が捨て値で設備を売却して撤退している例を書きました)
ホットマネーが出て行くならば出て行かせれば良い・・その分外貨準備が減少するだけですが、借金せざるを得なかったのは何故でしょうか?
ホットマネーの流出の場合、株式や公社債等→人民元が大幅下落してしまうので、「ホットマネーが勝手に損すれば良いのだ」と放置できません。
買い支えた場合・・これの集約された取引が通貨下落に対する政府買い支えです・・これをやるとたちまち巨額の外貨準備金が出て行きます。
国内業者等の仕事がない場合も「企業はそう言うものだ・うまく行かなければ倒産すれば良い」と放っておけないので、公共工事等による財政支出増大・・一種の買い支えによって政府資金不足が起きた穴埋めとの複合要因が対外負債増大の原因だろうと推測するのが合理的ではないでしょうか?
リーマンショック直後の4兆元の国内財政出動決定までは良かったのですが・・当時は多分相応の外貨準備=自己資金があったでしょうし、不足分については潤沢な外資流入継続を当て込んでいたのでしょう。
5月31日日経新聞朝刊3pには、4兆元の財政出動表明の翌年・09年にはGDP(一応統計によれば)比で約3%弱の財政赤字になってしまっていると紹介されています。
中国では大事故でも20名以上の死者は認めないから、どんな大事故でもそれ以上の死者発生の事故発表はあり得ないと言われていました。(ただし6月2日報道の長江の客船沈没事故(500名弱の乗員)では乗客数を誤摩化せないので、限定しない様子です)
成長率も7%が死守ラインと決めれば何年もマイナス成長を隠してきましたし、今もニューノーマルと称して6・7%前後の成長を予定しています。
昨日・6月8日の日経夕刊3pによれば、中国の貿易輸出入総額が今年1〜5月合計で前年比8・0%減と出ています。
ちなみに対日貿易(輸出入合計)はこの間11、5%減になっています・・これも反日暴動以降毎年3割前後減少していましたから、減った分から更に11・5%%減り続けていると読むべきでしょう。
日本との貿易が減った分欧州で増やしているかと言うと、対欧州でも7%減と出ていますので、マスコミが言うように、欧州(技術)が日本の穴埋めで増やすどころか、欧州との取引も減少していることが分ります。
相手国によって違いますので、個別に取り上げてもキリがないですが、中国の世界全体との貿易総額が上記のとおり8%減(本当はもっと減っているかも?正確性はいつも書くとおり分りません・・)の結果です。
国によって自給率が違いますが、経年変化が傾向を表すことは否めませんので、貿易総額の前年度比増減はその国の経済活動の活発度の辺かそのままを表すものと言えるでしょう。
大分前の数字は忘れましたが、中国ではここ何年も貿易総額の前年比大幅減が続いていると思いますが、(資源輸入大幅減がブラジル等の資源国経済の変調を来していることは、顕著なことです)経済活動率がトータルで8%減っていても、成長率6・7%前後の主張はそのままですし、政府が決めたら成長率もそのとおりになると言う不文律(数学の公式のようなもの?)があるのでしょう。
上記5月31日の記事によれば、財政赤字も3%以内と言う不文律があるようです。
これを守って行くために、政府債務の過小発表をするか、GDPの水マシ発表に頼って来たのでしょうか。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC