中国の土地錬金術とバブル2

高度成長期からバブル期までの日本の近郊農地の値上がりも、都会の人が買いに来るから値上がりしたのであって、地元の農民だけが相手なら値上がりしません。
(純農村地帯では全く上がりませんでした)
日本でもバブル崩壊で損をしたのは農家ではなく、これを買い付けていた不動産屋や最終消費者でした。
高い買い物をさせられていた外資の殆どが日本でしたから、言わば日本人のお金をうまく吸い取って中国人が贅沢できていたことになります。
高値づかみさせられている日本人はいくらでも吸い取れるお人好しくらいに思っていたでしょう。
しかし、観光客や外資に高値づかみさせしていると騙しているようでいて、結果的にその物価上昇は一般国民に波及して行きます。
観光地ではまずいそばでも割高ですが、地元の人も結局は割高な買い物するしかなくなっている点は同じです。
中国の場合日本人向け価格と言う二重価格があるようですが、こんな狡いことは長く続きません。
時間がかかるものの、回り回っていつかは自分達も高物価で困るようになります。
日本人の行かない僻地にまでマンションを造って鬼城で困っているのはその現れです。
もう日本からむしり取らなくても良いかなと思って2012年夏に反日暴動を起こしたのですが、まだまだ資金注入が欲しい体質のママで(農家の息子がレストラン赤字経営していて絶えず土地からの収入をつぎ込んで来たような状態で)自立経済になっていないことが分ったことを昨日書きました。
これが分ってみると土地バブル退治をしたくても、土地価格が急落すると外資(日本)から法外な金を今後ふんだくれなります。
資金流入が止まると、大変なことが分って来たので日本に強気に出られなくなり、内政的にはバブル退治が出来ず困っているのが現在中国です。
日本はバブル退治しても全て自己資金でしていたことですし、資金が有り余っていたので外資流入減の心配はありませんでしたが、中国の場合、外資で成り立っている脆弱性が問題で簡単にバブル退治出来ない点について以前連載したことがあります。
韓国の外貨準備も同様の弱点があることも書いたことがあります。
反日暴動の頃にはもう外資などいらないと強気に出ていましたが、ホンの短期間外資流入減が始まると自力では何も出来ない・・外資の絶えざる流入がないとやって行けないことが分って、導入妨害するどころかあせったらしく最近金融・知財限定だったか新たな貿易特区を設けました。
以下はhttp://j.people.com.cn/94476/206619/208480/からの引用です。

1979年に「深セン経済特区」が設立され、中国の改革開放がスタートラインを切った。あれから30年余りが過ぎ、中国の改革は重要な時期にさしかかっている。より多くの責任を担う上海自由貿易試験区が、このほど設立を認可された。
 (この引用文は、2013年の記事です)9月29日、上海自由貿易試験区は正式に始動。同試験区の範囲には、4カ所の税関特殊監督管理区域が含まれ、その総面積は28.78平方キロメートルに達する。」

中国は輸出基地としての企業誘致では国際競争力を失って来たので、輸出目的以外の企業進出を認めないと外資が入って来なくなったので、内需目当ての海外企業誘致をせざるを得なくなっています。
今のところ、日本からおむつのユニチャームやクーラーのダイキン、コンビニその他いろんな内需向け企業が進出・・逆から言えば中国が誘致しているのは、これによって、なお土地錬金術が続けられ・・莫大な土地や商店立地・・工場新設や店舗内装工事資金が継続的に入って来るので当面これで国民が贅沢できます・・と言うか、失業救済資金になります。
最近中国が内需企業の進出も許すようになったのは、進出に伴う資金欲しさ・・観光客を呼び込むよりは資金流入率が良いからです。

中国の土地錬金術とバブル1

尖閣諸島問題が起きて反日暴動になったのではなく、「十分資金を引き入れたのでもう日本からの資金が入らなくとも大丈夫」と言う見通しがついたつもりで、尖閣諸島問題を中国の方からを引き起こしたと言うべきでしょう。
この辺は韓国の李明博前大統領の反日言動のエスカレートと同類です。
この結果July 4, 2014に紹介したとおり中国向け投資が大幅に減ってしまいました・・もう一度コピペしておきましょう。

「中国捨て米国へ向かう
日本の対外直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー、100万ドル)
   
    2010年  2011年  2012年  2013年

米国  9016  14730  31974  43703
中国  7252  12649  13479   9104
韓国  1085   2439   3996   3296
アセアン8930  19643  10675  23610
資料出所:ジェトロ

進出計画は数年以上前から現地調査から始まって事前許可申請準備・・地元政府要人との接触など進めていますので、統計に出るのは大分遅れます。
事前相談段階ではもの凄い縮小が始まっている筈です。
この結果今年の1〜3月の統計では、前年比4分の1に激減して来たと報道されていました。
他方で外資の中国脱出も盛んですので、(この後で書いてい来ますが中国現地資本も海外脱出が始まりました)流入減と海外脱出による資金引き揚げの挟み撃ちにあっています。
中国が尖閣問題を引き起こして反日気運を盛り上げてみたものの、日本からの投資が減ってネを上げたのは外資を食い物にして贅沢して来た実態・・もっと資金流入が続かないとやって行けない実態があるからです。
言わば近郊農家が土地を売ったお金でドライブ・インなどを経営して(実は赤字ですが)外車を乗り回して贅沢していたような状態ですから、外見上は派手でも内実は土地が売れなくなると輸血が続かず息が詰まって来る状態であったことが、世界中に分ってしまいました。
中国の地方政府財政は土地の錬金術で成り立っているとシャドーバンキング関連で一般的に言われていますが、実は実態経済にもこの循環が大きく影響していて地方政府だけではなく、回り回って中国人全体がその恩恵を受けて贅沢できていた点が重要です。
その土地を最終的には外資が購入したり借りたりするなどの連鎖で最後に外資にわたっている・・外資が高い買い物をさせられているのです。
日本のような先進国でも外資・・欧米駐在員の多い六本木等では国内物価よりも割高な感じがしますが、他所者はいつも割高なものをつかまされる傾向があり、(日本の場合麻布六本木周辺だけですが・・何故か)これが中国全土に広がって行くと全土で地元民がマトモに買えないような物価高になって行きます。
エンドユーザーが中国人相手のママでは従来どおり土地は安いママで錬金術など出来ませんが、いくら吊り上げてもエンドユーザーとしての外資が高価な買い方をする・つかまされるしかないから、急激に上がったのです。
当初外資導入は沿海部だけでしたが、格差が激しくなり過ぎたので格差是正策として外資導入を内陸部にも広げて誘導したので、内陸部まで土地値上がりが波及しました。
これの行き着いた先が、ゴーストタウン・・鬼城の発生です。
日本人のようにこつこつと働いて稼ぐよりは、中国人全体がうまいことをして儲けようとする傾向(・・これが基礎技術が発展しない中国の弱点です)が強いので、外資の来そうもない僻地まで・たちまち全国波及してしまうのではないでしょうか?

中国への外資流入と共産党幹部の錬金術

中国では過去数十年に渡って継続的に流入した潤沢な資金によって(労せずして入って来る金ですから・・)無茶苦茶な採算度外視の投資がはびこっているし、国策遂行のためには実態に反した対外宣伝工作資金として潤沢な資金をドンドン使える構図になっていました。
中国への外資流入と言うとそのお金は外資系企業等外国企業だけが自分で自由に使う・・中国人が自由に使えない資金ではないかと誤解し勝ちです。
また、直ぐ引き上げられそうなイメージですが、日本の都市近郊農家が土地成金になったイメージで考えれば分りよいと思います。
外資が工場用地等を買ったらその資金は売り主・・中国の場合地方政府に入ります。
その資金は借りたものではなく、売った代金ですから、売り主・日本で言えば工場用地等として農地を売った近郊農家が自由に使える資金です。
所謂長期投資した外資が資金を中国から引き上げるには購入した工場用地や工場設備・・スーパー等の店舗を売り払うしかありませんが、もとの農家が買い戻すことはあり得ない・・採算が取れない状態になって売ろうとすると二束三文になるのは当然です。
外資流入の比喩として日本近郊農家の例を書いてきましたが、奇しくも中国の場合地方政府が土地から農民を追い出すことによる錬金術で得た資金で無駄な支出を繰り返し、共産党幹部がその過程で私腹を肥やすのが一般的であると報道されていることが参考になるでしょう。
日本の場合個々の近郊農家に土地代金として巨額資金が入り近郊農家の生活水準嵩上げに繋がりましたが、中国の場合、農家を(都市戸籍のない流民扱いの)農民工として都会へ追い出して地方政府=共産党地方幹部の私腹を肥やす方向へ走ってしまいました。
勿論これの上納システムが働く結果、中央の大幹部一人当たり何千億というヤミの私財蓄積が可能になる仕組みが出来上がっています。
戦後日本では都市に職場があってその需要に引っ張られて、金の卵と言われて中卒、高卒の人材が都会に出たのですが、イギリスも中国も職場の有無にかかわらずその前に貴族や地方政府の金儲けのために、先ずは農民の追い出しから始まった点がすごい違いです。
エンクロージャーで農民を追い出して都市労働者の供給源を作った点ではイギリスの動きと同じですが、イギリスはこれで羊毛の大量生産に繋がりましたが、中国では土地を売るのが目的ですから、裏金(賄賂)の蓄積と海外資金逃避になっただけで今のところ終わりそうです。
羊毛産地になる代わり日本等の工場進出・・工場用地になっているとも言えますが・・・。
日本では高度成長による労働者不足が先にあって、集団就職列車が仕立てられた結果金の卵と大事にされましたが、中国では先に貧困者の都市放出があってのことですから、順序の違いが末端労働者の実質的地位に与える影響は大きかったでしょう。
ネズミ族と言われる貧困状態にある多数労働者と一人当たり何千億円という目もくらむような巨額裏金をアメリカ等へ逃避預金していてイザというときの逃走資金にしているエリート層に大きく分裂しているのが、中国の実像です。
勿論お金だけ海外に逃がしているのではなく、高官の子女も例外なく海外に逃がしているので所謂「裸官」という熟語さえ生まれて来ました。
外国からの資金流入が細ると従来の錬金術が使えなくなり、ゴーストタウンを作ったり乗客がいるかいないかにお構いなしに鉄道網拡大等をする無駄な内需拡大や後進国援助は難しくなります。
中国の対外威圧用に年々ふくれあがる巨額軍事費や後進国援助資金の内実は、実は日本等の外資の化けたものです。
これが出来なくなると、名目上のGDP上昇も急落するでしょう。

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