アメリカの指導力低下9(合従連衡策)

韓国を除くアジア諸国では中国の専制支配に親和感がないのですから、(価値観が違い過ぎます)アメリカから中国へ用心棒を乗り換えるわけにはいかない以上,引き止め策を工夫するしかありません。
まだアメリカの方が強そうなのと、価値観が共通で優しそうなので頼る相手を変えたくないが、電話しても直ぐに応援に来てくれるかどうか頼りないので、ミカジメ料を値切りたい・・あるいはアメリカがキチンと対応してくれないと気前よく払えませんよ!と言うのがアジア諸国でしょう。
アメリカはミカジメ料を増やしてくれないと、今以上の応援出来ないという立場でしょうしお互いのせめぎ合いがTPP交渉になります。
日本は反日の中国で売れなくとも、車業界が世界で大躍進していることから分るように、中国から自由になるためには中国市場を気にしないでやって行けるように周辺諸国の底上げ・・中国市場の比重を下げるためにその他の国の市場拡大を図るのが交渉力を引き上げるために一番重要な方策でしょう。
まさに大東亜共栄圏の再現・・ウインウインの関係で、お互いに底上げするように協調することが重要です。
そうすれば日本に主導権が徐々に奪われても、ある程度アメリカに有利な交渉が成立すればアジア連合と仲良くしている方がアメリカにとって利益があります。
中国の人口が約13億に対して、東南アジアからインドまでの人口合計は16億とも言いますし、これからの人口伸び率は中国を上回ることが予想されます。
彼らのレベルアップに協力すれば、無茶な要求を突きつけて来る中国を相手にしなくとも、十分対抗出来るでしょう。
この策は、真珠の環とか言われて如何にもいつでもぶち切れそうな弱いメージで、先秦時代の蘇秦の合従策に似ています。
当時の合従は弱者連合でしたし直ぐについえてしまった故事からも張儀の連衡策の方が優っているように見えますが、今回は単純弱者連合ではなく中核になる日本は中国よりずっと先の先端技術を握ってる上に、中国の統計が当てにならないので、今でも日本の方が経済力が上の可能性が高いでしょう。
中国は昨年も8%弱の成長率と発表していますが、電力統計、輸送統計など過去に指摘されたデータは改ざんされるようになって当てにならなくなりましたが、今年は原油消費量の伸び率が注目されています。
消費量がはっきりすればその増減率が成長率とほぼ比例関係ですから、かなり正確ですが、これが不明瞭なために輸入統計数字を見ると原油輸入量は4%以下しか伸びていないと言うことですから、実質成長率は4%を大幅に下回るらしいです。
グーグルの 2010/02/04のニュースhttp://news.searchina.ne.jp/disp.cgiy=2010&d=0204&f=business_0204_053.shtmlでは、中国の原油自給率は50%割るリスクを書いています。
輸入が50%とすれば、50%の輸入が4%増えれば全体の消費量は2%増えたことになり、成長率は2%以下だったことになります。
日本のように省エネの発達した先進国と違い、新興国は消費材としても燃費性能の低い車その他の利用率が高い上に、ローエンド産業中心では生産単位として燃料利用率が高いので、工業化が1割進むと1割以上のエネルギー消費という構図が普通です。
新興国では、先進国の成長率よりエネルギー消費率が高くなる傾向がありますから、原油消費量が2%しか増加していないのに7〜8%成長であったという不思議さがココではっきりします。
昨年春から初夏ころに中国発表の貿易黒字が相手国の貿易統計とあわないことが世界で大問題になりましたが、このときは政府が誤摩化したのではなく投機資金流入用の偽装取引だったということでした。
電力消費量と成長率が合わないと言われば、そのデータを成長率発表にあわせればおしまいですし、国内データはいくらでも改ざん可能ですが、原油輸入の場合輸出国が限定されるので、誤摩化し難いのがミソです。
過去にもこうしたやり方で何十年も誤摩化して来たのですから、その累積の結果たる実際のGDPは本当の所、全く信用で来ません。
仮に本当に日本同様としても日本のように実需があって生産している国とは違い、国策で無駄な投資を繰り返している結果の生産量では実際の経済力とは言えません。
話がそれましたが、中国は粗暴そうだから恐れられているだけであって、真偽は別として、軍事面で見ても実際には日本と互角に戦えないとも言われています。
弱者連合であった古代の脆弱な合従策をイメージさせる「真珠の環」と表現するマスコミ呼称は如何にもな中国政府の喜びそうな表現ですが実態は違っています。

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