サービス社会化5→低賃金化1

中進国・近代工業製品がある程度行き渡っている社会での消費レベルアップには、文化力の裏付けが必要です。
これがない限りパクリ文化ではどうにもならない限界・・先進文化圏の日本へ旅行するしかない状態に陥っていると見るべきでしょう。
東南アジア諸国の人が日本へ旅行に来るのは、日本の地方の人が東京や京都へ旅行するような気持ちなっていると書いて来ましたが、豊かになれば文化発信地の魅力が高まるのは必然です。
17年3月18日にちょっと書きましたが、量から質への転換にはより良い物を受容すべき文化力が必須です。
一人二人の傑出した芸術家が理解するだけではなく、これ受入れる庶民大衆の底力・民度が重要です。
国民を貧しくしておいてこれをイキナリ求めるのは無理があるので、中韓は手っ取り早い内需拡大策・・民度を問わない住宅ローン拡大・・不動産バブル拡大に方向を定めて来たように見えます。
アメリカも建国以来のニワカ成金社会ですが、民度の低さをカバーするために大きな家(自宅にプールがあるなど)を建て、世界中から美術品を買い集めて誇る傾向がありましたし、日本でも土地成金が先ずやるのは自宅の新築でした。
これを韓国の金融事情から見ておきましょう。
内需拡大どころか、庶民債務が急膨張している状態が明白です。
債務膨張・・将来への不安や不満爆発が、朴大統領弾劾騒動の底流でしょう。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12225329042.html・16年12月9日付けによれば以下のとおりです。
『朝鮮日報』(11月25日付)は、「家計債務、1世帯平均1000万円、29%が債務増」と題して、次のように伝えた。
(4)「15年の家計債務が前年比で増えた世帯では、1世帯平均で1億1000万ウォン(約1050万円)の債務を負っていることが分かった。韓国開発研究院(KDI)が発表した報告書によると2015年に、14年よりも家計債務が増えた世帯は全体の29%で、平均4470万ウォン(約426万円)の増加だった。家計債務が増えた世帯の平均債務は、14年初めの6600万ウォン(約630万円)から、15年初めには前記のように1億1000万ウォン(約1050万円)に膨らんだ」。
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf2016年第3四半期の資金循環(速報)
上記のとおり日本の場合「日銀16年9月末の統計によると家計金融資産残高は約1750兆円」で増える一方ですが、韓国では逆に借金まみれです。
一世帯1000万円の借金と言っても、韓国と日本とは所得水準が違う上に韓国は財閥で知られるように超格差社会ですから大金持ちには借金がなく庶民に借金が多いのが普通ですから平均の報道では実態は分りません。
日本でも金融資産1750兆円の合計よりは、分布を知りたい点は同じです。
分布と言ってもメデイアのスキな富裕層が何%と言う抽象的分布ではなく、たとえば、個人資産50〜100万の人が何人、100〜200万円の人がおよそ何人2〜300万の人が何人と言う分布です。
これを公表してくれれば、それを見た人が自分の判断でいろんな組合わせで集計して考えられます。
これがないので・・公表されているかも知れませんが私のようなネット弱者には簡単にアクセス出来ないので、1週間ほど前に書いたようにネットニュースでは、自己の主張・報道事実が虚報(最近虚報や歪曲報道による世論誘導リスクが高まっている点も考慮して)でないことを示す意味でも、(財務省◯◯の発表によれば・・などと言うときには)直ぐにもとのデータに飛べるようにリンク先を表示しておくべきです。
ここでは、ナマのデータ不明のママ、韓国では財閥系との格差社会と言う抽象論を前提に意見を書いています。
中国は国有企業債務を増やしても国民の給与は減らさない・内需・・クルマ販売など好調を維持していますが、韓国はそんな余裕が無いので、マトモニ庶民の債務膨張・懐直撃と言う違いでしょうか?
中国は国民を大事にするしかない・大量失業は政権転覆リスクですから不動産バブルであれ、とも角雇用維持・・経済破綻先送りに必死ですが、韓国の場合大多数の大手企業が外資に握られている点が大違いです。
企業・資本家・外資としては、国民がどうなろうとも、赤字なのに債務超過・配当を我慢してまで給与を払うインセンチブがないでしょう。
韓信海運のように雇用やクニの信用等を守るより、あっさりと破産させてしまうドライな経営です。
ここで2017/03/19「サービス社会化4とバブル1」まで書いていたサービス社会化のテーマに戻ります。
アメリカの製造業雇用数減少に戻しますと、先進国の場合中国の解放以来新興国へ製造基地移動の流れが起きたのと平行して先進国内自身でも工程の合理化・・全自動化やITの発達でドンドン工程が省力化されて行く・・工員や中間管理職が不要化しつつあります。
1〜2年前でも鹿児島県だったかで、工場誘致してもホンの数人〜10人程度しか雇用がいらないと言う報道がありました。
農業も水田その他大規模化・・合理化すればすればするほど、従事人口が減ってしまうジレンマがあると言う秋田県知事だったかの話が何年か前に出ていました。
大量雇用の製造業が機械化して労働力不要化して行くと、大量雇用の受け皿になれるのはいまのところ、サービス業くらいしかありません。
この辺は、先進国、中進国を問わず世界共通の構造的大問題です。
金融のプロや学者、IT技術者も一定数必要ですが、製造業から吐き出された何千万人も入らない・・ここでは、圧倒的多数の職場を書いています。
従来1000人の工員が働いていた工場が労働者5〜10数人で済むようなれば、その利益を資本家が受けるほか、IT化やオートメ化製品製造業者や製品単価下落で消費者も恩恵を受けます。
デフレ圧力を「良いじゃないの」と言うと経済学を理解していないとバカにされそうでみんな黙っていますが、合理化による単価下落・品質向上は一人当たりより良い生活が出来て良いことです。
新幹線料金が目玉が飛び出るほど高くて大金持ちしか利用出来ないよりは、料金が下がって庶民も使える方が生活水準が上がることが明らかです。
世界の工場機能が先進国から新興国へ順次移転して行く場合も、先進国消費者は価格下落の恩恵を受けています。
平均賃金が前年比同でも物価が1割下がっていれば、国民の生活水準がⅠ割上がったことになります。
元々のサービス業従事者にとっては、前年比同または何%か収入が上がっている場合、不満がありません。
物価が1割下落してもサービス業への転職による収入減がそれ以上に大きい人から見ればこの不満が大きく格差反対論の原動力になります。
中間管理職で年収1000万超だった人が、希望退職に応じて年収数百万のサービス業従事者になるとその格差に精神的にも耐えられないでしょう。
日本では中間層の追い出しを激しくしていません(定年退職を待って次の補充を減らすやり方が主流です)ので、この種の人がアメリカほど多くないことから格差反対論が広がらない原因です。
働き以上の高給取りが100人減れば、その分を国民全般が物価下落の形で受益し、業種的には資本家やIT関連やロボットその他の製造装置製造販売関連が受益していることになります。

サービス社会化1(貿易依存度1)

WTO違反の裁定などどうせ時間がかかるので、その前に日本が屈服して来るだろうと言う実力主義・・WTO裁定(負けるのが分っていても)の結果を中国は気にしない態度を明らかにして来ましたが、僅か1年で大規模訪日団を送るところまで追い込まれたのは中国の方でした。
レアース禁前後には、事前に決まっていた訪中使節その他ありとあらゆる日中交流日程を予定が立たないなどと言う理由で次々とキャンセルして来たことから見れば、自分の方から訪問して来るなどは180度の方向転換です。
ただ、この辺はそれほどメンツにこだわらない中国人民の柔軟性で、韓国のようにトコトン修正出来ない硬直民族との違いです。
いろんな事象に対するネットコメントを見ると、韓国人のコメントでは北朝鮮政府声明のようにいつも決まりきった反日意見しか出て来ませんが、中国人のコメントはネット検閲が厳しいと言われる割に、自国を客観的に見るコメントが多いのをみるとこれが、政府の柔軟性と繋がっているのでしょう。
もしかして柔軟性と言うよりも実利100%の国民性・・恥も外聞もない・・実利優先と言う方が正しいのかも知れませんが・・。
中国地域は異民族支配の方が長い・現在でも多民族社会ですから、物事を相対的に見る習慣が本来あるとも言えます。
専制支配が長かった印象から外れますが、異民族・多民族社会であるから自由に意見を言わせると百家争鳴でまとまらない・・強権支配しか出来なかったとも言えます。
巨人と言われたチトー死亡後ユーゴスラヴィアが解体に向かった例でも分りますが、余程の指導者か強権支配しか社会が持たないのかも知れません。
低レベル社会では落ち着いたが話し合い解決が不可能なので、議院内閣制ではなく大統領制でないと国家運営出来ない原理に繋がっています。
大統領制とは専制支配の民主的修辞です。
元々漢民族自体が黄河中流域の洛陽〜開封までの盆地・・中原地域を囲む四囲の個性の異なった民族・・北狄(高原・山麓の狩猟民族・西戎(荒涼たる砂漠の騎馬民族)・南蛮(江南・湖沼水郷系民族)、東夷(黄河デルタ地帯の民族)が、市場交易を求めて渡河の容易な黄河中流域に集まって混合した民族がその原型です。
時代の進展により、狭い中原から交易圏が広がり、(春秋戦国時代に新興勢力楚王が、周王室の鼎の軽重を聞き、秦末漢楚の攻防も結局は長江流域が交易圏に組み込まれて来た時代を表しています)今では何千km単位の広大なイメージの西戎(アフガニスタン付近まで含む)南蛮(ベトナム〜インドを含む)東夷(朝鮮日本を含む)ですが、元は洛陽あたりを中心に目に見える範囲の周辺山地・原野・デルタ地帯の先を指していた言葉です。
交易権が広がると水運に便利な便利な下流に中心地が移り、洛陽から開封に都が移って行きます。
日本でも壬申の乱の頃の東国とは、今の岐阜県あたりを指していたのですが、中世では箱根以東をさすようになったように、周辺呼称の範囲は行動圏の広がりに連れて広がります。
レアアース禁輸に話題を戻します。
レアアース禁輸後約1年経過で勝負がついて中国経済代表団が訪日せざるを得ない結果になったのは、WTOの裁定(正義)によったのでなく、日本の技術力・抵抗力が上回ったことによります。
中国は嫌がらせで日本企業を閉め出したつもりだったのに、日本の高度技術が必要なので日本からの投資減退で参ってしまったことによります。
(穴埋めにドイツ誘致を計画しましたが補完し切れないことが分ったので、手のひら返しに訪日団を結成するしかなくなったのです。)
現在韓国が中国の締め上げに参っているのは、フィリッピン同様に韓国には代替の利かない高度技術が少ないのでスキなようにやられている原因です。
日本もBtoBではなくBtoCあるいは訪日中国人観光客や現地スーパーのような代替性の高い分野に頼る業界が増えると、中国が何か要求を通したくなるとイキナリ対日観光客を絞ったり、現地日経コンビニなどを標的の不買運動など嫌がらせが始まるので、リスクが大きくなります。
フィリッピンのバナナの通関手続を故意に遅らせて腐らせてしまったりしていましたが、レアアース事件のときにもこの味を占めてたのか?日本からの輸入品の通関手続を故意に遅らせるイヤガラセをしていましたが、部品は腐らないし困ったのは輸出向け工場で日本製部品の早期組み込みを必要としていた中国民族企業の方でした。
現在中国の対韓嫌がらせも観光・韓流その他消費系が困っているだけで、今朝の日経新聞によるとサムスン・SKなどの対中半導体輸出は今年二月は前年比5割増メモリーは8割増とかで好調らしいです。
今後中国の内需目的の進出企業が巨額投資してしまうと、フィリピンのバナナのように何をやられても我慢するしかない・・かなりのリスクが生じます。
ここからサービス経済化にどのように対応するべきかテーマに入って行きます。
3月11日日経新聞朝刊7pには、米雇用23.9万人増の見出しとともに「完全雇用の死角」の題名で1990年から2016年までに民間雇用者総数は3000万員増えたが製造業では500万人減り代わりにサービス業では2500万人増えている」
「長い目で見ると給与の高い製造業の減少傾向が続き給与水準の低いサービス業へシフトが進んでいる」
となっています。
その記事の冒頭に建設現場では、給与を2〜3割上げても人手不足のままと言う現象を紹介しています。
如何にも白人・中間層は元々3K職場・建設現場に来ない・・移民労働者が入って来ないとどうにもならないと言うイメージ操作っぽい記事でもありますが、一応こんなところです。
全体の論調は(移民に職を奪われたのではなく)完全雇用下なのに多くの人が不満を持つようになったのは、サービス業シフトが賃金低下・生活水準低下を進めたから・・と言う説明です。
先進国の発展過程は、一般的に地場で成功した企業が県外等へ輸出し、次いで◯◯地方から全国規模輸出となるに連れて工場も域外に作って行く、最後に海外展開して行くのでこの間に儲けの還元などで自然と内需・サービス業も追いついて行きます。
AI化やロボット化オートメ化進展で製造業の発展に連れて成長していたサ−ビス業が、(工場周辺飲食店ではなく)製造業と切り離して独自に必要な時代が来たのです。
中国、韓国などの中進国の足踏み現象を経済的に見ると、この順次発展の過程を経ていない分、より大きな構造問題が起きるように見えます。
自発的発展ではなく、低賃金を武器にした世界の工場機能を果たすときには、元々ゼロのところに先進国から先端的近代工場が進出して来るので後進国の前近代的生産性から見ると百倍?規模で生産性アップする上に、誘致にあたっては国内産業保護のために当初100%輸出用生産しか認めないことが多い・・国内需要無視の輸出型工場誘致ですので先進国本社で輸出先を用意してくれる・・作った分だけ売れます。
中国開改革開放後に日本向け野菜などの(日本人好みに合うように)生産指導が盛んでしたが、全量日本のスーパーなどが引き取る契約でした。
毒餃子事件の騒動の報道もこの種の流れは分るでしょう。

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