アングロ・アメリカンルール1

ソ連も崩壊し今やアメリカンルールの時代ですから、アメリカが主導する市場経済・金融秩序に組み込まれて行くしかありません。
全面的にどっぷり浸かることではなく、かと言って頭から反対することではなく、表面上取り込み柔軟対応しながらも日本民族の良いところを残して行くことが我が国のとるべき基本方針で明治以来ずっとやってきました。
明治維新の頃には、英米流の弱肉強食の世界政治の時代でしたが、こんなことは道義に反すると主張しても侵略されてしまうのでは叶わないので、開国に応じて富国強兵政策に転じるしかありませんでした。
(アヘン戦争と言う道義に反した戦争を仕掛けられて香港を割譲させられた例を知って、日本の志士を奮い起こさせたことは誰でも知っていることでしょう)
この理を友邦である朝鮮に説いても言うことを聞かず、ロシアの被保護国化して行くばかりなのでついに日韓併合になったのですが、この理は中国に対しても同じで留学生を受入れて熱心に教育して欧米対抗の人材養成に努めて来たのです。
ですから日本統治下の台湾や朝鮮満州では、日本の資金によって基礎教育を熱心に施してきました。
欧米植民地での現地人愚昧化政策とは180度違っていたのです。
これらの教育を受けた人材・遺産が戦後旧日本統治地域でハイレベルの人材を輩出しているのは疑いのない事実と言えます。
英米から米英へ世界の主導権が代わっても、異民族間・あるいは国民間の不信感を助長して対立させてはウマイ汁を吸うアングロ・アメリカン流世界政治の流れは今のところ変わっていません。
(これにウマウマと乗せられて韓国や中国では日本批判が盛んですが、その情報は殆どアメリカ発の印象です)
日中韓が仲良くならないように、鳩山政権が中国寄りになると直ぐにアメリカの示唆を受けて中国は尖閣諸島への強硬策を展開したので、日本人の対中国民感情が決定的に悪くなりました。
(尖閣諸島の個人所有地買い上げを石原都知事が提案すると瞬く間に巨額の寄付金が集まっていることからも推測出来ます)
裏で適当にアメリカが陰で中韓をけしかけているのが明らかですが、こんな単純な「離間の策」に乗ってしまう両国のレベルが低すぎるのを嘆いても仕方ないので、日本も適宜毅然と対応して行くしかないのも現実です。
しかしレベルの低い民族(マア言えばガキレベル)と同等の喧嘩をしていると日本人までレベルが低くなってしまいます。
ある程度鷹揚に構えているのが一頭抜きん出た人物のすることでしょう。
日本は戦後の高度成長期においても欧米の横暴に対してアジア諸国のレベルアップで対抗したいという思いでずっと来ました。
この結果アジア諸国は独立を果たし、(日本軍の進撃は現地人に対する欧米には絶対叶わないという人種意識で凝り固まっていた現地人に対して「自分たちもやれる」という自信を植え付けるのにどれだけ大きな役割を果たしたかは疑いのない歴史事実です)更に工業化への離陸も果たせました。
(その分、植民地を失うことになった原動力の日本に対する欧米の恨みは大きいことを忘れてはなりません)
日本人の農業・水利その他の現地指導は私心のない誠実な仕事が多くて現地からとても感謝されていますが、その分欧米にとっては脅威になっているのでことあるごとに日本を陥れるための風説流布の対象になり易いのは仕方のないことです。
中韓は東南アジアとは違い、日本の技術強協力の結果レベルアップすると、感謝や一致協力よりは、日本に対する対抗心が強いことを利用したアメリカの分断策・・離間の策にのって、背後のアメリカのお墨付きもあって、いわれのない日本非難に明け暮れているのは残念なことです。
20世紀に入ってからも英国主導からアメリカ主導に変わっただけでアメリカのやりたい放題でしたが、アングロ・アメリカンあるいはユダや資本主導のえげつない国際経済・政治の潮流が今回のギリシャ危機を引き起こしてるという認識が広がれば、これを機縁に変わって行くことになるかも知れません。
フランス新政権の新たな実験がどうなるかですが、市場経済万能あるいは金融資本万能・共同体の価値を無視する(共同体や国はどうなっても自分さえ儲ければ良い式の風潮)従来の傾向に修正がかかる方向に行くのではないでしょうか?
この辺は感想を海外収益還流の永続性に関して5月16日に「海外収益の還流持続性5(ギリシャ・フランスの選択)」に書きましたが、大きな思想変化の始まりになるかも知れません。
日本民族の価値観が世界の主流になる日まで我が国はその時々の世界思潮に日本の本質を捨てないまま(和魂洋才で)表面上合わせて行くしかありません。
経済問題でもアングロ・アメリカの主導するルール・・グローバル化・・市場経済化に今のところ合わせて行くしかないので、完全にこれを無視した政策など出来ません。
スポーツ関係でも日本選手が独走し始めると直ぐにルールを変えることが多かったのですが、経済界でもいつもアメリカの都合によってルールが変わります。
自分が無茶苦茶にクジラを捕っていて不要になると今度はイキナリ残虐なことだと日本を標的に禁止にするなど言わば自分勝手も良いとこですが、日本はそれでも黙って調査捕鯨として細々と日本文化を守っています。
日本が明治以来アジアをまとめて欧米に対抗しようとしているのが分っているので、欧米は陰に陽に草の根で人気の高い日本叩きに必死でやって来たのがここ200年間の歴史でした。
喧嘩や論争のルールでもそうですが、我が国の場合、神が見守っていて酷いことをすれば必ず天罰がある・・それまで負けた方が一々言い訳しないことが美徳です。
日本ではいろいろ言い訳・・他人の悪口を言う方が負けの社会です。
第二次世界大戦もイラクのフセインのようにアメリカに仕掛けられて罠にはまった格好ですし、極東軍事裁判も一方的でひどいものですが、これは歴史という神が裁いてくれると信じて多くの国民は黙っています。
無神論と言われるわが国民が崇高な神の裁きを信じているので、滅多なことは出来ないと考える人が多いのに対して、キリスト教国と表向き主張するアメリカの方が現世主義で勝負に勝ちさえすればやりたいだけやれば良いみたいな国民性です。
(極論すれば・・捕まらなければ悪いことをしても良いような国民が多いから犯罪が多いのでしょう)

格差社会1(アメリカンドリーム)

ウオール街での格差是正デモがあったのでこの際書いておきますと、アメリカ社会では一握りの大金持ちがいて大多数が貧しい・貧富格差が大きいのが特徴ですから、正義の実現のためにこの是正が必要なことは国際収支赤字の問題とは別次元の問題です。
10月24日の日経朝刊5ページの「グローバルオピニオン」欄のスティグリッツ氏(ウオール街デモの基礎になる論文を書いた人らしい)によると、アメリカでは上位1%の富裕層が所得全体の4分の1を稼ぎ、富みの40%を占めていると書かれています。
アメリカンドリームという言葉を有り難がっている人が多いのですが、この熟語自体が、超格差社会を反映した言葉です。
国内の富が一定であれば、一人で何兆円・天文学的富を持つ人がいる以上その分誰かが貧しい人がいる理屈です。
また統計の話ですが、国民平均所得で世界ランキングを発表しているのが普通ですが、平均と最多数値帯とは同じではありません。
アメリカやインド中国のように格差の激しい社会では、平均値以下の人が圧倒的多数になります。
工場労働者の平均賃金とか、非正規雇用者の平均賃金など職種別平均賃金で比較しないと実態が分りません。
弁護士でもそうですが、アメリカのように大規模事務所が発達していると、そこのパートナー(経営者)と平の弁護士の格差が大きいので、弁護士全部の平均収入を比較しても大多数の弁護士の収入平均にはなりません。
また、金融収支の比重が上がって来ると国内総生産を国民数で割るようなおおざっぱな統計ではなく、(内容を見るとこんな程度ですから、これを統計と言えるのか驚きです)金融収支の分も加味しないと意味不明になります。
前回まで書いたように、我が国でも貿易収支の黒字よりも所得収支の黒字比率が上昇して来ると、製造業関係に携わるべき人(失業者も含めて)の収入比率が減るのは当然で、逆に無職あるいは低所得でも所得収支で稼いでいる人の比率が上昇します。
金融収入に関与する人は高額所得者ないし遺産収入の有る人などが多いので、格差拡大が余計拡大して行きます。
10月26日まで書いたように、貿易赤字が進んで国内生産が壊滅状態になってもまだ経常収支が黒字の場合、国民の多くは失業しながらも食えて行けるのは、海外からの送金があるからです。
国民全体が無職で年金生活をしているような社会です。
年金や生活保護支給のため、あるいは医療や保険給付,保育士などの職員は,個人としては失業中ではないですが、国家経済全体では生活保護や失業給付支出内の支出に過ぎません。
金融収支や所得収支に頼る国家経済では、海外から送金の恩恵に与かれるのは限られた人になりがちで、限られた大金持ちの海外からの金融所得・知財収入等に失業中の多くの国民がぶら下がる構図ですが、こういう社会になれば貧富格差が大きくなるのは当然です。
対外純債務国のアメリカの場合海外からの利子配当ではなく借金中心ですが、借金出来る人と出来ない人の格差を緩和するために庶民にも支払能力に関係なく借りさせて良い家に住めるようにした・・借金の恩恵を庶民に及ぼしたのがアメリカのサブプライムローンでした。
特にジニ係数・・相対的貧困率になって来ると、フローの収入平均よりもストックも重要ですが、これの統計が難しいので、全く無視して議論している様子です。
高齢社会では、(高齢者は今の収入はゼロに近くとも、ストックの取り崩しで生活している人が多いので・富豪まで貧困層にカウントされてしまいます。)意味がなくなっていることもこの後に書いて行きます。
製造業分野で国際競争から長い間脱落していたアメリカでは、マイケルジャクソンやビルゲイツなど一握りの成功者が巨万の富を得て、国民大衆は失業状態・・彼らの寄付・慈善事業・・おこぼれ・・お布施に頼っているのがアメリカの理想社会の現実の姿であり、これを有り難がっている我が国のマスコミはどうかしています。

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