中国の脅威2(監視・粛清国家)

経済力の限界・忍耐競争で勝負すると北朝鮮の例で分かるように、非民主国家の方が耐性があるので有利です。
国民の支持・民意で戦争している民主国家の方が国民意思無視戦争を始める国家よりも一見強そうですが、(そのようにメデイアは宣伝しますが・・)民主国家の場合ちょっとした国民の不満に対しても政治家が弱いので、実は我慢に対する耐性が低いのです。
軍事費にかける比率が民主国家では3〜5%が限度としても、中国やロシアのような恐怖政治国では国民は自分の身の安全が第一ですから、軍事費率20〜30%でも自分の身に直接危害の及ばない分野・税の使い道程度には関心が低い結果国内的には問題になりません。
正常な批判がない代わり経済活動に振り向けるべき人材やエネルギーを軍事費に際限なく注力するので、長期的には国際競走量維持に必要な研究開発や民度レベルが下がって行きます。
遅れた分は、時間とコストのかかる自力開発よりはスパイ活動でアンチョコに仕入れればいいと言う発想・政策になっていきます。
ソ連が人工衛星や大陸間弾道弾を飛ばせても車その他の民生品をつくる産業・足元が育たなかった原因ですし、解放後の中国が国家規模のスパイに馴染みにくい消費財生産の必要に目覚めると民間任せの知財その他の産業技術剽窃を事実上奨励していましたが、これでは間に合わなくなったのか最近では市場規模が大きくなったので強気になった結果、進出企業に対する先端技術の強制提供・・応じなかれば許可しないという露骨な強盗的基本姿勢になっている原因です。
新薬発明の苦労を見ればわかるようにものになるまでの失敗に終わった何十倍もの実験その他の何十年にわたる苦労の成果ですが、その苦労の結果商品になったもののその改良版工夫などは新薬創出に比べれば、取るに足りない努力で出来ます。
日本の新幹線技術移転を受けて、この技術の一部を改良して国産技術だと言って(ちょっと改良するだけならコストがほとんどかかりません)海外に売り出しているのはこのやり方です。
スパイに頼るソ連の失敗の教訓を生かしてうまいことをしているつもりですが、このやり方では技術泥棒→強盗国家という評価が定着していきます。
日本が韓国に対する技術流出リスクに慎重になり、中国への新幹線輸出による技術流出で懲りているように、世界中がこれに対する抵抗力がついて行くでしょうから、いつまでも同じうまい汁を吸うことが続くとは思えません。
国力無視の軍事力膨張は中期的には可能ですが、長期的には基礎力になるべき産業力が縮小していくのでこれを防ぐための剽窃・技術移転強制政策ですが、いつまでたっても他国技術に頼るしかない2流國のままです。
ソ連は、冷戦時代・・秘密警察や軍事費膨張ばかりが長すぎたのが自壊の原因です。
http://www.garbagenews.net/archives/2258868.htmlによると以下の通りです
2017/05/03 05:20

 
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 軍事費の対GDP比(2016年)(2016年時点の軍事費上位10か国)「中国の国防費は実際にはもっと多いともいわれている。米国防総省による試算では、中国政府発表の数字より10%ほど多く支出しているという。すべての関連支出を合わせると公表値の2倍を超えるとの見方もある。」
上記のように中国の場合軍事費にカウントされない治安要員の武装警察予算・サイバーテロ予算などでが軍事費と同額くらいあると言われていますし、上記引用のように2倍説も多く見られます。
元々各種統計発表数字自体が信用されていない上に、いろんな予算に軍事費が紛れ込んでいるので実態不明の程度が2x2の関係と言われています。
その上、GDP自体粉飾説が根強く実際のGDPは3分の1くらいではないかという意見が多く見られるなど実態はまるで不明です。
以下産経の記事からです。
http://www.sankei.com/smp/world/news/170625/wor1706250018-s1.html
2016年のGDPをめぐっては、31ある省クラスの地方政府が個別公表したデータの合算が、国家統計局が発表ずみのGDPの総額を2兆7559億元(約45兆円)も超過する事態となった。国内11位の上海市ひとつ分が“水増し”された計算。「いわば国家ぐるみの“粉飾決算”」(市場関係者)との指摘がある。
 遼寧省では今年1月、11~14年に税収を水増し報告して経済統計が改竄されていたことが、省の人民代表大会(地方議会に相当)で公表された。意図的な修正を地方政府が認めたのは中国で初めて。李克強首相が遼寧省トップだった07年、中国のGDPについて「人為的に操作されており参考値にすぎない」と話したとの米外交公電を内部告発サイト「ウィキリークス」が10年に明らかにしている。」
日経新聞も同様です。https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H99_R20C17A8EA2000/
2017/8/21 23:57
日本経済新聞 電子版
習氏一喝でGDP修正 遼寧省、名目マイナス20%に   
異例ともいえる成長率の急低下は、経済統計の水増しやねつ造を戒める習近平国家主席の強い意向を受けた動きとの見方が多い。ほかの省などにも今後、同じような「修正」は広がりそうだ。」

失政隠し(政敵粛清)の功罪2

中国の人件費上昇によって元々バングラデッシュやベトナムその他に輸出基地が移転し始めている打撃が大きいのですが、食品輸出工場の非衛生報道は、この動きに拍車をかけるものになっています。
食品工場だけでも膨大な人口が働いていたでしょうから、政府が何か外資たたきをやるたびに底辺層の大量失業拡大が続き、日々の生活に苦しむ大量の人々が輩出されて行きます。
(後述のように短期的には)大きな失政と言うべきでしょう。
政府が外資たたきをやればやるほど失業が増えるので、(レアアースの禁輸でも中国のレアアース生産が激減して業界は不況に苦しみました)失政の都度不満のガス抜きをどうするかに悩んでいるのが共産党政府で、愛国心に火をつけて誤摩化そうとして反日や領土拡張政策をやってみてもうまく行きませんでした。
今度は反日教育強化を続ける外にさしあたり巨額汚職摘発による政敵粛清で、不満のガス抜き政策に転じて1石2鳥のつもりのようです。
しかし、政敵粛清を兼ねた巨額賄賂摘発は、非主流幹部だけを狙い撃ち摘発しているのですから、国民から見れば却って共産党幹部や高官が私腹を肥やしていると言う世間の噂や風聞を政府自身が承認した・・自白した結果になります。
過去の権力者が私腹を肥やしていたと政府自身が認めた場合「現権力者・習近平とその周辺の方がもっと(遠慮なく)私腹を肥やしているだろう」と言う権力層・大幹部への不満がもっと確信的になります。
アメリカ企業の子会社だけ抜き取って非衛生ぶりを大々的に報道すれば、その他の食品工場も似たようなもの・・外資の厳重検査のない民族系工場はもっと酷いだろうと日本の消費者が中国からの輸入品全部を敬遠するようになるのと同じ・・政敵粛正のために汚職を上げれば、粛清されない政府幹部はもっと大きな汚職しているだろうと国民が思うようになるのが予め理解出来ていないのです。
中国の政策はレアアース禁輸や、反日暴動や対外軍事膨張政策でも目先相手が驚くので、全て成功したつもりでいるようです。
すべて 自分に正義がないのに相手を非難すれば、間接的に自分にそのマイナス効果が戻って来ますが、間接的効果は国民レベルが低いと理解し難いようです。
ヤクザが相手を脅かして「自分の怖さを思い知ったか!」とタンカを切って意気揚々と帰ったつもりでも、その後町の嫌われ者になるからトータルで損していることが分らないのと同じです。
中国の政策は戦略的で?外資狙い撃ちや政敵を狙い撃ちなど戦略が見え透いているので分りよい・・その場の効果は、劇的です・・今回の米系の食品工場は、マスコミ大報道があれば即廃業でしょう。
レアアース禁輸や反日暴動・外資狙い撃ちや汚職摘発は、その効果が長い目で見れば自分に戻って来るのが国民も政府も気が付かない・・分る能力がないようです。
最近の食品工場事件では、僅か数日で中国製品オールシャットアウト→民族系工場の輸出に波及効果が出ますが、この程度のことも予め理解できない政府と言う評価が一般的と思われます。
ただ社会の進歩と言うのは複雑なもので、短期と長期では効果が違ってきます。
レアアース禁輸は日本を苦しめる目的に失敗し、短期的には中国のレアアース生産売上が減ってしまいましたが、日本の省資源技術開発によって資源が短期間で浪費し尽くされずに長期的に輸出資源として利用できる・・息長く儲けられるようになった利益の方が大きかったかも知れません。
食品工場の衛生問題の摘発は短期的には自国企業にもマイナス影響が及びますが、その教訓で国内の衛生観念の向上に何がしかの効力が生じて長い目で見れば中国の民度底上げに繋がるでしょう。
政敵粛正目的とは言え、政敵が超巨額の私腹を肥やしていたと公開すれば、将来的に権力者自身の私腹肥やしは抑制されて行くことになるでしょう。
このように社会事象は長期的に見れば別の効能もあって一概に言えませんから、私が一方的に書いている面(別の見方もあるなと思いながら一々そこに触れないで書いています・・)を読者は自分の視点で別に考えていただく必要があります。
自己保身と私益拡大中心の中国政府権力者が、自分の任期を越える数十年先の社会利益を考えて「ここ数年は大損しても良い」と言う政治をしているとは思えないので、このコラムでは政府の短期的利益目的の視点に合わせてその所期した効果が出ているのか?逆ではないかと言う視点でその功罪を書いています。

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