政権担当能力2(マスコミ支配)

昨年末から書いているように、マスコミは戦後ずっと米英支配下にあるので、政権が中国寄りになること自体不快に思っている外に、韓国のようにアメリカ・IMF官僚の言うとおり・・経済植民地化に応じない・しぶとい自民党(ひいては日本国民)を追い込むために、マスコミ操作して来た可能性があります。
韓国のように欧米資本が全面的に牛耳って植民地化すれば、その資本・企業が中国といくら取引しようと構わないのが欧米の戦略です。
日産のように外資が過半を占めれば、最早日系企業ではありません。
韓国の大企業がぐんぐん欧米で伸びているのは欧米資本になっているから・・韓国の無茶なウオン安・・いきなり約半値になりました・・政策を欧米はまるで批判しません。
むしろ日本民族資本のトヤタやパナソニック等を追い上げるのを喜んでいる・・応援していると思われます。
サムソンとアップルの争いと言っても、韓国とアメリカ企業の争いのよう日本からは見えていますが、実質はアメリカ資本同士の争いです。
(だからサムソンは遠慮なく戦える面があります・・日本企業だとこんな全面戦争はとても無理でしょう・・)
トヨタはインチキクレームで巨額損失を出したので、本来損害賠償請求すべき立場でしたが、逆に訴えられていた事件で何百億もの和解金を払うことになったとつい最近報道されています。
・・アメリカで長期訴訟に巻き込まれているマイナスの方が大きいという変な判断ですが、民族資本のママだとこのような不当な結果ばかりが待っています。
中国リスク報道ばかり目につきますが、アメリカの方が実は不当な恐喝的行為の多いカントリーリスクの大きい国ですが、巨額でない限りアメリカに支配されているマスコミは滅多に報道しません。
中国批判・対立しながらも中国へのアメリカ企業の進出自体をアメリカは奨励しています。
しかし、欧米企業のママの進出競争では日韓や台湾にとてもかなわないので、日韓、台湾企業の資本を抑えて間接進出すればアメリカ企業の進出と経済効果は変わりません。
マスコミは日本の株式市場や債券市場が外資に魅力がないとしきりに・・ことあるごとに騒ぎますが、(今朝の日経朝刊にもこうした記事が出ています)私がこれまた毎回書いているように国債やトヨタ等の株式の大半を外資に引き受けて貰うことに反対です。
国内でほぼ全量賄っているからこそ、いくら国債が膨らもうと外国からとやかく言われなくても済む・・独立性が保てるし、円高になったくらいで安易に海外に逃げないで歯を食いしばっても国内にとどまる努力をしてくれる・そこから新たな円高水準でも海外で戦える新規事業が生まれる芽が残ります。
欧米は日本の国債・企業等の資本支配をして、そこからアジア進出をしたいのが本音でしょう。
(資本受入れに応じない・・企業買収に簡単に応じない日本企業の中国進出に対しては、戦前の機会均等要求同様に日本の突出した中国大量進出にアメリカは不満を持っていますが、戦前と違って機会は均等なので表向き仕方がない状態です。
(・・中国でのデモ・暴動等を背後でけしかけて日本の進出意欲を殺ぐくらいでしょう)
小泉政権を継いだ自民党3代政権・構造改革路線に反する政権に対するマスコミの揚げ足取り的集中砲火は異常でした。
このころから韓流の大量報道に始まり、マスコミの自制(表向きの政治的中立)がなくなり始めた時代と言えるでしょうか?
マスコミは政権批判の材料として安倍→福田→麻生とどれも世襲でひ弱で政権担当能力がないという集中砲火を浴びせて次々と総理を代わらせて最後に下野させるのに成功しました。
そもそも政権担当・実務能力などと言い出したら、マスコミの標的次第でいつでも集中砲火が可能ですから、マスコミの狙い撃ち次第になります。
実務能力を基準にすると政権担当経験のない野党に政権交代する選挙制度・民主主義制度自体論理矛盾になります。
政権担当実務能力という基準で攻撃出来れば、どんな政権になっても気に入らない政権の場合いつでもマスコミを使って倒すことが可能になります。
ひいては「意に反すればいつでも倒せるのだぞ」という脅しにマスコミを使えることを意味していますが、もともと中立を装ったマスコミの威力は巨大でしたが、この4〜5年のマスコミの動きは露骨過ぎたように思います。

社会安定期の政権担当能力1

安定成長=本来政治安定期になる筈の我が国が、逆に政治混迷期に陥っているように見えるのは何故でしょうか?
政治の基礎になるべき社会生活の安定性はこの約20年で際立って良くなっています。
交通事故死、犯罪率その他全ての基礎的指標が良くなる一方です。
(昔なら病死していた人が生きながらえることによる介護疲れによる虐待や殺人事件がありますが、それでも殺人罪や暴力の絶対数は減っています)
自殺者の増加・高位安定が問題視されていますが、これは生活基礎の安定に反する指標というよりは、病気になっても簡単に死ねない面が大きい・・医療の充実による療養長期化による面が無視出来ません。
我が国のバブル崩壊後の政治低迷は、我が国政治の舵取りの難しさにあります。
少子高齢化で世界トップを走っていることその他世界最先端生活水準に突入している我が国の場合、お手本になる先進国がありませんから、お手本を勉強するのに優れている秀才の言うとおりやれば良い簡単な国ではありません。
我が国政治決断には学者・評論家のような単純回路ではなく複雑回路が必要ですので、何事も単純回路で考えて明確な結論を出したがる学者・評論家の言うとおり実行する方が、誤りが大きいと思われます。
(学者の論文は、「その他の与件が一定とした場合こうなる」という単純な論法ですが、実際社会では与件が決まっていることは何一つありません)
中国のように我勝ちに電車に乗り込む社会では、日本のように並んで待ちましょうとか道路につばを吐かないようにしましょう、街を綺麗にしましょうという教育が簡単ですが、日本では現在社会で守るべき理想的道徳が自然に守られている社会ですから、これをこう変えたら社会が抜本的に良くなるという指導の余地が滅多にありません。
こう言う状態下では目覚ましい成果を得る政治家を求めるマスコミ風潮では誰が政治家になっても、無い物ねだりとなりますから、「誰がなっても同じだ」「投票したい人がいない」と言う政治家に対する不満(本当は当たり前のことです)が生じ易くなります。
この結果政策批判よりはマスコミが政治家のあら探しに終始して国民に不満を起こさせるようにしむけていて、これに国民が引っかかって来た・・政治不信を醸成されて来たのがこの約20〜30年であったように思います。
中国の改革解放化以降、ともすれば中国傾斜する日本の心理をアメリカが必死に引き止めるために、マスコミを利用して腹の太い有力政治家が出てきそうになると政策に関係のないあら探しで引きずりおろすことの繰り返しで、日本の政治は低迷を続けて来ました。
この間唯一小泉政権は、日米基軸で反中韓政策一本槍で分り良かったので(アメリカ支配の)マスコミからも喝采を浴びましたが、小泉氏の指名で政権を引き継いだ安倍氏は、就任直後先ず中国に飛んで日中修復に動きました。
郵政民営化もうやむやにする方向になって民営化に反対した議員の復党も認める方向になって行くなど全て小泉改革の逆方向へ舵を切ったのが安倍政権でした。
強気一点張りの政治は長く続かないので、ある程度修復の必要性があるのは仕方がない面もありますが、安倍氏の政策は表向きの意見とは違う逆方向・・うやむや政治になるのが安倍政権の特徴だったと言えるでしょうか?
今回の竹島や尖閣諸島騒動の沈静化に関しても、選挙戦での威勢のいい主張とは真逆で安倍政権になると日本側から関係修復のために先に特使派遣というのでは「?」と思う人が多いと思います。
これ以上日本側からこじらせる必要はない・・大人の対応は良いことだと思います。
ただ、今回は(・・これまでもいつも中韓からの仕掛けで始まったことが多いのですが・・)韓国や中国の仕掛けて来たことに日本人が腹を立てていることであって、日本から何もしていないのですから、向こうから「やり過ぎたとか、言い過ぎた」とかの陳謝なり何なりの沈静化特使を送って来て、日本がそれ以上追及しないでうやむやに終わらせるのは分りますが、相手が言いたい放題言っておいて知らんぷりなのに、何故日本が先に謝りに行くのでしょうか?
相手から特使が来るまでは、そんな失礼なことを言ったり、する国とは距離をおいて交際して行く・辛抱の継続で良いのではないでしょうか?
日本の体力では距離をおいて交際して行くことが出来なくなったから謝りに行くのでしょうか?
この辺の実態が素人には見えませんので政治家に委ねるしかないですが、もしも突っ張り合いしていると日本の方が参ってしまうという国力差があるのでしたら、始めっから喧嘩しなければ良いのです。
(実際対アメリカではこのスタンスでやってきました)
個人の場合も弱い方は喧嘩しないで始めっから尻尾を巻いて逃げるのが普通です。
しかし、自民党政権は何十年もこう言うやり方でうやむやにして来た前科があるので、日本の方が体力的に参ったから・・という推測が出来ません。
ホンの少し前まで中国は日本のGDPの4分の1程度だったのですが、それでも今までやられ放題でしたし、今でも対韓国では日本と大きな国力差があります。
自民党政権はこんなことの繰り返しばかりして来たから、中韓は何かやればその都度既成事実となって行く・・・味を占めて図々しくなる一方だとして国民が怒ってしまったのではないでしょうか。
話題を日米関係に戻しますと、どちらかと言うと小泉政権の日米蜜月から日中修復トレンド・・アジア寄り(アメリカ軽視)に舵を切ったのが、第一次安倍政権だったと言えます。
ネットで見ていると安倍氏支持層に重なる右翼による小泉経済政策批判・新自由主義経済路線・構造改革路線はアメリカに日本を売り渡すものだという論法・・現在のTPP批判論と共通する言い方ですから、安倍政権は日米同盟強化を標榜して、しかも真っ先にアメリカ訪問を言っている割に内容実質は安倍政権支持層の経済・思想観は反米親中国政権の実質を持っています。
左翼系グループ言論人も(もともと反米思想グループですから異とするにはあたりませんが)非正規雇用増加・格差批判論としてアメリカ渡来の新自由主義批判論を展開していることについては September 7, 2012「マイナス利回り2(消費信用1)」で紹介しました。
ナチスやファシストあるいは戦時中の右翼は極左と根は同じ思想であったと10/08/09「右翼と左翼4(市場経済の重要性1)」その他で書いたことがありますが、今でも同じです。

自発能力と借り物技術の違い2

原発事故や中国によるレアース等の輸出制限に対する我が国の適応力はどうでしょうか?
2010年の尖閣諸島紛争以降、レアアースの9割を中国産に頼っている日本を屈服させるために、中国政府はレアアースの対日禁輸で日本に対する締め付けを始めました。
ところが世界最先端技術国である日本はレアアースが来なくなるならば、と言うことで急速に研究してレアアース不要製品または、従来に比べて何割減で間に合う製品開発、レアアースの既製品からの回収技術の開発に次々と成功し始めました。
このために僅か1年経過で中国のレアアース輸出が急速に減少し、価格が最高値段から3分の1に下がってしまったので、今年の10月からは中国最大手のレアアース生産会社が全面生産停止に陥っていたのですが、11月22日のニュースでは更に一ヶ月生産停止を延長するという騒ぎになっています。
この事情を知らされない中国の愛国論調では、もっと日本を困らせるために日本向けレアアース輸出を絞れと勇ましい発言が続いていますが、中国企業の方が火の車・・ひいては関連従事者の失業拡大になっているのが実情です。
中国のように借り物の技術しかない場合、既存資源がなくなればそのさらにその先に研究開発が容易に進んでしまう日本の底力を想像出来なかったのでしょう。
原発事故と津波の相乗被害発生に関しても、韓国ではもう日本は駄目だという見通しで強気に出ていたのはご存知のとおりですが、中国同様に借り物技術の経験しかないことによる見通し違いでした。
この辺は事故直後からイタリアや西洋諸国の国民の大方の反応は、「最先端技術国日本での事故なので、きっと日本で最先端解決策を開発してくれる・・自分の国で起きたら駄目だった」という期待が強かったのとの大きな違いです。
原子炉はいつかは廃炉するしかないことが分っていたものの、実際にはどうして良いかの研究は廃炉するべき実物がないのと現実的需要がないので全く進んでいませんでした。
1986年7月26日に事故発生したチェルノブイリの原子炉などは未だに石棺で覆ったままで放置していて、石棺が壊れて来たのでその石棺再構築費用を国際的に援助して欲しいと言う状態です。
多分、アメリカ1979年3月28日発生のスリーマイル島の原子炉も放置されていると思われます。
ところが世界最先端技術国の日本で今回の事故が起きたことが幸いして、現実に廃炉すべき実験設備が目前にあるし、やりようが分らないと言って放置することは国民感情から言って許されません。
その結果、高放射能下での作業の仕方・・事故時の対応ロボットの製作その他の現実的な研究が文字どおり日々目覚ましく進んでいます。
どこの国も経験したことのないような最先端技術の集積が我が国で進みつつあるので、世界中の研究者にとっては(これに参加させて欲しいという希望が多く)垂涎の的になっているようです。
ロシアや中国のロケット技術と言っても、その殆どがアメリカからの情報流出に頼っているとの噂がもっぱらですが、自前で最先端技術を作っていない国は、チェルノブイリのように一旦事故が起きた場合、その先どうして良いかの研究が出来ない・・くさい物に蓋をするような状態になります。
技術を盗んで来た国では、先進国で似たような事故が起きるの待って、そこの対応技術をまた盗んで来るくらいが最上の策になるのでしょう。
バブル崩壊は世界に先駆けて約20年以上も前から経験しましたし、少子高齢化の進行その他いろんな分野で今の日本は世界最先端経験国です。
最先端経験国であり続けるのは人類未経験事態への適応ですから大変(後から追いつくような高度成長は期待で来ませんが)ではありますが、光栄なことで最先端経験を繰り返して行くことで日本はこれからも世界の指導的地位を維持し続けて行けることが保障されます。

自発能力と借り物技術の違い1

朝鮮民族が自発的能力で工業施設を設置出来たのではなく、日本が作ってくれた機械を練習させて貰って使えるようになっていただけのことですから、時代進展に併せた更新発展能力がないので、北朝鮮の国力はその後沈下して行く一方になって現在に至っています。
中国も同様で既に一定水準の機械設備を日本から既に手に入れたので、後は日本を追い出しても良いという甘い発想で反日暴動を仕組んだのでしょうが、導入した技術ではそれを学んで活用するのがやっとで、その次の発展技術の開発までは簡単に行きません。
中国は日本の代わりに欧米から技術導入が出来なければ、日本の進出抑制(ゼロにはならないので、ゼロになっている北朝鮮に比べてその点は有利ですが日本の進出意欲は徐々に減って行きます)で北朝鮮のように停滞に直面するしかないでしょう。
西洋諸国も中国へ進出したいでしょうが、植民地時代に現地に工場を造らないで差別化しておく方針の遺伝子が残っていますので、日本ほど技術移転に協力的ではありません。
韓国の財閥系大企業の企業業績としては、日本を追い越して躍進が著しいですが、内実は大分異なっています。
彼らは未だに先端技術は自前で育成する能力がないことから、しょっ中日本技術者の招聘・・引き抜きによって更新が繰り返される最先端技術に適応出来ていることは、周知のとおりです。
(この種のことは週末になると韓国行きの日本の技術者の航空便利用者が増えるなど、しょっ中報道で見かけますが、具体的企業名を書いてあったか、どこに書いてあったかまでは覚えていませんので、ここでは企業名はぼかしておきます)
自前技術がなくとも企業化に成功しているのは、無茶に安いウオン・・例えば日本企業の同種製品の半値以下での競争が出来るとした場合、日本でお役御免(リストラ)になった1、5〜2流の技術者の引き抜き程度でも、日本との競争に勝てるからです。
ここ1ヶ月間ほど前からウオンが上がり気味になって来て、韓国企業が大騒ぎになっているのは、こうした価格差だけが取り柄の競争をして来たからです。
今回の竹島問題による日本の強烈な拒否反応に最も驚いたのは韓国政府よりも企業家・経営者ではないでしょうか?
日本人は恥ずかしいと言うか、はしたないので愛国心を強調して大騒ぎしませんが、その分、心の中での愛国心の強さは半端ではありません。
中国や韓国では富裕層から順に国を捨てて外国に逃げ出すことが第一の希望である社会ですが、我が国では敗戦時・・命からがら帰って来ても食えるかどうかすら分らない・・・アメリカの奴隷にされてしまうかもしれないと言う危機時にも、あらゆる私財をなげうってでも、母国に帰りたいという思い、必死に帰って来た人が全員と言える状態でした。
日韓対立が激化した場合、こう言う日本人がいくら給与を従来の2〜3倍払うと勧誘されても、敵となるべき韓国企業の応援をする日本人は滅多にいません。
韓国の一般国民にとっては韓国大手企業が世界制覇したような気分でしょうが、内実は1.5〜2流の日本人技術者の絶えざる引き抜きに頼っているのですから、日本での対韓国拒否反応が強くなると、今後は技術者の引き抜きが困難になって来ることを産業界が恐れているのです。
一般に良く知られている「韓流ブーム」と言っても、日本の企画者が企画して演出しているだけであって、韓国人が自分で売り出しているのではありません。
韓国が日本の憤激に対して急激に静かになったのは、日本人技術者の引き抜きや情報流出に頼っている韓国各種企業におけるこうした内情があるからです。

個々人の政治能力と政党政治2

代表と代理の違いを09/01/03「代表と代理(大理石)理事の違い」のコラムで書きました。
代理は個別の権限範囲を決めて委任された人の法律行為ですが、(車を買う・・特定の土地を売るなど権限が特定されているのが原則です)代表の場合は、その人格を信頼してテーマ無限定である分野に関してはそっくり一任する関係です。
会社の社長を代表取締役と言い、会社運営に関しては株主総会決議事項を除いて広範に業務執行を一任するのがその例です。
とは言え、時代の進化によって生殺与奪の権を握る信長や専制君主への一任の時代とは違い、一定の範囲内限定で信任する傾向が出てきます。
西洋市民革命前夜の王党派と議会派、革命後はジャコバンとジロンド党などから始まり、社会主義運動が盛んになると社会・共産主義諸派(ロシア革命中にはボルシェビイキメンシェビイキなど)と自由主義系の党派に大きく分かれて行きました。
20世紀前半は共産主義対資本主義と枢軸国とに入り乱れていましたが、後半は米ソ対立を軸に、おおむねこの2大政党(我が国で言えば自社・55年体制)の時代だったので分りよい時代でした。
この枠内で国民はどちらに一任するかを判断すれば良いので簡単でしたし、政治家の施策についても自由主義の範囲であれば個々の政策に不満でもあまり国民は不満を言わない・・不満だからと言って自民党支持者が共産党に投票鞍替えする心配がありませんでした。
ソ連崩壊後資本主義の枠内でどのグループに委ねるかとなると、争点がもっと具体化せざるを得ませんし、国民も不満なら別の政党に乗り換え可能になってきました。
同じ方向に向かっているバスや電車が数本ずつあるような時代です。
こうなると政党名・・基本綱領だけで政党を選ぶのではあまりにも抽象的過ぎて選択基準にならなくなります。
(憲法改正を求めるとしてもどの方向で求める政党か政党ごとにはっきりしてくれないと「改正」というだけでは政党選択出来ません)
そこで選挙民に訴えるために選挙ごとに掲げる公約・・マニフェストを掲げる方が選挙民にとって選択の基準がはっきりして訴求力が強いことから、ソ連崩壊後世界的にマニフェスト選挙が主流になって来ました。
我が国でも政党が選挙ごとに掲げる公約は当初は抽象的でしたが、回を重ねるごとに選挙民に対する訴求力確保のために具体化して来るとともに、「公約」よりももう少し具体的政治課題明示向きのマニフェスト提示が前回・前々回選挙のころから定着・主流化しています。
他方国民の方も、このシリーズで書いているように労組や企業に任せられなくなり自己決定をする必要に迫られるようになったことと、自由主義か共産主義かという抽象的枠組み選択の時代が終わったことから、具体的政治課題に関心を持つようになったこともあって、各政党にマニフェスト提示を求めてこれによって投票行動を決めようとする人が増えて来ています。
郵政民営化選挙以来この方式の選挙が続いていて、現在の民主党政権もこれによって自民党との違いを際立たせて政権を獲得したものです。
実務能力がない政党は困りものですが、能力さえあれば選挙民の意向に反したことを実行して良いか・裏切っても良いか・・・選挙公約・マニフェストの重みについては明日以降に書いて行きます。

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