レアアース禁輸対応力2

レアアース禁輸の続きです。
http://biz.searchina.net/id/1573534

中国メディアの中国有色金属報は12日、日本はレアアースの調達を中国に依存する体制を根本から変えようとしていると伝えた。
そのうちの1つとして、トヨタ自動車や三菱電機など11社が2012年に「高効率モーター用磁性材料技術研究組合」を発足させたことを紹介。さらに、同組合が「レアアースを使用しない革新的な高性能磁石」などの研究開発に取り組んでいることを紹介した。
さらに、日本はレアアースの中国依存という現状を根本から変えようとしていると指摘し、東芝はすでに中国産レアアースを使用せず、オーストラリアや米国に豊富に存在するサマリウムを主体したモーター用磁石を開発済みであることを指摘。
日立金属も12年にレアアースを含んだ磁石を用いない高効率永久磁石同期モーターを開発したと紹介し、日本のレアアース調達の“脱中国”が着実に進んでいることに警戒感を示した。

https://news.biglobe.ne.jp/international/1014/rec_161014_3555349397.html

ホンダが重レアアース不使用のモーターを開発、中国ネット「これはいいこと」「中国は永遠に日本には追い付けない」
2016年10月12日、中国のポータルサイト・今日頭条はホンダがレアアース不使用のハイブリッド車用モーターを開発したことを伝えた。
レアアースとモーターは切っても切れない関係で、不可欠であった。しかし、ホンダは重希土類のレアアースを使わない磁石を使ったハイブリッド車用のモーターを開発した。記事は、中国のレアアース業界にとっては多少のダメージになるものの、決して悪いことではないと主張。資源型の経済はいつか新技術によって淘汰されるものであり、企業にとっては転換点になるとした。

レアアースはいろんな部品地使われていますので、各分野でレアアース使用減少研究進んでいますが、今年に入ってからもレアアース削減技術開発のニュースが出ているなど各分野で中国リスクを避ける工夫が間断なく続いています。
https://news.biglobe.ne.jp/economy/0124/prt_190124_0721292002.html

ジェイテクト、レアアースの使用を抑えた重希土類フリーモータの開発に成功
1月24日(木)13時40分 PR TIMES
独自の技術でレアアースの使用を抑え、製品性能を向上させた、埋込磁石型モータを開発
・・・ジスプロシウムは全17種類のレアアースの内、世界的に希少で分布が偏在している重希土類に分類されており、鉱物資源として利用するには軽希土類元素に比べて安定調達・材料コストの観点でリスクを抱えている。
そこでジェイテクトでは2011年より、ネオジムとジスプロシウムを使用しないモータの開発に着手。その結果、焼結磁石を用いたSPMモータと同等の高出力・低トルク変動を誇り、且つネオジムとジスプロシウムを使用しない重希土類フリーのボンド磁石を用いたIPMモータの開発に成功。

ジェイテクトとは?素人の私には聞き覚えのない企業ですのでウイキペデイアで検索してみると、以下の通りトヨタ系13社の1社で内容を見ると完成消費財製造企業ではなく、いわゆる BTOB部材製造業のようですが、連結従業員数49259名という大規模企業です。

株式会社ジェイテクト(英: JTEKT Corporation)は、トヨタグループ主要13社に属する大手機械・自動車部品製造会社である。
2006年(平成18年)1月1日に光洋精工と豊田工機が合併して誕生した。豊田工機はボッシュから買収したトルセンLSD、光洋精工は、英トロトラック社とのジョイントによるフルトロイダルCVTと、それぞれ独自技術を持っていた。主力製品は自動車のステアリング、駆動系部品、軸受(ベアリング)、工作機械、メカトロニクス製品などである。また、ホームエレベーターなど住宅機器の製造も行っている[2]。
同じ愛知県に本社を置くヤマザキマザック、DMG森精機、オークマなど共に日系四大工作機械メーカーの一角を占める。
また光洋精工の時代から日本精工、NTNと共に軸受大手3社の一角を占めている。メカトロニクス主要製品として、TOYOPUC(プログラマブルコントローラ、PLC)がある。中でもTOYOPUC-PCSは、国内初の安全PLCである。

売上高 連結 1兆3,999億87百万円
単独 6,220億87百万円
(2016年3月期)[1]純資産 連結 4,800億66百万円
単独 3,225億16百万円
(2016年3月期)[1]総資産 連結 1兆0,758億35百万円
単独 7,092億58百万円
(2016年3月期)[1]従業員数 連結:49,259名
単独:11,763名
(2016年3月31日)[1

素人の私が知らないだけだったかもしれませんが、こういう堅実な企業がゴロゴロとあるのは頼もしいことです。
高額なレアアースを使わないでしかも良い部品を作れれば、トヨタに限らず他社からも引き合いがくるでしょうから、これが日本企業・日本全体の強みになっているのです。
電子系部品で言えば、日本家電業界が完成品(消費財・・テレビ/洗濯機やパソコンなど)を作らなくなってもアップルやサムスン等が日本企業製部品を使用するようになっているのと同じです。
欧米のアジア進出による危機に際しうろたえていただけの中国や朝鮮と違い、この危機をバネにして、近代国家に適合できるように国家体制を機構改革して近代工業国家に変身して列強の端くれに参加できるようになりました。
ただ、遅れて参加した分精一杯背伸びしての仲間入りですから(俺が俺が俺が・の意識が強く出るのは仕方のないことです)いまの中国のように行きすぎた結果、敗戦の憂き目に遭いました。
原爆の惨禍だけが強調されていますが、米軍により戦闘員でもないのに全国が焦土になるまでジェノサイド的殺戮をやり尽くされた挙句、占領後は生産設備一切を取り上げられてアジア被植民地国と同じ農業生産しか許されないようになっていたことを何回か紹介しました。
普通の国・民族であればここまで痛み付けられれば、これを機に内紛が起きて亡国に陥るのが普通です。

製造業の強靭性(レアアース禁輸対応力1)

この辺を読み違えたのが中国で、10年に反日暴動を煽るのと同時に日本企業の高度製品が中国のレアアースに90%以上も頼っていることに目をつけて事実上の禁輸しましたが、日本はその間備蓄在庫(内々中国リスクに備えて潤沢な在庫備蓄していた備えもあって)でしのぎながら、レアアース使用率大幅引き下げ技術開発に成功したので、レアアースは暴落して中国を苦しめる結果で終わったことは、耳目に新しいところです。
中国人は、日本人は環境変化対応能力が高いことを知らなかった・・中国では輸入技術で生産してきただけ?で自前で技術開発して経験がなくそういう方向に日本が努力し克服することが予想できなかったからでしょうか?
それと戦前と違い今の日本は世界中に友人を持っている点が大きな違いです。
欧米相手の満州事変以降の日本は孤立していたので、技術革新も孤立したまま(打開のための宿敵?ドイツとの和解・日独防共協定をするしかなくなったことを書いたことがあります。
ただし、中国で反日運動を仕掛て日本を世界孤立に導いていたのはドイツが主勢力でした・現在慰安婦騒動を仕掛けている黒幕は中国系人脈であり、中国マネーと言われているのと似ていました。
日本は反日勢力の中心であるドイツと手を組み、ドイツ蠢動を抑制して貰うしかないほど追い詰められていたし、ドイツとしてはアメリカの背後を脅かし欧州戦線への関与を当面薄める時間稼ぎだけの利害ですから、ビッグ技術で広告効果の大きい潜水艦Uボートの日本への回航作戦が知られている程度で、本気の地道な技術協力はなかったでしょう。
戦前は国際孤立・ABCD包囲ラインによって資源獲得で困ってしまい、(石油一滴血の一滴」という標語が生まれるほど石油を求めて東南アジアに進出・血路を開くしかなくなっていました。
これに対して今の日本は世界中に友人がいる時代です。
技術開発だけでは短期間に数%利用を減らすのさえ大変で、すぐに90%近い削減できないので、並行して世界中でレアアース開発が始まり、世界中が協力してくれたことが大きな成果でした。
最後には、中国の対日禁輸はWTO違反というお墨付きまでもらって完勝でした。
やはり正義(国際協調の必要性)は強いと実感した日本人が多かったのではないでしょうか?
https://www.sankei.com/premium/news/150515/prm1505150002-n1.html
2015.5.15 06:00

中国ついに“白旗” VS日欧米「レアアース兵糧戦」で自ら首を絞めた

2010年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で起きた中国漁船衝突事件とその後の日中摩擦を受け、中国が制裁措置として事実上の対日輸出規制を行ったレアアース(希土類)。ハイブリッド車(HV)のモーターなどハイテク製品に欠かせない素材だが、日本は欧米とも共同歩調を取って追い込んだ結果、不当な措置をとり続けた中国は5月1日に最終的に白旗を掲げた。
世界の需要の90%以上を出荷していた中国は、制裁措置に音を上げた日本の経済界が政界に圧力をかけることをもくろんでいた。
同時に欧米市場向けも“売り惜しみ”で輸出を滞らせて値をつり上げるなど、姑息(こそく)ともいえる戦術に出た。
漁船衝突事件をきっかけに対中依存度を引き下げようと日本企業は、レアアースを使わない製品やレアアースのリサイクル技術を続々と開発した
。この結果、中国の対日レアアース輸出量は11年に前年比34%減となり、その後も大幅減少が続いている。
日本企業は「やればできる」ことを証明。オーストラリアなどからのレアアース供給も本格化し、中国産の需要は減っている。
疲弊する中国レアアース業界
こうした中で中国産レアアースの価格が数十%も下落した。
国内の過剰生産と過剰在庫がダブル、トリプルパンチとなって中国のレアアース業界は疲弊。中国紙、21世紀経済報道によると、輸出減少や価格下落などを背景に、中国のレアアースは14年、業界全体として初めて赤字に転落した。
18社の利益合計は11年以降、年ごとに減少。13年の合計利益はそれでも31億元(約605億円)だったが、14年は赤字転落したという。赤字幅は明らかにしていないが、14年の売上高合計は前年比21%減の260億元に止まった。

http://biz.searchina.net/id/1529816?page=1

レアアースの輸出停止で、最も損をしたのはわが国だ=中国 2014-04-15 06:57
レアアースは「産業のビタミン」とも呼ばれ、ハイブリッド車のエンジンや省エネ家電、スマートフォンなどには欠かせない材料だ。中国メディアの中研網は9日、「レアアースの輸出停止によってもっとも損をしたのは中国だと考えられている」と論じた。
「わが国はレアアースを軍事、外交の駆け引きに利用していたことは周知の事実だ」とし、2010年にレアアースの対日輸出を突然停止したことが、日本では代表的な「中国リスク」と認識されるようになったと論じた。

 2010年9月、東シナ海で発生した海上保安庁の巡視船と中国漁船との衝突事故をきっかけに、レアアースを外交の切り札にした中国は、日本への輸出を停止した。当時、レアアースの輸入の約9割を中国に依存していた日本の産業界は混乱に陥り、11年夏ごろまでレアアース不足は続き、価格は約20倍にまで跳ね上がった。
「わが国はレアアースを軍事、外交の駆け引きに利用していたことは周知の事実だ」とし、2010年にレアアースの対日輸出を突然停止したことが、日本では代表的な「中国リスク」と認識されるようになったと論じた。
しかし、レアアース価格の高騰によって、米国やカナダ、オーストラリアなどではレアアース鉱山の開発を促進し、日本では中国以外のレアアース調達先を開拓する動きが活発化した。さらにレアアースの使用量を削減する技術の開発や、都市でごみとして大量に廃棄される家電製品など、いわゆる「都市鉱山」から回収したレアアースの再利用も進んだことで、2012年には日本のレアアース輸入量は前年比でほぼ半減した。
「わが国が突然、レアアースの輸出を停止したことで国際社会の信用を失い、さらに輸出量が減少したことで中国国内のレアアース関連企業は大幅な減産や生産停止に追い込まれた」と論じ、業界内ではレアアース輸出停止によってもっとも損をした国は中国だと考えられていると報じた。(編集担当:村山健二)

日米製造業の違い6(変化対応力1)

中国進出の大手企業は中国の報復が怖いので黙っていますし、同じく中国特派員安全のためにか?・・大手メデイアはトランプ批判一色です。
しかし、例えば関税アップで自国産業保護しても意味がないとか、二国間貿易赤字だけをテーマにするのは間違いとかの批判は、部分部分ではその通りでしょうが、トランプ氏の求めているのは知財強奪をやめろという脅し(取引)に使っているのであって、目先の関税で特定企業を保護しようとしている訳ではない・支持者獲得のためにそのようなレトリックを使っているに過ぎないので、筋違いの批判です。
ウクライナ侵攻に対する対ロ経済制裁で見ればわかるように、制裁によって経済利益を得ようとしていないのに、欧米が損を被ると批判した場合、比較対象が違う事を無視していることが誰の目にも明らかでしょう。
揉め事というのはお互い損になるに決まっているが、かトイtyて相手が無茶をyても何事も穏便にいうばかりではのさばりすぎるので、いつかは「いい加減にしろ!という時期が必要です。
揉めることによってどちらの方にダメージが大きいかで勝敗が決まるので、経済制裁発動の場合、どちらの方が被害が大きいかを計算するのは大事ですが、関税アップや輸入規制すると、自国産業保護が損をするから愚策と批判するのは筋違いです。
大所高所から見るとトランプ氏の対中政策は今の所、サイレントマジョリテイー・・実際には先進国全体の支持をうけているように見えます。
話題が逸れましたが、日本の半導体製造措置の国際競争力・中国韓国の半導体製造装置輸入状況を紹介しておきます。
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2018/1001/efa7580c25d588d6.html

半導体では落ち込んだ日本のデジタル関連財輸出だが、世界貿易においてプレゼンスを発揮している品目もある。代表例は半導体製造機器で、ここ10年、日本が世界最大の輸出国の地位にある。半導体製造機器同様に、産業用ロボットも輸出国として日本は首位を維持している。世界経済の回復に伴い企業が設備投資意欲を高めたこともあり、両品目とも近年の輸出は好調だ。日本のデジタル関連財輸出は2015年を底に増加に転じたが、半導体製造機器はデジタル関連財輸出の増加分のうち2016年は約7割、2017年も約3割分を担うなど、回復の原動力となっている(図2参照)。

ついでですが、18年には半導体装置では中国が輸入額で韓国を抜いたようです。
https://news.mynavi.jp/article/20181207-737115/によると以下の通りです。

日本半導体製造装置協会(SEAJ)ならびに国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、2018年第3四半期における半導体製造装置出荷額が前四半期比5%減、前年同期比11%増の158億ドルになったことを発表した。
地域・国別に見ると、中国市場が、前四半期比5%増、前年同期比106%増の39億8000万ドルとなり、同統計開始以来、初めてトップ国・地域となった。
以前からSEMIでは、2019年に中国が韓国を抜き、世界最大の半導体製造装置市場になるとの予測を述べてきたが、メモリ市場の軟化の影響を受けた韓国勢の勢いが鈍化したこともあり、若干早まった感がある。

BTOB部品輸出で見ておきます。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-19/-2025からの引用です。

増島雄樹(エコノミスト)

2018年7月19日 9:07 JST

【インサイト】中国製造2025、日本にとって脅威よりもチャンス

relates to 【インサイト】中国製造2025、日本にとって脅威よりもチャンス

以上によると消費財や加工品の輸出額自体は長期的に見てそれほど減っていないが、逆輸入が増えた分を部品等輸出増加で補っている印象です。
日本人の多くは「その場限りの仕事をすれば良い」という人が少なく、職に就くと天職と心得えて日本の職人気質というか日本人気質というか自分の仕事に打ち込む人が多いので、そこから次の時代に適合できる素質が育まれている人が多いように見えます。
幸田露伴作の「五重の塔」で描かれる人物像は、創作であり本当のことかどうか知りませんが、これが国民多くの感銘を受けるのは、その気質を尊ぶ国民性があるからです。
江戸時代に培った生真面目な職人気質が、次の明治時代の工業製品製造に能力発揮してすぐ応用できた・(低レベルで満足せずに時計でもレンズでもすぐに世界最高水準のものを作りだせた)のとおなじです。
職人気質尊重の総合力が日本の企業精神そのものとなり、何百年も続く(いろんな変化に柔軟対応できた)企業が多くなっているもとになっているとおもわれます。
石油危機では、ほぼ全量輸入の日本はもうダメだと騒がれたものの、省エネ技術確立で却って世界に先行しましたし、公害発生でも同じです。
基礎技術の蓄積が大きいので時代が変わったくらいでは、柔軟対応能力があるので壊滅的打撃をうけません。

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