高齢親の虐待2(任意後見制度利用の勧め)

後見制度は資産家が資産管理、処分能力がない時の例外として、禁治産制度の副産物的に生まれたものです。
管理処分権者制度は、後見に限らず、会社においては取締役等の管理処分機関、社団財団等では理事、個人法人共に破産したときの臨時管理処分権者である破産管財人が選任されるの同じでそれぞれ名称が違っているもののそのときの目的に応じた自分以外の法人や個人の財産管理処分権がそれそれ決まっています。
このようにそれぞれの制度設計の1要素でしかなかったのが、後見の役割が資産管理だけでなく介護その他看護関係に広がると元の資産管理処分制度設計を乗り越えたものになったことになります。
それでも大元は資産管理から始まっているので、任意後見制度の利用は事実上一定の資産があることが前提に思っている人が多いでしょうが、資産濃霧が法律上の要件ではないので無資産者でも公正証書作成費用さえあれば利用可能です。
後見費用が高いのでないか?と尻込みする人が多いでしょうが、親族後見の場合報酬自体放棄させれば無報酬ですみます。
私が申請する事件ではこれまで親族後見予定の場合(いずれも資産がある場合ですが)法的手続きをする都合上なってもらうだけだったので全て後見候補者の「報酬入りません」という上申書付きで申し立てていますが、のちに兄弟間で面倒を見たのに!という争い防止のためには、介護してもらう負担を考えて適正な金額(裁判所が決めてくれるのが原則)を決めておいた方が合理的です。
そうしておけば相続時に誰が面倒を多く見たという争いを防げます。
そうすれば介護など面倒見た分は適正報酬を受け取っているので遺産相続争いでは解決済みとなります。
親が養っている中高年の子供がいる場合、いきなり後見報酬のみでは生きていけない場合もあります。
後見が始まれば生活費として子供Aに毎月一定額支給するなど明記しておけば良いことでしょうが、これが制度上どう配慮してくれるかについは実務経験がまだないのでわかりませんが、実際必要になれば、その時点で裁判所の運用を調査してみれば分かるでしょう。
仮にその記載がその通りの効力がなくとも、書いておいて損はないということでしょう。
娘や息子が後見人ならば元気なうちに後見人指名しておいても置かなくとも、結果的に同じようですが、ここのテーマは密室化になりやすい介護家庭に公の目が入る利点です。
後見制度利用メリットは、
① 裁判所が年に1回財産管理のチェックをしてくれる・・預金通帳など提出が求められるのと、
② 年間必要額相当・・たとえば数百万・あるいは年金収入等振込入金で施設費用等に十分間にあうときには、その普通預金通帳だけの管理を後見人に委ねるのが普通です。
日常的出費に必要な額以上の資産は、信託財産(ただし株式など有価証券を扱わないようです)にして(信託財産化に応じないときには後見監督人を別に選任します)後見人が勝手に巨額払い戻しや処分できない仕組みにしています。
③ 介護関係の報告もあるので、後見報酬さえゼロまたは適正にしておけばほぼコストゼロで公のチェックが入る利点があります。
コスト問題ですが、社会に不適合を起こしている子供(と言ってもすでに5〜60台以上)を抱える親にとっては、中高年世代の娘や息子の生活費を出してやるのは良いが、自分が路頭に迷うほど浪費されては困るという親が普通でしょう。
こういう場合・・適正な後見費用支給を決めたり、生活費は支給してやりたいとすればそれを裁判所管理で実行してもらうのは合理的です。
単純に銀行や証券会社その他の手続きを娘や息子にに一任していると必要以上の支出あや売却をしているか不明朗になるのですが、それを裁判所がチェックしてくれるので安心です。を防げます。
裁判所ん費用は当初の申し立て印紙や郵便切手(裁判所から後見人への連絡コスト)など取るに足りないコストです。
毎月後見人に払う後見報酬は息子か娘を後見人に指定しておけば元々娘らの生活費援助資金の一部と考えればタダと同じです。(他人にお金が流出するわけではない)
ここでは、親世代が高齢化し次世代がしっかりしない場合、高齢化でいつか自分で管理し切れなくなったときの問題・家屋敷を売られたり、巨額資金を浪費されては困るジレンマの解決策を書いています。
一般論としては灰色段階の社会システム不備があると社会需要の溜まったマグマのはけ口としていろんな事例が起きる関係のように見えます。
児童虐待問題が火を噴く背景には、現在の子育て環境に問題が大きすぎる・・・人類は長い間大家族制プラス地域社会で大勢の目で育てて来たのに対して金愛社会化に比例して核家族化進み子育ての密室化が進んできたからではないでしょうか?
素人の直感にすぎませんが、補完作用として零歳児保育とか各種受け皿ができて来ましたが、原則と例外の違いで、時々どこか相談窓口があったり、預かってくれるという程度では追いつかないからではないか?と思います。

アメリカの産業・奴隷利用=粗放経済の破綻2

奴隷解放後もアメリカの産業構造はベルトコンベアー方式に代表されるように大量生産・粗放農業による低価格出荷競争が主眼でした。
熟練工や高級品質を求めず「低レベル労働者を安く利用して中間レベルの製品を以下に大量に安く生み出せるか」の工夫に重きを置いてきた歴史にみえます。
今でもスターバックスやマクドナルドなどレストランその他チェーン展開による大量出店で稼ぐ本質です。
喫茶店オーナーがうんちくを傾けるような方式を好みません。
日本人から見れば凝ったものなど理解不能・・安もの好き国民性印象になる所以です。
ところが、流れ作業をこなす程度の仕事→全自動化が行き着くと、さしたる訓練のない新興国・・消費地生産可能になったので、アップルに代表されるようにほぼ全て新興国へ生産移管してきたので米国が世界の生産基地でなくなりました。
この数年シェールガスで元気を取り戻したように、資源国としての生き残り程度が産業の主力になってきたようです。
新興国展開が始まった結果、アップルで言えば全量中国生産になっているように国内製造業が壊滅とまでは言わないまでも、「腕力に任せて米国内生産しないと許さない」というのでトヨタ日産など日本勢は米国内生産に協力していますが・・言わば第二次奴隷解放・低レベル労働者の放逐が始まったとも言えます。
実は米国日本籍のある企業の場合は、選挙権者でもあるので脅しなど怖くないので気楽に米国内生産に見切りをつけてさっさと工場国外移転を進めています。
https://japanese.engadget.com/2018/11/27/ev-gm-5-15/

EVと自動運転車に資源集中。GMが米国内5工場閉鎖、人員15%削減へ
トランプ政策空振り
米ゼネラルモーターズ(GM)が、契約社員の15%をレイオフするとともに、北米5か所の工場を閉鎖、さらに6車種を生産終了すると発表しました。
GMでは今回の再編によって正社員、契約社員あわせておよそ1万4000人のGM従業員が失業する可能性があります。
電気自動車と自動運転車の開発に資源を集中する方針です。

要は、EV系人材に入れ替えたいということでしょう。
ここでも適応障害が起きて旧来型製造工員が行き場を失なっていきます。

https://jp.reuters.com/article/gm-restructuring-trump-tweet-idJPKCN1NW29P
トランプ氏はツイッターで、GMがメキシコや中国の工場を閉鎖しなかったと批判。「米国はGMを救ったのに、その返礼がこれとは!われわれは今、電気自動車を含めGMへの補助金全額カットを検討している」と述べた。

放逐された時代不適合・低賃金労働者をどうするかの、解決策がないことが今のホームレス激増になっていることがわかります。
彼ら全員の再教育には無理があるので、ボランテイアによるピンポイントの教育効果があっても全体の底上げにはつながりません。
アメリカのホームレスに対する施策をさっと見た印象では、ピンポイント救済に引っかからないその他大多数は滅びゆく「先住民」のごとく「ゲットー」に囲って死ぬまで保護していくしかないイメージです。
シェルターは出入り自由なのでその点収容所とは違いますが・・。
出て行くのは自由でも、ホテル等に泊まれない以上は夜になると路上で寝るか、別のシェルターを選べるにしても結局は近くのシェルターに帰るしかないのでは、事実上一生シェルター暮らしになる点は同じです。
能力別人口構成はピラミッド型で、底辺層の裾野が広いのでボランテイアがピンポイント的再教育して・一つ一つの成功例・・やっている人は善行を積んでいる達成感や満足感いっぱい・・それはそれでいいことです。
しかし・・こういうやり方は砂漠に水を撒いているような気休め・自己満足で抜本的解決にはなりません。
マザーテレサで知られるように、あるいはビルゲイツの巨額寄付金のように、欧米ではこういう気休め政策にのる人を賞賛して底辺層の不満のガス抜きしてきた社会です。
日本は個人スターを必要としない社会です。
一本釣りだけではなく、底辺の底上げ・・解決には静かな長期ビジョンによる国・社会の制度設計が必須ですが、これには数世代にわたる施策が必須です。
我が国は誰もスタンドプレーに走らず・・黙々と戦後住宅不足時には公営住宅供給に税を投入してきたし、教育無償化や国民皆保険や年金制度を進めてきました。
こうした息の長い政策には天文学的予算が必須でしかも地味です・・長くても4〜5年で選挙の評価を受けねばならない民主政体・・政権交代する前提の短期施策では不可能です。
日本人の多くは選挙や目先の評判でなく、子孫が恥をかかないようにお国のために尽くす姿勢で多くの人が頑張ってきました。
これが我が国価値基準であり、良き伝統です。
社会のあり方として、いわゆる性善説と性悪説を古くはjune 4, 2013,モラール破壊10(性善説の消滅)前後、近くは19年2月14日頃に書きましたが、日本は性善説の国であって、監視してこそ真面目によく働くというような性悪説・投票箱民主主義のように底浅いものではありません。
米国では奴隷制度に始まり使い捨て的底辺労働に頼って(都市さえもスクラップアンドビルド政策・用済みなれば、ゴーストタウンにして捨てていく社会・・)奴隷制に匹敵する超低コストの底辺労働に頼ってきたこととセットで移民流入(労働能力としては最底辺層が多い)を受け入れてきたのです。
日本でもアメリカの真似をするのが正しいという主張が有力ですが、私はアメリカ方式に反対してきました。
さすがのアメリカも低賃金新興国に汎用品の生産がどんどん移転すると、教育を受け付けない膨大な数の底辺労働者の負の遺産をどうするかの時代に入っています。
2月27日に紹介したヒスパニック人口が約6000万人で、その中で一握りの成功者もいるでしょうが、大多数が文字やパソコン不要の現場作業(草刈り等の原始的?)に従事している階層では真面目に働いてもアパートに住む収入がない状態です。

アメリカの産業・奴隷利用=粗放経済の破綻1

昨日紹介した日経新聞紙面では、60万人の雇用を誇るアマゾンが18年秋に最低賃金を時給15ドルに引き上げたことを紹介しています。
世界に誇る大手企業がその多くを最低賃金で雇っている現実こそ重要です。
Jul 9, 2016 12:00 amのブログで、「非正規雇用の多いアメリカ最大の大企業のウオールマートの店員の多くが,生活困窮者向けの1、25ドル分のフードスタンプを貰う列に並んでいることが問題になって日本でも報道されましたが、漫画みたいな社会です。」と紹介したことがあります。
サービス業でも日本はおもてなし文化度が高いので、能力レベルに応じた多様な高級職種がありますが、アメリカの場合飲食店といってもフードコート類似のマニュアル対応主流ですから、サービス業従事者の多くは最低賃金すれすれ職になっている点が大きな問題です。
(日本でもチェーン展開のコンビニや居酒屋、ファミレス、回転すしなどの従業員比率が上がる1方ですが・・変化が遅いのが取り柄です・スーパーが発達すると反作用でこだわり製品やデパ地下人気が高まるなど世の中の動きが一直線ではありません・・明治維新当時も洋画が入ると反作用で日本画への注目が起きるなど・・)
2月26〜7日に紹介した現地ルポで見たように英語を話せず文字すら読めないレベルの場合、サービス業はフードコートでも一応顧客対応ですので、(一定のコミュニケーション能力が必要)配送すら(宛名等の理解能力)できず草刈りなどの原始的職業しかありません。
ホームレスト関連するフードスタンプ受給者の激増問題もあり、この点については上記Jul 9, 2016 ブログで
「政府の最新データによると、2014年9月の登録者数は4650万人で、前年の4730万人から減少した」
と引用しています。
この登録は世帯単位であることから、1世帯三人とすれば人口の約3分の1がフードスタンプをもらっていることになるとも書いています。
フードスタンプをもらっていても帰る家のある人が多いでしょうが、ちょっと家賃が上がるとついていけないギリギリの人がこんなに多いことが推測されます。
この人たちの生活保障をどうするかのテーマに答えられないのが、ホームレス激増の背景でしょう。
日本のホームレスのイメージは無職者ですが、アメリカの場合有職者なのに住む家がない状態です。
こういう社会では失業率の統計は前年度との比較傾向が分かるものの、(無職で開き直っている人の割合が分かる程度?)目先困っている人の実態には迫れません。
月収3〜40万円の工員がレイオフされて、最低賃金の配達員などに転じた場合、失業者数は変わらないとしても、生活水準の劇的低下を知ることができません。
ところで昨日見た日中の賃金格差ですが、中国と日本の賃金格差が7〜8年前には10分の1前後の相場の記憶でしたから、短期間に約2〜3割上がったことがわかります。
この賃金上昇の結果、チャイナプラスワンの動きが出ているし、中国は低賃金を武器にした国内生産基地化の夢が破れそうになってきたので焦ってレベルアップに乗りだしたところ、やり方が強引すぎてアメリカの怒りを買っている構図です。
中国が近代産業導入後賃金水準アップに連れて国際競争力維持のために労働の質向上に必死なように、アメリカも奴隷利用による最低賃金による安値生産で始めたものの限界がきて、母国西欧諸国に追いつく・・産業革命の恩恵を受ける準備が始まると、労働の質アップが求められるようになったのです。
低レベル労働者のレベルアップは言うは安く、3〜40代以降の人に再教育してもその効果が知れています。
世代交代を待つしかないとすれば、30代後半以降の再教育不能人材の行き場に困ります。
こうなると低レベル・安いだけの労働者を失業させておけばいいのではなく、何らかの生活費支給が必要になる分、足手まといになってきます。
車産業のEV化も各産業分野のIT化でも同じですが、中高年・既存労働者にEVやIT関連作業に変更を強いる社内教育は年齢が行くほど無理があるので、適応可能な若手新人採用の方が企業にとっては合理的です。
社会の変化が3〜40年周期で起きる場合には、世代交代して入れ替わるので問題が少ないのですが、5〜10年で入れ替わる急激な変化の場合、まだ2〜30年働ける年齢で引退(失業)をしいられるので社会の軋轢が生じます。
先進国の高齢化社会到達までに要した期間と新興国の到達時間がまるで違うのがその象徴ですが、あとから追いつく方は近代産業導入以降ごく短期間で先端技術社会に追いつけるメリットの代わりに生身の人間の陳腐化が早すぎるのが難点です。
日本の場合江戸時代からの工芸技術の蓄積がある上に、産業構造の変化がいつも30年程度の周期で来たので、その間に変化に向けた技術修練を経る時間がある・・次の時代に向けた変化能力の高い人材が多く育っているので社会の分断が起きにくい安定社会になっています。
環境激変の時代に、次々と新たな技術に適応していける企業や人材が多くて今なお多くの製造業がしぶとく生き残れている所以でしょう。
訴訟手続きのIT化の取り組みも、パソコン普及開始後2〜30年経過後の今になってようやく始まろうとしていますが、それも明日から紙媒体を受け付けないというものではなくじっくり進める予定です。
そのうち私ら(昨年末同期会に行ってきましたが、同期の多くはすでに後期高齢者です)に続く次の世代が全員引退していなくなる約10年経過ころに全面施行になるのでしょう。
変化の早い時代にこれでは取り残されるといいますが、社会変化は早くとも30年周期が合理的であり、数百年も遅れすぎた後進国が無理に追いつこうとしているから(草花でいえば北国では春と夏が同時に来るように)変化が早い時代と言われているだけではないでしょうか?
先に進んだ方はゆったり構えて次に備えればいいのであって、焦る必要はありません。
新興国では平均寿命50歳前後の社会に近代工場がいきなり入ってきて生活水準が急激に上がり平均寿命が70前後への高齢化が急速に進む一方で、労働技術の陳腐化がほんの10年前後で進み取り残されるのでは、彼らはその後の長い人生をどうやって生きて良いかわかりません。
馬が高齢化して次の馬を買う代わりに車にするならば順次変化でスムースですが、馬や機械がまだ新しいうちにどんどん入れ替えるようなことを人間相手にしているのが韓国や中国政治ではないでしょうか?

消費者信用の拡大策7と破産新受件数推移

日本で個人破産が今後社会問題になるほど増えるかどうかは今後の様子次第としても、いずれにせよリーマンショック以降の経済では消費の動向が重要化していることから債務データ全体だけでは分からない、その一部である個人負債比率の指標性が高まっているように見えます。
従来経済対策としての金融緩和が、企業投資資金を潤沢にして投資活発化を狙ったものでしたが、平成に入った頃から消費の下支えや拡大効果を期待するようになっています。
この結果、金融緩和→消費信用拡大の流れが出来ているので、消費信用拡大自体を政府の失策であるかのように批判材料にしたり、消費信用利用者を白眼視するよりはそのコントロールが重要になってきました。
この失敗がサブプライムローンに端を発したリーマンショックだったというべきであり、消費信用拡大が一過性の「悪いもの」と見るのは間違いです。
お金持ちからゼロ金利で消費信用にお金を回すのは、いわば一種の所得再分配機能を果たしている面もあります。
総融資額の1割が仮にデフォルとするとすれば、全体として資産家層の回収が減る・その分の所得再配分が行われたのと同じです。
高齢者から孫や子供に贈与を進めて消費を促す贈与税軽減政策に比べれば、本当に困っている弱者の消費を助けたのですから公平性が優っています。
車が危険だからと禁止するのではなく、車の安全技術向上を図り、安全運転のためのルール整備や講習をして行くのが必要なのと同様で、消費金融も減りさえすればいいのではなく、如何にして飼い慣らして行くかこそが重要です。
日弁連や単位会が消費者教育の必要性を前提に、だいぶ前から中高校生を相手に出前講座を実施しているのは合理的な方向性です。
日本を先頭に先進諸国が超弩級(異次元)の金融緩和・消費拡大策をして来た結果、世界中で庶民の消費信用が膨れ上がって来た・・中韓等の将来性も企業債務だけ見ていると間違う時代が来たと見るべきでしょう。
金融緩和の効能から見ると企業は合理的ですから、いくら金利が下がってもあるいはマイナス金利でも販売増の見込みがなければ増産投資しません。
日本の車製造で言えば、トヨタやホンダが投資資金が不足している訳ではありません・・プラザ合意以降国内生産をこれ以上増やして輸出を増やしていけなくなった国際情勢があります。
国内需要で見れば車に限らず冷暖房機やブルドーザー・建機であれ、いろんな分野で増産投資は限界です。
「100万円借りて95万返せばいい」なら借りた方が一見得するみたいですが、借りた資金で出店したり新工場建設して商品の販売増が見込めないと借金元金の半分も返せないことがありますから、景気動向の見通しが悪いとマイナス金利で 貸すと言われても尻込みしてしまいます。
補助金行政はマイナス金利の行政版で、比喩的に言えば、初期投資資金の半分を補助してくれれば初期投資資金100%借りる場合に比べて借入金が半分で済む・・5割のマイナス金利だったことになります。
補助金行政が盛んだったのは、初期投資負担さえ何とかとなれば採算ラインが見込める成長経済時に「呼び水」として有効だったのですが、初期投資だけではなく稼働後のランニングコスト自体の赤字・恒常的赤字が見込まれる時にはこの手法では企業が手を挙げません。
福祉施設で補助金誘導が有効なのは、初期資金の多くが補助金でまかなわれれば、その後のランニング・運営は設備不足がまだまだ続くので心配がないからです。
このような流れの変化の結果・旧利権官庁が旧建設省や経産省から厚労省に広がったことになります。
経産省は国内補助金のさじ加減による産業育成よりは、日本企業の海外展開後援の方が重要になり、TPP交渉を見てもわかるように事実上海外経済交渉の本家になりつつあります。
農水省も長期間保有してきた補助金のバラマキ権限行使よりは、いかに日本の農業を守りそのためには逆に輸出していくかの、国際交渉の役割が増大しています。
何事も専守防衛・守るばかりでは現状維持すらできません。
政府はこれ以上の輸出増を見込めない以上は、国内消費拡大・内需拡大による産業活性化が必要になったので、補助金行政の市民版である商品券配布や1億創世資金として地方ばらまきをしました。
商品券の場合本来消費予定品を買うのに商品券を先に使ってその分紙幣を温存・貯蓄する人が多く全体消費が増えず不発に終わりました。
消費拡大にはまだまだ消費意欲はあるが、お金がなくて消費出来ない層に訴求するしかない→借金額を増やす方法→金利1割低下=債務額1割増まで消費しても支払額が同じですから金利低下による消費拡大を誘導するようになります。
政治が債務膨張を誘導して来たのですから、その目論見通りに庶民債務が増えたのは(政策が正しいかどうかは別として)政策の失敗ではありません。
この点消費者は企業家と違い単純で「一見お得」(その先のランニングコスト・・長期的にみて借金をふやして家計が成り立つかまで考えないで飛びつく傾向があります。
消費奨励と民度次第で詐欺的お得商法にひっかかる比率が違ってきます。
この視点で見ると、日本は世界の先頭を走る超金融緩和国ですが、7月10日に書いたとおり貸金業規制の変遷・経験を経ていることもあって?個人負債は中韓やアメリカの車ローンや学生ローンのように膨れがっていないイメージですが、私が知らないだけかも?と思って「破産増加」のキーワードで検索してみました。
検索してみると、NHKの「クローズアップ現在」に以下のようにセンセーショナルなフレーズで取り上げられていることが分かりました。
www.nhk.or.jp/gendai/articles/395
2017年4月12日(水)若者もシニアも破産急増!?銀行カードローン
  ゲスト 宇都宮健児(弁護士)
  ゲスト 飯田泰之(明治大学准教授)
  武田真一・田中泉 (キャスター)
・・・・国の規制改革推進委員として、銀行の実態にも詳しい飯田さん。
この問題の背景、どう見ている?
飯田さん:もともとの数字を確認すると、10年前に比べまして、消費者金融会社の貸付が10兆円減少して、そして銀行系のカードローンが2兆円増加したということですので、この消費者向けの無担保での貸出、マーケット自体はかなり小さくなっているんです。」
上記表題では「いかにも大変な事態になっている」かのようなイメージですが、内容は大分違っています。
内容にきっちり別の意見を書いていれば、「デマ報道でない」というメデイアの狡い報道の仕方がここにも見受けられます。
大方の人は忙しいので、週刊誌等の表紙など見て終わり・・最後まできっちり読む人は滅多にいない結果、・・私も内容まで読む暇がないので、破産が急増してるらしいという方向で描こうとしていたのですが、ちょっと時間が出来たので念のため内容に入って見たところ内容はこんな程度した。
実際政治では、大見出しの印象操作効果は抜群です。
そこで、その他メデイア報道がどうなっているかを見ると、東京新聞や朝日新聞がすぐ出てきますが、その他メデイアでは取り上げていないのか出てきません。
ただし、東京新聞も朝日も「破産急増」ではなく単に「破産増」だけの題名ですからNHK報道の意図性?角度付けが突出している印象です。
何のために根拠もないのに「急増」と報道しているのか不明です・・・。
NHKや朝日新聞は明るい話題は気に入らない傾向が見えます。

テロの供給源2(精神障害者利用とその結果)

自分の住む社会秩序を破壊し尽くそうとするテロは、一種のアナーキズムですから、権力奪取のための反政府運動等とは性質を異にしています。
権力闘争の場合は、自分が権力をとった場合既存秩序をそのまま利用出来る方が合理的ですから、社会の基本を破壊し尽くすと却って自分が権力を得たときにこまります。
橋や道路等は再工事すれば良いことですが、社会心理=道義を破壊し尽くすと一旦荒廃し尽くした心・・秩序を守る意識の復興は簡単ではありません。
権力を握ったときに今度は自分の握った権力に対する抵抗勢力になってしまいます。
従って反政府勢力がこれを利用すると、今度は自分に対する犯行勢力・鬼っ子を育てる結果になるので、権力奪取目的の政治運動としては言わば禁じ手です。
ISはどのような展望で、テロリストを養成し、煽っているのでしょうか?
マスコミは頻りに移民2世等が社会的に恵まれないから、誘惑に唆されると言う解説が普通ですが、私はそんな簡単なこととは思いません。
アメリカで頻発している銃乱射事件は、経済的に困窮している階層に限りません・・12月2日の銃乱射も公務員が行なったものです。
社会制度に対する不満ならば改革運動になりますが、彼らは改革運動を一切しないでイキナリテロに走っています。
中国のチベットやウイグル族弾圧のような生命の危険がある場合でも内部の地位向上を目指す活動や焼身自殺が先ず先行していますが、アメリカやパリのような自由な政治活動を出来る場所で何ら政治活動も先行しないで、イキナリ銃乱射やテロに走るのは、自分達の社会的地位改善を求める行動とは思えません。
銃乱射事件等では自ら必ず死ぬ覚悟で、(11月のフランス・パリの事件はそうでした)自爆装置をからだに巻き付けて犯行に及ぶようになっています。
ISの支配地域では、残虐行為による恐怖心で支配していると言われていますが、単に野蛮なことをしているのではなく、・・自分を含めた全人類に対する報復感情に凝り固まっている彼らの核心的思考によると思われます。
ISのテロの場合、自爆が必須的アイテムになっているのは、検挙を恐れてと言うよりは自暴自棄・自殺念慮の一態様の発露・・個人の精神的葛藤に対して、ISの宣伝が切っ掛けになっているに過ぎないのではないかと思われるし、同種の連鎖検挙・・拷問等を免れるための組織維持戦術をついでに兼ねたに過ぎないでしょう。
精神病で行き詰まって自暴自棄で銃を発砲したと思われるよりは、ISに共鳴したと言う方がマスコミの取り上げ方が違うし、何となく、格好いいと言うだけの人が増えるのではないでしょうか?
従来から大きな事件があると模倣犯が増えていますので、マスコミが英雄のように取り上げるのは問題です。
IS参加者には、心理学的には自殺念慮と社会に対する報復感情の拡大・・従来個人が内心で鬱々としていたに過ぎない社会脱落者に対するテロ組織による炊き付け・煽動・・精神的応援が成功していると見るべき面があると私は思います。
中央の具体的指令によらずに末端の小グループでテロを起こせば良いと言う原始細胞的活動方式は、自殺願望で周辺を巻き込む銃乱射事件の犯人を誘い込んで単なる自殺行為をテロに格上げする方式としては、合理的です。
精神障害など自殺願望者がある日突然これと言った準備もなくイキナリ個人で暴れるよりは、予め銃器等の操作訓練を請け負い、(「そうだ、そうだ社会・周囲が悪い・・やれやれ」と煽って)精神的応援をしてやる・・後はISに迷惑がかからないように勝手なときに(同病相憐む)「小グル−プで標的を定めてやりなさい」とやっているとすれば実態にもあっています。
12月2日にアメリカの勤務先のパーテイでの乱射事件を見れば、(まだ背景事情がはっきりしませんが・・)個人的不満を吐き出す従来型銃乱射事件をISなどのテロ組織に伝授されてもっと大掛かりに・自信を持って実行したに過ぎないように見えます。
・・ISは精神障害等で、鬱屈した個人が従来一人の思いつきで刃物を振り回したり、銃乱射していたに過ぎなかったのを、プロが手助けしてやることによって世界中の精神障碍者・・自分の住んでいる社会に敵意を持っている人を取り込んでいると位置づけることも可能です。
ISによるテロの広がりは、組織運営者にとっては政治運動でもあると同時に世界中どこにもいる精神障害者・周辺予備軍を巻き込んでいるところに、従来型法制度では対応出来なくなっている側面があると思われます。
社会に対する不満は、アラブ系出身者の生活苦にもあると思いますが、そればかりではありません。
日本人で札幌から出国しようとして制止された人がいましたが、イスラム教徒でなくとも世界に内心鬱屈している人・・けしかけられればすぐに火がつくような人はいくらでもいます。
昇進途上のエリートでも、うつ病等で長期休暇→解雇になってしまう人が一杯いるように、こう言う人は基礎的にもやもやした社会に対する不満を抱えています。
ISがこう言う人をうまく取り込んで行くと、民族融和や経済側面だけの対応では無理があるし、どこにどう言う予備軍がいるのか分らなくなって行きます。
我が国では、オーム真理教がこうした不満分子を吸収して、事件を起こした経験があります。
古来からこう言う人は一定割合でいますが、個々人ではイキナリ刃物を振り回す・・「気違いに刃物」・・時々「通り魔事件」を起こす程度で、どうってことがありませんでした。
アメリカでは元々日本のカッターでの切り付けなどと違い刃物の代わりに銃乱射事件になって影響が大きくなっていたのですが、あくまで個人的思いつき事件だったのを、背後応援する集団が生まれ、背後で爆発物の供給・組織化が進んで来たとすれば、大変なことになりました。
あるいは模倣犯に近い・・感化を受け易い人はいくらもいます。

2015-12-9
   
   テロの供給源2(精神障害者利用とその結果)

政治運動家は、自分が政権を取って人民の支持を受ける目的で政権や社会批判をしますが、社会(秩序を守る意識)そのものの解体を目指してはいません。
支配者になったときにそのまま官僚機構や交通システムを利用出来た方が便利からです。
漢の劉邦が権力を把握すると、儒教が統治に便利だからとイキナリ保護し、以来王朝が何回変わろうとも統治に便利な儒教を事実上の国教(基本法)扱いして来ました。
これが、漢承秦制の思想の基礎になったのです。
漢承秦制の思想については、04/10/05「明治維新の開国と中国の開放経済1・・・「脱亜入欧・和魂洋才」と清朝の「中学為体、西学為用」1〜04/11/05「中国の開放経済3・・・「漢承秦制の思想と共産主義の堅持」前後で紹介しました。
権力者にとっては鉄道や道路などの復興は簡単で、しかも復興契景気になって良いことですが、権力に従わない気風が長期にわたるとその改善は至難です。
アフガンのテロ組織はアメリカがソ連のアフガン侵攻を失敗させるために養成したものがソ連撤退後これが自然消滅せずに、アルカイダなどのテロ組織としてアメリカで9・11のテロを起こすようながん細胞に育ったものです。
ISも、社会破壊目的のテロを利用して勢力を伸ばしていると権力を獲得したときに自分自身がうまく統治出来ません。
IS・・自暴自棄者の背後組織・たき付け組織の場合、その社会を良くしたいのではなく、うまく行っている社会を恐怖に陥いれ、混乱させることだけを目的にするのであれば、行動は一貫します。
身体で言えばがん細胞のような関係ですから、栄養さえ付けてからだを大きくして行けばがん細胞が成長しない訳ではありません。
精神障害者の不満は、社会福祉政策や最低賃金を引き上げるような、即物的側面の充実ではどうにもならない分野です。
精神障害者の増加は、いわゆる近代合理主義の貫徹や経済成長の結果によるものですから、成長やバラマキ・福祉政策の充実で解決出来る分野ではありません。
ですから彼らを煽って社会を攻撃させても何の解決にならない・・社会秩序が乱れるだけです。
宗教は精神の安定を図れば良い・衆生済度が極意であって社会に対する不満を煽るのは邪道です。
アメリカの例によると、上記成長政策等成功の拡大と精神病者の増加が比例関係にあると思われていますので、近代合理主義の貫徹がひずみを生じさせているのですから、この面の対応が必要です。
高層ビルを造ればこれに応じた消防設備がいるようなものです。
いつの時代にも一定比率で精神的不安定な人がいて、これを精神病院等に隔離するなどで社会防衛機能を果たしてきました。
近年精神不安等を訴える人が増えて来たので、全員隔離する訳に行かずむしろ長期入院を抑制し、解放処遇する方向に進んでいます。
経済政策の成功や福祉政策の充実・・精神科医を増やす・・薬付けで却って悪くしているような印象です・・だけではこうした人の社会に対する鬱屈した気持ちを吸収出来ません。
アメリカ型精神科医(薬品メーカーが儲かるような)増加政策では、根本的解決出来ないことがはっきりして来たと言えるでしょう。
日本では、中世以来「南無妙法蓮華経」「南無摩阿弥陀仏」などと毎日頭がぼうっとするほど唱えたり踊っていれば救済されるとする念仏系宗教がこれらを吸収して来た結果、社会の安定性が高かったのだと思われます。
一向宗など政治に走る宗教もありましたが、中世に発生した多くの宗派が精神面の救済に留まっていたのは救済を求めて来る人の目的に合致していました。
精神病質・・障碍者の場合、社会に適合出来ないことによる漠然とした社会に対する不満・・破壊意欲はあるだけであって、特定の制度を変えれば鬱屈した気持ちがどうなるものでもありません。
消費税の税率をどうするか道路交通法の規制をどうするか・・労働法規をどうする・・療養休暇期間を半年延ばしてもどうなるものではありません・・多くのうつ病等の人は休暇期間を使い切って最後は退職になっていますが、・退職後年数経過するに連れて悪化して行くような人が最後に大事件を起こす傾向がありますので、企業の休暇期間を2倍にしても良くなるような人は滅多にいません・・精神病者の不満はなくならないでしょう。