日系企業米国生産と格差緩和1

日本の場合赤字になるまで維持するどころか、赤字でも後何年頑張れるか・・「がんばれるだけ頑張ります」というのが決まり文句ですが・・地域経済への悪影響への心配がこういう精神論表明になるのでしょうか?
11月6日日経新聞朝刊1面トップに富士フィルムが合弁相手の米国ゼロックスから富士ゼロックスの持ち株(25%)全部を2500億円で買取り資本関係解消したと出ていましたが、米国ゼロックス本部はIT化進行により衰退事業分野となっている事務機部門を売り抜けて、富士フィルムから得た2500億円を新規有望部門の投資に回せる思惑が解説されていました。
11月7日夕刊には、米国のゼロックスはこの資金を含めて3兆円規模でコンピュータ企業のHPの買収提案をしたと報じられています。
富士フィルムの立場は合弁契約で富士ゼロックスには販路制約があったのですが、販路制限契約の縛りがなくなるので販路を世界に広げて行くための買い物と位置付けているようです。
この思惑の違いこそが、米国企業の真骨頂であり、落穂拾い的に衰退分野を修復しながらコツコツと維持して行く(法隆寺や、日本画、民俗行事など修復し続けて未来に繋ぐのが日本民族の基本姿勢です)日本企業との違いの象徴的取引というべきでしょう。
収益重視経営を一直線に突き進めると低賃金新興国の追い上げによる国内大量生産部門急速縮小→大量人員整理が急激に起きます。
不採算事業切り離しを一直線に進めると、収益的・株式相場的には高収益企業が増えて万々歳ですが、新興産業の金融やハイテク〜IT産業は雇用吸収力が弱いので製造業から押し出された大量労働者の行き先がない・大量失業→急激なサービス雇用への転換が必要になります。
この辺、明治維新によって武士が失業しても受け皿になる製造業界が多く立ち上がって労働者(士族の転職先でる管理部門事務系需要も急増)を吸収したのとの違いです。
戦後直ぐに日本の挑戦で繊維や家電等の軽工業縮小・米国での雇用喪失の場合には、女性労働者が多かったのでサービス業への転換(今では介護士など)が容易でしたが、重工業や自動車等機械製造系は男性労働者中心ですのでサービス業への転職は1世代程度の時間差がないと気質的に困難です。
我が国でも草食系男子という流行語が20年ほど前に流行った・今やそんな言葉すらないほど男性多数がソフトになってきて男性看護師・介護士等も普通になってきましたが、その間30年ほどの経過があって適応できるのです。
ソフト社会になるのは良いことと思いますが、サービス雇用化は製造業雇用に比べて不規則労働が多いことから非正規化→中間層が痩せて行く一方となります。
事務系でも資本自由化による資本金融取引拡大・IT・知財発展による中間管理職・ホワイトカラー層不要化進展による中間層縮小が加速する一方です。
国際金融取引のプロとして巨額を動かせるエリートはホンの一握りであって、中間管理職不要化の動きはとどまるところがありません。
大学院まで進み研究者の道はというとこれまた多くが同じ思いですから、オーバードクター状態になり、大多数が非正規の臨時講師の仕事しかない状態です。
製造業中心社会からサービス社会化の進行は、一方でグローバル化の波に乗って巨万の富を得る人がごく少数出る一方で中間層から脱落する低賃金層の拡大する社会でもあります。
米国の歴史的行動価値観・・収益率低下見込み〜不採算事業を早めに切り離し売り抜けて収益率の良さそうな企業買収するのが原則的価値観の社会です。
米国独立後北部工業地帯が成長を始めると奴隷による低賃金労働に頼る南部綿花事業切り捨て→南北戦争の主原因でした・・これをドライに割り切って行うのを視覚的に表現したのが、スクラップアンドビルドという表現だったのでしょう。
これの経営への応用が収益重視・・・ROE重視経営です。
戦後復興した日独等の米国追い上げが始まる追い上げられる分野ごとに収益率が下がって行くのがはっきりしているので、米国内生産を早期に切り上げて欧州等需要地での現地生産に切り替えて行ったのは上記経験による選択でした。
資源等ある国や地域にしかない物品は貿易による交換が合理的ですが、工業製品は本来どこでも作れるものですから労働者の能力差とコストしだいで生産適地が決まるものです。
圧倒的コスト差があれば輸送費や関税、人件費の差を負担しても長距離輸出が合理的ですが、技術などの競争力が拮抗してくるとちょっとした輸送費や関税手続きコスト負担も重荷です。
現地相場のコスト・・欧州の場合戦争で疲弊して生産設備が壊滅したのでその隙をついて米国が大量輸出できただだけのことで、労働者の能力としては米国と同様(以上?)でしたので現地生産に切り替える方が合理的でした。
戦争で破壊された欧州製造設備の復興が進むと米国から輸出するよりは、人件費の安い欧州に進出して生産すれば土地代、輸送費、時間、関税等すべて競争条件が同じになるので欧州などでの競争力を保てる→国内製造縮小して行くのが経営学的には正しい選択となります。
米欧の関係はもともと人種的に同根で基本的能力差がないに等しいのですから、相互に現地生産=競争条件が同一化すればどうなるか?
長距離輸送や関税負担するコスト差以上の競争力がないだけでなく、米企業の欧州拠点の場合、米国本社の遠隔指示と現地判断の差が出るので現地生産もうまくいかなるし、米欧相互に輸出コスト負担してまで輸出努力するメリットもなくなります。
これが欧州進出したGMや、フォード、クライスラーなど早くから欧州進出していた企業が軒並みうまくいかなくなっている理由でしょう。
イタリア、ドイツ等の特殊手作り的高級車や食品や衣装系・・仏伊のファッション系その他伝統に根ざしたもの各種製品に限って、米国へ食い込み成功しているのは、文化力格差によるものです。
同じ欧米系人種同士でもいわゆるアメリカの文化レベルはいわゆるヤンキーと表現される・・文化力の総合的表現である女性の理想像で言えば、最盛期のアメリカが初めて獲得した自前の民族理想像がマリリンモンローでした・彼女が米国文化の代表になったことが米国の文化レベルの国際意思表示・自白?と評価すべきでしょう。