発展を急ぐ社会1(中国の場合)

中国はいわゆるチャイナプラスワンによって国内経済成長失速が怖くて、焦って次々と次のレベルに突き進んでいるように見えます。

まだ使える機械類をもっと性能の良い機械に変える・・先進国がこれを行うときに、機械の場合には中古機械を後進国へ輸出すれば除却損を低減できますし・輸入国は高額投資しないで済むので中韓等が日本で陳腐化した最先端に近い半導体装置等を二束三文(日本企業としては持って行ってくれるだけでも廃棄コストが浮く)で入手して急速に生産を伸ばした事業モデルでした。

一般に知られているパターンでは、日本で古くなった電車車両等を後進国へ無料で提供しているのと同じ考え方です。機械と違って人間の場合、途中でいらなくなったからといって、タダでよその国へ押し付けられない点が違います。早く労働者を回転したいのに先進国より逆に高齢化のスピードが早いのが新興国の流れです。https://ecodb.net/exec/trans_image.php?type=WB&d=LE00IN&c1=CN&c2=JP&s=&e=(世界ネタ帳)からの引用です

改革開放開始直後には平均寿命が67歳前後だったのが、16年では75歳を超えていて日本との差が約10歳から7歳前後に縮まっています。
https://spc.jst.go.jp/event/crc_study/downloads/study63.pdfによる中国の労働者の学歴分布です

上記によると求職者に占める中卒求職者の比率が200年で73%、2010年でもまだ4割を占めています。
20年後の2020年でも35歳労働者中で、中卒が73%、25歳の中卒40%です。
この膨大な中卒労働者が高度産業従事者にいきなり変身できるはずがありません。

社会の安定的変化には1世代以上の時間軸が必要ですが、この時間を待てない新興国が米国であり中国のようです。
中国の政治家は産業レベルの変化に付いていけない彼らの失職後=老後?をどうするかの展望がないママ・・・国民が次のステージに備えて十分な力を蓄えないうちに次々と産業のステージを引き上げて行くのに必死ですが、取り残される彼らの生活をどうするつもりでしょうか?
多くの新興国が「中進国のわな」段階で足踏みしている・・最低賃金をむやみに引き上げないのは、「無理しない方が良い」という相応の理由があるのです。
https://spc.jst.go.jp/event/crc_study/downloads/study63.pdfからの引用です。

中国の人口変動と労働市場の構造変化
厳善平(同志社大学)2013年8月29日(木)

上記は13年までの統計ですがhttps://www.jetro.go.jp/biznews/2018/06/c29d7cd2530c6ef1.html2018年06月27日によれば、18年6月から深センでは月額2200元ですから、13年1620から25%くらい上がっていますし、時給も20、3元ですから、日本の千円前後の2倍になっています。

急激な引き上げによってチャイナプラスワンが進み、深圳等の万単位の工員を使って大量縫製していた工場がガランとしてしまった状況が映像報道されていました。
(バングラ等が今や大量生産基地になって久しい状況です)
現時点でもどんどん海外移転が進んでいます。
以下は中国企業自体の海外移転事例です。
https://diamond.jp/articles/-/179226?page=3

 

2018.9.10
深センで始まった工場移転、「世界の工場」を襲う人件費・家賃高騰
東莞からアフリカへ 5万人規模の工業団地を

このように最低賃金を引き上げると自国企業でさえ低賃金を求めて工場移転してしまうのですが、それに対し開き直って、ローエンドからハイエンド製品への産業構造変更・先進国が応じないならば自国開発を宣言したのが中国です。
そこらの後進国とは民度が違うという宣言です。

アメリカの産業・奴隷利用=粗放経済の破綻2

奴隷解放後もアメリカの産業構造はベルトコンベアー方式に代表されるように大量生産・粗放農業による低価格出荷競争が主眼でした。
熟練工や高級品質を求めず「低レベル労働者を安く利用して中間レベルの製品を以下に大量に安く生み出せるか」の工夫に重きを置いてきた歴史にみえます。
今でもスターバックスやマクドナルドなどレストランその他チェーン展開による大量出店で稼ぐ本質です。
喫茶店オーナーがうんちくを傾けるような方式を好みません。
日本人から見れば凝ったものなど理解不能・・安もの好き国民性印象になる所以です。
ところが、流れ作業をこなす程度の仕事→全自動化が行き着くと、さしたる訓練のない新興国・・消費地生産可能になったので、アップルに代表されるようにほぼ全て新興国へ生産移管してきたので米国が世界の生産基地でなくなりました。
この数年シェールガスで元気を取り戻したように、資源国としての生き残り程度が産業の主力になってきたようです。
新興国展開が始まった結果、アップルで言えば全量中国生産になっているように国内製造業が壊滅とまでは言わないまでも、「腕力に任せて米国内生産しないと許さない」というのでトヨタ日産など日本勢は米国内生産に協力していますが・・言わば第二次奴隷解放・低レベル労働者の放逐が始まったとも言えます。
実は米国日本籍のある企業の場合は、選挙権者でもあるので脅しなど怖くないので気楽に米国内生産に見切りをつけてさっさと工場国外移転を進めています。
https://japanese.engadget.com/2018/11/27/ev-gm-5-15/

EVと自動運転車に資源集中。GMが米国内5工場閉鎖、人員15%削減へ
トランプ政策空振り
米ゼネラルモーターズ(GM)が、契約社員の15%をレイオフするとともに、北米5か所の工場を閉鎖、さらに6車種を生産終了すると発表しました。
GMでは今回の再編によって正社員、契約社員あわせておよそ1万4000人のGM従業員が失業する可能性があります。
電気自動車と自動運転車の開発に資源を集中する方針です。

要は、EV系人材に入れ替えたいということでしょう。
ここでも適応障害が起きて旧来型製造工員が行き場を失なっていきます。

https://jp.reuters.com/article/gm-restructuring-trump-tweet-idJPKCN1NW29P
トランプ氏はツイッターで、GMがメキシコや中国の工場を閉鎖しなかったと批判。「米国はGMを救ったのに、その返礼がこれとは!われわれは今、電気自動車を含めGMへの補助金全額カットを検討している」と述べた。

放逐された時代不適合・低賃金労働者をどうするかの、解決策がないことが今のホームレス激増になっていることがわかります。
彼ら全員の再教育には無理があるので、ボランテイアによるピンポイントの教育効果があっても全体の底上げにはつながりません。
アメリカのホームレスに対する施策をさっと見た印象では、ピンポイント救済に引っかからないその他大多数は滅びゆく「先住民」のごとく「ゲットー」に囲って死ぬまで保護していくしかないイメージです。
シェルターは出入り自由なのでその点収容所とは違いますが・・。
出て行くのは自由でも、ホテル等に泊まれない以上は夜になると路上で寝るか、別のシェルターを選べるにしても結局は近くのシェルターに帰るしかないのでは、事実上一生シェルター暮らしになる点は同じです。
能力別人口構成はピラミッド型で、底辺層の裾野が広いのでボランテイアがピンポイント的再教育して・一つ一つの成功例・・やっている人は善行を積んでいる達成感や満足感いっぱい・・それはそれでいいことです。
しかし・・こういうやり方は砂漠に水を撒いているような気休め・自己満足で抜本的解決にはなりません。
マザーテレサで知られるように、あるいはビルゲイツの巨額寄付金のように、欧米ではこういう気休め政策にのる人を賞賛して底辺層の不満のガス抜きしてきた社会です。
日本は個人スターを必要としない社会です。
一本釣りだけではなく、底辺の底上げ・・解決には静かな長期ビジョンによる国・社会の制度設計が必須ですが、これには数世代にわたる施策が必須です。
我が国は誰もスタンドプレーに走らず・・黙々と戦後住宅不足時には公営住宅供給に税を投入してきたし、教育無償化や国民皆保険や年金制度を進めてきました。
こうした息の長い政策には天文学的予算が必須でしかも地味です・・長くても4〜5年で選挙の評価を受けねばならない民主政体・・政権交代する前提の短期施策では不可能です。
日本人の多くは選挙や目先の評判でなく、子孫が恥をかかないようにお国のために尽くす姿勢で多くの人が頑張ってきました。
これが我が国価値基準であり、良き伝統です。
社会のあり方として、いわゆる性善説と性悪説を古くはjune 4, 2013,モラール破壊10(性善説の消滅)前後、近くは19年2月14日頃に書きましたが、日本は性善説の国であって、監視してこそ真面目によく働くというような性悪説・投票箱民主主義のように底浅いものではありません。
米国では奴隷制度に始まり使い捨て的底辺労働に頼って(都市さえもスクラップアンドビルド政策・用済みなれば、ゴーストタウンにして捨てていく社会・・)奴隷制に匹敵する超低コストの底辺労働に頼ってきたこととセットで移民流入(労働能力としては最底辺層が多い)を受け入れてきたのです。
日本でもアメリカの真似をするのが正しいという主張が有力ですが、私はアメリカ方式に反対してきました。
さすがのアメリカも低賃金新興国に汎用品の生産がどんどん移転すると、教育を受け付けない膨大な数の底辺労働者の負の遺産をどうするかの時代に入っています。
2月27日に紹介したヒスパニック人口が約6000万人で、その中で一握りの成功者もいるでしょうが、大多数が文字やパソコン不要の現場作業(草刈り等の原始的?)に従事している階層では真面目に働いてもアパートに住む収入がない状態です。