バブル崩壊9と虚偽宣伝の破綻1

中韓が共同して国際宣伝戦を始めたことを政治的に表現すると、中華栄光の復活と言う時代錯誤な習近平国家主席の宣言→領土領海の拡張運動(当然支配内では中国政府に都合の良い宣伝が行き亘ります)・・周辺国との摩擦激化に繋がっています。
西洋や米国には力によるゴリ押しが出来ませんので宣伝戦に頼りますが、近いところでは直接的な支配領域拡大による中国政府の意見浸透を目指し始めたことになります。
専制支配に親和感のある韓国はその進んで支配下に入ろうとしていますが、東南アジア諸国は専制支配を受けた経験がないので専制性の価値観を押し付けるのは無理があります。
現在中国でのチベット族やウイグル族問題は、国内治安問題というよりは、本質的にはベトナムやフィリッピンとの領海や国境紛争と同様の専制権力・虚偽文化強制範囲拡張問題と見ることも可能です。
チベットやウイグル族は、周知のとおり共産中国成立後編入(占領)されたに過ぎず、中国式の専制支配を経験したことがないので、これ(バカの語源ですが、権力者が馬を鹿と言えば「そうです」と迎合するしかない社会・嘘でも何でも権力に従うこと)に馴染めない・潔ぎ良しとしない点が大きいでしょう。
専制権力に囲い込まれて権力者やそれに近い人から、嘘でも何でも強制される社会を好む人はいませんから、この目的達成のための近隣膨張政策の実行は迷惑な思想です。
鹿を馬と言えと強制できるかどうかとは別に、経済現象に関してはどんなに強力な権力者でも経済実態に反した政策は、矛盾の激化を先送りできても一定期間経過で必ず破綻してしまうことから逃れられません。
先送りが長引けば長引くほどその被害が大きくなることは、大きな病を隠して治療をしなかった場合と同じです。
裸の王様はいつかは風邪を引くでしょうし、これを無理していると風邪ひきでは済まなくなります。
中国地域では概ね300年経過で矛盾激化によって農民の大暴動〜流民化で毎回王朝が崩壊していますが、今で言えば実態変化を権力で隠蔽して来た咎め・・バブル崩壊という表現になるのでしょう。
当時は社会現象の変化スピードが遅かったので平均300年も保ちましたが、今は変化が早いのと情報の発達でそんなに長く持ちません。
ソ連は約80年間不都合な経済実態・事実を隠蔽してきましたが、遂に破綻してソ連邦解体によって国民の平均寿命を大幅に低下させてしまいました。
中華人民共和国も政権樹立直後から第何次5カ年計画を逐次発表しては毎回赫赫たる成果を宣伝していましたが、実際にはその都度うまく行ってないので誤摩化していたのですがこの嘘がきかなくなっていました。
そこで、今度こそということで、「大躍進政策」と言う従来型計画とは違うという大宣伝をしていました。
中国では大躍進政策を大々的に成功発表していましたが、従来の5カ年計画の嘘を大きくしたので一時的な目くらましになっただけですから、遂に行き詰まり、貧困の実態を明らかにして(辞を低くして日本の投資を仰ぐしかなくなった)改革開放に切り替えるしかありませんでした。
この辺はいま流行のバブル破裂の(さらに資金注入したばあい)先送りも、規模を大きくして行くだけである点は同じです。
中国では大躍進政策を大々的に成功発表していましたが、従来の5カ年計画の嘘を大きくしたので一時的な目くらましになっただけですから、遂に行き詰まり、貧困の実態を明らかにして(辞を低くして日本の投資を仰ぐしかなくなった)改革開放に切り替えるしかありませんでした。
先送りは事態の解決にならない点はいま流行のバブル破裂の(さらに資金注入したばあい)先送りも、規模を大きくして行くだけである点は同じです。
鄧小平による改革開放体制は、過去の政策失敗の実態を明らかにして改革開放に踏み出した筈だったのに、都合が悪くなるとデータの捏造を基礎にした・歴史などどうにもなるという2000年間のDNAの先祖帰りが直ぐに始まったように見えます。

ポンド防衛の歴史11(ポンド管理政策の破綻2)

12月10日に紹介したように、イギリスとOECD諸国との成長率格差が広がる一方で、為替取引自由化の部分を多くして行くと硬直的なポンド維持・為替管理が難しくなります。
この打開のために1949年9月には、1ポンド4、03ドルから1ドル2、80ドルへ約3割に及ぶポンド切り下げを行います。
大恐慌時のポンド切り下げと違い、戦後は域内諸国が多額のポンド預金を強制されていた(債権保有者になっていた)ので、49年の切り下げは指定諸国(元のスターリング諸国)にとっては(ポンドでの)外貨準備の対ドル価値が大幅減額・大損害になってしまいました。
今の日本や中国がアメリカドルで保有している外貨預金が3割切り下げられたようなものです。
その上イギリス及び指定諸国(主に英連邦諸国)全体が戦後では貿易赤字基調なので、今後もじり安になるリスクのあるポンド預金をするのはリスクが増えるので指定諸国のポンド離れ(ポンドにつきあっていると損をする意識)が始まりました。
大恐慌時のスターリング地域設定時には構成諸国トータルの国際収支は黒字であったので、この黒字分をロンドンに集積するメリットをイギリスは受けていたし、その結果ポンド相場が維持出来たことを既に紹介しました。
戦後はスターリング地域(戦後は指定地域)全体が対ドル圏に対して赤字機基調になって来たので、ロンドンで外貨交換してもドルを集積しなくなり(トータルで赤字であればロンドンで交換してもドル支払いの方が多くなって持ち出しになります)、むしろイギリス本国が参加国を援助しなければならなくなる方向になってきました。
参加国全体がじり貧になって来ると、参加国もイギリス本体も相互にこのシステムを維持するメリットがなくなってきました。
言わば親戚みんなが貧乏人の集まりになって来たので、お互いに他所の金回りの良い他人とつきあう方がメリットが大きくなって来たと言えます。
その結果、域内貿易よりは域外貿易の比重は上がる一方になってきます。
他方でポンドの両替が不自由・使い勝手が悪いとその不満から域内諸国のポンド離れをいよいよ加速するので、イギリスとしてはポンドの自由化を進めるしかない展開になってきます。
徐々に為替自由化を進めて行った結果が、西欧諸国一斉に行われた1958年の非居住者の換金自由化に繋がり、61年の居住者に対する制限撤廃になります。
ポンド両替が完全自由化された1961年にイギリスはIMF8条国(貿易収支の悪化を理由にする為替取引制限を出来ない国)に移行して漸く先進国のメンツを保てました。
ちなみに日本の8条国移行は1964年(昭和39年)で、戦前の一等国から敗戦による4等国への格下げ・(子供の頃には何かと言うと「4等国になったのだから・・」と大人の自重気味の話を聞いて育ちました)ここから漸く挽回しての再度の先進国(戦前の言葉で言えば列強諸国)入りを果たしたことになります。
(東京オリンピックもこの年ですし、新幹線開通もこの年でした)
日本の場合は十分な実力を蓄えた結果の8条国入りですので、参加したからと言って円の売り浴びせはなく・・、むしろ以後値上がり圧力のまま現在に至っています。

ポンド防衛の歴史9(ポンド管理政策の破綻1)

戦時中の為替規制は戦時特例としての「管理令」だったのに1947年の制度は、「法」という恒久制度にしてしまったらしいのです。
日本では法と令とは格式が違う・・日本では法は国会の制定したもので、令(勅令・政令・省令・は行政府の定める法の下位規範です。
(格と式の違いについては以前律令制との関係で01/17/06「律令制の崩壊と平安遷都(格式の発達と令外官1)」前後で書きました。)
12月1日に紹介した名古屋大学教授金井雄一氏の「基軸通貨ポンドの衰退過程の実証的研究」によれば、戦時中の規制を為替管理令と翻訳して、戦後規制を為替管理法と翻訳しているのは、上記日本の法と令の格式の違いを前提としてのことなのでしょう。
これは日本法形式の違いであって、イギリスも同じような違いがあるのか(・・法制度の違いを知って翻訳しているのかまでは分りませんが・・)その論文には恒久法になったと紹介されています。
41年の管理令は戦時特別の時限立法だったので「管理令」と翻訳して戦後の47年法は戦時に限る時限立法ではない平時の法なので「管理法」と翻訳を変えているのかも知れません。
これによって域内諸国に関してはポンド利用を強制し、同時にドル・プール制も強化されて、ポンド以外の外貨との交換を許可制にして、ポンド流出防止に成功します。
英連邦諸国に対する法・強権による強制は、経済の実態に合わないと、ナポレオンの大陸封鎖令同様に無理が出てきます。
この体制はアメリカの圧力というよりは、内部事情から徐々に崩壊して行きます。
戦時中と違って、戦後世界全体が自由化に向かっている中で、(たとえば、1950年の「ヨーロッパ決済同盟」設立など戦後の為替交換性回復・貿易自由化の流れは留まるところがありません。)これに反する為替閉鎖体制の維持(スターリング地域全体が域外に対して貿易赤字化して来ていたので、一種の貧乏国・低成長国の集まりとなってしまいました。
貧乏人の集まりでは先がありません・・旧共産主義諸国の経済機構・COMECON・もやって行けないので解体していまい、中国も1980年IMF加盟国になり、未だに孤立しているのは北朝鮮くらいです。
スターリング地域を閉鎖社会にしたままでは、世界からの孤立化にも繋がり、戦後の発展から取り残されてしまいます。
1947年8月に緊急避難的に為替管理政策に戻ったイギリスは孤立し続ける訳に行かなくなって、47年のような一気の自由化ではないものの、おそるおそるの自由化を試行して行きます。
1951年には、公認為替銀行と多くの為替ブローカーに対する為替取引の自由化を部分的に認めるようになり、為替交換が徐々に再開されて行きます。
他方でポンド預金の封鎖勘定と外貨変更自由な解除残高の割合を徐々に変更して封鎖残高のポンドの比重を下げて行ったのですが、自由化が進み始めるとスターリング地域合計の国際収支赤字基調がポンド相場維持に重荷になって来るジレンマがありました。

国債破綻7

国力低下に伴いじりじりと円や国債の価値が下がって行く・実力に合わせた円や国債下落は仕方がないとして、仕手筋による催促相場を超えた乱調気味になったときには一時的に市場を正常化させるための介入手段・アメリカに勝てないまでも中小国の侵略を防ぐに足る程度の防衛力維持が必要なのと同じ論理で・・ある程度の防衛力を準備しておくべきです。
これからは円高相場介入準備よりは、イザというときに国債暴落相場介入の必要性の方が、現実的・・しかも暴落すると国家経済にとって致命的なことになるので、介入・危機管理能力が問われるかも知れません。
実力=経済的基礎と全く関係のない仕手・過熱相場戦は起きないので、危機がささやかれるに足る相応の原因があってのことですし、仕手筋は日本政府は支えきれないと読んだときに行動するものですから、暴落相場に一旦突入したらどんな準備をしていても手の付けようがないかも知れません。
大暴落による急変・・経済活動麻痺を防ぐためには、実力低下が始まって来たときには、これに合わせて円下落をそのまま受け入れて行くことが肝要です。
実態を糊塗するために無理に円下落を防止せずに徐々に下落させて行けば、ダム決壊のような大暴落が起きません。
国債下落問題も経済実態に反して無理な信用維持をしているとその差を狙って突っ込みが入って却って大混乱になるので、徐々に信用が低下して行けばいつも経済実態に合致していることになります。
現在のアメリカドル下落は長年双子の赤字なのに超大国の威信によってドルが実力以上に高く維持されて来た無理が出て来ただけのことです。
経常収支が赤字転落し始めると対外的にも収入よりも支出が多い借金経済になり、一定期間経過で我が国が純債務国に転落しそうになったときに、論理的にもそのトドメになるのでしょうが、それがいつかは今のところ誰にも分りません。
アメリカの場合は、唯一の超大国だったので純債務国になってからも赤字の垂れ流しをし続けても最近まで持ちこたえていましたが、その限界が近づいたのが2008年秋のリーマンショック以降の波状的危機の始まりです。
軍事力その他で無理していた分、下落すると大きな下落になる可能性があります。
純債権国とは言っても、海外投資残高は金融資産と違い直ぐに換金出来ない性質のものですから、純債務国に転落さえしなければ良いのではなく、換金可能な外貨準備・金融資産が減って来たときから危ないのです。
逆から言えば、純債務国でも毎年黒字計上している堅調な国であれば、その紙幣の下落はありませんし売り浴びせも受けません。
経常収支が赤字になると、且つ国内金融資産残高を国債残高が超過し始める前から、ちょくちょくと投機筋の標的になり始め、その都度何とか凌いだとしてもいつかは、本格的な国債の大暴落が始まる前触れですから、破綻が近づいている可能性を否定出来ません。
ゲルマン民族の大移動も初めっから大規模だったのではなく波状的に起きたものです。
年に100兆円ぐらいづつ国債残高を増やして行くと、他方で国民の方は高齢化して来て金融資産を食いつぶして行く人が増える一方ですから、現在1400兆円の金融資産はその内1000兆円台に減少して行くでしょうから、この交差点と経常収支の赤字化の交差点が意外に同時期頃に来る可能性があります。

国債破綻6

大震災直後は部品製造等が滞ったのでさすがに一時的に貿易赤字になりましたがその後持ち直しているようですし、(原油系の高騰で8月は貿易赤字)仮に貿易赤字になっても経常収支が黒字である限りトータルとして黒字ですから、論理的には何も問題がありません。
以上は論理計算の問題に過ぎず、実際に海外に出回っている円の数量は膨大ですし空売りも出来るので、投機筋の標的になるとある日当然大暴落が起こらないとは限りません。
国債の約95%を国内金融機関等が持っているとしても、国内の保有者は新規発行時の買い主になるとき以外はじっと持ってる人や機関が殆どであまり日々の売買・・相場形成に関与していません。
現在でも新発債の引き受けを除く、実際の取引比率を見れば、海外勢の方が、保有比率に比べて存在・取引率が大きい点が重要です。
この海外勢が日常的に持ち高の何倍もその日の相場を形成する能力を持っているといえるのですが、仕手戦っぽい乱調相場に入って来ると空売りその他で何十倍何百倍の威力を発揮し、95%持っている国内勢はただ傍観するのみですから良いように翻弄されてしまいます。
僅か5%しか保有しない海外勢のうち半分の保有者が売り急ぎ、あるいは空売りなどで稼ごうとするものが割り込んで来たときに、97%の保有者が売るほどでもないが買い支えたくまではない・・様子見の場合、売りが圧倒して大暴落に発展します。
今回の原発事故で東電株が2000円台から400円台に下がったときでも株式保有者みんなが参加した訳ではなく、少数のプロが売りを仕掛けて誰も買い支え・・(今回の場合下落は当然ですから)逆ばりをしなかったからでしょう。
このように市場相場は結果的(長期的には)に正しいところに落ち着くとは言え、発行済み株式や国債に比べて毎日の出来高が小さいので短期的には空売り等を仕掛ける仕手筋が何千倍の威力を持っていて、変な相場になる点を注意するべきです。
たとえば市場での日々の出来高が発行済み株式の0、1%しかない場合、0、1%の関係者だけで短期的な市場を形成していることになります。
ですから国債の安定性を議論するには、国債や株式の外国人保有割合よりは日々の取引参加者の国籍別シェアーを分析しないと意味がありません。
国債で言えば発行残高の0、1%しか日々取引されていなくて、その内の9割が海外投資家で占めている場合、わが国の国債相場は海外投資家の動向によって、1000兆円近い国債の相場が一日で100兆円値下がりしてしまうことも起きてきます。
国際相場の正常市場価格の急激な変化を阻止するには、日々の市場参加者を増やす・・市場の活性化しかないのです。
円相場高騰の場合、輸入価格の暴落と対の関係ですので必ずしもマイナスばかりとは言えませんが、それでも急激すぎると取引上支障を来すことは明らかです。
円や国債下落局面の場合はまだ実力があるのに仕手筋や金融ブローカーの金儲け競争による結果国債暴落突入の場合はデフォルトに直結しますので、プラス材料は何もないと思えます。
(私のコラムは従来円高肯定論で一貫しています・・この国債破綻シリーズも破綻=円暴落の方を恐れた立論です)
地球温暖化論争も、「1度や2度暖かくなって何が悪いの?気持ちいいだけじゃない!寒冷化の方がずっと怖い」と言う前提でいつも書いています。

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