中韓外債発行の前途(米中対立と香港市場の機能麻痺)1

過剰債務の雄である中韓の動向に話題を戻します。
ファーウエイの国内債発行問題に戻します。
米国の厳しい批判・締め出し政策によって、ファーウエイが市場を選べる環境でなくなったので(香港でさえも騒動で危ういと思ったのか?)仕方なしに国内発行になったのではないでしょうか。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49731210S9A910C1FFE000/

ファーウェイ、中国本土初の社債を900億円発行
ファーウェイはこれまでもドル建てや元建ての社債を発行しており、現時点でドル建てで45億ドル(約4900億円)の残高がある。今回の社債発行について同社は「中国本土の債券市場を開拓し、資金調達の手段を最適化する」と狙いを示したうえで「経営は健全で、キャッシュフローには十分な余裕がある」としている。

ファーウエイが社債を国内発行するためにわざわざ「経営は健全で、キャッシュフローには十分な余裕がある」と言い訳すること自体異常でしょう。
香港騒動は、中国政府が国内専制支配の成功?浸透に味をしめて?香港にもその支配を強めようとしたことに危機感を抱いた市民の反発を受けて始まったものですが、中国政府の意を受けて動く香港政府の強硬姿勢がさらなる反発を呼び相互に過激化する一方です。
中国の急激な発展は膨大な資本導入があってのことですが、後進国として本土への外資導入には強固な防壁っを築き規制だらけ・・金融自由化ととは程遠い状態でしたが、一種の金融特区機能を果たす香港自由市場のおかげで香港で自由な資金取り入れを行い、それを香港資本に薄めて本土に資本移動させるという巧妙な手段を用いてきました。
中国企業が先進技術を直接導入しても直ぐに使いこなせないので外資工場設立させて中国人の現場作業や管理職の職務経験を積ませるのと同じことを本土の金融規制を残しながらうまくやってきたのです。
国有企業(鉄道系が有名です)中心に海外展開が進むようになりこれに随伴するようにファーウエイなど軍事色の強い企業も民間として、海外市場で積極的に資金を導入できるようになりました。
しかし外資が直接100資本の企業中国に進出できない(中国企業との合弁限定しかも共産党員常駐制度付き)企業を買収できるのではなく、砂粒のような個々人からの物言わぬ資本導入だけいいとこ取りする関係です。
米中対決が始まって海外市場で「いいとこ取り」の米国での起債が危ぶまれるようになって・・頼みの綱の外資受け入れ口として利用してきた香港の重要性が増してきた矢先でした。
今回7月1日以来始まって以来、エスカレートする一方の香港騒動で香港市民の中国政府に対する反感が強まる一方ですから、香港市場を利用するだけしたい本土企業の資本取り入れ装置としての社債上場が危なくなったのでやむなく中国での起債に踏み切ったように見られます。
中国にとって香港は資金導入の貴重な窓口ですから、いわば金の卵を産む鶏を絞め殺すようなことをしているイメージです。
米中対決月下の最中・・香港市場の重要性がいや増す時にあえて香港市民を締め上げる条例制定に動いたのか?政治センスが不思議ですので、ネット上では習近平の権力基盤が弱くて強硬派に押されてやむなく取っている行動だと言う、うがった見方が出ています。
対日強硬活動が起きるといつも政権中枢の統制が効かない・・末端の暴走でないかという対中融和的意見が流布される1種ですが、私そうは思っていません。
専制支配的発想・・韓国でも同じですが、ある主張を始めると、トコトンやったり最大限の罵倒や侮辱的言辞を吐き出し続けないと我慢できない国民性では共通です。
政争に勝てば相手を讃えるのではなく、敗軍の将を最大限侮辱し辱め貶める残虐行為の歴史の数々に気持ちが悪くなるのが日本人です。
後宮の争いも同様で、皇帝の寵を得た方が、それまでの寵姫を豚と称して手足を切り取り豚と称して厠につないで上から糞尿をかけるなどです。
韓国の対日侮辱行為も、日本が黙っていれば治るわけではあなく際限なく繰り出してくる状態で、これでは付き合いきれないとしてついに日本は縁を切る方向に舵を切りました。
日韓修復は韓国で反日教育や根拠ない日本批判(いうより陰口)が節度なく続く限り不可能でしょう。
民主化した?はずの韓国では今でも感情に任せて国民が走ってしまう状態に驚きますが、制度上なんの抑制システムもない専制支配体制のままですと、市民の反感があれば逆に強者の立場で「生意気だぶっ潰せ!」という方向の政治感覚しか働かないのでしょう。
香港の場合、純粋な中国国内問題ではなく1国2制度が国際条約によって縛られている関係ですので、資本取り入れ口の機能麻痺の怖さの他にこの弱みもあって中国は香港周辺まで軍を集結させているものの、その先に一歩踏み出せないままです。
この均衡がいつ破られるかの攻防・緊張が約3ヶ月も続いています。
この状態でファーウエイが香港での起債発行する勇気がなく国内起債に踏み切るしかなくなったことが中国国内経済への大きな重石になってきているでしょう。
ファーウエイでさえ香港上場が出来ないなら他企業の運命は推して知るべしとなりますので、香港の平和裡の収拾が中国 政府にとって喫緊の目標です。
軍で蹂躙すれば天安門事件後の国際孤立では済まないだけでなく香港の自由市場認定が国際金融システムから否定され香港の金融市場としての生命が終わります。
そうなれば中国が国際資本市場から資金導入の方法が閉ざされることになります。
今米国を敵に回し資金締め上げにあっている中国がそのリスクを冒し、難局突破の能力があるのでしょうか?
この辺りの文章はもともとファーウエイの本国起債のニュース直後に書いておいたものですが、その後日経新聞で中国系企業の米国株式や社債市場締め出しの動きが小出しに出て来るようになりました。

IPO投資の逆回転4と世界経済3

以下、中韓の債務膨張→起債不調等を書いてい行きますが、これは世界の 起債市場変調の引き金になるか?という心配から書いて行くだけであって、IPO投資不調・逆回転の兆候が中国あるいは特定国の債務過剰に不調に原因があるというより構造的問題であるという基礎的意見です。
起債市場異変が起きるとすれば、・・日本の超金融緩和に世界中が便乗して米欧で超金融緩和に乗り出して、EUではすでにマイナス金利にまで踏み込んでしまったことにより金融機能が損なわれてきたことに対する危機感にあると思われます。
本来リスク資金は返済義務のない株式投資で賄うべきところ、超低金利かで借金でマカアヌ方が有利になってきたことによります。
株式は発行して仕舞えば終わりではなく、一定の配当を維持しないと株価下落し機関投資家の不満が高まります。
当然経営責任も問われる事態・・投資ファンドの発達でROE重視とか言って、配当重視(過剰?)がもたらした結果です。
ゼロ金利で借りられれば、極端な例で言えば、前年同率の利益率でも株式を半分に減らせば、配当率が倍になるので株価が二倍になる仕組み・・社債発行(借金)してその資金で自社株買した方が経営者にとって有利になる仕組みです。
業績1割不振でもゼロ金利の社債発行によって得た資金で自社株を1割買いあげれば、前期同様の配当が可能です。
利益が出ていないのに粉飾で高配当・・いわゆるタコ配当が昔流行りましたが、いまは死語でしょうか?
結果から見るとタコ配当に似ていますが、実際に出た利益を配当するので違法でもなんでもないですが、配当すべき相手を減らすことによって株主として残った人が、本来に利益率以上の高配当を得られる奇抜なアイデアです。
というわけで、企業が自社株買いすると報道すればその株を持ってれば配当が期待できるので業績発表が前年比減配当額が前年比1割減っても、自社株買が1割あれば株をそのま村にで持ってれば前年同額の配当を受けれるので株式相場が値上がりする理屈です。
前向き投資の資金需要の場合でも増資による資金手当てをすると、配当すべき株式が増えるのに対し、新規投資によるリターンはうまく行っても(生産工場用地取得し立ち上げ等の場合)数年間寄与しないので、配当率が下がります。
これに対し、M&Aが流行るのは、買収先企業の売り上げや販売益が、当期利益にそのまま反映されるからです。
そいsてM&A資金を社債等で賄えば利子支払いが増えますがこれがゼロ金利だとその負担がゼロで、配当相手は増えないメリットがあります。
このように企業は今や増資(新株発行)等で資金手当するよりも、社債発行で手当した方がメリットが大きいいので既発行株式も消却していく方が有利という状況です。
企業統治的に見ても株式保有者は経営に口出しできますが、社債保有者の場合経営権がありません。
それこそ、「釣った魚に餌をやる必要がない」という状況です。
機関投資家も買うまでは立場が強いですが、買って仕舞えばあとは嫌なら転売すれば?と言われるだけで満期がくるまで何の意見も言えないし聞かれません。
債権者は会社の外部者という立場で、制度上株主総会のような経営に物申す制度がありません・・解散等特別な場合債権者保護のための制度がありますが、あくまで「債権者保護」のための制度であって経営参画権ではありません。
借金には返済期限がありますが、実際にはほとんど大手企業ではロールオーバー・・借り換え債発行で回転していくのが普通ですので、その時に不信任・買い手がつかないと社債満期の償還資金手当に苦しむ・・一種の不信任を突きつけられるリスクがあるだけです。
お金に色がつかないので、業績さえ良ければ別の機関投資家が買うかもしれないので人的コネに頼る度合いが薄まります。
このあとで紹介しますが、韓国ケミカル大手のハンファが、日本でサムライ債の借換債発行に失敗しましたが、代わりに米国でドル建て起債すると言い訳していますが、それも無理なら韓国内での起債、それも間に合わない時にはつなぎ融資に頼る緊急融資でしょう。
このように社債購入母集団・今回の場合、日本人集団の信認を失うといきなりの衝撃がありますが、これは、文政権の度を過ぎた反日言動に対する日本人全体のブーイングが反映したものですが、こういうことは稀ですので、一般的には業績さえ普通なら、特定社債保有者意見など相手にする必要がありません。
サムライ債を買っている日本人の声を聞くシステムがないし、スポンサーを変えればいいシステムです。
一旦株主になるといくら口うるさく嫌な株主でも企業側で株主を変える権利がないのとは大違いです。
借金の場合金利負担がゼロとしてもいつか返済期限がきますが、これは借換債発行が際限なくできれば、株式と結果的に変わりません。
社債を買う人が少なければそのグループの意向を無視できませんが、今のように大量の個人が少額買う仕組みになれば、個々人なんの意見も言わないので企業にとっては元利償還さえできれば空気のような存在でしょう。
サムライ債の社債購入者個々人は、砂つぶのような存在ですし社債購入者名簿もなく一致団結行動チャンスもないのですが、今回は文政権があまりにも嫌韓感情を煽っているので、無意識の団結というか、借換債の募集に対して応募する人がいなかったのだと思います。
IPO投資不調が社債発行市場にもどいう影響を及ぼすかも重要な問題です。
超金融緩和が、ゼロ金利が配当圧力にさらされる経営者を社債に走らせ、企業統治に物言わない便利さ等々によって、世界中が過剰債務状態になっているように見えます。
過剰債務問題は中韓に極端に現れていますが、実は金融超緩和の申し子です。

既発債と借換債発行

ホットマネー規制から独裁制と情報規制が表裏の関係あることに話題がそれましたが、中国のデフォルトリスクに戻ります。
借入金の場合は額面保証債務ですから、満期が来れば、相場下落とは関係なく券額面を払うしかない・・1割でも不足すればデフォルト・企業で言えば倒産になります。
相場の重要性に付いて考えておきますと、ある企業が株や社債を一旦発行してしまえば、その後いくら相場が下がっても発行企業が手に入れた資金に変化はありません(下がっても満期が来るまで返す必要がない)ので、本来何の関係もありません。
購入者も満期まで持てば元利金保障ですから損がありませんが、満期まで持たずに転売したときに相場下落によって損するだけです。
損をしてでも早く売りたいのは満期になってから返済不能と言われると困ることや、この間の金利動向(金利が上がるともっと高い金利の債券に乗り換えたいこと)によります。
発行体も一旦発行して資金を得た後に、その後の社債や新株発行等による資金手当を必要としていなければ途中でいくら下がろうと何の関係もありません。
「釣った魚に餌をやらない」と言う中国式開き直りが通用します。
しかし多くの企業は絶え間ない投資金や借換債の発行を必要としているので、その後の新株発行や社債発行(借換債)は発行時の相場によるので、(相場が10%下がっていれば・・100万円額面でも90万円でしか売れない・・実質金利が券面表示プラス10%となってしまいます。)企業経営者はいつも自社株式相場に一喜一憂せざるを得ません。
これが10年に1回ならば気楽ですが、毎年10年債を発行していると年に1回期限が来ますし、仮に3〜5〜7〜10年満期国債・社債でも大量に発行している結果、一定期間ごとに絶え間なく償還期限が来るので、しょっ中次の発行に向けた準備が必要で、一定期間ごとに資金手当が必要です。
資金需要その他をならすためとリスク分散のために、企業でも国債でも(10年に1回にまとめないで)分散発行しています。
ギリシャ危機報道では、毎月のように次の◯◯日に来る期限をどうやってクリアーするか・・次の崖が話題になっているのはこの結果です。
社債、国債等の多くは、元金満額をこの発行期間中に儲けて返せる企業はなく、借換債の発行で手当てしています。
この仕組みは以前書きましたが、トヨタ等が工場進出資金を社債で手当てした場合、土地購入から工場建家建築〜機械類の設置などして動き出すのに2〜3年かかりますので、ある程度採算が取れるようになるのに数年かかり、更に利益が年1割前後出るようになってからでも全額=10割まで積み立てるには気が遠くなるほどの期間がかかります。
上記のとおり投資資金用の場合、3〜5〜7年満期で、投資資金全額を回収出来る訳がないことを見ても借換債の重要性が分ります。
ほぼ100%の社債や国債の満期償還資金手当が、借換債の売却金収入に頼っていることから、公開企業や国債発行体はその時期に向けた相場に神経質にならざるを得ない状況です。
新規借換債の発行価格が発行当時、半値〜3分の1に下がっているときには、同額でしか引き受け手がいないことになりますので、返済予定額面の2倍(表面金利プラス100%の金利)〜3倍(同300%金利)額面の社債・国債を発行しないと返済資金が足りなくなります。
この借換債の満期が来れば大変なことになりますが・・ここまで暴落すれば投資家は倒産リスクの方を重要視するので、社債の引き受け手が出ない・借換債発行不能でデフォルトになります。
中国が「一旦日本企業が進出してしまえばどうしようと勝手だとばかりに中国進出企業を痛めつければ、次の進出企業がこれを参考にする」と6月1〜3日に書きましたが、債券や株式相場の場合相場にモロに出る仕組みです。
支配下に入れば家畜同然・・やりたい放題・専制的に振る舞いたい中国政府が、相場感受性の高いホットマネー流入・・規制がなければ簡単に逃げられるのを嫌う理由です。
ホットマネーのように簡単に逃げられる資金の場合、・・資金流出が始まると勢いが付いて簡単には止まらなくなります。
ホットマネー規制は、それに耐える体力がないことと、高成長・・投資魅力を煽って資金流入させている手前、相場下落基調に入ってもそれを大っぴらに知られたくない・・実態と外見が合っていないからです。

独裁体制と情報規制(ホットマネー)1

ホットマネー流入禁止は、言わば体温計を使うな、クルマのスピードメーターの取り付け禁止みたいなものです。
体温計を見なくとも体調悪化を防げる訳ではありませんし、メーターさえ見なければ、スピードが出ていないことにはなりません・・・本末転倒の政策です。
ホットマネーは相場に損益がモロに左右される資金のことですから、ホットマネー運用者の経済状況認識と予測が自ずから鋭くなってあわてて動くので、言論の自由がなくもの言わずともその動きから経済状況が素人・一般に拡散されます・・言わば経済動向ウオッチャーの関与禁止・・経済動向の外部漏洩禁止と同じです。
言論禁止の極まった形として、大惨事が発生したときに、大惨事発生を知られないために現場周辺を立ち入り禁止にしていると、報道の自由が保障されていても現場に行けないと報道出来ません。
今回の長江での客船沈没事故では大惨事自体はすぐに世界に知られてしまいましたが、事故が知られた後は政府報道機関しか周辺立ち入りできず政府機関の宣伝・・政府はこんなに頑張っているなどの宣伝しか報道されない状況になっています。
ホットマネー規制は報道規制している独裁国家の手法・・政府に都合の悪い事件報道をさせないのと同じ手法を経済界に及ぼそうとするものです。
報道規制しても実際に起きた事件がないことにはならないし、経済実態が悪くなっているのを国民に知られるまでの時間を稼げるだけで、駄目になった経済が良くなることもないし、ジリ貧になるのは同じです。
ホットマネー取引規制していても、金融その他現実取引している人は肌で分りますし、皮膚感覚で分る庶民による手持ち資金の国外逃避が始まれば経済界が浮き足立つ結果は同じです。
じりじり逃避資金が増えて来ると株価維持・買い支えのために財政出動しても、資金が続かなくなるので、中国の海外借入金が増えて来た原因かも知れません。
ホットマネーによる煽り立てがなくとも、支払能力がなければいつかは露見します。
半年〜1年後後の危機を察知してホットマネーが売り逃げを図り、売り浴びせられるのは、不都合を先送りしたい債務者には悪夢でしょうが、情報隠蔽は半年〜1年先につぶれるのを知らないで新たに貸し、投資し続ける人の被害を拡大することになります。
現在で言えば、庶民が危機状態を知らされずに政府勧誘によって株式投資に誘導される・・情報を得ているグループはこの間にリスク資産を高値で売り逃げすることが可能となっていることを見れば、情報隠蔽の恐ろしさが分るでしょう。
韓国のセウオール号沈没事件では情報のない客は船室待機を命じられて、そのまま放置されて大量死亡して情報のある船長や船員は先に逃げてしまったのもこの一例です。
6月2日ころの長江での客船沈没事件でも、船長や機関長が真っ先に逃げて助かっています。
期間長は職務柄、船の機関室・・奥まったところにいるのに何故真っ先逃げられたか(操作ミスなら真っ先に知り得る立場です・・)報道を見て、最初に感じた不思議でした。
ホットマネー流出入規制社会とは、特定情報にアクセス出来る特定の人(特権階層)だけが情報に従って予め自己利益を守るために行動出来るし、アクセス出来ない人は逆の楽観情報を意図的に振られて目前に迫っている危険に気が付かずに危険な投資その他に参入させられ、安心して踊らされてしまう社会です。
危機が迫った瀬戸際になって、始めて緊急対応が出来るだけ・・インサイダー取引を国が推進している社会・・このような情報格差社会を政府が強制して良いかどうかの意識・・その国の姿勢でしょう。
公正な競争を奨励する自由主義社会においては、競争の結果(勝敗の結果)格差が生じるのは論理必然ですが、格差を恒久化せず、出来るだけ速やかにその是正を図り、是正期間の短縮を図ることが求められていますが、政府が率先して不公正情報操作をして格差を形成しようとする社会は問題です。
イラクの元フセイン大統領に始まって現在中国の江沢民元主席周辺、共産党大幹部周辺、独裁社会ではその取り巻きが極端に良い思いを出来る社会になっていたのは情報格差による論理必然です。
強い者が(賄賂のとりたい放題を象徴として、)やりたい放題をして来た結果、何兆円と言う海外資産隠しが横行するなどの巨大な格差が中国で生じているのです。
独裁制=情報規制社会ですから、「民をして知らしむべからず」式になるのは理の当然です。
ホットマネー規制は経済面での情報規制の象徴(金利自由化規制・A株B株と言われる資本市場参入規制その他の多くの規制はその下部規制になります)であり・・独裁国家の本質であることが分ります。
上記のとおりホットマネー規制その他の多種多様な規制の結果、すぐには経済状態が外部に漏れ難いのが中国社会の現状ですが、日本人投資家が一刻も早く知りたいのは知りたいのは、経済の先行き・・進出予定業種の先行き見通しや金融界にとっては、中国借入金の支払不能・・デフォルトリスクです。
解放前には政府首脳の失脚などは天安門広場で並んでいる高官の顔ぶれ変化や立つ位置から政変を推測する時代が長く続きました。
最近でも、薄煕来や周永康の失脚などは長い間行事の表面から消えていろいろ憶測されていた挙げ句に大分経ってから裁判するとか取り調べ中と公表された程度です。
今でも北朝鮮高官失脚説が将軍様と一緒にテレビ映像に出なくなったとか言うことから推測を逞しくしています。
こういう国では、経済は人間の動きの基礎ですから、経済の動きだけ切り離して情報公開する・・一党独裁で市場原理導入するのは無理があります。

国債発行と金融機関救済3

現在の大量国債発行問題は、金融機関の側面から見ると大量生産し過ぎて在庫に困っているテレビや資材等を、政府資金で買い上げて一時的に企業の資金繰りを楽にしてやっているのと同じです。
これが短期間なら分るのですが、約20年も続けて来てしかも受け入れ拡大一方と言うのは、如何にも異常な姿です。
ちなみに、個人金融資産約1500兆円の内約950兆円を国債に当てているということですから、国内金融機関は商品仕入の内約3分の1しか有効利用・金融仲介機能を果たしていないことになります。
(正確には個人金融資産には株式や公社債を買っている分もあるので、個人金融資産の内全部が金融機関に向かっている訳ではありませんが、その代わり国内国債保有者も金融機関だけではなく株式投資や社債購入してもらった事業会社も含まれています・・・。)
仕入れ商品(預金)のほぼ3分の2を民間で捌けずに政府に買い上げてもらっている・・しかもこれが一時的ではなく約20年も続けている業界ってこの世に存在意義があるのでしょうか?
国債発行減論は、そろそろ政府が面倒見過ぎだからその役割を縮小すべきだと言う立場からならば意味があります。
銀行が金融仲介機能を喪失してするべき仕事がなくなって悪あがきしたことから、バブルが生じたとしてバブル発生の責任論を連載したことがあります。
04/27/03「銀行とは?4(農協的問屋機能の衰退、1)」に始まって、05/12/03「銀行の存在意義 (証券化)1」、10/21/08「銀行の存在意義10 」ころまで連載しています。
バブルの後始末の中心課題は金融機関淘汰と救済の兼ね合いだったことは明らかですが、・・生き残るべき金融機関への公的資金注入が大政治問題になりました。
国債発行残高をこのときから内需拡大と称してイキナリ急増させたのですが、これは生き残った銀行が悪いことを再びしないように余ったお金を政府が失業対策事業的・・救済資金の変形として銀行が有効利用出来ない預金を吸い上げてやって、安定的に儲けられるようにしてやっている関係にもなっています。
原発事故で危機に陥っている東電に対して、公的資金注入と同時にセットとして電気料金引き上げを許可しているのと同じ構図です。
銀行への輸血・点滴装置である国債を本当になくしたら、(あるいは減少させて行っても)銀行や年金がやって行けるのかを予め議論しておく必要があるでしょう。
「インフレになれば政府の借金が目減りして得だからインフレにすれば良い」というマスコ意見が主流(と言うよりそれしかマスコミにはでないだけ)ですが、インフレになれば債務者が得して債権者が損するということは本当にインフレが実現した場合、その多くを占める金融機関(今でも年金赤字問題が喧しいのですが、年金関連機関は巨額の積立金の運用に困って国債を買っています)の経営がどうなるという問題を抜きに考えられません。
もしも財政赤字解消目的で増税して本気で国債を減少させたら日本の金融機関(生保年金を含めた)の預かり金の内1000兆円の行き場がなくなるのですから、殆どの金融機関(銀行に限らず生保・年金その他)が参ってしまう筈です。
もしも今国会で増税した分で同額分だけ仮に国債を減らすことを決めれば、金融機関が大変なことになるので、政府はそんなことは元々する気がないし、したくとも出来ません。
増税分が多分国債縮小には向かわない・・と言うことは、「財政赤字が大変だから増税しなければ大変なことになる」というマスコミを通じたアッピール・マインドコントロールは、消費税増税は財政赤字解消とは関係のない目的に使う予定・・元々欺瞞行為だったことになります。
公約違反で増税したことが民主主義のルール違反であると言うだけではなく、内容実質からみても国民を欺いて増税の果実・・国債を削減する気もないのに国債残高削減のために必要とマスコミに宣伝させて増税だけしてしまい、政府支出増加権だけ手に入れたことになります。

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