強行主義の限界4

この先の展開はアメリカの民度次第ですが、その代表たるトランプ氏の資質に入って行きます。
勿論私は彼個人を知りませんので、一般的推理です。
弱者をやっつけて膨張することに存在意義がある・・弱い者イジメで支持を集める勢力は、裏返せば複雑な利害調整能力が相対的に弱いことを表しています。
対外的に相手が自分より強いか弱いかを中心とする単純思考政権の場合、内政だけ複雑な利害調整出来るとは思えません。
国内政治もこの基準優先となります。
トランプ政権の特徴を取引型政権と言われ二国間交渉を基本にすると言われていたように、彼は実業界出身とは言え不動産取引・・・原則1回キリの1対1の買収販売が基本で多種多様な利害調整の必要な業界経験が少ない点が危ぶまれています。
1対1・・一回きりの交渉では、自分より弱い相手を恫喝して有利な結果に持ち込む・・・相手の足下を見透かして仕掛けるいわゆる取引型交渉・・その場で相手の弱みにつけんで格安で仕入れたらもう一度同じ相手から土地やマンションを買う必要もないので恨まれても何の心配もありませんが、内政や国家間交渉ではその後何十年も関係が続くのでこんな乱暴なやり方は通用しません。
安倍総理との会談前にオーストラリア総理との電話会談中に意見相違から?ぶち切れて電話を切ってしまったと言う騒動もがありましたので、これに持ち込まれるのを恐れていたのが日本国民でしたが、この難局を安倍総理が切り抜けてほっとしているところです。     
国内政治は上記のようにその後も有権者であり続ける関係から、その都度切り捨てる行くわけに行かない・・多種多様な利害調整の結果妥協で仕切って行くしかないのに、国内でもこの基準を強行すると国内分断・・不信と憎悪の悪循環で内政が無茶苦茶になります。
政治主張が両極に別れる場合、国民には分りよい・選挙スローガン向きではあるものの、選挙後もそのとおり政治をしていると相互に妥協が出来なくなって収拾がつかなくなるのが普通です。 
政権が発足すると実務をやる以上一方的な政治は不可能なので、反対派の意見も取り入れて柔軟な舵取りに変わるしかないと言う期待から、政権に影響力を行使するために不利に扱われそうなIT業界などが政権のいろんな委員会に人材を送り込んでいたようです。
ところが、2月3日予定の第1回会合で彼らにブレーキをかけられるの嫌ったのか分りませんが、トランプ政権は選挙スローガンのママ貫徹姿勢を変えないことを内外に示したのが会合前の1月30日7カ入国禁止の大統領令署施行でした。
対外行為は,相手が弱ければドンドン圧して行けば良いので一見単純ですが、一定のところを越えると周辺国の反発を受けてうまく行かなくなるのが普通です。
トランプ大統領のアラブ7カ国入国禁止令を見ても、カ国は弱いからこれと言った抵抗が出来ませんが、今では国内外の壁が低くなっている結果国内に入り組んだ利害関係者の反発・・国内政治対立に反映して行きます。
報道を見ると、(誇大報道かは不明ですが)IT業界ではかなりの部分を新興国からの技術者によって担われていて、彼らなしに業務が成り立たなくなっていると言われます。
この報道のとおりとすれば、元々の国民は彼ら移民を追い出して入国禁止しても代わりの技術者になる能力がない・・技術者移民によって彼らの職が奪われたのではないことが分ります。
むしろ彼らの御陰で世界企業に発展し、おこぼれ的に中下位程度の労働者の雇用が増加している可能性があります。
移民・IT技術者500人雇用に対して中下位レベルの国民100人しか雇用が増えないにしても、その企業が育たないよりもその分の雇用が増え、税収も上がるなど結果から見ればよりマシです。
大統領令・・アラブ7カ国の入国禁止令ががアラブ人狙い撃ちのために人権侵害の疑いもあって大騒ぎですが、それよりも深刻なのがH1Bビザの厳格化です。
これは運用ですから仮処分に馴染み難いので、実は大変な効果があります。
http://www.cnn.co.jp/business/35096709-2.htmlからの引用です。
2017.02.16 Thu posted at 15:13 JST
「インドのITアウトソーシング産業は世界80カ国以上に640もの開発拠点を置いている。業界団体によれば、外国の取引先のために働いている労働者の数は300万人近い。
一方、米政府の統計によれば、H1Bビザの申請者のうち70%はインド人だ。そしてインド企業の側に言わせれば、もし規制が実施されれば、米国人の技術者だけでは人手が足りないという事態が起こる。」
入国禁止あるいは、ビザ発行絞り込みが実行されると行き場を失った技術者が、本国で起業する率が上がる外、カナダや中国等に高度技術者が吸い寄せられるリスクも懸念されていました。
今回の入国禁止令騒動によって、トランプ氏の移民排斥によって最も打撃を受ける業界であるIT業界が移民排斥緩和働きかけのためにトランプ新政権に食い込む動きをしていたことが明るみで出て来ました。
安倍総理が何故トランプ氏と仲良くするために努力しているかと言えばこの論理・・相手を非難するよりは懐に飛び込んでコチラの都合も斟酌してもらおうと言う大人の智恵です。
日本の野党のように「勇ましいことを言って対決さえしてれば良い」と言うのでは国が治まりません。
入国禁止令に最も過敏に反応したのはIT業界のイメージですが、この結果逆にIT業界の顧客の怒りが、政府に食い込むためにトランプ政権の◯◯委員会などに参画していた企業の不買運動等に発展し、逆にウーバーその他IT業界から送り込んだ委員が辞任をせざる得なくなった模様が時々報道されています。
http://www.cnn.co.jp/tech/35096053.html
2017.02.03 Fri posted at 18:00 JST
「ニューヨーク(CNNMoney) 米配車サービス「ウーバー」のトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)が、トランプ米大統領の経済諮問委員会「戦略政策フォーラム」に参加しないと明らかにした。理由はイスラム教徒が多く住む7カ国からの入国禁止を定めた大統領令だ。」
従業員向けの社内メールでカラニックCEOは「今日、大統領と短い時間話をした。移民に関する大統領令と、われわれのコミュニティーにとっての問題点についてだ」と説明。「私はまた、フォーラムに参加できないと大統領に伝えた。参加することが大統領やその政策を支持することを意味するわけではないが、残念ながらまさにそのように誤解されている」と述べた。
戦略政策フォーラムはトランプ大統領に党派を超えた助言を行うことを目的とし、カラニック氏を除くメンバーにはJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOやゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バラCEO、テスラのイーロン・マスクCEOら18人が名を連ねている。第1回の会合は3日に予定されていた。」
移民排斥あるいは国際金融関係などトランプ氏の公約どおり政策実行されると被害を受ける関係業界が折角政権内に入って(安倍総理のように?)意見を言おうとしていたのですが、その矢先に入国禁止令の大統領令施行によって、機先を制せられてしまいました。
その結果、世論の批判が厳しくなってしまい政権内に入って意見を言う予定であった業界が政権協力者として批判される事態になって、委員に留まれなくなってしまったようです。
トランプ氏の公約どおり実施されると困る業界の意見がトランプ政権内で具申して修正を求めるチャンスがなくなる(・・内部利害調整不能になって)と、表に出る・・シロかクロかの政治対決しかなくなるのでは、国内政治が危険に瀕します。
日本政府はこの正面対決→先の日米戦争の轍を踏みたくない・・に陥るのを避けるために必死だったのですが、危機一髪で内部食い込みに成功した状態です。
この内部食い込みに反対しているのが民進党です。
「もの言わぬ日本、スネ夫と思われる」 民進・野田氏」朝日新聞デジタル2017年2月13日18時44分」
日本がアメリカの内政に口を出す必要もないのにトランプ氏批判しないのは良くないと言うのですが、兎も角トランプ氏と喧嘩して欲しい→日本の立場を主張する機会を失った方が良いのでしょうか。
党首の蓮舫氏も国会で似たような批判していたように報道されていました。
EUがアメリカの移民政策に口出しなければならないのは、EU自身がアラブ・アフリカからの難民の押し寄せに苦慮していて自分に降り掛かかっている火の粉だから「人道」と称して必死になっているのですが、日本ではこのような問題がないのに「人道問題を知らん顔しているのは如何か!」と言うすり替え報道しているに過ぎません。
まして今回問題になっているIT技術者入国禁止と難民とどう言う関係があるのか・・ないとは言えませんが、いわゆる人道難民問題とは次元が違うでしょう。
ロシア制裁もEUには直接の利害がありますが、日本やアメリカには遠い関係である点が同じです。
日本の難民受入れは年間数人?多くて数十人程度しか認めていないのに偉そうなことを言うとトランプ氏に「じゃ日本は何人受入れている!のかと言われたらグーの音も出ません・・実態無視のマスコミ報道や民進党批判に国民はうんざりしているでしょう。
日本も中国の理不尽な行為に対してはその都度アメリカなどに応援して貰うために主張しているのですから、自国に関係あることでは日本もきちんとやっている点はEUと同じです。
EUも自国に関係のない中国の横暴には口出ししていません・・むしろ独仏は中国取り入りに必死ですから、公海の自由利用・・通商路確保は重要であるとEUを説得して日本陣営に取り込むために日本政府が努力している・・お互いに自分の利害を他人に共有して欲しいのは同じでしょう。
マスコミは欧州の利害に同調しないと非難し、日本の国益を守るための努力や共有努力を無視し、けなす傾向があります。
マスコミや民進党は中国の国内人権侵害には何も言わないで、EUの自己利害の政治活動を人道問題にすり替えている印象です。

対外強行主義の限界3

司法と政治の関係に話題がそれましたが、2月1日までに書いていたトランプ氏の強行策の見通しに戻ります。
内政で勝負している政権の場合、金融も含め政策はいつも当面の対策であって時期が過ぎればその都度方針変更・修正して行くしかない前提ですから、状況の変化によって修正するのは想定範囲です。
地域大国で対外強行発言で政権を維持している場合の共通項の多くは、複雑な内政調整能力が低い場合に多く見られる現象です。
単純思考で威張り散らすのは・・周辺が弱いときには簡単なので,このような誘惑が起きます。
一般的に対外強行発言者は,強者の論理・・2択の単純対決型・・を振りかざすのが好きなグループの支持を受けています。
トランプ氏の選挙演説の傾向は,報道のバイアスがかかっているので正確性はイマイチとしても、1月30日から世界的騒ぎになっているアラブ7カ国に対する入国禁止措置の実行を見ると,弱者迫害傾向は本物であったし、実務に入っても支持者を裏切れない?からこれの中央突破を図るしかないと決めたことが分ります。
妥協するよりは中央突破しかないと決めたとすれば、中央突破に失敗すれば(籠城している城方が最後に打って出るのと同じで失敗すれば討ち取られます)政権の命取りになると自分で決めていたことになりそうです。
入国禁止の大統領令を強行すれば仮処分申請が出るのは目に見えているのに、これに対する備えが殆どなかったように見えるのが不思議です。
2月11日のコラムでサンフランシスコ高裁での口頭弁論の模様の紹介記事・http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakaokanozomu/20170210-00067544/トランプの研究(6)」の一部を紹介しましたが、その紹介が正確かどうかは別として、これを読む限り訴訟対策の読みが甘かったどころか殆ど準備していなかった・・泥縄式の印象が拭えません・・訴訟プロの人材不足の印象です。
政権側は急いで異議を出したので準備不足と言うのですが、大統領命令を強行すれば仮処分で抵抗されるのが必然の流れ・・命令執行するときに予定・準備しておくべきことです。
いわばこの訴訟は事実上政権が仕掛けた当然の流れにあるものですから、準備不足を言えるのは仮処分申請側の方です。
マスコミで報道されているトランプ政権内の各分野における熟練人材不足の一端がここにも出ています。
あるいは周囲の意見を聞かないワンマン政権の脆さです。
将棋や囲碁では何十手も先を読んで指すモノですが、入国禁止実施に対して仮処分申請があり得るのは、ホンの一手先・・予想される抵抗戦の第一歩ですが、これがあり得ることすら想定していなかった・・先を読まない素人集団・あるいは読みの浅い政権である本質を表したことに世界中が驚いたでしょう。
この結果反トランプ勢力が一気に力を得て、大統領補佐官であるフリン氏に対する攻撃が始まりあっという間に同氏の更迭表明に追い込まれました。
続いて労働長官候補が、辞意表明するなど足下が揺らいで来ました。
現在15長官の内議会承認を得たのは僅か9名に留まると報道されていましたが、昨日温暖化政策反対の環境保護局長官が承認されたと報道されました。
トランプ政権は手足になるべき閣僚任命がままならない・・手足をもがれた状態・人材不足から、いよいよ失態が続く悪循環を反対勢力が狙っていることは明らかです。
大分前に書きましたが米国の場合、政権交代があると数千人規模の政治任用職員がいて、その何割かの政府高官が入れ替わる仕組みです。
シンクタンクがあって回転ドア形式と言われますが、同等能力の受け皿能力があっても昨日まで実務をやっていた人とシンクタンクで研究していた人が入れ替わってしまうと引き継ぎその他で無理が出ます・・このため政権始動後100日間のハネムーン・マスコミが批判を控える慣習があるのでしょうが、無茶な制度が成り立っているのは、元々米国の実務能力が低いから可能だったかな?と言う意見を書いたことがあります。
長官指名がうまく行かないだけではなく、政府高官にる人は、シンクタンク等で相応の識見を持っている人が多いのでトランプ政権と意見が合わないと政権入に応じません・・このテクノクラートの応募者が少ないと何をやるにも詰めが甘くなって参ってしまいます。
安倍総理歓迎の意味でトランプ氏経営のゴルフ場や別荘に招待する計画していたところ、私企業優遇?汚職?になると言うことで直前ドタキャンも出来ず、急遽国費から出さず、トランプ氏の100%自費招待になったのもその一例でいつもドタバタ劇です。
この程度のことは自費で解決出来るので良いのですが、自分で責任をとりきれない分野では収拾のつかないことが次々と発生します。
トランプ氏の言動は先が読めない原因の1つは詰めの甘い意見を発表することにあります。
こう言うときは慌てて討って出ない・・次々と敵を作らないで先ずは内部固め・体制立て直し・・に取り組むのが政治の常道でしょう。
トランプ氏も国内政治の方向転換をすると白旗を掲げたようになるし支持の離反もあるので難しいが外交なら・・と言うことで、ここで外にも敵を作っていられないと思い直したのか?日米首脳会談直前に拒否していた中国との首脳電話会議に応じて台湾問題でも方向変更していますし、その流れの中で安倍会談があったことが明らかです。
このタイミングで安倍総理との首脳会談が決まっていたので、このチャンスにトランプ氏が飛びついた結果が安倍総理の大成果に結びついたのです。
国内基盤脆弱で外交をすると不利・逆に国内基盤盤石であれば、外交が有利に進む典型事例です。
逆から言えば、歴代韓国政府のように国内失政の穴埋めに外交を利用するのは一種の売国行為であることが分るでしょう。
ただし、トランプ政権が日本と仲良くすることがアメリカにとってもよかった筈ですので、(これを説明するの安倍総理の役割でしたから結果からみれば大成功です。)間違った方向へ行かなかっただけのことです。
日本にとってタイミングよく会談出来たので、(運が良かったと言うのではなく準備を営々と重ねて来た安倍政権の能力が高かった・・運は招き寄せるものです)日米に取ってウインウインの関係を構築出来たことが確かです。
トランプ政権がうまく軌道修正出来るかが重要ですが、日本のように正義のクニとは違う・・相手が弱いと分れば直ぐにつけ込む他国相手でうまく行くかは未知数です。
日本の場合、トランプ氏が無茶をやらないで、いろんな意見を聞いて正常な政治をしてくれれば良いと思うのが普通ですが、多くのクニでは相手が弱いとなれば更に叩こうとするのが普通です。
アメリカ国内でも「ちゃんと政治をやってくれれば良い」と言うよりは、勢いづいて任期途中の辞任に追い込もうとする勢力が多いでしょう。
これが勢いづくとその間アメリカの国内政治が混乱するだけではなく、超大国と言えども対外的地位低下する・・国益に反することは明らかです。
今の韓国大統領に対する弾劾騒動が韓国の(内政外交を含めて)どれだけ国益に反する結果になっているかを見れば明らかです。
明治維新のときの賢明な動きと比べても、これが日本と他国・社会との成熟度の違いです。

対外強行主義の限界2

対外強行主義は、弱い相手を選んでやるので正面だった抵抗が少ないので言わば破竹の勢いで始まります。
対外強行策は国内不満そうの支持率が上がることが多いので,国内政治上のブレーキが利き難い問題があります。
不満の根源解決の代わりに弱い者イジメをして一時的フラストレーションのはけ口にしているだけですから、これによる支持はいつまでも続きません。
お腹がすいて泣いている赤ちゃんにミルクを与えないで,ガラガラッと音をたてて気を引いてもすぐに泣き出すのと同じです。
政権が支持を維持するには,際限なく外国侵略または過激な強迫を繰り返すしかありません。
侵略ならば,圧倒的武力さえあれば無抵抗なので際限なく?できますが,アメリカ国民もこれ以上領土を欲しくないので(世界中から基地を引き上げたい状態です)やるとすれば、・・既存労働者保護のための輸入規制や移民規制しかありません。
ところが,1月30日に入国規制が始まると、直ちにアラブ諸国の反発が始まったように相応の報復を受けるのを防げません。
国内からも有能なアラブ系開発要員が流出する・・結果的にアメリカ企業の競争力低下が始まりますので国内企業からも不満が出ます。
今では,対外強行主義は国内政治・利害に波及する時代で,国内一丸として支持する関係ではなくなっています。
1月30日に紹介したようにクリントン政権は対日100%関税課税で日本を脅したもののその先が続かなかった・・クリントン〜オバマ政権はこの繰り返しを出来ず国民不満を蓄積してしまったので、トランプ氏はこの不満を引きつけて当選したので,簡単に撤回出来ません。
民度を挙げて中間層から非正規雇用へ転落して行くのをふせぐのが本来ですが,基礎レベルの低い国民が多過ぎてこの政策を打ち出せないのが苦しいところです。
かなり有能な政治家でも低い民度を引き上げるのは困難です・・学校で言えば、底辺校に優秀な先生が来ても偏差値20を30に引き上げるのが限界で,イキナリ進学校に引き上げるのは不可能でしょう。
内政充実策がない・あるいは複雑な利害調整能力のない政治家が対外強行策や国内スケープゴートを探しを好むことが多いのですが,国内少数派は文字どおり少数で政治力が弱いので,標的を決めればナチスのようにいくらでもエスカレート出来るので簡単です。
1月30日から問題になっているアラブ7カ国からの入国制限措置実施について,米国内でアラブ系は目立ったデモなどの抵抗が出来ていませんが,国外でアラブ諸国の反発がすぐに起きたように対外的には一定のところで壁にぶつかります。
国内的にも人材利用阻害が経済活動に大きな影響を及ぼすことも時間の経過で明らかです・・その分白人雇用が増える・・それこそが目的だと言うのがトランプ氏と支持者の主張でしょうが,ゾンビ企業温存のマイナスと同じことが労働市場で起きる・・この心配自体行き過ぎ・・その修正をしたいのがトランプ氏の主張ですから,当然の結果・・驚くことはないと言うことでしょう。
理屈はそのとおりですが、輸入や立地規制の外、人材採用規制まで始めるとアメリカ企業の生産性がじりじり下がらないかの疑問がありますが、その辺の政治判断は日本の移民受け入れ政策同様にその国の国民がすることです。
国力低下よりは「人民ファースト」とすれば一貫しているかも知れません。
一見乱暴そうに見える決定もその先の波及効果を読んだ上でやっている場合もありますから、結果が出ないと分りません。
対外強行策に戻りますと、ナポレオン,ヒットラーその他地域大国が傍若無人に振る舞えたのは,地域内だけ・境界内を制圧した結果、地域大国同士の戦いになると勝率が急激に下がります。
波及効果のマイナスが内外から出て来て対外強攻策が行き詰まってから、泥縄式に内政対応に切り替えてもうまく行くわけがない・・殆ど全ての場合,無理があって失速します。
近くは朴大統領による慰安婦外交失敗による内政転換→職務執行停止に至った現状を見れば分ります。
国際紛争が起きると多くの場合,内政の対立をそっちのけにして「先ずは一丸となって戦おう」と言うことで支持率が上がります。
任期最後の数ヶ月〜半年で対外強硬策・対外紛争を起こせば、まだ勇ましいことの言い合い程度で勝敗が決まっていない段階で任期満了ですから、めでたしめでたしです。
相手の方が少し強くても・・(とりわけ日本のように直ぐ反撃しない国相手では)勝敗が出る頃には任期満了ですから,失敗しても元々・・退陣まで支持率を維持出来るのでやるだけやって損がないカードです。
このように、対外強行策は政権支持率が下がった政権末期に政権浮揚効果を狙って最後にイチかバチかの賭けでやれば仮に競り負けそうな状況になったとしても、その前に任期が来て次の政権にバトンタッチすれば良いので気楽です。
次期政権がマイナスになってもすぐにやめる予定の自分の任期は全う出来るので、任期満了直前で紛争を起こすのは損がありません。
韓国では毎期のように大統領任期満了直前に反日カードで大騒ぎの繰り返しでした。
最後に使うべきこのカードを朴大統領もトランプ大統領も就任最初から出しているのでは,乱暴な政策に対する波及効果が出て来る1年〜1年半経過で見事に対処出来るかどうかになり、リスクが大きくなりますが,もしかして混迷するとその先長い任期がどうなるのか・・最初から後がない・・,最低の弱体政権発足となります。
ゾンビ企業や競争力の低い労働者温存のマイナス効果が出て来た場合の政権安定度ですが、経済制裁を受けても言論自由度の低い北朝鮮やロシア・イランなどでは,国民生活に徐々に利いて来る程度では支持率が失速しません・・逆に強国の横暴・・悲壮感を煽って団結アップに利用出来るのが普通ですが、言論自由度の高いアメリカで同じように行くとは思えません。
この辺の違いについては昨年のロシア空軍機撃墜事件直後に世界中から経済制裁を受けて弱っている筈のロシアが対トルコ経済制裁を実施した際に、自由化度の進展度合いと買う方と売る方の差を含めて制裁耐久性を考える必要があることをSep 19, 2016「フラストレーション度2と中華の栄光復活」でと書きましたが、その続きが先送りになっています。
経済制裁打ち合いの耐久度は自由主義国・生活水準の高い方が弱い・・余程の格差・・ダメージ度7対4程度では無理・・10対1程度の差が必要で、消費国の方が強いと言う当時の予想通りエルドアンが直ぐに屈服しました。
トルコは農業産品を買って貰っている外にロシア人の観光に頼っていた面も弱みでした。
中国が気に入らない国に対しバナナ輸入制限や観光客を絞って攻勢をかける(・・これが国際司法裁判所で折角完勝したのにフィリピンが黙ってしまった主な原因です)ことが多いのと同様で、日本も中国人観光客増は大きなリスクになります。
強力な輸入制限は相手国からの輸出規制を受けているのと経済効果が同じですから、消費レベルが高く民主化の進んでいるアメリカで、トランプ氏がロシアや北朝鮮の耐久度を参考にしていると誤算になります。
朴大統領やヒットラーあるいはナポレオンは,対外強行策が限界に来て行き詰まった歴史ですが,トランプ氏の場合、国力背景の強行策は世界相手でも一応貫徹出来るでしょう。

対外強行主義の限界1

国境の壁をなくすと自国立地の不利=人件費その他総合コスト高を嫌って,アメリカ系企業まで皆自国を棄ててメキシコへ工場移転していました。
これに対してトランプ氏が反発して企業には35%の関税をかけると脅したのです。
自国内企業が高コストでもメキシコ立地企業と競争出来るようにするには,相手国の貧困を理由に批判するのではなく相手国も豊かにしてやって同じ「高コスト体質」同レベルで来競争したらどうなるかのテーマをきっちり考えるべきことです。
アメリカの伝統的中南米政策は「相手を搾取し尽くして窮乏化に追い込んだまま究極の貧困状態で物事を考えらないほど追いつめて絶対に立ち上がれないようにする」ものでした。
モンロー宣言はこれを確かなものするためのもの・・囚われの「南北アメリカ大陸に口出しするな」と言うものだったように見えます。
新興国の各競争力に戻りますと,公園・・駅舎や道路工場設備も貧弱であるなどインフラコストがかかっていない・・人件費も何十分の1と安い分に比例して割安に物を作れますが,(その代わり技術レベルが低いので粗悪品が多い)それは一時のことです。
新興国が成長軌道に乗るとインフラが充実して来て(職場にも空調が効くようになり)負担経費がいるし,人件費も上がる・・私が年来書いている世界平準化が進みます。
国際平準化の流れについては,02/21/07「生活水準の国際平準化14と格差社会5(キャピタルゲイン2)」その他で繰り返し書き、平準化進行後の世界については,October 15, 2012「世界平準化後の世界ランキング6(民度2)」まで書いたことがあります。
賃金も上がる→今の中国のように賃金アップ(中進国の罠)で苦しむようになって大きな貿易黒字がなくなって行くのが普通ですから、不公正だ何だと言わずに自然の流れに委ねてその帰趨に任せれば良いことです。
このシリーズで書いているように、市場原理に委ねれば民度レベルまでしか給与やインフラレベルを上げられない・・これが正常な姿です。
自国民の給与・所得水準を上げたければ、民度を上げて行く努力しかありません。
先進国は産業革命の先行者利益の結果実力以上の所得水準を謳歌していたのですが、産業革命の成果が新興国にも及ぶようになるとメッキがはがれて行くのは当然で,将来的には自らの民度レベルに下がるのは仕方のないことです。
ラーメン屋で言えば,味付け能力が低くともラーメンにトウモロコシを乗せるアイデアだけで売上を伸ばすことは可能ですが、それは一時のことで,トウモロコシを乗せる方法が普及すると元々味付けの良い同業者に負けてしまいます。
スーパーダイエーはスーパー方式で先行しましたが,同業者が増えると販売能力の高い方に淘汰されました。
東南アジアや中国の安い人件費に目を付けて先行進出し大成功していた中堅家電メーカーがありましたが,その後実力のある大手が進出するとすぐに負けてしまいました。
いろいろな事例を見ると技術などの実力がなくて目先が利く程度では,一時的に大当たりしても中長期的には結局実力の限界で落ち着くしかないのです。
アメリカの民度は出身地の西洋諸国に比べてかなり低い・低レベル層が基礎集団と言う基本理解でこのシリーズでは書いていますが・・これを前提にすると、将来的には西洋平均以下の生活水準+資源販売益レベルに落として行くしかないと観念すべきです。
日中その他相手の場合には,関税以外の不公正慣行がどうのと言う言いがかりをして来ましたが,不公正と言う言いがかりをつけられない・・何の障壁もない国内同様の物流が実現しているNAFTA相手ではそれが通用しません。
そこで已むなく自国の雇用を守れと言うしかなくなった・・遂に本音が出たと言うべきでしょう。  
昨日書いたように輸入規制でホンの一時的に息をついても、外資が国内生産に参加すると一定期間経過で実力のない民族資本が負け始めるのが目に見えていますので,その内相手国に一定数以上の輸入受け入れを強要するしかなくなります。
政権発足当初に設定した輸出規制・・クルマの例で言えば、アメリカの輸出受入れ台数以上の輸出を相手国に認めない(たとえばフォード車を1万台以上輸入しないと日本から1万台以上の輸出を認めない場合)と強制的に決めさせていた場合、数年後にアメリカが輸出台数を増やすには,同数の輸入枠拡大を認めるしかなくなります。
結果的に同数を輸入するしかないならば,国内需要以上の生産が出来ないことは同じですから、国内生産を結局は国内需要以上に増やせない点は同じです。
まして特定品目別ではなく総額交渉の場合(貿易赤字を問題視するならば,これが普通の交渉でしょう)、日本が米国から食料品や燃料等を輸入すると,その分クルマ等工業製品の輸入を強制される量が減少します。
フォードの頼るピックアップトラックで言えば,トヨタもアメリカ国内で生産を始めると,結局は競争力・生産効率の差になって行くので,多分短期間でフォードの販売数が減って行くでしょうから、政商的利権で(日経新聞の推測記事の真偽不明ですがそのパターンで)動くフォードの栄華はそれまでの短期間になります。
トランプ氏の輸出入規制を煽る過激言動は一見目覚ましいように見えるものの、アメリカの信用を傷つける割に実はアメリカのビッグスリーにとって大した効果を生まないことが明らかです。
昨日紹介したように35%のトランプ以上の過激規制・・ビッグスリーの要請に答えて日本製クルマ輸入に100%課税の脅しを掲げたクリントン政権は,結果的にビッグスリーのアメリカ国内シェアーを落として終わったのですが,メキシコから国内回帰強制してもビッグスリーが現地生産の進んでいる日系その他海外勢に勝てるようにルトは思えません。
このままで放置ではオバマ政権と同じですから,国内でも自由競争による淘汰を認めずに(移民排斥同様に)民族資本かどうかで差別する方向に行くしかないのでしょうか?
こうなって来ると自由主義や人権思想の適用を国内外で分ける欧米の二重基準の人権思想の御都合主義の矛盾が国内でも起きて来ます。
中国が外資を導入しながら他方で何かと嫌がらせするのと、どう言う違いがあるのか分らない・・中国レベル以上の恣意的基準・・専制政治をしたいと言う意思がはっきりして来ます。
1月17日のダボス会議で世界一の横暴・恣意的政治をして世界からひんしゅくを買っている中国の習近平が、アメリカを名指ししないものの保護主義批判演説をしたので世界中が驚きました。
報道印象では「お前に言われたくない」と言う基本姿勢でしたが、私はそうは思いません・・まさに時代の変化・・アメリカが中国以上の恣意的政治に入ろうとしている危険を象徴していました。
中国でさえ霞んでしまうほどの恣意的・強引政治出現に,専制支配ナンバーワンの地位をアメリカに奪われるのが許せないと言う意味だったのでしょうか?
ウエストファーリア条約のシリーズで欧米の内外・人種や宗教で人権基準を分ける矛盾をこのコラムで書いて来ましたが、最も民度の低いアメリカで真っ先に露呈し始めると思われます。
私は安倍政権の外交が成功していることは認めますが,アメリカの価値観は表向きとは別に実質は無法者価値観・こん棒外交であるから、これと一緒は困る・・価値観外交は方便として利用する範囲だであるから、あまり言うと危険だと言う趣旨の意見を書いたことがありますが,こんなに早く本音を露骨に出して来る時代が来るとは思いませんでした。

アメリカの長期戦略と日本1

小笠原や沖縄の返還は,米ソ冷戦真っ最中のアメリカが、日本を自陣営につなぎ止めるための無償?返還ですから、沖縄基地全面返還条件で平和裏に返すことがありえないのが明白・・全面返還に固執してそれで決裂して「一歩も譲らなかった」と自慢していれば良かったかの国民選択の問題です。
国民の政治レベルが熟していないクニでは、熟達した政治家による秘密合意が許されると言う意識が普通・・決断した政治家は将来の歴史評価に委ねるしかないのが現在の常識です。
その意味では「一定期間経過で公開する」アメリカの制度は合理的です。
世界の植民地独立機運が生じたのは、対日独戦に協力させるためにイギリスがインドに独立を約束するしかなかったことに端を発しているように物事には見返りがあります。
アメリカは占領初期には日本を工業国として再起させない目的で国内工場設備を解体してアジアへ搬出強制していたのに、これを一転して国内工業生産再開を許し再軍備を認め日本独立を認めたのは朝鮮戦争以来のあらたな戦争体制に日本を協力させるためであったことは、揺るがない歴史事実でしょう。
この世界大変動のチャンスを生かして、荒廃した産業を立て直し、独立出来たのは日本政府、民族の大成功でしたが、サンフランシスコ平和条約時に社共が主張していた全面講和論貫徹→独立先送りしていた場合を想定すると日本はいつまでも独立出来ないで占領下のままになっていたことになります。
ソ連崩壊による世界世論一致まで待てば良かったのでしょうか?
反対するソ連さえなくなれば社共が賛成に回ったでしょうか?
今度は中韓が反対だから反対というのではないでしょうか。
1990年近くまで占領されたままでいたのでは,後記のインデイアンに対するように日本民族は骨抜きにされていたでしょうし,ソ連が崩壊すれば独立出来たかと言うと、そうなってからでは独立が無理になります。
アメリカにとってせっかく大量の人命を犠牲にして支配下に置いた日本を何の見返りもなく独立させる必要がなくなる・・国内世論が承知しないというのがふつうです。
・今のロシア相手に何らの見返りもない北方領土返還などまとまりそうもない実態と同じです・・ギブアンドテイクが冷徹な国際政治です。
ロシアはウクライナ侵攻以来国際孤立していたから日本へにじり寄っていたのですが、トランプ氏登場で息を吹き返してこの僅か数週間でイキナリプーチンが北方領土返還交渉に冷淡、強気になったのと同じで、アメリカも敵対国ソ連が崩壊すればアメリカの日本利用協力メリットが低下するので、態度も変わります。
実際にソ連崩壊後対ソ戦略基地としての日本が不要になると。早速アメリカは中国・江沢民と組んで対日包囲・ジャパンパッシングを強めた・・世界的に「日本には将来がない」と思わせる動きの推進役を果たして来た事実を見れば明らかです。
調子に乗り過ぎた中国の暴発で,対中対立になりかけた結果、安倍政権以来日本が大事にされるようになっていましたが、アメリカ、トランプ氏がアジアで中国と覇権争いをする気がなくなれば・・経済利益だけで見れば,アメリカは伝統的に中国と仲良くし日本を敵視した方が合理的な関係です。
アメリカは元々条約を守ったことがありません。
アメリカでは、降伏したインデアンとの条約(降伏条件)を踏みにじりインデイアンの反骨精神を奪うために、赤ちゃんが生まれると直ぐに全員取り上げて白人家庭に送り込み政策が実行されました。
生まれつき白人の召使いとしての教育・・大きくなると全員寄宿舎に送り込まれて徹底した白人優越教育が行なわれる・・生まれながらの従属・劣等民族意識を刷り込む政策が実行された恐るべき歴史があります。
この結果あの勇猛なインディアンの子孫が、ほぼ全員精神を病むか骨抜きになり、麻薬・アルコール中毒中心の生活に陥り、今や絶滅危惧種並みの被保護人種になっています。
社共勢力・・これに同調していたマスコミ文化人らは何の展望があって独立を拒否したのか?ニッポン民族をどうしたかったのか?不思議です。
沖縄返還で言えば、無条件返還の観念論・・結局返還交渉を破綻させる場合との利害得失ですが・・民度の高い社会では実情を公開しても合意形成可能です・・何故高度に発達していた日本の民度でこの程度の合意形成が出来なかったのでしょうか?
実際に密約があったかは別として国民の「総意」としては,基地が残っても早く返還して欲しかったかったことは間違いがなかったでしょうし、(「異民族支配が続いた方が良い」と言う民族がこの世にあるでしょうか?)沖縄返還時にアメリカ軍に「全面的に出て行ってくれ」と言うのは無理があると言う総意で返還後も長年一致しています。
基地存続の合意で返還された以上、日本は暗黙の合意・約束を守るべき信義があります。
ところで、沖縄が密約や基地存続の結果、沖縄県民が日本本土の人の犠牲になって酷い目にあっているのではありません。
沖縄米軍基地は周知の通り日本防衛のためではなく、ほぼその99%がアジア太平洋全域のアメリカの国益のために日常活動しています。
米軍基地があってもアメリカ軍支配下よりも日本復帰の方がよかったから沖縄県民は復帰を選んだのであり,多くの日本人もこの形しか復帰させられないので気の毒・・一緒に苦労しましょうと言うだけです。
東北の津波被害に対して日本人みんなが自分のことのように気の毒と思っていると、東北の人から「みんなのために犠牲になっていると言い募られると」??となりませんか?
東北の御陰でおいしいワカメが食べられるかも知れませんが・・。
日本は日本列島防衛に関係のない、米軍沖縄基地のため、あるいは発展し損なってる沖縄のために莫大な資金を投下して来ました。
全て沖縄県民のための負担であって、沖縄復帰によって本土は何か恩恵を得ているでしょうか?
せいぜいアメリカ軍のパトロールによるアジア平和への貢献と言う抽象的利益に過ぎませんが,これは米軍施政権下のままにあっても同じです・・・・むしろ日本は基地経費負担など一切する必要がありませんから気楽です。
日本が樺太や北方領土のロシアの軍事基地系経費負担など、誰も考えないのと同じです。
北方領土も元住民のための復帰運動をした結果仮に基地付きで帰って来た場合,元住民から基地の存在のために騒音被害などの損をしている被害者だとしょっ中資金要求されているような関係です。
折角合意しておきながら、飽くまで米軍に嫌がらせして追い出そうとし、米国と仲違いのタネをまいて沖縄の防衛を無能力化したいのは、どこのクニの利益になるのか?
今回のトランプ氏の要求・・「基地経費を全部持たないならば撤退する」と言う要求が本当に出て来たら、このときこそ逐次全面返還交渉のチャンスでしょうが(それでも数十年かかる交渉です)、トランプ氏は脅す・・駆け引きだけであって、本気で出る気はないでしょうが,結果的にアメリカの存在感が縮小する方向へ向かうことは確かでしょう。
元々オバマ時代からアメリカは当面アジア地域のプレゼンスを維持しながら将来的には地域大国程度で良いと言うのが基本セオリーだったと思われますから,それをトランプ氏が(一種の孤立主義・・アメリカ第一と言うのもこの意味で理解すべきで)刺激的表現をするか、温和な言い方をするか程度の差でしょう。

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