幕府権力と執行文の威力

室町時代初期にも、まだ貴族荘園と武家との年貢の取り合い・押領テーマにした幕府への訴訟が多かったこと・・この訴訟の裁定・裁許下知状・執行状に御家人が従わないことなどが尊氏の弟直義・三条殿が裁定していた頃から問題になっています。
この辺は、亀田俊和『観応の擾乱』中公新書、2017年に詳しく出ています。
後醍醐政権の裁定は公卿有利な裁定が多かったので武士の不満が蓄積されて足利政権が生まれたというイメージは、大筋ではその通りでしょうが、武家が荘園管理をするようになった場合、管理者とオーナー(荘園領主)との分配の揉め事は、荘園領主層の支配する中央権門・・朝廷が裁いた方が荘園領主側に有利ですが、武士の力が強くなってきて貴族層による裁定に従わないようになると、公卿会議の裁定は意味がなくなります。
「蛇の道は蛇」ということで、貴族層の方でも武家の棟梁に持ち込んだ方が強制力がある結果、後醍醐政権の方へ訴えるよりも、足利屋敷の方へ持ち込む事件の方が増えてきたようです。
結局後醍醐政権は時代の流れに会わないで市場淘汰されたように見えます。
公家側から見ても足利氏の裁定は無茶に武士に有利ではなかった・・比喩的に言えば、6対4で武士に有利な裁定であっても公卿にとっては、10割勝っても何の実効力もないよりは、4割でも権利を守ってくれる方がよかったということでしょう。
こういう意見(想像)は上記の本に書いていることではなく読後感・私の勝手な憶測です。
またこの本による執行状も興味深い事実です。
武家政権に頼んでも同じことで、執行状を誰が書いているかによって現場の実効性が違ってくる・・三条殿に対する御所巻きで、高師直側に多数武士が集まったのも、高師直が失脚して彼のサインした執行状の効力がなくなるのを恐れてあわてて集まったという読みも(本には書いていませんが)成り立ちます。
ところで、日本の歴史の連続性に関心するのですが、今でもせっかく勝訴判決を得てもこれを執行できないと単なる紙切れです。
判決を得て強制執行するには、さらに「執行文」というものを判決書につけてもらう必要があります。
判決書正本に執行文がついて初めて強制執行の申し立てができる仕組みです。
これを執行力ある、〇〇正本といい、公正証書や調停調書や和解調書など全て執行文付与が必須になっています。
民事執行法
(強制執行の実施)
第二五条 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。
(執行文の付与)
第二六条 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。

「将軍が良し」と言い、今では裁判官が判決を宣言しただけではダメ・・執行文が必要な仕組みが室町時代には普通になっていたことがわかります。
今は官僚機構が整備されているので、執行文を誰が書いたかで効力に差がない・誰が書いたかに関係なく権限のある人(書記官)が書いていれば画一的権限が保証されています。
民事執行法
執行官等の職務の執行の確保)
第六条 執行官は、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。ただし、第六十四条の二第五項(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定に基づく職務の執行については、この限りでない。

執行に抵抗すれば、公務執行妨害罪になりそうですから、ひ弱そうな執行官が来ても今の時代ヤクザでもヒルム関係です。
室町時代には執行(せぎょう)状を書いた人が誰かによって「あの人の命令では、聞かないわけにいかない」「あいつの命令じゃ聞く気持ちになれない」などと末端武士が決める時代でした。
判決(正義)に従うのではなく、執行状(ひと)に従う社会でした。
領地の境界争いの場合、負けt方が係争地をすんなり引き渡すのを期待するのは無理ですから、ほとんどの場合、上京した機会に執行状に花押を書いた実力者に、あの件何とかなりませんか・・とお願いする程度で、実力者が「よしわかった」と言って付け届けをもらいながら何もしてくれないと信用がなくなる関係です。

専門家の論文は事実の裏付けというか事実を丹念に拾っているので、私のような不器用なものには、読み応えがあって楽しいものですが、高齢化のせいか?読んでも読んでも忘れてしまうのは困ったものです。
直義が観応の擾乱第1幕では圧倒的に勝利を収めて政敵の高師直が討ち取られますが、直義がすぐに地位を失っていくのは彼は正義感が強すぎて?、あるいは過去の価値観にこだわりすぎて?自分に味方した武士に対するその後の論功行賞をまともにしなかったからのような印象です。
観応の擾乱第一幕では、御所巻きに屈服した直義でしたが、第二幕の直義による全国規模の巻き返しで直義側に馳せ参じた武将らは、自己主張が正しいかどうかは別として命がけで応援した以上は、相応の恩賞(不当な)利益を期待していたのにがっかりしたのです。
もともと室町幕府の威令が届きにくかったのは、足利家は源氏の名門とは言え頼朝のような絶対的名門ではなく相対的名門であった上に、権威の裏付けたる朝廷自体が南北に分かれていたことが、騒乱に明け暮れた基本原因でしょうと形式的には言えるでしょうが、(今でいう国連での決議や・・中国が南シナ海問題に関する国際司法裁判所判決を「紙切れに過ぎない」と一蹴したのと同じです。)上記私の想像によれば、時の流れが速すぎて室町幕府はしょっちゅう政変続きになったとも言えそうです。
建武の中興政権が崩壊して室町幕府成立直後は、高師直・高家一族勢威を張っていましたが、これが急速に武士団の信望を失って行くのは、上記の通り、公卿荘園領主側への遠慮が大きすぎて今度は武士の方から不満が出てきたからでしょう。
足利政権樹立直後は、政治的情勢から公卿側に配慮して上記の通り比喩的にいえば6対4で武士有利に裁定していたとしても、武士の世がはっきりしてくると、武士の方は6では納得しなくなる・7対3の願望が強くなります。
それが、比喩的にいうと数年もすると今度は8対4でないと納得しないような急激な変化の時代でした。
この不満期待感が直義への期待になったようですが、上記著者亀田俊和氏によれば、直義はむしろ守旧派・常識人・・過去の価値基準でいえば、武士が約束違反しているという発想が強かったようですから、直義側についた武士団はあっという間に直義を見放していきます。
ただし、室町幕府自体が武士に対する威令が届きにくい脆弱性を持っていたので、執行状を発給しても現地では守られないのが普通だったとも書かれています。
だいぶ前に非理法権天の法理を紹介しましたが、その時に書いたように粗暴な君主の事例を見ると国民隅々まで威令が行き渡る怖い時代かのように見えますが、逆から言えばそのくらいのことをしょっちゅうしなければならないほど、末端では威令=法令が守られないということです。
こう見ると何のための訴訟か?となりますが、一応幕府に訴えて自分の方が正しいという「正義のお墨付き」を求めるだけの利用価値があったのです。
今の国際司法裁判所の判決を「中国は紙切れだ」とうそぶいていますが、その程度の効力があったのでしょう。

総選挙と民度8(マスメデイアの威力低下2)

希望と民進の合流発表に戻りますと、希望の党はいかにメデイアの作り上げるブームに乗っても、希望の党自体が自力で政権取りに行く(一気に過半数を取る)のは無理としても、連立相手に選ばれることが必須・そのための数字・3桁当選(そのくらい保守票を食ってこそ自民大敗ですから時間がかかっても保守系にウイングを広げる努力をすべきでした。
ところが自民党系以外の一般公募よる発掘では素人中心で2〜3回の講習程度では即戦力にならない上に、既存支持組織がないので目先の選挙に間に合わないし、資金面でも困ってしまいました。
そこで差し迫った候補者不足や資金不足や各地方で立候補するための運動員等の組織を補うのは、民進系がてっとり早いとなったようです。
しかし民進党にウイングを広げても自民党支持者を食うことはありませんし、逆にそれまでの保守系支持者が逃げ出します。
立候補者の思想信条を問わない・誰でもいい・・一定数の手駒が欲しい野心先行の印象が目立ち始めました。
小池氏にはもともと「政界渡り鳥」・・人格的にどのような問題があるのか私にはわかりません・・マイナスイメージが以前から言われていましたが、今回はあまりにも露骨過ぎたことが失敗の大元のように見えます。
この動きは実は今年7月の都議選前から始まっていて、泥舟脱出の民進党離党組が大量に都民ファーストに参加して都民ファースト立候補者として名乗りを上げて大量当選したことに始まります。
ttps://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1499028541/

民進党に離党届を提出し、都民ファから公認を得た8人は全員が当選し“移籍成功”
一方、推薦を得て無所属で出馬した10人は5人の当選にとどまり、明暗が分かれた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20170701-00072782/では都議選挙後の人事にかんする意見を書いています。
都民ファーストの原点は「かがやけ」と「7人の侍」だったはず

今回離党に至った選挙まで都議団幹事長であった音喜多氏の処遇について上記の様な大見出しで危惧を書いています。
都議会選後都民ファーストの運営を牛耳る様になり、都知事選旗揚げ以来の草創期支持者がドンドン弾かれていく・使い捨てて行くやり方が露骨になった結果都知事選立候補当初の地元政治家とその支持層が足元から逃げ出しました。
小池氏が以前から言われている弱点・人格批判されている・・どんどん使い捨てる本性をカモフラージュする余裕がなかったのは、時間がなかったことが焦りを誘ったとも言えますが、時間がないならば一回パスすべきだったでしょう。
周到な準備や組織がなくともメデイアさえ味方につければ、空中戦だけで当選まで持って行けるというあんちょこな考えによると思いますが、都知事選の場合一人だけメデイアの脚光を浴びればかなり効果がありますが、衆議院選挙の場合全国展開ですから、地方では地元支政治家に密接な人が多いので選挙の顔だけではなく地元で触れる個々人の人格も重要です。
当落をかけた戦い・・全国展開ですから足腰と一体で頑張る必要があります。
看板さえメデイア露出が多ければいいというものではありません。
総理になるための内心の準備は3年前からだったかもしれませんが、周りの準備には思想信条の一致する人材集めから始まり研修期間中の先輩後輩関係や本部組織や地方組織など順次組織を大きくしていくなどの試行期間が3年程度必要です。
同じ思想に染め上げていき場数を踏ませて育てて行くには自分は(まだ60年代前半と思いますしきっちりオリンピックを成し遂げた実績で打って出ればいいことですが・・)年齢的に間に合わないから・・という意見も散見されました。
組織面で見ても人数に応じて徐々に大きくするに連れて一周りずつ大きく改変して行くべきですし、その都度一定期間の試運転・運営経験が要りますが、都知事立候補・旗揚げからわずか1年では、数年かけて組織運営の試行錯誤をして行く時間もないし、数年かけて能力に応じた配置換えをすべきところを1年足らずで3年分の早送り的回転(1〜2年やって自分には無理とわかってからやめるのと数週間もしないでクビになるのでは)・切り捨てをすると恨みも買います・・立候補すべき人材育成・その人材の各地方での地元浸透その他全て間に合いません。
スポーツでもオリンピックが4年に1回のために自分の最盛期と合わない人もいっぱいいます・・・時間の巡り合わせが合わないのは天命として受け入れるべきでした。
もしかして小池氏自身がムードに頼るだけで独自の見識がない場合、小池塾で「頑張ろう!」という檄を飛ばすだけでは何回も続きません。
時間があれば却って困るタイプの政治家もいますが、地道に信奉者や同志を増やすよりは思想信条抜きに既成政治家をどんどん入れる方が即戦力で簡単・それも個別勧誘・意見すり合わせでは間に合わないから、民進党ごと丸ごと入党させるまでいくと、内容はごった煮どころか都知事選で応援していた一匹狼的政治は少数勢力になっていき有権者にとっても何のための新政党旗揚げか分からなくなります。
ここまでくると小池氏の旗揚げは、我欲が目立つだけで何をしたくて都知事選に出て政党を旗揚げしたかの理念が見えなくなってきました。
元々は「みんなの党」の関係者や「日本の心」の中山恭子氏の夫など自民党よりも右寄り人材を中核にして都知事選立候補したものでしたが・・民進党の引きずり込みを決めると希望の党内の政治力学が180度変わってしまいました。
時系列でいうと党を立ち上げたのが9月25日で数日後の合流決定では結党前から前原氏と通じていて・・内心で都知事選功労者切り捨てを決めていたのではないか?の疑いが出てきました。
さらに結党直後の全員合流ならば、素直に民進党と一緒に新党を立ち上げるべきなのに何故ややこしい「合流」方式になるのか?の疑惑が出てきました。
11月5日現在のウィキペデアによると時系列は以下の通りです。

希望の党(きぼうのとう、英: Party of Hope)は、日本の政党。略称は希望。
東京都議会の地域政党「都民ファーストの会」(東京都知事・小池百合子の支持基盤)が国政進出する形で、小池に近い議員が中心となって2017年(平成29年)9月25日に結成された。
9月28日には民進党と合流をし、第48回衆議院議員総選挙の公認候補の半数以上は同党出身の議員が占める
合流決定はわずか3日後のことです。

選挙後は党内多数意見を無視できない=旧民進党系の支配で希望の党はどういうスタンスになるのか?という国民疑惑が先ず広がりましたが、実は内部的に本来の小池支持で集まった政治家切り捨て(邪魔扱い)や新人養成への熱意がなくなっていたのです。
民進党議員や事務局スタッフ・全国組織まで丸抱えになれば、主導権が民進党議員が握られてしまうことが目に見えています。
都議の音喜多氏らの離党問題で紹介されていますが、都議選後の都民ファーストの会派では議会運営経験のある民進党からの合流者が委員長その他の重要ポストを握っている様子が出ています・・外野的視点で見ると衆議議員選より数ヶ月先行した都議選の結果、都知事選旗揚げのときから支えてきた一匹狼的都議数名は都議会レベル多数派の運営で邪魔になってきた・多数を占める民進党や自民党離脱組等の旧勢力出身都議グループから浮き上がってきた様子が見えます。

総選挙と民度7(マスメデイアの威力低下1・・内閣支持率)

国民の方はガチガチの左翼系さえ切り捨てれば良いというのではなく、中道左派であろうと民進党系による小池新党乗っ取り自体を嫌っていた可能性・民進党支持率6〜7%に低迷=「民進党がそのまま乗っ取るだけならばその党に投票したい人は6〜7%しかいない」という意味ですし、そもそも国民の多くは安倍政権を倒す必要を感じていないどころか続投してほしいのが大多数の意見だったのではないでしょうか?
もっと言えば、小池氏が自民党員として都知事戦に出るのは応援した(自民党都連の対応にふまんがあった)が、安倍政権と対立してほしいとまでは期待していなかったというのが都民や国民の素直な政治観であったでしょう。
小池氏が都知事選大勝後も簡単に自民党を離党できずグズグズしていた原因はこの空気にあります。
メデイアではしきりに自民党支持率は高いが安倍内閣は不支持率の方が高いという不思議な報道がおこなわれ、この傾向は選挙後も続いていました。
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201710/index.html

【調査日】2017年9月30・10月1日(土・日曜日)【調査方法】電話調査(RDD方式)
【対象】全国18歳以上の男女1735人【有効回答率】64.5%

内閣支持率

あなたは、安倍晋三連立内閣を支持しますか、支持しませんか?

 支持する       36.9% (前回比-4.4)

 支持しない      46.3% (前回比+6.7)

 わからない、答えない 16.8% (前回比

一方で自民党議席が大幅に減ると安倍政権に対する不信任だから総理が退陣に追い込まれるべきと言う数学の原理・自明のように言うのですが・・。
選挙の大勝も大敗もすべて党の顔次第というのが一般的理解ですから、どこの党でも党の顔にこだわるし、負けると責任問題になるのです。
希望の党の大敗は党員の責任ではなく、党代表の責任問題であることは違いがないでしょう。
希望の党では小池氏の責任問題がくすぶっていますが、当選者50人中45人が民進党出身者という構成で多数決解任になれば、予定通りに乗っ取られたことになるので、多数決で解任しにくい点で小池氏が助かっています。
メデイアは選挙結果が出た直後も自民党大勝は安倍政権支持ではない・森加計問題について説明責任を果たすべきと言い張っています。
選挙中の各党に対するNHKだったかの記者取材でも安倍総理の意見を遮ってまで、「森友・加計学園の説明責任をどうするのか?」という傲慢な質問がありましたし、希望の党に始まりその他野党の主張は(公約は色々あるでしょうが大きな主張は総じて)「安倍政権打倒」、「安倍政権さえ打倒すればいい」、「アベのミ久スは失敗だ」というばかりです。
なぜ安倍政権を打倒する必要があるのか、安倍政権のどこが悪いのかも言わない、アベノミクスは失敗だというものの、では希望の党や野党がどうするべきというのか自分の政策を一切いわない・安倍政権さえ倒せればあとはどうなっても良いかのような主張でした。
選挙で野党の戦う相手は自民党議員との議席の取り合いであって、内閣を倒しても自民党の議席が増えて自分の党の議席が減るのでは意味がありません。
どこの党でも政党の選挙活動は自分の党の候補者を一人でも多く当選させる目的で行うものですから、限られた大事な選挙期間での運動・演説の中心主張が安倍政権批判に集中している以上は、自分の党の議員当選数=自民党の獲得議席数の減少になる主張が、安倍政権支持率で決まるから安倍政権批判をしているという意思表示です。
内閣支持率と自民党支持率が連動しないのならば、野党各党が内閣打倒や内閣批判に熱をあげる必要はありません。
にもかかわらず、自民党支持率は上向いているが、内閣支持率より不支持率の方が多いというメデイアの発表自体一般的理解困難です。
党の支持率(獲得票率)は選挙結果がすぐに出るので、あまり違いがあると調査に関する信用を失うので虚偽発表ができないので自民党支持率が約何%かは、調査結果通りに発表するしかないものの、内閣支持率に関する投票がないので、いくらでも虚偽発表できる・・データ操作の疑いがあります。
以下はメデイア発表の一例です。
http://www.sankei.com/politics/news/171016/plt1710160082-n1.html

「安倍内閣支持率が下落しているのに自民党は堅調… 希望や維新の失速に野党共闘の崩壊」

希望の党の構成員も公約も何もわからない段階での希望の党に対するフィーバーは、小池氏の個人人気によるものですし、どこの党でも負けそうな時には〇〇では選挙を戦えないと党首・看板のすげ替えにこだわるのはそのためです。
ところで、ニコニコ動画の調査発表だけは選挙結果とほぼ同様の動きをしているらしいです。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw2886556の引用です。

「安倍内閣の支持率が時事通信などの世論調査で20%台まで下落し、「危険水域」に入った。しかしニコニコユーザーだけに限れば、安倍内閣を「支持する」と答えた人は51.7%に上り、「支持しない」の24.1%を大きく上回っている。ドワンゴが7月21日に発表した「月例ネット世論調査」によって明らかになった。
https://enquete.nicovideo.jp/result/96
月例ネット世論調査2017年8月
内閣支持率 「支持する」54.0% 「支持しない」20.4%
9月10月の結果が見つかりませんが、10月22日の第47回総選挙結果は以下の通りで ほぼあっています。
https://ja.wikipedia.org/wiki
小選挙区
v             総得票数      得票率   議席    議席率
自民党 25,461,448.922   48.10%     223[注 1]   75.59%

こんな具合でニコ動ではピッタリ連動してるのに、なぜ既存メデイアでは変な動きになるのでしょうか?
いかにも「安倍政権はもう終わりだ・勝つ方に つくほうがいいよ!」というメデイアのイメージ戦略が見え見えです。
選挙の結果自民党の圧勝でしたが、メデイアはあくまで「内閣の支持率が低いのだから、安倍政権は国民の信任を受けていない」という変な論法です。
内閣支持率が本当に低くてこんなに自民党得票率が上がるのか?の疑念をメデイアが晴らすためにはデータをブラックボックス化しないで合理的説明をしないと既存メデイアの信用性が落ちる一方です。
うがった見方をすると・・・すなわち以下は、私の憶測です。
メデイア界では小池新党の組織立ち上げ準備期間を与えることと、民進党の混乱収束を待つための時間稼ぎのために、森友加計問題で騒ぐだけ騒いで、(国民は逆に政策そっちのけの民進党の評価を下げているにも関わらず)世論調査では安倍政権批判が高まっている・支持率20%という虚偽発表を繰り返して安倍総理が解散できない様に誘導していた疑いがあります。
メデイアの誘導効果にニンマリしていた小池氏も民進党も「これで安倍総理は解散をできまい」・「来年になれば、任期満了の追い込まれ解散になる」と油断していたのを突いたのが今回の不意打ち解散でした。
自民党は、自己調査でメデイア界揃っての発表が実態にあっていないのを知っていて騙されているフリをして安心させておいてこれを利用したことになります。
1昨日あたりの報道では内閣支持率50何%と出てましたが、10月22日投票後まだ何もしていないこの段階で30%も支持率が上がるはずがないので、あまりにも実態無視の発表を維持できなくなったので実態に合わせる修正を始めたように見えます。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6259743

新内閣の支持率52% 読売調査
11/2(木) 22:58 掲載
内閣支持52%、不支持40%…読売世論調査
読売新聞社は、第4次安倍内閣の発足を受け、1日夕から2日にかけて緊急全国世論調査を実施した。(読売新聞)
安倍内閣の支持率は52%で、衆院選直後の前回調査(10月23~24日)の52%から横ばいだった。不支持率は40%(前回37%)。
政党支持率は自民党42%(前回43%)、立憲民主党14%(同14%)、希望の党5%(同5%)などの順で、無党派層は25%(同24%)だった。

上記を見ると立憲民主党や希望の党では事前予想も選挙直後も全く変わっていない・・調査の正確性が証明されていますが、なぜか内閣支持率だけ選挙時の実際の支持率が、事前調査と何十%も違っていた摩訶不思議さが結果から証明されています。
選挙直後に一般的であった「党は選挙で勝ったが内閣は支持されていない」というひねくれた解釈・・訳知り顔の政治評論家の解説は事実に反していたことがこれで証明されたことになります。
自民党員でも誰か忘れましたが、安倍内閣の支持で大勝したのではなく、個々の議員が頑張ったに過ぎないから森・加計問題をさらに謙虚に説明を尽くすべきだと、メデイアの振り付け通りの発言していたという報道がありました。

総選挙と民度1

都民ファーストとは言うものの、希望の党の名称や「しがらみをリセットする」という内実なしのキャッチフレーズと同じで具体的に何をどうするのか見えない・トランプ氏のフレーズをあんちょこに借用している印象がぬぐえません。
東京都民の稼いだ富が地方に投資されて使われ、都民が汗を流して稼いだ富が地方に収奪されているのかと言えば、逆でしょう。
これ以上東京都が富を独り占めすべきか?富の東京集中の方向性こそを、このままで良いのか論じなければならない段階です。
地方収奪・地方の工場生産による企業利益や地方支店売り上げ等が本社所在地の大都会の収益になってしまう・・富が集中する社会システム全体こそ長期的視点で議論されるべきです。
2003年10/02に「地方自治と人材3(憲法38)」前後のシリーズで地方疲弊の仕組みの一つとして、地方の親が大金を投じて次世代を養育してようやく一人前にすると都会に就職して人材を奪われてしまう・・親が死ねば相続で地方のお金を都会に持って行ってしまう・・肥料をやらないで農地から食料を収穫し、樹木から果樹をとっている一方的関係に似ていて(肥料を補充しないと)土地が痩せるのと同じで地方が疲弊するに決まっていると書いたことがあります。
この肥料に相当するのが地方交付税その他繰り替えし行われている地方振興策です。
いくら振興策を繰り返しても効果がないという尤もらし批判が多いですが、果樹園や農地から毎年収穫する以上は、収穫に見合った肥料や種まきも土地を耕すのも毎年(際限なく)必要なのは当然です。
地方工場出荷・販売代金を本社経理部で管理する以上は、現地工場経費・資材購入費も本社から送金・払うのは当たり前でしょう。
小池氏の都民ファーストのフレーズは・・地方の営みの成果が大都会に集中するのを今以上に地方から富を都に吸収して良いかの大きなテーマを検討した上のフレーズとは到底思えません。
こうした実質変革の内容を伴わない流行語に軽く便乗する「都民ファースト」ではなく、日本列島全体の首都・王者として列島全体の指導者として振舞ってもらわないと困るのですから、「都民ファースト」の標語は心無い都民のエゴに訴えたかも知れれませんが、我が国民族一体感の実態に反したもの・・イメージ誤流用の誤った戦略と受け止めた人が多いでしょう。
マスメデイアは、「安倍政権の支持率を下げられれば大喜び」という立ち位置なのか?この党こそ「希望がある」とばかりにしきりに小池氏の立ち上げた「希望の党」を持ち上げていましたが、10月22日投開票の衆議院選挙の結果を見ると一般庶民はメデイアの宣伝に乗らずに冷静に見ていたようです。
護憲・革新という矛盾概念を標榜する超保守勢力を囃し立てるメデイア界では、総選挙で小池氏が国政に打って出れば、保守系として知事戦を戦った小池新党が都議選並みに保守票を何割か食うに違いない・・保守分裂選挙で自民党が大負けするとの読みでした。
安倍政権が倒れる前提で大喜びのシュミレーション・小池氏を軸にしたいく通りかの連立政権の組み合わせ議論がメデイア会では一色になっていました。
そのためには小池氏地盤の東京都内だけではなく、自民党議員大幅減にならないので希望の党が全国的に立候補させることが必要という議論が進んでいました。
・・ただ小池新党が各地の自民票を食うために全国的に候補者を立てるには資金力がないし組織もない・・(二百人以上の立候補になると供託金だけでも巨大です)・・・これがネックでした。
安倍氏による想定外の?奇襲攻撃的解散のために慌てて立ち上げた急ごしらえ政党のために全国で200名もの候補者を発掘する作業が間に合わない・候補者すらいないばかりか手足になるべき地方組織・・足腰も資金もありません。
そこでまず資金供給源として編み出されたのが民進党公認予定の候補をそっくり受け入れてそのまま希望の党の公認と切り替える・連合の運動員(組合員)もそのまま引き継げる「見え透いた』奇策でした。
この合流決定は連合も交えた三者協議だったといわれるのは、選挙に必須の手足となるべき運動員確保のためでもあったでしょう。
一般に政党で公認すると選挙資金・公認候補者に供託金程度・数百万円以上出すのが普通らしいですが、「希望の党」の場合逆に、公認条件として巨額資金を提出させる報道が出ていました。
その手順として、希望の党へ公認申請/民進党員脱退直前に、民進党は民進党各支部長(原則として公認予定者)宛に一人当たり2000万円配布したという報道がありました。
その資金を希望の党公認御礼として希望の党に拠出する手順です。
この種情報が漏れ始めて民進党の資金を希望の党へ事実上移し替える脱法行為?の裏工作が、合流発表の舞台裏で行われていたイメージが浸透し始めました。
全て民進党に頼るのでは、民進党党首の顔を選挙の時だけ臨時に「雇われマダム・小池氏」にしたのとどのように違うのか?と国民多くが疑問を持ったのがこの奇策の弱点でした。
マスメデイアが表面上「小池よいしょ」的記事を洪水のように流している裏で、こういう裏情報も客観情報として並行して報道されていた事実を見ると、メデイアが一方に偏っていたという批判が当たらないのかもしれません。
あるいは大見出し等では小池人気を煽っているものの、内部でこれを不満な中堅がいて小さな情報としてそれとなくパラパラと流す反骨人士がいただけかもしれません。
民度レベル・表題等のイメージに左右される層が厚ければ、大手メデイアの動向・芸能人をスター化するようにメデイアが作り上げる虚像が人気投票・・世論を決めて行きますが、民度が上がってくると虚像だけでは動かない・・内容をじっくり読む・・ネットの方が詳しいのでこれを読み比べる人が多くなると実際の行動を見て自分で総合判断する人が増えてきます。
メデイアの評価(イメージづくり)を知りたいのではなく、国民はデータさえ提供してくれれば自分でどう言う人か政党かを判断する時代です。
民進党の両院議員総会では前原代表は「全員合流できるように努力します」表明したということで(民進党立候補予定者全員合流を期待して)満場一致で合流方針支持したのは(その他の党員はそのまま民進党に残して)まず希望の党へ合流する意味は、希望の党の公認候補になりたい「だけ」と言うやり方です。
(選挙となればそのノウハウ・問い合わせに対する指導などのバックアップが必要ですが、希望の党は9月25日に立党宣言をしたばかりで党組織・代表選定過程やとか幹事長やその他各種決定手続きや機関そのものすら決まっていない・「排除論理」もどういう機関決定を経たのかすら不明・小池氏の思いつきでコロコロ変わって行くイメージです)そもそもバックアップするほどの能力のある党組織や事務局というものがありません。
民進党の党組織がそのまま残って立候補者だけ移籍するということは、喧嘩別れの離党ではなく満場一致の全員合流目標ですから、事実上彼ら立候補者のために後方部隊として動く意味があるのでしょう。
民進党が希望の党に資金協力や運動員で協力するメリットは、民進党は党勢の激しい落ち込みを理由に蓮舫代表が辞任したばかりで党勢はジリ貧の一途でしたから、このまま選挙戦突入では大規模落選?解党的結果になるリスクが予想されていました・・・。
直前民進党の支持率はhttps://matome.naver.jp/odai/2149310737439254701からの引用です。

支持層の高齢化が進んでいるのが民進党だ。今年12月の調査で、民進党支持層の60歳以上の占める割合は、62・0%に達した。共産党の60・5%も上回っている。旧民主党政権時代は50%前後で自民党と大差なかったが、徐々に増加。
出典【政治デスクノート】自民党に異変 “シルバー政党”化が進む民進党を尻目に若者の支持を獲得(3/3ページ) – 産経ニュース
政党支持率は、民進党が6・6%(同1・8ポイント減)で、昨年3月の結党後、最低となった。
出典世論調査で民進党の支持率「大きく下落」に皮肉続出「森友頑張ったのに」「審議拒否と騒いだのに」 | BuzzNews.JP

このままで選挙になると現職続々落選?大変だという恐怖感から、蓮舫氏が代表を辞任せざるを得なくなり、17年9月1日代表選が実施されたのですが、前原代表選出後の支持率は以下の通りです。

代表選とは何だったのか…民進党支持率、さっそく低下7%→5% 「前原氏に期待せず」39%

代表選とは何だったのか…民進党支持率、さっそく低下7%→5% 「前原氏に期待せず」39%
毎日新聞は2、3両日、全国世論調査を実施した。
1日の民進党代表選で選ばれた前原誠司代表に「期待しない」との回答は39%で、「期待する」の31%を上回り、「関心がない」も24%あった。
上記の通り同党の支持率は5%と低迷したままで、代表交代による浮揚効果は今のところ出ていない。」

仮処分の必要性2(即時効の威力)

小規模裁判所で停止の仮処分決定が出ると、細かい証拠を見るまでもなく(決定書を見られないので詳細については外野には分りませんが・・)、認定が「一見して無茶だ」という意見が圧倒的多数であっても、異議審も同じ裁判長が担当しますので、異議を出してもほぼ100%是正されません。
アメリカ大統領令の司法審査報道では異議申し立てではなく、日本で言えば異議ではなく抗告審の印象です。
この辺の原稿は高浜原発停止の仮処分が出た直後頃の16年3月に書いていたのですが、昨年初冬ころに異議審決定が出たことを紹介しましたが同じ裁判官が出す(大津地裁の裁判官構成もこのシリーズで紹介しています)ので結果は同じでした。
(その間に著名な科学の進歩がある訳がない・・同じデータを元に同じ判断基準で判断する限り同じ結果になるのは当たり前です)
結果的に停止の効力は地裁に事件が係属している限り(本件決定内容不明ですが,仮に大多数の法律家から見て論理建てに無理がありそうな場合でも)是正されないことが事実上決まってしまいます。
いつ地震があるか分らない・・または100%安全を証明出来ない理由で停止を命じられる・・例えば年間これだけの交通事故死があると言う統計が出されるとその段階で安全性の立証(疎明)責任が転換されるとした場合・・電車もクルマも医療の安全性も損害の程度も全ての分野で操業停止仮処分の対象になる理屈になります。
一定のリスクがあっても社会の発展や社会全体の利益のためには許容範囲と認めるかどうか・・これは民意・政治の場で決めるべきことです。
原発被害は一定のリスクと言える程度を超えている巨大なものであるからエリートが決めてやると言うのでしょうが、ソモソモ司法官僚が何故このリスク判断について専門家であると言えるのでしょうか?
その道のエリ−トが一定の手続で選任され、規制基準を作って基準に合致しているかどうかを判定しているコトについて素人の裁判官がその決定を覆す意味が分かりません。
あるいは、規制基準と現状を審査したところ、その基準に合致していないと言う判断もあり得ます。
しかしこの場合もその基準に合致していないことと甚大な損害発生可能性とイコールではありません。
細かな基準には念のためと言うものが一杯あります。
今築地市場移転問題で規制以上のフッ素だったかが出たと騒いでいますが、フッ素規制値は水源地の基準で毎日(何十年も)その含有量の水を飲用し続けても絶対大丈夫ですと言う基準です。
環境省データの一部抜粋です。
(下記のうちPFO、PFOAはフッ素の中でも毒性が強いとされているものらしいです)
https://www.env.go.jp/council/09water/y095-13/mat07_2.pdf
1.4
水道水質基準
平成21 年4 月1 日より、水道水に係る要検討項目は従来の40 項目に加え、過塩素酸と「パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)」、「パーフルオロオクタン酸(PFOA)」及び「N-ニトロソジメチル
アミン(MDMA)」の 4 項目が新たに指定された。このうち、PFOS と PFOA の 2 項目については、以下のような考え方が示され、目標値の設定も見送られた。
注:「要検討項目」とは、平成15 年4 月28 日厚生科学審議会答申「水質基準の見直し等について」において、「毒性評価が定まらない物質や水道水中での存在量が明らかでない物質を対象とした項目」として位置づけられており、必要な情報・知見の収集に努めていくべきものとされている。
豊洲市場の地下の土からしみ出して来る水を毎日何リットルも飲む人は皆無ですから、(まして出荷される魚がその水を飲むわけがないのでどう言う関係があるか意味不明)元々市場立地の危険性と・・何でも反対流にしている?無意味な基準であることが明らかです。
このシリ−ズでは行き過ぎたPC(慰安婦問題で国際的に政治的に?完成させた上で・いわゆるPCが出来上がっている以上反論すること自体がおかしいと言うののがアメリカの支配的風潮で・・日本攻撃をされましたが・・政治的正しさをマスコミが作り上げてはその強調する弊害)批判も書いていますがこれもこの一種です。
最近、マスコミ内の特定勢力による反対運動があるとこれに迎合して無茶な基準・・いわゆるpcを決めてしまうことが多過ぎるからこう言う馬鹿げたことになります。
原発設置基準でも原発アレルギーに便乗したいろんな不合理な基準が一杯ある筈です。
こんな無茶な仮処分をする裁判官はいないので、裁判官の裁量に任せておいてもこれまで社会問題にならずに来たのですが、昨年春の高浜原発稼働停止の仮処分は正にこのような基準による裁判でなかったかの疑問です。
本案判決の場合、負けた方が控訴しないと決まるまで判決の効力が出ない・・・地裁の判決が仮に間違っていても実害がありませんが、仮処分決定の場合決定告知と同時に即時に効力が出てしまうことが先ず大きな違いです。
民事訴訟法
(決定及び命令の告知)
第百十九条  決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
その上に判決の場合直ぐ控訴して上級審の再判断を求められますが、決定の場合同じ地裁への異議申し立てが出来るだけで、すぐに高裁に抗告出来ない仕組みです。
民事保全法
(保全異議の申立て)
第二十六条  保全命令に対しては、債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができる。
保全抗告)
第四十一条  保全異議又は保全取消しの申立てについての裁判(第三十三条(前条第一項において準用する場合を含む。)の規定による裁判を含む。)に対しては、その送 達を受けた日から二週間の不変期間内に、保全抗告をすることができる。
ただし、抗告裁判所が発した保全命令に対する保全異議の申立てについての裁判に対しては、この限りでない。
仮処分決定に対してすぐに上訴(以下のとおり41条の抗告は、保全異議に関する裁判が出てからのことになります)出来ないで、先ずは異議申し立てしか出せません。
地域経済や電力業界に重大な影響のある停止命令を、即時効があってしかもすぐには高裁へ手続が行かない仮処分を選んだこと自体も疑問です。
大津地裁としては、第1にそんな悠長な裁判をしている間に事故発生危険の切迫感があったと言う認定をしたのでしょう・・その後約1年経過してもまだ原発被害が起きるような大地震が起きていない・・(本案訴訟の結果を待てないほどの切迫性がなかった)結果から見ても大津地裁裁判官の認定が間違っていたことが事実で証明されています。
本案判決を待てない程スグに地震があると言う心証形成自体疑問がありますが、その点さえ別にすれば仮処分の場合、仮処分の当否の争いをしている間、原発が長期にわたって停止してしまう重大性から考えて、仮に担当判事が自己判断に自信があるならば、なおさら上級審のお墨付き判断を早く得るために本案判決手続を進めるべきだったように思われます。
申し立てがあっても、緊急性の疎明が足りないとして却下して本案訴訟の結果を待てば良い(大津地裁に場合本案訴訟も同じ裁判長ですから同じ結果を(進行を急ぐならば、証人尋問をしたとしても数ヶ月つ遅れ程度で出せた筈です)ことを何故すぐに上訴出来ない仮処分手続でやったかの疑問です。
尤も仮処分申請を選ぶのは申請人ですが、仮処分でやる緊急性を認めなければ自然に本案訴訟が始まりますから実際の終局的な方針決定権を裁判所が握っていたことを書いています。
もしもマトモな疎明資料が出ていないのに裁判官の主観(いわゆる心象風景で)で危険だと認定していたとすれば、私的意見を実現するために裁判権を利用したことになります。
テロ被害について16年3月31日に少し書きましたが、テロ等は社会秩序を出来るだけ長く麻痺させるのが目的です。
裁判官の主観で判断したとすれば、上級審で破棄されるのを予想出来た上で決定したことになりますが、何のために破棄されるのを承知で決定したのでしょうか?
その期間だけでも時間稼ぎ・・経済活動を麻痺させようとしたとは思えませんが・・。
ちなみに裁判官が「良心」に従い判断すべき「正義」とは16年3月31日に書いたように、個人的主観による正義ではなく,集積された判例・学説の蓄積によって導き出される予定(・・自分の考えが上級審で支持される自信に裏打ちされた)価値判断あるいは従来判例では矛盾があって変更すべき合理性のある場合です。
無茶をしない・・内部基準に従う前提で飛行機パイロットやクルマの免許があり,警察や軍人に武器携行が許されていますが、いずれも業務上決まった基準に従い個人的利用基準で使用しない信頼で成り立っています。
裁判官良心と言うと崇高なイメージですが、いろんな専門職が増えて来ると各業務ごとに要請される業務上スピリッツ+注意義務の一態様と言えるでしょう。
仮処分制度は、即効性がある分裁判官の良心を濫用する人が出るリスクもありますが、安易に仮処分を認めない・・事案の性質を見極めて慎重に運用する・・裁判官一人の判断で国政の根幹を揺るがすような決定を出来る権限があるのは、裁判官が「良心」に従う=権限を乱用しないだろう」と言う高度な信用で成り立っていました。
大津地裁の決定が日経新聞で「心象風景」で書いたのではないかと紹介されていますが、(私は決定文を知らないので)これをテロ的決定であると書いているのではありません・・ここでは一般論です。

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