世界の警察官から軍事同盟へ(太平洋二分論の基礎)

江沢民は1年間に4回もの訪問で相応の手応えを感じたので、これをはっきりさせておくためにだめ押しとして公衆の場で真珠湾演説を行なったと見るべきでしょう。
本当に信用出来る内諾があれば秘密にしておくのが普通ですから、アメリカが世界中が見ている場で否定出来ないと言う程度・・逆の押しつけをしたと見るべきかも知れません。
習近平がオバマとの初会談時だったかに強引に「太平洋二分論」を提案してオバマが否定出来なかったこともワザワザ公表されています。
(首脳会談は綿密な事前擦り合わせがありますが・・仮に唐突な提案であったとすれば・・)初会談では突然のことで想定していなかったのでどう対応すべきか決断出来なかった・優柔不断と言えないこともありませんが、今夏中国で開催されたG20でも太平洋二分論が習近平によって繰り返されたことが報道されていますが、オバマはやはり否定しませんでした。
いずれにせよ習近平の太平洋二分論に対してオバマだけではなく、江沢民の真珠湾演説時の日本敵視発言をブッシュも明確に否定しなかった点が重要です。
アメリカ歴代大統領の対応を見ると、中国が仮に日本を攻撃したり南シナ海が封鎖されても、アメリカが日本の自助努力がどうのと言って直ぐに参戦せずに、ぐずぐずしている事態が容易に推測されます。
南シナ海封鎖が実行された場合に封鎖されたままで「話し合い解決で・・」と悠長なことを言っていると、日本は日増しに不利になります。
中国の軍事基地が出来上がる前に実力で阻止しないで放置しておいて、出来上がってから実力で取り壊すにはイラクのクエート侵攻後の第一次イラク戦争のように圧倒的兵力差がないと無理があります。
「話し合い解決を期待する」と言うのは、一方が実力行使していない段階では合理的ですが、一方が実力行使しているのにこれを原状回復させないままで話し合い解決を求めるのは「実力行使を受入れろ」と言うに等しい無責任な態度です。
日本の非武装論者と同じで、相手が実力行使した場合どうするかの議論が抜けていて・・強い者がスキなように出来るルールです。
最近のアメリカのやり方はすべからく・・ウクライナ侵攻〜クリミヤ併合も・・実力行使を阻止しないで実力行使の結果をそのまま認める・・現状追認しかない最近の行動を見れば、・・内々その程度のゴーサインを出していた可能性の方が高いと見るべきでしょう。
これが今のオバマの優柔不断と批判されている裏事情です。
中国による南シナ海封鎖が実行された場合、日本が高額負担している日本駐留米軍が何か役に立つのでしょうか?
役に立つとすれば、今までの航行自由作戦のように時々行く程度でなく、アメリカ海軍がその海域に常駐して日本向け船舶を守ってくれるほどのことをしてくれないとどうにもなりません。
ただし、過去の同盟関係を見ても、(長篠の合戦でも信長の援軍が来るまで守り抜いたように日露戦争時の日英同盟も皆そうです)応援軍が来るまで一定期間自力で守り抜くのが現地軍(砦)の勤めでしたから、「ある程度自力で守って下さい」と言うアメリカの主張はあながち無茶な主張でありません。
実力行使阻止のためにアメリカ軍が介入するには時間がかかるので、その間くらいは自力で守る必要がある・・これが自衛軍の必要性論です。
このシステムがあると、空き巣狙いのような戦争開始の誘惑を阻止出来ますが、非武装論は短期間でも自衛の必要がないと言う意見になります。
初戦だけではなく、応援軍が到着してからでも応援を頼んだ軍が危険を顧みずに真っ先に戦う気持ち・・危ない戦闘を応援軍に頼りきりですと、応援部隊はイヤになってしまいます。
南シナ海封鎖の場合、アメリカに全面依頼するだけではなく当然日本海軍もアメリカ軍との共同作戦に従事する気構えが必要です。
ただしこれまでの自衛の定義では、船舶航路の妨害排除は含まれ難いような印象ですからこの辺・・自衛の範囲に関する法整備が必要です。
昨年制定したいわゆる安保法でもこの辺の出動要件がはっきりしない感じです。
全部を読んでいないので断定出来ませんが、「周辺事態」と言ってもこれまでの議論では米軍に対する援護論であって、自衛隊が先に出動する必要がある場合の要件が分りません。
アメリカが「世界の警察官をやれない」と言う意味は、アメリカが圧倒的経済力・軍事力を背景に現地常駐し,米軍が出ると周辺が従うしかなかったのでこれが普通のように期待していただけであって、これが出来なくなっただけです。
世界の警察官と軍事同盟の違い・・警察の場合、市民は丸ごと治安をお任せ・・丸腰ですが、軍事同盟の場合、同盟国間で力の強弱があるとしても、応援を頼まれてから駆けつける・・一定程度までは自力で守るのが原則です。
ニクソンショック以降アメリカの基礎体力が落ちる一方ですから、具体的な応援要請もないのに日常的に警察官役を果たすのは無理が出て来たことは確かです。
まして同盟国に自国軍を常駐させて日常的に守ってやるほどのコストを負担する関係ではありません。
アメリカでは◯◯違反と言っては、毎年のように欧州企業から何兆円規模の懲罰→和解金をとっていてこれが欧州の不満のタネになっていますが、(いま話題になっているのはドイツ銀行に対する懲罰金の巨大さです)これでは財政難に苦しんでいた徳川幕府が時々豪商を取りつぶしていたのと同じやり方です。
これを繰り返し発動するしかないこと自体に、アメリカのジリ貧・・資金不足・・政権(国際的発言力)末期到来を表しています。
この数年タクスヘイブンが大テーマになっているのも、全てアメリカの資金不足に由来しています。
上記のとおりアメリカは今後警察官役を無償で果たせないが、同盟関係(相互関係ならば)はまだやりますと言う段階です。
これが相互防衛条約=集団自衛権が必要になって来た我が国の事情です。
※ただし日本の場合「アメリカが非武装を強制してその代わりアメリカが守ると言う約束です」からこの辺が他国とは条件が違います・・念のため・・。
平和憲法の根幹は、市民と警察のような関係・・アメリカ軍が駐屯して日常的に平和を守ってくれることが前提・・「警察が犯罪を制圧する前提であって、国民が自力で警察官が来るまで強盗犯と渡り合う関係」ではありません。
アメリカが世界の「警察官役をやめて普通の軍事同盟関係に戻る」と言えても、日本に対しては、平和憲法を強制した以上・・あるいは核武装を禁止している以上は核の脅威から守る義務がありますから丁寧な擦り合わせが必要でしょう。
「核の脅威から守らない・・自力で守れ」と言いながら、核兵器所持を禁止・・核不拡散条約遵守を求めるのは矛盾してしまいます。

覇道支配の終焉1

日本にもアメリカ式金融資本主義一辺倒に走りたい人もいますし、戦争に負けたらすぐにキリスト教に改宗する人もいたでしょうし、ドイツ式に原発が危険だとなればすぐにやめた方が良いと短絡的に走る人もいます。
多種多様な人がいるから(英米法に詳しい人や、金融デリバティブで稼ぐ人も必要です)日本は適応能力が高いのですから、八百万の神を認めるのと同様に、短絡的な人がいる事自体めでたいことです。
そう言う人にとっては、被害がなくともドイツが原発政策を全面(廃止方向へ)変更しているのに、あれだけの被害があった我が国が、何故直ぐに「廃炉する」と決めないんだ!「何をモタモタしているんだ」と言う気持ちでしょう。
原発事故=全面即時廃炉論者と、日本の敗戦は軍備があったからだ、軍備さえなければ敗戦がなかったと言う・・意見は短絡的と言う面で繋がります。
その結論との間にはいろんな思考パターンがある筈ですが、この辺が単純・・文字どおり「短絡」ショートさせてしまうのが、この種論者の特徴です。
複雑に考える必要がないので原発が良いとなれば原発一辺倒、駄目となればすぐに全面撤退で、こう言う人は生きて行くには簡単で良いかも知れません。
韓国をみると、自由貿易体制が良いとなれば民意など無視して100%その方向へ舵を切るなど、アメリカ式に表音文字・ハングルだけにしてしまう・・戸籍制度もやめてしまうなど、すごく簡単に大幅な制度改正をしています。
元々自国の基礎文化が薄いことが簡単に大変更出来る原因かも知れませんが、中国などでは歴代王朝が転覆すると前王朝を全面否定する文化・・全く新しく歴史を書き換える文化です。
我が国で考えている歴史とは違い、中韓やアメリカなどは客観性など問題にしない・・勝った方が歴史を好き勝手に作るのが当然と言う意識の社会であることを理解しておく必要があります。
アメリカの好きな・・基本国家原理である「法の支配」も、東京裁判を見れば誰でも分るように、事後法で一方的に裁いて人殺しをしているのですから、アメリカの基本原理である法の支配自体に矛盾している・・破綻しています。
また原爆投下や一般人殺戮を目的にした東京その他の大空襲は人道に対する罪そのものですが、これに対する一切の弁明すらしていません。
アメリカの価値・道徳観は、どんな非道なことしても腕力さえあれば良いと言う本質を表していますので、権力闘争に勝ちさえすれば何をしても良い・・中国の歴史同様の専制支配の価値観と本質が変わっていません。
この種の身勝手な二重基準は、世界各地で行なわれて来た筈(イラク戦争も同じ)ですから、今や世界中がアメリカの身勝手な行動に対する不満だらけです。
この国が「法の支配」「人道主義」などと言っても、世界中(国内では激しい人種差別がまだ続いています)で誰も信用していないでしょう。
アメリカの言う「法の支配」とはアメリカ以外の国に対する専制的支配を前提にして、権力意思の貫徹を目的にしていた中国古代の韓非子の法家の思想と同じで、「法」自体正義に基づくか否かではなく、自分の決めたルールを弱者に守らせようとする利己主義の表現でしかありません。
この辺の疑念があるので、市場開放・自由主義とかTPももしかしたた、アメリカの一方的要求を貫徹する道具じゃないのか?と言う疑心安危が小国に根強い理由です。
アメリカの国際政治の基本は、王道(道義)によるのではなく、覇道によると言うべきでしょうから、世界中でアメリカ式圧政に対する不満が高まるのは仕方のないことです。
この矛盾に対する世界的抗議が9・11以降世界的抵抗が燎原の火のように広がって来た原因と思われます。
日本以外の国では、前政権の支配は全面的に悪かったと言う虚偽歴史、虚偽の正義を教えることにも、何の疑問も恥ずかしさもありません。
日本の場合、その都度前政権の功績を認めてその上に改善して行く社会でしたから、絶え間ない発展が続いて来たのですが、中国では王朝が倒れる都度全否定から始まる・・ゼロからの繰り返しでしたから約2000年間制度的に全く発展性がなかった原因です。
彼ら(特に中韓政府)から見れば、2000年にわたる専制支配下で生き抜く智恵を身につけて来た経験・・覇者に取り入って自己保身することには長けていますので、アメリカに気に入ってもらい相手(日本)を蹴落とす権謀術数ではヒケをとらないと言う自負心があるようです。
習近平氏就任直前の権力闘争の激しさに関して、権力闘争に関しては2000年の歴史があるので、権力闘争(・・権力内の政敵を蹴落とす争い・・現在では覇者あるアメリカの意を迎える競争)に関しては、「日本などは赤子の手をひねるようなものだ」と豪語している関係者発言?を読んだことがあります。
実際に韓国系はこの能力を活かして国力の割には、米国政界に巧妙に取り入って大きな地盤を築いています。
中韓の価値観では、覇者(古い言葉で言えば専制君主)アメリカの支持を受けている限り噓でも何でも言い募って弱い者イジメに使うのは古来からのやり尽くして来た讒言の一種であり、「強者の覚えが目出たい」取り入るのに有益と言うプラス要因でしかない前提ですから、我が国が慰安婦問題や南京虐殺は史実と違うと主張すること自体が「世間知らず」とバカにされていました。
南京虐殺であれ慰安婦であれ正義・事実とは関係なく、世界覇者のアメリカが喜ぶかどうか、アメリカが裏で推進する気があるかどうかで勝負が決まると言う考え方です。
こう言う狡い考えが世界中ではびこっているのは、アメリカ自身に正義に従って行動する基準がないからです。
賄賂で動く女に弱い、お酒が好きだ、ゴルフが好きだとみれば、その道で攻勢を掛けるのが普通ですから、要は上に立つ人の生き方です。

日米同盟強化

Dec 28, 2012「観光立国と生活レベルの低下4」で、尖閣諸島に半端な戦力(数十人規模)を駐屯していても肝腎の本格戦争に入れば日本本土防衛には無意味・・放棄するしかないだろうと書きましたが、(平時のシーレーン防衛には大きな意味があります)防衛ラインを広大な太平洋のどこに引いてもアメリカ本土の防衛にとって、(日本の沖縄防衛と尖閣諸島防衛の関係よりもなお)大した違いはありません。
(アメリカ本土向けロケット発射を何秒か早く知ることが出来るくらいでしょうか?)
仮に日本列島が全部中国支配下になって日本から攻撃機あるいは大陸間弾道弾が飛び立っても中国本土から直接飛んでも距離の比率から言ってアメリカの防衛にとっては50歩100歩以下でしかないでしょう。
日本を韓国のように経済植民地化しておけるならば、アメリカにとって第1列島線が(守ってやるぞという意味で)重要になります。
日本が経済支配下に入らない・もしかして中国経済圏に入るのを選択するなら、何のためにシーレーンなど中国から防衛してやる必要があるか・・子供でも分る道理です。
ですから「防衛分野だけ同盟しましょう」と言っても、アメリカが実質メリットを求めて来るのは当然です。
TPPや沖縄基地問題等アメリカに利害のある問題で具体的に安倍政権がどう対応(譲れる)出来るか、アメリカにじっと見られている状態です。
ヤクザにミカジメ料の支払を渋ったら、・・「じゃあ他所のヤクザが店に来て嫌がらせされても知らないぞ・・」というのがアメリカのやり方でしょう。
もしも参議院選挙までアメリカの思惑どおりに動けない・・野田政権同様に国民を騙すために選挙までは意思表示出来ないと言うなら、(アメリカにとっては国民に言えないほどの大規模譲歩引き出すには選挙後の方が有利ですから)そこまでは我慢するでしょう。
あまりにも大きな譲歩を迫られる場合、アメリカ離れを画策した方が良いかについては、中国の出方を考えてシビアーな検討が必要です。
戦後60年以上に及ぶアメリカの横暴?に反感を持っていた民主党政権は、今後中国と仲良くすれば良い・・これまで大分援助して来たし・・アメリカを袖にして近寄れば中国が喜んで大切にしてくれると思っていました。
民主党はもともとソ連圏との友好を模索して来た社会党・民社党出身議員を多く抱えているので反米基調になっていたのは当然ですが・・国民の多くもアメリカの勝手な行為の数々に不満を持っているところへ中国の台頭もあって、民主党政権誕生=親中国路線傾斜が当然の雰囲気でした。
ところが、日本には予想外の中国の対応が待っていました。
アメリカから離れたならば立場が弱いだろうと足下を見られてしまい、逆に尖閣諸島に対する領土要求を誘発させてしまいました。
日本的理解ではこれまで対立して来た相手でも、相手が弱って頼ってくれば優しくいたわるのが普通ですが、中国や韓国では相手が弱っているならこれを好機と見て、徹底的に叩く・・しゃぶり尽くす価値観の国だと知らなかったのです。
低姿勢に出れば、大切に対応するのが日本の礼儀ですが、中韓(もしかしたら世界中が)では相手が下手に出れば相手が弱っているのだから、この機会になお強く要求すれば良いという価値観の国です。
慰安婦問題・南京虐殺等々、事実無根でも相手が主張するなら、反論して揉めていないでそのとおり認めて謝れば和解出来るという発想が日本の(甘い?)価値観ですが、(ヤクザでも言いがかりをつけたことについて被害者が謝るなら、それ以上追及しない国民性です)相手の方は、事実無根でも認めてくるほど相手が弱いならば、もっと新たな要求が出来ると考える価値観の民族です。
今回はアメリカの要求がきつすぎるからと言って、簡単に中国寄りに舵を切り替えられないことも(交渉相手のアメリカには)分っています。
ところで安倍政権の対米手みやげ論ですが、ただ低姿勢で譲歩すれば上記のとおり却って悪い結果になり兼ねません。
こちらもしたたかに交渉して行く心構えが必要です。
ベトナム戦争当時、ドミノ理論が一世を風靡したことがありますが、尖閣諸島をアメリカが守れずここに中国軍基地が築かれると(日本本土防衛にとってはあまり意味のない場所としても・・・)台湾(国府軍)防衛に重大な影響が生じます。
(※ 尖閣諸島問題で日本が引けば、その内沖縄諸島まで中国が領有主張を始める可能性が高く、さしあたり石垣島など離島から占領が始まるでしょうが、順次日本がこれらの占領を黙認して行くことになると、台湾本島が中国軍基地に包囲されることになります。
こうなると台湾武力侵略(開放)が現実化して来るので、武力行使がなくとも台湾が屈服するしかなくなるでしょう。)
遠隔先端基地は攻撃側には出撃の足がかりになるので有用ですが、守勢のときには守備隊が拡大分散している方が不利になります。
(沖縄占領に後ここから出撃する爆撃機によって東京空襲が常態化したことを想起すれば良いでしょう)
我が国は専守防衛なのであまり遠くまで出っ張って戦力分散している方が不利になりますが、攻撃側の中国にとってはここに基地を築ければ台湾と日本を分断出来るし、そこから航空機が出撃出来れば有利になります。
沖縄まで要求して来るのは大分先のことであるとしても、台湾に至近距離の尖閣諸島に中国軍基地を設定するだけでも台湾を脅迫するのに充分です。
沖縄米軍による台湾応援をここで分断・妨害出来ます。
この視点から言えば、台湾政権が中国共産党政権と一緒になって尖閣諸島領有を主張していたのは不可解・・よく考えていなかったのでしょう。
台湾当局(国府軍)にとっては、日本の尖閣諸島実行支配を揺るがすのは得策どころか、自分の首を絞める行為です。
直ぐに台湾当局が静かになったのはこう言う視点が働いているからでしょう。  
アメリカの要求がきつ過ぎて、交渉決裂となってアメリカが守ってくれないなら・・・と言うことで、「尖閣諸島は要りません・諦めました」となればアメリカも大変です。
台湾防衛だけではなく、「たった1つの離島さえ守ってくれない同盟なんか意味ない」という声がわき上がるのは当然で、将来的には日米同盟が空洞化して行くのは必至です。
日本は手みやげばかり気にしないで、この辺を(直接言うのは、はしたないですが、)交渉材料にして行くべきでしょう。

政権担当能力2(マスコミ支配)

昨年末から書いているように、マスコミは戦後ずっと米英支配下にあるので、政権が中国寄りになること自体不快に思っている外に、韓国のようにアメリカ・IMF官僚の言うとおり・・経済植民地化に応じない・しぶとい自民党(ひいては日本国民)を追い込むために、マスコミ操作して来た可能性があります。
韓国のように欧米資本が全面的に牛耳って植民地化すれば、その資本・企業が中国といくら取引しようと構わないのが欧米の戦略です。
日産のように外資が過半を占めれば、最早日系企業ではありません。
韓国の大企業がぐんぐん欧米で伸びているのは欧米資本になっているから・・韓国の無茶なウオン安・・いきなり約半値になりました・・政策を欧米はまるで批判しません。
むしろ日本民族資本のトヤタやパナソニック等を追い上げるのを喜んでいる・・応援していると思われます。
サムソンとアップルの争いと言っても、韓国とアメリカ企業の争いのよう日本からは見えていますが、実質はアメリカ資本同士の争いです。
(だからサムソンは遠慮なく戦える面があります・・日本企業だとこんな全面戦争はとても無理でしょう・・)
トヨタはインチキクレームで巨額損失を出したので、本来損害賠償請求すべき立場でしたが、逆に訴えられていた事件で何百億もの和解金を払うことになったとつい最近報道されています。
・・アメリカで長期訴訟に巻き込まれているマイナスの方が大きいという変な判断ですが、民族資本のママだとこのような不当な結果ばかりが待っています。
中国リスク報道ばかり目につきますが、アメリカの方が実は不当な恐喝的行為の多いカントリーリスクの大きい国ですが、巨額でない限りアメリカに支配されているマスコミは滅多に報道しません。
中国批判・対立しながらも中国へのアメリカ企業の進出自体をアメリカは奨励しています。
しかし、欧米企業のママの進出競争では日韓や台湾にとてもかなわないので、日韓、台湾企業の資本を抑えて間接進出すればアメリカ企業の進出と経済効果は変わりません。
マスコミは日本の株式市場や債券市場が外資に魅力がないとしきりに・・ことあるごとに騒ぎますが、(今朝の日経朝刊にもこうした記事が出ています)私がこれまた毎回書いているように国債やトヨタ等の株式の大半を外資に引き受けて貰うことに反対です。
国内でほぼ全量賄っているからこそ、いくら国債が膨らもうと外国からとやかく言われなくても済む・・独立性が保てるし、円高になったくらいで安易に海外に逃げないで歯を食いしばっても国内にとどまる努力をしてくれる・そこから新たな円高水準でも海外で戦える新規事業が生まれる芽が残ります。
欧米は日本の国債・企業等の資本支配をして、そこからアジア進出をしたいのが本音でしょう。
(資本受入れに応じない・・企業買収に簡単に応じない日本企業の中国進出に対しては、戦前の機会均等要求同様に日本の突出した中国大量進出にアメリカは不満を持っていますが、戦前と違って機会は均等なので表向き仕方がない状態です。
(・・中国でのデモ・暴動等を背後でけしかけて日本の進出意欲を殺ぐくらいでしょう)
小泉政権を継いだ自民党3代政権・構造改革路線に反する政権に対するマスコミの揚げ足取り的集中砲火は異常でした。
このころから韓流の大量報道に始まり、マスコミの自制(表向きの政治的中立)がなくなり始めた時代と言えるでしょうか?
マスコミは政権批判の材料として安倍→福田→麻生とどれも世襲でひ弱で政権担当能力がないという集中砲火を浴びせて次々と総理を代わらせて最後に下野させるのに成功しました。
そもそも政権担当・実務能力などと言い出したら、マスコミの標的次第でいつでも集中砲火が可能ですから、マスコミの狙い撃ち次第になります。
実務能力を基準にすると政権担当経験のない野党に政権交代する選挙制度・民主主義制度自体論理矛盾になります。
政権担当実務能力という基準で攻撃出来れば、どんな政権になっても気に入らない政権の場合いつでもマスコミを使って倒すことが可能になります。
ひいては「意に反すればいつでも倒せるのだぞ」という脅しにマスコミを使えることを意味していますが、もともと中立を装ったマスコミの威力は巨大でしたが、この4〜5年のマスコミの動きは露骨過ぎたように思います。

水質汚染2

 

偶発的な雨による偶発的放射性ヨウ素の検出・・数日でまた消滅します。
千葉より数日早くヨウ素が出ていた東京・金町では既に検出されなくなっていますし追っかけて、3月26日にヨウ素が検出された柏井浄水場もヨウ素が直ぐに100以下になっています。
柏井浄水場は,印旛沼から引いている水・・ひいては利根川水系ですから、長期的には利根川源流域の土壌汚染が気になるところです。
源流域の土壌汚染によるものが首都圏で出るようになると、これは数日や1週間程度でどうなるものではなく年単位になってきますので(セシュウムの半減期は30年とも言いますが、セシュウム137の体内半減期は原子力資料室情報の記事によれば100日だそうです)・・セシュウムがほんとに危険かどうか分りませんが・・・この水を使えなくなってしまうとすれば、ペットボトル程度で補充が出来ないので、首都圏脱出しかなくなるかもしれません。
ちなみに放射性ヨウ素の半減期は8日ですので,土壌汚染からしみ出して来るまでにはなくなってしまうでしょう。
そうするとその他の放射性物質ですが,「これの危険性は何も分っていない,分らないから怖いんだ」と言う変な論法で,国民を怖がらせて来たこれまでの政府・識者の結果責任がここで出て来たのです。
これまでの反核・反原爆論の基礎として、放射能の害はどんなに怖いものかとせっせと訴えて来た日本政府の国際的主張が国際的に徐々に認められて来たので,今更放射能が安全だと言えなくなって来たのが苦しいところです。
従来の日本政府の主張からすれば、家庭の使用だけではなく,各種食品工場が成り立たない・・八百屋も魚屋も水道水で洗えないと商売になりません。
食品関連だけではなく各種工業製品もすべて大量に水を使用しますが、この使用水が放射能汚染水としたら海外でも売れなくなるのは明らかです。
さしあたり鹿島臨海工業地帯製の製品は、汚染された筈の海水を大量使用していることから,直ぐにも海外で問題になる可能性があります。
このようなことになる前に何とか原発問題を収束して欲しい、これが出来なければ,我が国経済は壊滅的被害を受けることになると危惧して,おっかなびっくりの警察庁の放水態度を見て驚いてしまったのです。
そこで普段のコラムを中断して決死隊がいないのかとMarch 18, 2011「原発事故防止と自衛隊・警察の役割」を書きました。
原発問題は、東京電力や首都圏住民の心配問題を通り越した国家経済存亡の危機対処・・国防そのものであるとする意識です。
今では,武力侵略など滅多にないし、こうした自然の脅威こそ国家存亡の危機になるのですから日米同盟の真価は、この時こそ問われるとの問題意識で書いています。
実際に日本に限定した原爆戦になった時に、アメリカが本当に日本に代わって敵国を核攻撃してくれるのかについては,誰も信じていないでしょうが、今回のような核の脅威こそいくらアメリカが協力しても自分の国に危険がない分野です。
今後熟練した原発作業員が不足してくる事態が考えられますが、これにアメリカの作業員の協力が得られるかどうかです。
協力に参加する自国民の被爆のリスク程度の被害を理由にして危険行為を一切引き受けないのでは、イザと言うときの同盟の意味がないのではないか・・自衛隊と同様の疑問になります。
飛躍があるとは思いますが,「命をはって協力する」約束じゃないのかの疑問になります。
10人20人が協力した場合,少し被爆するリスクがある程度でも協力するのが嫌だと言う国が、一緒に戦争して何万人単位で命を落とす・あるいは片足切断等のリスクを負う覚悟があるとは思えません。
自衛隊同様に戦う相手が違うと言うことでしょうが、一方で放射能汚染を理由に厳しい輸入制限を率先するのでは、(情報開示の不十分な日本政府も悪いのですが・・・)日本人は納得出来るでしょうか?

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC