異文化尊重と人権3(国際標準2)

例えば、日本で禁酒法や禁煙法が制定された場合、外国に行って飲酒・喫煙したのがバレたら帰国後処罰されるのか?となります。
このためになんでも国内法違反行為を外国でしたら、帰国時に処罰されるわけではない・刑法では属地法主義が原則で属人法適用は例外になっている所以です。
例えば殺人などの重罪犯は国外犯も処罰されるし行政法違反等は処罰されないのが原則的法原理です。
刑法

(国内犯)
第一条 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
(すべての者の国外犯)
第二条 この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。
一 削除
二 第七十七条から第七十九条まで(内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助)の罪
三 第八十一条(外患誘致)、第八十二条(外患援助)、第八十七条(未遂罪)及び第八十八条(予備及び陰謀)の罪
四 第百四十八条(通貨偽造及び行使等)の罪及びその未遂罪
五 第百五十四条(詔書偽造等)、第百五十五条(公文書偽造等)、第百五十七条(公正証書原本不実記載等)、第百五十八条(偽造公文書行使等)及び公務所又は公務員によって作られるべき電磁的記録に係る第百六十一条の二(電磁的記録不正作出及び供用)の罪
以下省略

(国民の国外犯)
第三条 この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。
一 第百八条(現住建造物等放火)及び第百九条第一項(非現住建造物等放火)の罪、これらの規定の例により処断すべき罪並びにこれらの罪の未遂罪
二 第百十九条(現住建造物等浸害)の罪
三 第百五十九条から第百六十一条まで(私文書偽造等、虚偽診断書等作成、偽造私文書等行使)及び前条第五号に規定する電磁的記録以外の電磁的記録に係る第百六十一条の二の罪
四 第百六十七条(私印偽造及び不正使用等)の罪及び同条第二項の罪の未遂罪
五 第百七十六条から第百八十一条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、強制わいせつ等致死傷)及び第百八十四条(重婚)の罪
六 第百九十八条(贈賄)の罪
七 第百九十九条(殺人)の罪及びその未遂罪
八 第二百四条(傷害)及び第二百五条(傷害致死)の罪
以下省略

上記のように政策上必要ものに限定列挙形式です。

第五条 外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。ただし、犯人が既に外国において言い渡された刑の全部又は一部の執行を受けたときは、刑の執行を減軽し、又は免除する。

殺人罪等は国外で犯した場合、処罰規定のない国がないのでそこで処罰されるので、実はそれほどの必要性はありません・・。
上記によると賄賂罪を国外で犯しても日本で処罰されそうですが、これは公務員犯罪ですから日本の公務員に対する贈賄であって、外国公務員は刑法でいう公務員ではありませんから不適用です。
日本の国家秩序を守るための刑法ですから当たり前です。
たまたま、今朝の日経新聞朝刊28pでは、初の司法取引の初公判として、タイの工事現場で現地係官に贈賄要求されて現地担当者が日本本社に相談して贈賄要求に応じた事件(内部通報?)での司法取引(会社側が捜査協力して法人自体が処罰されない取引)内容が公開された記事が出ていました。
え?外国公務員への贈賄がなぜ日本刑法の贈賄になるのか?とよく読んでみると贈賄罪の起訴ではなく「不正競争防止法違反(賄賂)」という記載になっていました。
不正競争は企業間の公正競争の問題ですので、国外での企業間競争を公正にするためには国外の不正競争も取り締まる必要があるので不正競争防止法では国外の不正競争行為でも不正競争取り締まり対象になっているのでしょう。
ところで、第5条で国内で処罰できるとしても国外で処罰された刑罰を(二重処罰にならないように)減刑免除される仕組みですから結局国外で殺人等を犯して検挙されないで日本に帰った時に処罰するメリットが中心でしょう。
弁護士になったばかりの頃にハワイでの殺人事件で服役後強制送還された事件(成田空港で入国後即逮捕です)の刑事弁護をしたことがありますが、日本の裁判で8年のところハワイで6年服役していえば残り2年となります。
警報は国民の善導のために巨費を投じて行うものですから、外国人までいちいち刑務所で教育してやるのは国費の無駄です。
入院患者と比較すればわかりますが、働き盛りの国家公務員(平均年収5〜600万?)が24時間体制で監視し移動時には付き添い、3食支給し収容時の医療体制を講じるなどものすごい経費です。
どこの国でも被害者が自国民でなければ、できるだけ執行猶予等の軽い刑罰にして母国に強制送還して母国(母国では自国民が殺されているし被害感情もあるし、物騒な人を野放しにできないなら自分で再教育や面倒見てもらいたいので、すぐに母国(日本)へ送られてきます。
日本の外国人事件でも余程の重大事件でないと原則執行猶予で即強制送還ですから、オーバーステイプラス売春防止法違反あるいは不法就労や交通事故などの事件では「どうせ執行猶予だろう」という見込みで入管職員が法廷に迎えにきています。
このように刑法では限定的に列挙した行為だけ国外で犯しても処罰されるとなっているのに、日本NGOが外国の発注先企業があたかも日本基準を前提に(正確には言ってません・・イメージ流布だけです)大々的に国連等で批判運動するのはおかしな論法です。
上記の通り、日本の賄賂罪にならないが、不正競争にならないかという内部通報の発達もこの一種でしょう。
実質的競争阻害と言えますが、不正の態様に応じて国外処罰規定のあるのとないのがあると思われますが、そのさじ加減は国会(民意)で決めるべきことです。
国外処罰規定がないことを、NGOが騒いで批判しているとすれば行きすぎではないでしょうか?

異文化尊重と人権2(国際標準1)

お隣の子供がいつも虐待されて泣いているのを見て、隣人は見てられない・・かわいそうだがどうするかの問題に似ています。
地域内のことは児童相談所や警察や学校に通報すれば済むでしょうが、隣の国のことになると放っておくしかないのでしょうか?
粗野な人とどの程度深く付き合うか、嫌な部分を見ないようにして仲良くしていくかは、個人的には大人の知恵の問題です。
それとなく嫌な人とは付き合いを弱めていくしかないでしょう。
安倍外交・国際戦力の基本は価値観共有というスローガンでしたが、粗暴な価値観をひけらかす国とは「一線を画す」という意味でもあったでしょう。
従来権力は家庭に介入しないという基本ルールがあったのですが、(家庭内暴力が昔に比べて増えた結果とは思えないですが)女性の権利意識の高まりによって、まずは家庭内暴力への関与システムが広がり(DV法関連の整備)、続いて(児童虐待の場合には児童が死亡するほどのひどい暴力や虐待は3世代同居などの抑止機能がなくなって、マンション等の閉鎖空間で母親の孤独育児と相まって昔より増えたような印象ですが)少子化で「子供は社会共通の宝」意識の高まりからか、原則としてまだ児童相談所経由ですが徐々に警察の関与する場面が増えてきました。
国際社会がこの延長意識で安易に他国内政にまで「人道といえば介入する権利」があるかのように振る舞うのは、今の所まだ行き過ぎでしょう。
西欧では宗教戦争に疲れた結果、ウエストファーリア条約で主権に介入しない(お互い宗教に口をさない)という国際合意ができたのですが、この20年ほどを見るとNGO等による後進国での労働環境劣悪等の批判で国際企業が対応に追われるようになっています。
人権をテーマにすれば、人類の叡智である主権尊重を無視するようになってきたのが行き過ぎた面もあるでしょう。
日米法人が自分で海外に立地する工場等だけでなく、発注先の現地工場が現地環境保護や贈収賄基準に違反していなくとも日本国内法違反で処罰するようになると企業にとっては後進国進出あるいは、後進国製品が安いので輸入する意味がなくなります。
米国や日本国内での贈収賄や環境保護法に反していれば、非難殺到という状態です。
日本企業ではユニクロの発注先の中国工場が、劣悪な労働環境で現地人を雇用しているとして標的になったことがあります。
https://ironna.jp/article/948

まさに地獄! 潜入調査で見たユニクロ下請け工場の実態
『伊藤和子』
長時間労働と低い基本給
Pacific および Luenthai は基本給をそれぞれ月額1550人民元及び1310人民元としているが、これは最低賃金であり、平均的賃金レベルよりはるかに少なく、時間外労働によって生活賃金を稼ぐことが常態化している。そして、両工場の時間外労働数は驚くほど長い。時間外労働時間数は、 Pacificで月平均134時間、Luenthaiで月平均112時間の時間外労働と推計されている。中国労働法では36時間を超える時間外労働は認められておらず、明らかな法律違反である。
2)リスクが高く安全でない労働環境
排水が作業現場全体にあふれている(SACOM提供) いずれの工場の労働環境も、大変劣悪・危険であり、労働者の健康と安全に深刻なリスクをもたらしている。

 例えば、Pacific工場では排水が作業現場の床全体にあふれている。床が滑りやすいことにより、転倒し、身体不随になるような労働災害を引き起こす可能性があるし、機械の漏電のリスクも高い。
深刻なのは、工場内の異常な高温である。工場の夏季の室内気温は約38℃にまで達しているが、エアコンはない。そのため、男性の多くは上半身裸で作業をし、女性も汗だくだという。聞き取り調査に答えた労働者は「あまりの暑さに夏には失神するものもいる」、状況は「まるで地獄だ」と話した。染料部門では、染料タンクは運転時に非常に高温になるため、室温は38-42℃にまで達し、作業員は100-135℃となる染料タンクのそばに立って、タンクから重い生地を取り出さなければならないが、囲いやゲートはなく、労働災害による怪我のリスクが増加している。
3)厳しい管理方法と処罰システム
4)労働者の意見が反映されない

以上はいずれもユニクロと取引のある中国の現地企業の工場ですが、発注元のユニクロにその改善を要求するものです。
日本に本籍のあるNGOは、国際的に日本非難を展開するための資料集めをしている印象を児童売買春関連で書きましたが、肝心の中国の常軌を逸した人権侵害には何も言わないのが特徴です。
上記告発?を見ると私が弁護士になったばかりの頃に千葉の臨海工場地帯を見学した時の印象・真っ赤に溶けた鉄の塊を入れた箱をレール状で運ぶ人夫・灼熱地獄のような現場・あるいは、子供の頃に普通にあった蒸気機関車の釜に石炭をくべる人夫?の姿など彷彿とさせる描写です。
飲食店等の厨房は長靴で働いているのが普通で、それが進んだ姿でした。
一般家庭の台所は土間が一般的でしたので、水や液体系をこぼすと大変でしたが(不潔になります)、プロの飲食店では床全面がコンクリート式になっていて、しょっちゅう水で床を洗えばいいので非常に衛生的という意識でした。
中国は日本に約40年遅れで追いつこうとしているのですから、いまの日本の衛生基準や労働環境を基準にして非難しても始まらないと思います。
この後で、マックの異物混入事件で紹介しますが、後進国はおもて通りだけ高層ビルを建てても生活の基礎意識まで(表通りの舗装はできても路地奥まで綺麗にするには時間がかかる)急速には変えられないし衛生観念も変わらないということです。)
外地で犯した日本基準の法令違反行為・・NGO摘発によれば、単に日本の衛生観念に届かないという程度で日本でも法令違反と言えないものも批判対象に含まれていますが、現地法令に触れない限り現地生産するのは違法でもないし、現地に行けば現地の衛生観念に従って生活すれば(手を洗ってからでなければ、食べたくないと言っても、手を洗えないところでは仕方がないこともあります・・)良いことではないでしょうか?
国内で言えば禁煙場所で喫煙するのはマナー違反でしょうが、喫煙場所に行って喫煙するのは違法でもマナー違反でもありません。
場所ごとのルールを守れば、非難されるべきことではありません。
各地の現地人がその国の法律を守っている限り日本法令に違反していても処罰できないのに、日本人だけ外国にいるときの日本法違反で処罰されたり、日本の不買運動に企業が晒されるとなれば、なんとなくおかしな気がします。
日本で禁酒法や禁煙法が制定された場合、外国に行って飲酒・喫煙したのがバレたら帰国後処罰されるのか?となります。
日本人や日本企業だけが現地の環境労働法規その他の各種法規に関係なく日本国内法規あるいは国内価値水準に適合しなければならず、(環境汚染や汚職その他やり放題・・規制のゆるい中国等新興国では、)日本企業の発注先企業のみ先進国基準を要求するのでは、競争上ものすごく不利になります。
ただし、衛生・品質基準が日本企業は特に厳しいというブランドイメージの中国国内定着が、日本への輸出はダメでも輸出基地としての利用が終わって中国国内販売にシフトするようになると有利に働く面もあります。
MGOによる日本企業批判運動が今の訪日中国人観光客の爆買いに繋がっているのでしょうから、何が幸いするかはわかりません。

クリスマス・イヴ2(異文化尊重と人権)

クリスマスの特番が今回は変な方向のテーマになってきましたが勢いで続けますhttps://www.bbc.com/japanese/video-45480237

国連、中国政府がウイグル人100万人拘束と批判
018年09月11日
国連人種差別撤廃委員会は8月末、最大100万人のウイグル人住民が刑事手続きのないまま、「再教育」を目的とした強制収容所に入れられているという指摘を報告した。
8月半ばにスイス・ジュネーブで開かれた同委員会の会合では、信頼できる報告をもとに中国政府が「ウイグル自治区を、大規模な収容キャンプのようにしてしまった」と委員たちが批判。これに対して中国政府は事実と異なると反発しているが、「宗教的過激派に染まった者」は「移住と再教育の支援を受ける」と珍しく認めた。

中韓汚染・中間の不利なことを率先して流さない)と言われるNHKでも以下のニュースです。
https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2018/07/0719.html

2018年7月19日(木)
中国でウイグル族大量拘束 今何が?
酒井
「今日(19日)の特集、中国の少数民族が悲痛な声を上げています。」
中国の新疆ウイグル自治区に暮らす少数民族のウイグル族。
中国政府は、ウイグル族の分離・独立運動を警戒し、長年、締めつけを行ってきました。
その締めつけが新たな次元に。
外国とつながりがあるウイグル族の人々などを、次々と拘束。
・・・大量の監視カメラが設置され、住民の監視が強化されています。
さらに、パスポートを没収されたり、中国国外との通信を制限されたりするケースも報告されています。
そして今、ウイグル族の人々が次々と拘束され、国際的な批判が強まっています。」
中国 ウイグル族 “大量拘束”の実態
・・・
収容所に数か月間入れられたという40代の男性です。
隣国・カザフスタンで、アメリカのAP通信に拘束中の体験を証言しました。
拘束された人
「彼らは私をつり上げました。
足は地面に辛うじて着くくらいで、4日間、一睡もさせてもらえませんでした。」
この男性はカザフスタンに住んでいますが、去年、両親に会うため、生まれ故郷の新疆ウイグル自治区に帰省したところ、拘束されました。
花澤
「VTRの中では、拘束されていた人、そこから解かれた人も出てきましたけれども、ああいう人たちというのも一定数いるんですか?」
中央大学講師 水谷尚子さん
「いえ、極めてまれな事例です。
彼の場合は、カザフスタンの国籍も持っていたので、カザフ政府の圧力などによって出てこられたと。
しかしながら、中国国籍者であそこから出てきたという話はあまり聞かないですね。」

アメリカ政府系のメディア「ラジオ・フリー・アジア」は、今年(2018年)この選手が「試合で外国に行ったこと」を理由に新疆ウイグル自治区で拘束され、行方が分からなくなったと報じました。
国際プロサッカー選手会も、選手の釈放を求める声明を発表しています。
「ラジオ・フリー・アジア」が、収容所内部で撮影されたものとして伝えた映像です。
映像省略
そこには、手錠を掛けられた男性たちが、中国共産党をたたえる歌を歌う姿が映っていました。
アメリカ国務省 ナウアート報道官
「我々はウイグル族の大規模な拘束と、空前のレベルでの監視を懸念している。
中国にこの措置の停止と、拘束された人の釈放を求める。」
中国外務省 陸慷報道官
「新疆ウイグル自治区の社会は安定し、経済も発展して、宗教の自由も享受している。
これは中国の内政であり、外国が干渉する権利は無い。」

以下省略しますが、在日ウイグル人が故国にいる親族と連絡がとれなくなっている現状を訴える悲痛な声が紹介されています。
23日以来、米国人の基礎レベル・・異文化理解の低さを根拠なく?書いてきましたが、我々日本の法律家の世界も専門化が進んできた結果幅広い教養がいらなくなったせいか?、あるいは合格者が増えすぎて地位低下による・・許容というのは、究極的には基礎的豊かさに帰する?かの原因不明ですが、若手弁護士を見ると一般教養に関する関心が急速に低下している印象です。
アメリカ人が根拠なく相手国の文化を無視して、「土足で他人の家にズカズカと踏み込む]」ような無礼を繰り返してきたことが、世界的にあちこちで嫌われるようになっている(国力低下に比例して表に出てきた)大元の原因でしょう。
ただ22日に書いたように誰と付き合っても「なくて七癖」というように、自分の流儀に合わない嫌なことはあるものです。
中国古来から続く残虐な国民性は文明国(・・デジタル技術駆使の能力はついたが文化は未発達?)になっても簡単には変わらないでしょう。
その一端があらわれて国際社会をギョッとさせたのが天安門事件でしたし、北京オリンピックにあわせて犬猫を食べる習慣をやめ冴えるキャンペインをしていましたが、この十数年では政治犯でいつの間にか行方不明になっている人民の臓器が闇販売されるようになっているおぞましさです。
天安門事件当時は国力がなく開き直る力がなかったので国際批判に萎縮して日本に頼ったのですが、今は開き直って批判国を逆に経済制裁したり気に入らない国の中国滞在者を拘束してしまえるほどの国力がついたということでしょう。
ファーウエイの副会長が米国の要請でカナダで逮捕されると、中国はすかさず在中国のカナダ人を次々と拘束しています。
ヤクザが警察通報された仕返しにその家族を襲っているようなやり方です。
こういう民族とどうやって付き合っていくか?ですが、あくまで交際の範囲であって、これに外国が介入する権利があるかは別問題です。

人権の序列1

治安を乱すものは刑務所に入れられる・・生命・身体の自由さえ奪われるのが憲法の基本ですから基本的人権にも序列があることが分ります。
そして、治安=国家の安全・・秩序を守ることが他の人権よりも最優先課題であることが、上記憲法の記載から分ります。
戦争状態では個々の人権条項が停止され国家を守ることが最優先になるのは、このあらわれです。
異民族に蹂躙される・ソ連の満州侵攻のような時にもしも、防げるならば防いだ方がいい・・、個々人の人権を擁護しているより先に敵の攻撃を防ぐしかありません。
上記によれば人権侵害だと言う以前にその制度・民族を守らなくても治安・高次の人権を守れるかの議論が先にあって、それが確保された上でプライバシー、肖像権などの人権を言うべきことになります。
卑近な例で言えば、「信号機で通行規制されるのは通行の自由を侵害する」と言う以前に信号機がなくとも交差点での事故防止出来るか、車のような高速交通手段が有効利用できるかの議論が先にあるべきです。
集団自衛権がない、あるいは特定秘密保護法がないと侵略されるリスクが高まるかに付いては議論の余地があり得ますが、集団自衛権反対論者がこの種の合理的な議論をしているのを聞いたことがありません。
スパイ防止法がなくとも国家利益を守れるのかに付いても同じです。
どのようにして国家・民族を守れるかの議論を一切しないで、国家の安全があってこそ守られる個人のプライバシイなどの人権ばかり言い、国家を守る手立ての議論をすることすら反対ばかりしているのは、合理的な議論の仕方とは思えません。
目の前にニッポン侵略意図を明らかにしている中国が存在する現在、ニッポンが滅びても現憲法を守る可シと言う人が憲法学者であり人権活動家の資格があるとは思えません。
ましてニッポンを半永久的支配下に置こうとして占領軍が押し付けた憲法であればなおさらです。
国家社会が破壊されて異民族の隷属下に入ろうとも武装禁止の憲法を守るべき(アメリカ占領でニッポンの明治憲法が無効にしたように)中国支配下で、現憲法がそのまま維持されるのか、言論の自由があるのでしょうか?
中国は香港返還時に1国2制度を公約しておきながら、今ではなし崩しに政府批判者を拘束しています。
まして武力占領された場合、ニッポンの法制度がそのままと言うのは想定し難いことです。
どんな意見を言うのも自由勝手・言論の自由があると言うことですが・要は多くの人が聞いて本当に日本人のための意見を言っていると信用するかどうかです。
政治家の場合次の選挙で洗礼を受けますが、政治家以外のNGO等の任意団体では外国の手先になって宣伝活動していても何らの責任も負いません。
これでいいのかと言ってもむやみに言論規制できませんので、さしあたりは資金入手経路を締め上げて行く必要があるでしょう。
旧ソ連や中国の環境破壊や人権侵害・核実験や原子力発電には一切の批判をして来なかったマスコミや文化人、憲法学者は、中国支配下に入るならば、人権を問題にしないと言う意思表示でしょうか?
それはそれで一貫しています。
上記のとおりに、人権と言っても公共の福祉に反しない限度であるべきですが、何故かメデイアや文化人?は個人主義の悪い面を強調して全体に及ぶ悪影響を無視して権利・権利と強調し過ぎる傾向があります。
マスコミ誘導のとおり極端主張し行動しているのが、韓国の現代自動車労組に代表される労働運動であり文在寅大統領です。
ユダヤの陰謀論が盛んですが、ユダヤが何重にも本音を隠して巧妙に世界戦略をしかけているのに韓国がその手先としてあるいはこの真似をして下手に実践するので、却ってアメリカやユダヤの本音が透けて見える・・日本にとって便利な存在です。
ですから相手の手先で 動いているものを邪魔扱いする必要はありません・手先には本音を隠す能力がないので相手の動向を読む材料にしたら良いことです。

基本的人権制約原理8(ヘイトスピーチ規制3

ところで、少数派とは、何でしょうか?
組織暴力団も国民全体から見たら少数派ですし、飲酒運転したり金融取引ルール違反する人もそれぞれの分野では少数派でしょうが、暴力行為や金融取引ルール違反があれば処罰される制度は加害者よりさらに弱者の一般消費者・弱者保護のために仕方のないことです。
中小学校等で暴力を振るういじめっ子の多くが、家庭内で虐待されている弱者かも知れませんが、いじめられる子にとってはいじめっ子が強者です。
論理的批判抜きに、まず高裁決定批判ばかりでは、何のために裁判制度があるかわかりません。
まして在日の場合その代弁メデイアに事欠かない・むしろ民族系主張を支持するメデイアが皆無・民族系主張はネット発信によるしか発表の場がない現状から見て、この種の主張は形式論にすぎません。
しかも、少数派保護というならば、「関西人や東京人というような集団に対する名誉毀損は成立しない」という昨日引用のウイキペデイアの解説との整合性がどうなるか?という疑問があります。
首都圏で特定県民性批判・たとえば「〇〇県人にはこういう欠点がある」と批判されても(その県出身者は首都圏には数〜5%しか住んでいない場合)極小数であって、正面から反論できない点では同じではないでしょうか?
関西人は〇〇、名古屋の人は△とかの県民性等の批判が良くて、少数民族なら許されないという区分けの根拠がなにか不明です。
そもそも民族と地域性による特徴ある集団の区別もよくわかっていません。
民族は人種そのものと一致しないのが常識でしょうし、文化的同一性・風俗習慣の共通性といえば県民性や地域性(東北の人と関西系の違い)とどこが違うのか?となりますし、言語の同一性を基準にすると(在日も日本語を普通に話せる)など一方で拡散し過ぎ、他方で方言的違いの区別を言い出せば細かくなりすぎます。
その上、特徴には両面があって、信州人のようにきっちりした県民性は賞賛のようでいて逆から見ると融通の利かない人というマイナス的評価も含みます。
具体事例ではアメ公とか(沖縄基地関連で)ヤンキーゴーホームという派手な運動が許されて、韓国人に対する批判だけ許されないとすれば基準がおかしいとの批判もありますが・・。
沖縄在住の米国人は確かに少数でしょうが、事実上の支配権力類似のバック(治外法権を持つ軍事基地)がある面で違いがありますが、権力者の子供が権力者の意向の及ばない学校や野球等のサークル内でいじめにあっているようなものでしょうか?
大手企業社長や評論家は日本全体では発言力があって地元の身近な問題・・局地的問題に対する影響力がありません。
日本有数の発言力を持つ言論人や企業経営者も子供(孫)の生活圏では影響力がない・その孫等は小学校内では一人の子供でしかない「弱い者」ですから、おじいさんの政治発言に対する反感を直接その評論家に反論しても論戦で勝てないないので、(相手にされない・自分の意見は正論ではないので)関係ない小さな子供にぶつけていじめの対象にするのは、「卑怯なこと」です。
韓国の慰安婦攻撃の過激化に対する反感を背景に在日批判が激しくなったことから考えると、国と国との論戦・・韓国との国際言論戦の劣勢?に対する鬱憤を、日本にいる在日に対する攻撃で晴らそうとするもので、米軍基地撤去運動の効果が出ない不満を弱い沖縄居住米国人個人攻撃に向けている点では似ています。
スポーツ選手がスポーツの試合では叶わないので、腹いせに相手選手の子供をいじめるようなものですから、相手を擦り変えて攻撃すること自体が卑怯な振る舞いです。
「ヘイト」という変な外国語を振りかざすのではなく、卑怯な行為は「道義として許されない」とした方が日本の武士道に根ざす安定した議論になるでしょう。
道義の分野は法による強制ではなく、道義の浸透によって解決すべきです。
西欧でも(フランスやドイツで)移民排斥運動を公式に唱えている政党があるようですが、同じように外国人排斥運動すると日本でだけヘイトになる=表現の自由を制限できるのでしょうか?
ヘイト=表現の自由を制限できるかどうかは国によって政策的に決めて良いとなれば、「表現の自由」は人類普遍の原理ではなくなります。
「弱いものいじめをするな!」という道徳律は重要ですが、「弱いものかどうか」の評価を法運用の基準にするのは却って危うい感じです。
ヘイト規制論の一つとして、明日紹介するように「聞くに耐えない粗野な暴言」「意味のない薄い言語」などを挙げる意見もあります。
でも本当にそうならば、論者は、自分だけ一般民度より高いと思っているかも知れませんが、高民度の日本社会ではそういう粗野で野蛮な言動は「言論の自由市場が受けつけない」ので法規制しなくとも短期間に自然消滅していくのではないでしょうか?
憲法学者や文化人の好きな言論の自由市場論はどこへ行ったのでしょうか?
言論の自由市場に委ねると負けてしまうから規制が必要」という論法のように見えますが・・・。
「自由市場論は元々思想の表現の優劣を市場できめるべき」という原理ですから、「自由競争で負けてしまいそうだから規制すべき」というだけでは、自由市場論の自殺行為のように見えます。
自由主義敬愛にも独禁法がるように構成案市場競争が歪られているならば、その点を具体的に主張すべきでしょうがその点の主張がはっきりしません。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3598/1.html

2015年1月13日(火)放送
ヘイトスピーチを問う ~戦後70年 いま何が
ゲストロバート・キャンベルさん(東京大学大学院教授)
●去年の秋ごろ 実際にデモを見て
私が去年最後に見たのは、秋ですけれども、見に行って一番感じたことは、驚くほど内容が、中身がないということです。
中身がないということは、非常に力強く、大変耳を疑うような言葉が次々と出てくるわけですが、例えば、彼ら、彼女たちが標的にしている在日のその特権、それが具体的に何かっていうこと、本当に存在するかどうかということを示そうとしない、もっと大きなこととして、おそらく、その先にもし自分たちのその目標を達成した暁に、そこにどういう日本があるのか、日本という国はどうあるべきかというビジョンと言いますか、思いと言いますか、それを外に対して伝えようとしない、非常に内向きで内容が非常に乏しいものだということを、私はまず聞いて驚いたんですね。
粗野で内容のない一方的非難言動は激しければ激しいほど「聞くに耐えない暴言」あるいは、「内容のない決めつけ発言」は相手にされない社会、静かに論理的に持論を主張するようにしないと誰もまともに聞いてくれないような社会・・市場原理に委ねるようにすれば、解決して行ける・・日本社会はレベルの高い社会です。
私は「ダメなものダメ!」「少なくとも県外へ!」などの根拠のない決めつけスローガンを常々批判してきました。

こういう根拠ない意見をメデイアが有り難そうに煽るので、遅れて発信者として参加した初心者は・・メデイアで聞き慣れた「決めつけ調」から始めるしかないのは仕方のないことです。
保守系がメデイアの真似をするとメデイアの寵児ケントギルバート氏がそれを批判するのはおかしなものです。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC