10/27/08

円高と国内資金4(解散先送りの是非)

10月24日に紹介したとおり、この間の経常収支黒字合計額が163兆円ですから、外貨準備の増減を無視しても(誤差脱漏も結構大きいですが、・どちらに入れてよいか不明のために・・・誤差を無視すると・)90兆円余りが海外に出て行かずに国内に滞留していたことになります。

これに外貨準備の減少分72、6兆円を加味すると、もっと大きな資金が国内に眠っている可能性があります。

ただし、外貨準備額は、円表示ですので、ドル表記ではまったく増減なしでも、為替相場の変動があって・・この間に円が1割下落すれば、円表記では外貨準備が1割増えたことになり、円が1割上昇していれば、円表記の国際収支表では1割の外貨準備減少となります。

以前にも書きましたが、国際収支表はドル表記しないと実態が不明になりがちです。

この10数年では、円が最高値80円前後から140円前後まで下がり、ここ数年は120円前後、今年に入って最近では、100円前後と上下しているのですが、19年度までの国際収支表には今年の円高が入っていない・・円安水準の換算ですから、これを大雑把に加味すると、ドル表示・実質的には、ここ10年間で外貨準備はかなり減っているのではないでしょうか?

過去10年だけで見ても、海外投資しないで国内に残っていた余剰金約90兆円に加えて、海外から過去の資本収支の赤字分・海外債権投資(日本人の海外債券購入と円キャリー取引)など・・・企業進出などで実際出費した分は除くとしても、・・・・の多くが戻ってくるのですから、かなりのだぶつきです。

わが国の場合、上記のように、元々たんす預金していた層が厚く、資金が豊富なのに、一方で株式の評価減で銀行の自己資本比率が下がって行くのが問題・・まだ将来の心配の域を出ません・・・・・になっているのです。

株式の下落による評価損で、銀行の自己資本比率が下がると後ろ向き融資ではなく、順調に経営している会社への融資まで、満期が来ると借り換えが出来ない事態・・貸し剥がし、貸し渋りが生じて、実態経済に悪影響を及ぼす点が問題とされます。

しかし、これは過去の経験でそういっているだけで、今のところ10年前の金融危機とは違い貸し渋りが顕在化していないのは、銀行からの借金に頼らなくとも国内には個人・企業ともに余裕資金が腐るほどあるからです。

円キャリー取引の手仕舞い・・返済によって、日本の銀行預金がいくら増えても、自己資本比率の規制があって、それ以上貸し出せないジレンマ解決のために時価会計の見直し、・・公的資金の注入論になっているのですが、他方で円高による紙幣のだぶつきも発生しているのです。

麻生総理は、今選挙すると負けるので、「大変だ大変だ」と騒いで選挙を先延ばししていますが、10年以上前の日本の金融危機時とは違い、現在は資金がだぶついているので、実際にはまだ貸し渋りで困っていないのです。

多くの企業も10年前の金融危機のときとは違い、いわゆる3っつの過剰が解消されて、体質が強化され、自己資本が厚く、資金繰りには全然困っていません。

あるとしたら、今回の危機がなくとも淘汰されるべきであった金融機関や企業であって・・いつでも市場競争の敗者・一定の優勝劣敗があるのはむしろ健全な姿です・・・・でしょうが、これら不良金融機関や企業に対して金融危機を口実にした延命を許すべきではありません。

あえて言えば、不良企業だけではなく、国民の支持を受けていない不良政権まで便乗していて延命を図っているのはわが国の不幸です。

 

 



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002 - 2010 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC