10/26/08
円高と国内資金3
投機資金の場合、上記のとおり同一市場内で基本的にはぐるぐる回りですから、新規市場参加者の新規需要分だけが、日常的両替用在庫に不足するので、その市場ではそのときだけ円高要因になりますが、参入当初の円不足が解消されれば、その後はぐるぐる回転だけですから、海外市場滞留分が増えるだけで日本国内に円は還流しませんので、国内で円のだぶつきにはなりません。
(繰り返しますが、これは超短期投機家の場合で、円を買ったついでに日本国債その他に換金して保有する場合には、当然日本国内の円資金がそれだけ過剰になります。)
海外市場・・たとえばニューヨーク市場に次々と円購入参加者が引き続く場合や、同じファンドが追加購入をする場合も同じですが、(円売りより買いが多い場合)その市場では、次々と円在庫不足になりますので、持続的円高傾向になるのです。
持続的円高傾向になると、投機筋だけではなく実需買いでも、将来の決済資金を早めに手当てしようとするので、いよいよ市場参加者が増えていき、円高が進みます。
前回書いたように、超短期投機資金の場合、現地海外市場での滞留する円が増えるだけですから、国内では円がだぶつきませんが、ブームが去ると本来の市場規模・・前記の例で言うと、50〜60億円の適正市場規模を超える数百億円に膨れ上がった円が過剰在庫となって、今度は、過剰な円をドルに替える動きが出て、円の下落を加速させることになります。
円に限らず、原油その他の資源、株式何でもそうですが、実需のない投機資金が大きいと、行き過ぎた過熱、行き過ぎた下落・・双方向への振幅が大きくなり易いのです。
このように円高になれば、貿易黒字や経常収支黒字に基づく円高の場合、あるいは、投機資金でもついでに日本国債や株式などの購入に連なる場合、そのまま資金が国内に還流しますので、その分だけ国内は資金あまりになる筈ですが、超短期投機資金による場合、国内資金過剰にはなり難いのです。
ですから、現在の円高のうち、A実需・・経常収支黒字分による場合と、B円キャリー取引の手仕舞いによる円資金の還流とC投機資金であるが、数ヶ月〜半年単位の投機で、実際に国債や株式など国内投資をした場合を含めてどのくらいあって、D超短期投機がどのくらいあると3分類すれば、A+B+C=どの程度の資金還流・・金余りになっているかが分かるでしょう。
現在は株式市況も国債市況も軟調ですから、多分上記分類のBとDが中心の円値上がりかも知れません。
BDの値上がり分は、実需を伴わないので、将来的には、大きく剥げ落ちる余地があると大雑把にいえるでしょう。
いずれにせよ円高になっている以上は、超短期投機資金を別として、かなりの資金が日本に入っているはず・・その分自国為替相場が下落してその防衛に追われている諸外国とは違い、資金がだぶついているはずです。
国際収支統計はまだまだ出ないでしょうが、08/20/08「資源国へ所得移転とその対策1(19年度の国際収支表)」で紹介した、国際収支表に基づき平成10年から19年までの10年間で資本収支の赤字合計を千億単位の合計をして見ると、71兆3000億円の赤字・・持ち出しでした。
他方で、この間に外貨準備の増減を同表で同じく千億単位で合計して見ると、72、6兆円の減少です。
(外貨準備額は対ドル相場に影響を受けるので、円単位では必ずしも正確ではありません)
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