10/20/08

銀行の存在意義9

ご存知のように郵貯は財投資金などに運用されていただけで、民間に貸し出せなかったので、民営化されるまでは、郵貯に預けるとその分(郵貯残高)そっくり、信用創造機能の元手となる対象紙幣から除外されることになります。

ですから紙幣が大量発行されても、預金した内の国債購入分と郵貯残高分は、その数量どおり・・貨幣乗数は1だったのです。

政府・日銀としては、郵貯と国債で紙幣を吸い上げている限り、その分については紙幣の発行量の物価に対する効果は、銀行で倍々に回転される場合に比べて10分の1にとどまると言う計算になるのです。

郵貯と国債で吸収している限り、その限度でマネーサプライは伸びないのです。

ただし、郵貯資金が資金運用部資金として利用され、公共工事などの支払い資金として外に出てくるし、国債も発行した分だけ政府にお金が入ったままではなく、公共工事などに使うので、結果的に市中に紙幣が出回ります。

これが再び郵貯や銀行預金を通じて国債等に100%還流すれば、貨幣乗数は1のままですが、そんなうまい具合には行きません。

公共工事業者に工事代金が入れば、そっくり郵貯へ貯金するどころかそっくり下請けなどへの支払いにまわすのが普通ですから、銀行から銀行へと紙幣はぐるぐると回転します。

こうした時間の経過で、マネーサプライが大きくなって行く・・過剰流動性にならざるを得ないでしょう。

これを防ぐには、毎年前年度の国債発行額以上の国債を発行して、市中の紙幣を毎年吸い上げるしかないのですが、これを政府が使えば再び市中に出回る点は同じです。

この循環を経て、結局は貸付残額が417兆円になっているのが、現状と言うことでしょう。

08/10/08「株式消却3と紙幣消却2」前後で書きましたが、結局は紙幣を消却しない限り、国債増発の繰り返しでは、却って紙幣は増えてしまうでしょう。

ですから、国債発行の繰り返し(償還債)は将来に借金を残すというよりは、(この点は国債保有者が国内で殆ど持ってる限り、花見酒の経済であって、あまり意味がないのですが)過剰流動性の火種を増やしている点では、きわめて危険です。

日本の国債発行残高685兆円で、国債発行分は全部使い切っているとしたら、少なくともこれ同額の紙幣以上が流通していることになるのですから、ぞっとしませんか?

日本の2007年のGDPは、名目で515兆円前後ですから、国債発行残=紙幣だけでもGDPよりも多いのです。

この出回りすぎた紙幣が、円キャリー取引などで海外に流出してバランスが取れていたのでしょうが、これが逆回転で戻り始めると返済資金手当てのために円買いになるので、円高局面になります。

(世界不況で、どこもかしこも金利下げしかないとなると、日本の低金利を利用した円キャリー取引のメリットがなくなるし、金融危機の広がりで借りて投資するのはリスクがあるので、手仕舞いする動きが増えてきたのです。)

円キャリー取引で、海外に出ていた資金が日本に戻り始めると、国内では資金あまりになり、銀行は外国人投資家の借り手が減って運用難になります。



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