10/18/08
銀行の融資機能7(衰退)
貨幣乗数が仮に10倍とすれば、上記コラムで紹介した預金残高611兆円の10分の一が真水の預金であり、貨幣乗数が5倍とすれば5分の1が真水の預金です。
個人金融資産が1500兆円と言われるにしては、預金残高が桁違いに少ない感じですが、今では個人も金利の安い銀行預金だけをしている人の方が少ないのかもしれません。
誰でも銀行預金をしているでしょうが、ある個人の資産の割り振り比率としての話です。
今回の金融危機では、かなり安全な預金に回帰しているでしょうが・・・今夏までの話です。
しかも全銀協の預金残高は、法人個人を総合計したものですから、法人決済用資金残高は個人に比べて何倍もあるでしょうから、60〜100兆円前後の真水の預金の内その8〜9割を法人預金が占めているのかもしれないのです。
(個人が公共料金などの引き落とし用に預金しているのに比べれば、法人・・地方公共団体など含めて・・・の給与支払いその他毎月の必要額は何十倍も大きいのです。)
同じデータで、個人預金比率を見ようとしましたが、こうした区分データの公表はしていないようです。
個人預金残高自体のデータが見られなくとも、企業の手元流動性・・キャッシュフローがどれだけあるかを見れば、その残りは地方公共団体や公庫、年金などの公的預金ですから、こうして順次分かっていきそうな気がします。
手元流動性比率を見ると、上場企業の場合、売上高の一か月分から1,5ヶ月分が標準らしいですから、上場企業の総売上高を調べれば、分かりそうなものですが、実はこれがあいまいです。
手元流動性をキャッシュフローとも言うのですが、正確には、直ぐ換金できる有価証券も含むので、実は預金残高とはまるで違うのです。
有価証券、その代表的な株式は、理論的には直ぐ売れるのですが、有価証券のうちでも子会社株や持合株などを除く必要がありますので、この統計は誰がやっているのか不明ですが、主観的要素も入りますので、どこまでを含めるかは各企業の決算書を見て統計処理する人の意見次第となります。
決算書を見ても、短期保有株式と長期保有株式の区分をするには、一定の基準があると言っても、基本はその企業の考え次第です。
決算書上長期保有と区分したからと言っても、その株式を資金繰りのために急遽売却してはいけないという訳にいかないでしょうから、(M&Aの対象になることもありますし、子会社の分離、売却も機動的に行う必要があるでしょう)相対的なものです。
やはり、こういうデータを加工した結果の評価的意見よりは、その基礎となるべき個別の具体的統計・・決算書によるなら、全上場企業の現預金残高合計いくら、保有有価証券残高いくら、(うち連結対象企業の保有株式数)債券がいくらなど細かい項目別集計のデータが先ず公表されるべきです。
この基礎データを基に各人がどのように考えるかは自由でしょうし、意見発表も勝手ですが、この基礎データを同時に発表してくれないと、新聞などで、手元流動性が増えているとか減っているとかいっても、検証のしようがありません。
全銀協データで言えば、個人預金がどれだけ、企業、法人がどれだけ、年金や生保などの預かり勘定残高がいくらなど具体的生のデータでを見たいものです。
そこで、銀行の融資機能・・貨幣乗数がどうなっているのかを見るために、次回に同じく全銀協の貸し出しデータを見直してみましょう。
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